『インターフェアレンス展』 メゾンエルメス フォーラム

メゾンエルメス フォーラム
『インターフェアレンス展』 
2023/2/23~6/4



光や振動、波動といった身体に介入するゆらぎの感覚を通して、知覚の探究を試みるアーティストによる展覧会が、東京・銀座のメゾンエルメス フォーラムにて開かれています。

それが『インターフェアレンス(Interference)』で、会場ではフランシス真悟、スザンナ・フリッチャー、ブルーノ・ボテラ、宮永愛子の4名のアーティストが作品を公開していました。



『インターフェアレンス(Interference)』とは、参加アーティストのひとりであるフランシス真悟の光干渉顔料を用いたシリーズのタイトルに基づいていて、非常に薄い塗料が光の干渉によってさまざまな色の反応を示していました。



とりわけ大型の壁画である『Liminal Shifts』は、ガラスブロックより差し込む光を受け、仄かなピンク色とから虹色、さらに時折金色を思わせるような色を放っていて、実に繊細な表情を見せていました。また外の天候、また時間帯によって作品の景色も異なってくるのかもしれません。

メゾンエルメスの建物を身体のメタファーとし、ギャラリーの隠れた空間を用いたというブルーノ・ボテラの作品が異彩を放っていたのではないでしょうか。



ギャラリーの裏側に展示された『寄宿』とは、機械式のベッドや粘土による手を象ったオブジェなどによるもので、どことなく有機的でかつ不穏な雰囲気を醸し出していました。これはボテラが実際にベットにて寝て、空いた二つの穴より突き出た手の無意識の運動を捉えていて、いわば眠っている手を造形化した作品でした。

今回のグループ展で最も大掛かりな展示を手がけていたのは、ウィーン出身のスザンナ・フリッチャーの『Pulse』と題したインスタレーションでした。



これはガラスブロックに呼応したグリット上に張り巡らされた糸が、空間の中に潜む振動を空気に伝達させながら半透明の雨のように空間を満たす作品で、シリコンでできた糸がモーターによる動きを伴いつつ、ひたすら揺らめいていました。



また『Pulse』へは実際に立ち入ることも可能で、震える糸より空間を揺らぐ振動を感じ取ることもできました。さらにモーターやディスクから伝わる音響も糸の揺れと連動しているように思えました。



大掛かりながらも極めて繊細な『Pulse』の世界をスマートフォンのカメラで捉えるのは難しいかもしれません。実際に身を置くことで感じられる空間の揺らぎをしばし体感しました。



6月4日まで開催されています。

『インターフェアレンス展 フランシス真悟、スザンナ・フリッチャー、ブルーノ・ボテラ、宮永愛子』 メゾンエルメス フォーラム
会期:2023年2月23日(木・祝)~6月4日(日)
休廊:3月15日(木)
時間:11:00~19:00 
 *最終入場は閉館の30分前まで。
料金:無料
住所:中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8階フォーラム
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分。
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現代美術家、松山智一のキュレーションによる展覧会がKOTARO NUKAGAにて開催中です

東京・六本木のKOTARO NUKAGAにて、松山智一とアメリカのカルロス・ロロンがキュレーションを担った現代美術展が開かれています。


左:カンディダ・へーファー『Bibliotheque du CNAM Paris II 2007』 2007年 右:セイヤー・ゴメス『(To Be Titled)』 2022年

その『ながくとも四十に足らぬほどにて死なんこそめやすかるべけれ(Die Young, Stay Pretty) 』の見どころについて、Penオンラインに寄稿しました。

現代美術家、松山智一がキュレーション!KOTARO NUKAGAで生まれるアートの新たなケミストリー|Pen Online

今回の展示に参加したのは、松山とロロンを含む国内外9名のアーティストで、絵画や立体、写真や平面のコラージュなどさまざまな作品が並んでいました。


左:フーマ・ババ『Untitled』 2015年 右正面:マリリン・ミンター『Food Porn #60』 1990年 右下:エルヴィン・ヴルム『Glory(Semmel、Brotleib)』 2021年

タイトルの『ながくとも四十に足らぬほどにて死なんこそめやすかるべけれ』とは、『徒然草』の第七段より引用されたもので、現代訳にして「死ぬことがないならば、⼈⽣の深い感動は⽣まれてくるはずもない。やはり、⼈間の命ははかないほうが断然いい。」を意味する無常観が、アーティストの表現行為と合い通ずるとして名付けられました。(英訳はロロンによる)


左:松山智一『Home Salvation Toner』 2022年 右:フーマ・ババ『Untitled』 2015年

松山の『Home Salvation Toner』では、古典絵画やカルチャー誌、伝統的模様や日用品などのさまざまなモチーフがないまぜになるように表現されていて、美と醜や過去と現在などが1つの世界として構築されていました。


