都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ジョセフ・クーデルカ展」 東京国立近代美術館
東京国立近代美術館
「ジョセフ・クーデルカ展」
2013/11/6~2014/1/13
東京国立近代美術館で開催中の「ジョセフ・クーデルカ展」を見てきました。
1938年にチェコスロヴァキアで生まれ、1968年に起こった「プラハ侵攻」を撮影したことでも知られるジョセフ・クーデルカ。侵攻事件後はイギリスへと移住。以降もヨーロッパを渡り歩きながら多様な写真家活動を行っている。
一昨年には恵比寿の写真美術館でプラハの連作を紹介する展示がありましたが、少なくとも国内において初期作から近作までを一同に展観したことはありませんでした。
アジア初の大規模な回顧展です。クーデルカの全貌を紹介します。
[展覧会構成]
1.初期作品 Beginnings 1958-1961
2.実験 Experiments 1962-1964
3.劇場 Theater 1962-1970
4.ジプシーズ Gypsies 1962-1970
5.侵攻 Invasion 1968
6.エグザイルズ Exiles 1970-1994
7.カオス Chaos 1986-2012
まず冒頭は1961年のデビュー時から。プラハの劇場のロビーで行われた個展です。モチーフは風景や人物と様々ですが、ブレにボケも多用し、時にシュールな作風も展開。また引きのある大胆な構図感などは近作の「カオス」に通じるものもあります。
「実験 Experiments」1962-1964
また同じく60年代に演劇誌の表紙を飾った一連のシリーズが目も引きます。ここではモチーフを大胆にクローズアップし、ハイコントラストの中に落とし込む。舞台で踊るダンサーの目まぐるしい動きも画面に捉えます。クーデルカのこの後の作風からすると異色ですが、彼がこうした実験的な作品を手がけていたとは知りませんでした。
さてクーデルカの真骨頂とは。それは「ジプシーズ」ではないでしょうか。彼が最初に大きなテーマをもって取り組んだ連作群。チェコの各地を廻りながらジプシー、つまりロマの人々の生活を写した作品。これが非常に魅力的なのです。
「ジプシーズ Gypsies」1962-1970
まさに老若男女。被写体は多様です。団らんなのか、おそらくは家族が集う姿。また子どもたちが遊び、ピストルを構えている。一転してこちらをじっと見やる人々のポートレートも。強い意思を持った眼差しです。さらに古びたベットに机に椅子の置かれた無人の空間。まるで静物画のようでもあります。あくまでもクーデルカはドキュメンタリー的にロマの人々を見つめていますが、作品としてはどこか絵画的であったり、またドラマのワンシーンを見ているような印象も与えます。強度のある写真。ビジュアルとして目に焼き付きました。
そして「侵攻」です。言うまでもなく1968年、ワルシャワ条約機構軍がプラハに軍事介入をした時の光景を捉えたもの。翌年にクーデルカが匿名で西側に発表しました。
「侵攻 Invasion」1968
ソビエト軍の戦車に立ち向かう人々。あらぶる兵士に銃口を向けられる男たち。濛々と立ちこめる粉塵。焼けこげた家の前で唖然として立ち尽くす老人。歴史の証言。暴力と理不尽。もう言葉になりません。なお出品は10点ほどです。あくまでも今回は回顧展ということでプラハの占める割合は多くありませんが、さすがに見入るものがありました。
さてクーデルカはこの侵攻後、1970年にチェコスロヴァキアを出国。イギリスへと渡り、言わば亡命生活を送ります。
その亡命者としての彼の視点を伝えるのが「エグザイルズ」です。イギリスやフランスなどのヨーロッパ各地を旅して歩きながら写した作品群。これが何とも言えない深い味わいがあります。
「エグザイルズ Exiles」1970-1994
さながらトマソンの如く佇むベンチや街角のゴミを写していく。また死者や傷を負った人を捉えた作品も目立ちます。人の痛みに対する共感があるのでしょうか。それでいて景色は不思議と殺伐としている。今度はロマの立場に立ったクーデルカ。見知らぬ土地に立った時の孤独感や寂寥感がひしひしと感じられます。
「カオス Chaos」1986-2012
ラストは大きく変容しての「カオス」。パノラマフォーマットのカメラを利用しての大規模な作品です。写されるのは遺跡や海岸線のテトラポットなどのランドスケープ。また祭壇画ともベーコンのトリプティックを連想するような作品も。巨大な人工物と大自然とがせめぎ合い、風景は時に抽象化されていきます。半ば神の視点。スケール感を揺さぶるグルスキー的な展開も見られました。
「Chaos/ Josef Koudelka/Phaidon Press」
それにしても大仰とも言える「カオス」。率直なところ共感出来なかったのも事実です。しかしながら人間から景観へ。地球的規模を捉えようとするクーデルカの関心。舞台、演劇からプラハでの事件、そして流浪を超えて得たものの行方、また現在。近作とはいえ「カオス」は20年以上に渡って撮られ続けられています。その中での変化も一つのキーワードになるかもしれません。
会場の構成がやや変わっていました。基本的には時系列での展示ですが、特に後半は順路がやや錯綜し、異なったシリーズが相対する壁に並んでいることもあります。なお設営に関してはクーデルカ自身の意図だということでした。
ミヒャエル・シュミット「休戦」より 1985-87年
なお本展にあわせて開催中の所蔵作品展(第11~12室)も充実しています。クーデルカと同年生まれという森山大道の初期作「にっぽん劇場」全100点が、何と18年ぶりに一括で公開中。またその他にもグルスキー、シュトゥルート、シュミットにティルマンスらといった海外の写真家も。中でもベルリンの壁のイメージを取り込んだシュミットの「休戦」に惹かれました。こちらもお見逃しなきようご注意下さい。
図録がリーズナブルです。当然ながら図版の質感はオリジナルに及びませんが、クーデルカに関するテキストを日本語で読むことが出来ます。
2014年1月13日まで開催されています。まずはおすすめします。
「ジョセフ・クーデルカ展」 東京国立近代美術館(@MOMAT60th)
会期:2013年11月6日(水)~2014年1月13日(月)
休館:月曜日。但し12/23、1/13は開館。12/24は休館。年末年始(12/28~1/1)。
時間:10:00~17:00(毎週金曜日は20時まで)*入館は閉館30分前まで
料金:一般850(600)円、大学生450(250)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*割引引換券あり
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
「ジョセフ・クーデルカ展」
2013/11/6~2014/1/13
東京国立近代美術館で開催中の「ジョセフ・クーデルカ展」を見てきました。
1938年にチェコスロヴァキアで生まれ、1968年に起こった「プラハ侵攻」を撮影したことでも知られるジョセフ・クーデルカ。侵攻事件後はイギリスへと移住。以降もヨーロッパを渡り歩きながら多様な写真家活動を行っている。
一昨年には恵比寿の写真美術館でプラハの連作を紹介する展示がありましたが、少なくとも国内において初期作から近作までを一同に展観したことはありませんでした。
アジア初の大規模な回顧展です。クーデルカの全貌を紹介します。
[展覧会構成]
1.初期作品 Beginnings 1958-1961
2.実験 Experiments 1962-1964
3.劇場 Theater 1962-1970
4.ジプシーズ Gypsies 1962-1970
5.侵攻 Invasion 1968
6.エグザイルズ Exiles 1970-1994
7.カオス Chaos 1986-2012
まず冒頭は1961年のデビュー時から。プラハの劇場のロビーで行われた個展です。モチーフは風景や人物と様々ですが、ブレにボケも多用し、時にシュールな作風も展開。また引きのある大胆な構図感などは近作の「カオス」に通じるものもあります。
「実験 Experiments」1962-1964
また同じく60年代に演劇誌の表紙を飾った一連のシリーズが目も引きます。ここではモチーフを大胆にクローズアップし、ハイコントラストの中に落とし込む。舞台で踊るダンサーの目まぐるしい動きも画面に捉えます。クーデルカのこの後の作風からすると異色ですが、彼がこうした実験的な作品を手がけていたとは知りませんでした。
さてクーデルカの真骨頂とは。それは「ジプシーズ」ではないでしょうか。彼が最初に大きなテーマをもって取り組んだ連作群。チェコの各地を廻りながらジプシー、つまりロマの人々の生活を写した作品。これが非常に魅力的なのです。
「ジプシーズ Gypsies」1962-1970
まさに老若男女。被写体は多様です。団らんなのか、おそらくは家族が集う姿。また子どもたちが遊び、ピストルを構えている。一転してこちらをじっと見やる人々のポートレートも。強い意思を持った眼差しです。さらに古びたベットに机に椅子の置かれた無人の空間。まるで静物画のようでもあります。あくまでもクーデルカはドキュメンタリー的にロマの人々を見つめていますが、作品としてはどこか絵画的であったり、またドラマのワンシーンを見ているような印象も与えます。強度のある写真。ビジュアルとして目に焼き付きました。
そして「侵攻」です。言うまでもなく1968年、ワルシャワ条約機構軍がプラハに軍事介入をした時の光景を捉えたもの。翌年にクーデルカが匿名で西側に発表しました。
「侵攻 Invasion」1968
ソビエト軍の戦車に立ち向かう人々。あらぶる兵士に銃口を向けられる男たち。濛々と立ちこめる粉塵。焼けこげた家の前で唖然として立ち尽くす老人。歴史の証言。暴力と理不尽。もう言葉になりません。なお出品は10点ほどです。あくまでも今回は回顧展ということでプラハの占める割合は多くありませんが、さすがに見入るものがありました。
さてクーデルカはこの侵攻後、1970年にチェコスロヴァキアを出国。イギリスへと渡り、言わば亡命生活を送ります。
その亡命者としての彼の視点を伝えるのが「エグザイルズ」です。イギリスやフランスなどのヨーロッパ各地を旅して歩きながら写した作品群。これが何とも言えない深い味わいがあります。
「エグザイルズ Exiles」1970-1994
さながらトマソンの如く佇むベンチや街角のゴミを写していく。また死者や傷を負った人を捉えた作品も目立ちます。人の痛みに対する共感があるのでしょうか。それでいて景色は不思議と殺伐としている。今度はロマの立場に立ったクーデルカ。見知らぬ土地に立った時の孤独感や寂寥感がひしひしと感じられます。
「カオス Chaos」1986-2012
ラストは大きく変容しての「カオス」。パノラマフォーマットのカメラを利用しての大規模な作品です。写されるのは遺跡や海岸線のテトラポットなどのランドスケープ。また祭壇画ともベーコンのトリプティックを連想するような作品も。巨大な人工物と大自然とがせめぎ合い、風景は時に抽象化されていきます。半ば神の視点。スケール感を揺さぶるグルスキー的な展開も見られました。
「Chaos/ Josef Koudelka/Phaidon Press」
それにしても大仰とも言える「カオス」。率直なところ共感出来なかったのも事実です。しかしながら人間から景観へ。地球的規模を捉えようとするクーデルカの関心。舞台、演劇からプラハでの事件、そして流浪を超えて得たものの行方、また現在。近作とはいえ「カオス」は20年以上に渡って撮られ続けられています。その中での変化も一つのキーワードになるかもしれません。
会場の構成がやや変わっていました。基本的には時系列での展示ですが、特に後半は順路がやや錯綜し、異なったシリーズが相対する壁に並んでいることもあります。なお設営に関してはクーデルカ自身の意図だということでした。
ミヒャエル・シュミット「休戦」より 1985-87年
なお本展にあわせて開催中の所蔵作品展(第11~12室)も充実しています。クーデルカと同年生まれという森山大道の初期作「にっぽん劇場」全100点が、何と18年ぶりに一括で公開中。またその他にもグルスキー、シュトゥルート、シュミットにティルマンスらといった海外の写真家も。中でもベルリンの壁のイメージを取り込んだシュミットの「休戦」に惹かれました。こちらもお見逃しなきようご注意下さい。
図録がリーズナブルです。当然ながら図版の質感はオリジナルに及びませんが、クーデルカに関するテキストを日本語で読むことが出来ます。
2014年1月13日まで開催されています。まずはおすすめします。
「ジョセフ・クーデルカ展」 東京国立近代美術館(@MOMAT60th)
会期:2013年11月6日(水)~2014年1月13日(月)
休館:月曜日。但し12/23、1/13は開館。12/24は休館。年末年始(12/28~1/1)。
時間:10:00~17:00(毎週金曜日は20時まで)*入館は閉館30分前まで
料金:一般850(600)円、大学生450(250)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*割引引換券あり
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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「宮山香里 空へ降りる方法」 BASE GALLERY
BASE GALLERY
「宮山香里 空へ降りる方法 il modo di scendere al cielo」
11/15-12/21
BASE GALLERYで開催中の宮山香里個展、「空へ降りる方法 il modo di scendere al cielo」を見てきました。
偶然手にした一枚の本展のDM。その淡い色遣いと朧げなモチーフ。何か惹かれるものを感じてギャラリーへ足を運ぶ。すると開けていたのは何だったのか。
揺らぎの中で吹くそよ風と美しき自然。靡く秋草に大樹、そして浮かぶ雲。静謐でかつ心の落ち着く空間。思いの外に魅力的な展示がありました。
作家の宮山は1975年に東京で生まれ、1998年に慶応義塾大学文学部を卒業。その後ミラノのブレラ国立美術アカデミーで絵画を学び、現在もミラノに在住。主にイタリアにて制作を続けています。
さて作品とは。先に触れた揺らぎや狭間。表現としては基本的に平面です。しかしながら例えば木のフレームに布、オーガンジーを張り、上下で様々なモチーフを展開しながら、何らかの心象風景を描きだしていく。琳派や山水画的なイメージも。時間の流れは緩やかです。
基本となるのは木版です。その上にさらに半透明の布を被せる。上下でのズレにブレ。それがまた風景に揺らぎをもたらす。面白いのは木版と布の間の隙間に糸を編み込み、言わば刺繍的な表現を見せているところ。作品自体は実にシンプルです。また淡い水色やグレーも繊細な質感を引き出しています。
フレームを窓枠、また描かれたモチーフを景色とすれば、ちょうど室内から窓越しに戸外の自然を見ているような感覚も与えられるのではないでしょうか。
そういえば壁面には椅子を象ったレリーフ状の作品も。何やら室内空間を連想させます。
「童話物語〈上〉大きなお話の始まり/向山貴彦(著)、宮山香里(イラスト)/幻冬舎文庫」
海外での活動の多い宮山。ベイスギャラリーでの個展は初めて。また日本での展示もかなり久しぶりだそうです。
12月21日まで開催されています。
「宮山香里 空へ降りる方法 il modo di scendere al cielo」 BASE GALLERY
会期:11月15日(金)~12月21日(土)
休廊:日・祝日。
時間:11:00~19:00
住所:中央区日本橋茅場町1-1-6
交通:東京メトロ東西線・日比谷線茅場町駅7番出口より徒歩1分。東京メトロ東西線・銀座線・都営浅草線日本橋駅より徒歩8分。
「宮山香里 空へ降りる方法 il modo di scendere al cielo」
11/15-12/21
BASE GALLERYで開催中の宮山香里個展、「空へ降りる方法 il modo di scendere al cielo」を見てきました。
偶然手にした一枚の本展のDM。その淡い色遣いと朧げなモチーフ。何か惹かれるものを感じてギャラリーへ足を運ぶ。すると開けていたのは何だったのか。
揺らぎの中で吹くそよ風と美しき自然。靡く秋草に大樹、そして浮かぶ雲。静謐でかつ心の落ち着く空間。思いの外に魅力的な展示がありました。
作家の宮山は1975年に東京で生まれ、1998年に慶応義塾大学文学部を卒業。その後ミラノのブレラ国立美術アカデミーで絵画を学び、現在もミラノに在住。主にイタリアにて制作を続けています。
さて作品とは。先に触れた揺らぎや狭間。表現としては基本的に平面です。しかしながら例えば木のフレームに布、オーガンジーを張り、上下で様々なモチーフを展開しながら、何らかの心象風景を描きだしていく。琳派や山水画的なイメージも。時間の流れは緩やかです。
基本となるのは木版です。その上にさらに半透明の布を被せる。上下でのズレにブレ。それがまた風景に揺らぎをもたらす。面白いのは木版と布の間の隙間に糸を編み込み、言わば刺繍的な表現を見せているところ。作品自体は実にシンプルです。また淡い水色やグレーも繊細な質感を引き出しています。
フレームを窓枠、また描かれたモチーフを景色とすれば、ちょうど室内から窓越しに戸外の自然を見ているような感覚も与えられるのではないでしょうか。
そういえば壁面には椅子を象ったレリーフ状の作品も。何やら室内空間を連想させます。
「童話物語〈上〉大きなお話の始まり/向山貴彦(著)、宮山香里(イラスト)/幻冬舎文庫」
