「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」 千葉市美術館

千葉市美術館
「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」
9/7~10/30



千葉市美術館で開催中の「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」を見てきました。


小川信治「絵画芸術ーミューズ」 2008年 個人蔵

上に1枚の絵画があります。一見するところフェルメールの「絵画芸術」です。画家がペンを取り、キャンバスに向き合っています。床は大理石。白と黒の市松模様です。天井から豪華なシャンデリアも吊り下がっています。裕福な家だったのでしょうか。ともかく描写は細かい。フェルメール中期の傑作として名高い作品でもあります。

しかし何かが欠けていることに気がつかないでしょうか。モデルがいません。「絵画芸術」には水色のドレスを着た女性が画家の向こうに立っていたはずでした。

小川信治は「西洋名画や観光名所などの見慣れたイメージを精緻に改変し、重層的な世界の可能性を提示する作品を制作」(展覧会サイトより引用)しています。


小川信治「絵画芸術ー画家」 2008年 個人蔵

つまり小川はフェルメールの傑作を同じ油絵の手法で精緻に写し描きつつ、そこからモデルを抜き去ったイメージを新たに提示しているわけです。ともすれば本物と見間違うほどに写実的です。さらに小川は同じく「絵画芸術」において、今度は画家を消したもう一つのバージョンの作品も描いています。(上図版参照)

チラシ表紙の「ウプサラ-クラクフ」はどうでしょうか。図版はおろか、実際の作品を前にしても写真にしか見えませんが、これも小川が描いたもの。何と鉛筆画です。古写真を鉛筆で丁寧に写し、風景を一部可変。ほぼ左右対称な鏡像世界を作り上げています。

「モアレの風景」も面白い。縦3枚に横3枚、計9点の連作です。モチーフはモン・サン=ミシェルです。サン・マロ湾に浮かぶ小島の修道院。世界遺産でも有名です。とは言え、小川は何もかの遺産をただ写したわけではありません。何と全てが虚構です。一部に本来のない建築物を交え、モン・サン=ミシェルのようでモン・サン=ミシェルではない風景を描いています。中には日本の建物も加えられているそうです。

千葉市美術館のコレクションを可変させた新作もありました。鈴木春信の「鞠と男女」です。蹴鞠を持っては塀から覗き込む女性。その視線の先にはおそらく鞠を中へ入れてしまった若い男の姿があります。恋の始まりでしょうか。どこか両者には恥じらいがあるのようにも見えます。

それを小川はどのように変化させたのでしょうか。2枚の分割です。1枚は女性のみ、もう1枚は男性のみ。先の「絵画芸術」と同じ展開です。同じ舞台から異なる2つの世界が立ちあがっています。

一つの風景が解体、そして循環していくのが「干渉世界」でした。作品は映像です。約10分。3面スクリーンに異なった人物や風景が映されています。それが時間とともに変化。さも紙芝居のように左右、ないし上下へと風景が移動します。さらに一部を剥ぎ取ることにより、同じ風景の中に違った要素も現れます。ひたすらに続く空想世界。それが最後の最後で一つのリアルな風景へと繋がりました。変わり続ける景色を前にしていると、一体、何がリアルで、何がフィクションなのか分からなくなってしまいます。


小川信治「アジェ・プロジェクト1」 2004年 国立国際美術館

小さな絵葉書の中の風景にも手を加えています。「Perfect World 絵葉書」です。たくさん並ぶ世界各国の絵葉書。中には観光地もあるのでしょう。ここで小川は画面の中にある一つの事物に注目。全く同じ姿をすぐ隣に描き加えています。とはいえ、そもそもが小さな絵葉書です。描きこみ自体が小さい。何が変わったのか俄かには分かりません。ひたすらに目を近づけてはようやく変化に気がつくほどでした。



小川が一昨年、ドイツで出会ったという書籍、「グランドツアー」を元にしたインスタレーションも展示。作品を前にしていると、いつしか見る側も世界を複数の視点で俯瞰しつつ、その諸相を行き来しては旅しているような気分にもさせられます。



なお「グランドツアー」のみ撮影が可能でした。但し三脚、フラッシュの使用、ないし動画の撮影は出来ません。ご注意下さい。



首都圏では初めての個展だそうです。まるで手品のように筆を操ってはパラレルな世界を生み出す小川信治の制作。その超絶技巧とも言うべき描写力と多様な視点に強く感心させられました。

階下の岡崎和郎展とあわせると質量ともに膨大です。時間に余裕を持ってお出かけ下さい。

[関連エントリ]
「岡崎和郎 Who's Whoー見立ての手法」 千葉市美術館

10月30日まで開催されています。これはおすすめします。

「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」 千葉市美術館@ccma_jp
会期:9月7日(水)~10月30日(日)
休館:9月26日(月)、10月3日(月)
時間:10:00~18:00。金・土曜日は20時まで開館。
料金:一般700(500)円、大学生500(350)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *同時開催の「岡崎和郎 Who's Whoー見立ての手法」 とのセット券もあり。(一般1000円、大学生700円)
 *前売券は千葉都市モノレール千葉みなと駅、千葉駅、都賀駅、千城台駅の窓口で会期末日まで販売。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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「岡崎和郎 Who's Whoー見立ての手法」 千葉市美術館

千葉市美術館
「岡崎和郎 Who's Whoー見立ての手法」 
9/7~10/30



千葉市美術館で開催中の「岡崎和郎 Who's Whoー見立ての手法」を見てきました。

古今東西、様々なアーティストの作品から着想を得てオブジェを制作している岡崎和郎(1930〜)。その「見立て」は機知に富んでいながらも、時にユーモラス、また意外性があるなど、一筋縄では捉えられません。


岡崎和郎「P.M.ボール」 2005年 個人蔵

例えばチラシ表紙のボールです。色は白と赤と黄色、それに青。さらに細く黒い線が網状に広がっています。バスケットボールにも見えなくはありません。一体、何の作品を元に作られたのでしょうか。

答えはモンドリアンのコンポジションです。言わずと知れた三原色のモンドリアンカラー。元々は平面の作品ですが、オブジェ、つまり球体へと変化させました。


岡崎和郎「窓」 1965年 個人蔵 東京国立近代美術館寄託

見立て、それは返歌とも呼べるかもしれません。「窓」はどうでしょうか。タイトルが示すように、形は窓そのものですが、素材はポリエステル樹脂で、本来の用途をなしません。元になるのがデュシャンの「フレッシュ・ウィドー」です。内側を型取りすることで、内外を反転させています。

北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」も引用しています。白い波飛沫を散らしながら荒れ狂う海原。彼方には富士山も望む光景を描いた傑作ですが、岡崎はあえて一部を黒く塗り潰してしまいました。黒い波です。これは東日本大地震の津波が黒かったという証言に基づいたものだそうです。確かに不穏な空気を感じてなりません。


岡崎和郎「チャーチル Vサイン」 1969年 個人蔵

何も美術ばかりを素材にしているわけではありません。歴史上の人物のジェスチャーまでを作品に取り込んでいます。チャーチルです。かのイギリスの元首相が戦勝記念日に国民へ向けてポーズしたというVサイン。それを岡崎はオブジェ化し、文字通り「チャーチル Vサイン」として完成させました。

モランディの静物も岡崎は立体化させました。「Natura Morta」です。画面を起こし、型を取ります。但し反転させることで中身、つまり瓶や卵の中が象られているのも面白いところです。

ジャコメッティが強烈です。かの細い人物の彫刻で知られた作家ですが、何と岡崎は小枝に見立てています。人はすぐ折れてしまう木の枝のように弱い。ひょっとするとそうした意味も込められているのかもしれません。

「HITOHA」には思わずにやりとさせられました。リトグラフの作品です。画面にはたくさんの葉のつけた茂みが写し出されています。一見、何ら変哲のない光景に思えるかもしれません。

HITOHAを漢字に起こしましょう。一葉です。つまり樋口一葉。駄洒落ならぬ語呂合わせです。ここで岡崎は一枚の葉だけハート形にくり抜いています。手法こそ至ってシンプルですが、発想はもはや奇想天外。まさかこのように見立てるとは思いませんでした。

「岡崎和郎 Who's Who/東京パブリッシングハウス」

岡崎はこうした見立ての手法による作品を1960年頃から作り続けているそうです。ほかヨーゼフ・ボイス、ジョン・ケージ、コーネル、ジャコメッティ、さらに河原温や宮本武蔵と幅広い。また岡崎の作品に元の作品が参照されているのもポイントです。一部はパネルですが、互いに見比べながら、時に頭を捻りつつ、楽しみました。

なお千葉市美術館では本展に加え「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」も同時に開催中です。8階が小川信治展、7階が岡崎和郎展です。