エルヴィン・ヴルム『Sigmund Freud’s Birth House』 2019年

十和田市現代美術館のまちなか常設展示の「太った家」で知られる、エルヴィン・ヴルムの立体も興味深かったかもしれません。


エルヴィン・ヴルム『ファット・ハウス』 *十和田市現代美術館のまちなか常設展示より

国際色豊かな作家らの作品によって、最先端のアートシーンを垣間見ることができました。


4月28日まで開催されています。

『ながくとも四十に足らぬほどにて死なんこそめやすかるべけれ(Die Young, Stay Pretty) 』 KOTARO NUKAGA 六本木
会期:2023年3月9日(木)~4月28日(金)
休廊:日、月、祝日。
料金:無料。
時間:11:00~18:00
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F
交通:東京メトロ日比谷線、都営大江戸線六本木駅3番出口より徒歩約3分。
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『美術館の春まつり』 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
『美術館の春まつり』
2023/3/17~4/9



千鳥ヶ淵や北の丸公園など桜の名所に立地する東京国立近代美術館にて、桜や春にちなんだ作品を公開する『美術館の春まつり』が開かれています。


杉浦非水『非水百花譜』 1920〜22年 国立工芸館

まず目を引くのは杉浦非水の『非水百花譜』で、100種類の花を描いた多色摺木版100点と、それぞれに対応した花の説明書、また同じ花をモノクロームのシルエットにした100点からなる図案集の木版でした。


杉浦非水『非水百花譜』 1920〜22年 国立工芸館

そこにはばらやあぶらな、ひなげしにしゃくやくなどの草花が瑞々しい色彩を伴って描かれていて、細部も図鑑さながらに精緻に表されていました。いずれも非水が原画を担当し、当時の一流の版画家が版画に仕立てたもので、資料ケースには花の説明書も展示されていました。


菊池芳文『小雨ふる吉野』 1914年

桜の時期に相応しい名品といえるのが菊池芳文の『小雨ふる吉野』で、桜の名所である吉野の光景を手前から奥へと鳥瞰的に表していました。


菊池芳文『小雨ふる吉野』(部分) 1914年

タイトルに小雨とありながら、かなりの雨が桜を濡らしていて、水を含むような花びらの描写に魅力を感じました。


鈴木主子『和春』 1936年

梨の花をモチーフにした鈴木主子の『和春』も優品といえるかもしれません。白い花をつけた梨の木がたんぽぽなどが生える地面の上に枝を伸ばしていて、やや鋭く屈曲する枝などは御舟の晩年の表現を連想するものがありました。


鈴木主子『和春』(部分) 1936年

鈴木は生涯にわたって植物を得意としていた画家で、本作に関しては展覧会に出展の際、審査員を務めていた清方が「しっかりして描写が行き届いた佳作」と高く評価しました。


船田玉樹『花の夕』 1938年

こうしたいわば緻密な描写による作品とは異なり、独特の表現を見せているのが船田玉樹の『花の夕』でした。一見、絵具を無造作に垂らして描いているように見えつつ、実は花のひとつひとつを筆でかたちをとっていて、鮮烈なマゼンタ色にも濃淡があるようすを目にすることができました。


児玉靖枝 作品展示風景

この他、展示の高さを変え、複数の作品でインスタレーションのように表現した児玉靖枝の桜をモチーフとした絵画も魅力に満ちていたかもしれません。淡い桜色が光と混じるように広がる光景から春を感じることができました。


なお『美術館の春まつり』では会期中、「春まつりオンライン・トークラリー」が実施されるほか、前庭にお休み処などが設置され、フードのテイクアウトなども行われます。詳しくは同館のWEBサイトをご覧ください。

4月9日まで開催されています。

『美術館の春まつり』 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:2023年3月17日(金)~4月9日(日)
時間:10:00~17:00。
 *金・土曜は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。ただし3月27日は開館。
料金:一般500(400)円、大学生250(200)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *『東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密』チケットでも観覧可。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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『第16回 shiseido art egg YU SORA展 もずく、たまご』 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
『第16回 shiseido art egg YU SORA展 もずく、たまご』
2023/3/7~4/9



資生堂ギャラリーで開催中の『第16回 shiseido art egg YU SORA展 もずく、たまご』を見てきました。

1987年に韓国で生まれ、現在は東京を拠点に活動するYU SORAは、白い布や黒い糸を用いた刺繍や実物大の家具を模した立体を用いて、日常へと向き合うインスタレーションを手がけてきました。



