浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

文を操る人

2015-09-30 07:09:07 | 読書
 『現代思想』の臨時増刊号の「安保法案を問う」は、各方面の方々が、それぞれの立場から、成立したという「安保法案」、ボクは「参戦法案」と呼んでいるが、それについて真正面から問題点を提示している。その意味では、教えられることが多い。

 未だすべてを読んでいるわけではないが、ひとつとてもひどい文に際会した。それは成田龍一の文である、そのあとに徐京植の「他者認識の欠落」というきわめて重く、また示唆に富んだ文が並んでいるから、その落差は際立っている。

 成田と徐の文は、他の二人の文とともに、「歴史から問う」というパラグラフのなかに置かれている。

 ところが、成田の文には、主張がない。なぜか。成田は「安保法案」を、正面に据えてまともに捉えようとしていない。今までも成田の文は、たとえば『大正デモクラシー』(岩波新書)などを読んできているが、読み通して、何の読後感も生まれないのだ。「大正デモクラシー」に関する一応の説明はあるのだが、それだけに終始していて、成田が「大正デモクラシー」という時代状況を、自分ではどう考えるのか、主体的に格闘したあとが見られないのである。

 今回の「安保法案」についても同様である。徐は、在日という視点から、「安保法案」だけではなく、原発事故や文科省による国立大学の人文社会科学系学部の廃止通達、「安保法案」反対運動、アベの「70年談話」などを俎上にあげて、「日本近代の思想を問題にする時、「他者」(アジア諸民族)認識の欠如は決定的に重要である」という視点から、鋭く切り込んでいる。

 ところが、成田は日高六郎編『1960年5月19日』(岩波新書)や丸山真男などの言説を並べて文を組み立てているのだが、何を主張したいのかがまったく霧のなかなのだ。末尾近くに「7月15日の歴史的・現代的位相の認識とそのことに基づく実践が、喫緊の課題である」とは記しているが、成田の文章を読んでいる限り、7月15日という衆議院安保特別委員会で「参戦法案」が強行採決された日への認識とそれに関わる実践の「喫緊」性が浮かび上がってこない。

 この雑誌には多くの人々が、「安保法案」に関する論考が載せられているが、それぞれこの法案を真正面から認識し、またみずからの立場から実践しようとしている。

 成田の文の特徴は、文を書く人ではなく、文を操る人という評価が適当だろう。

 わが家の近くには、天竜川が流れている。大雨もない平常の流れは、穏やかに見える。しかし流れの表面はそう見えるが、流れに入るとその強い流れに抗することはとてもたいへんだ。天竜川に呑み込まれ亡くなった人もいる。成田は、いつも表面だけを眺めて書く。その表面の下には、表面とは異なる位相の流れがあることまで認識が至らない。なぜか、「安保法案」とか、見すえるべき現実と正面から対座しないからだ。

 ひろたまさき氏が、『福沢諭吉』を岩波現代文庫で再刊した。その「解説」を成田が書いている。ひろた氏からこの本をいただき読み進めているとこrだが、ボク同様に寄贈を受けた町田の住人から、「何で成田に書かせたのだろうか、ひどい解説だ」という評価を聞いた。

 「解説」の末尾に、成田の専門を「日本近現代史」としているが、ボクは日本近現代史の「批評家」とすべきだろうと思っている。

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死を迎えた内閣法制局

2015-09-29 21:25:58 | 政治
 内閣法制局は、もういらなくなった。日本国家は、憲法があろうとなかろうと、政府がやりたいことを勝手にやるという、およそ近代国家とはいえない国に転落した。内閣法制局は、みずから法治主義、法の支配を放棄し、政府の言うがままの組織となった。

 『日刊ゲンダイ』の記事。

内閣法制局は安倍政権の手先 「解釈改憲」容認裏付け資料なし


「法の番人」という看板は一刻も早く下ろすべきだ。毎日新聞が28日スクープした、昨夏に安倍政権の「解釈改憲」を認めた内閣法制局が、内部資料を公文書で残していなかった問題。法制局がどういう根拠で「解釈改憲」を認めるに至ったのかが全く検証できず、非公開の密室会議と同じ。とても法治国家とは思えない。