[関連エントリ]
「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」@千葉市美術館

それぞれ単独の回顧展ですが、共通の観覧券がお得です。ここはあわせて観覧されることをおすすめします。

美術館の公式Twitterアカウントが開設されました。(@ccma_jp)展覧会やグッズの情報などを発信していくそうです。

10月30日まで開催されています。

「岡崎和郎 Who's Whoー見立ての手法」 千葉市美術館@ccma_jp
会期:9月7日(水)~10月30日(日)
休館:9月26日(月)、10月3日(月)
時間:10:00~18:00。金・土曜日は20時まで開館。
料金:一般700(500)円、大学生500(350)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *同時開催の「小川信治ーあなた以外の世界のすべて」 とのセット券あり。(一般1000円、大学生700円)
 *前売券は千葉都市モノレール千葉みなと駅、千葉駅、都賀駅、千城台駅の窓口で会期末日まで販売。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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トークイベント「西洋美術 VS 日本美術 十番勝負」が開催されます

美術史家の山下裕二先生が今は亡き赤瀬川原平さんとタッグを組んで結成した日本美術応援団。雑誌の連載が始まったのは1996年のことです。その後、本も続々と出版。さらにエッセイストの南伸坊さん、俳優の井浦新さんが加わり、日本美術の普及のために活動してきました。

「日本美術応援団/赤瀬川原平 山下裕二/ちくま文庫」

以来、おおよそ20年。一方の西洋美術の側でも新たな取り組みが始まりました。その名も西洋美術応援団です。幹事役を務めるのが三菱一号館美術館の高橋明也館長。未だ準備段階だそうですが、そのキックオフとしてトークイベントが開催されることになりました。



イベントの名は「西洋美術 VS 日本美術 十番勝負」。登壇するのは高橋館長と山下先生。それにモデレーターとしてフクヘンこと鈴木芳雄さんが加わります。

西洋美術応援団発足記念トークイベント 『西洋美術 VS 日本美術 十番勝負』 開催概要]
日時:10月27日(木)19:00~
会場:京都造形芸術大学 東京・外苑キャンパス(東京都港区北青山1-7-15
交通:JR総武線信濃町駅より徒歩約5分。東京メトロ・都営地下鉄線青山一丁目駅より徒歩約10分。
スピーカー:西洋美術応援団幹事長・高橋明也(三菱一号館美術館館長)、日本美術応援団団長・山下裕二(日本美術史家)
モデレーター:鈴木芳雄(編集者・美術ジャーナリスト)
定員:120席(立見不可/事前チケット購入者に限る)
料金:1500円(税込)

日時は10月27日(木)の夜7時から。会場は京都造形芸術大学の東京・外苑キャンパスです。JR線の信濃町駅から南へ歩いて5分ほどの場所にあります。

料金は1500円。事前申込制です。定員の120名に達し次第、受付終了となります。

[チケットの購入方法]
9月30日(金)よりチケット販売サイト『PassMe!』にて販売開始します。
*『PassMe!』のご利用はPassMe! 無料会員への登録が必要となります。
*ご購入はクレジットカード決済、PayPalのみとなります。
*『PassMe!』はスマートフォン専用のチケットサービスですが、スマートフォンをお持ちでない方も購入が可能です。チケット購入希望の場合は、専用問い合わせ先までご連絡ください。

チケットの購入方法は上記の通りです。スマートフォンのチケット販売サイト「PassMe!」を利用する必要があります。ただし持っていない方でも購入が可能だそうです。その際は専用の問い合わせ先までご連絡下さい。

[お問い合わせ]
株式会社廣済堂 事業企画室 ミュージアムカフェ事務局
〒108-0014 東京都港区芝4-7-8 芝サンエスワカマツビル9階
event@museum-cafe.com



トークイベントのテーマは「西洋美術 VS 日本美術 十番勝負」。かつての東京国立博物館の対決展を彷彿させます。かの展示ではともに日本美術同士でしたが、今回は西洋と日本美術の対峙です。各々の美術、例えば若冲やフェルメール、ダ・ヴィンチに雪舟などの魅力を、10テーマの元に語っていきます。

美術館の舞台裏:魅せる展覧会を作るには/高橋明也/ちくま新書」

お話の尽きないお三方のことです。余所ではなかなか聞けないような、内容の濃いトークになること間違いありません。

チケットの購入開始日は今月末日、9月30日からです。高橋館長と山下先生というありそうでなかった組み合わせのトークイベントです。興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。

チケット販売サイト「PassMe!」(9/30より発売開始)

トークイベント「西洋美術 VS 日本美術 十番勝負」は、10月27日(木)の夜7時から、京都造形芸術大学の東京・外苑キャンパスで行われます。

[西洋美術応援団発足記念トークイベント 『西洋美術 VS 日本美術 十番勝負』]
日時:10月27日(木)19:00~
会場:京都造形芸術大学 東京・外苑キャンパス(東京都港区北青山1-7-15)
交通:JR総武線信濃町駅より徒歩約5分。東京メトロ・都営地下鉄線青山一丁目駅より徒歩約10分。
スピーカー:西洋美術応援団幹事長・高橋明也(三菱一号館美術館館長)、日本美術応援団団長・山下裕二(日本美術史家)
モデレーター:鈴木芳雄(編集者・美術ジャーナリスト)
定員:120席(立見不可/事前チケット購入者に限る)
料金:1500円(税込)
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「カリエール展」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
「没後110年 カリエール展」 
9/10~11/20



東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「没後110年 カリエール展」へ行ってきました。

今回の展示に協力し、カタログ・レゾネの編集も務める美術史家のヴェロニク・ノラ=ミランは、カリエールのひ孫にあたるそうです。

出品は90点弱。フランスの個人のコレクションが多数を占めています。日本初公開の作品も少なくありません。

1849年、パリ近郊に生まれたカリエール。一時はストラスブールに移るも、画家を志してパリに戻り、アレクサンドル・カバネルのもとで学びます。一時は普仏戦争にも従軍します。その後、1880年頃から、茶褐色、ないしセピア色の画面が支配する自らの様式を確立しました。


ウジェーヌ・カリエール「自画像」 1872年 個人蔵

若き画家を自ら描いた一枚です。「自画像」です。まだ23歳です。目鼻立ちはくっきりしていて凛々しい。淡々と前を見据えています。顔面は白く、まるで大理石像のようです。背後こそ僅かに茶色を帯びていますが、カリエールに独特な靄のような表現は見られません。


ウジェーヌ・カリエール「羊飼いと羊の群れ」 1877~80年頃 新潟市美術館

しかしその5〜8年後に描かれた「羊飼いと羊の群れ」はどうでしょうか。確かに羊と羊飼いの姿はありますが、全体は暗く、また朧げで、判然としません。早くもカリエールの様式の萌芽を見ることが出来ます。羊飼いのモチーフはミレー、夕暮れの光はターナーに影響されているそうです。実際にこの頃、カリエールはロンドンに半年ほど滞在していました。

1878年に妻とゾフィーと結婚。7人の子をもうけます。カリエールは身近な日常を舞台に、妻、そして子の姿を繰り返し描きました。母性はカリエールの画業の一つの大きなテーマでもあります。

チラシの表紙を飾る「手紙」もモデルはカリエールの子です。座って静かに手紙を読むのが長女のエリーズ。9歳です。そばに寄り添いながら、こちらを見やるのが、次女マルグリットだと言われています。5歳です。笑みを浮かべながら、あどけない表情をしています。


ウジェーヌ・カリエール「母性」 1892年頃 個人蔵

美しいのは「母性」でした。一人の母親が幼子を顔にすり寄せています。下方に僅かに腕が見えるものの、闇に捉えられたのは2人の顔と手しかありません。その点では際立っています。口付けの姿は劇的です。母の強い愛を思わせるものがあります。

1890年、カリエールは新しい「サロン・ナショナル」の設立に参画。翌年にはパリで初個展を開きます。この頃から身近な家族だけではなく、著名人の肖像や装飾画の仕事を手がけるようになりました。

カリエールと親しかったのがロダンです。もちろん肖像のモデルも努めます。2人の関係はかつて国立西洋美術館の「ロダンとカリエール」展でも紹介されたことがありました。


ウジェーヌ・カリエール「ポール・ガリマール夫人の肖像」 1889年 個人蔵

茶褐色の靄から時に驚くほど鮮やかに色彩が浮かび上がるのも興味深いところです。「ポール・ガリマール夫人の肖像」はどうでしょうか。背後は茶褐色というよりも、黒が強く、闇が深い。朧げな様はいつものカリエールです。とは言え、ここで何よりも際立つのが、夫人の顔と手、それにドレスでした。輝かしいほどに白い。またドレスにはピンクも混じり合っています。綿あめか雲のように軽やかな白。背後が暗ければ暗いほど、より鮮やかに浮かび上がってきます。

