浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

何が事実か?

2024-12-06 10:58:45 | 社会

 『地平』一月号の特集は、「アメリカ選挙と民主主義」、「大阪デモクラシー 維新政治の次へ」である。

 大阪周辺での「維新」という政治勢力がおこなっていることに、わたしは批判的である。

 山口勝己は「次に来る大阪の民主主義」において、原則的なことを書いている。

 「財政の本質を簡単にいうなら、みんなから集めたお金をみんなのために使うことにある」

 この当たり前のことを、日本政府や地方自治体は怠ってきた。財政出動により、庶民の生活が実質的な平等に向かうように、そして庶民が豊かに健康に生活できるように、様々な施策を行うということである。ところが、日本政府は「お友だち」や経団連という政権政党に多額のカネを寄付してくれるところが、より有利になるように、よりカネ儲けが出来るようにカネをばらまいてきた。「マイナ保険証」に関わる騒動も、NECや富士通などの情報産業がカネ儲けできるようにという「利権政治」そのものである。地方自治体も、企業への補助金を積極的に支出してきた。工場などが立地したら何十億円というカネを与える、というように。

 また「維新」が強行してきたベイエリアでおこなわれる大阪万博もそのひとつである。そもそも「維新」の「成り立ち」は、「カジノや都構想といった一丁目一番地の政策が、ベイエリア開発に絡んでいる」(武田かおり「維新政治と大阪市民」)、「湾岸の人工土地のうえに、副都心、あるいは副首都と呼ばれる構造物を建設するというプロジェクトを継続し、あるいは加速することであった。」(前川真行「大阪維新2009-2024」)とあるように、土建業界その他の要望を受けての事業を推進するためにできた政治勢力であり、みずからの政治勢力を拡大するためにおこなってきた政策が、「いわゆる既得権益層に投入されていた財源をひきはが」す、すなわち人件費を大幅に削減し、「公共」(保健所、公立学校など)を切り捨て、「頭割りの普遍主義にもとづく給付」をおこない「個人利益を優先させたい有権者の」歓心をかう、というものであった。

 そうした「維新」の勢力拡大に貢献したのが「関西のテレビ局」である。まさに維新とテレビ局はほとんど一体である。批判されるべき「維新」の政治は大阪の有権者の支持を得て、推進されてきたのだが、その背後にはテレビ局の絶大な支援があった。「維新」がテレビ局の支援により生まれたとするなら、トランプ政権はSNSにより生みだされたといえよう。

 バイデンとトランプのどちらがアメリカの大統領としてふさわしいかと問われたら、沈黙するしかない。どちらも支持できないからだ。バイデン政権によるイスラエルへの武器供与、その武器がパレスチナの人びとの頭上に降り注ぎ、多くのパレスチナ人を殺傷している。その一点でさえ、バイデン政権を支持できない。一方トランプの発言についてのファクトチェックは、「正しい」が3%、「おおよそ正しい」が8%、「半分正しい」が11%、「おおよそ誤り」が19%、「誤り」38%、「虚偽」19%で、つまり彼の発言は76%が「事実と異なる」という。そんな人がよくも大統領になった、と嘲笑してはならない。

 わが日本も、総理大臣が息をするごとにウソをついていたではないか。それが国会で堂々とまかり通っていたではないか。

 今は、「何がファクトかわからなくなっている」時代なのだ。「わからなくさせられている」と言うべきかも知れないが。

 内田聖子は「偽情報・ディープフェイク」でこう書いている。

 ディープフェイクや偽情報自体はもちろん問題ではあるが、皆が関心を持って拡散しなければ意味がない。つまり、問題の本質は、ディープフェイクが瞬時に大量に流通してしまう情報のエコシステムにある。そこでの原理は共感と共有だが、トランプ陣営はこれに加えて人々の不満や恐怖、攻撃性や憎悪を最大限煽り、偽情報をより効果的に流通させるエコシステムを築き上げることに成功した。