海外での活動の多い宮山。ベイスギャラリーでの個展は初めて。また日本での展示もかなり久しぶりだそうです。
12月21日まで開催されています。
「宮山香里 空へ降りる方法 il modo di scendere al cielo」 BASE GALLERY
会期:11月15日(金)~12月21日(土)
休廊:日・祝日。
時間:11:00~19:00
住所:中央区日本橋茅場町1-1-6
交通:東京メトロ東西線・日比谷線茅場町駅7番出口より徒歩1分。東京メトロ東西線・銀座線・都営浅草線日本橋駅より徒歩8分。
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「生成のヴィジュアル」 TSCA柏
TSCA柏
「生成のヴィジュアルー触発のつらなり」
10/19-12/1
TSCA柏で開催中の「生成のヴィジュアルー触発のつらなり」展を見てきました。
千葉県は柏駅より南へ向かうこと約10分。郊外ならではの広々としたスペースを展開する「TSCA柏」こと「タクロウソメヤコンテンポラリーアート柏」。
そこで今、TSCA柏としては数年ぶりとなるグループ展が開催されています。
[出展作家]
淺井裕介
大山エンリコイサム
村山悟郎
出展は3名。いずれも「描く」という技法をとりながらも、コンセプトにモチーフ、そして表現において異なった志向をとる作家です。まさに三者三様。それぞれに対峙し、またせめぎあう瞬間。スリリングな展示が繰り広げられていました。
さてタイトルならぬいずれも圧倒的なヴィジュアルをとる作品。その迫力は私の拙い写真では殆ど伝わりませんが、少し展示の様子をご紹介したいと思います。
まずは淺井裕介。土や粉の他、泥や白線などを素材に壁画的なドローイングを展開するアーティスト。関東では昨年のあざみ野コンテンポラリーにも出展がありました。
その際は主にカッティングの展示でしたが、今回は言わば泥絵です。泥も駆使して描かれたのは壁面を縦横無尽に闊歩する不思議な生き物たち。曲線と円形を多用したモチーフはリズムも刻む。可愛らしくも生き生きとした画面。1階から2階部分までイメージが行き渡ります。
それにしても縦横何メートルあるのでしょうか。私自身、淺井のこれほど大きな壁画を見たのが初めて。打ちのめされました。
そして振り返ってみれば大山エンリコイサム。グラフィカルなペインティングです。見ていると今にもモチーフが飛び出してぶつかるような錯覚も。一目で焼き付くような激しいイメージ。さながら巨大な磁石同士がガツンガツンと音を立てて結合しているかのようです。
一方で村山はどうでしょうか。上にあげた写真は刺繍的な作品ですが、一階スペースではペインティングも。これが麻紐の作品と同様、一定の法則に基づいて作られているのです。どことなく軽やかな浮遊感。淺井と大山とは一線を画します。
さてTSCAは2フロア。1階の吹き抜けに続き、2階部分でもご覧の通りに展示が。こちらも見応えがあります。
全てを埋め尽くさんとばかりに生成し増殖、そして反復するモチーフ。いまだかつてないほどに濃密なTSCAの空間がありました。
それにしても三者の表現、確かに「描いている」のかもしれませんが、当然ながらその一言で括ることが出来ないのも重要なところ。例えば淺井は泥を盛るように塗る。また村山は支持体そのものを編み込む。そして大山こそ「平面」ながらも、モチーフはさながら巨大なブロックが複雑に組み合わされたような重厚感がある。平面、描く。しかしながら内実は驚くほどに多様です。
最後にアクセスの情報です。はじめにも触れましたが、JR常磐線の柏駅南口から徒歩で10分程。駅から旧水戸街道に出て南下、しばらく歩くと右手に見えるローソンの前を左折して入った右側。倉庫のような茶色の建物です。周囲は完全な住宅地。土地勘がないと辿り着けないかもしれません。地図アプリなどを参照されることをおすすめします。
ちなみに同じく常磐線沿いの松戸に大山エンリコイサムの作品があるのをご存知でしょうか。その名は「MADウォール」。松戸駅西口の陸橋の道路壁に描かれたパブリックアートです。
「MADウォール」 松戸駅西口6号バイパス(岩瀬立体)側壁
何度か拝見しましたが、かなりの迫力。常磐線の快速に乗れば柏と松戸は1駅。10分です。こちらとあわせて見ても良いかもしれません。
出展作家の村山悟郎(@goromurayama)さんがツイッターで展示の情報などを逐次つぶやいておられます。要チェックです。
会期も残り僅かになりました。本日より最終日の日曜まで無休です。
12月1日まで開催されています。
「生成のヴィジュアルー触発のつらなり」 タクロウソメヤコンテンポラリーアート(TSCA)柏(@TSCATokyo)
会期:10月19日(土)~12月1日(日)
休廊:月、火、水曜日。*開廊日は木~日曜、及び祝日。
時間:11:00~18:00
住所:千葉県柏市若葉町3-3
交通:JR常磐線、東武野田線柏駅南口より徒歩約10分。
*写真は全て「生成のヴィジュアル」展会場風景。
「生成のヴィジュアルー触発のつらなり」
10/19-12/1
TSCA柏で開催中の「生成のヴィジュアルー触発のつらなり」展を見てきました。
千葉県は柏駅より南へ向かうこと約10分。郊外ならではの広々としたスペースを展開する「TSCA柏」こと「タクロウソメヤコンテンポラリーアート柏」。
そこで今、TSCA柏としては数年ぶりとなるグループ展が開催されています。
[出展作家]
淺井裕介
大山エンリコイサム
村山悟郎
出展は3名。いずれも「描く」という技法をとりながらも、コンセプトにモチーフ、そして表現において異なった志向をとる作家です。まさに三者三様。それぞれに対峙し、またせめぎあう瞬間。スリリングな展示が繰り広げられていました。
さてタイトルならぬいずれも圧倒的なヴィジュアルをとる作品。その迫力は私の拙い写真では殆ど伝わりませんが、少し展示の様子をご紹介したいと思います。
まずは淺井裕介。土や粉の他、泥や白線などを素材に壁画的なドローイングを展開するアーティスト。関東では昨年のあざみ野コンテンポラリーにも出展がありました。
その際は主にカッティングの展示でしたが、今回は言わば泥絵です。泥も駆使して描かれたのは壁面を縦横無尽に闊歩する不思議な生き物たち。曲線と円形を多用したモチーフはリズムも刻む。可愛らしくも生き生きとした画面。1階から2階部分までイメージが行き渡ります。
それにしても縦横何メートルあるのでしょうか。私自身、淺井のこれほど大きな壁画を見たのが初めて。打ちのめされました。
そして振り返ってみれば大山エンリコイサム。グラフィカルなペインティングです。見ていると今にもモチーフが飛び出してぶつかるような錯覚も。一目で焼き付くような激しいイメージ。さながら巨大な磁石同士がガツンガツンと音を立てて結合しているかのようです。
一方で村山はどうでしょうか。上にあげた写真は刺繍的な作品ですが、一階スペースではペインティングも。これが麻紐の作品と同様、一定の法則に基づいて作られているのです。どことなく軽やかな浮遊感。淺井と大山とは一線を画します。
さてTSCAは2フロア。1階の吹き抜けに続き、2階部分でもご覧の通りに展示が。こちらも見応えがあります。
全てを埋め尽くさんとばかりに生成し増殖、そして反復するモチーフ。いまだかつてないほどに濃密なTSCAの空間がありました。
それにしても三者の表現、確かに「描いている」のかもしれませんが、当然ながらその一言で括ることが出来ないのも重要なところ。例えば淺井は泥を盛るように塗る。また村山は支持体そのものを編み込む。そして大山こそ「平面」ながらも、モチーフはさながら巨大なブロックが複雑に組み合わされたような重厚感がある。平面、描く。しかしながら内実は驚くほどに多様です。
最後にアクセスの情報です。はじめにも触れましたが、JR常磐線の柏駅南口から徒歩で10分程。駅から旧水戸街道に出て南下、しばらく歩くと右手に見えるローソンの前を左折して入った右側。倉庫のような茶色の建物です。周囲は完全な住宅地。土地勘がないと辿り着けないかもしれません。地図アプリなどを参照されることをおすすめします。
ちなみに同じく常磐線沿いの松戸に大山エンリコイサムの作品があるのをご存知でしょうか。その名は「MADウォール」。松戸駅西口の陸橋の道路壁に描かれたパブリックアートです。
「MADウォール」 松戸駅西口6号バイパス(岩瀬立体)側壁
何度か拝見しましたが、かなりの迫力。常磐線の快速に乗れば柏と松戸は1駅。10分です。こちらとあわせて見ても良いかもしれません。
出展作家の村山悟郎(@goromurayama)さんがツイッターで展示の情報などを逐次つぶやいておられます。要チェックです。
会期も残り僅かになりました。本日より最終日の日曜まで無休です。
12月1日まで開催されています。
「生成のヴィジュアルー触発のつらなり」 タクロウソメヤコンテンポラリーアート(TSCA)柏(@TSCATokyo)
会期:10月19日(土)~12月1日(日)
休廊:月、火、水曜日。*開廊日は木~日曜、及び祝日。
時間:11:00~18:00
住所:千葉県柏市若葉町3-3
交通:JR常磐線、東武野田線柏駅南口より徒歩約10分。
*写真は全て「生成のヴィジュアル」展会場風景。
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「THE 世界一展」にて夜間特別観覧会が開催されます
12月7日(土)より日本科学未来館にて開催される「THE 世界一展~極める日本!モノづくり~」。
いわゆる日本の「モノづくり」に焦点を当て、その文化、歴史をひも解こうとする展覧会。日本国内より「モノづくり」の心を伝える200点余の製品や技術が集まるそうです。
その「THE 世界一展」にてSNSユーザー向けに夜間特別観覧会が行われます。
[日本科学未来館「THE 世界一展」夜間特別観覧会 開催概要]
・実施日時:2013年12月7日(土) 18:00~20:00
・会場:日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)
・スケジュール
17:30~ 受付開始(注)
18:00~ 特別観覧会(18:30まで企画展担当によるギャラリーツアー)
19:15~19:25 シンボル展示Geo-Cosmosにて特別実演
20:00 観覧会終了
・定員:80名
*ブログ、Facebook、Twitterアカウントをお持ちの方。ブログのジャンルは問いません。
・参加費:無料
・申込方法:専用申込フォームより→https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=2
・申込締切:先着順。定員に達し次第締切。
(注)閉館していますので、正面玄関では無く職員通用口より入館ください。また警備の関係から受付時間を過ぎると入場できなくなる場合がありますので、ご注意ください。
日時は展覧会開幕初日の12月7日(土)の夜6時より。ブログ、Facebook、Twitterのアカウントをお持ちの方で、本展の感想なり魅力をご紹介いただける方です。
[参加の特典]
1.開幕日(12月7日)当日の夜間貸切観覧会です。
2.参加の皆様に、マスコミ用のプレスリリースをプレゼントいたします。
3.担当学芸員によるギャラリーツアーにご参加いただけます。
4.シンボル展示Geo-Cosmosの特別実演をご覧いただけます。
5.展示室内の撮影が行えます。*注意事項有り
なお当日は担当学芸員によるギャラリーツアーの他、シンボル展示Geo-Cosmosの実演も行われるそうです。また会場の撮影も出来ます。(制限事項あり。)
[シンボル展示「Geo-Cosmos」とは]
1000万画素を超える高解像度で、宇宙空間に輝く地球の姿をリアルに映し出すGeo-Cosmos(ジオ・コスモス) は、日本科学未来館のシンボル展示です。直径約6メートル、重さ約13トン、有機ELパネルを使った世界初の「地球ディスプレイ」で、「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」という館長毛利衛の思いから生まれました。画面上を流れる雲の映像は、気象衛星が撮影した画像データを毎日とりこんで反映させたもの。当日の朝までの地球の姿を眺めることができます。今回は夜間特別観覧会に合わせて特別実演を行います。
定員は80名。先着制です。定員に達し次第、受付は終了となります。
漠然と「モノづくり」とありますが、会場では衣、食、住に関する多様な製品の他、製造者の技を紹介するコーナー、さらには伊勢神宮の式年遷宮に新幹線やスカイツリーにまつわる展示もあるそうです。
(クリックで拡大します。)
来年5月までのロングランですが、会期早々、初日の土曜夜での貸し切り観覧。まずは応募されてみてはいかがでしょうか。
申込みフォーム→https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=2
「THE 世界一展~極める日本!モノづくり~」 日本科学未来館
会期:2013年12月7日(土)~2014年5月6日(火・祝)
休館:火曜日。但し1/7、2/11、4/1、4/29、5/6は開館。年末年始(12/28~1/1)。
時間:10:00~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円、18歳以下300(240)円。6歳以下無料。
*( )は8名以上の団体料金。
住所:江東区青海2-3-6
交通:新交通ゆりかもめ船の科学館駅、テレコムセンター駅より徒歩約5分。東京臨海高速鉄道りんかい線東京テレポート駅より徒歩約15分。
いわゆる日本の「モノづくり」に焦点を当て、その文化、歴史をひも解こうとする展覧会。日本国内より「モノづくり」の心を伝える200点余の製品や技術が集まるそうです。
その「THE 世界一展」にてSNSユーザー向けに夜間特別観覧会が行われます。
[日本科学未来館「THE 世界一展」夜間特別観覧会 開催概要]
・実施日時:2013年12月7日(土) 18:00~20:00
・会場:日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)
・スケジュール
17:30~ 受付開始(注)
18:00~ 特別観覧会(18:30まで企画展担当によるギャラリーツアー)
19:15~19:25 シンボル展示Geo-Cosmosにて特別実演
20:00 観覧会終了
・定員:80名
*ブログ、Facebook、Twitterアカウントをお持ちの方。ブログのジャンルは問いません。
・参加費:無料
・申込方法:専用申込フォームより→https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=2
・申込締切:先着順。定員に達し次第締切。
(注)閉館していますので、正面玄関では無く職員通用口より入館ください。また警備の関係から受付時間を過ぎると入場できなくなる場合がありますので、ご注意ください。
日時は展覧会開幕初日の12月7日(土)の夜6時より。ブログ、Facebook、Twitterのアカウントをお持ちの方で、本展の感想なり魅力をご紹介いただける方です。
[参加の特典]
1.開幕日(12月7日)当日の夜間貸切観覧会です。
2.参加の皆様に、マスコミ用のプレスリリースをプレゼントいたします。
3.担当学芸員によるギャラリーツアーにご参加いただけます。
4.シンボル展示Geo-Cosmosの特別実演をご覧いただけます。
5.展示室内の撮影が行えます。*注意事項有り
なお当日は担当学芸員によるギャラリーツアーの他、シンボル展示Geo-Cosmosの実演も行われるそうです。また会場の撮影も出来ます。(制限事項あり。)
[シンボル展示「Geo-Cosmos」とは]
1000万画素を超える高解像度で、宇宙空間に輝く地球の姿をリアルに映し出すGeo-Cosmos(ジオ・コスモス) は、日本科学未来館のシンボル展示です。直径約6メートル、重さ約13トン、有機ELパネルを使った世界初の「地球ディスプレイ」で、「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」という館長毛利衛の思いから生まれました。画面上を流れる雲の映像は、気象衛星が撮影した画像データを毎日とりこんで反映させたもの。当日の朝までの地球の姿を眺めることができます。今回は夜間特別観覧会に合わせて特別実演を行います。
定員は80名。先着制です。定員に達し次第、受付は終了となります。
漠然と「モノづくり」とありますが、会場では衣、食、住に関する多様な製品の他、製造者の技を紹介するコーナー、さらには伊勢神宮の式年遷宮に新幹線やスカイツリーにまつわる展示もあるそうです。
(クリックで拡大します。)
来年5月までのロングランですが、会期早々、初日の土曜夜での貸し切り観覧。まずは応募されてみてはいかがでしょうか。
申込みフォーム→https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=2
「THE 世界一展~極める日本!モノづくり~」 日本科学未来館
会期:2013年12月7日(土)~2014年5月6日(火・祝)
休館:火曜日。但し1/7、2/11、4/1、4/29、5/6は開館。年末年始(12/28~1/1)。
時間:10:00~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円、18歳以下300(240)円。6歳以下無料。
*( )は8名以上の団体料金。
住所:江東区青海2-3-6
交通:新交通ゆりかもめ船の科学館駅、テレコムセンター駅より徒歩約5分。東京臨海高速鉄道りんかい線東京テレポート駅より徒歩約15分。
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「川瀬巴水 生誕130年記念」(前期) 大田区立郷土博物館