なおモデルの夫は絵画や希少本のコレクターでした。後に妻と息子でフランスを代表する出版社、ガリマール社を設立したことでも知られています。

1900年のパリ万博ではポスターを制作し、その後はサロン・ドートンヌの設立にメンバーに加わります。また市や区からの壁画の発注も受けました。


ウジェーヌ・カリエール「誕生のための習作 No.1」 1903〜05年頃 新潟市美術館

壁画に関しては習作が何点かやって来ています。うち一枚が「誕生のための習作」です。これはパリ12区の庁舎の部屋を飾るためのもの。4連作でしたが、カリエールの死によって未完に終わってしまいます。

1905年に2度目の癌手術を受けた後は、体調が回復せず、声も出なくなってしまったそうです。翌年に57歳で生涯を閉じました。


ウジェーヌ・カリエール「風景、樹木」 1898~1902年頃 個人蔵

小品や習作が多く、件の色調しかり、いささか地味な印象も否めませんが、カリエールの画業を時間軸で追うことが出来ます。そもそもこれほどのカリエール作品を前にしたのは初めてです。あまり見慣れない風景画も目を引きました。

「美術の窓2016年10月号/カリエール特集/生活の友社」

会場内、空いていました。じっくり観覧出来ます。



11月20日まで開催されています。

「没後110年 カリエール展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
会期:9月10日(土)~11月20日(日)
休館:月曜日。但し9月19日、10月10日は開館。翌火曜日も開館
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
 *毎週金曜日は20時まで開館。
料金:一般1300(1100)円、大学・高校生800(650)円、中学生以下無料。65歳以上1100円。
 *( )は20名以上の団体料金。
 *10月1日(土)はお客様感謝デーのため無料。
住所:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
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「Digital Provence by teamLab」 ロクシタン新宿店

ロクシタン新宿店ヴォヤージュ・アン・ プロヴァンス
「Digital Provence by teamLab」
9/16〜



ロクシタン新宿店にチームラボによる新たなデジタルシアターがオープンしました。

それが「Digital Provence by teamLab」です。名が示すようにプロヴァンスをイメージしています。

会場は店舗の4階です。スペースはさほど広くありません。時間で区切っての定員制です。ちょうど私の時は10名超の方が列を作っていました。一応、事前に整理券が必要ですが、飛び込みも問題ないようです。特に待つことなく、スムーズに入れました。



中に入ると壁一面にプロヴァンスを模した風景が投影されています。ラベンダー畑です。青空には白い雲も浮かんでいます。丘には大木がそびえ、彼方には山々も連なっています。ふと気がつけばひらひらと蝶が舞っていました。



中央に大きなテーブルがありました。ここからはインタラクティブの展開です。係の方が一人、誘導して下さいます。目の前にはロクシタンの製品の容器がありました。一つ手に取ってテーブルへと置いてみます。すると植物のモチーフが出現。テーブル上を左右へと広がっていきます。



この植物、いずれも製品の成分と連動しているのが面白いところです。例えばハンドケアの「ラベンダー」では、文字通りラベンダーの花が映し出されます。さらに「セドラ」ではレモンの元祖と呼ばれる果実が現れ、また「イモーテル」では黄色い花が映し出されます。つまり鑑賞者の選んだ製品によってテーブル上の景色は刻々と変化するわけです。



最後は全てシャッフル。色とりどりの花がテーブルいっぱいに広がりました。もちろん思い思いに写真を撮ることも可能です。



ちなみにプロヴァンスの景色は時間によって表情が変化します。朝は眩しい朝焼け、夕暮れ時には空が赤から群青に染まるそうです。

内装全体がチームラボのデジタルコンテンツと化しています。体験時間は10分弱。思いの外にシンプルな仕掛けです。作品展示というより、プロモーションの一環ではありますが、今後もこうした企画が増えていくのかもしれません。



「Digital Provence by teamLab」はロクシタン新宿店にオープンしました。

「Digital Provence by teamLab」 ロクシタン新宿店ヴォヤージュ・アン・ プロヴァンス
会期:2016年9月16日(金)〜
休館:月曜日。但し9月19日、10月10日は開館。翌火曜日も開館
時間:12:00〜21:00
 *入場は20:20まで。
 *店舗営業時間は11:00〜21:00。カフェは10:00〜23:00(LOは22:00)。
料金:無料
住所:新宿区新宿3-17-5 ロクシタン新宿店4階
交通:JR線新宿駅東口より徒歩3分。東京メトロ丸ノ内線新宿三丁目駅より徒歩3分。
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「平安の秘仏」 東京国立博物館

東京国立博物館・本館 特別5室
「平安の秘仏ー滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」
9/13~12/11 



東京国立博物館で開催中の「平安の秘仏ー滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」を見てきました。

滋賀県南部に位置し、南は京都、ないし三重とも面する甲賀市。その古刹、櫟野寺(らくやじ)には、平安時代に由来する仏像が20体もおさめられているそうです。

20体の揃い踏みです。まとめて寺外で公開されたのは初めて。いずれも重要文化財に指定された作品でもあります。


「十一面観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 滋賀・櫟野寺

会場中央、堂々たる姿で鎮座するのが本尊の「十一面観音菩薩坐像」でした。高さは3.12メートル。重文で坐像の十一面観音菩薩としては日本最大です。さらに台座に光背を含めると5メートルを超えます。さも泰然とした様で見下ろしています。第一印象はともかく大きい。一体どのように会場へ搬入したのかと思うほどでした。

頭と体はともに一本の木から彫られています。頭上には10面の顔も見えました。喜怒哀楽と言わんばかりの多様な表情です。しかも状態が良い。衣には彩色の跡も残されています。身体は黄金色で眩い。そもそも秘仏です。普段は閉ざされた扉の奥に安置されています。それを360度の方向から見ることが出来ました。

顔立ちは端正なものの、唇は厚く、顎のあたりがぷくりと膨れていました。腹回りは太く、肉付きは良い。指の動きはことのほかに艶やかです。軽く曲げては仏具を持っています。摘むと言っても良いのでしょうか。あまり力が入っているようには思えません。

「十一面観音菩薩坐像」を取り囲むのが櫟野寺に伝わるほかの仏像です。その数19体。本尊と同様にいずれも露出での展示でした。

櫟野寺の仏像は主に10世紀から11世紀前半と、11世紀後半から12世紀に造られたものの2つのグループに分かれるそうです。またなで肩で細身、目尻をやや吊り上げている仏像が多いのも特徴です。これらは甲賀様式と呼ばれています。


「観音菩薩立像」 平安時代・10~11世紀 滋賀・櫟野寺

その様式をよく伝えているのが「観音菩薩立像」ではないでしょうか。確かにかなり吊り目です。表情は険しい。またお腹の辺りはやや膨れていますが、全体的には細い身体つきです。衣文は優雅。洗練されていると言っても良いかもしれません。


「薬師如来坐像」 平安時代・12世紀 滋賀・櫟野寺

一方でさも笑みを浮かべているように見えるのが「薬師如来坐像」でした。本尊よりは小さいものの、像高は2.2メートルを立派です。表情は穏やか。顔はより丸みを帯びていて親しみやすい。都の大仏師、定朝の作風を模範としているそうです。


「毘沙門天立像」 平安時代・10~11世紀 滋賀・櫟野寺

「毘沙門天立像」が何やらコミカルでした。吊り目で険しい表情ながらも、宝塔を何やら訝しげに見据える姿は人間味すらあります。全体的に彫りが深く、構えはどっしりとしています。一木で造られたそうです。

会場は本館の特別5室。20体のみの展示です。点数こそ多くありませんが、「十一面観音菩薩坐像」をはじめとする甲賀の仏様は思いの外に表情が豊かで親しみやすい。お顔立ちを見比べるのも一興です。仏像の前を行きつ、戻りつつ、しばし時間を忘れて楽しみました。


「十一面観音菩薩立像」 唐時代・7世紀 奈良・多武峯伝来

なお本館の1階の仏像展示室にも十一面観音像が何体か展示されています。時代、様式は異なりますが、こちらもお見逃しなきようご注意下さい。



12月11日まで開催されています。

「平安の秘仏ー滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」 東京国立博物館・本館 特別5室(@TNM_PR
会期:9月13日(火)~12月11日(日)
時間:9:30~17:00
 *会期中の金曜日および、10月22日(土)、11月3日(木・祝)、11月5日(土)は20時まで開館。
 *9月の土・日・祝日は18時まで開館。
 *10月14日(金)、10月15日(土)は22時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館。翌9月20日(火)、10月11日(火)は休館。
料金:一般1000(900)円、大学生700(600)円、高校生400(300)円。中学生以下無料
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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「鈴木其一 江戸琳派の旗手」 サントリー美術館