 安倍政権が集団的自衛権の行使を可能とする憲法9条の解釈改憲を閣議決定したのは昨年7月1日。閣議前日の6月30日、国家安全保障局から審査の閣議決定案文を受け取った法制局は、憲法解釈を担当する第1部の担当参事官が「意見ナシ」と電話で回答したという。法制局自らが「法の安定性」をブチ壊した審査時間が「たった1日」とはビックリ仰天ではないか。

 しかも、保存されている関連文書は、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」や、与党協議会の資料、閣議決定の原案――の3種類だけ。横畠裕介長官は、閣議決定後の参院予算委で「部内でも9条に関する過去の国会答弁や質問主意書、答弁書などの政府見解を精査していた」と言い、今年6月の参院外交防衛委でも「法制局内で議論した」とか言っていたが、“裏付ける”資料はナ~ンも残っていないのだ。政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。

「法制局は、どんなに屁理屈をこね上げても『解釈改憲は合憲』との結論を導き出せなかったのではないか。そのため、意図的に公文書を残さなかったのだと思う。裏を返せば、それだけ今の安保法が論理破綻している証左です」

 安保法の問題点を指摘してきた弁護士の倉持麟太郎氏は「プロセスを軽視する政権の姿勢がよく表れている」と断じ、こう続けた。

「米国議会で(安保法成立を)約束してきてから国会で審議する、公聴会の報告もなく強行採決する……。今の政権はことごとく手続きを軽んじてきました。それが如実に表れた一件だと思います」

「法の番人」である法制局が「政権の番犬」となって法律を勝手に書き換える――。まるで、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの風刺小説「1984」に出てくる「真理省」ソックリだ。横畠長官は即刻、クビだ。
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卑劣な週刊誌=『週刊新潮』

2015-09-29 19:34:52 | メディア
 『週刊新潮』のような無責任・デタラメ・メディアがあるために、ネトウヨがのさばるのだ。

http://lite-ra.com/2015/09/post-1537.html
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2015-09-29 14:21:49 | その他
 今年、山本義隆の『16世紀文化革命』(みすず書房)を読んだ。それを、ボクはみずからの講座で利用した。良い本だ。様々な文献を渉猟して、ひとつの流れをつくり、それはまた現代を照射している。

 政治的に早熟であったボクは、山本義隆という名を、たとえば購読していた『朝日ジャーナル』でよくみかけていた。いわゆる全共闘運動のリーダーであった。

 全共闘運動が潰え、それに関わった人びとが社会のなかに吸収され、多くが社会体制のなかに組み込まれ、そこからのプロテストの声は聞こえてこなかった。

 後年、「自己否定」という言葉は、それをあくまで追求すると、みずからの死を招来せざるを得ないものではないかと考えた。「自己否定」ができなければ、「自己肯定」にならざるを得ない、そういうあれかこれかという考え方、弁証法的な契機が孕まれていない、そういうものだと判断した。だからそれに関与していた人びとは、社会体制の中に入り込み出世した。ノーパンしゃぶしゃぶという大蔵省がらみの汚職事件のなかに、泥にまみれた官僚を発見した。学生時代に全共闘運動に関わっていた者。

 多くは、社会体制の網のなかにうまい具合に入り込み、そこで安定と繁栄の蜜を吸い続けた。おそらく、今も吸い続けている。

 ところが、山本義隆はそういう人物ではない。みずからの志を今もって持ち続け、学問を政治を、そして社会を追究(追及)し続けている。

 最近出された『私の1960年代』(金曜日)が、今日届いた。山本のその姿勢が最初から自由に叙述されている。彼が巻末においたいくつかの弔辞を読むと、山本のように志を持ち続けた人びとが残っていたということを感じた。

