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ぽかぽか春庭「2003年の有事」

2015-05-24 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150524
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003年5月(7)2003年の有事

 2003年の三色七味日記再録を続けています。
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2003/05/16 金 雨 
ニッポニアニッポン事情>有事

 有事法制案、衆議院通過。
 「国を守るため」というときの「国」の中に、「国民」は含まれていない。少なくとも「私個人」を守ってくれそうにない。
 『有事(どっかの二代目息子が核ミサイルで攻撃してくるかもしれない、というオドシがあった場合その他)に国家を守る法、ただし、守る対象としてあなた自身をふくまない法制案』と正確に名付けて欲しい。
 前回の有事の際、三月十日も八月六日九日も、旧満州でも沖縄でも、国家は民を守りませんでしたよね。真っ先に安全を確保したのは、軍人と要人。国体護持。

 ビデオ会話3コマ。

本日のつらみ:あとは野となれ野垂れ死にの無辜の民


2003/05/17 土 曇りときどきぽつぽつと何粒かの雨 
ジャパニーズアンドロメダシアター>『ロードトゥパーティション』

 娘と『ロードトゥパーティション』を見た。
 12才のマイケル。マフィアの殺し屋をしている父親トムハンクス。マイケルが父の殺し場面を目撃してしまったために口封じとして、ボスの息子に母親と弟を殺される。マイケルの命もねらわれているから、二人で母方の伯母がいるパーティションまで逃げる。

 マフィアの話だから、タイトルロールに役名が出るほどの出演者はあらかた死んでしまう。ジャンジャン撃たれて、血糊消費量もハンパではない。息子を守りぬいた父も最後には死んで、息子は親切な農場の夫婦の家で育つことになる。
 死体を撮影する新聞記者兼殺し屋のジュードロウが怖かった。

 ロードムービー風ストーリーとしては『ペーパームーン』に、殺しと銀行強盗を入れて、父が息子を守ろうとするテイストをかぶせて、血糊で味付け。でも、話としてはペーパームーンの方がいいなあ。酒の密売人に追いかけられるだけで、死なないもん。死なないけれど、はらはらドキドキ度は、同じ。
 娘に「ほら、あの主演の人、見たことあるよね。お母さんといっしょに見たじゃない。どんどん走るヤツ」と主演俳優について聞くと、「フォレスト・ガンプのことでしょ。私ってえらいね。お母さんが何をいいたいのか、ちゃんとすぐわかってやれて。どんどん走るヤツ、だけで理解できて、すごい」。
 ツーといえばカー。

 息子とスタバで待ち合わせして、2時すぎに神楽坂のジローで食事。先週もスパゲッティの店だったから、今日は娘がニョッキ、私がフォー、息子がピザ。

本日のひがみ:今回の映画タイトル、半月立つと忘れて、「ほら、どんどん車で走っていって、どんどん殺されるやつ」と、いうだろう


2003/05/18  曇り 
ジャパニーズアンドロメダシアター>なつかしい未来のアトムと新101歳の秀子

 朝、息子と新シリーズ『鉄腕アトム』を始めて見た。ちょうど「アトム出生の秘密」の話。天馬博士が死んだ息子トビオの身がわりとして作ったロボットを捨て去り、お茶の水博士が引き取りアトムとして再生する。天馬博士は人間的な感情を持って博士に従わなくなるようなトビオロボットを失敗作とし、博士に忠実に働くアトラスという新ロボットを作る。しかし、アトラスはアトムを滅ぼすことに失敗し、自爆する。
 青い地球が見える月を舞台に立つアトラスとアトム。地球と月とドーム型宇宙ハウスとロボット。この映像はとてもなつかしくさえある。40年前に夢見たはるかな宇宙が、なつかしさを伴って復活している。
 「懐かしい未来」というフレーズが現前するとは思わなかったが、ほんとうに「あのころの未来」のイメージが忠実に再現されている。そして、現在の最先端のSFは、いったいどんな想像力で未来を描いているのだろうか。暗黒世界でなく、輝かしい進歩した世界として描くとしたら、どのような世界が可能なのだろうか。
 ミステリーとSFは、リタイア後の読書にとっておくと決めたけれど、最新SFを読んでみたくなる。

 そのあと、『いつみても波瀾万丈』に有馬秀子が出ていたので見た。5月15日が誕生日なので、すでに101才になっていた。徹子の部屋に出演したときよりさらに元気にしゃべっていた。すごいな。
 すべての人に、101才まで現役で仕事を続けられる健康と幸運が与えられるわけではないだろうが、あやかりたいなあ。彼女がママを勤めるバー「ギルビーA」は、最近ママの顔を見に来るお客で繁盛しているそう。私も見にいきたい。