 近年は、そうした動きが日本の選挙でも注目されている。

 選挙時に限らず、私たちはネット言論空間における偽情報やディープフェイクをどう扱っていくのかという大きな課題に直面している。規制の強化や企業の自主規制が模索されてきたが、言論の自由との相克、プラットフォーム企業との攻防、法適用の範囲、技術的課題など難題ばかりで、現時点ではどこにも特効薬はない。研究者も市民社会も、そしてプラットフォーム企業内の技術者・開発者も、悩みながら対策を探る、まさにその途上にいる。

 偽情報などがネット空間に飛び交っている現状をどうすべきかは、日本でも注視されなければならない。個人個人の賢明な判断が下されるような状態が出現することはあり得ないからこそ、その対策は急務である。

 しかし、情報産業は、さらに人びとの意識を操作できるような研究を進めているという。

 ビッグテック企業は心理学や神経科学とAIを組み合わせる形で、「マインドハッキング」「サイコグラフィクス」「デジタルコカイン」などの言葉で言われるように、人間の意思決定の操作を目的とする研究開発、実装を日々進めている。AI/アルゴリズムを使ったプロファイリング、ターゲティング等による人々の「部族化」は、特定の政治傾向の過激化・極端化をもたらし、異なる意見を聴く寛容性をますます困難にしている。

 恐ろしい時代に、世界は入り込もうとしている。まさに、

 ファクトをもとに熟議や意思決定をして行くという民主主義の根幹が危機に瀕している。

 のである。

 偽情報やフェイクに左右されないように、とりあえずはがんばることしかないかも知れないが、SNSに接触しないという選択肢もある。

 「オレオレ詐欺」「ロマンス詐欺」など詐欺事件が多発しているが、電話に出ない、SNSをやらない、そうであれば、だまされることはないのだから。

 

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「群衆」ということば

2024-11-18 20:10:07 | 社会

 兵庫県知事選の動向を見ていて、わたしはギュスターヴ・ル・ボンの『群集心理』(講談社文庫)を思い出した。この本については、このブログで何度か言及している

 たとえばその本の一節。

「これまで群衆が真実を渇望したことはなかった。群衆は、自分らの気に入らぬ明白な事実の前では、身をかわして、むしろ誤謬でも魅力があるならば、それを神のように崇めようとする。群衆に幻想を与える術を心得ている者は、容易に群衆の支配者となり、群衆の幻想を打破しようと試みる者は、常に群衆の生贄となる。」

 「群衆に幻想を与える術を心得ている者」がいれば、「群衆」はその「支配者」に支配される。

 いま、「群衆に幻想を与える術を心得ている者」は、「群衆」の目の前に姿を現すだけではなく、SNSを利用して「幻想を与える」ことができるようになった。

 兵庫県知事の斎藤某の言動について、子細に彼の行跡を追ってみれば、問題が多くあることは確かである。それについては、新聞やテレビ(わたしは見ていないが)で報じられた。

 ところが、今回斎藤某に投票した若者たちの多くは、新聞は読まないし、テレビもみない。斎藤某についての情報について接していた者は多くないだろう。

  そうした若者たちの前に、食いつきやすく明解で単純な情報が大量に流された。

 しかし、

群衆の感情が単純で、誇張的であることが、群衆に疑惑や不確実の念を抱かせないのである。それは、直ちに極端から極端へ走る。疑いも口に出されると、それが、たちまち異論の余地ない明白な事実に化してしまうのである。

群衆は、巧みに暗示を与えられると、英雄的精神、献身的精神をも発揮することができるのである。しかも、単独の個人よりも、はるかにこれを発揮することができさえするのである。

群衆は、単純且つ極端な感情しか知らないから、暗示された意見や思想や信仰は、大雑把に受けいれられるか、斥けられるかであり、そして、それらは絶対的な真理と見なされるか、これまた絶対的な誤謬と見なされるかである。推理によって生じたのではなく、暗示によって生み出された信仰とは、常にこのようなものである。宗教上の信仰が、どんなに偏狭であって、どんなに専制的な威力を人身に揮うかは、誰でも知っている。群衆は、自ら心理あるいは誤謬と信じることに何らの疑いをもさしはさまず、他面、おのれの力をはっきりと自覚しているから偏狭にであるに劣らず横暴でもある。