 人生の黄昏を迎え、過去を振り返る。そのとき、持続している過去に抱いた志でもって、みずからの人生(もちろんみずからの生き方だけではなく、科学や社会の動きも含めて)を分析するのか、それともある意味「転向」したあとの視点から眺めるのか、その内容はたぶん真逆になるであろう。ボクは、後者のものは読みたくもない。

 山本のこの本を少しだけ読んだが、権力の側の先を見通した動き、それについて、その時点では反対する側に見えないものではあるが、それが反対の動きを押しのけていく姿が記されている。

 現在の政治経済社会のありかたが、1980年代の臨調行革の動きからはじまっていたと考え始めているボクとしては、もっともっと勉強して、先回りして支配層が狙っている方向を察知できるようにしたいと考えている。できるかどうかはわからないが、それなしに現状を打開することは難しい。

 山本のこの本は、読むに値する。2100円+悪税である。
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やりたい放題

2015-09-29 08:30:44 | その他
 アベをはじめ、官僚、その広報機関としての『読売新聞』は、憲法は勿論、法令や協定を無視して、やりたい放題を行っている。

 まず『読売新聞』。今日の『中日新聞』の報道である。

契約金報道で巨人敗訴 申し合わせ超過「真実」 

2015/9/29 朝刊

 プロ野球巨人の契約金超過に関する報道が事実と違い、名誉を傷つけられたとして、読売巨人軍が朝日新聞社に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十八日、報道内容を真実と認め、請求を棄却した。

 判決によると、朝日新聞は二〇一二年三月、一九九七~〇四年度に巨人に入団した新人選手六人の契約金が計三十六億円で、最高で一人一億五千万円までとする球界の申し合わせを超えていたと報道。記事で「自軍が勝てばよいという金権野球で、ドラフト制度を根幹から揺るがす」などと論評した。

 巨人側は、三十六億円は出来高払い分を含んでいたと主張したが、本間健裕裁判長は「広義の契約金と解釈すべきで、入団時に支払いを約束した額は明らかに申し合わせを超えていた」と退けた上で、論評も公正なものだと指摘した。

 読売巨人軍広報部は「事実を誤認した不当判決だ」として、控訴する方針を明らかにした。朝日新聞社広報部は「妥当な判決だ」とコメントした。


 そして次、今度は文科省が、みずからの主張を押しつけるために、虚偽の数字を子どもたちに伝えようとした。これに対して、当然のごとく批判があり、訂正した。

 今年八月、高校の保健教育用に作製した副読本で、女性の年齢と妊娠のしやすさの関係を示すグラフで虚偽捏造を行ったことが指摘された。すると、また再び今度は「子どもはどのような存在か」という文脈で使用した、厚労省の「少子化に関する意識調査」の数値を改ざん。子どもの存在は「無償の愛を捧げる対象」という回答を、本来は47・3%とすべきところを56・4%と表示。

 安倍政権の政策を推進するためには、虚偽の数字を教育現場で押しつけようとしていた。安倍政権の腐敗は、官僚も含めてのものだ。

 そしてさらに、大阪の人たちが当選させた知事、市長のでたらめさ。「地方分権」が叫ばれている時代に、「大阪都構想」。住民自治や自治体財政を破壊し、大企業に公営地下鉄を捧げるという、住民にとっては何のプラスもないような事業に莫大なカネを投入している。こういう人物を当選させる大阪府民や大阪市民の見識を疑ってしまうのだが、それに関する『朝日新聞』記事。

 
大阪都構想の関連経費31億円 6月まで、7割超人件費

野上英文

2015年9月29日03時02分

 橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が提案し、5月の住民投票で廃案となった大阪都構想だが、大阪維新は11月の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙で、再挑戦を掲げて戦う構えだ。朝日新聞が大阪市に情報公開請求したところ、6月までに都構想にかかった関連経費は、大阪府と大阪市で総額31億7852万円と判明した。再挑戦の場合、新たな支出が伴うことの是非も議論を呼びそうだ。