ともかく目を引くのがホワイトキューブの空間に置かれた机や椅子、またベットなどを象った立体の作品で、いずれも真っ白に染まりつつ、黒い糸で刺繍が施されていました。



そうした家具の上などには本やカップ、アイロンからメガネにレシートなど日用的な道具などが同じく立体にて表現されていて、黒い糸が無造作に絡まるように垂れていました。



さらに壁には厚みのある支持体にコンセントや衣服、携帯電話、また鍵などが刺繍にて象られていて、一部はタペストリーのように吊るされていました。



YU SORAは震災や事故、またパンデミックや戦争など、何気なく暮らす日常がはかなく簡単に崩れてしまうことをきっかけに、むしろ日常について深く考え、日常の大切さに気づくような作品をつくり続けてきました。



いずれもリアルに再現された日常の部屋ながらも、どことなく不穏な空気が漂っているような世界観も印象に深いかもしれません。静まり返ったモノクロームの空間を歩いていると、いつしか非日常の世界へと誘われているような気持ちにさせられました。


4月9日まで開催されています。

『第16回 shiseido art egg YU SORA展 もずく、たまご』 資生堂ギャラリー@ShiseidoGallery
会期:2023年3月7日(火)~4月9日(日) 
休廊:月曜日。*祝日が月曜にあたる場合も休館
料金:無料。
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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国立新美術館にて『ルーヴル美術館展 愛を描く』が開かれています

フランス・パリのルーヴル美術館のコレクションより「愛」をテーマとした作品を紹介する展覧会が、国立新美術館にて開かれています。


フランソワ・ジェラール『アモルとプシュケ』、または『アモルの最初のキスを受けるプシュケ』 1798年

その『ルーヴル美術館展 愛を描く』の見どころについて、イロハニアートへ寄稿しました。

『ルーヴル美術館展 愛を描く』をより楽しむ!見どころレポート | イロハニアート

まず今回の展覧会では「愛」の概念をいくつかのかたちに分けて紹介していて、まず最初の第1章「愛の神のもとに」ではギリシア・ローマ神話における愛を描いた作品を展示していました。

これに続くのが第2章「キリスト教の神のもとに」で、古代神話の愛とは対照的に、子が親を敬う愛の孝心といった、愛する者のために自分を犠牲にする愛の諸相を表した作品が並んでいました。お馴染みの「聖母子」や「聖家族」などのモチーフも目立っていたかもしれません。

18世紀フランス絵画の至宝、ジャン=オノレ・フラゴナールの『かんぬき』が26年ぶりの来日を果たしました。ここでは暗い寝室の中、男性が部屋のかんぬきをかけつつ、女性を抱き寄せるようなすがたを見せていて、一方の女性は男性から目を逸らしつつ、困惑とも陶酔とも受け止められるような複雑な表情をしていました。

いわゆる愛の戯れを表しつつ、道徳的警告が込められているともされていて、エロティシズムと緊張感が同時に示されたような画面に大きく引き込まれました。また見方によれば女性が男性の顔を払い除けようとしつつ、かんぬきを開けて外に出ようとしているようにも思えるかもしれません。


クロード=マリー・デュビュッフ『アポロンとキュパリッソス』 1821年

ラストの第4章「19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇」では、ロマン主義の画家の作品が並んでいて、悲劇の愛がドラマティックに表されるようすを見ることができました。*第4章のみ会期中も撮影可。本エントリの写真も第4章における展示作品。


ウジェーヌ・ドラクロワ『アビドスの花嫁』 1852〜1853年頃

混雑緩和のため事前予約制(日時指定券)が導入されました。会期中、当日券も発売されますが、各枠入場時間の予定枚数に達し次第、販売が終了となります。


6月12日まで開催されています。なお東京での会期を終えると、京都市京セラ美術館へと巡回します。*会期:2023年6月27日(火)~9月24日(日)

『ルーヴル美術館展 愛を描く』@love_louvre2023) 国立新美術館@NACT_PR
会期:2023年3月1日(水) ~6月12日(月)
休館:火曜日。ただし3月21日(火・祝)・5月2日(火)は開館し、3月22日(水)は休館。
時間:10:00~18:00
 *毎週金・土曜日は20:00まで
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2100円、大学生1400円。高校生1000円。中学生以下無料。
 *事前予約制(日時指定券)を導入。
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
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『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』 三菱一号館美術館

三菱一号館美術館
『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』
2023/2/25〜4/9



三菱一号館美術館で開催中の『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』を見てきました。

ともに歌川国芳の門下だった浮世絵師、落合芳幾と月岡芳年は、幕末から明治にかけて浮世絵が衰退する中、新たな境地を求めて旺盛に制作を行っていきました。

その芳幾と芳年の画業をたどるのが『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』で、会場には大阪で浅井書店(後の泰山堂)を営んだ浅井勇助氏が収集した幕末明治の浮世絵の「浅井コレクション」を中心に、芳年収集で知られる「西井コレクション」、また国芳研究にて有名な「悳コレクション」など貴重な個人コレクション約200点が公開されていました。

