つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

秋の訪問者

2013-09-10 08:46:30 | ちょっとした出来事

「けっこう過ぎちゃってるけど…」茶房じゅんのママが

そう言って外庭からとったバジルを、お茶してるわたしに

一束持ってきてくれた。

(これはイメージです)

なるほど、花芽がけっこう伸びてわさっと繁茂している。


以前、ママに初めてバジルをいただいた時、

ママの妹さんにバジルソースのレシピを

教わったのだ。以来夏になると戴いている。

(同じく)

お蔭で、ここのとこバジルソースを

欠かしたことがない。


とりあえず今夜は飾っとこうっと、と

家に帰ると、花瓶に水を入れ、

ざっくりと束ごと入れて居間に置いた。

 

居間中にバジルの香りが広がる。


ウ~ンやっぱり天然のアロマテラピーは

いいなあ…とほんわり気分に浸った。

日も暮れて、家族で晩飯を食べているとき、

「ン…今なんか聞こえなかったか?」わたしが言うと

一家で顔を見合わせ、「やっぱり聞こえた?」と

みんなうなづく。

 

それぞれが顔を向けたのは、バジルの

束の飾ってある花瓶のほうだった。

 

「リーリー」と、か細くはあったけれど、ハッキリとした

虫の声である。


それは、一定の間をおいては又聞こえるのだ。


家の中で、天然の虫が鳴いたのである

 

あきらかにバジルの束の中に

秋の虫が潜んでいるようなのだ。


虫嫌いの身内らは、「ヤだ~」と言って眉をひそめたが、

わたしは秋の訪問者に敬意を表し、「シーーッ」と口に

指を当て、しばし耳をすませさせて秋の声を聴かせたのだった…。

その後、どんな虫なのか確認しようと

 

バジルの茂みを覗き見たが、

ついに確認

 出来ぬまま花瓶ごとベランダに持ちだし、

丁重にお引越し願ったのだった。

 

翌朝、明るくなったのでベランダでバジルの葉を

もぎつつ1枝ずつ確認したが、どうやら秋の訪問者は

何処かへ去ったらしく、ついにその姿を確認できぬまま、

その声も二度と戻ってはこなかった…。



 


コメント
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