大阪都構想の再議論、コストは? 6月まで経費31億円

 開示された資料によると、5月17日投開票の住民投票には6億3496万円かかった。投開票所の使用料や選挙啓発、選管職員らの超過勤務手当などを含む。さらに都構想案を説明したパンフレットやビラの作成・配布にかかる経費で1億5152万円、計39回開いた住民説明会の警備委託や会場使用料などに3160万円を費やした。

 経費の7割超を占めたのは、都構想の事務局を担った「大都市局」の職員人件費で23億5494万円。局の発足で新規採用した職員はおらず、経費が純粋に増加したとは言えないが、橋下氏と松井一郎大阪府知事の意向で2013年4月に府と市で職員計100人が集められ、都構想に専従。今年6月の解散まで制度設計などにあたった。総務省(東京)などへの出張旅費は549万円だった。

 住民投票で反対多数となってから、わずか半年後に選挙で審判を仰ぐことになる都構想。今月16日の記者会見で橋下氏は「ダブル選の争点は都構想の議論が終結するか、修正して継続するかだ。議論の継続に大都市局のような存在は必要」とし、人件費などは「必要経費」との考えを示した。(野上英文)
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夕顔

2015-09-28 21:48:50 | 日記
 日が落ちて昏くなりかけても、ボクは畑にいた。畝をつくり種を蒔く。ふとみると、東の方角の家々の間に、大きな本当に円い月がちょうどあがってきた。その大きさになぜか祈りを捧げたくなった。美しいというのではなく、何か神々しく思えたのだ。

 それでも闇が深くなる前に帰ろうと、自転車を走らせる。

 西の空は、夕焼けだ。遠くに見える家々は影絵のようだ。赤を背景とした黒々とした家のところどころに灯がともる。

 何と美しい夕闇か。

 今夜の夕顔は、きっときっと月の光を思い切り浴びて、輝くことだろう、そう思いながら帰宅した。



 先ほど外に出て夕顔を見に行った。白い花弁を思い切り開き、月の光をいっぱいに受けていた。

 夕顔にあう音楽は、ショパンのノクターン。

 夜の闇の中で、秘やかに咲き続ける。


 朝、太陽の光は、夕顔には強すぎるのか、花弁はその役割を果たしたかのように、閉じていく。

 一夜だけのいのち。

 はかないとは言うまい。

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ギャンブル

2015-09-28 09:19:23 | 社会
 ギャンブルというと、賭け事。もっとも身近にあるのがパチンコである。図書館に行く途中、パチンコ店の前を通るが、いつもウィークデイの昼間でも駐車場はほとんどうまっている。

 たくさんの人がパチンコに入れあげている姿が想像できる。亡くなった友人は、小遣いはパチンコで稼いでいると豪語してい。本当かどうかは知らないが、そう言うのならかなり儲けていたのだろう。しかしパチンコで儲けられるまでにどれほどつぎ込んだのだろうか。パチンコを始めてからの収支を計算すれば、おそらく損をしているのだろうと思う。

 パチンコで時間(暇)を潰す、ということもしばしば聞くことだ。まだ家でごろんとテレビでも見ていたほうがいいだろうに、パチンコに足を運ぶのである。

 近所のパチンコ店は大きくなるばかりだ。賭け事は常に胴元がもうかる仕組みになっている。宝くじなども同じ。賭け事から収益を得ようとして始めるからだ。収益が得られなくなったらやめる、続けているということは胴元が儲け続けているということである。

 しかし、パチンコに通う人の中には、ギャンブル依存症で苦しむ人が多いという。そうした本も何冊か出ている。

 新聞広告に、借金の返済に困っていませんか、などという弁護士事務所の相談会のチラシが入っている。そんなに借金で苦しんでいる人が多いのかと疑問を持つのだが、パチンコ依存症の人がたくさんいることを思うと、納得してしまう。

 パチンコで時間を潰す人が多いということが、日本をダメにしているのではないかと思うのだが、政治家などはもっと賭け事を増やそうとしている。カジノを合法化しようという動きもある。

