『GO FOR KOGEI 2024』 富山市(岩瀬エリア)、金沢市(東山エリア)

富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
『GO FOR KOGEI 2024  くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの』
2024/9/14〜10/20


岩村遠、作品展示風景。「ピアット スズキ チンクエ(屋外)」(岩瀬エリア)

「くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの」をテーマに、北陸から工芸とアートの魅力を発信する芸術祭『GO FOR KOGEI 2024』が、富山市と金沢市の2つのエリアにて開催されています。


「桝田酒造店 満寿泉」(岩瀬エリア)より、葉山有樹『双竜』2023年

かつて北前船で栄えた富山市の岩瀬エリアでは、土蔵や酒蔵、古い倉庫や町家などにてさまざまな展示が行われていて、風情のある古い街並みを散策しながら作品を楽しむことができました。


「New An」(岩瀬エリア)より外山和洋の作品展示風景(手前)

このうち町家「New An」では、磯谷博史、澤田健勝、釋永岳、外山和洋、安田泰三の5名の作家が作品を公開していて、そのうち素焼きの陶器の外側に金属のコーティングを施し、剥がした型の部分を作品として残す外山の制作が印象に残りました。


舘鼻則孝『ディセンディングペインティング“雲龍図”』2024年

また「満寿泉」で知られる桝田酒造店も会場の一つで、酒蔵の2階では舘鼻則孝が空間全体を活かした絵画インスタレーションを公開していたほか、同酒造店直営のKOBO Brew Pubでは、舘鼻の絵画を鑑賞しながらクラフトビールを味わうこともできました。


「Aka Bar」(岩瀬エリア)より、五月女晴佳『Bondage』2020年

このほか岩瀬エリアでは、巨大な織物のオブジェを倉庫に吊るした石渡結や、土蔵のバーにて唇をかたどった漆の作品を展示した五月女晴佳の作品も見どころだったかもしれません。


「LOCOLOCO HIGASHI 204号」(東山エリア)より、八木隆裕(開化堂)『Recreate Caddy』

一方で金沢市の東山エリアとは「ひがし茶屋街」の奥に広がる住宅地を舞台としていて、八木隆裕の茶筒を用いた作品や竹俣勇壱による金属のカトラリーや食器など、生活のシーンに根差すような工芸の作品を見ることができました。


「KAI 離」(東山エリア)から、三浦史朗+宴KAI プロジェクト 展示風景

また建築家の三浦史朗と工芸の職人たちの作品を収める、「KAI 離」と呼ばれる展示施設も見ておきたいスポットではないでしょうか。木製の風呂や茶室、さらに白い布に覆われた待合などが、今回の芸術祭のために特別に公開されていました。


工芸、アート、食が織りなす芸術祭『GO FOR KOGEI 2024』が開催中。注目スポットを紹介!|Pen Online


サリーナー・サッタポン《バレン(シアガ)アイビロング:富山》2024年 パフォーマンス (岩瀬エリア)

10月20日まで開かれています。

『GO FOR KOGEI 2024  くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの』@goforkogei)  富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
会期: 2024年9月14日(土)~10月20日(日)
休場日: 沙石(火曜)、SKLo(水曜)ほか会期中無休
時間:10:00~16:30
 *最終入場は16時まで
共通パスポート:一般2500円、学生(大学生・専門学生)2000円。
 *受付当日のみエリア内の展示会場を1回ずつ鑑賞できる 「エリア別1DAYチケット」も会期中販売。
場所:富山市東岩瀬町海岸通り5(富山港展望台、岩瀬インフォメーションセンター)、石川県金沢市東山2-8-25(KAI、東山インフォメーションセンター)
交通:富山港線「岩瀬浜駅」から徒歩10分(岩瀬インフォメーションセンター)、城下まち金沢周遊バス・北陸鉄道路線バス・西日本JRバス「橋場町」から徒歩10分(東山インフォメーションセンター)。
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2024年10月に見たい展覧会【蕗谷虹児/モネ 睡蓮のとき/特別展はにわ】

