つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

見知らぬ客

2009-04-10 21:28:31 | 食べ物
昨年近くの郵便局で作品展示をさせていただいたのだが、
そのとき局長にお願いして、感想帳を置かせてもらった。
(かなり局では迷惑だったと思う)

その中に「今度展示するときは教えていただけたら幸いです」の記述が
あった。そして住所氏名が書いてあったので、今回の案内ハガキを
出させていただいた。そこに屋号らしきものが書いてあったので、
調べてみるとエスニック料理店だった。

しかも、そこはよく行っていた飲み屋のとなりだったのだ。
「エーこんなところにエスニック料理店?」と驚いてしまった。
まったく気づかなかったのである。
一度は入ってみようと思いつつなかなか行けないでいた。

で…今度の「奈邪」の展示に行った帰りの日曜日、「奈邪」は
午前中までだったので、お腹をすかして店の前を通りかかったのである。
いいチャンスとばかりに入ってみた。こじんまりとした店内には何やら
東南アジア系らしきグッズが飾られ、アジアンなお香の香りが漂っていた。
「いらっしゃい」と声を掛けたのは、以外にも若い(30歳前後に見えた)
美人ママだった。(勝手に50歳前後と予測していた)

ママは一人の常連客とおぼしき男性と話をしていた。手書きメニュー表には、
よくわからないカタカナ名が並んでいる。
「ウ~ン…」メニュー表とにらめっこしていれば、ママが助け船を
出してくれるかと期待したが、知らん顔なのである。正直無愛想だ。
こんなときは困ったときのパスタだ。「あの~パスタありますか」と
言ったが、一瞬ムッとしたような感じで、「うちはパスタはありません」
とニベもない。

だって…メニューの所どころに「麺」て書いてあったからだ。「エ~
麺とパスタは違うのー?」と思ってしまった。
まあ…何はともあれ

       パッタイ~タイの甘ズッパ辛い焼きそば
           エビ&野菜入り  750円

なるものを注文した。一応焼きそばなら何とかなるとふんだのである。
すぐにトントントンとママは作り出した。
その間に1人の客は帰り、ママと2人になった。
しばらくすると前菜のようなものが出てきた。大根サラダのようなものに
エビダンゴ・小春巻きというところか。盛り付けがきれいで、いかにも
旨そうである。料理は見た目で旨いまずいがわかるときがあるのだ。

食べたいのをグッと我慢して焼きそばを待った。
やがて、どんぶりに入った麺が出てきた。「これが焼きそば?」
メニューの通りエビと色々な野菜が入っていた。さっそく一口食べてみた。
焼きそばというよりラーメンに近い。「うまい!」わたしは思わず
ママの顔を見た。ママはチラとこちらを見たが、ニコリともせずに
視線を落とした。

その無愛想さに、何かアラを探してやろうと食べ進んだが、うまい!
絶妙の味付けで、文句のつけようがないのである。前菜もうまかった。
これだけのものをあの若さで…と舌を巻いた。

わたしは一切れ残らず平らげると、手を合わせて心から感謝の意を表し、
ママに敬意をはらった。これだけのものを作るのには相当の修業と
真摯なハートがいることぐらいわかるのである。これで750円は安い。
自分を名乗ろうかどうか迷ったが、きょうは見知らぬ客でいいか、と
店の玄関を出るとママも出てきたので、「旨かったッス」と言うと
初めてママはニッコリした。「ほら、いい顔じゃん」と心の中でつぶやくと
店を後にした。

味は最高。ただ、見知らぬ客に愛の手を…
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泣かせるぜ

2009-04-10 08:08:01 | 絵・まんが
会社が休みの度に「奈邪」へと通っている。
先週の日曜日「奈邪」へ行くべく、電車を降りた後歩いていたら、
携帯に電話が掛かってきた。飲み仲間でもある旧友からだった。

随分携帯に電話したがつながらなかったと言う。きのうは
携帯の電池切れで充電していたのだ。
今回の展示へ友人と来てくれると言うのである。友人も飲み仲間でもあり
旧友でもある。

確かに二人は前回も来てくれ、今回も案内状は出したのだが、前回と違い
今回は遠いのと、飲み会でわたしは一人で暴走酔っ払いをやってしまったのとで、
てっきり今回は、来ないと思い込んでいたのだった。

「遠いし無理しなくていいよ」と言うと「最初から行くつもりだったから
行く」というのだ。どうせ行くのならわたしが居るときに行きたいので
何回も電話をしたと言う。これを聞いたとき、「泣かせるぜ…」と素直に
うれしかった。

「奈邪」に着いて、おいしいコーヒーを飲んでいると、もう一人から
電話があり、やっぱり今度行くと言うのだ。「今桜が満開だから
今からでも来れば~」と言うときょうは「ちょっと外せない用事があって…」
と言う。う~んこの佐奈川の桜を見せたかったのになあと思ったが…やむなし。

実は前回飲んでいるとき、「わたしの作品はいいからこの佐奈川の桜は
すごいから見においでよ」と言っていたのだ。
まあ桜はあきらめたが、久しぶりに二人の顔が見れそうである。

それにしてもやっぱり自分の作品展示に来てくれると言うのは
嬉しいもんである。大抵は浮世の義理なので、一度は…ぐらいが
当然なのだ。そのことはわたしも十分承知してるし、自分に振り替えても
よくわかることなのだ。

大体が自分の絵を見てくれ、という案内状を出すなどというのは、
プロならいざ知らずわたしのような素人は、ほんと厚顔無恥な
振る舞いだと思っているだが、(それでも…見てほしいんだネエ…

だから来れなくて当たり前なのである。人は皆何だかんだといっても
日頃の生活に、振り回されているのが実情ではないだろうか、そこへ素人の
案内状だ。さりとて、知人とあれば無視もしにくい…という具合で、
否応なくご迷惑をお掛けする次第なのだ。

まあ…それだけに、逆にうれしさもひとしおというわけなのだ。
ったく…あいつら…ぜ。


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