大田区立郷土博物館
「川瀬巴水 生誕130年記念 前期:大正期から関東大震災後の復興期までの作品」
10/27-12/1
大田区立郷土博物館で開催中の「川瀬巴水 生誕130年記念」、前期展示「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」を見てきました。
本年、生誕130年を迎えた版画家、川瀬巴水。代表作「馬込の月」にも見られるように、巴水は一時期に馬込に居住。「昭和の広重」とも称され、日本各地の風景を精力的に描きました。
メモリアルイヤーでかつ所縁の地ならではの展覧会です。巴水版画500点を展観します。
さていささか手狭な大田区立郷土博物館。500点を一度に展示しているわけではありません。会期は前、中、後期の3期制。作品は全て入れ替わります。
前期:「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」 2013/10/27~12/1
中期:「昭和初期から10年代の作品」 12/7~2014/1/19
後期:「昭和20年代、及び晩年の作品」1/25~3/2
現在は前期。展示は「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」です。大正8年から昭和5年頃までの作品が紹介されていました。
さて前期だけでも出品数は140点。個々の作品の感想をつらつら書いていくとキリがありません。よって今回は展示の要点や見どころなどを簡潔にあげていきます。まず興味深いのは良く知られた渡邊木版以外の作品もいくつか展示されていることです。
そのわけか見慣れないものもちらほら。例えば「演芸写真帖」。版権は大正通信社です。モチーフは市川松蔦に市川猿之助といった歌舞伎役者。つまり人物画です。それを巴水が描きました。
川瀬巴水「雨の大宮」 昭和5(1930)年
また同じ作品ながらも異なる版が出ているのもポイント。「雨の大宮」では、酒井川口合版にカワグチ、そして中嶋尚美社の3点を展示。見比べられます。
川瀬巴水「旅みやげ第三集 出雲松江」 大正14(1924)年
さて見比べるといえば今度は摺りの比較も重要です。旅みやげ第三集からは「出雲松江」。3枚出ていますが、それが曇り、おぼろ月、そして三日月の様子を表している。同じ風景とはいえ、当然ながら趣きは天気や時間で変化します。
そして旅みやげ第一集の「若さ 久出の濱」では木版の摺りの順序を追って公開。全34回の摺りのうち8回分の状況を見て取ることが出来ます。
川瀬巴水「東京二十景 馬込の月」 昭和5(1930)年
また嬉しいのは木版にあわせて素描やスケッチも相当数出ていることです。先に触れた代表作「馬込の月」もスケッチの展示が。そして同じく有名な「明石町の雨後」。版画では手前の岸に子犬が一匹描かれていますが、スケッチには版画にはない和装の女性のシルエットが見える。原画にも同じく描かれているそうです。(*本作の原画展示はありません。)
また写生では「秋田土崎」も見どころ。版画と見間違うようなセピア色の夕景。見事な情景描写です。巴水の類い稀な表現力を伺うことが出来ます。
川瀬巴水「東京二十景 明石町の雨後」 昭和3(1928)年
さらには若き巴水が友人たちに当てた絵葉書も展示。提灯画もあります。ともかく盛りだくさん。にも関わらず入場は無料です。また図録も刊行。2000円での販売です。ただ出品数が多いこともあるのでしょうか。全ての作品図版は掲載されていませんでした。
「Visions Of Japan: Kawase Hasui's Masterpieces/Hotei Pub」
それにしても巴水、むしろ国内よりも海外での評価が高いことで知られていますが、その一つの取っ掛かりとして「三菱深川別邸の図」、現在の清澄庭園を描いたシリーズにあったそうです。
ここで三菱はその縮小版を海外に展開。結果的に巴水の名が知られることになります。時代は大正。日本の美しき風景を当時の外国人はどう捉えたのか。巴水受容史の一端を見た気がしました。(余談ですが、本展出品リストには作品タイトルの英名も記されています。)
大田区立郷土博物館は西馬込駅の東口を出て徒歩7~8分。一本道です。なだらかな昇り坂を進むと右手に見えてきます。
周囲は馬込文士村とも名付けられ、大正から昭和期の様々な芸術家が移り住んだ地。散策コースもあります。のんびり散歩しながら出向いても良いのではないでしょうか。
前期展示「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」は12月1日までの開催です。(展覧会は2014年3月2日まで開催。)
「川瀬巴水展ー郷愁の日本風景」@千葉市美術館(2013/11/26~2014/1/19)
*千葉市美術館でも巴水展が始まりました。
「川瀬巴水 生誕130年記念」 大田区立郷土博物館
会期:2013年10月27日(日)~2014年3月2日(日)*3会期制。展示替えあり。
休館:月曜日。祝日の場合は開館。及び年末年始(12/29~1/3)。
時間:9:00~17:00
料金:無料。
住所:大田区南馬込5-11-13
交通:都営浅草線西馬込駅東口より徒歩7分。
「川瀬巴水 生誕130年記念 前期:大正期から関東大震災後の復興期までの作品」
10/27-12/1
大田区立郷土博物館で開催中の「川瀬巴水 生誕130年記念」、前期展示「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」を見てきました。
本年、生誕130年を迎えた版画家、川瀬巴水。代表作「馬込の月」にも見られるように、巴水は一時期に馬込に居住。「昭和の広重」とも称され、日本各地の風景を精力的に描きました。
メモリアルイヤーでかつ所縁の地ならではの展覧会です。巴水版画500点を展観します。
さていささか手狭な大田区立郷土博物館。500点を一度に展示しているわけではありません。会期は前、中、後期の3期制。作品は全て入れ替わります。
前期:「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」 2013/10/27~12/1
中期:「昭和初期から10年代の作品」 12/7~2014/1/19
後期:「昭和20年代、及び晩年の作品」1/25~3/2
現在は前期。展示は「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」です。大正8年から昭和5年頃までの作品が紹介されていました。
さて前期だけでも出品数は140点。個々の作品の感想をつらつら書いていくとキリがありません。よって今回は展示の要点や見どころなどを簡潔にあげていきます。まず興味深いのは良く知られた渡邊木版以外の作品もいくつか展示されていることです。
そのわけか見慣れないものもちらほら。例えば「演芸写真帖」。版権は大正通信社です。モチーフは市川松蔦に市川猿之助といった歌舞伎役者。つまり人物画です。それを巴水が描きました。
川瀬巴水「雨の大宮」 昭和5(1930)年
また同じ作品ながらも異なる版が出ているのもポイント。「雨の大宮」では、酒井川口合版にカワグチ、そして中嶋尚美社の3点を展示。見比べられます。
川瀬巴水「旅みやげ第三集 出雲松江」 大正14(1924)年
さて見比べるといえば今度は摺りの比較も重要です。旅みやげ第三集からは「出雲松江」。3枚出ていますが、それが曇り、おぼろ月、そして三日月の様子を表している。同じ風景とはいえ、当然ながら趣きは天気や時間で変化します。
そして旅みやげ第一集の「若さ 久出の濱」では木版の摺りの順序を追って公開。全34回の摺りのうち8回分の状況を見て取ることが出来ます。
川瀬巴水「東京二十景 馬込の月」 昭和5(1930)年
また嬉しいのは木版にあわせて素描やスケッチも相当数出ていることです。先に触れた代表作「馬込の月」もスケッチの展示が。そして同じく有名な「明石町の雨後」。版画では手前の岸に子犬が一匹描かれていますが、スケッチには版画にはない和装の女性のシルエットが見える。原画にも同じく描かれているそうです。(*本作の原画展示はありません。)
また写生では「秋田土崎」も見どころ。版画と見間違うようなセピア色の夕景。見事な情景描写です。巴水の類い稀な表現力を伺うことが出来ます。
川瀬巴水「東京二十景 明石町の雨後」 昭和3(1928)年
さらには若き巴水が友人たちに当てた絵葉書も展示。提灯画もあります。ともかく盛りだくさん。にも関わらず入場は無料です。また図録も刊行。2000円での販売です。ただ出品数が多いこともあるのでしょうか。全ての作品図版は掲載されていませんでした。
「Visions Of Japan: Kawase Hasui's Masterpieces/Hotei Pub」
それにしても巴水、むしろ国内よりも海外での評価が高いことで知られていますが、その一つの取っ掛かりとして「三菱深川別邸の図」、現在の清澄庭園を描いたシリーズにあったそうです。
ここで三菱はその縮小版を海外に展開。結果的に巴水の名が知られることになります。時代は大正。日本の美しき風景を当時の外国人はどう捉えたのか。巴水受容史の一端を見た気がしました。(余談ですが、本展出品リストには作品タイトルの英名も記されています。)
大田区立郷土博物館は西馬込駅の東口を出て徒歩7~8分。一本道です。なだらかな昇り坂を進むと右手に見えてきます。
周囲は馬込文士村とも名付けられ、大正から昭和期の様々な芸術家が移り住んだ地。散策コースもあります。のんびり散歩しながら出向いても良いのではないでしょうか。
前期展示「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」は12月1日までの開催です。(展覧会は2014年3月2日まで開催。)
「川瀬巴水展ー郷愁の日本風景」@千葉市美術館(2013/11/26~2014/1/19)
*千葉市美術館でも巴水展が始まりました。
「川瀬巴水 生誕130年記念」 大田区立郷土博物館
会期:2013年10月27日(日)~2014年3月2日(日)*3会期制。展示替えあり。
休館:月曜日。祝日の場合は開館。及び年末年始(12/29~1/3)。
時間:9:00~17:00
料金:無料。
住所:大田区南馬込5-11-13
交通:都営浅草線西馬込駅東口より徒歩7分。
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「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」 大倉集古館
大倉集古館
「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」
10/5-12/15
大倉集古館で開催中の「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」を見てきました。
日本と中国。ともに中世から近世を代表する都市であった開封、杭州、京都、江戸。その4都市をモチーフとした絵画を参照しながら、各々の個性なり相互の影響の在り方を探っていく。そうした展覧会が大倉集古館で行われています。
まずはじめは中国。北宋の都、開封です。かつて北京の故宮より東博にやってきて大きな話題となった「清明上河図」の模本が3点ほど展示されています。
1本目は大倉集古館のもの。時代は明。蘇州の風景です。また残りの2本は清時代の作品ですが、模本とは言え、細部の表現など、当然ながら違いがあるのも面白いところ。さらに会場ではご丁寧にも故宮の「清明上河図」がパネルで紹介されています。
仇英(款)「清明上河図」(部分) 清時代 個人蔵
そうした3本の違いを見比べるのも良いのではないでしょうか。2本目の作は色味も強め、土には鮮やかな緑や青の顔料が。また3本とも故宮の作に比べると筆致は明らかに『粗め』ですが、それでもさすがに緻密な描写も随所に見られます。単眼鏡は必須かもしれません。
曾我蕭白「林和靖図」 江戸時代 千葉市美術館
さて杭州へと進みましょう。こちらは南宋の都。目立つのは西湖をモチーフとした2点の屏風に襖絵。中国は呉◯(火に繹から糸偏を抜いた文字)に日本からは山楽(款)の作品。ともに西湖とそれを望む雄大な山々が描かれています。
呉◯作はまるで箱庭です。ぐるりと西湖を囲む山の姿。桜花に紅葉。四季の情景も表されているそうです。
狩野山楽「西湖図襖絵」 江戸時代 個人蔵
一方で山楽(款)はもっと遠い視点から西湖を俯瞰したもの。もちろん実際の西湖を見て描かれたわけではありませんが、その光景は雄大かつ深淵。中央にはモニュメンタルなまでの奇岩がそびえたっていました。
さて後半は京都に江戸。日本の都市です。会場スペースの都合なのか、展示は江戸から京都の順。それぞれを表した絵画が紹介されています。
江戸からは広重の「名所江戸百景」に宮川長亀の「上野観山・隅田川納涼図」なども見どころ。桜の下の宴会で踊る人々。今も昔も花見の光景は変わりません。
鍬形蕙斎「東都繁昌図巻」(部分) 江戸時代 千葉市美術館
面白いのは鍬形蕙斎の「東都繁昌図巻」です。日本橋の魚市場が表されていますが、ともかくたくさんの魚が驚くほどよく描き分けられている。まるでちょっとした魚図鑑。押し合いへし合いの仲買人たち。大変な賑わいです。また魚をとって食べようとする犬の姿なども見て取れます。
京都では衝撃の作品と出会いました。それが「洛中洛外図」。はて、一定の様式化された洛中洛外、どこが衝撃なのかと思う方もおられるかもしれません。
図版がないので何ともお伝えしにくいのですが、一言で申し上げるとともかくびっくりするほど下手なのです。もう何もかもがメタメタ。店より巨大な人間たちが闊歩する街並。天守閣は崩壊寸前、構図に形状がもはやシュールといえるほどに歪んだ二条城。これがまた金地の上に表されている。作者は長谷川巴龍。しかもサインには堂々たる法橋の号が。もはやこれはネタなのでしょうか。思わず笑ってしまうほどでした。
さて本展、近世より時空を超え、現代の絵師が登場しているのも注目すべきポイントです。絵師の名はお馴染み山口晃。2点の「東京圖」を出品しています。
山口晃「東京圖 広尾ー六本木」2002年 森美術館
いずれも山口流現代版洛中洛外図。ヒルズを中心にした江戸東京の異界が描かれていますが、森ビルのタワーの横にそっと描かれた原子力発電所に目が止まりました。
これはあくまでもヒルズの動力としての発電所に過ぎませんが、本作が完成したのは2002年。もし今、作者が描いたらここに何を表現するのだろうか。そんなことも色々と想像させる作品でもありました。
「描かれた都:開封・杭州・京都・江戸/板倉聖哲/東京大学出版会」
またやや高額ではありますが、一般書籍としても扱われている図録が論文も含めて充実しています。大倉の手狭なスペース、決して点数は多くありません。それでも4都市に絞り、関係の深い作品ばかりを並べた展示。小さくとも見応えのある内容だと感心しました。
なお一部作品が会期途中で入れ替わりましたが、現在は既に後期期間中です。これ以降の入れ替えはありません。
12月15日まで開催されています。
「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」 大倉集古館
会期:10月5日(土)~12月15日(日)
休館:月曜日(休日は開館)
時間:10:00~16:30 (入館は16時まで。)
料金:一般1000円、 65歳以上・大学生・高校生800円、中学生以下無料。
*20名以上の団体は100円引。
*土・日は、高校生以下の生徒と引率の両親・教師が無料。
住所:港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正面玄関前
交通:東京メトロ南北線六本木一丁目駅改札口より徒歩5分。東京メトロ日比谷線神谷町駅4b出口より徒歩7分。
「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」
10/5-12/15
大倉集古館で開催中の「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」を見てきました。
日本と中国。ともに中世から近世を代表する都市であった開封、杭州、京都、江戸。その4都市をモチーフとした絵画を参照しながら、各々の個性なり相互の影響の在り方を探っていく。そうした展覧会が大倉集古館で行われています。
まずはじめは中国。北宋の都、開封です。かつて北京の故宮より東博にやってきて大きな話題となった「清明上河図」の模本が3点ほど展示されています。
1本目は大倉集古館のもの。時代は明。蘇州の風景です。また残りの2本は清時代の作品ですが、模本とは言え、細部の表現など、当然ながら違いがあるのも面白いところ。さらに会場ではご丁寧にも故宮の「清明上河図」がパネルで紹介されています。
仇英(款)「清明上河図」(部分) 清時代 個人蔵
そうした3本の違いを見比べるのも良いのではないでしょうか。2本目の作は色味も強め、土には鮮やかな緑や青の顔料が。また3本とも故宮の作に比べると筆致は明らかに『粗め』ですが、それでもさすがに緻密な描写も随所に見られます。単眼鏡は必須かもしれません。
曾我蕭白「林和靖図」 江戸時代 千葉市美術館
さて杭州へと進みましょう。こちらは南宋の都。目立つのは西湖をモチーフとした2点の屏風に襖絵。中国は呉◯(火に繹から糸偏を抜いた文字)に日本からは山楽(款)の作品。ともに西湖とそれを望む雄大な山々が描かれています。
呉◯作はまるで箱庭です。ぐるりと西湖を囲む山の姿。桜花に紅葉。四季の情景も表されているそうです。
狩野山楽「西湖図襖絵」 江戸時代 個人蔵