サントリー美術館
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」
9/10~10/30



サントリー美術館で開催中の「鈴木其一 江戸琳派の旗手」を見てきました。

まさに琳派ファン待望です。鈴木其一の名のみを冠した展覧会がついに始まりました。

主役はもちろん其一。とはいえ、全てが其一作で占められているわけではありません。

はじまりは師の抱一です。傑作として名高い「白蓮図」に目を奪われました。上では白い花が咲き、下方に蕾を付けています。花は散り際です。蕾がこれから開こうとしています。生と死を対比させているのかもしれません。また花の白は透明感があり、蕾はうっすらと緑色を帯びています。気高い。慈愛も感じられます。花を描いた作品でこれほど品があるものを他に知りません。

其一の得意とした朝顔の先駆けと言えるのかもしれません。俵屋宗理の「朝顔図」です。宗理は江戸の絵師です。ひょっとすると其一も作品を見る機会があったのでしょうか。朝顔の蔓はやや屈曲しているようにも見えます。花の群青は深い。種まで描いています。

次いでは其一です。まずは抱一門下の時代。其一は18歳で抱一に入門します。下谷の雨華庵で学び、一番弟子として抱一の信頼を得ました。

「蓮に蛙図」が可愛らしい。抱一が花と蕾を上下に描いたのに対し、其一は花の下で浮かぶ葉に蛙をのせています。花弁は丸みを帯びていて、柔らかな線も描きこまれていました。蛙は一匹、ぺたりと葉にくっ付いています。たらし込みを利用した葉も瑞々しく表現されていました。


鈴木其一「群鶴図屏風」 江戸時代後期 ファインバーグ・コレクション 全期間展示

この時期で目立つのが「群鶴図屏風」です。光琳にも倣ったという屏風、鶴の姿勢はあちこちを向いて一定ではありません。背後は波模様です。何やら鶴の曲線と呼応しているようにも見えます。細部が思いの外に緻密でした。黒い羽は毛羽立っています。脚の突起物も一つずつ丁寧に描いています。


鈴木其一「蔬菜群虫図」 江戸時代後期 出光美術館 展示期間:10/5〜10/30

抱一が没したのは其一が33歳の時でした。雨華庵の継承者は抱一の養子の鶯蒲です。其一は彼を支えます。その後、次第に抱一の影響を脱し、多様な画風を展開するに至りました。

「萩月図襖」に魅せられました。4面の襖絵です。月明かりのもとで花を咲かせた萩が広がっています。花は紅白ですが、ピンク色に染まっています。白い花は光を受けているのかやや輝いていました。夜の闇を示すためでしょうか。襖面にうっすらと墨が引かれているようにも見えました。

琳派の先人たちの画を踏襲しつつ、アレンジとも言えるような変化を加えるのも其一の面白いところです。「三十六歌仙・檜図屏風」はどうでしょうか。両画題とも光琳に例がありますが、これを一つの作品に合わせてしまう発想自体が面白い。また歌仙らもまるで大和絵に出てくるように優美です。衣装も模様も細かに描いています。デザイン云々でも語られる其一ですが、円山四条派も巧みに摂取していたのかもしれません。

「木蓮小禽図」も見逃せません。たわわに咲く木蓮。紫というよりもワイン色をしています。軽妙な水墨の技法です。丸まっていて先端部がぼやけている葉もありました。どことなく幻影的です。そして小鳥が一匹。葉が保護色の役割をしているのか、俄かに姿を確認出来ません。本作は御舟の作品との類似も指摘されているそうです。確かに其一画は時に近代日本画を彷彿させる面があります。

其一関連の資料も充実しています。抱一編の「光琳百図」はおそらく初版の可能性が高いとされるものです。其一自身が復刻した同図も出ています。さらに其一が江戸から九州へ旅した旅行記の写しも面白い。書状もあります。書画の鑑定、ないし貸し借りや、好物の漬物などについてのやり取りが記されています。几帳面な性格だったそうです。知られざる其一の人となりも伺うことが出来ました。


鈴木其一「三十六歌仙図」 弘化2(1845)年 出光美術館 展示期間:9/10~10/3

能絵、仏画、描表装がそれぞれまとまって展示されています。能絵は大名や豪商による注文品、仏画は一門の中でもとりわけ華麗だったそうです。また其一といえば描表装です。絵が表装の部分にまで拡張し、表具を含めて一つの作品と化しています。元は仏画で用いられた技法です。それを其一は需要の高かった節句図をはじめ、草花図や物語絵などに応用しました。

其一は40歳代後半で家督を長男の守一に譲ります。ここから晩年にかけては円熟、ないし黄金期と言えるかもしれません。より旺盛に作品を制作していきます。


鈴木其一「藤花図」 江戸時代 19世紀 細見美術館 展示期間:9/10~10/3

「藤花図」が美しい。3本の花房が吊り下がっています。花弁の一枚一枚は付立てです。輪郭線はありません。水色と青、紫色を交えて変化をつけています。「向日葵図」も見事でした。まさに太陽の如く輝かしい大輪の向日葵。一つは正面を向いています。葉には墨が混じっているのでしょうか。たらし込みが施されています。葉脈の金線の描写も抜かりありません。

「花菖蒲に蛾」も洗練されています。高い写実性と呼んでも良いのでしょうか。花弁はまるで図鑑を見るかのようにリアル。斑紋や線が再現されています。飛んできたのは蝶ではなく蛾でした。青白い羽には透明感もありました。

ハイライトは言うまでもなく「朝顔図屏風」です。所蔵はメトロポリタン美術館。2004年のRIMPA展以来の里帰りです。国内ではおおよそ12年ぶりの展示が実現しました。


鈴木其一「朝顔図屏風」(左隻) 江戸時代後期 メトロポリタン美術館 全期間展示

一目見て大きい。美術館の展示ケースいっぱいに広がります。右も左も朝顔。それ以外はありません。渦を巻き、上下左右へと自在に広がります。奥行きもあります。そもそも地平はなく、一体どこで咲いているのかもわかりません。まるで朝顔同士が手をとって踊っているかのようでした。

花の向きは様々。ほぼ開いていますが、蕾もあります。花の群青と葉の緑青の対比が鮮やかです。色のパターンは限定的。ミニマルです。いかんせん光琳の「燕子花図屏風」を連想しました。かの名作に対する其一のオマージュとも言えるかもしれません。もちろん難しいことではありますが一度、両作を並べて見る機会があればと思いました。

最後に展示替えの情報です。会期は5期制。途中、大半の作品が入れ替わります。


鈴木其一「風神雷神図襖」(右隻) 江戸時代後期 東京富士美術館 展示期間:10/5〜10/30

リストによれば第1期、第3期、第5期を観覧すると、ほぼ全ての作品を見られるようです。なお目玉の「朝顔図屏風」は全期間での展示です。

「鈴木其一 江戸琳派の旗手」出品リスト(PDF)

会期2日目の日曜日に出かけましたが、場内は思いの外に賑わっていました。10月2日にはNHKの日曜美術館でも其一の特集があります。まずは早めに出かけた方が良さそうです。


鈴木其一「夏秋渓流図屏風」(右隻) 江戸時代後期 根津美術館 展示期間:10/5~10/30

カタログも充実しています。論文は4本、其一の人となりに関する興味深い内容もあります。さらに全点の図版と解説、年譜、及び落款についても言及がありました。価格は2800円。かなりの重量級ですが、ここは迷わず購入しました。

私が琳派を好きになった切っ掛けが2004年。かのRIMPA展で抱一の「夏秋草図屏風」と其一の「朝顔図屏風」を見たことでした。

以来、「夏秋草図屏風」こそ何年かに1度は見る機会があったものの、「朝顔図屏風」は長らく目にすることが叶いませんでした。久方の再会です。朝顔のダンスに心を躍らせながら、其一の幅広い画業に改めて強く感銘を受けました。*なお「夏秋草図屏風」は現在、東京国立博物館の総合文化展(本館8室)で公開中です。(10/30まで)

[鈴木其一 江戸琳派の旗手 巡回予定]
姫路市立美術館:2016年11月12日〜12月25日
細見美術館:2017年1月3日〜2月19日

其一展は3会場の巡回展です。ただしそれぞれ美術館で出品作品が一部異なります。また「朝顔図屏風」はサントリー美術館のみの展示です。ご注意下さい。



10月30日まで開催されています。もちろんおすすめします。

「鈴木其一 江戸琳派の旗手」 サントリー美術館@sun_SMA
会期:9月10日(土)~10月30日(日)
休館:火曜日。
時間:10:00~18:00
 *毎週金曜、土曜日は20時まで開館。
 *9月18日(日)、21日(水)、10月9日(日)は20時まで開館。
 *10月22日(土)は「六本木アートナイト」のため22時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
 *アクセスクーポン、及び携帯割(携帯/スマホサイトの割引券提示)あり。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分
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「トーマス・ルフ展」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
「トーマス・ルフ展」 
8/30~11/13