 庶民の生活を破壊してまでも、胴元に儲けさせようという魂胆だ。まさに新自由主義的な施策でもある。貧民からカネを収奪して富裕者にまわしていくという、新自由主義の根本的な原理そのものだ。

 次に掲げるリテラの記事に全面的に賛同する。紹介されている、作家であり精神科の医師である帚木蓬生氏の本を読もうと思う。帚木氏の本は、すべてがきわめて良心的な内容である。

http://lite-ra.com/2015/09/post-1534.html
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庶民への攻撃

2015-09-28 08:00:22 | 政治
 ある記事を紹介する。まさにこの記事が記すとおりの事態が起きようとしている。

“大荒れ”安保騒動の陰で……労働者の賃金がどんどん下がる「改正労働者派遣法」施行の恐怖

 安全保障関連法案をめぐる与野党の対立が激化した中で、ドサクサ紛れの法改正が強行された。9月11日、国会で可決された「改正労働者派遣法」は施行が同月30日、わずか3週間足らずで周知期間も置かないまま強行されることになった。国民からの意見を募るパブリックコメント(意見公募制度)は、たった3日間で締め切りだった。

 同法最大の眼目は、ソフトウェア開発や秘書、書籍編集など一部専門業務で最長3年までとなっていた派遣期間の制限を撤廃し、同じ部署で働ける期間を3年に制限することで3年ごとに派遣労働者を入れ替えながら継続的に雇用することができるというもの。勤務3年を過ぎた派遣社員に対しては、直接雇用を派遣先に依頼することなどを義務づけているが、派遣先に、これに応じる義務はないという。

 これを厚生労働省は「派遣労働者の正社員への道を開くもの」とし、経団連会長も「経済界としては歓迎」と喜んだが、当の労働者側からは「3年ごとに派遣労働者を入れ替えれば、何年でも同じ業務を任せることができるし、依頼の義務付けも、しょせんは依頼のみで、断られたら終わり」と抜け道の指摘があった。

 民主党の山井和則衆院議員も「若者が正社員になりにくくなり、一生派遣という若者が増える」と格差社会への危惧を示し、ほかからも「見方を変えれば大改悪」という声すら上がっていた。

 同法はこれまで2度廃案になっていたところ、昨年3月に改正案が再提出されたものだが、安保問題による審議の遅れなどを理由に、可決からわずか19日間で施行されることになってしまった。

 同法の是非はともかく、その施行までの経過がいかに不自然なものであったかは厚労省の動きに見てとれた。厚労省は同法のパブリックコメントを可決から4日後の15日に始めたが、なんと受付期間は17日に締め切り。わずか3日間だけの意見募集というのは、あまりに乱暴な話。これについて、労働法に詳しいジャーナリストはこう憤る。

「行政手続法39条3項で、意見提出期間は30日以上と定められているんですよ。例外規定はあるものの、これはひどすぎます。厚労省は、安保問題で国会が荒れている中、メディアの関心が薄いタイミングを狙ったとしか思えないのです」

そこまでして安倍政権が同法の成立を進めた理由は一体なんだったのか。厚労省に出入りする別の事情通は「おそらくこれは同一労働、同一賃金が狙い」とする。

「派遣社員の地位向上というのは表向きの建前で、これは正社員を派遣社員レベルの待遇に合わせていく話の第一歩。おそらく今後、労働基準法改正による残業代のカットなど経営者に都合のいい話が続出するはず。規定された専門業種というのも範囲を広げる方向で話が進んでいて、最終的には労働者の実質賃金がどんどん引き下げられるでしょうね」

 少子化で人口が減少するというのに、貴重な労働者の待遇が下げられるというのなら、安保問題に劣らぬ怖い話。厚労省の動きがあまりに姑息すぎて、事情通の言うような事態になるのではないかという不安が拭えない。
(文=ジャーナリスト・片岡亮)


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若者がすすめる本

2015-09-27 22:11:14 | その他
 あの「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」が、こういう本を読もうということをしている。大人の人たちは、これらを読んでいるだろうか。