一方で山楽(款)はもっと遠い視点から西湖を俯瞰したもの。もちろん実際の西湖を見て描かれたわけではありませんが、その光景は雄大かつ深淵。中央にはモニュメンタルなまでの奇岩がそびえたっていました。
さて後半は京都に江戸。日本の都市です。会場スペースの都合なのか、展示は江戸から京都の順。それぞれを表した絵画が紹介されています。
江戸からは広重の「名所江戸百景」に宮川長亀の「上野観山・隅田川納涼図」なども見どころ。桜の下の宴会で踊る人々。今も昔も花見の光景は変わりません。
鍬形蕙斎「東都繁昌図巻」(部分) 江戸時代 千葉市美術館
面白いのは鍬形蕙斎の「東都繁昌図巻」です。日本橋の魚市場が表されていますが、ともかくたくさんの魚が驚くほどよく描き分けられている。まるでちょっとした魚図鑑。押し合いへし合いの仲買人たち。大変な賑わいです。また魚をとって食べようとする犬の姿なども見て取れます。
京都では衝撃の作品と出会いました。それが「洛中洛外図」。はて、一定の様式化された洛中洛外、どこが衝撃なのかと思う方もおられるかもしれません。
図版がないので何ともお伝えしにくいのですが、一言で申し上げるとともかくびっくりするほど下手なのです。もう何もかもがメタメタ。店より巨大な人間たちが闊歩する街並。天守閣は崩壊寸前、構図に形状がもはやシュールといえるほどに歪んだ二条城。これがまた金地の上に表されている。作者は長谷川巴龍。しかもサインには堂々たる法橋の号が。もはやこれはネタなのでしょうか。思わず笑ってしまうほどでした。
さて本展、近世より時空を超え、現代の絵師が登場しているのも注目すべきポイントです。絵師の名はお馴染み山口晃。2点の「東京圖」を出品しています。
山口晃「東京圖 広尾ー六本木」2002年 森美術館
いずれも山口流現代版洛中洛外図。ヒルズを中心にした江戸東京の異界が描かれていますが、森ビルのタワーの横にそっと描かれた原子力発電所に目が止まりました。
これはあくまでもヒルズの動力としての発電所に過ぎませんが、本作が完成したのは2002年。もし今、作者が描いたらここに何を表現するのだろうか。そんなことも色々と想像させる作品でもありました。
「描かれた都:開封・杭州・京都・江戸/板倉聖哲/東京大学出版会」
またやや高額ではありますが、一般書籍としても扱われている図録が論文も含めて充実しています。大倉の手狭なスペース、決して点数は多くありません。それでも4都市に絞り、関係の深い作品ばかりを並べた展示。小さくとも見応えのある内容だと感心しました。
なお一部作品が会期途中で入れ替わりましたが、現在は既に後期期間中です。これ以降の入れ替えはありません。
12月15日まで開催されています。
「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」 大倉集古館
会期:10月5日(土)~12月15日(日)
休館:月曜日(休日は開館)
時間:10:00~16:30 (入館は16時まで。)
料金:一般1000円、 65歳以上・大学生・高校生800円、中学生以下無料。
*20名以上の団体は100円引。
*土・日は、高校生以下の生徒と引率の両親・教師が無料。
住所:港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正面玄関前
交通:東京メトロ南北線六本木一丁目駅改札口より徒歩5分。東京メトロ日比谷線神谷町駅4b出口より徒歩7分。
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「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」 東京オペラシティアートギャラリー
東京オペラシティアートギャラリー
「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」
10/11-12/23
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」を見てきました。
幕末より現代まで、時に社会や政治情勢と関わりながら歩み続けてきた日本の近代音楽。その流れを楽譜や楽器の他、資料に映像、また「音」で辿っていく。いわゆる美術館にてこうした展覧会が開催されたことは殆どなかったかもしれません。
そこを武満の名を冠したコンサートホールを持つオペラシティが実現。日本の近代音楽史の150年を一挙に総覧します。
出品は明治学院大学日本近代音楽館の所蔵資料を中心とした全300点。かなり見応えがありました。
さて初めは幕末です。シーボルトとも親しかったという蘭学者、宇田川榕菴の記した「大西楽律考」は、国内における西洋音楽の最初の本。またペリー来航時にやってきた軍楽隊の奏でた音楽は、まさに当時の日本人が殆ど初めて耳にする西洋の響き。明治維新後、政府が近代軍隊を導入する過程においても、当然ながら軍楽隊を整備します。
東京音楽学校編「中等唱歌集」 1889年 日本近代音楽館
また欧化政策は当然ながら音楽にも及びます。鹿鳴館でのコンサートはもとより、唱歌集や軍歌などによって、西洋音楽は一気に人々の身近なものとなっていきました。
島崎藤村がパリで足を運んだ演奏家の冊子が目を引きます。何でもバッハのマタイを聞いたとか。ちなみに日本における本格的なオペラ公演は1903年、グルック作曲の「オルフェオとエウリディーチェ」です。さらに会場には日本人が最初に制作したピアノなどの楽器もあわせて展示。またドイツに留学し、純正調オルガンを発明した田中正平の取り組み(日本の伝統的な音楽を五線譜に置き換えたそうです。)なども紹介されていました。
絵画では彭城貞徳の「和洋合奏之図」にも注目。時は明治39年。畳の上で和装の女性たちが座布団の上に座りながらヴァイオリンを奏でる姿が描かれています。明治期の日本人と西洋音楽の関わりを良く表した作品と言えるかもしれません。
山田耕筰「曼陀羅の華」 1913年
大正へ進みましょう。ここで重要なのは山田耕筰。ベルリン留学を果たし、帰国後、作曲や指揮活動へ積極的に取り組んだ彼の功績がクローズアップされています。
中山晋平「ゴンドラの唄」(セノオ・新小唄3) 1916年 日本近代音楽館
また大正期に一大ムーブメントを起こしたのは浅草オペラです。庶民も熱を上げて接したという浅草オペラ。ヒロインの歌う流行のアリアは楽譜としても発売。かの夢二が装丁画を描いた楽譜も人気を呼んだそうです。
いわゆる音楽批評が誕生したのもこの時期のことです。中でも知られるのがロンドンへの留学経験を持つ大田黒元雄。来日したプロコフィエフとも親交があったという彼は、評論活動とともに、様々な西洋音楽を日本に紹介します。
「音楽報国挺身隊腕章」 1943年 個人蔵
一方で昭和に入り、戦争の色が濃くなると、「音楽は軍需品」という言葉にも象徴されるように、国家が音楽へ介入する様が露骨になってきます。
その最たる例が1940年に行われた紀元二千六百年奉祝楽曲発表会。いわゆる皇紀2600年を祝して開催された一大イベントです。政府はアメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、ハンガリーの6カ国に奉祝曲の作曲を依頼。対日関係が極めて悪化していたアメリカを除く5カ国が曲を提供します。(イギリスはブリテンが「シンフォニア・ダ・レクイエム」を提供しましたが、演奏されることはありませんでした。)
R.シュトラウス「日本の皇紀二千六百年祭のための祝典音楽」 1940年 日本近代音楽館
ドイツからはかの大作曲家R.シュトラウス。曲名もずばり「祝典音楽 紀元二千六百年奉祝」です。15分ほどの短い管弦楽曲ですが、シュトラウスはゲッペルスから直接話を受けて作曲。ベルリンの在日本大使館では自らの手でピアノを演奏し、楽譜を日本へ送りました。
会場ではその時の様子を映像で紹介。これがなかなか見せます。なお本展ではこうした映像が各セクション毎に計4つ展示。いずれもそれぞれ2~3本の映像があり、おおよそ20分ほど。全て見るとおそらくは1時間以上かかります。
またご紹介が遅れましたが、映像と同じように音源の試聴コーナーがあるのもポイントです。見て、また聞いて追いかける日本近代音楽の流れ。なかなか充実していました。
「二期会第1回オペラ公演 ラ・ボエーム プログラム」 1952年 日本近代音楽館
戦後の流れはやや駆け足気味です。実験工房から電子音楽に湯浅やら武満。それに大阪万博の音楽イベントなど。また総じて音楽と社会の関わりを強く意識しています。いわゆる音楽好き以外の方にも楽しめるのではないかと思いました。
ラストは「オーケストラの現在」です。国内のオーケストラのプログラムなどがずらりと並びます。見慣れた月刊都響やN響定期の冊子。もう一歩、それぞれの団体の活動を紹介するテキストなりがあればとは思いましたが、例えば83年の大フィルの「朝比奈隆音楽生活50周年記念プログラム」など、クラシックファンとして注目したいものもありました。
ドビュッシー「鐘」(セノオ楽譜65番) 1917年
資料、映像、試聴コーナー。私も結局2時間くらい見ていましたが、映像を一つ一つ追っていくともっと時間がかかります。余裕をもってお出かけ下さい。
会場内及び近江楽堂で行われるミニコンサートが大変に充実しています。
「関連企画:ミニコンサート」@東京オペラシティアートギャラリー
無料(要展覧会半券)とは思えないラインナップです。こちらとあわせて見るのも良いのではないでしょうか。
12月23日まで開催されています。
「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」 東京オペラシティアートギャラリー
会期:10月11日(金)~12月23日(月・祝)
休館:月曜日。祝日の場合は翌火曜日。
時間:11:00~19:00 *金・土は20時まで開館。最終入場は閉館30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大・高生800(600)円、中・小生600(400)円。
*( )内は15名以上の団体料金。土・日・祝は小中学生無料。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」
10/11-12/23
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」を見てきました。
幕末より現代まで、時に社会や政治情勢と関わりながら歩み続けてきた日本の近代音楽。その流れを楽譜や楽器の他、資料に映像、また「音」で辿っていく。いわゆる美術館にてこうした展覧会が開催されたことは殆どなかったかもしれません。
そこを武満の名を冠したコンサートホールを持つオペラシティが実現。日本の近代音楽史の150年を一挙に総覧します。
出品は明治学院大学日本近代音楽館の所蔵資料を中心とした全300点。かなり見応えがありました。
さて初めは幕末です。シーボルトとも親しかったという蘭学者、宇田川榕菴の記した「大西楽律考」は、国内における西洋音楽の最初の本。またペリー来航時にやってきた軍楽隊の奏でた音楽は、まさに当時の日本人が殆ど初めて耳にする西洋の響き。明治維新後、政府が近代軍隊を導入する過程においても、当然ながら軍楽隊を整備します。
東京音楽学校編「中等唱歌集」 1889年 日本近代音楽館
また欧化政策は当然ながら音楽にも及びます。鹿鳴館でのコンサートはもとより、唱歌集や軍歌などによって、西洋音楽は一気に人々の身近なものとなっていきました。
島崎藤村がパリで足を運んだ演奏家の冊子が目を引きます。何でもバッハのマタイを聞いたとか。ちなみに日本における本格的なオペラ公演は1903年、グルック作曲の「オルフェオとエウリディーチェ」です。さらに会場には日本人が最初に制作したピアノなどの楽器もあわせて展示。またドイツに留学し、純正調オルガンを発明した田中正平の取り組み(日本の伝統的な音楽を五線譜に置き換えたそうです。)なども紹介されていました。
絵画では彭城貞徳の「和洋合奏之図」にも注目。時は明治39年。畳の上で和装の女性たちが座布団の上に座りながらヴァイオリンを奏でる姿が描かれています。明治期の日本人と西洋音楽の関わりを良く表した作品と言えるかもしれません。
山田耕筰「曼陀羅の華」 1913年
大正へ進みましょう。ここで重要なのは山田耕筰。ベルリン留学を果たし、帰国後、作曲や指揮活動へ積極的に取り組んだ彼の功績がクローズアップされています。
中山晋平「ゴンドラの唄」(セノオ・新小唄3) 1916年 日本近代音楽館
また大正期に一大ムーブメントを起こしたのは浅草オペラです。庶民も熱を上げて接したという浅草オペラ。ヒロインの歌う流行のアリアは楽譜としても発売。かの夢二が装丁画を描いた楽譜も人気を呼んだそうです。
いわゆる音楽批評が誕生したのもこの時期のことです。中でも知られるのがロンドンへの留学経験を持つ大田黒元雄。来日したプロコフィエフとも親交があったという彼は、評論活動とともに、様々な西洋音楽を日本に紹介します。
「音楽報国挺身隊腕章」 1943年 個人蔵
一方で昭和に入り、戦争の色が濃くなると、「音楽は軍需品」という言葉にも象徴されるように、国家が音楽へ介入する様が露骨になってきます。
その最たる例が1940年に行われた紀元二千六百年奉祝楽曲発表会。いわゆる皇紀2600年を祝して開催された一大イベントです。政府はアメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、ハンガリーの6カ国に奉祝曲の作曲を依頼。対日関係が極めて悪化していたアメリカを除く5カ国が曲を提供します。(イギリスはブリテンが「シンフォニア・ダ・レクイエム」を提供しましたが、演奏されることはありませんでした。)
R.シュトラウス「日本の皇紀二千六百年祭のための祝典音楽」 1940年 日本近代音楽館
ドイツからはかの大作曲家R.シュトラウス。曲名もずばり「祝典音楽 紀元二千六百年奉祝」です。15分ほどの短い管弦楽曲ですが、シュトラウスはゲッペルスから直接話を受けて作曲。ベルリンの在日本大使館では自らの手でピアノを演奏し、楽譜を日本へ送りました。
会場ではその時の様子を映像で紹介。これがなかなか見せます。なお本展ではこうした映像が各セクション毎に計4つ展示。いずれもそれぞれ2~3本の映像があり、おおよそ20分ほど。全て見るとおそらくは1時間以上かかります。
またご紹介が遅れましたが、映像と同じように音源の試聴コーナーがあるのもポイントです。見て、また聞いて追いかける日本近代音楽の流れ。なかなか充実していました。
「二期会第1回オペラ公演 ラ・ボエーム プログラム」 1952年 日本近代音楽館
戦後の流れはやや駆け足気味です。実験工房から電子音楽に湯浅やら武満。それに大阪万博の音楽イベントなど。また総じて音楽と社会の関わりを強く意識しています。いわゆる音楽好き以外の方にも楽しめるのではないかと思いました。
ラストは「オーケストラの現在」です。国内のオーケストラのプログラムなどがずらりと並びます。見慣れた月刊都響やN響定期の冊子。もう一歩、それぞれの団体の活動を紹介するテキストなりがあればとは思いましたが、例えば83年の大フィルの「朝比奈隆音楽生活50周年記念プログラム」など、クラシックファンとして注目したいものもありました。
ドビュッシー「鐘」(セノオ楽譜65番) 1917年
資料、映像、試聴コーナー。私も結局2時間くらい見ていましたが、映像を一つ一つ追っていくともっと時間がかかります。余裕をもってお出かけ下さい。
会場内及び近江楽堂で行われるミニコンサートが大変に充実しています。
「関連企画:ミニコンサート」@東京オペラシティアートギャラリー
無料(要展覧会半券)とは思えないラインナップです。こちらとあわせて見るのも良いのではないでしょうか。
12月23日まで開催されています。
「五線譜に描いた夢ー日本近代音楽の150年」 東京オペラシティアートギャラリー
会期:10月11日(金)~12月23日(月・祝)
休館:月曜日。祝日の場合は翌火曜日。
時間:11:00~19:00 *金・土は20時まで開館。最終入場は閉館30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大・高生800(600)円、中・小生600(400)円。
*( )内は15名以上の団体料金。土・日・祝は小中学生無料。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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「入谷葉子ー追憶ハネムーン」 LIXILギャラリー
LIXILギャラリー
「入谷葉子ー追憶ハネムーン」
10/31-11/26
LIXILギャラリーで開催中の入谷葉子個展、追憶ハネムーンを見てきました。
どこかノスタルジックな着物や日本家屋が目の覚めるほどヴィヴィッドな色で描かれている。
まず会場に足を踏み入れて際立つのは色の強さです。明るい赤や水色にピンク。そしてそれらがコラージュのように合わせ重なり、モチーフを象っていく。色面と色面のせめぎあい。言わば塗り絵です。輪郭線もありません。
作家、入谷葉子は1977年に大阪で生まれ、2001年に大阪芸術大学芸術学部の美術学科を修了。その後、関西を初めとするギャラリーで個展やグループ展を行ってきました。
「シャングリラ」2010年
このポップで鮮やかな色彩感覚。しかしながら描かれているのは何気ない日本の風景です。古びた木造家屋にどこか懐かしいキッチン、また着物から墓地まで。そしてそれらは時に実際の色から大きくかけ離れた色をしてます。本来ならモノトーンの墓地もご覧の通り。墓石がオレンジやピンク色に輝いているではありませんか。
一枚の女性の肖像に目が止まりました。実は本展、作家の祖母をモチーフとしたもの。家も祖母が住んでいた家。また道具も祖母の嫁入り道具だとか。だからこそタイトルにもあるように「追憶のハネムーン」。昭和や大正時代の記憶を写真から呼び起こしています。