 歴史上、時に「群衆」が立ち現れることがある。最近の選挙は、「群衆に幻想を与える術を心得ている者」によって左右されるようになってきた、ということだ。

 賢明な人びとは、そうした動きに警戒しなければならない。

 というのも、

「群衆は弱い権力には常に反抗しようとしているが強い権力の前では卑屈に服する。」

からである。つまり、強い権力に抗するような動きを、「群衆」はしないということである。「群衆に幻想を与える術を心得ている者」は、支配権力の意向に沿って動く。

 県知事は権力者である。彼がどのような横暴なことを行っても、「群衆に幻想を与える術を心得ている者」を傍らに置いておけば、「群衆」に批判されることはない。

 【付論】今回の選挙は、新聞やテレビなどの「オールド・メディア」が完敗した、といわれるが、新聞やテレビは、支配権力の意向を受けて報じはするが、「群衆に幻想を与える術を心得ている者」ではない。

【付記】ネットで、この選挙結果の報道をテレビでみたが、もうテレビメディアは斎藤某にすりよった報じ方をしている。権力にすりよるテレビメディア、報道機関として信用されなくなるのは無理もないと思う。

【付記】「群衆に幻想を与える術を心得ている者」は、「群衆」を「暴力」に誘うこともある。

 

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あの大屋根リングの背後にあるもの

2024-11-08 22:08:16 | 社会

 西谷文和の路上のラジオ、今日聴いたのは、建築家・山本理顕さんの話。とても意義深い話であった。とりわけあの気持の悪い、大阪万博のミャクミャクという代物、あれって内臓なんだって。驚き!

 そしてあの350億円の大屋根リング、裏に安藤忠雄がいるらしい。

 わたしは、このブログで安藤忠雄を批判してきたが、東京オリンピック・パラリンピックに続いて、ここにも安藤の名が出て来たことに驚いた。

西谷文和 路上のラジオ 第207回 山本理顕さん(建築家)「建築家が斬る大阪失敗万博」

 

 

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郵便事業のサービス低下

2024-11-01 19:23:04 | 社会

 あの小泉純一郎は、まったく日本の社会を悪化させた張本人である。

 郵便事業のサービス悪化は進むばかりである。今週月曜日に郵便局に投函した郵便物が、今日届いた。浜松から所沢までこんなに時間がかかるようになった。また郵送料が大幅に値上げされ、郵便事業の使い勝手は悪化するばかりである。

 派遣労働を自由化し、働く人の正社員を減らし、働く人の賃金低下を決定的にしたのが、小泉純一郎内閣であった。

 小泉純一郎がやった「郵政選挙」にメディアが協力し、その結果選挙民ものせられて、統一教会党=自民党をたくさん当選させた。

 最近、ネット上で郵便事業のサービス劣化を指摘する声が多いが、あの「郵政選挙」で自由民主党に投票した人は、猛省すべきだ。投票活動が、自分たちの生活環境に多大な影響を及ぼすことを知るべきである。

 しかし、郵政事業をもとに戻すことはできないのだろうか。またJRも国有鉄道に戻すことはできないのだろうか。

 新自由主義政策により、あきらかにわたしたちの生活は悪化している。消費税も新自由主義政策の一環である。

 いずれにしても、このように国民生活を悪化させた自民党・公明党政権は許せない。

 

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袴田事件 だれに責任があるのか

2024-10-31 19:33:56 | 社会

死刑囚の手紙

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【本】中国新聞「決別 金権政治」取材班『ばらまき 選挙と裏金』(集英社文庫)

2024-10-30 20:16:39 | 社会

 フダ(票)をとるために必要なのはタマ(金)だという。フダをたくさんとるためには、タマを用意してばらまかなければならない、というのが、統一教会党=自民党の選挙戦術である。

 だから、自民党は、あらゆるところからカネをとってくる。政党交付金だけではなく、パーティー収入、企業などからの献金。そして官房機密費も投下される。カネ、カネ・・・・

 中国新聞社は、河井克行、案里夫妻による金権選挙を契機にして、政治とカネの問題を粘り強く取材をつづけ、数々のスクープを放った。その経緯が、本書には詳しく書かれている。まさにジャーナリズム精神にあふれた本である。政権中枢から多額のカネが用意され、河井夫妻はそのカネを地方議員にばらまいた。その実態を詳しく調査し、新聞紙面で報じた。