東京国立近代美術館で開催中の「トーマス・ルフ展」のプレスプレビューに参加してきました。

ドイツを代表する現代写真家のトーマス・ルフ(1958〜)。日本の美術館における初めての大規模な回顧展です。

作品は全18シリーズ。1980年代の初期作から初公開の新作までを網羅します。


トーマス・ルフ「Portraits (ポートレート)」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


冒頭はルフを半ば代表する「Portraits (ポートレート)」です。ただひたすらに前を向くモデルたち。正面性が強く、まるで証明写真のようです。いずれもルフの友人でした。そして何よりもサイズが大きい。高さは210センチです。つまり等身大よりも大きいポートレートです。さらに驚くべきは質感でした。画質は細かく、当然ながらブレがありません。元は24センチ×18センチのサイズでプリントされたそうです。それをルフは極限にまで引き延ばして提示しました。

ルフはデュッセルドルフの芸術アカデミーにてベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に写真を学びます。そしてドイツ国内の室内風景を捉えた「Interiors(室内)」や先の「Portraits(ポートレート)」などで注目を浴びました。ほかアンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらもベッヒャー派の写真家とされています。


トーマス・ルフ「Interiors(室内)」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


「Interiors(室内)」はアカデミー在学中の作品です。「Portraits(ポートレート)」とは異なり小さい。被写体はルフの友人や家族の部屋です。その点ではポートレート同様にルフの身近な存在を捉えています。部屋には一切の手を加えず、ただ有り体に写し出しました。部屋には人の気配が僅かに残っています。とはいえ静寂に包まれていました。部屋の主はいかなる人物なのでしょうか。その辺を空想して見るのも面白いかもしれません。


トーマス・ルフ「Houses(ハウス)」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


ルフの関心の対象は常に拡張します。今度は部屋を飛び出して建築です。「Houses(ハウス)」ではデュッセルドルフ周辺の建物を写しました。一部は「Portraits(ポートレート)」と同様に真正面から捉えています。ベッヒャー派の特徴の一つとして挙げられるのがタイポロジーです。タイポロジーとは「同じタイプの対象を一定の方法で収集し、その上に差異や共通性などを見出す手法」(*)のことです。そして「ハウス」においても建物の「光や距離感がほぼ一定」(*)に保たれています。 *解説より

ちなみに「Houses(ハウス)」、にわかには気がつきませんが、時に2枚のネガをつなげるなど、コンピューターによる加工がなされているそうです。実はルフ、相当数のシリーズにおいて写真を操作しています。さらに近年ではネット上からイメージを取り出して作品へと転化しています。どう写すのではなく、どう見せるのかを強く意識しているのもルフの特徴と言えるのかもしれません。


トーマス・ルフ「nudes(ヌード)」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


そのネット上の画像を使ったのが「nudes(ヌード)」です。ヌードとあるように裸の人物が写し出されています。ただし画面は不明瞭。これもルフの画像処理のゆえのことです。色調も変え、細部も削除し、ヌードの構図、ないし身体の輪郭のみが認識できる程度にまで落とし込んでいます。ヌード自身も不特定です。モデルの名はおろか、そもそも誰が撮影したものかすら分かりません。


トーマス・ルフ「jpeg」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


ルフの加工の一つの極致とも呼べるのが「jpeg」です。よく知られるようにjpegとはデジタル画像の圧縮方式。9.11のテロの光景が写されていますが、これもルフ自身の撮影ではなく、ウェブサイトよりダウンロードしたものです。圧縮率を高め、画素を下げることで、jpegの格子状のパターンが浮かび上がっています。近づけば近づくほどイメージは崩れ、幾何学パターンにしか見えません。一方で少し離れると風景が立ちあがってきます。まるで絵画のようでした。


トーマス・ルフ「Substrate(基層)」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


もはや原型すら止めていないのが「Substrate(基層)」でした。赤や青、それに黄色の色が水面をたゆたうように広がっています。何やらネオンサインのようにも見えます。元はネット上の日本の漫画やアニメの画像です。そこにひたすら加工を繰り返します。イメージは全て解体され、色と光にのみ還元されました。

はるか彼方、天体や宇宙もルフの興味の対象です。そもそもルフは少年時代から宇宙に対してシンパシーを感じていました。幼き頃はカメラより望遠鏡を先に手に入れたそうです。


トーマス・ルフ「cassini(カッシーニ)」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


「cassini(カッシーニ)」はどうでしょうか。いうまでもなく宇宙探査船のカッシーニです。1997年に打ち上げられ、2004年に土星の軌道に到着。衛星や輪の画像を地球に送り続けました。ルフはその際に公開された画像を入手。これもネットから落としたものです。色彩に手を加えることにより、星はより美しく輝いているようにも見えます。土星の輪の断面はまるで何らかのデザインのようでした。


トーマス・ルフ「press++」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


昨年の最新作、「press++」は世界初公開です。素材は古色を帯びた報道写真のアーカイブです。これまたルフが入手。画像面と裏面を同時にスキャンし、一枚の画面に統合しました。文字や数字は本来は裏面にあったものです。画像に関する情報が写真画面上に現れています。


トーマス・ルフ「zycles」 東京国立近代美術館
©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016


ほか、マン・レイらが開発したフォトグラムの技法を用いた「photograms(フォトグラム)」や、カンヴァス上にイメージを出力した「zycles」も面白い。ルフといえばとかく特大のポートレートの印象があるやもしれませんが、まさかこれほど多様に制作を続けているとは思いませんでした。

[トーマス・ルフ展 巡回予定]
石川:金沢21世紀美術館 2016年12月10日(土)~2017年3月12日(日)



全ての作品の撮影が可能です。作家、作品、並びに展覧会、美術館名の情報をそれぞれ掲載すると、ネット上でも私的に利用が出来ます。


プレビュー時のトーマス・ルフ

11月3日まで開催されています。

「トーマス・ルフ展」 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:8月30日(火)~11月13日(日)
休館:月曜日。但し7/18は開館。翌7/19は休館。
時間:10:00~17:00
 *毎週金曜日は20時まで。
 *入館は閉館30分前まで
料金:一般1600(1300)円、大学生1200(900)円、高校生800(500)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *当日に限り「MOMATコレクション」、「奈良美智がえらぶ MOMAT コレクション:近代風景 ~人と景色、そのまにまに~」も観覧可。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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「塩田千春 鍵のかかった部屋」 KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場
「塩田千春 鍵のかかった部屋」 
9/14~10/10



KAAT神奈川芸術劇場で開催中の「塩田千春 鍵のかかった部屋」を見てきました。

2015年のヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館に出品した塩田千春。その凱旋展と言えるかもしれません。ヴェネチアでの「掌の鍵」を再構成したインスタレーションを披露しています。

会場は劇場内のスタジオです。フロアは1つのみ。インスタレーション以外の作品はありません。タイトルは「鍵のかかった部屋」でした。



重いドアを押して進むとそこは赤の世界。無数の赤い糸が蜘蛛の巣のように広がっています。先には古びた白い扉が開け放たれていました。中央は糸に囲まれた空洞です。もちろん中に入ることも可能です。扉は5つあります。ドイツから持ち込まれました。



上を見上げればともかく赤に赤。雨が降っているようにも思えなくはありません。赤い糸は網のように四方八方へ触手を伸ばします。何やら包まれているというよりも、体に編み込まれてくるかのような不思議な感覚にとらわれました。

糸はヴェネチアでの作品をそのまま転用しています。全部で3000ロール。膨大な量です。ピンと張っています。一つ切ってしまえば全てが崩れてしまうかのようでした。



さらに奥へと進みました。するとたくさんの鍵が吊るされています。その数15000個。世界中の人々から提供されたものだそうです。いずれも古色を帯びていました。



「糸は人間の記憶を結ぶシナプスのようだ。」と解説の一節にありました。鍵も同様に人や場所の記憶を刻み込んでいることでしょう。糸の紡ぎ出す繭の中を縫って歩きながら、各々の宿していた記憶や世界を空想しました。

なおスタジオとあるように、会場は通常、演劇やダンスの公演などに使われるスペースです。



よって塩田のインスタレーションを舞台にしたダンスや音楽のイベントも用意されています。別途料金がかかりますが、そちらに参加するのも面白いかもしれません。

10月10日まで開催されています。

「塩田千春 鍵のかかった部屋」 KAAT神奈川芸術劇場@kaatjp
会期:9月14日(水)~10月10日(月)  
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00 
料金:一般900円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
 *10名以上の団体は100円引き無料。
住所:横浜市中区山下町281
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約5分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。
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東京・天王洲に「TERRADA Art Complex」がオープンしました