この色とモチーフの曖昧な関係。色彩は作家の自由なイメージによるものだそうです。トロピカルな色が織りなす日本の風景。色とモチーフのどことない違和感がまた新鮮でした。
さて最後に重要なポイントを。この色、一体何で表されているのか分かるでしょうか。油彩かアクリルか。私も遠目で見た際はてっきり絵具が用いられていると思いました。
「お台所」2010年
実はこれ、全て色鉛筆なのです。確かに作品に近づいて目を凝らすと色鉛筆の筆致が。一本一本、丁寧にかつ力強く塗りこめられていることがわかります。
色鉛筆から引き出された家族の記憶。2014年にはVOCA展にも出品があるそうです。そちらにも期待しましょう。
11月26日まで開催されています。
「入谷葉子ー追憶ハネムーン」 LIXILギャラリー
会期:10月31日(木)~11月26日(火)
休廊:毎週水曜日。11/24(日)のみ臨時休館。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分。
「入谷葉子ー追憶ハネムーン」
10/31-11/26
LIXILギャラリーで開催中の入谷葉子個展、追憶ハネムーンを見てきました。
どこかノスタルジックな着物や日本家屋が目の覚めるほどヴィヴィッドな色で描かれている。
まず会場に足を踏み入れて際立つのは色の強さです。明るい赤や水色にピンク。そしてそれらがコラージュのように合わせ重なり、モチーフを象っていく。色面と色面のせめぎあい。言わば塗り絵です。輪郭線もありません。
作家、入谷葉子は1977年に大阪で生まれ、2001年に大阪芸術大学芸術学部の美術学科を修了。その後、関西を初めとするギャラリーで個展やグループ展を行ってきました。
「シャングリラ」2010年
このポップで鮮やかな色彩感覚。しかしながら描かれているのは何気ない日本の風景です。古びた木造家屋にどこか懐かしいキッチン、また着物から墓地まで。そしてそれらは時に実際の色から大きくかけ離れた色をしてます。本来ならモノトーンの墓地もご覧の通り。墓石がオレンジやピンク色に輝いているではありませんか。
一枚の女性の肖像に目が止まりました。実は本展、作家の祖母をモチーフとしたもの。家も祖母が住んでいた家。また道具も祖母の嫁入り道具だとか。だからこそタイトルにもあるように「追憶のハネムーン」。昭和や大正時代の記憶を写真から呼び起こしています。
この色とモチーフの曖昧な関係。色彩は作家の自由なイメージによるものだそうです。トロピカルな色が織りなす日本の風景。色とモチーフのどことない違和感がまた新鮮でした。
さて最後に重要なポイントを。この色、一体何で表されているのか分かるでしょうか。油彩かアクリルか。私も遠目で見た際はてっきり絵具が用いられていると思いました。
「お台所」2010年
実はこれ、全て色鉛筆なのです。確かに作品に近づいて目を凝らすと色鉛筆の筆致が。一本一本、丁寧にかつ力強く塗りこめられていることがわかります。
色鉛筆から引き出された家族の記憶。2014年にはVOCA展にも出品があるそうです。そちらにも期待しましょう。
11月26日まで開催されています。
「入谷葉子ー追憶ハネムーン」 LIXILギャラリー
会期:10月31日(木)~11月26日(火)
休廊:毎週水曜日。11/24(日)のみ臨時休館。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分。
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「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」 ギャラリーαM
ギャラリーαM
「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」
10/26-11/30
ギャラリーαMで開催中の「楽園創造(パラダイス)vol.5 佐藤雅晴」を見てきました。
いただいた一枚の上記DM。これを見た時、全くの予備知識も得ず、大変失礼ながら作家の活動を存じ上げなかった私は、何かペインティングの展示であろうと思い込んでいました。
まさに無知とはこのことです。会場で展開されているのは何と映像。その名は「ダテマキ」。7つの壁面を用いて、文字通り伊達巻きの制作工程をモチーフとしたアニメーションが展示されていたのです。
作家の佐藤雅晴は1973年に大分で生まれ、1999年に東京芸術大学大学院美術科の絵画専攻を修了。その後、ドイツに滞在し、現在は茨城県を拠点に活動。国内外において個展の他、文化庁メディア芸術祭や岡本太郎現代芸術賞展などに出品を重ねてきました。
さて伊達巻きの製造工程。完全なオートメーションです。ようは一切、人の手が加わっていません。映像でも機械が半ば淡々と動く様子のみが映し出されています。
工程は全部で7つです。原料の卵を混ぜ合わせ、型に流し込み、焼いて、また型から取り出す。面白いのは巻の工程がないことです。ともかくひたすらに黄色の溶液が流れ出してはコンベアで移動していく。一見するところ、伊達巻きはおろか、食品の製造過程だと分からないかもしれません。不思議です。
そこにこの作品の面白さがある。またそれぞれの工程も短く、次々と同じシーンが現れます。言ってしまえばミニマルです。
また映像もどこか絵画的だと言えはしないでしょうか。それこそ溶液がゆらゆらと揺れる様からは絵具の生々しい質感を連想する面も。そして映像、当然ながら動きのあるものですが、全体を追っていくと奇妙な静けさも感じられます。
丸又蒲鉾製造有限会社
なお本展の伊達巻きの製造工程は、かの東日本大震災で甚大な被害を受けた丸又蒲鉾製造有限会社(いわき市)に取材したのだそうです。会場内には製品案内のパンフレットも置かれていました。
伊達巻きの工程をアニメで表現する。しかもそれが何故か刹那的でもあり美しくもある。思いがけないほどに惹かれました。
11月30日までの開催です。おすすめします。
「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」 ギャラリーαM(@gallery_alpham)
会期:10月26日(土)~11月30日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:11:00~19:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR総武快速線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分。
*写真は全て佐藤雅晴「ダテマキ」2013年/アニメーション/7チャンネル 音楽:スコット・アンライン
「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」
10/26-11/30
ギャラリーαMで開催中の「楽園創造(パラダイス)vol.5 佐藤雅晴」を見てきました。
いただいた一枚の上記DM。これを見た時、全くの予備知識も得ず、大変失礼ながら作家の活動を存じ上げなかった私は、何かペインティングの展示であろうと思い込んでいました。
まさに無知とはこのことです。会場で展開されているのは何と映像。その名は「ダテマキ」。7つの壁面を用いて、文字通り伊達巻きの制作工程をモチーフとしたアニメーションが展示されていたのです。
作家の佐藤雅晴は1973年に大分で生まれ、1999年に東京芸術大学大学院美術科の絵画専攻を修了。その後、ドイツに滞在し、現在は茨城県を拠点に活動。国内外において個展の他、文化庁メディア芸術祭や岡本太郎現代芸術賞展などに出品を重ねてきました。
さて伊達巻きの製造工程。完全なオートメーションです。ようは一切、人の手が加わっていません。映像でも機械が半ば淡々と動く様子のみが映し出されています。
工程は全部で7つです。原料の卵を混ぜ合わせ、型に流し込み、焼いて、また型から取り出す。面白いのは巻の工程がないことです。ともかくひたすらに黄色の溶液が流れ出してはコンベアで移動していく。一見するところ、伊達巻きはおろか、食品の製造過程だと分からないかもしれません。不思議です。
そこにこの作品の面白さがある。またそれぞれの工程も短く、次々と同じシーンが現れます。言ってしまえばミニマルです。
また映像もどこか絵画的だと言えはしないでしょうか。それこそ溶液がゆらゆらと揺れる様からは絵具の生々しい質感を連想する面も。そして映像、当然ながら動きのあるものですが、全体を追っていくと奇妙な静けさも感じられます。
丸又蒲鉾製造有限会社
なお本展の伊達巻きの製造工程は、かの東日本大震災で甚大な被害を受けた丸又蒲鉾製造有限会社(いわき市)に取材したのだそうです。会場内には製品案内のパンフレットも置かれていました。
伊達巻きの工程をアニメで表現する。しかもそれが何故か刹那的でもあり美しくもある。思いがけないほどに惹かれました。
11月30日までの開催です。おすすめします。
「楽園創造(パラダイス)ー芸術と日常の新地平 vol.5 佐藤雅晴」 ギャラリーαM(@gallery_alpham)
会期:10月26日(土)~11月30日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:11:00~19:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR総武快速線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分。
*写真は全て佐藤雅晴「ダテマキ」2013年/アニメーション/7チャンネル 音楽:スコット・アンライン
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「六本木クロッシング2013」 森美術館
森美術館
「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウトー来たるべき風景のために」
2013/9/21-2014/1/13
森美術館で開催中の「六本木クロッシング2013」を見てきました。
2004年より3年に1度、森美術館を舞台に多様な現代美術を紹介してきた「六本木クロッシング」。今年で回を数えること4回目。美術館を代表する企画として定着してきた感もあります。
今回のテーマは「アウト・オブ・ダウトー来たるべき風景のために」。疑念を意味する『ダウト』を起点にアートをどう捉え、表現していくのか。震災後の初のクロッシング。かの被害をふまえて、当然あるべき、またあったであろう秩序への疑念。言わば価値の転換や再考を促される時代でもあります。
小林史子「1000の足とはじまりの果実」2013年
さて冒頭の展開が圧巻です。まずは小林史子。展示室入口を塞がんとばかりに立ちはだかるのは「1000の足とはじまりの果実」。大量に摘みあがる椅子に絡み合う洋服。それがまさに天井まで壁のように構築されていく。ちなみに素材はいずれも六本木周辺で入手されたものだそうです。
小林史子「1000の足とはじまりの果実」2013年
それにしてもこの迫力。小林といえば、より複雑な構成をとった立体も見事ですが、今回はともかく一面の壁。大きさは6m×6m。もはや個では対峙することすら出来ないほどのスケールです。凄まじい圧迫感でした。
さて小林の壁を乗り越えると現れるのが風間サチコ。政治、歴史的テーマを現代の視点から木版に表現します。
風間サチコ「人外交差点」2013年
何と言っても目立つのは「人外交差点」です。渋谷のスクランブルを舞台にしたものですが、そこに跋扈する人間なり生き物は魑魅魍魎。そして看板には目や耳の絵。また「チョットマテ!言ふて良い事 悪い事」、さらには「スパイ」などの文字が。国家、メディア、はたまたネット。時代を超えて様々な統制、また相互監視下にある市民。物議を醸している機密保護法案とも関連があるのでしょうか。ともかくもそうした昨今の状況に警鐘を鳴らしています。
「獄門核分裂235」はどうでしょうか。いわゆる「原子力村」への作家の激しい憤りが表された一枚。言うまでもなく福島第一原子力発電所の事故をふまえての作品に他なりません。
中村宏「基地」1957年
そして後ろを振り返れば中村宏。1932年生まれ、ルポタージュ絵画でも知られる作家ですが、ここでも沖縄戦や基地問題を扱った作品が展示されている。国家と個人の関係。そして何よりも社会への大いなる批判精神。それが風間の作品世界と半ば共鳴しています。
丹羽良徳「日本共産党にカール・マルクスを掲げるように提案する」2013年
さらにこの後に続く小泉明郎と丹羽良徳の映像も見どころ。丹羽は最近の自身の関心という共産主義の問題をセレクト。ルーマニアと日本における共産主義の問題を取り上げています。
小林にはじまり丹羽へ至る展開。社会が鋭く抉られている。実に見応えがありました。
遠藤一郎「未来へ丸(模型)」2013年
さて以降は簡単に参ります。(率直に申し上げると冒頭のテンションを維持出来ませんでした。)犬島プロジェクトを提案した柳幸典。そして遠藤一郎の「未来へ丸」などの大掛かりなインスタレーションが目を引きます。
泉太郎「キャラメル」2013年
泉太郎の「キャラメル」が異彩を放ちます。スクリーンに映し出された動物たち。片目の部分は切り抜かれ、モニター越しに人間の目が映っている。シンプルな仕掛けながらも、動物と人間の境界を揺さぶります。
朝海陽子「ペース」シリーズより 2013年
朝海陽子の2つの写真シリーズは魅惑的です。西表島に滞在して、潮の干満を記録したいという「ペース」(2013)。現地では生活に際し、潮の干満が大変に重要だとか。そこを朝海は複数の写真を用いて、同じ場所の異なる風景を捉える。美しき海をドキュメンタリー的に写します。
菅木志雄「間連空」2013年
ラストは重鎮の菅木志雄でした。「間連空」(2013)と名付けられたサークル状の立体。何やら古代の祭祀の場を思わせるような空間。窓越しには東京の景色が見える。喧噪の六本木の天空に現れた瞑想の場所。そうした印象も受けました。
柳幸典「犬島プロジェクト」1995年~2000年
クロッシングに関するテキストは同館公式ブログでも充実。それを読むとまた違うもしれませんが、果たして展示そのものからどれほどコンセプトなりメッセージが浮かび上がっていたのか。諸々と議論はありそうです。
「六本木クロッシング2013」展示室風景
一部を除き、作品の撮影が可能でした。なお本エントリに掲載の写真は全て「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。
館内は空いていました。2014年1月13日まで開催されています。
「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウトー来たるべき風景のために」 森美術館(@mori_art_museum)
会期:2013年9月21日(土)~2014年1月13日(月・祝)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00(火曜のみ17時まで。)*12月の金曜日は24時まで開館。入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下(4歳まで)500円。
*入館料で展望台「東京シティビュー」にも入場可。
場所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウトー来たるべき風景のために」
2013/9/21-2014/1/13
森美術館で開催中の「六本木クロッシング2013」を見てきました。
2004年より3年に1度、森美術館を舞台に多様な現代美術を紹介してきた「六本木クロッシング」。今年で回を数えること4回目。美術館を代表する企画として定着してきた感もあります。
今回のテーマは「アウト・オブ・ダウトー来たるべき風景のために」。疑念を意味する『ダウト』を起点にアートをどう捉え、表現していくのか。震災後の初のクロッシング。かの被害をふまえて、当然あるべき、またあったであろう秩序への疑念。言わば価値の転換や再考を促される時代でもあります。
小林史子「1000の足とはじまりの果実」2013年
さて冒頭の展開が圧巻です。まずは小林史子。展示室入口を塞がんとばかりに立ちはだかるのは「1000の足とはじまりの果実」。大量に摘みあがる椅子に絡み合う洋服。それがまさに天井まで壁のように構築されていく。ちなみに素材はいずれも六本木周辺で入手されたものだそうです。
小林史子「1000の足とはじまりの果実」2013年
それにしてもこの迫力。小林といえば、より複雑な構成をとった立体も見事ですが、今回はともかく一面の壁。大きさは6m×6m。もはや個では対峙することすら出来ないほどのスケールです。凄まじい圧迫感でした。
さて小林の壁を乗り越えると現れるのが風間サチコ。政治、歴史的テーマを現代の視点から木版に表現します。
風間サチコ「人外交差点」2013年
何と言っても目立つのは「人外交差点」です。渋谷のスクランブルを舞台にしたものですが、そこに跋扈する人間なり生き物は魑魅魍魎。そして看板には目や耳の絵。また「チョットマテ!言ふて良い事 悪い事」、さらには「スパイ」などの文字が。国家、メディア、はたまたネット。時代を超えて様々な統制、また相互監視下にある市民。物議を醸している機密保護法案とも関連があるのでしょうか。ともかくもそうした昨今の状況に警鐘を鳴らしています。
「獄門核分裂235」はどうでしょうか。いわゆる「原子力村」への作家の激しい憤りが表された一枚。言うまでもなく福島第一原子力発電所の事故をふまえての作品に他なりません。
中村宏「基地」1957年