まず最初のプロローグで目を引くのが、芳幾と芳年が14図ずつ分担した『英名二十八衆句』で、いわゆる「血みどろ絵」と呼ばれる歌舞伎や講談から引用される残酷なシーンなどが描かれていました。


芳年『藤原保昌月下弄笛図』 1883(明治16)年 北九州市立美術館

ともに武者絵の浮世絵師として活動をはじめた芳幾と芳年は、芳幾が『太平記英勇伝』において師のスタイルを忠実に模したのに対し、芳年は『武者无類』シリーズのように作風を革新的なものへと変えていて、いずれの作品からは互いの個性を見ることができました。


芳幾『柳光若気競 きん八』 1870(明治3)年 悳コレクション

芳幾の才能が最も発揮されたのは新聞錦絵における制作で、自ら発刊に関わった『東京日日新聞』では、ゴシップ的な記事の内容を錦絵に取り上げて一般の大衆より大きな人気を集めました。



この芳幾の成功により新聞錦絵に多くの追従者が生まれると、芳年も『郵便報知新聞』の錦絵を手がけていて、駆け落ちや心中といった記事へオーバーアクション気味ともいえる迫真的な絵を描きました。

今回の展示ではふたりの絵師のほかに師の国芳、また歌川貞秀や小林清親といった同時代の浮世絵師の作品も並んでいて、いずれも見応えがありました。


芳幾と芳年の肉筆画も思いの外に充実していたかもしれません。またラストに並んだ芳年の傑作、『月百姿』も魅力に溢れていました。

芳幾と芳年が切り開いた表現とは?三菱一号館美術館にて展覧会が開催中 | イロハニアート

4月9日まで開催されています。なお同館は本展を終えると、設備入替および建物メンテナンスのため長期休館します。(2024年秋頃の再開館を予定)

『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』 三菱一号館美術館@ichigokan_PR
会期:2023年2月25日(土)〜4月9日(日)
休館:3月6日(月)、3月13日(月)、3月20日(月)
時間:10:00~18:00。
 *金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:大人1900円、高校・大学生1000円、中学生以下無料。
住所:千代田区丸の内2-6-2
交通:東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分。JR東京駅丸の内南口・JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩5分。
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『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』 日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール

日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール
『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』 
2023/3/1〜3/21



日本橋高島屋S.C. 本館8階ホールで開催中の『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』を見てきました。

1946年に生まれ、高島屋宣伝部でイラストレーターとして勤務したのち独立した織田憲嗣は、世界の貴重な名作椅子約1350種類を収集すると、北欧を中心とするテーブルや照明、また食器やおもちゃなどを約8千点のコレクションを築きあげました。

その織田コレクションをもとに北欧のデザインのを紹介するのが『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』で、会場には70名以上のデザイナーによる約300点の家具やテーブルウェアなどが公開されていました。



まずフィンランドのオイバ・トイッカのデザインした「トイッカの鳥」に続くのが「椅子と生きる」(第1章)と題したコーナーで、織田コレクションの椅子より選ばれた北欧デザインを代表する名作椅子が展示されていました。



そこにはデンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーの各国のデザイナーの椅子が並んでいて、素材や形状が異なりながらも有機的で美しい北欧の椅子のエッセンスを知ることができました。



第2章「デザインの源泉」ではデンマークのフィン・ユールをはじめ、フィンランドのアルヴァ・アアルトやティモ・サルパネヴァといった北欧を代表する10名のデザイナーの作品をまとめて紹介していて、それぞれの特徴や美意識の違いを見比べられました。



北欧の部屋を再現した「心の居場所」(第3章)が展示のハイライトといえるかもしれません。ここでは北欧の建材メーカーの窓枠や床材を使用してダイニングルームとリビングルームを築き、織田コレクションの家具を配置していて、さらに朝から夜へと移る1日を北欧の照明器具にて演出していました。



また再現展示の前には現行の商品によるアアルトやハンス J・ウェグナーの椅子も置かれていて、実際に座ることも可能でした。名作椅子に座りつつ、光の移ろいによって表情を変化させる部屋を見ていると、いつしか北欧の空間へと誘われるような気持ちにさせられるかもしれません。



このほか欧の生んだインテリアアクセサリーや食器などアートピースをデザイナーごとに紹介するコーナーも充実していて、北欧デザインの魅力に触れることができました。


一連のコレクションは現在、織田が文化芸術コーディネーターを務める北海道東川町にて公有化されていて、同地ではデザインミュージアムの設立準備室が開設されるなどして活動を続けてきました。


「ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展」【見どころ徹底レポート!】 | イロハニアート

3月21日まで開催します。なお東京での展示を終えると、ジェイアール名古屋タカシマヤ10階特設会場(2023年4月20日〜5月7日)と大阪高島屋7階グランドホール(2023年8月9日〜20日)へ巡回します。