東京臨海部、東品川一帯の天王洲。そこに4つのギャラリーを集積したアートスポットが新たに誕生しました。


「TERRADA Art Complex」ビル外観

「TERRADA Art Complex」です。ギャラリーを誘致したのは寺田倉庫。建築模型専門ミュージアムの建築倉庫を開設したことでも知られています。全5階建のビルです。ほか美術品輸送会社やアトリエスペースも入居しました。


「TERRADA Art Complex」入り口

場所は新東海橋交差点の近く。海岸通り沿いです。ギャラリーはビルの3階でした。専用の入り口はありません。ビル共用のエレベーターに乗って3階へと進みました。


「TERRADA Art Complex」3階スペース

3階フロアでは4つのギャラリーが通路を挟んで並んでいます。


URANO 「viewing space vol.001 岩崎貴宏」 展示風景

向かって正面がURANOです。白金から移転、2つのスペースを運営しています。viewing space vol.001では岩崎貴宏の展示が行われていました。既存の布や雑巾を解いた糸などを用いて、建築物やランドスケープを製作する作家です。最近では日産アートアワード2015にも出品。2017年にイタリアで開催される第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館出品作家にも選定されました。


URANO 「淺井裕介 胞子と水脈」 展示風景

URANOのメインスペースでは淺井裕介の個展が開催中です。巨大な泥絵が目の前に立ちはだかります。白金の旧スペースに比べ天井が高い(約5メートル)ため、大型の作品も展示が出来るようになりました。


児玉画廊|天王洲「ignore your perspective 35 外見の違うハードコア」 展示風景

同じく白金から移転してきたのが山本現代と児玉画廊です。山本現代は旧スペースを閉鎖しての全面移転。一方で児玉画廊は白金のスペースを残しつつ、ここ天王洲にもギャラリーを開設しました。


ユカ・ツルノ・ギャラリー 「ホセ・パルラ Small Golden Suns」 展示風景

東雲のTOLOTから移ってきたのがユカ・ツルノ・ギャラリーです。オープニングを飾るのはマイアミ生まれのペインター、ホセ・パルラの個展です。鮮やかな色彩が目に眩しい。同ギャラリーとしては2回目の個展だそうです。

[ERRADA Art Complex オープニング展示]

児玉画廊|天王洲「ignore your perspective 35 外見の違うハードコア」
9月10日(土)〜10月22日(土)
http://www.kodamagallery.com/

URANO「淺井裕介 胞子と水脈」
9月10日(土)〜10月15日(土)
http://www.urano.tokyo/

山本現代「Welcome to the AWESOME MANSION」
9月10日(土)〜10月15日(土)
http://www.yamamotogendai.org/

ユカ・ツルノ・ギャラリー「ホセ・パルラ Small Golden Suns」
9月10日(土)〜12月3日(土)
http://yukatsuruno.com/

最寄り駅はりんかい線の天王洲アイル駅。ちょうど建築倉庫のある寺田倉庫本社ビルを抜け、新東海橋の交差点を左折した先の右側に位置します。歩いて10分弱ほどです。


「TERRADA Art Complex」 山本現代

京急線の新馬場駅も同様に徒歩圏内です。山手通りを下って同じく10分弱ほど。信号待ちなどを考慮すると天王洲アイル駅からのルートより早く辿り着くかもしれません。

私はこの日、原美術館から歩きました。御殿山から北品川を抜け、旧東海道を南に進み、山手通りから海岸通りへと下るルートです。ゆっくり歩いて20分強。思いの外に近く感じました。



「建築倉庫ミュージアム」 寺田倉庫(はろるど)

建築倉庫やTERRADA Art Complexしかり、天王洲アイル周辺はこのところかなり変貌しつつあります。界隈の散策を兼ねて出かけるのも面白そうです。

「天王洲アイルで過ごすアートな1日。品川駅から巡るおすすめコースを紹介!」(Tokyo Art Beat)

ほぼ目の前にバス停、天王洲橋があります。ここから品93系統を利用し、品川駅高輪口へ出ることも出来ます。本数も豊富です。帰りはそちらを利用するのも良いかもしれません。


「TERRADA Art Complex」エレベーター

なおエレベーターがかつての清澄のギャラリーコンプレックスと同じ仕様です。降りた後、閉ボタンを押さないと、扉が開きっ放しになり、エレベーターが動きません。降りた際は外部の閉ボタンを押し忘れなきようご注意ください。

TERRADA Art Complexは2016年9月10日にオープンしました。

「TERRADA Art Complex」 
所在地:〒140-0002 品川区東品川1-33-10 *ギャラリースペースは3階
交通:東京臨海高速鉄道りんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩約10分。京急線新馬場駅北口より徒歩約10分。
概要:寺田倉庫(本社:東京都品川区、代表取締役 中野善壽)は、アート事業の一環として2016年9月10日、東京・天王洲に「TERRADA Art Complex」をオープンいたします。これに伴い、ギャラリースペースには児玉画廊、URANO、 山本現代、ユカ・ツルノ・ギャラリーの入居が決定いたしました。*リリースより(PDF
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「グレース・ケリー展」 松屋銀座本店

松屋銀座本店8階イベントスクエア
「グレース・ケリー展 モナコ公妃が魅せる永遠のエレガンス」 
9/8~9/26



松屋銀座本店8階イベントスクエアで開催中の「グレース・ケリー展 モナコ公妃が魅せる永遠のエレガンス」を見てきました。

ハリウッドスターからモナコ公妃となったグレース・ケリー。結婚生活は必ずしも順風満帆ではなかったとされるものの、いつしか彼女の人柄、ないし王妃としての活動が、モナコ国民の心を大きく捉えました。

意外にも日本とモナコが直接的に外交関係を結んだのは2006年のことです。つまり今年で友好10周年です。場内にはグレースの愛用品がずらりと揃います。特にドレスが充実していました。

1929年にフィラデルフィアに生まれたグレースは、女優を志してニューヨークへと移ります。同地の俳優学校へ入学。22歳で銀幕デビューを果たします。かのヒッチコックお気に入りの一人でもあったそうです。25歳の時、映画「喝采」でアカデミー女優賞を受賞。早くも頂点を極めました。

その時のオスカー像が出ていました。金色に輝く小像です。私も映像では見たことがありますが、実物を前にしたのは初めてでした。ほか彼女が表紙を飾ったライフやタイム誌と続きます。いずれも微笑みを浮かべています。もちろん気品があって美しい。やや強い視線も印象的です。その美貌は「クール・ビューティー」とも讃えられました。



ハイライトはグレース着用のドレスです。バレンシアガ、シャネル、ディオールなどの有名メゾンのものばかり。モナコ宮殿により複製されたウェディングドレスも空間を彩ります。スタイルは全てが流行に乗っていたわけではないようです。華やかでありながらも、時に慎ましくシンプルなドレスも少なくありませんでした。



次いで充実しているのは装身具です。バックやジュエリーなどが多数。214個ものダイヤモンドの輝くティアラは世界初公開です。さらにエルメスの通称、ケリーバックも並んでいます。何でも長女の妊娠をメディアに悟られないよう、カメラを向けられた時、このバックでお腹を隠したことから名付けられたそうです。



グレース自身が趣味で制作した押し花もあります。ほか緑化運動やチャリティー活動にも言及。王妃基金やバレエ団を設立しては、モナコの文化の発展にも力を注ぎました。



死は突然でした。1982年、自らが運転していた車で事故を起こして亡くなってしまいます。まだ53歳でした。モナコは大きな悲しみに包まれたことでしょう。亡くなった翌月には、生前のグレースが依頼し、結果的に見ることの叶わなかったバラ、「プリンセス・ド・モナコ」が献呈されました。

日本文化にも関心を寄せていたようです。モナコに日本庭園を造ることを希望。後に夫であるレーニエ3世によって整備されました。ひょっとすると彼女のバラも花を咲かせているのかもしれません。

グレース・ケリー、一昨年には映画化されたそうです。既にデジタル配信、ないしBlu-rayやDVDでも発売されています。そちらも当たってみようと思いました。



「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」公式サイト

出品は全170点。美しきコレクションからグレースの生涯の一端を辿ることが出来ました。

「グレース・ケリー モナコ公妃のファッションブック/青幻舎」

9月28日まで開催されています。

「日本モナコ友好10周年記念 グレース・ケリー展 モナコ公妃が魅せる永遠のエレガンス」 松屋銀座本店8階イベントスクエア
会期:9月8日(木)~9月26日(月)
休館:会期中無休
時間:10:00~20:00
料金:一般1000円、大学・高校生700円、中学生500円、小学生300円。
住所:中央区銀座3-6-1 8階イベントスクエア
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅A12番出口直結。都営地下鉄浅草線東銀座駅A8番出口より徒歩3分。JR線有楽町駅より徒歩8分。
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「驚きの明治工藝」 東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館
「驚きの明治工藝」
9/7~10/30