 『東京新聞』の記事。

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015092702000128.html
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権力の犬

2015-09-27 22:01:37 | 政治
 警察は、昔から「権力の犬」といわれてきた。だからこそ、警察官の職務執行については厳格な手続きが課されてきた。ところが、安倍政権が憲法さえ無視するファッショ的な政治を行うため、警察も、同じように犬は犬でも、狂犬になっている。


 『日刊ゲンダイ』の記事。

反安保の学生に警察が…土足でズカズカ“横暴捜査”実況中継

 これは学生団体「シールズ」に対する脅しなのか。国家権力が、過激派でも何でもない学生にまで牙を剥いた。

 9月16日の安保法案反対の国会前デモで、公務執行妨害容疑で逮捕された13人中6人が、いまだに勾留されている。警視庁公安部公安第1課は24日、6人のうち“ハンガーストライキ”で安保反対を訴えてきた学生1人について、彼が出入りしていたシェアハウス「りべるたん」(豊島区東池袋)に家宅捜索を強行。取材で居合わせた本紙記者が、一部始終を目撃した。

 午後1時半。突然、シェアハウスのドアを乱暴に叩く音が鳴り響く。住人たちの反応も待たずに、警官が網戸をこじ開け、土足で踏み込んできた。あっという間に玄関に回り鍵を開けると、数人の警官がなだれ込んできた。玄関外にも約20人の警官がひしめく。

 住人が令状を見せるよう要求すると、警官は「関係ねえよ!」と叫んだ。弁護士に連絡を取ろうとする別の住民の手を警官が抑えつけ、電話もかけさせない。撮影を続ける本紙記者には、2~3人の警官が跳びかかってカメラを押さえつけてきた。

 外には、警官が引き連れてきたテレビ局のクルーが、シェアハウス内をのぞき見撮影。家宅捜索は1時間以上続いたが、押収物はたった6点だ。

「安保法案への抗議活動のチラシ類や、勾留されている学生のプライベートなメモなどです。私たちとしては、逮捕自体、被疑事実がなく不当だと考えていますが、加えて今回のような法律を無視するような家宅捜索にも、強い怒りを覚えます」(学生が参加しているハンスト実行委員会の関係者)

 この日の午前中、警視庁は、同じく国会前デモで逮捕された革労協メンバーの関係先なども家宅捜索している。しかしハンスト実行委員会によれば、午後に家宅捜索を受けた「りべるたん」も、勾留中の学生も、特定の政治セクトや過激派とは無関係だという。警察のやり方はいくらなんでも乱暴だ。
(取材協力・撮影=ジャーナリスト藤倉善郎)
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「一億総活躍社会」

2015-09-27 07:43:09 | 政治
 安倍首相というのは、よほど戦時下の日本がお好きのようだ。「一億総活躍社会」などという言葉を使えば、戦時下のスローガンを想起する人が多いことは、当然知っているだろうに。

 おそらく、アベは、戦時下のスローガンにあえて似せているように思える。

 「一億玉砕」
 「聖戦へ 民一億の体当たり」
 「一億が みんな興亜へ散る覚悟」
 「一億抜刀 米英打倒」

 支配層のことばを信じてはいけない。1945年まではアメリカは最大の敵であった。「鬼畜米英」などというスローガンもあった。アベの爺さんも、そうしたスローガンを掲げた人物だ。それが戦争に負けると、さっさとアメリカと懇(ねんご)ろになり、その孫はアメリカと一緒に戦争したいとのたまう。

 「一億貢献」
 「アメリカへ 民一億の捧げ物」
 「一億が みんな好米 貢ぐ覚悟」
 「一億全員 対米隷属」

 
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怒りを持ち続けること

2015-09-26 07:39:01 | 政治
 怒りを持ち続けることはなかなか難しい。時間の経過とともに、怒りが鎮まってきてしまうからだ。

 しかし、フクシマの原発事故について、被害者たちは怒りを持ち続けているのだろうか。自宅があるにもかかわらずそこに生活できず、今まで一緒にいた家族はバラバラになり、今後の生活を見通すことすらできない。若い人たちは、子どもたちのために、福島には帰らないという覚悟を決めた人が多いという。お年寄りだけが残される。