『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』 日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール
会期:2023年3月1日(水) 〜3月21日(火・祝)
休館:会期中無休。
時間:10:30~19:30 
 ※最終日は18時まで
 ※入場は閉場の30分前まで
料金:一般1000円、大学・高校生800円、中学生以下無料
住所:中央区日本橋2-4-1
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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『WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展』 シャネル・ネクサス・ホール

シャネル・ネクサス・ホール
『WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展』 
2023/3/1~4/2



シャネル・ネクサス・ホールで開催中の『WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展』を見てきました。

1986年に生まれたアーティスト、マベル・ポブレットは、キューバ人としての自らのアイデンティティや世界との関係などを問い直すべく作品を手がけ、写真や映像、キネティックアートやパフォーマンスなどにて多様に表現してきました。



そのポブレットの新作を中心としたのが『WHERE OCEANS MEET』と題する個展で、会場には海や水をテーマにしたさまざまな作品が1つの物語を紡ぐかのように展示されていました。



まず目を引くのが「My Autumn」シリーズと題する作品で、青を基調とした円い支持体には人のすがたを思しきイメージが浮かび上がっていました。

また1つ1つの作品はピラミッド状の折り紙が無数に組み合わされていて、遠目では想像も付かないような素材で出来ていることが分かりました。



一連の「My Autumn」のシリーズからさらに先へと進むと登場するのが、作品の中へと入ることのできる『ISLAS』(Homelandシリーズより)と呼ばれるインスタレーションでした。鏡面に囲まれた空間には小さな鏡と海の写真の断片が無数に吊るされていて、かき分けて歩いていると海の奥底へと沈み込むような体験を得ることができました。



『ISLAS』と同じ「Homeland」シリーズの『NON-DUALITY』は、青く塗られたキャンバスの上に何百もの小さな花々がピン留めされた作品で、いずれもプラスチックにて作られていました。



このほか自身の旅の写真を用いて制作され、7つの円形作品で構成された「Travel Diary」のシリーズも美しく映えていたかもしれません。



ポブレットは鏡や海のイメージの断片を用いつつ、キューバでは身近な移民たちの人生を寓話的に表現していて、そこからは自然や生命、とりわけ移民をはじめとする人々へのオマージュも見ることができました。



鏡面を多用した展示空間そのものも魅力的だったかもしれません。それぞれの作品が鏡へ映り込みつつ、互いに響き合っていました。


キューバの気鋭アーティスト、マベル ポブレットが表現する海や生命へのオマージュ|Pen Online

撮影も可能です。4月2日まで開催されています。

『WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展』 シャネル・ネクサス・ホール
会期:2023年3月1日(水)~4月2日(日)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:11:00~19:00。 
 *最終入場は18:30まで。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
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『インドネシアの絣・イカット~クジラと塩の織りなす布の物語~』 たばこと塩の博物館

たばこと塩の博物館
『江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット~クジラと塩の織りなす布の物語~』 
2023/1/21~4/9



たばこと塩の博物館で開催中の『江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット~クジラと塩の織りなす布の物語~』を見てきました。

インドネシアで作られる絣織りの布であるイカットは、近年、伝統染織文化が見直される中、改めて国際的な評価を得るようになりました。

そのイカットの魅力を紹介するのが『インドネシアの絣・イカット~クジラと塩の織りなす布の物語~』で、会場には民族考古学者として沖縄やインドネシアなどの製塩技術を研究し、イカットを蒐集する江上幹幸(ともこ)氏のコレクションが展示されていました。



まず最初に並ぶのが江上氏の主な調査フィールドであるレンバタ島で蒐集したイカットで、赤茶系を主体としつつ、思いの外に多様な文様の施された腰衣や肩掛けなどを見ることができました。なおレンバタ島とはフローレス島の東にある島で、南のティモール島とともにイカットの産地として知られていました。



これらはいずれも手作りにて生産されていて、日常着や祭礼着として暮らしに根付きながら、いわゆる結納の品としても用いられていました。



このレンバタ島に暮らすのが、元々移住民であり捕鯨や製塩を行う海の民と、先住民で農業が主体の山の民で、互いに物々交換にて交易を行いながら、イカットを生産してきました。

またイカットの材料である綿や染料を持たない海の民は、山の民から綿や藍などを交易で入手してすることで初めてイカットを作ることができるなど、交易が極めて重要な意味を持っていました。



この交易の品でも特に尊ばれるのがクジラ肉で、展示では同島のラマレラの海の民によるクジラ肉を得るための伝統捕鯨と山の民との交易について、銛といった資料を交えてパネルや写真にて丹念に紹介していました。



出漁からクジラ獲得までの捕鯨のプロセスをはじめ、クジラ肉の分配方法などを解説したパネルも興味深い内容だったかもしれません。ラマレラでは世界で唯一の手投げ銛によるマッコウクジラ捕鯨が行われてきました。



