違和感を持ちながら読み終えた。司馬遼太郎的な歴史観であり、そのような書き方が随所に見られる(主観的な記述!)。
あとがきによれば、本書は、「欧米列強にたいして手も足も出すことができなかった軍事的弱小国家日本が、屈辱をバネにして立ち直って近代化を達成した、国家建設の物語」として書かれた。
近代天皇制国家の建設は正当化され、その建設の担い手たちも「正しい」ことを行った群像として描かれている。そうした視点が一貫しているので、近代国家建設の途上における否定される可能性のある歴史的事象はすべて記述されない。
はたしてそういう叙述で良いのか、疑問である。一応読み終えたが、どうもしっくりとこない。
【追記】2023年3月28日 なぜかこの本を手に取りもう一度読み始めた。主観的な記述が各所にあり、史料に基づいてと書きながら、史料に即しているわけではない。主観的な個所をチェックしていたら、この本を読んだ記憶がよみがえった。この本は、捨てるしかない、という結論になった。この学者、もう亡くなられているようだが、思い込みの激しい方のようだ。原口清氏や田村貞雄氏に、評価を聞いておけばよかった。