 この中国新聞社の追及が、今回の衆議院議員選挙での自民党議員の落選につながっているかもしれない。それほど力強い取材であった。

 ただ問題は、中国新聞社の追及は、メディアスクラムをつくりだせなかった。中国新聞の取材班は、スクープを放つと同時に、他紙が後追いで書いてくれると思っていたようだが、しかしそれはなかった。高知新聞のように、地方紙でのってきた社はあるけれども、全国紙はのってこなかった。全国紙のジャーナリズム精神はすでに枯渇してるから仕方ないかも知れない。

 もうひとつ、取材班は、「政治は「国民を映す鏡」と言われるように、国の主権者である有権者の姿勢も問われている」とし、「一票を投じよう」と訴えかける。その通りである。

 しかし利権にまみれた政治をかえるためには、もっともっと多くの人が投票に参加することと、タマに対して強くならなければならないと思う。マイナ保険証に関して、2万ポイントを欲しいからと、人びとが役所に殺到する姿をみて、わたしは「こりゃぁ、ダメだ」と失望したが、タマをぶらさげられると権力者の言うことをきいてしまうというあり方はなくしていかなければならない。タマはアメであるが、アメのあとにはムチが出てくることを知るべきだ。

 ともかく、こうしたジャーナリズム精神に満ちた本は、もっと読まれるべきである。

 

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季語が危機にある!

2024-10-12 08:37:23 | 社会

 クーリエ・ジャパンが「スペイン紙が危惧「気候変動で松尾芭蕉の世界が消えてしまうかもしれない」」という記事を載せた。スペイン紙が注目したのは、季語である。日本の自然の移ろいの中で、その季節を象徴させるものを季語として俳句の中に定着させた。

 しかし近年の気候危機により、季語は落ち着かない状況になっている。

 俳句は日本の伝統文化である。俳句になくてはならない季語が危機的な状況になっているのに、日本の指導層はそんなことにはかまわない。

 自由民主党という政党は、保守党ではなく、極右政党になって久しい。自民党を象徴する議員とは杉田某であり、高市某らである。彼らは「日本、日本、・・・」とがなりたて、日本の政治を批判する人びとに冷たい非難を浴びせかける。自民党だけではなく、そこらへんに転がっている右翼も同様である。日本の各地にある米軍基地周辺では、アメリカ兵が日本人を蔑視するなかで様々な事件を引き起こしている。また日本の領空を、米軍機は自由に飛んでいるのに、日本の航空機は常に米軍の意向通りに飛ばざるを得なくさせられている。対米隷属国家日本のみじめな姿を、私たちは日々見せつけられている。日本の支配層も、極右政党=自民党も、そしてそこらへんの右翼も、対米隷属している日本のみじめさに怒ることもせず、日本の伝統が消えつつあるのに、何の危機感も持たない。

 そして沖縄など中国に近いところでは自衛隊の基地建設が進んでいる。アメリカに命令されれば中国と戦争するのだと息巻いている。戦争が起きれば、日本の国土や国民に多大な被害が生じるのに、そんなことはかまわない。

 日本の支配層、自民党、そこらへんに転がっている右翼は、日本を大切にしない人びとである。だから、日本の伝統である季語が危機にあろうとも、彼らは何も感じない。スペイン紙が季語の行方を心配しているのに。

 

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名前

2024-10-11 13:46:37 | 社会

 『世界』11月号には、袴田事件に関する文が二本掲載されている。その中の一本目、藤原聡による「「袴田事件」の58年」には、詳しい日附と事件に関わった氏名が記されている。

 「こがね味噌」の専務宅で殺人と放火があったのは、6月30日。翌日の7月1日、清水警察署の捜査官が、袴田さんと交流があった渡辺さん宅に来て、袴田さんの写真を持っていった。捜査員は、「(犯人は)袴田しかいない」と言っていたという。そして7月4日、警察は従業員寮の袴田さんの部屋を捜索し、パジャマなどを押収した。その日の夕刊、毎日新聞、静岡新聞が、「H」、「従業員某」として、袴田さんがあたかも犯人であるかのような報道をした。そして翌5日、各紙が、「(袴田さんの)パジャマには大量の血痕がついていた」と報じた。