このほかにもフローレス島とその東の島々、またティモール島西部で江上氏が蒐集してきたイカットも展示されていて、多彩なデザインを楽しむことができました。



インドネシアの島々の伝統的なイカットを見られるだけでなく、人々の交易や捕鯨といった生活文化までを紐解いた引き出しの多い展示だったのではないでしょうか。見応え十分でした。


撮影も可能です。4月9日まで開催されています。

『江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット~クジラと塩の織りなす布の物語~』 たばこと塩の博物館@tabashio_museum
会期:2023年1月21日(土)~4月9日(日)
休館:月曜日。
時間:10:00~17:00。*入館は16時半まで。
料金:大人・大学生100円、小・中・高校生50円。
住所:墨田区横川1-16-3
交通:東武スカイツリーラインとうきょうスカイツリー駅より徒歩8分。都営浅草線本所吾妻橋駅より徒歩10分。東京メトロ半蔵門線・都営浅草線・京成線・東武スカイツリーライン押上駅より徒歩12分。
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『速水御舟展』 茨城県近代美術館

茨城県近代美術館
『速水御舟展』 
2023/2/21~3/26



明治末期より昭和初期にかけて活動した日本画家、速水御舟は、写実や古典への回帰、また平面化など画風を変えながら絵を描き続け、のちの近代日本画の展開に大きな影響を与えました。

その御舟の画業を明らかにするのが今回の展覧会で、会場では本画約100点と素描30点を加えた計約130点の作品が公開されていました。

まず御舟が最初に絵を習ったのは、松本楓湖の主宰する安雅堂画塾でのことで、14歳の時に入門すると中国や日本の古典を模写するなどして技術を獲得しました。そして安雅堂の先輩であった今村紫紅と出会うと、古画だけでなく西洋の新しい絵画思想にも影響され、紫紅に倣った作品を描いていきました。

御舟が本格的に写実に取り込んだのは1918年頃からで、確かな証拠があるとはされていないものの、北方ルネサンスのデューラーや日本の岸田劉生の影響を伺える作品を手がけました。

その一つ結実とも言えるのが金屏風に描いた『菊花図』で、極めて精緻に菊の花を捉えながらも、西洋絵画を思わせる陰影や細部の鋭利な描写などからは、独自のえぐみとも呼べる味わいを見ることができました。


一方で『鍋島の皿に柘榴』や『茶碗と果実』などでは、モチーフそのもののを端正に絵画へと落とし込んでいて、日本画の顔料を用いながら果実や皿などの実在感を巧みに引き出していました。

このほか琳派への接近や渡欧時に描いた作品、さらには古典に回帰しつつも、モダンで抽象を思わせるような晩年への展開も興味深い内容だったかもしれません。それに御舟の真骨頂とも言うべき花卉画や花鳥画の優品も見ごたえがありました。



作品は東京国立近代美術館、福田美術館、遠山記念館といった全国各地の美術館をはじめ、個人蔵などを網羅していて、質量ともに充実していました。ただ全国屈指の御舟コレクションを誇る山種美術館の作品の出展はありませんでした。(パネルなどにて紹介。)



東京以外での御舟の大規模な回顧展は、2008年の平塚市美術館以降、15年ぶりのこととなります。

一部作品に展示替えがあります。3月26日まで開催されています。

『速水御舟展』 茨城県近代美術館@ibarakikinbi
会期:2023年2月21日(火)~3月26日(日)
休館:3月13日(月)。ただし所蔵作品展は開催。
時間:9:30~17:00 *入館は16:30まで。
料金:一般1100(1000)円、70歳以上550(500)円、大学・高校生870(730)円、中学・小学生490(370)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:水戸市千波町東久保666-1
交通:JR線水戸駅南口より徒歩20分。水戸駅北口8番のりばから払沢方面、または本郷方面行きのバスに乗車し「文化センター入口」下車徒歩5分。
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『ヒグチユウコ展』が森アーツセンターギャラリーにて開かれています

少女や不思議な生き物などをモチーフに多様な作品を生み出す画家、ヒグチユウコは、イラストレーションだけでなく、映画のポスターやGUCCIとのクリエイションなどを手がけるなど幅広く活動し、多くのファンの心をとらえてきました。



そのヒグチユウコの世界を紹介する『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』の内容について、Penオンラインに寄稿しました。

絵本原画から映画ポスター、GUCCIとのクリエイションまで!圧倒的没入感のヒグチユウコのサーカスの世界|Pen Online

今回の展覧会は2019年に世田谷文学館ではじまり、神戸や福岡などで開かれてきた個展をスケールアップしたもので、各地に出展された500点の作品をはじめ、近年の制作や未発表を含めた1000点を超える作品が公開されていました。