東京藝術大学大学美術館で開催中の「驚きの明治工藝」の特別内覧会に参加してきました。

江戸後期から明治にかけての日本の工芸品に魅せられた一人の人物が台湾にいました。名は宋培安。本業は漢方の薬剤師です。宋は約3000点もの工芸品を収集。台湾における最も大規模なコレクションを有するに至りました。

その工芸品が里帰りしてきました。総数は約130点。漆工、金工、陶磁、七宝、染織のほか、自在置物など、幅広いジャンルの作品を網羅しています。


宗義「自在龍」 明治〜昭和時代

それこそ驚くべき工芸品が冒頭から目に飛び込んできました。「自在龍」です。長さは何と3メートル。宙に浮いています。口を開いては手を広げ、さも勇ましい姿です。長い角も生やしています。素材は鉄です。自在とあるだけに、間接の部分を動かすことが出来るのでしょう。ちなみに浮いているのは、宋の自宅のリビングでも実際に吊るしているからだそうです。さぞかし壮観な光景となるに違いありません。


宗義「自在蛇」 明治〜昭和時代

ちなみに自在置物の数はおおよそ20点。鷹に蛇、鯉や海老に蟹から、蜉蝣や蜘蛛までと多様です。いずれも精巧に作られた作品ばかりでした。


「自在蛇」映像

うち一点、「自在蛇」に関しては、実際に動かす様子を捉えた映像もあります。トグロを巻いた蛇が長く伸びてはうねる姿はまるで生きているかのようです。うろこも大変に細かい。いかんせん動かせる作品だけに、手に触れたくなってしまいますが、ここは映像が参考になりました。


自在置物の各パーツ

置物のパーツが展示されているのも面白いところです。龍の頭、鯉の胴体、鳥の脛の部分が出ています。蛇や龍などは鱗を刻んだ円筒を作り、大きさを変えては連結。鋲留めして完成させるそうです。自在置物は明治時代、主に輸出を目的として作られたため、国内にはまとまって残っていません。私自身、今回ほどのスケールで自在置物を見たのも初めてでした。

さてタイトルの「驚き」。その対象を挙げるとすれば、一に超絶技巧、二に高い写実性にあるのではないでしょうか。


涛川惣助「月に梅図盆」 明治時代

技巧、例えば七宝です。七宝とは「金属の素地にガラス質の釉薬をかけ、高温の熱で焼き付ける装飾技法」(キャプションより)を意味しますが、その技術は明治に入り進化。新たな釉薬の発明もあったようです。より緻密な表現を伴う作品が次々と生み出されます。


「月下港辺図壁掛」 明治時代

天鵞絨友禅も同様です。遠目ではほぼタブローにしか見えませんが、名が示すように素材は友禅。つまり染め物です。パイルの部分を切り残しては立体感を追求し、絵画性を高めていきます。近づいて見ても図像はぼやけません。まるで写真を見るかのようでした。


宮本理三郎「柄杓蛙」 昭和時代

一方での写実性はどうでしょうか。宮本理三郎の「柄杓蛙」です。一つの木製の柄杓、よく見ると一匹の蛙がのっています。これを木工で表現しているから凄まじい。本物と見間違えてしまいます。


竹江「蝉」 明治時代

一匹の蝉にも目が留まりました。やはり精巧。これぞ写実の極致と言わんばかりの作品ですが、キャプションを見てさらに驚きました。何と体は木の彩色、脚は銀、羽は水牛の角を使用しているのです。何故にこれほど様々な素材を用いて作ったのでしょうか。


橋本市蔵の「竹塗煙管筒」 江戸〜明治時代

素材といえば橋本市蔵の「竹塗煙管筒」にも注目です。何気ない煙管。節の存在しかり、竹で出来ているようにしか見えませんが、これもまた意外な素材で作られています。ここはあえて伏せます。会場で是非確かめて見てください。


山田宗美「兎」 明治時代

山田宗美は鉄を打ち出しては動物を象っています。何でも山田は造形のために準備を惜しまず、動物園に通っては観察したり、自邸の庭で様々な動物を飼っていたそうです。兎やライオンはむしろ可愛らしい。写実は幾分控え目でもあります。


虎爪「蒔絵螺鈿芝山花瓶」 明治時代

ほか蒔絵にも華麗な作品が少なくありません。一人のコレクターの審美眼を通して辿る明治工藝の数々。驚きはもちろん、技法にも発見の多い展覧会でした。


「驚きの明治工藝」会場風景

場内はごく一部の作品を除き、撮影が可能です。(フラッシュ、三脚不可。)また通常、美術館内は携帯の電波が届きませんが、今回は特別にWi-Fi環境を整備。無料で接続することも出来ます。


「驚きの明治工藝」会場風景

ハッシュタグは「#驚き明治」です。TwitterなどのSNSでシェアするのも楽しそうです。

10月30日まで開催されています。

「驚きの明治工藝」@odorokimeiji) 東京藝術大学大学美術館
会期:9月7日(水)~10月30日(日)
休館:月曜日。但し7月18日は開館。7月19日は休館。
時間:10:00~17:00 
 *10月21日(金)、22日(土)は20時まで臨時夜間開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1100)円、高校・大学生800(600)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
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「そばにいる工芸」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「そばにいる工芸」 
9/6〜10/25



資生堂ギャラリーで開催中の「そばにいる工芸」を見てきました。

日々の暮らしの中で使われる工芸品。生活の基盤となる衣食住のうち、食と住に関する工芸品を紹介しています。

出展は6名。プロデュースは森岡督行です。「一冊の本を売る書店」こと森岡書店の代表でも知られています。



益子で陶芸を営むのは吉村和美です。丸鉢に茶碗にスープ皿。形は至ってシンプルです。芥子色や草色をした色彩も美しい。質感はマットです。モダンでありながらも、どことなく和を連想させるものがあります。



同じく食器を木工で手がけるのが川端健夫です。元々は家具を制作。2006年頃からお皿などの小さな道具を作りはじめました。材質は様々です。ナラやクルミなどが用いられています。皿の丸みが絶妙です。さぞや手に馴染むのではないでしょうか。



仄かな白い光を放っていました。金工の鎌田奈穂です。器は銀やアルミ製。薄手の茶筒や薬缶のほか、ミルク入れやスプーンなどを制作しています。唯一、金工ではない、一枚の皿に目が留まりました。陶製です。キャプションによれば中国の宋の時代のもの。ひょっとすると金工を作るのに際し、インスピレーションを受けた作品なのかもしれません。



ぶら下がるランプ。なんとシェードが陶器でした。飛松弘隆です。自らの飛松陶器で作品を発表。投光性を調整した陶土によるランプシェードを作っています。光は幾分と柔らかです。温かみがありました。



ピーター・アイビーのガラス器に魅せられました。アメリカのアラバマの出身です。2002年に富山へ移住し、アトリエを構えます。チオころせましと並ぶのがワイングラスやピッチャーです。いずれもうっすらと緑がかっています。底部は時に山型に突起しています。フォルムに僅かな揺らぎがあるのも印象的でした。



会場中央のテーブル上の工芸品は手に取ることも可能です。見て、触れて楽しめました。



10月25日まで開催されています。

「そばにいる工芸」 資生堂ギャラリー
会期:9月6日(火)〜10月25日(火)
休廊:毎週月曜日
料金:無料
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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「ガレとドーム展」 日本橋高島屋

日本橋高島屋8階ホール
「ガレとドーム展 美しき至高のガラスたち」
8/31〜9/12



日本橋高島屋で開催されていた「ガレとドーム展」を見てきました。

フランスを代表するアール・ヌーヴォーの工芸家、エミール・ガレ。色に眩しく、形に華やかなガラス器が一堂に会しました。


エミール・ガレ「ドラジュワール」 1880年頃

冒頭は「ドラジュワール」。お菓子を入れる器です。糖衣菓子ことドラジュは主に婚礼や出産などの慶事で配られます。ガラス面を覆う蔦の紋様は繊細です。赤い装飾もちりばめられていました。


エミール・ガレ「海の神々文花器」 1884年頃

「海の神々文花器」も美しい。比較的シンプルな器です。一部は緑色を帯びています。女神でしょうか。波間で身をくねらせては手を振り上げています。

ガレはヨーロッパの伝統的な表現に立脚しながら、東洋などの異国趣味も積極的に取り入れました。うち特に知られるのがジャポニスムです。初期では日本の版画の図柄などを直接転用。その後は日本と西洋の美術の融合を目指し、独自の形態を生み出していきました。


エミール・ガレ「飛蝗文双耳花器」 1870〜1880年代

「飛蝗文双耳花器」はどうでしょうか。花器の前面にいるのがバッタです。かなり大きい。まるで実際に飛び移っているかのようです。取手の部分は蛇と化しています。緑や赤の装飾も美しい。七宝を模しています。

