北海道のCOOさんからコメント頂いて、はて、「月下獨酌」ってどんな詩だったんだっけ?。と思って久ぶりに本に目を通した。う~ん、忘れちゃうなー!。さてさて、どれ、また読み直してみるかあ。
こんな所に東屋建てて酒を酌み交わしたいもんだ。
「風橋夜泊」とか「元二の安西に使いするを送る」なんかの有名な詩は案外覚えていましたが、これはすっかり忘却の彼方だ。
で、読み直して見ることにした。李白は本来大酒飲みで、自分の事を謫仙人(天上界から罰を受けて落とされた仙人)と呼ぶくらいだから[お酒の話し]に入れようと思ったのだが、ここは格調高く漢詩の項にいれたぞ。青蓮居士とも言うんだよ。この詩は実は三篇あって、たいがいは第一首辺りが教科書に載ってるんだよね。で表記してみると、(出来るだけ旧字を探してみたが、IMEパッドに載っていないので勘弁ね。
[月下獨酌]盛唐 李白
[第一首] まったく関係ない挿絵だね。
花間一壺酒 (かかんいっこのさけ)
[はなに囲まれたなかに ひとつぼのさけ]
獨酌無相親 (ひとりくんで、あいしたしむなし)
[ひとり杯をくんでも相手がいないじゃないか。]
舉杯邀明月 (はいをかかげてめいげつをむかえ)
[独りではいをかかげて明月を迎えて]
對影成三人 (かげにたいして三人となる)
[明月と我と影とで三人になったじゃねーか]
酒を飲んでいてもこう考えると退屈しないね。心の持ちようで、味気ない世の中も途端に風流になるもんだ。この柔らかい心を何時までも持ち続けたいものである。
こんな東屋で月明かりの下、一杯飲めたらさぞかしいいだろうなあ!。まあ、燭はなきゃ駄目だろうけどね。
[第二首]
月既不解飲 (月はすでにいんをかいせず)
[月はもとより、酒は飲まないし]
影徒随我身 (かげはいたずらに我が身にしたがう)
[かげはただ、我が身についているばかりだ]
暫伴月将影 (しばらく月と影をともない)
[しばらく月と影を引き連れて]
行楽須及春 (行楽すべからく春に及ぶべし)
[春を逃さないで行楽しよう]
飲む相手を探してふと見上げると、月が出ているが、月は酒を飲まないしねー。酔っ払ってふと後ろを見ると影がついてくるぞ。こんなに気持ちいい春を逃す手はないね。
[第三首]
我歌月徘徊 (我歌えば月は徘徊し)
[我が歌えば月はいざよいし]
我舞影凌亂 (我舞えば影はりょうらんす)
[我舞えば影は乱れる]
醒時同交歡 (せいじおなじく交歓し)
[さめている時はともに交歓し]
醉後各分散 (すいごおのおのぶんさんし)
[酔った後はそれぞれ別れ去る]
永結無情遊 (永く無情の交わりを結ばんと)
[永く(感情のない者でも)月と友情を結ぼうと]
相期邈雲漢 (あいきすうんけいはるかなり)
[再会を約束しようぜ、天の川なんかでさ。]
酔っ払って歌なんか口ずさむと月がふらふらと徘徊しているようだし、ちょっと踊り出せば影はともに乱れる。酒が醒めている時はともに楽しみ、酔ったら、お互い干渉しないで、それぞれ分かれようぜ。それでまた天の川で会うのを約束しよう。雲漢とは天の川の事だ。また光輝く天の川で会うなんて、なんて粋なんだろう。