『東京新聞』の昨日の社会面は、京都・宇治地区でのウトロ地区への放火事件の裁判に関する記事である。奈良県の有本某が、ヘイトを動機として在日韓国人らが住む住宅地に放火したのである。
韓国・朝鮮に対する強い憎悪。奈良県の「なら」はハングルの「くに」という意味だと言われているように、古代日本には朝鮮半島からたくさんの人びとが日本列島に移住し、大陸の先進的な文化や学術をもたらした。彼らがもたらしたものがなければ、日本の古代文化は花開くことはなかっただろう。
また日本各地に、朝鮮半島の文化の痕跡が残っているように、日本列島の住人と朝鮮半島からの流入者は、早い頃から混じり合ってきた。天皇家でさえ、朝鮮半島系の血が入っていることは、例えば桓武天皇の母親が百済系であることではっきりしている。
乃木希典の先祖も、秀吉の朝鮮侵略時に日本に連行された朝鮮人である。日本人に朝鮮系の血が混じっていない人はほとんどいないだろうと思う。
いつの頃からか、韓国朝鮮に対する強い憎悪を示す人たちが街頭に出て、口きたない憎悪表現のことばをはじらいもなく叫ぶようになった。そうした彼らにエネルギーを与えたのは、韓国ナショナリズムに凝り固まり、日本(人)は韓国に身もカネも捧げる義務があるかのような言説をもつ統一教会と強い絆をもった安倍晋三の言動であった。安倍は、一方では反韓の意思を表明し、ウラでは北朝鮮とつながる反社会的組織である統一教会と蜜月の関係にあった。安倍晋三が社会に及ぼした悪影響は大きい。
有本某に対する判決は今日である。彼は、みずからのヘイト感情、みずからの行為を反省することもなく法廷に立っていたそうだ。
きちんとした事実認識をもたずに、強い憎悪をもつ人は増えているようだ。憎悪は人びとを分断し、社会を破壊する。どうしたらそうした憎悪をなくしていくことができるか、私たちは考えなければならない。