この夏、猛威をふるった連日の酷暑はようやく陰りを見せ、関東では朝晩を中心に秋めいてきました。



10月も多くの展覧会がスタートする時期です。気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『南条嘉毅 展|地中の渦』 KAAT神奈川芸術劇場(9/23~10/20)
・『あざみ野コンテンポラリー vol.15 SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た』 横浜市民ギャラリーあざみ野(10/5~10/27)
・『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』 東京都現代美術館(8/3~11/10)
・『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』 東京都現代美術館(8/3~11/10)
・『空の発見』 渋谷区立松濤美術館(9/14~11/10)
・『建物公開2024 あかり、ともるとき』 東京都庭園美術館(9/14~11/10)
・『田名網敬一 記憶の冒険』 国立新美術館(8/7~11/11)
・『バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰』 三井記念美術館(9/14~11/12)
・『生誕130年記念 北川民次展―メキシコから日本へ』 世田谷美術館(9/21~11/17)
・『芹沢銈介の世界』 日本民藝館(9/5~11/20)
・『大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展』 平塚市美術館(10/5~11/24)
・『両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代』 町田市立国際版画美術館(9/14~12/1)
・『塩田千春 つながる私』 大阪中之島美術館(9/14~12/1)
・『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』 東京都美術館(9/19~12/1)
・『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界展』 府中市美術館(9/21~12/1)
・『丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展』 アサヒグループ大山崎山荘美術館(9/14~12/8)
・『没後50年記念 福田平八郎×琳派』 山種美術館(9/29~12/8)
・『荏原 畠山美術館 開館記念展 Ⅰ―與衆愛玩一共に楽しむ–』 荏原 畠山美術館(10/5~12/8)
・『広重ブルー』 太田記念美術館(10/5~12/8)
・『挂甲の武人 国宝指定50周年記念  特別展「はにわ」』 東京国立博物館(10/16~12/8)
・『オタケ・インパクト』 泉屋博古館東京(10/19~12/15)
・『荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ』 国立新美術館(10/30~12/16)
・『松谷武判』 東京オペラシティ アートギャラリー(10/3~12/17)
・『ハニワと土偶の近代』 東京国立近代美術館(10/1~12/22)
・『運慶展』 横須賀美術館(10/26~12/22)
・『追悼 野見山暁治 野っ原との契約』 練馬区立美術館(10/6~12/25)
・『カナレットとヴェネツィアの輝き』 SOMPO美術館(10/12~12/28)
・『さくらももこ展』 森アーツセンターギャラリー(10/5~2025/1/5)
・『テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする』 東京ステーションギャラリー(10/12~2025/1/5)
・『没後30年 木下佳通代』 埼玉県立近代美術館(10/12~2025/1/13)
・『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』 市原湖畔美術館(10/19~2025/1/13)
・『アレック・ソス 部屋についての部屋』 東京都写真美術館(10/10~2025/1/19)
・『西川勝人 静寂の響き』 DIC川村記念美術館(9/14~2025/1/26)
・『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』 森美術館(9/25~2025/1/19)
・『京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』 福田美術館(10/12~2025/1/19)
・『ONE PIECE ONLY展』 PLAY! MUSEUM(10/9~2025/1/31)
・『モネ 睡蓮のとき』 国立西洋美術館(10/5~2025/2/11)
・『ベル・エポック ― 美しき時代展』 パナソニック汐留美術館(10/5~12/15)
・『ゴミうんち展』 21_21 DESIGN SIGHT(9/27~2025/2/16)
・『T2 Collection「Collecting? Connecting?」/奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展』 WHAT MUSEUM(10/4~2025/3/16)

ギャラリー

『マティス ― 色彩を奏でる』 ポーラ ミュージアム アネックス (10/4~10/27)
『青山悟展「永遠なんてあるのでしょうか」 』 ミヅマアートギャラリー(10/9~11/10)
『未来都市シブヤ_エフェメラを誘発する装置』 GYRE GALLERY(10/17~11/29)
『吉田志穂個展「印刷と幽霊」』 BUG(10/30~12/1)
『日常の再魔術化 ビアンカ ボンディ / 小林椋 / 丹羽海子』 CHANEL NEXUS HALL(10/19~12/8)
『トニー・アウスラー「Transmission」』 SCAI THE BATHHOUSE(10/4~12/21)

まずは挿絵画家、蕗谷虹児の神奈川県内の公立館では初の大回顧展です。平塚市美術館にて『大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展』が開かれます。



『大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展』@平塚市美術館(10/5~11/24)

これは大正から昭和時代にかけて少女雑誌の表紙絵や挿絵にて、モダンな女性像を発表して人気を集めた蕗谷の画業を振り返るもので、主に蕗谷虹児記念館の作品を中心に、少女雑誌の表紙や挿絵の原画、パリ時代の作品、童話や絵本の挿絵の原画など約500点の作品が展示されます。


1991年の展覧会以降出品されていなかった『胡蝶の夢』が、実に33年ぶりに展示されることにも注目が集まりそうです。

続いては今年下半期にて要注目の西洋美術展です。国立西洋美術館にて『モネ 睡蓮のとき』開催されます。



『モネ 睡蓮のとき』@国立西洋美術館(10/5~2025/2/11)

パリのマルモッタン・モネ美術館から日本初公開作品7点を含む約50点の作品が来日する展示では、特にモネ晩年の重要なテーマである睡蓮に焦点を当てていて、「睡蓮」の作品20点以上が公開されます。


今年は大阪の中之島美術館でも『モネ 連作の情景』(上野の森美術館より巡回)が行われて大変な話題となりましたが、今回も西洋美術ファンにとって見逃せない展覧会となりそうです。

最後は秋の東博の特別展です。『挂甲の武人 国宝指定50周年記念  特別展「はにわ」』が行われます。



『挂甲の武人 国宝指定50周年記念  特別展「はにわ」』@東京国立博物館(10/16~12/8)

ここでは傑作「挂甲の武人」の国宝指定50周年を記念し、全国各地から選りすぐりの120件の埴輪を紹介するもので、「挂甲の武人」によく似ていて、国内外の美術館や博物館に別々に所蔵される計5体の埴輪が史上初めて同時に展示されます。


ちょうど東京国立近代美術館では埴輪の受容史を現代まで辿る『ハニワと土偶の近代』(10/1~12/22)が始まったこともあり、この秋は東京で開かれる2つの埴輪に関する展覧会を合わせて見るのも楽しいかもしれません。

しばらくブログは不定期での更新となります。今月もよろしくお願いします。
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