 実際には、パジャマには「大量の血痕」はまったくついていなかった。

 要するに、静岡県警・清水警察署は当初から袴田さんを犯人だとし、そのための捜査を行っていたのである。

 あまりにも証拠がない!ということから、清水署は、日本警察の特徴である「自白をとる」ことに全力を傾注した。極めて長時間に及ぶ取り調べ。その取り調べに当たったのは、羽切平一警部らであった。

 静岡県は、「冤罪のデパート」といわれる。島田事件、幸浦事件、小島事件、二俣事件などがある。これらはすべて冤罪としてすでに終了している。わたしは幸浦事件、小島事件について書いたことがあるが、これらの捜査に当たったのは、紅林麻雄警部補らであった。紅林は、「拷問王」と呼ばれていた。

 こいつが犯人だと決めると、強引にその人を犯人に仕立て上げる。そういう警察であった。

 袴田さんの取り調べに当たったのは、羽切らであったが、羽切は紅林の部下で、幸浦事件で紅林と捜査に当たっていた。

 あまりに強引な取り調べがなされたことから、供述調書45通中、44通は「証拠能力がない」とされた。袴田さんを犯人にするためには、あまりに証拠がないという状況の中ででてきたのが「五点の衣類」であった。

 それをもとに、静岡地方裁判所の石見勝四裁判長は死刑判決を下した。

 東京高裁では、「五点の衣類」のうちの一点のズボンを、袴田さんは、はくことができなかった。裁判長はズボンについていたタグの「B」をウエストサイズだとし、味噌の中に長期間あったことから縮んだのだとして、控訴を棄却した。

 検察はタグの「B」がウエストサイズではないことを知っていた。しかし、その証拠を隠した。「B」は色を表していた。

 そして最高裁に上告されたが、棄却。

 袴田事件は、静岡県警察と検察とがつくりあげたでっちあげであった。

 でっちあげた人たちの名、警察官や検察官、裁判官を、しっかりと記すべきであると思う。同時に、今は反省をしているけれども、メディアがどのように報じていたのかも白日の下にさらすべきである。というのも、冤罪をつくるのは、警察や検察、裁判所だけではなく、新聞などのメディアであるからだ。

 この文を書いた藤原聡が、11月に袴田事件に関する書物を岩波書店から発行するという。冤罪をもたらした責任者たちの名を明確に記し、同時にメディアの責任にも厳しく言及すべきである。

 袴田事件のような冤罪事件をつくらないように・・・・・

 

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晴れて、袴田さんは解放された・・

2024-10-08 19:40:00 | 社会

 袴田巌さんが、最終的に無罪となった。死刑囚という軛からやっと解放された。

 この無罪を獲得するまで、弁護団や支援者の労苦はたいへんなものだったと思う。

 わたしも、戦後補償裁判に全面的に関わったが、それはそれはたいへんであった。時間もカネもたくさんつかう。刑事訴訟では、公判は期間を空けて行われるが、その間にも支援者と弁護団は、訴訟をどのように展開していくか、何度も集まって検討会をもつ(それは戦後補償を求める民事訴訟でも同様である)。それ以外にも、支援する会のニュースを作成、印刷、配布する、あるいは同じような他の訴訟を支援するために、全国各地に赴く。勝利を得るためには、できるだけ多くの市民の理解と協力が必要だからである。

 袴田事件では、静岡市に住むわたしの友人も、支援者として活動していた。袴田事件に関わる報道がテレビで放映されるとき、かれの姿がいつも映っていた。それもどちらかというと、端の方に。彼は地道に、目立たない仕事を黙々とやっていた。

 今日も、静岡放送が記者会見をネットで報じていたが、彼の姿が映っていた。ほんとうにお疲れ様、といいたい。無罪を引きよせた功労者のひとりである。

 もうひとりの知人は、判決の日など確実にたくさんの報道がなされるときにやってきて、わざわざ弁護団や袴田ひで子さんの傍にいて、あたかも中心的にやってきたかのような位置でテレビなどに映される。しかし彼は、わたしの友人のように、地道な支援活動をほとんどしていない。