そして後ろを振り返れば中村宏。1932年生まれ、ルポタージュ絵画でも知られる作家ですが、ここでも沖縄戦や基地問題を扱った作品が展示されている。国家と個人の関係。そして何よりも社会への大いなる批判精神。それが風間の作品世界と半ば共鳴しています。
丹羽良徳「日本共産党にカール・マルクスを掲げるように提案する」2013年
さらにこの後に続く小泉明郎と丹羽良徳の映像も見どころ。丹羽は最近の自身の関心という共産主義の問題をセレクト。ルーマニアと日本における共産主義の問題を取り上げています。
小林にはじまり丹羽へ至る展開。社会が鋭く抉られている。実に見応えがありました。
遠藤一郎「未来へ丸(模型)」2013年
さて以降は簡単に参ります。(率直に申し上げると冒頭のテンションを維持出来ませんでした。)犬島プロジェクトを提案した柳幸典。そして遠藤一郎の「未来へ丸」などの大掛かりなインスタレーションが目を引きます。
泉太郎「キャラメル」2013年
泉太郎の「キャラメル」が異彩を放ちます。スクリーンに映し出された動物たち。片目の部分は切り抜かれ、モニター越しに人間の目が映っている。シンプルな仕掛けながらも、動物と人間の境界を揺さぶります。
朝海陽子「ペース」シリーズより 2013年
朝海陽子の2つの写真シリーズは魅惑的です。西表島に滞在して、潮の干満を記録したいという「ペース」(2013)。現地では生活に際し、潮の干満が大変に重要だとか。そこを朝海は複数の写真を用いて、同じ場所の異なる風景を捉える。美しき海をドキュメンタリー的に写します。
菅木志雄「間連空」2013年
ラストは重鎮の菅木志雄でした。「間連空」(2013)と名付けられたサークル状の立体。何やら古代の祭祀の場を思わせるような空間。窓越しには東京の景色が見える。喧噪の六本木の天空に現れた瞑想の場所。そうした印象も受けました。
柳幸典「犬島プロジェクト」1995年~2000年
クロッシングに関するテキストは同館公式ブログでも充実。それを読むとまた違うもしれませんが、果たして展示そのものからどれほどコンセプトなりメッセージが浮かび上がっていたのか。諸々と議論はありそうです。
「六本木クロッシング2013」展示室風景
一部を除き、作品の撮影が可能でした。なお本エントリに掲載の写真は全て「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。
館内は空いていました。2014年1月13日まで開催されています。
「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウトー来たるべき風景のために」 森美術館(@mori_art_museum)
会期:2013年9月21日(土)~2014年1月13日(月・祝)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00(火曜のみ17時まで。)*12月の金曜日は24時まで開館。入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下(4歳まで)500円。
*入館料で展望台「東京シティビュー」にも入場可。
場所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
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「ミュージアムカフェマガジン vol.2」 山口晃展特集
展覧会情報でお馴染みのミュージアムカフェより刊行された「ミュージアムカフェマガジン」。
「ミュージアムカフェマガジン」vol.2表紙
フリーペーパーながらも読み物が充実。創刊号は芸大美術館の興福寺展とタイアップ。展示の内容から仏像の見方まで。親しみやすいテキストとともに可愛らしいイラストも目を引きました。
「ミュージアムカフェマガジン」が創刊されました(ブログでも一度ご紹介しました)
そのミュージアムカフェマガジンの第2号が刊行。今回は群馬県立館林美術館で個展開催中の山口晃が特集されています。
さてタイトルはずばり「画伯って、一体何者なんですか?」。確かに「画伯」と呼ばれながらも、執筆や講演などの多方面で活躍を見せる山口晃。どんな内容なのか、中を少し見ましょう。
まずはインタビュー「画業半生、ほぼ総覧」です。幼少期のお絵描きから芸大受験まで。また大学時代の油画に違和感を覚えたというエピソードも。そして話題は絵を描くこととどう向き合うのかという核心へと移ります。
「自己模倣になってしまうとダメですね。気を抜くとつい手首から先だけで描いてしまう。最終的な段階で肩口から腕を動かしてザザっと描くと、絵が大振りになっていいんですけど。」という言葉が心にとまりました。
また面白いのは制作時の息抜きについて。何でもyoutubeのアニメを見たり、不動産サイトで高級物件の間取りをチェックして楽しむとか。「2億、3億当たり前!」だそうです。(笑)
ラストは画伯ならではの絵の見方です。このデジタル全盛の時代にあえて「音の出ない、画の動かないもの」と向き合う必要性を説く。鑑賞のヒントになります。
それにしてもこの見開きしかり、画伯は一体何人いるのかという写真。まるで分身です。思わず表紙から数えてしまいます。もう潔いまでの画伯推しでした。
なお後半は「山口晃 美術の見方」と題し、画伯の作品を3つの視点から分析。これがまた山口晃の世界をうまく伝えていました。
@erimi_erimi 画伯インタヴューのお仕事をさせていただきました。 QT @museumcafe 「ミュージアムカフェ マガジン vol.2」完成しました!......略......今回の特集は、群馬県立館林美術館で個展が開催中のあの画伯!! http://t.co/vjPU7UYHM3
ちなみにインタビューはライターの藤原えりみさんがされたそうです。さすがの充実ぶり。さもありなんという気がしました。
さて最後にマガジンの入手に関しての情報です。基本的に美術館や博物館で配布されていますが、前回の創刊号は話題を集めたのか、例えば「美術館で探したけども見つからなかった。」というツイートが続出。実際に私も見かけず、ほぼ入手困難の状態でした。
一方でカフェ他、飲食店では見かけたという声も。ルミネ新宿や丸の内カフェなどでも配布中です。また今回号に限り、群馬県立館林美術館で常時配布、及びミヅマアートギャラリーにも置いてあるとか。そちらを当たってみても良いかもしれません。
なお館林の山口晃展はこれまでの画家の展覧会で最も網羅的な内容。かなり見応えがあります。
「山口晃展 画業ほぼ総覧」@群馬県立館林美術館(ブログの感想。2014/1/13まで。)
マガジンを片手に館林で山口ワールドに浸かってみては如何でしょうか。
【フリーマガジン】「ミュージアムカフェ マガジン」
創刊:2013年10月10日
発行頻度:月刊(毎月10日発行)
発行部数:35000部
設置箇所:全国の美術館・博物館(約200館)
設置箇所:都内を中心としたカフェ(約120店舗)
主な設置場所:東京藝術大学大学美術館、東京国立近代美術館、奈良国立博物館、国立国際美術館、兵庫県立美術館、横浜美術館、東京ステーションギャラリー、千葉市美術館、金沢21世紀美術館 ほか各美術館・博物館
WIRED CAFE 渋谷QFRONT店、宇田川カフェ、LOTUS、A971 lounge、WIRED CAFE 360°、WIRED CAFE SHINJUKU LUMINE、Marunouchi cafe ease ほか飲食店
美術館・博物館情報サイト「ミュージアムカフェ」
URL:http://www.museum-cafe.com(Web・モバイル共通)
ミュージアムカフェ事務局:@museumcafe
【Androidアプリ】「ミュージアムカフェ」
価格:無料 対応機種:Android OS 3.0以降
ダウンロード:Google Playからダウンロード
ジャンル:ライフスタイル
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.kosaido.musiumcafe
【iOSアプリ】「ミュージアムカフェ」
価格:無料 対応機種:iPad、iPhone、iPod touch
ダウンロード:AppStoreからダウンロード
ジャンル:ライフスタイル
http://itunes.apple.com/jp/app/id321825497?mt=8
「ミュージアムカフェマガジン」vol.2表紙
フリーペーパーながらも読み物が充実。創刊号は芸大美術館の興福寺展とタイアップ。展示の内容から仏像の見方まで。親しみやすいテキストとともに可愛らしいイラストも目を引きました。
「ミュージアムカフェマガジン」が創刊されました(ブログでも一度ご紹介しました)
そのミュージアムカフェマガジンの第2号が刊行。今回は群馬県立館林美術館で個展開催中の山口晃が特集されています。
さてタイトルはずばり「画伯って、一体何者なんですか?」。確かに「画伯」と呼ばれながらも、執筆や講演などの多方面で活躍を見せる山口晃。どんな内容なのか、中を少し見ましょう。
まずはインタビュー「画業半生、ほぼ総覧」です。幼少期のお絵描きから芸大受験まで。また大学時代の油画に違和感を覚えたというエピソードも。そして話題は絵を描くこととどう向き合うのかという核心へと移ります。
「自己模倣になってしまうとダメですね。気を抜くとつい手首から先だけで描いてしまう。最終的な段階で肩口から腕を動かしてザザっと描くと、絵が大振りになっていいんですけど。」という言葉が心にとまりました。
また面白いのは制作時の息抜きについて。何でもyoutubeのアニメを見たり、不動産サイトで高級物件の間取りをチェックして楽しむとか。「2億、3億当たり前!」だそうです。(笑)
ラストは画伯ならではの絵の見方です。このデジタル全盛の時代にあえて「音の出ない、画の動かないもの」と向き合う必要性を説く。鑑賞のヒントになります。
それにしてもこの見開きしかり、画伯は一体何人いるのかという写真。まるで分身です。思わず表紙から数えてしまいます。もう潔いまでの画伯推しでした。
なお後半は「山口晃 美術の見方」と題し、画伯の作品を3つの視点から分析。これがまた山口晃の世界をうまく伝えていました。
@erimi_erimi 画伯インタヴューのお仕事をさせていただきました。 QT @museumcafe 「ミュージアムカフェ マガジン vol.2」完成しました!......略......今回の特集は、群馬県立館林美術館で個展が開催中のあの画伯!! http://t.co/vjPU7UYHM3
ちなみにインタビューはライターの藤原えりみさんがされたそうです。さすがの充実ぶり。さもありなんという気がしました。
さて最後にマガジンの入手に関しての情報です。基本的に美術館や博物館で配布されていますが、前回の創刊号は話題を集めたのか、例えば「美術館で探したけども見つからなかった。」というツイートが続出。実際に私も見かけず、ほぼ入手困難の状態でした。
一方でカフェ他、飲食店では見かけたという声も。ルミネ新宿や丸の内カフェなどでも配布中です。また今回号に限り、群馬県立館林美術館で常時配布、及びミヅマアートギャラリーにも置いてあるとか。そちらを当たってみても良いかもしれません。
なお館林の山口晃展はこれまでの画家の展覧会で最も網羅的な内容。かなり見応えがあります。
「山口晃展 画業ほぼ総覧」@群馬県立館林美術館(ブログの感想。2014/1/13まで。)
マガジンを片手に館林で山口ワールドに浸かってみては如何でしょうか。
【フリーマガジン】「ミュージアムカフェ マガジン」
創刊:2013年10月10日
発行頻度:月刊(毎月10日発行)
発行部数:35000部
設置箇所:全国の美術館・博物館(約200館)
設置箇所:都内を中心としたカフェ(約120店舗)
主な設置場所:東京藝術大学大学美術館、東京国立近代美術館、奈良国立博物館、国立国際美術館、兵庫県立美術館、横浜美術館、東京ステーションギャラリー、千葉市美術館、金沢21世紀美術館 ほか各美術館・博物館
WIRED CAFE 渋谷QFRONT店、宇田川カフェ、LOTUS、A971 lounge、WIRED CAFE 360°、WIRED CAFE SHINJUKU LUMINE、Marunouchi cafe ease ほか飲食店
美術館・博物館情報サイト「ミュージアムカフェ」
URL:http://www.museum-cafe.com(Web・モバイル共通)
ミュージアムカフェ事務局:@museumcafe
【Androidアプリ】「ミュージアムカフェ」
価格:無料 対応機種:Android OS 3.0以降
ダウンロード:Google Playからダウンロード
ジャンル:ライフスタイル
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.kosaido.musiumcafe
【iOSアプリ】「ミュージアムカフェ」
価格:無料 対応機種:iPad、iPhone、iPod touch
ダウンロード:AppStoreからダウンロード
ジャンル:ライフスタイル
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「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」 原美術館
原美術館
「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」
10/12-12/23
*図版1
原美術館で開催中の「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」のプレスプレビューに参加してきました。
約20年ぶりに森村の扮するレンブラントがやって来た。
1994年に原美術館で行われた「森村泰昌 レンブラントの部屋」。森村自らがレンブラントの自画像に扮し、初期から晩年、その表現と人生の変遷を半ば追いかけていく。当時は国内の美術館での初個展。話題を集め、作品は美術館へ収蔵されました。
以来20年。何度か単発的に作品が公開されたことはあったものの、その全てを改めて紹介したことは一度もありませんでした。
そこで「再び」です。1994年の「レンブラントの部屋」を再現します。
さてこの日はプレビューに参加し、作家森村のレクチャーを伺うことが出来ました。以下、その内容を簡単にまとめたいと思います。
「黄色い服を着たセルフポートレイト 1658」1994年
まず何故にレンブラントの自画像に着目したのか。神話や聖書をモチーフとして時に壮大な物語を絵画に描いたレンブラント。一方、多数残した自画像においても何らかの物語を作ろうとしていたのではないか。自分自身とともに夫人や愛人の姿も描いている。言わば家族の物語。人間してのレンブラント。そのプライベートな部分に惹かれたことから始まった。
「家族の肖像・妻」1994年
レンブラントの自画像に自らを重ねることで人生を追体験する。若い頃から晩年への展開。半ばダブルポートレートというべきかもしれない。
1階の展示室は夫人や息子、そして母親をモデルとした作品を。夫人と愛人をちょうど対面の位置に展示してみた。また自画像では初期から壮年期の作品を並べている。
それでは何故に20年前の再現をしたのか。まず再現するためには、当時の場所、モノ、人のいずれもが残っていなくてはならない。幸いにして原美術館という場所も収蔵されたレンブラントシリーズもそのまま残っている。そして94年の展示を担当したのは現副館長。スタッフとの息もあって可能になった。
「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」ギャラリー1展示室(1階)
レンブラント・シリーズを並べて改めて感じたこと。まず20年前に考えていたことを振り返ることが出来る。その一方で自分なりの作品に対する受け止め方が変わったことも分かった。20年前と今の自分。レンブラントを通すことで比較出来た。
「レンブラントの部屋」では画家の作品にも重要な「光と闇」が一つのキーワードとなっている。闇から浮かび上がる自画像。ラストは一転しての光。ライトボックスを用いた「白い闇」を展示した。
レンブラントに死んで皮の剥がれた牛の描いた「された牛」という作品がある。それを前にしてふと思い浮かんだことがあった。つまり牛の肉の塊と絵具の塊が共通のイメージを表している。言い換えればベーコン画に通ずるような肉的な感覚への意識。そこをテーマにした作品を作りたいと考えた。
そのためにはまず実際に食肉センターに行き、された牛を撮影することから始めた。息をして生きている牛と、綺麗にカットされて食卓へと並ぶ牛肉。しかし場で吊るされた牛はその何物でもない。まさに巨大な塊。しかも白い。それが実に不思議だった。
レンブラントは暗い闇の中に筆を置くことで何かを描きだす。言い換えれば闇に絵具という光を当てることで絵画を生み出した。また絵画はレンブラントから時代を経て印象派の頃にはずっと明るくなった。それと同じように例えばロウソクが電球に変わることによってより強い光がもたらされた。さらに写真が映像になったことでも強い光が得られた。
つまり歴史とは光の強くなる過程。モノやコトが明瞭に見えてくる過程ではないだろうか。そしてその行き着く果てに得られたのは、現代における原爆の炸裂の閃光である。しかしながら核の問題、例えば放射能汚染の一つをとっても、逆に我々の目をくらませ、再び良く分からないような恐怖、つまり闇を再び生み出していることにも繋がらないだろうか。
そのようなことを「白い闇」を通して考えた。
「恰幅の良いセルフポートレイト 1643」1994年
さてそもそもレンブラントの自画像とは一体何なのだろうか。自分とは何かを見つめるために描く。確かにそうした面もあるかもしれない。しかし一連の自画像を見ていると彼が色々と演じていることが分かった。