原画類は時に壁を埋め尽くすかのように続いていて、一点一点を具に見ていくといくら時間があっても見切れないと思ってしまうほどの凄まじいボリュームでした。



ハイライトを飾るのはサーカステントを模した空間展示で、「カカオカー・レーシング」の立体展示を中心に、「ヒグチユウコ画集 CIRCUS」に登場するイラストや描き下ろし原画などが並んでいました。



一連の絵本の原画などとともに興味深いのは、アニメからホラーまでの幅広いジャンルを手がけた映画のポスターでした。そこではそれぞれの映画の作品の特徴を引き出しつつも、空想と現実を行き交うようなタッチを見せていて、ヒグチユウコの類稀なる才能を伺い知れました。



このほか、掛け軸や洋服にトルソー、アニメーションなどの作品も公開されていて、ヒグチユウコの創作の全貌を目の当たりにすることができました。


一部展示作品の撮影が可能です。*本エントリの写真はプレス内覧会時に主催者の許可を得て撮影しました。



会期中無休です。4月10日まで開催されています。

『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』@higuchiyukoten) 森アーツセンターギャラリー 
会期:2023年2月3日(金)~4月10日(月)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00
 *金・土曜は20:00まで。
 *入館は閉館の30分前まで
料金:一般・大学・専門学校生2000円、中学・高校生1600円、小学生600円
 *事前予約制(日時指定券)を導入。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩5分(コンコースにて直結)。都営地下鉄大江戸線六本木駅3出口徒歩7分。
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『ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京

エスパス ルイ・ヴィトン東京
『ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」』 
2023/2/2~6/11



エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の『ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」』をみてきました。

ドイツの写真家のヴォルフガング・ティルマンスは、1980年代の後半以降、写真やイメージ制作の境界線を拡張する作品を手がけ、世界各地の美術館にて個展を開くなどして高く評価されて来ました。



そのティルマンスの過去約20年に撮影された作品からなるのが『ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」』で、会場には近年収集を続けてきたフォンダシオン ルイ・ヴィトンの30点を超えるコレクションより選ばれた作品が展示されていました。



今回の個展でまず目を引くのはユニークともいえる空間の構成で、展示室の中央を斜めに区切るような高い壁を設置し、そこへ大小さまざまなサイズの写真をクリップで留めたり、額装したりして展示を行っていました。



それらは日常の光景や近しい人々などを捉えながらも、肖像や生物、また風景画といった伝統的なジャンルを思わせるイメージが広がっていて、中には古代のトルソーや17世紀オランダ絵画、またマネの『草上の昼食』を連想させる作品もありました。



「写真とは極端に薄いキューブである。」と語るインタビュー映像も興味深い内容だったかもしれません。そこでティルマンスは鑑賞者へ向かって「どう映っているのか、それぞれのつながりを見てほしい。」と呼びかけていました。



過去に国内では、東京オペラシティアートギャラリーでの『ヴォルフガング・ティルマンス展』(2004年)や、国立国際美術館の『ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours』(2015年)などでティルマンスの展示が開かれてきました。



私にとってティルマンスの作品と初めて出会ったのは前者でしたが、特に後者の個展は私がこれまで見たあらゆる写真家の展示の中でも一番といって良いほど強く印象に残りました。



今回、久々にティルマンスの写真を目にすることができましたが、次は美術館のスケールでの展示を見る機会があればと思いました。


日常の断片と身体の脆弱性を写し出す。写真家、ヴォルフガング・ティルマンスの個展が開催中!|Pen Online

撮影も可能です。6月11日まで開催されています。

『ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:2023年2月2日(木)~6月11日(日)
休廊:不定休
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩約3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩約10分。
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2023年3月に見たい展覧会【北欧デザイン/安宅コレクション名品選/ブルターニュの光と風】

今年も早いこと3月となりました。現在、東京都現代美術館での『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』が大変な人気を集め、平日と土日を問わず、当日券が午前中の早い段階で売り切れになる状況が続いています。またディオール展に限らず、街中でも海外の観光客のすがたを見かける機会も多く、どことなくコロナ禍前の人出や賑わいを思わせることも増えてきました。