 袴田事件は、冤罪事件である。国家権力は犯罪をおかしたのである。冤罪は国家犯罪なのだ。国家が権力という暴力をふるって、ひとりの市民を罪人とし隔離し、袴田さんの場合は死刑囚として拘禁していた。本来は、自分自身の人生を自由に、個性的に歩むはずだったひとりの人間を長期間拘束し、彼の人生を奪ったのである。

 国家がひとりの人間を犯罪者として認定したとき、その人間が犯罪者ではないとして国家から奪い返すためにはたいへんな努力が求められる。

 袴田事件にはたくさんの弁護士が関わっているが、こうした事件に関わっても、決してカネにはならない。わたしが関わった戦後補償裁判でも、弁護士の皆さんは手弁当であった。もちろんわたしも手弁当であった。何度も韓国に行き、控訴審で東京高裁に通うなど、多額のカネを投下した。

 袴田事件の弁護団、支援者の皆さま、そしてもちろん袴田巌さん、ひで子さん、お疲れ様でした。

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袴田巌さん、無罪確定

2024-10-08 17:41:20 | 社会

袴田巌さん再審で検事総長が控訴断念を表明 無罪確定へ

「これでやっと一区切りつく、うれしい」袴田巖さんの姉・ひで子さん 検察の控訴断念を受け、気持ちを語る【速報】

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認識の遅れ

2024-10-06 20:03:34 | 社会

 学校を卒業すると、広く学ぶことがなくなり、遅れた知見をそのまま持ち続けることがある。『現代思想』の10月号、「〈人種〉を考える」を読んでいて、みずからがもつ知見がいかに遅れていたのかを教えられた。

 瀬口典子氏の「人種概念の歴史と生物人類学における頭蓋骨多様性研究の進展」を読み、この記述と同様の認識を持っていたことを恥じた。

 「半世紀上も前に人種概念が科学的根拠を欠くことが証明されたにもかかわらず、アメリカの警察や司法機関では、依然としてアジア、ヨーロッパ、アフリカの三大陸やFolk taxonomyに基づく時代遅れの人種観が広く浸透している。」

 コーカソイド、ネグロイド、モンゴロイドという分類が意味をなさなくなっていて、「20世紀以前、「人種」は固定された不変の生物学的カテゴリーと見なされていた。しかし、現在では「人種」には生物学的な実体がなく、それは実際には社会的、歴史的、政治的な文脈の中で構築されたものであることが明らかになっている。」

 人類を多様性を持った存在として、その多様性は「人の移動や遺伝子の流動や遺伝的浮動を通じて地域的な類似性や多様性が生じ、それぞれの集団の独自の歴史が形成された」という理解に到達しているというのだ。

 この論文を読んで、専門分野ではないものをきちんと学ぶことが必要だと思った。とにかく、「「人種」概念には生物学的な根拠がない」ということを、しっかりと脳裡に刻んでおかなければならない。

 

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袴田巌さんを解放しよう!!

2024-10-02 07:06:16 | 社会
袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会の山崎さんからの連絡。転載します。
 
検察に控訴させないこと、それが袴田さんを解放します。
 
東京高検、最高検に「控訴をしないように」要請してください。 オンライン署名も行っています。  お知り合いの方にもお願いしてください
オンライン署名は →→→ chng.it/WdF2Hn6Fxh
 
また、直接、検察庁のホームページから、ご意見欄につなげ、控訴するなの 意見を入れてください。
 
それから、アムネスティインターナショナル日本も署名を行っています。こちらへも署名をお願いします
 
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袴田ひで子さん、神々しく見えた

2024-09-30 21:22:05 | 社会

袴田ひで子さん 小川弁護団事務局長 会見 「袴田事件」再審無罪判決を受けて

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巌さん、秀子さん、長生きしよう!!

2024-09-27 08:05:01 | 社会

 静岡県警察、検察合同でつくりだした冤罪事件。彼らは、どのように償うのか。

The DAY 判決の日

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袴田事件は世界に報じられている

2024-09-26 19:05:24 | 社会

世界で最も長く拘置された死刑囚、袴田巌さんに再審無罪判決 事件から58年

He’s the world’s longest-serving death row inmate. A court just declared him innocent

Japan court acquits a former boxer, the longest-serving death row inmate, in a 1966 murder retrial

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