チョイ勇気おやじ

私はよくスーパーで買い物をする。
割とスーパーが好きでもある。
しかしいつもちょっと困ってしまうのは、
「ポイントカードはお持ちでしょうか？」というアレである。

ああいうのは煩わしく、いつも作った事はない。
大抵の男の人はそうではないだろうか。
しかしあまりにも、行くたびに言われるので、
よし、どうせしょっちゅう買い物するんだし、
このあたりで思い切ってカードを作ってみるか、と
一大決心をして、いつも勧められるドラッグストアで
作ることにした。

何やら紫色のちょと目立つきれいなカードである。
不思議なもので、こうして作ってしまうと妙に
うれしいような気がしないでもない。

そしてついに使う時がやってきたのだ。
会社で切り傷を作った私は、バンソウコウと包帯、
殺虫剤のキンチョールを買い、
レジでおもむろにあの紫色のちょと目立つ
カードを差し出した。

レジ係の化粧濃い目のお嬢さんが、一瞬とまどったような表情をしつつ、
「すみません、カードはお薬のみにお使いにいただくようになっているんですよ」と、
そのレジ係の化粧濃い目お嬢さんはおっしゃった。
「エ、バンソウコウは薬じゃないの、包帯は、キンチョールは…」

ちょと目立つ紫色のカードをどういう風にしまったのか、
会計を済ませてふらふらとその場を後にしたのであった。