いつものように、スーパーで買い物を済ませ、
駐車場に停めてあった車に乗ろうとして、
何気なく空を見上げた。
すると、真っ青な空に、飛行機雲がたなびいていた。
これ自体、さして珍しくはないと思えるかも
しれないが、一本や二本ではないのである。
まるで、航空ショーでも行われたような7~8本の
飛行機雲が、放射状に行き交い、交錯しているではないか。
「オワ~きれーい!」思わず声が出てしまったほどだ。
真っ青な空のキャンパスに、白い筋を引いた
飛行機雲が、濃く薄く、太く細く、まるで天上神の
手を借りて描いたような趣をなしているではないか。
一瞬見とれてしまったが、すぐに我に返って携帯を
取り出し、シャッターを切ろうとしたが、画面
真っ暗の電池切れだった。
「ああ、この空は残したかったなあ」と思ったが
後の祭り…。 我が日頃の不備を悔やんだ。
やむなく、最終自家兵器を繰り出すことにした。
と言っても、眼を通して我が網膜に写しだし、
脳裏に残像を記憶するという…太古の人々が
やっていた方法である。
どのくらいの時間だったろう…車のドアを
開けっ放しにしたまま、空を眺めていたのだった。
これは、後日悔し紛れに携帯で撮った雲の写真である。