2018年は、米騒動100周年である。本書は、その米騒動で襲撃された鈴木商店がなぜ襲撃されたのかを調査しつつ、さらに鈴木商店の実質的なトップ・金子直吉の生涯を追う。
読んでいて驚いたこと、それはヘーゲルの研究者である金子武蔵が、金子直吉の次男だったということである。
それはさておき、米騒動時に焼き打ちにあった鈴木商店は、焼き打ちにあわなければならないようなことをしていたのかを追及する。米騒動の研究といえば、井上清・渡部徹の『米騒動の研究』に拠るのが一般的だが、そこでの叙述に疑問を持った城山が、実際に証言を行った市井の人を訪問してまで真実を究めていこうという城山の姿勢に感心した。
鈴木商店は、米の買い占めその他、米価高騰の原因をつくってはいないのではないか、という問いに対する回答は、社としては一切ないが、社員のなかにはそういうことをした者がいるかもしれない、という結論のようだ。
三井は、襲撃されなかったが、三井こそ社として米騒動時、米を輸出していたことが、記述されている。おそらく三井物産であろうが、三井物産は日本の侵略の尖兵の役割を中国大陸で果たしていたことから、なるほどと思った。財閥企業は、あくどい商売を行ってきているから。
本書の基本的な内容は、以上であるが、途中、いい文に出会った。
民主主義が叫ばれ民衆の人気が云々されていても、政治の中に民衆の生活は不在なのだ。平民政治家にとってさえ、民衆とは操縦さるべきもの、利用すべきものとしてしかとらえられていなかったのではないか。
これは原敬について記したものだが,政治家三世の安倍にとってみれば、これはもっと当てはまるような気がする。
読んでいて驚いたこと、それはヘーゲルの研究者である金子武蔵が、金子直吉の次男だったということである。
それはさておき、米騒動時に焼き打ちにあった鈴木商店は、焼き打ちにあわなければならないようなことをしていたのかを追及する。米騒動の研究といえば、井上清・渡部徹の『米騒動の研究』に拠るのが一般的だが、そこでの叙述に疑問を持った城山が、実際に証言を行った市井の人を訪問してまで真実を究めていこうという城山の姿勢に感心した。
鈴木商店は、米の買い占めその他、米価高騰の原因をつくってはいないのではないか、という問いに対する回答は、社としては一切ないが、社員のなかにはそういうことをした者がいるかもしれない、という結論のようだ。
三井は、襲撃されなかったが、三井こそ社として米騒動時、米を輸出していたことが、記述されている。おそらく三井物産であろうが、三井物産は日本の侵略の尖兵の役割を中国大陸で果たしていたことから、なるほどと思った。財閥企業は、あくどい商売を行ってきているから。
本書の基本的な内容は、以上であるが、途中、いい文に出会った。
民主主義が叫ばれ民衆の人気が云々されていても、政治の中に民衆の生活は不在なのだ。平民政治家にとってさえ、民衆とは操縦さるべきもの、利用すべきものとしてしかとらえられていなかったのではないか。
これは原敬について記したものだが,政治家三世の安倍にとってみれば、これはもっと当てはまるような気がする。