ジャポニスム自体はパリ万博以来のムーブメントでしたが、ガレは当時、ガラス工場を経営していたナンシーへやってきた日本人の画家を通し、日本美術に強い親しみを寄せていたそうです。また特に蜉蝣が日本を象徴するモチーフとして受け止められていました。もちろんガレの花器にも蜉蝣が数多く登場します。文学にも造詣の深かったガレのことです。寿命の短い蜉蝣に儚さをも見出し、作品に落とし込んでいたのかもしれません。

中盤以降はドーム兄弟の作品が続きます。その数は30点です。ガレは70点。全体で100点超の展示です。デパートが会場とはいえ、思いの外にボリュームがあります。しかも国内の個人のコレクターの作品ばかりです。初公開のものも少なくありません。

「もっと知りたいエミール・ガレ/鈴木潔/東京美術」

構成はほぼ時系列です。ガレの初期作からジャポニスム、さらに晩期を経て、ドーム兄弟へと至ります。さらにガレ没後、工房作についての言及もあります。ガレの作風の変遷も辿ることができました。

[ガレとドーム展 巡回予定]
横浜高島屋:2016年9月14日(水)〜26日(月)
京都高島屋:2017年1月6日(金)〜16日(月)

既に日本橋での展示は終了しましたが、首都圏近郊で見るチャンスはまだあります。巡回です。9月14日より横浜高島屋でも開催されます。見逃した方は横浜へ出かけるのも良いのではないでしょうか。

「ガレとドーム展 美しき至高のガラスたち」 日本橋高島屋8階ホール
会期:8月31日(水)〜9月12日(月)
休館:会期中無休。
時間:10:30~19:30 
 *入場は閉場の30分前まで。最終日は18時閉場。
料金:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋8階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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「宇宙と芸術展」 森美術館

森美術館
「宇宙と芸術展」
2016/7/30~2017/1/9



森美術館で開催中の「宇宙と芸術展」を見てきました。

狭義的には高度100キロ以上の空間を指す宇宙。それは空間や時間や全ての物質などを含む存在であり、時に人々の信仰の対象でもありました。

そうした宇宙を芸術の観点から捉えようとする試みです。とは言え、アプローチは多角的。そもそも芸術自体も多様です。歴史や天文学、さらに宇宙開発資料などを交え、人類の見た宇宙の諸相を紹介しています。

それにしても一見、親和性が薄いようにも思える宇宙と芸術です。そもそも何が出ているかと思いきや、冒頭は曼荼羅でした。しかもこれが充実。鎌倉や室町や南北朝期の「両界曼荼羅」や「星曼荼羅」などが一定数まとめて出ています。

気がつけば竹取物語も舞台の一部は宇宙です。竹の中に生まれながら、最後は月の都へと帰るかぐや姫。10世紀後半に成立したとも言われています。江戸時代前期の「竹取物語絵巻」が展示されていました。

ほか「天球儀」や「天球図」も面白い。江戸時代は学問の進展もあったのでしょう。国友藤兵衛重恭による「月面観測図」などの興味深い資料も出ていました。

一部作品の撮影が可能でした。


岡吉国宗「流星刀」 1898年 東京農業大学図書館

一振りの刀に目が留まりました。「流星刀」です。時は明治31年。富山に落ちたという隕石を素材に作られました。刀身はやや青みを帯びています。妖しい光が放たれていました。


歌川芳虎「西郷星の珍説」 1877年 千葉市立郷土博物館

星の中に何やら人物の影が見えます。歌川芳虎の「西郷星の珍説」です。西郷とは西郷隆盛。人影も彼を表したものです。もちろん実際に西郷隆盛が星と化すわけはありません。何でも人々は隆盛の死に際し、ちょうど大接近していた火星に隆盛が見えたと噂し、星を西郷星と名付けたのだそうです。一騒動あったに相違ありません。

西洋の天文学資料もあります。反射望遠鏡や天球図、それに日時計です。コペルニクスの「天球の回転について」の初版本や、天文学の父とされるガリレオ・ガリレイの手稿なども目を引きます。全体を通して博物資料が意外と多いのも特徴と言えるかもしれません。

中盤は一転して現代美術でした。アンドレアス・グルスキー、森万里子、トレヴァー・パグレン、ヴォルフガング・ティルマンスらといった、第一線で活動するアーティストの作品が展示されています。


ビョーン・ダーレム「ブラックホール(M-領域)」 2016年

ビョーン・ダーレムがスケールの大きいインスタレーションを展開していました。名は「ブラックホール(M-領域)」。テーマは銀河と多元宇宙です。9つのサークルが渦を巻きながらも複雑に交錯しています。壮大です。一方で素材は極めて簡素。木や蛍光灯、それに電球といった身近な日用品ばかりでした。その辺のギャップも面白いところかもしれません。


コンラッド・ショウクロス「タイムピース」 2013年

コンラッド・ショウクロスの「タイムピース」は時間をテーマとしています。直接のモチーフは日時計です。写真では分かりにくいかもしれませんが、終始回転しています。やや激しい。動きはあまり予測出来ません。


ヴォルフガング・ティルマンス「ガイド星、ESO」 2012年 ほか

ティルマンスは8枚の写真を組み合わせた作品を出品。もちろん宇宙がテーマです。写真には天体望遠鏡から見た星などが捉えられています。うち「ガイド星、ESO」が異色でした。写されたのはモニターの画面。オレンジ色の光がモザイク状に広がっています。実はこれが星です。チリの天文台の捉えた深宇宙の画像とのことでした。


セミコンダクター「ブリリアント・ノイズ」 2006年 作家蔵

太陽のエネルギーが波打っています。セミコンダクターの「ブリリアント・ノイズ」です。3面スクリーンによる映像作品、太陽活動の記録です。核融合のエネルギーが放出される様子を見ることが出来ます。凄まじい。ノイズ音が響いています。太陽光の強度を表しているそうです。


「火星隕石(ナクライト)Y000593, 11」 ほか 国立極地研究所

惑星、ひいては宇宙の生成を知るための貴重な資料がありました。隕石です。所有は国立極地研究所。おおよそ17000点もの隕石標本が保管されています。月や火星からやって来た隕石も少なくありません。


ローラン・グラッソ「縄文時代の司祭」 2015年
 
宇宙の生命に関する作品も興味深い。ローラン・グラッソやパトリシア・ピッチニーニらは、異星人、ないし未知の生命体をテーマとした作品を制作しています。

ラストは宇宙探索ないし旅行、人類の未来を見据えた展示でした。


「アポロ11号任務記録(月着陸交信記録) アメリカ航空宇宙局」 1969年 金沢工業大学ライブラリーセンター

「アポロ11号任務記録」は人類初の月面着陸を成功させたアポロ11号の交信記録です。月着陸船イーグル号と管制センターとのやり取りを記録。交信直後に記者団に配布されました。


トム・サックス「ザ・クローラー」 2003年

スペースシャトルのモデルを制作したのはトム・サックスです。一際大きい。発射場でしょうか。配管や設備なども細かに再現されています。元はチャレンジャー号です。かの悲しい爆発事故を起こしました。サックスは事故で亡くなった宇宙飛行士の夢を叶えるべく、本作品を作ったのだそうです。


チームラボ「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていくーLight in Space 2016」 作家蔵

お馴染みのチームラボが迫力のあるデジタル・インスタレーションを展開しています。「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space」です。さながら星の瞬く宇宙空間を舞うのは八咫烏。縦横無尽です。大変なスピードで四方八方に駆け巡っています。鑑賞者に当たると花と化して砕けました。音楽も軽快でテンポが良い。独特の浮遊感があるのも特徴です。さも無重力空間へ投げ出されたかのような錯覚にさえ陥ります。


サーチ/クラウズ・アオ「マーズ・アイス・ハウス」 2015年 作家蔵

未来といえば「マーズ・アイス・ハウス」も興味深いのではないでしょうか。マーズとあるように舞台は火星。何でも2030年以降に実現を目指す有人探査のコンペで優勝したプロジェクト案だそうです。火星の住居、4名の宇宙飛行士が居住可能です。果たして人類は火星に何時、到達するのでしょうか。

出展数は約200点と膨大です。内容もともかく多岐に渡ります。時間に余裕を持ってお出かけください。

ロングランの展覧会です。2017年1月9日まで開催されています。

「宇宙と芸術展」 森美術館@mori_art_museum
会期:7月30日(土)~2017年1月9日(月・祝)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *但し火曜日は17時で閉館。
 *「六本木アートナイト2016」開催につき、10月21日(金)は翌朝1:00まで、10月22日(土)は翌朝6:00まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600円、大学・高校生1100円、中学生以下(4歳まで)600円。
 *東京シティビュー(展望台)、屋上スカイデッキ、森アーツセンターギャラリーへは別途料金が必要。
場所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。


注)写真はいずれも「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。
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