本日のねたみ:2003年生まれのアトム若くていいね。1902生まれの秀子、若くていいね

  
2003/05/19 月 雨 
ジャパニーズアンドロメダシアター>『FF』

 漢字、作文2コマ。

 百円ビデオで借りた『ファイナルファンタジー』を見た。
 地球外生命体のファントムが、怒りの赤から癒された青に変わるところなどは、ナウシカのオームと同じだ。「CGの迫力はあったが、アメリカで公開するなら、無意味に攻撃したがる将軍の方を主人公にして、バンバン核攻撃して地球を救う話にしないと受けないかもね」と、娘息子の意見は一致。
 「スピリットを8つ集めて、癒しの力で救うっていうのは、たぶんFFの世界観を共有できる人でないとノレないよね」とも。でも、FFファンなら、8つ集めるところをゲーマー自身の力でやれなければ面白くないだろう。映画では、7つをどうやって集めたか、「ひとつは魚、ひとつは鹿」などと説明されるだけで全然分からない。8つ目は主人公の科学者アキ自身の中に封じ込められているファントムの中にあったというのも「なんだかなあ」。

 ゲーマーFFファンは、自分が仲間と協力して8つのスピリットを集めるからこそ、ラストシーンで涙を流すのだろうに、映画ではどれだけ画面が美しかろうと泣けない。どうしてもフルCGでやってみたかったんだろうけど、中途半端に皮膚などを人間らしくするくらいなら、背景はCGでも、俳優は人間でよかったと思う。特別複雑な演技力を要求されるほどの脚本ではないのだし。史上最高の赤字を出したという制作費の高さを少しでもカバーするには、映画としては俳優の集客能力に頼るのも手だったと思うが。
 CG俳優の魅力もいまひとつだし、ストーリーや世界観もたいしたことない。CGの魅力だけで客を呼ぶなら、CGおたく以外にこの映画を見てみようという気を起こすことができない。

本日のそねみ:スクエアが映画をやるなら、千と千尋の商売上手に学ぶべき


2003/05/20 火 曇り夜雷雨 
アンドロメダM31接続詞>言語学のお散歩

 漢字SFJ3コマ。 息子、今日から3泊4日の東北旅行。

 このところ、言語学関係の言葉をサーチするたびにヒットする、金川欣二の「言語学のお散歩」を読む。タイトルからみて千野栄一の弟子かなと思ったら、やはりそうらしい。
 『ことばの課外授業』について、ブックレビューがあるかと思って西江雅之をサーチしたらヒットし、徳永康元先生が亡くなったというので、サーチしたら、また、金川研究室に入室。

 徳永さんがまだ生きていた、ということにもびっくり。徳永さんに言語学概論を教わったのは、30年も前だ。とっくに亡くなっていたと思っていた。享年91才。20代の私には講義する徳永先生が十分に老人にみえたが、当時は60才くらいだったのだ。
 っていうことは、今私が教えている20代の学生にとって、53才の私は十分におばあさんにみえているんだろうなあ。

 金川さんは西江さんにも教わった言語学プロパーらしい。奥さんは10歳以上年下の声楽家。富山では「声楽家金川睦美さんの夫」として知られてきたが、最近はNHK富山支局制作の地方番組に出演しているので、本人自身も顔が売れてきたのだと。

 エッセイは、千野先生の『言語学の散歩』の芸風を継いでいて、楽しい。富山の商船高専の教授。担当している授業は英語だろうか。読んで楽しいサイトをつぎつぎと発見してしまうので、巡回コースがいそがしい。

本日のうらみ:言語学の散歩、私はいつも迷子になる


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20150524

 12年前に、有事法が成立したとき、「これからこの国はとめどもなく戦争に向かってつきすすむのかもしれない、しかし、それを否とするか、是とするかは、国民がきめることだから」と、思いました。そして、12年たってみると、国民は是とする方向にすすんできました。そういう政権を選んだのは国民です。
 私は、このような大事なことは、何年でも時間をかけて、国民が論議に加わり、とことん納得したうえで決定してほしいと思います。しかし、「アメリカの議会で、夏の間に成立させると約束しちゃったもんね」と言う首相の方針で、さっさときめられてしまうみたいです。

 現在の首相は、ポツダム宣言も「つまびらかに読んだことはない」と、公の場で堂々発表したABさん。「ほんとに読んだこと無いわけはないけれど、シイごときにつっこまれて、ポツダム宣言を受け入れたのは間違いだった」なんて言い出さないための方便さ、と言い訳をこれからしていくんだろうけれど。

 海外からみれば、米大統領が「独立宣言をちゃんと読んだことはない」とか、ドイツ首相が「ベルリン宣言はつまびらかに読んでいない」なんて言ったら政権ひっくりかえって「政権担当能力なし」の烙印押されるだろうに、日本の国民はおやさしいので、政治家なんてドーセろくなことはイワンのばか、とあきらめているのか達観しているのか。

 一国を左右する権力を持つ首相の座にあって、自国の歴史を「つまびらかには読んでない」人が「戦後レジュームからの脱却」とか言ってたんだ、と、ほんとうにがっかりしました。
 かの人にとっては、じいちゃんがやったことはすべて正しいのでしょう。
 ポツダム宣言も、憲法成立史も、ちゃんと「つまびらかに」読んでほしいです。

<つづく>
コメント
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