ランセットという雑誌は医療界では権威あるものとされている。最後まで訳さなかったが、マスクの有効性と換気の重要性が指摘されていた。
まだまだCOVID-19 は予断を許さない。マスクと換気、とても重要であることをしっかりと覚えておこうと思う。翻訳をはじめてここで約1時間が経過した。翻訳は時間がかかる。
通気性の悪い空間での小さな飛沫エアロゾルとSARS-CoV-2の感染
世界的に、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の集団感染を防ぐための有効な対策が医療機関で検討されている。SARS-CoV-2の感染要因についてのデータは少ないが、感染者からの呼吸器飛沫感染が主な感染経路であると考えられている。
会話や咳をする際に発生する1ミクロン未満から約10ミクロンの小さな飛沫には、ウイルス粒子が含まれていることが明らかにされている。飛沫は、エアロゾルの中で3時間生存し、感染力を維持する。その飛沫は、空気中を通って気道に入ることで直接感染(エアロゾル)し、または汚染された手を通した接触により間接的に感染する。
感染のあり方は、上気道から始まるか下気道から始まるかに影響を与え、病気の進行の重症度に影響を与えると考えられている。とりわけ、SARS-CoV-2感染の用量反応の関係は、まだ明らかになっていない。特にエアロゾルによるウイルスの感染に関しては。しかし、風通しの悪い空間での少量のウイルス濃度を含むエアロゾルは、低湿度・高温と相まって、時間の経過とともに感染量を増加させる可能性がある。
呼吸器飛沫の飛散と可能な予防策をよりよく理解するため、咳や発声による飛沫の発生を、飛沫の大きさ分布、移動距離と速度、空気の換気レベルとの関係性のなかで飛散時間を測定・分析した。
1回の咳と会話をしている際の呼吸器の飛沫の大きさ分布を調べるために、噴霧飛沫測定装置(Malvern Spraytec, Malvern, UK)を用いてレーザー回折測定を行った。健康なボランティアの咳では,大飛沫(直径100~1000μm)と小飛沫(1~10μm)の2種類が検出され,小飛沫の方がより多く検出された(付録p1).対話中では小飛沫のみが認められた(付録 p1)。大きな飛沫は特に咳と関係があるとされてきたが、ここでは咳によって両方の大きさの飛沫が発生することを観察した。
次に、SprayScan(Spraying Systems, Glendale Heights, IL, USA)レーザーシートを用いて、咳からでる飛沫のレーザー光の散乱を撮影することにより飛沫の速度と飛沫の軌跡を調べた。大きな飛沫は急速に地面に落下することが観察された(付録 p2)。咳の開始時の飛沫の速度は毎秒2~7mで、目に見える大きな飛沫(典型的には直径500μm)は、その軌跡が重力のために曲がり、1秒以内に遠距離まで異動せずに急速に地面に落下することが判明した。この観察は、重力と空気抵抗のバランスをとることによって説明することができるが、典型的な半径5μmの小さな飛沫は、160㎝の高さ(すなわち、平均的な対話または咳が出る高さ)で生成されたとき、地面に到達するまでに9分かかることが判明した。これらの小飛沫は、SARS-CoV-2のエアロゾル感染に関連していることから、特に注目されている。
また、鼻腔からの飛沫についても調査したところ、通常の呼吸ではバックグラウンドノイズレベル以上の飛沫は検出されないことが判明した。くしゃみからは、ほとんどが非常に大きな飛沫で、頬腔と鼻腔の両方から発生し、長い間は存在しないことが判明した。
同じレーザーシートを使用して、咳の小飛沫が空気中にどのくらいの時間浮いてくるかを調査した。Medspray(オランダ・エンスヘデ)の専用スプレーノズルを使用して、コントロールされた量の小飛沫を空気中に分散させ、咳をしたときの効果を再現した。飛沫は平均直径5ミクロンで、スプレーノズルによってき均一的にばらまかれた。実験室の中央に吊るされた固定レーザーシートを通過する飛沫の数を、照らしだされた飛沫を検出するアルゴリズムを用いて解析した。我々は、換気のレベルが異なる3つの部屋でこの実験を繰り返した:換気なし、機械的換気のみ、入り口のドアと小さな窓を開いた機械的換気の3つである。よく換気された部屋では30秒で飛沫は半減した。換気なしの部屋では、(半減するまでに)5分かかった。(中略)換気の悪い部屋では、飛沫の数は1~4分で半減した。
我々は健康なボランティアだけを調査し、COVID-19やウイルスを含むエアロゾル飛沫を持つ患者を直接調査したわけではないが、飛沫の大きさの分布と持続性に関する我々のデータは、ウイルス感染を防ぐためにはフェイスマスクを使用する必要があることを示唆している。ここで研究された小さな飛沫のエアロゾルによる感染は、高性能のマスクを使用しなければ防ぐことができない。従来のサージカルマスクは、吸入呼吸ではここで研究された小さなエアロゾルの30%しか阻止できなかったが、呼気にとってははるかに有効であった。
(以下略)