3月は多くの展覧会がはじまる時期です。今月気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』 日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール(3/1~3/21)
・『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎』 東京オペラシティ アートギャラリー(1/18~3/26)
・『速水御舟展』 茨城県近代美術館(2/21~3/26)
・『VOCA展2023 現代美術の展望—新しい平面の作家たち—』 上野の森美術館(3/16~3/30)
・『マリー・ローランサンとモード』 Bunkamuraザ・ミュージアム(2/14~4/9)
・『世田谷美術館コレクション選 わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち』 世田谷美術館(2/18~4/9)
・『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』 三菱一号館美術館(2/25~4/9)
・『第26回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)』 川崎市岡本太郎美術館(2/18~4/16)
・『本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション』 練馬区立美術館(2/26~4/16)
・『椿椿山展 軽妙淡麗な色彩と筆あと』 板橋区立美術館(3/18~4/16)
・『タグコレ 現代アートはわからんね』 角川武蔵野ミュージアム(2/4~5/7)
・『ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術』 水戸芸術館(2/18~5/7)
・『東福寺』 東京国立博物館(3/7~5/7)
・『春の江戸絵画まつり 江戸絵画お絵かき教室』 府中市美術館(3/11~5/7)
・『第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap』 アーティゾン美術館(2/25~5/14)
・『戸谷成雄 彫刻』 埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)
・『世界遺産登録10周年記念 富士と桜—北斎の富士から土牛の桜まで—』 山種美術館(3/11~5/14)
・『東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密』 東京国立近代美術館(3/17~5/14)
・『北斎バードパーク』 すみだ北斎美術館(3/14~5/21)
・『土門拳の古寺巡礼』 東京都写真美術館(3/18~5/14)
・『大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101』 泉屋博古館東京(3/18~5/21)
・『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』 東京都現代美術館(2022/12/21~2023/5/28)
・『深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ』 東京都写真美術館(3/3~6/4)
・『憧憬の地 ブルターニュ —モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷』 国立西洋美術館(3/18~6/11)
・『ブルターニュの光と風』 SOMPO美術館(3/25~6/11)
・『ルーヴル美術館展 愛を描く』 国立新美術館(3/1~6/12)
・ 『芸術家たちの南仏』 DIC川村記念美術館(3/11〜6/18)
・『恐竜博2023』 国立科学博物館(3/14~6/18)
・『さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展』 東京都現代美術館(3/18~6/18)
・『The Original』 21_21 DESIGN SIGHT(3/3~6/25)
・『部屋のみる夢—ボナールからティルマンス、現代の作家まで』 ポーラ美術館(1/28~7/2)
・『日本のタイル100年—美と用のあゆみ』 江戸東京たてもの園(3/11~8/20)

ギャラリー

・『WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展』 CHANEL NEXUS HALL(3/1~4/2)
・『宮島達男 Numerical Beads Painting』 SCAI THE BATHHOUSE(2/28~4/15)
・『ポーラ ミュージアム アネックス展2023 —自立と統合—』 ポーラ ミュージアム アネックス(2/10~4/16)
・『第16回 shiseido art egg YU SORA展』 資生堂ギャラリー(3/7~4/9)
・『インターフェアレンス展 フランシス真悟、スザンナ・フリッチャー、ブルーノ・ボテラ、宮永愛子』 メゾンエルメス(2/23~6/4)

まずはデザインの展覧会です。日本橋高島屋S.C. 本館8階ホールにて『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』が開かれます。



『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』@日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール(3/1~3/21)


これは椅子研究家の織田憲嗣が収集し、北海道東川町が所有する「織田コレクション」をもとに、日本でも人気を集める北欧のデザインを紹介するもので、70名以上のデザイナーによる椅子といった家具をはじめ、インテリアアクセサリーや食器など300点以上の作品が公開されます。北欧の部屋をリアルに再現した展示なども見どころとなりそうです。

続いては陶磁の展覧会です。『大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101』が泉屋博古館東京にて行われます。



『大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101』@泉屋博古館東京(3/18~5/21)

安宅産業株式会社の会長だった安宅英一が収集した「安宅コレクション」を中核とし、世界有数の東洋陶磁の名品を所蔵する大阪市立東洋陶磁美術館は、1982年の設立後、開館40年を迎えました。


その「安宅コレクション」を東京にて紹介するのが今回の展覧会で、ともに国宝の『油滴天目 茶碗』や『飛青磁 花生』、また重要文化財の『青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水注』など、国宝2点、重文11点を含む101点の作品が公開されます。

最後は西洋美術です。『ブルターニュの光と風』がSOMPO美術館にて開催されます。



『ブルターニュの光と風』@SOMPO美術館(3/25~6/11)

フランス北西部に位置するブルターニュは、独自の文化や豊かな自然を持つことで知られ、19世紀以降多くの画家たちが訪ねては絵画に描きました。


そうしたブルターニュにまつわる作品を通し、同地の魅力を紹介するのが『ブルターニュの光と風』で、同地域フィニステール県にあるカンペール美術館より約70点の油彩、版画、素描が公開されます。ちょうどこの春は国立西洋美術館にて『憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷』も開かれますが、同じブルターニュに着目した展覧会としてあわせて見ておきたいところかもしれません。

イロハニアートへも3月のおすすめ展覧会を寄稿しました。


2023年3月おすすめの展覧会5選!ルーヴル美術館展から重要文化財の秘密まで | イロハニアート

それでは今月もよろしくお願いいたします。
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