 まさに、東電福島原発の事故は、人びとの生活を根底から破壊したといえるだろう。しかしそうした加害行為について、加害者は誰も責任をとらず、知らぬ存ぜぬ、あるいは嘘をいい、加害者はフツーの生活をしている。許せない事態だ。

 怒りを持ち続ける、あるいは怒りを再燃させる事実が、また明らかになった。今日の『中日新聞』第一面である。東電の犯罪的な不作為がまた明らかになったのだ。


事故2年前に津波対策拒む 東電側、保安院要請に 

2015/9/26 朝刊

 二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故をめぐり二年前の〇九年、原子力安全・保安院(当時)の審査官が、東電に具体的な津波対策を速やかに検討するよう求めたが、東電担当者が「原子炉を止めることができるのか」などと拒否していたことが、政府が公開した事故調査・検証委員会の「聴取結果書(調書)」で分かった。

 東電上層部が前年の〇八年七月、防潮堤建設など本格的な津波対策を先送りする方針を決めていたことは知られているが、東電が対策の必要性を認識しながら保安院の指摘を拒否していたことや、担当者間の具体的なやりとりが明らかになったのは初めて。

 公開されたのは名倉繁樹保安院安全審査官(現原子力規制庁安全審査官)、地震予知連絡会会長だった島崎邦彦・前原子力規制委員会委員長代理ら五人分。公開は昨年九月以降八回目で計二百四十六人になった。

 名倉氏は、〇六年に改定された原発耐震指針に照らした確認作業(耐震バックチェック)で福島第一原発を担当。名倉氏の調書によると、八六九年の「貞観地震」で、宮城県や福島県沿岸に及んだ大津波の実態が解明されつつあり、名倉氏は〇九年八月と九月、東電の担当者を保安院に呼び、津波想定の説明を受けた。

 東電の担当者は「津波の高さは海抜八メートル程度で、高さ十メートルの敷地を越えない」などと説明したが、高さ四メートルの地盤上に重要な冷却用ポンプがあるため、名倉氏は「ポンプはだめだな」と判断。「こういった結果が出るのであれば、具体的な対応を検討した方がよい」と速やかな対応を求めたが、東電は〇九年六月に、原発の津波評価手法を策定する土木学会に対し、一二年三月の回答期限で津波評価の検討を要請済み。「土木学会の検討を待ちます」と拒否した。

 名倉氏はさらに、浸水の恐れがあるポンプを建物内に設置し、水が入らないよう防水対策の検討を要請。東電は「会社として判断できない」「(原子)炉を(保安院が)止めることができるんですか」などと強く反発し応じなかったという。

 大津波の危険性を〇二年の政府機関報告書で警告していた島崎氏は調書で、対策が進まなかったのは「中央防災会議が(報告書の内容を)否定したから」と指摘。「中央防災会議には土木学会と同じ委員がたくさんいた」と述べ、防災会議と土木学会、電力業界は同じ考え方だったとした。
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鶴見俊輔

2015-09-25 17:33:26 | 日記
 先日届いた『現代思想』の臨時増刊号「鶴見俊輔」を読む。この人の名前は、高校時代から知っていた。鶴見の本は何冊か読んでいる。書庫にも何冊か並んでいるはずだ。

 鶴見は、「・・・・主義者」というものではなく、自由な思考の持ち主であったとおもう。「・・・主義者」になると、その「・・・主義」に忠実になろうとする傾向がでる。ボク自身も、若い頃はマルクス主義の本をたくさん読み、一時期は「マルクス主義者」と自覚していた。しかし今は、忠実になろうという思想は持っていない。平和主義や民主主義は、もちろんそれには忠実であろうと思っているが。

