▲初めの方に上がる10号5段2カ所から。この段階で既に「混ぜるな危険」状態である
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8月7日は花火の日、神明の花火である。
会場となる市川大門には二つの煙火店がある。齋木煙火本店とマルゴーである。この二社は今、勢いのある煙火店に数えられることには異論はないだろう。そんな2社に山内煙火店を加えたオール山梨で打ち上げが行われる花火大会である。
とにかく美麗で、スピーディで、キラキラで、パステルで、しっとりでって全ての装飾語を総動員しても足りないぐらいに素敵な花火が打ち上げられる。
今年は、5月に齋木煙火本店の社長の話を聞く機会もあり、この日が楽しみでならなかった。
ほかにも「神明シンドローム」に罹っている花火愛好家は多く、前日を大晦日、当日を新年元旦と表現する人がワラワラ。
私は中心軸を長岡においているからそこまではいかないけれど、ここの花火が美しく魅力的であることには異論はない。
平日開催の今年も、半休を取って(仕事危なかったけれど)会社から直行である。
▲オープニング
今年は、西伊豆町と姉妹町締結記念とかで、手筒花火でスタート。三河の辺りと違って、ハネがほとんどない感じで、観客を盛り上げながら筒を抱えるスタイル。手筒にもいろいろあるんだねぇ。
その後、結構しっかりとした挨拶がある。先ほどまでオレンジ色に染まっていた空は、闇を帯び、花火打ち上げの舞台が整ってくる。
そして打ち上げ開始。
初っ端からワイド展開。そして尺込の高度感のある打上。観覧場所が打上現場に近いことはとてもうれしいが、縦にも横にもはみ出しすぎるのが悩みどころ。
もうその件に関してはあきらめている(笑)。
▲10号5段の最初の1発が、もうきれいで~ デレデレ
目玉となるプログラムはいくつもあるのだが、実は個人的に好きなのは、初めの方の段打ち。「なんでそんな玉ここで上げるのぉ」ってってのがさりげなくしれっと上がってしまう。
それぞれの煙火店の美麗玉が上がるものだからある意味もったいない。1発1発でしっかり見たいのに、一緒に上がってしまうのだよ。この悔しさというかうれしさというか狂気は、もうただただ叫ぶか、声を失うかのどちらかだ。
「混ぜるな危険」はここの花火のためにあるような言葉だ。
▲10号5段2カ所は実は好きな玉が上がる可能性が高いので、まったくもって見逃せない。右の玉はひそかに「おたま」と呼んでいる(オタマジャクシみたいなので)
もう1発1発称賛の声をあげたいが、今回は動画班が隣にいるので、ぐっとこらえる。ただでさえ、無駄に通る声を持つ私は人様の動画の中にいくつもの声の痕跡を残してきている。昨今は、いろんな方が動画をアップされるので、なかなかに恥ずかしい。
動画撮りの方は、歓声が入った方が臨場感が入っていいっていうんだけれど、自分の声って、自分が聞こえているように他人には聞こえていないんだよね。機械を通して流れてくる自分の声が自分の声と思えないのも嫌なのよね。
若い女の子みたい黄色い声をあげられればいいんだけれど、生憎びっくりしたりするときは低い声になっちゃう上、どちらかというとネガティブつぶやきが多いので、必死に我慢する。
まぁ、こちらも撮影に集中すると、歓声上げるどころではないのだけど…。
▲7号10段3カ所からも「混ぜるな危険」連発である
時折2尺が上がる。プログラム的には4回あるが、例年どこかでダブルで上がるんだよね。こいつがまたはみ出る、はみ出る~。引き先が流れるとぶっつり切れる~。
まぁ、終始そんな状態なのが神明。
中には少し離れた山の上から撮る人もいるんだけど、花火は浴びてこそナンボの私には選択肢としてはないので、堂々とカメラから溢れさせておく。
▲特大スターマイン。小さく富士川町(スポンサー)の名前が仕掛で入るのが好き(コンポジ)
時折スポンサー名の文字仕掛けに火がかけられる。大きな花火の足元で小さく文字を描く火がかわいい。花火の最初しか上がっていないので、あとで好んで合成する。
昔は小千谷の花火でも文字仕掛けって結構あったんだけど、今はすっかりなくなってしまった。片貝は少しだけ残っている。全国的には文字仕掛けが残っているところが結構あるんだけど、ぜひ残していただきたい仕掛けだ。
▲競技花火より。一応煙火店ブラインドなんだけれど、隠す気が全くないこの花火w それにしても。音源トラブルはどうしたんだろう?
▲競技花火より。和火と言えば…
▲競技花火より。
途中、5社限定だが、スターマインの競技が行われる。一応、煙火店名は伏せてあるんだけれど、花火の名称からして隠す気がないのがおかしい。今年も上がる前から、どれがどの煙火店から丸わかりであった。
このスタマは音楽に合わせて上げられるのだが、2台目の花火の時にその音が途中で途切れた。うーん、誰かがコードに足を引っかけた?って感じ。
なんだか毎年小さなトラブルがあるような気がする。
▲花火シンフォニー。これって和火固定なの?
▲大玉連発スターマイン
メッセージ付き花火を境に後半戦に入る。
このメッセージ花火には毎年プロポーズ花火が含まれていて、結果も花火の間に発表される。よっぽど自信がないとできない花火だし、万が一断るほうもなかなかに勇気がいる。
ってか、本店やマルゴー玉でプロポーズされて何が不満なんじゃって、花火脳の私は思うけどね(笑)
今年も2組のプロポーズが行われ、うち一組の成功が花火の合間に報告された。
ん? もう一組のプロポーズは、ど、どうなったのぉ!!!!
▲特大スターマイン
▲テーマファイヤー この上が切れたのは痛恨
気が付けば最後から3番目のプログラムテーマファイヤーがスタート。
ここは1年おきに担当煙火店が入れ替わる。今年はグランドフィナーレがマルゴーで、その前のテーマファイヤーが本店となる。
だからこのテーマファイヤーは本店ファンにはたまらんのである。
▲テーマファイヤー
心の中で黄色い歓声をあげながら、カメラからフェイドアウトしながら花火が夜空に咲く。とっくにファインダーをのぞくことなんてしなくなっていて、ただ口を開けて上を見るばかり。
もうね、カメラの画角どころか、人の視界の限界も越えて、目の前の夜空全部がキャンバスとなる1枚の絵なのだよ。それも時間経過とともにクルクルと変わる美しい絵が次々と…。
終わる前から、「今年もここに来てよかったぁ」という幸せな気持ちが胸の内に広がる。
▲テーマファイヤー
▲テーマファイヤー
最後の二尺が花開いて、グランドフィナーレへ。
実は、一昨年のグランドフィナーレでは、真ん中近くのトラが抜けるというトラブルが発生していた。素晴らしい打上げだっただけにそこが残念だった。
それを一番に思っていたのは担当煙火店さんであって、今年はその雪辱の年となる
▲グランドフィナーレ
▲グランドフィナーレ
もうね、すごすぎて、全然撮れていないの、これが。笑っちゃうほどに。はみ出したレベルではない、まったく太刀打ちできない感じの花火で、あとで画像確認して討ち死にするほどに。ここまで行くとむしろ爽快である。
今度は私が雪辱を果たさねば…と思いつつ、きっと来年もこのがぶり付き席で返り討ちにされるんだろうなぁ。そんな自分を想像するのすら楽しい花火なのだ。
ん? なんだかただの被虐趣味?
ということで、来年も神明で会いやしょ。