「笑うポートレイト 1665」1994年
例えば夫人を描いた一枚、フローラの格好をさせている。またレンブラント自身も豪華な衣装を纏い、貫禄のある姿で描いている。まるで貴族の自画像だ。またそれらにはルーベンスの自画像など元ネタのある場合もある。レンブラントはそれに自身を重ねあわせているわけだ。
しかしながら一方でボロを着ている自画像もある。ようは貴人にも貧しい人にも扮せる演技派。しかも彼はそれを楽しんでいたのではないだろうか。
レンブラントの自画像を見ていて最も惹かれたのはまさに彼が扮装の達人であること。だからこそ自分もさらにレンブラントを演じてみたいと思ったわけだ。
「放蕩息子に扮するセルフポートレイト 1636」(1994年)の前に立つ森村泰昌
以上です。少し硬い文章になってしまいましたが、実際には物腰柔らかく、時に冗談を交えてのお話でした。
「輪舞(ロンド)」1994年~
さて館内はまさしく森村一色ですが、本展にあわせて常設の「輪舞」も衣装替えして登場。こちらも見どころです。
また森村は現在、資生堂ギャラリーにてベラスケスの「ラス・メニーナス」をモチーフとした新作の展示も開催中。銀座と品川。ともに行き来しながら、今と昔の森村の表現を見比べるのも面白いかもしれません。
11月15日(金)の20時スタート、BS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」で本展の特集があるそうです。こちらもあわせてご覧ください。
「11/15(金)夜8時~OA『ぶらぶら美術・博物館』に森村泰昌展登場」@原美術館
12月23日まで開催されています。
「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」 原美術館(@haramuseum)
会期:10月12日(土)~12月23日(月・祝)
休館:月曜日。(但し祝日にあたる10月14日、11月4日、12月23日は開館)、10月15日、11月5日。
時間:11:00~17:00。*水曜は20時まで。
料金: 一般1000円、大高生700円、小中生500円
*原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料。
*20名以上の団体は1人100円引。
住所:品川区北品川4-7-25
交通:JR線品川駅高輪口より徒歩15分。都営バス反96系統御殿山下車徒歩3分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。図版1は「恰幅の良いセルフポートレイト 1640」。
「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」
10/12-12/23
*図版1
原美術館で開催中の「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」のプレスプレビューに参加してきました。
約20年ぶりに森村の扮するレンブラントがやって来た。
1994年に原美術館で行われた「森村泰昌 レンブラントの部屋」。森村自らがレンブラントの自画像に扮し、初期から晩年、その表現と人生の変遷を半ば追いかけていく。当時は国内の美術館での初個展。話題を集め、作品は美術館へ収蔵されました。
以来20年。何度か単発的に作品が公開されたことはあったものの、その全てを改めて紹介したことは一度もありませんでした。
そこで「再び」です。1994年の「レンブラントの部屋」を再現します。
さてこの日はプレビューに参加し、作家森村のレクチャーを伺うことが出来ました。以下、その内容を簡単にまとめたいと思います。
「黄色い服を着たセルフポートレイト 1658」1994年
まず何故にレンブラントの自画像に着目したのか。神話や聖書をモチーフとして時に壮大な物語を絵画に描いたレンブラント。一方、多数残した自画像においても何らかの物語を作ろうとしていたのではないか。自分自身とともに夫人や愛人の姿も描いている。言わば家族の物語。人間してのレンブラント。そのプライベートな部分に惹かれたことから始まった。
「家族の肖像・妻」1994年
レンブラントの自画像に自らを重ねることで人生を追体験する。若い頃から晩年への展開。半ばダブルポートレートというべきかもしれない。
1階の展示室は夫人や息子、そして母親をモデルとした作品を。夫人と愛人をちょうど対面の位置に展示してみた。また自画像では初期から壮年期の作品を並べている。
それでは何故に20年前の再現をしたのか。まず再現するためには、当時の場所、モノ、人のいずれもが残っていなくてはならない。幸いにして原美術館という場所も収蔵されたレンブラントシリーズもそのまま残っている。そして94年の展示を担当したのは現副館長。スタッフとの息もあって可能になった。
「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」ギャラリー1展示室(1階)
レンブラント・シリーズを並べて改めて感じたこと。まず20年前に考えていたことを振り返ることが出来る。その一方で自分なりの作品に対する受け止め方が変わったことも分かった。20年前と今の自分。レンブラントを通すことで比較出来た。
「レンブラントの部屋」では画家の作品にも重要な「光と闇」が一つのキーワードとなっている。闇から浮かび上がる自画像。ラストは一転しての光。ライトボックスを用いた「白い闇」を展示した。
レンブラントに死んで皮の剥がれた牛の描いた「された牛」という作品がある。それを前にしてふと思い浮かんだことがあった。つまり牛の肉の塊と絵具の塊が共通のイメージを表している。言い換えればベーコン画に通ずるような肉的な感覚への意識。そこをテーマにした作品を作りたいと考えた。
そのためにはまず実際に食肉センターに行き、された牛を撮影することから始めた。息をして生きている牛と、綺麗にカットされて食卓へと並ぶ牛肉。しかし場で吊るされた牛はその何物でもない。まさに巨大な塊。しかも白い。それが実に不思議だった。
レンブラントは暗い闇の中に筆を置くことで何かを描きだす。言い換えれば闇に絵具という光を当てることで絵画を生み出した。また絵画はレンブラントから時代を経て印象派の頃にはずっと明るくなった。それと同じように例えばロウソクが電球に変わることによってより強い光がもたらされた。さらに写真が映像になったことでも強い光が得られた。
つまり歴史とは光の強くなる過程。モノやコトが明瞭に見えてくる過程ではないだろうか。そしてその行き着く果てに得られたのは、現代における原爆の炸裂の閃光である。しかしながら核の問題、例えば放射能汚染の一つをとっても、逆に我々の目をくらませ、再び良く分からないような恐怖、つまり闇を再び生み出していることにも繋がらないだろうか。
そのようなことを「白い闇」を通して考えた。
「恰幅の良いセルフポートレイト 1643」1994年
さてそもそもレンブラントの自画像とは一体何なのだろうか。自分とは何かを見つめるために描く。確かにそうした面もあるかもしれない。しかし一連の自画像を見ていると彼が色々と演じていることが分かった。
「笑うポートレイト 1665」1994年
例えば夫人を描いた一枚、フローラの格好をさせている。またレンブラント自身も豪華な衣装を纏い、貫禄のある姿で描いている。まるで貴族の自画像だ。またそれらにはルーベンスの自画像など元ネタのある場合もある。レンブラントはそれに自身を重ねあわせているわけだ。
しかしながら一方でボロを着ている自画像もある。ようは貴人にも貧しい人にも扮せる演技派。しかも彼はそれを楽しんでいたのではないだろうか。
レンブラントの自画像を見ていて最も惹かれたのはまさに彼が扮装の達人であること。だからこそ自分もさらにレンブラントを演じてみたいと思ったわけだ。
「放蕩息子に扮するセルフポートレイト 1636」(1994年)の前に立つ森村泰昌
以上です。少し硬い文章になってしまいましたが、実際には物腰柔らかく、時に冗談を交えてのお話でした。
「輪舞(ロンド)」1994年~
さて館内はまさしく森村一色ですが、本展にあわせて常設の「輪舞」も衣装替えして登場。こちらも見どころです。
また森村は現在、資生堂ギャラリーにてベラスケスの「ラス・メニーナス」をモチーフとした新作の展示も開催中。銀座と品川。ともに行き来しながら、今と昔の森村の表現を見比べるのも面白いかもしれません。
11月15日(金)の20時スタート、BS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」で本展の特集があるそうです。こちらもあわせてご覧ください。
「11/15(金)夜8時~OA『ぶらぶら美術・博物館』に森村泰昌展登場」@原美術館
12月23日まで開催されています。
「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」 原美術館(@haramuseum)
会期:10月12日(土)~12月23日(月・祝)
休館:月曜日。(但し祝日にあたる10月14日、11月4日、12月23日は開館)、10月15日、11月5日。
時間:11:00~17:00。*水曜は20時まで。
料金: 一般1000円、大高生700円、小中生500円
*原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料。
*20名以上の団体は1人100円引。
住所:品川区北品川4-7-25
交通:JR線品川駅高輪口より徒歩15分。都営バス反96系統御殿山下車徒歩3分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。図版1は「恰幅の良いセルフポートレイト 1640」。
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「ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク」が開催されます
東京都美術館で開催中のターナー展。イギリスはテート美術館より110点超の作品が来日。ターナーの足跡を辿りながら、画風の変遷を振り返る展示となっています。
「ターナー展」@東京都美術館(10/8~12/18)
そのターナー展において「ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク」が行われます。
「ターナー展 ブロガーイベント」は定員に達したため、受付を終了しました。
[ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク]
・開催日:11月20日(水)19:00~20:30(受付開始18:30~)
・会場:東京都美術館 企画展示室
・スケジュール
18:30~ 受付開始
19:00~19:30 トークイベント 企画展示室前
19:30~20:30 自由内覧
・トークイベント スペシャルゲスト
鈴木芳雄さん(元BRUTUS副編集長、フリーランス編集者、美術ジャーナリスト、愛知県立芸術大学客員教授)
結城昌子さん(アートディレクター、エッセイスト)
・参加費:無料
右:「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」1820年 油彩、カンヴァス
開催日は11月20日(水)の夜、19時から20時半まで。閉館後貸し切りでの観覧です。また内覧に先立ち、お馴染みフクヘンさんこと鈴木芳雄さんとアートディレクターの結城昌子さんによるトークイベントも。展示室内の撮影も出来ます。(制限事項あり。)
[参加特典]
・閉館後のゆったりした展示室で「ターナー展」特別鑑賞
・館内の撮影が可能 (撮影に関する注意事項にお気を付けください。詳細は事前にご案内します)
・元BRUTUSフクヘン鈴木芳雄さんと、アートディレクター、エッセイスト結城昌子さんによるトークショー
・プレス向け報道資料と、展覧会クリアフォルダーをプレゼント
応募用件はブログ、及びFacebookのアカウントをお持ちの方。また取材した内容を11月30日までにご紹介いただける方です。
[応募条件]
・アートを見るのが好きで、ブログ、Facebookのアカウントを持っている方
・取材いただいた内容を、11月30日(土)までにご紹介いただける方
・エントリー、ご参加は1名様、1回まで
申込方法は「ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク」専用アドレスへ。氏名、年齢、ブログURL、及びFacebookアカウントを明記の上、メール(event-blog@hilopress.net)にて申込下さい。なお一定数に達し次第、受付は終了となります。
[申し込み先]専用アドレス「event-blog@hilopress.net」
*必要事項
・氏名
・お持ちのメディア名(ブログかFacebookか)と各アドレス
・ブログの場合は、タイトルとアドレス
・Facebookの場合は、アドレス
・年齢
*事務局より申込受付表をお送りしますので、当日そちらを持参の上、受付にご提出ください。
「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」1808年 油彩、カンヴァス
先だっては入場者が10万名を突破。国内におけるターナーの人気を改めて見せつけました。ターナー展における貴重なSNSユーザ向けのイベント。しかもフクヘンさんと結城昌子さんのトークまで聞くことが出来ます。
ターナー展会場風景
「ターナー展」@東京都美術館(プレビューの様子をまとめてあります。)
11月20日(水)の夜、お時間のある方は、是非ともご応募下さい。
「ターナー展 ブロガーイベント」は定員に達したため、受付を終了しました。
「美術手帖 2013年11月号増刊ターナー英国風景画の巨匠、全貌に迫る」
「ターナー展」 東京都美術館
会期:10月8日(火)~12月18日(水)
時間:9:30~17:30(毎週金曜日、及び10月31日、11月2日、3日は20時まで開館)*入室は閉室の30分前まで。
休館:月曜日。但し10月14日、11月4日、12月16日は開館。10月15日、11月5日は閉館。
料金:一般1600(1300)円、大学生1300(1100)円、高校生800(600)円。65歳以上1000(800)円。中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。
*毎月第3水曜日はシルバーデーのため65歳以上は無料。
*毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日のため、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般料金の半額。(要証明書)
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
「ターナー展」@東京都美術館(10/8~12/18)
そのターナー展において
「ターナー展 ブロガーイベント」は定員に達したため、受付を終了しました。
[ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク]
・開催日:11月20日(水)19:00~20:30(受付開始18:30~)
・会場:東京都美術館 企画展示室
・スケジュール
18:30~ 受付開始
19:00~19:30 トークイベント 企画展示室前
19:30~20:30 自由内覧
・トークイベント スペシャルゲスト
鈴木芳雄さん(元BRUTUS副編集長、フリーランス編集者、美術ジャーナリスト、愛知県立芸術大学客員教授)
結城昌子さん(アートディレクター、エッセイスト)
・参加費:無料
右:「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」1820年 油彩、カンヴァス
開催日は11月20日(水)の夜、19時から20時半まで。閉館後貸し切りでの観覧です。また内覧に先立ち、お馴染みフクヘンさんこと鈴木芳雄さんとアートディレクターの結城昌子さんによるトークイベントも。展示室内の撮影も出来ます。(制限事項あり。)
[参加特典]
・閉館後のゆったりした展示室で「ターナー展」特別鑑賞
・館内の撮影が可能 (撮影に関する注意事項にお気を付けください。詳細は事前にご案内します)
・元BRUTUSフクヘン鈴木芳雄さんと、アートディレクター、エッセイスト結城昌子さんによるトークショー
・プレス向け報道資料と、展覧会クリアフォルダーをプレゼント
応募用件はブログ、及びFacebookのアカウントをお持ちの方。また取材した内容を11月30日までにご紹介いただける方です。
[応募条件]
・アートを見るのが好きで、ブログ、Facebookのアカウントを持っている方
・取材いただいた内容を、11月30日(土)までにご紹介いただける方
・エントリー、ご参加は1名様、1回まで
申込方法は「ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク」専用アドレスへ。氏名、年齢、ブログURL、及びFacebookアカウントを明記の上、メール(event-blog@hilopress.net)にて申込下さい。なお一定数に達し次第、受付は終了となります。
[申し込み先]専用アドレス「event-blog@hilopress.net」
*必要事項
・氏名
・お持ちのメディア名(ブログかFacebookか)と各アドレス
・ブログの場合は、タイトルとアドレス
・Facebookの場合は、アドレス
・年齢
*事務局より申込受付表をお送りしますので、当日そちらを持参の上、受付にご提出ください。