 さてこの臨時増刊号、もちろん書き手の方々は、鶴見についていろいろ書いているのだが、その文の中に、心動かされるものをいくつか発見し、本を読むって素晴らしいなあと思うのである。

 海老坂武の文の、『きけわだつみのこえ』の中に、「自分は国のために見知らぬ人間を殺せるか」という問いがないという指摘。そして鶴見の「私たちは国家指導者ほどの悪をなし得ないことの故に、私たちのほうが倫理的に優位に立っている」ということば。

 
 高橋武智の「ベ平連とは・・・・「国家に呑み込まれない人」「国家から自立しようとする人」「国家の言うとおりにならない人」」だという指摘。

 室謙二の、鶴見の考え(ことば)の説明、「」憲法9条のつくられ方にも内容にも嘘があるかもしれない。しかしその嘘をマコトに変えるのが私たちだ」。

 上原隆の、鶴見の「態度の思想」の説明。「態度の思想は、その人が何を考えているか、何をいっているかよりも、ある状況下でどのような行動をとるかということに、その人の思想は顕れる」。


 触発されることばが、次々と現れる。本を読むことの素晴らしさがここにある。これらの言葉の群れを前に、考える。そして自らの血肉としていく。読書とは、そういうものだ。

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自民党・NHK共同体

2015-09-25 15:30:21 | メディア
 NHKが「安倍政権のNHK」と一般的に認定されていることは周知の事実だ。自民党・公明党政権の広報放送となっているNHKの経済基盤を安定化させようと、自民党が下記の提言をまとめたという。

 ヒドイ国だ。政治権力の片棒をかつぐ放送局の経費を、税金化してあげようという、安倍政権を支えてくれたNHKに対するご褒美なのだろう。こんな事態を、許しておいてよいものか。

 怒り!


NHK受信料「義務化を」 自民提言書 マイナンバー活用も

9月25日 朝刊

 自民党の「放送法の改正に関する小委員会」(佐藤勉小委員長)は二十四日、NHK受信料の支払い義務化を検討するよう総務省とNHKに求めた提言書をまとめた。


 提言書では、義務化についての具体的な制度設計や、マイナンバーを活用した支払率向上に向けた仕組みづくりの検討を総務省に要請。NHKに対しては、義務化が実現した場合、どの程度の値下げが可能になるか試算するよう求めた。


 受信料の支払率は76%(二〇一四年度末現在)で、放送のあり方を検討する同小委が公平負担の徹底をめぐり議論してきた。支払いを義務化するには放送法の改正が必要で、〇七年に検討されたが見送られている。


 NHK広報局は「三カ年経営計画に基づき、受信料制度のあり方の研究を進めている。視聴者・国民の理解が得られることが、何より重要で不可欠なものと考えている」とのコメントを出した。
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壊憲策動に終止符を!!

2015-09-25 07:56:43 | 政治
 安倍政権と自民党は、世界共通の人権保障や民主的な制度を根こそぎなくしてしまおうとしているようだ。現在の日本国憲法は、基本的には世界標準の内容を持つ。

 ところが自民党が公にしている改憲草案は、世界標準を無視した、途轍もない反民主的なものだ。世界に恥ずかしい内容であるし、もしそうなったら人権も何もない、国民を国家の僕(しもべ)にするものだ。

 アベは、昨日、次の参議院選挙で改憲を公約に掲げると明言したそうだ。

 自民党の憲法草案が、いかにひどいものであるかを、しっかりと見つめて欲しい。もしそれが実現したときの社会がいかなるものになるのかを想像して欲しい。

 今まで、自らの意見を表明してこなかった方々も、日本の大きな転換期であることを自覚して、声を上げて欲しい。

 下記に、自民党の草案のアドレスを掲げた。

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

 このままでは、日本は民主主義も人権も無く、アメリカに経済的軍事的な貢献をさせられ、日本人はまさに奴隷状態にされること必定である。

 みずからと子孫のために、よりよい日本をつくる、こうした自覚が求められる時代に突入している。

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