今まで天皇について、敬語をつかうことはほとんどなかったが、この文だけは敬語を使用する。
先日天皇陛下が沖縄を訪問され、対馬丸記念館に足を運ばれ、そして遺族や生存者の方々とことばを交わされた。両陛下は、先の大戦について、特別の思いをもたれていることがよくわかる。
近年の天皇皇后両陛下が自ら行動で示されているのは、戦争はしてはならない、日本国憲法を変えてはならないというご意思である。
その例。
サイパン島を訪問されたとき、天皇皇后両陛下は日本人が悲劇にまきこまれたところだけではなく、植民地支配の下、戦争に協力させられてサイパン島で命を落とした朝鮮人の慰霊碑も訪問された。
また未だ大日本帝国憲法が制定されない頃、八王子周辺の山奥の集落で庶民の学習と討論のなかで生み出された「五日市憲法草案」を、天皇皇后両陛下がご覧になられた。その時のご感想を、皇后陛下が示されている。
5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h25sk.html
この民衆がつくった憲法草案は、人権規定が豊かなことで知られている。色川大吉さんらが発見したもので、ボクもこれには大いに感動したことがある。もう発売されてはいないだろうが、『民衆憲法の創造』や『三多摩自由民権資料集』などにそれは掲載されている。あきる野市のホームページからもそれらの資料を読むことが出来る。
http://archives.library.akiruno.tokyo.jp/database/index.php
古代史の研究者である大山誠一さんは『天孫降臨の夢』(NHKブックス)で、天皇制は、藤原不比等が自ら政治権力を行使すべく、天皇を利用するために構築したシステムであると詳細に論じている。
確かに、天皇は周辺の政治権力者に利用される存在であった(そうでなく、自ら政治の表舞台へと進み出た天皇もいたが)とみなさざるを得ないような事実は無数に転がっている。
安倍首相らは、天皇制をどう考えているのだろうか。自民党の憲法草案は、天皇を国家元首と位置づけるなど、天皇制の強化を図ろうとしているようだが、やはり藤原不比等と同様な視点で考えているのだろう。
天皇をほんとうに尊重したいと考えているのなら、改憲はありえない。天皇皇后両陛下の行動は、戦争はしてはならない、改憲すべきではないということを示しているからである。
先日天皇陛下が沖縄を訪問され、対馬丸記念館に足を運ばれ、そして遺族や生存者の方々とことばを交わされた。両陛下は、先の大戦について、特別の思いをもたれていることがよくわかる。
近年の天皇皇后両陛下が自ら行動で示されているのは、戦争はしてはならない、日本国憲法を変えてはならないというご意思である。
その例。
サイパン島を訪問されたとき、天皇皇后両陛下は日本人が悲劇にまきこまれたところだけではなく、植民地支配の下、戦争に協力させられてサイパン島で命を落とした朝鮮人の慰霊碑も訪問された。
また未だ大日本帝国憲法が制定されない頃、八王子周辺の山奥の集落で庶民の学習と討論のなかで生み出された「五日市憲法草案」を、天皇皇后両陛下がご覧になられた。その時のご感想を、皇后陛下が示されている。
5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h25sk.html
この民衆がつくった憲法草案は、人権規定が豊かなことで知られている。色川大吉さんらが発見したもので、ボクもこれには大いに感動したことがある。もう発売されてはいないだろうが、『民衆憲法の創造』や『三多摩自由民権資料集』などにそれは掲載されている。あきる野市のホームページからもそれらの資料を読むことが出来る。
http://archives.library.akiruno.tokyo.jp/database/index.php
古代史の研究者である大山誠一さんは『天孫降臨の夢』(NHKブックス)で、天皇制は、藤原不比等が自ら政治権力を行使すべく、天皇を利用するために構築したシステムであると詳細に論じている。
確かに、天皇は周辺の政治権力者に利用される存在であった(そうでなく、自ら政治の表舞台へと進み出た天皇もいたが)とみなさざるを得ないような事実は無数に転がっている。
安倍首相らは、天皇制をどう考えているのだろうか。自民党の憲法草案は、天皇を国家元首と位置づけるなど、天皇制の強化を図ろうとしているようだが、やはり藤原不比等と同様な視点で考えているのだろう。
天皇をほんとうに尊重したいと考えているのなら、改憲はありえない。天皇皇后両陛下の行動は、戦争はしてはならない、改憲すべきではないということを示しているからである。