「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」1808年 油彩、カンヴァス
先だっては入場者が10万名を突破。国内におけるターナーの人気を改めて見せつけました。ターナー展における貴重なSNSユーザ向けのイベント。しかもフクヘンさんと結城昌子さんのトークまで聞くことが出来ます。
ターナー展会場風景
「ターナー展」@東京都美術館(プレビューの様子をまとめてあります。)
11月20日(水)の夜、お時間のある方は、是非ともご応募下さい。
「ターナー展 ブロガーイベント」は定員に達したため、受付を終了しました。
「美術手帖 2013年11月号増刊ターナー英国風景画の巨匠、全貌に迫る」
「ターナー展」 東京都美術館
会期:10月8日(火)~12月18日(水)
時間:9:30~17:30(毎週金曜日、及び10月31日、11月2日、3日は20時まで開館)*入室は閉室の30分前まで。
休館:月曜日。但し10月14日、11月4日、12月16日は開館。10月15日、11月5日は閉館。
料金:一般1600(1300)円、大学生1300(1100)円、高校生800(600)円。65歳以上1000(800)円。中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。
*毎月第3水曜日はシルバーデーのため65歳以上は無料。
*毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日のため、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般料金の半額。(要証明書)
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「甘いねこ展」 とらや東京ミッドタウン店
とらや東京ミッドタウン店
「甘いねこ展」
9/25-12/16
とらや東京ミッドタウン店で開催中の「甘いねこ展」を見てきました。
「猫は 上のかぎりくろくて、腹いとしろき。」(枕草子より)
古くより日本人が愛してきた猫。その猫をテーマとした企画展がとらやミッドタウン店で行われています。
まずずらりと並ぶのは招き猫などの郷土人形。その数、約20点。京都の伏見人形から仙台の堤人形まで。江戸時代から作られてきたものが多いそうです。
地元の千葉の人形もお目見えです。長生郡の芝原人形に香取市の佐原張子が出品。ちなみに芝原人形は千葉に唯一残る伝統的土人形とか。2代、3代と受け継がれて、4代目を継承する千葉惣次が復元したのだそうです。
さらに奥には猫に因んだ様々な著作を紹介。それこそ枕草子にはじまり国芳、守一、そして藤田嗣治の画集まで。既に絶版になった貴重な本も展示しています。猫と日本人の千年にわたる歴史を辿っていました。
さてそれでは肝心の和菓子へとまいりましょう。言うまでもなくとらやでは毎回の展示に合わせて意匠を凝らした和菓子を制作。今回の猫では計3つの新作和菓子が登場しています。
まずは特製羊羹「にけ」。初めに挙げた枕草子の一節に出てくる黒と白の二毛柄の猫がモチーフ。山型のなだらかな曲線が猫の顔を表します。
「うたたね」はどうでしょうか。手鞠のような可愛らしい丸形のお菓子。こちらは三毛猫です。丸まってうたたねする様子を白、茶、橙の三色のそぼろで表現しました。
いずれもかなりのセンスです。猫の特徴をうまくデザインとしてお菓子に落とし込む。具体的な猫よりもデザインとしての猫のイメージが強く打ち出されます。ちなみに「にけ」は一本3600円の豪華版。通常、この手の大型の羊羹はなかなか販売が厳しいそうですが、今回に限ってはお店の方も驚くほど売れているとか。アイデアの勝利です。
そしてお菓子はいずれもとらやの社員から案を募って制作されています。会場では様々なお菓子のデザインもパネルで紹介。これがなかなか魅せます。
こちらは「すませば」。実際に商品化され、11/4まで販売されていたお菓子です。猫の耳を象ったものですが、紅に色づけした餡をどう浮かび上がらせるかに苦労したそうです。
また猫の目をモチーフとしたお菓子も最終の試作段階までいったそうですが、残念ながら商品化は断念したとか。まさに試行錯誤です。
その他、猫が金魚を見つめる可愛らしいモチーフや歯を象った個性的なものも。アイデアは多種多様。10作程度はお菓子の試作まで進んだそうです。
甘いねこのシール
ちなみに過去、とらやで猫をモチーフにしたお菓子を制作したことは殆どありません。と言うのも、猫は時に魔性の意味とも結びつき、縁起の悪い生き物とされていたとか。また毎年、年末年始には干支の動物を題材にした和菓子も販売してきましたが、そもそも干支にも猫は出てきません。そこにあえて今回取り組んだわけです。
本展は猫ではお馴染みのWEBマガジン、「ilove.cat」をパートナーに実現した企画です。そちらでも展示の情報が掲載されています。あわせてご覧ください。
「甘いねこ展 とらや東京ミッドタウン店ギャラリー開催中!12/16まで。」@ilove.cat
ミッドタウンとらやの企画展も今回で30回目です。小さなスペースながらも和菓子から日本の文化を発信しようとする試み。感度の良い展示には毎回感心させられます。
12月16日までの開催です。
「甘いねこ展」 とらや東京ミッドタウン店
会期:9月25日(水)~12月16日(月)
休館:会期中無休
時間:11:00~21:00
住所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア地下1階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
「甘いねこ展」
9/25-12/16
とらや東京ミッドタウン店で開催中の「甘いねこ展」を見てきました。
「猫は 上のかぎりくろくて、腹いとしろき。」(枕草子より)
古くより日本人が愛してきた猫。その猫をテーマとした企画展がとらやミッドタウン店で行われています。
まずずらりと並ぶのは招き猫などの郷土人形。その数、約20点。京都の伏見人形から仙台の堤人形まで。江戸時代から作られてきたものが多いそうです。
地元の千葉の人形もお目見えです。長生郡の芝原人形に香取市の佐原張子が出品。ちなみに芝原人形は千葉に唯一残る伝統的土人形とか。2代、3代と受け継がれて、4代目を継承する千葉惣次が復元したのだそうです。
さらに奥には猫に因んだ様々な著作を紹介。それこそ枕草子にはじまり国芳、守一、そして藤田嗣治の画集まで。既に絶版になった貴重な本も展示しています。猫と日本人の千年にわたる歴史を辿っていました。
さてそれでは肝心の和菓子へとまいりましょう。言うまでもなくとらやでは毎回の展示に合わせて意匠を凝らした和菓子を制作。今回の猫では計3つの新作和菓子が登場しています。
まずは特製羊羹「にけ」。初めに挙げた枕草子の一節に出てくる黒と白の二毛柄の猫がモチーフ。山型のなだらかな曲線が猫の顔を表します。
「うたたね」はどうでしょうか。手鞠のような可愛らしい丸形のお菓子。こちらは三毛猫です。丸まってうたたねする様子を白、茶、橙の三色のそぼろで表現しました。
いずれもかなりのセンスです。猫の特徴をうまくデザインとしてお菓子に落とし込む。具体的な猫よりもデザインとしての猫のイメージが強く打ち出されます。ちなみに「にけ」は一本3600円の豪華版。通常、この手の大型の羊羹はなかなか販売が厳しいそうですが、今回に限ってはお店の方も驚くほど売れているとか。アイデアの勝利です。
そしてお菓子はいずれもとらやの社員から案を募って制作されています。会場では様々なお菓子のデザインもパネルで紹介。これがなかなか魅せます。
こちらは「すませば」。実際に商品化され、11/4まで販売されていたお菓子です。猫の耳を象ったものですが、紅に色づけした餡をどう浮かび上がらせるかに苦労したそうです。
また猫の目をモチーフとしたお菓子も最終の試作段階までいったそうですが、残念ながら商品化は断念したとか。まさに試行錯誤です。
その他、猫が金魚を見つめる可愛らしいモチーフや歯を象った個性的なものも。アイデアは多種多様。10作程度はお菓子の試作まで進んだそうです。
甘いねこのシール
ちなみに過去、とらやで猫をモチーフにしたお菓子を制作したことは殆どありません。と言うのも、猫は時に魔性の意味とも結びつき、縁起の悪い生き物とされていたとか。また毎年、年末年始には干支の動物を題材にした和菓子も販売してきましたが、そもそも干支にも猫は出てきません。そこにあえて今回取り組んだわけです。
本展は猫ではお馴染みのWEBマガジン、「ilove.cat」をパートナーに実現した企画です。そちらでも展示の情報が掲載されています。あわせてご覧ください。
「甘いねこ展 とらや東京ミッドタウン店ギャラリー開催中!12/16まで。」@ilove.cat
ミッドタウンとらやの企画展も今回で30回目です。小さなスペースながらも和菓子から日本の文化を発信しようとする試み。感度の良い展示には毎回感心させられます。
12月16日までの開催です。
「甘いねこ展」 とらや東京ミッドタウン店
会期:9月25日(水)~12月16日(月)
休館:会期中無休
時間:11:00~21:00
住所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア地下1階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
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「犬のための建築展」 TOTOギャラリー間
TOTOギャラリー間
「犬のための建築展」
10/25-12/21
TOTOギャラリー間で開催中の「犬のための建築展」を見てきました。
犬に因む建築とは。まず思い浮かべるのが犬小屋でしょうか。とは言え、もちろん単に犬小屋のデザインを紹介する展覧会ではありません。
「犬のための建築展」会場風景
犬のスケールに立って建築を捉えることで、人間の建築における新たな可能性を追求する。デザインするのは世界に名だたる13組の建築家やデザイナーたち。創意工夫。犬が遊び、くつろぎ、また生活する空間。それを様々な建築にて提示しています。
さて対象は犬。従ってどの建築もスケールは小さめ。そしてモックではなく実寸大であるのも興味深いところです。
藤本壮介「NO DOG,NO LIFE!」
藤本壮介の「NO DOG,NO LIFE!」。何やら植物やおもちゃの置かれた白いキューブ。犬たちに遊びとくつろぎの場を提供します。
原デザイン研究所「POINTED T」
ちょうど傘のような山型のフォルムが目を引きます。原デザイン研究所からは「POINTED T」。ちなみに本展、具体的な犬を特定して建築をデザインしているのがポイントです。
そして作品の横に置かれた冊子では図面なども紹介。犬の身体的特徴などを見定めています。
アトリエワン「ARCHITECTURE FOR LONG-BODIED-SHORT-LEGGED DOG」
アトリエワンからはこちらの作品。遊具です。犬はダックスフンド。上下左右、犬が面白がって駆け回る姿を容易に想像出来ます。
伊東豊雄「MOBILE HOME FOR SHIBA」
犬用のベビーカーでしょうか。伊東豊雄は柴犬のために「MOBILE HOME FOR SHIBA」を出品。果たして犬が大人しくおさまるのかという気がしないでもありませんが、大きな日よけのデザインが目を引きました。
隈研吾「MOUNT PUG」
建築家たちが自由に発想しているのもまた見どころかもしれません。隈研吾の「MOUNT PUG」。パグを想定していますが、思わず何に利用されるのだろうと頭をひねってしまうような作品です。屋根のない犬小屋なのか単に遊び道具なのか。半ばオブジェです。摩訶不思議な形をしていました。
坂茂「PAPIER PAPILLON」
一方で日頃の仕事で直球勝負をかけているのが坂茂。「PAPIER PAPILLON」です。パピヨンのための迷路をお馴染みの紙管で構成。さすがにぶれません。
妹島和世「ARCHITECTURE FOR BICHON FRISE」
妹島和世の「ARCHITECTURE FOR BICHON FRISE」はどうでしょうか。フワフワの犬のソファ。これなら人間もそのまま使えそうです。
原研哉「D-TUNNEL」
一つ上のフロアでは原研哉による「D-TUNNEL」が展開。こちらは犬と人間のスケールを調整するためのモデルとか。犬が建築においてどう動くのか。そのヒントを与えてくれます。
原研哉「D-TUNNEL」
普段の建築展よりも遊び心が多分に盛り込まれた展覧会。ラストには犬のための建築を自分の手で出来る投稿コーナーも。これまでに投稿されたアイデアをWEB上で見ることも出来ます。
「犬のための建築を設計してください」@ギャラリー間
もう少し犬と人の関わりを問うような展示があればとも思いましたが、それこそ犬もびっくりの奇想天外な建築も少なくありません。肩の力を抜いて楽しめました。
「犬のための建築 ARCHITECTURE FOR DOGS/TOTO出版」
12月21日までの開催です。なおペットの入場は出来ません。ご注意下さい。
「犬のための建築展」 TOTOギャラリー間
会期:10月25日(金)~12月21日(土)
休館:日曜、月曜、祝日
時間:11:00~18:00(毎週金曜日は19時まで。)
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分。都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅7番出口徒歩6分。
「犬のための建築展」
10/25-12/21
TOTOギャラリー間で開催中の「犬のための建築展」を見てきました。
犬に因む建築とは。まず思い浮かべるのが犬小屋でしょうか。とは言え、もちろん単に犬小屋のデザインを紹介する展覧会ではありません。
「犬のための建築展」会場風景
犬のスケールに立って建築を捉えることで、人間の建築における新たな可能性を追求する。デザインするのは世界に名だたる13組の建築家やデザイナーたち。創意工夫。犬が遊び、くつろぎ、また生活する空間。それを様々な建築にて提示しています。
さて対象は犬。従ってどの建築もスケールは小さめ。そしてモックではなく実寸大であるのも興味深いところです。
藤本壮介「NO DOG,NO LIFE!」
藤本壮介の「NO DOG,NO LIFE!」。何やら植物やおもちゃの置かれた白いキューブ。犬たちに遊びとくつろぎの場を提供します。
原デザイン研究所「POINTED T」
ちょうど傘のような山型のフォルムが目を引きます。原デザイン研究所からは「POINTED T」。ちなみに本展、具体的な犬を特定して建築をデザインしているのがポイントです。
そして作品の横に置かれた冊子では図面なども紹介。犬の身体的特徴などを見定めています。
アトリエワン「ARCHITECTURE FOR LONG-BODIED-SHORT-LEGGED DOG」
アトリエワンからはこちらの作品。遊具です。犬はダックスフンド。上下左右、犬が面白がって駆け回る姿を容易に想像出来ます。
伊東豊雄「MOBILE HOME FOR SHIBA」
犬用のベビーカーでしょうか。伊東豊雄は柴犬のために「MOBILE HOME FOR SHIBA」を出品。果たして犬が大人しくおさまるのかという気がしないでもありませんが、大きな日よけのデザインが目を引きました。
隈研吾「MOUNT PUG」
建築家たちが自由に発想しているのもまた見どころかもしれません。隈研吾の「MOUNT PUG」。パグを想定していますが、思わず何に利用されるのだろうと頭をひねってしまうような作品です。屋根のない犬小屋なのか単に遊び道具なのか。半ばオブジェです。摩訶不思議な形をしていました。
坂茂「PAPIER PAPILLON」
一方で日頃の仕事で直球勝負をかけているのが坂茂。「PAPIER PAPILLON」です。パピヨンのための迷路をお馴染みの紙管で構成。さすがにぶれません。
妹島和世「ARCHITECTURE FOR BICHON FRISE」
妹島和世の「ARCHITECTURE FOR BICHON FRISE」はどうでしょうか。フワフワの犬のソファ。これなら人間もそのまま使えそうです。
原研哉「D-TUNNEL」
一つ上のフロアでは原研哉による「D-TUNNEL」が展開。こちらは犬と人間のスケールを調整するためのモデルとか。犬が建築においてどう動くのか。そのヒントを与えてくれます。
原研哉「D-TUNNEL」
普段の建築展よりも遊び心が多分に盛り込まれた展覧会。ラストには犬のための建築を自分の手で出来る投稿コーナーも。これまでに投稿されたアイデアをWEB上で見ることも出来ます。
「犬のための建築を設計してください」@ギャラリー間
もう少し犬と人の関わりを問うような展示があればとも思いましたが、それこそ犬もびっくりの奇想天外な建築も少なくありません。肩の力を抜いて楽しめました。
「犬のための建築 ARCHITECTURE FOR DOGS/TOTO出版」
12月21日までの開催です。なおペットの入場は出来ません。ご注意下さい。
「犬のための建築展」 TOTOギャラリー間
会期:10月25日(金)~12月21日(土)
休館:日曜、月曜、祝日
時間:11:00~18:00(毎週金曜日は19時まで。)
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分。都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅7番出口徒歩6分。
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