都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「貴婦人と一角獣ナイト」 6次元
6次元で行われた「貴婦人と一角獣ナイト」に参加してきました。
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「貴婦人と一角獣」@国立新美術館(プレビュー記事)
国立新美で開催中の「貴婦人と一角獣展」。中世美術の至宝とまで呼ばれるフランスのタピスリーが来日中。既に展示をご覧になった方も多いかもしれません。
会場で作品を見れば一目瞭然。その魅力は十分に伝わりますが、「我が唯一の望み」しかり、どこか謎解き的な要素があるのもポイント。そこを中世美術専門で美術史家の金沢百枝先生が解き明かしていく。題して「貴婦人と一角獣ナイト」。そうしたイベントが荻窪6次元で行われました。
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トーク前の金沢先生。貴婦人ヘアスタイルでのご登場でした!
さて金沢先生のトークは多くのスライドを使っての分かりやすいもの。タピスリー「貴婦人と一角獣」の注文主の問題からスタート。これが旧説と新説の2つあり、最近では紋章学の研究により新説が広く支持されているとか。かつてはルイ・ヴィスト家のジャン4世が注文したとされていましたが、現在では同家のアントワーヌ2世であることが確認されているのだそうです。
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さらにトークはタピスリーのテーマについて。5感の触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚という並び。これはいわゆる精神性との距離。初めの触覚が最も動物的だとされています。
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では最後の「我が唯一の望み」は何なのか。ここで金沢先生は幕屋の涙模様に注目。涙は愛のモチーフ。男性の流す涙には女性に対しての愛の意味があったとか。涙の川から女性に救われることで愛を成就する。そうしたモチーフの絵画も残されています。
「涙と眼の文化史ー中世ヨーロッパの標章と恋愛思想/徳井淑子/東信堂」
また「愛の嘆きには大量の涙がながされなくてはならない。」という言葉も。これについては金沢先生が一冊の本をご紹介。それが徳井淑子さんの「涙と眼の文化史ー中世ヨーロッパの標章と恋愛思想」。会場でも本が回されました。
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一角獣とライオンが貴婦人を幕屋へ誘っている「我が唯一の望み」。また多くの動物が首輪をつけていることにも着目。動物をつなぐ鍵、錠前も愛のモチーフだとか。私はあなたに囚われたい。そうした意味もあるのだそうです。
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ちなみに幕屋上部に飛ぶ鳥にも一羽が繋がれています。これも狩る狩られるを意味し、愛とも関係するのではないかという指摘でした。
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またタピスリーの中の動物や植物についても細かに分析。同じ植物でも色を変えて別の植物として表現したり、同じ動物を向きを変えて何度も描いています。これについてはおそらく型を利用しているそうです。
そしてこれらの植物や動物は同定がほぼ終わっているものの、単に分類学的に植物なりを精査するだけでなく、何故この植物がこの作品に描かれているのか。そうした思考が美術史には重要との指摘がありました。
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タピスリー「貴婦人と一角獣『我が唯一の望み』」1500年頃 羊毛、絹
フランス国立クリュニー中世美術館
RMN-Grand Palais / Franck Raux / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom
質疑応答をあわせて2時間ほどの充実のトーク。とてもここで追いかけられません。幸いにも当日のツイッターの流れを6次元の道前さんがまとめて下さいました。是非ともご覧ください。
貴婦人と一角獣ナイト - Togetter
6/27(木)「貴婦人と一角獣ナイト」
時間:19:00開場 19:30開始
参加費:1500円(国立新美術館「貴婦人と一角獣展」観覧チケット+特製コースター付き)
会場:6次元
*美術史家 金沢百枝先生による「貴婦人と一角獣」の愉しい見方(スライド講座)。「貴婦人と一角獣」にちなんだアイテム(アクセサリー、グッズ、髪型)を持参してトークを聴くだけでなく積極的に「参加」しましょう。
展覧会もいよいよ佳境。あと半月ほどです。私もこの日のトークを参考に、再度見納めに行きたいと思います。
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「貴婦人と一角獣展」会場風景
「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」 国立新美術館
会期:4月24日(水)~7月15日(月・祝)
休館:火曜日。但し4月30日は開館。
時間:10:00~18:00 *金曜日は20時まで開館。
料金:一般1500(1300)円、 大学生1200(1000)円、高校生800(600)円。中学生以下無料。
*( )内は団体料金。4月27日(土)、28日(日)、29日(月・祝)は高校生無料観覧日。(要学生証)
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
注)展覧会風景については報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「貴婦人と一角獣」@国立新美術館(プレビュー記事)
国立新美で開催中の「貴婦人と一角獣展」。中世美術の至宝とまで呼ばれるフランスのタピスリーが来日中。既に展示をご覧になった方も多いかもしれません。
会場で作品を見れば一目瞭然。その魅力は十分に伝わりますが、「我が唯一の望み」しかり、どこか謎解き的な要素があるのもポイント。そこを中世美術専門で美術史家の金沢百枝先生が解き明かしていく。題して「貴婦人と一角獣ナイト」。そうしたイベントが荻窪6次元で行われました。
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トーク前の金沢先生。貴婦人ヘアスタイルでのご登場でした!
さて金沢先生のトークは多くのスライドを使っての分かりやすいもの。タピスリー「貴婦人と一角獣」の注文主の問題からスタート。これが旧説と新説の2つあり、最近では紋章学の研究により新説が広く支持されているとか。かつてはルイ・ヴィスト家のジャン4世が注文したとされていましたが、現在では同家のアントワーヌ2世であることが確認されているのだそうです。
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さらにトークはタピスリーのテーマについて。5感の触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚という並び。これはいわゆる精神性との距離。初めの触覚が最も動物的だとされています。
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では最後の「我が唯一の望み」は何なのか。ここで金沢先生は幕屋の涙模様に注目。涙は愛のモチーフ。男性の流す涙には女性に対しての愛の意味があったとか。涙の川から女性に救われることで愛を成就する。そうしたモチーフの絵画も残されています。
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また「愛の嘆きには大量の涙がながされなくてはならない。」という言葉も。これについては金沢先生が一冊の本をご紹介。それが徳井淑子さんの「涙と眼の文化史ー中世ヨーロッパの標章と恋愛思想」。会場でも本が回されました。
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一角獣とライオンが貴婦人を幕屋へ誘っている「我が唯一の望み」。また多くの動物が首輪をつけていることにも着目。動物をつなぐ鍵、錠前も愛のモチーフだとか。私はあなたに囚われたい。そうした意味もあるのだそうです。
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ちなみに幕屋上部に飛ぶ鳥にも一羽が繋がれています。これも狩る狩られるを意味し、愛とも関係するのではないかという指摘でした。
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またタピスリーの中の動物や植物についても細かに分析。同じ植物でも色を変えて別の植物として表現したり、同じ動物を向きを変えて何度も描いています。これについてはおそらく型を利用しているそうです。
そしてこれらの植物や動物は同定がほぼ終わっているものの、単に分類学的に植物なりを精査するだけでなく、何故この植物がこの作品に描かれているのか。そうした思考が美術史には重要との指摘がありました。
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タピスリー「貴婦人と一角獣『我が唯一の望み』」1500年頃 羊毛、絹
フランス国立クリュニー中世美術館
RMN-Grand Palais / Franck Raux / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom
質疑応答をあわせて2時間ほどの充実のトーク。とてもここで追いかけられません。幸いにも当日のツイッターの流れを6次元の道前さんがまとめて下さいました。是非ともご覧ください。
貴婦人と一角獣ナイト - Togetter
6/27(木)「貴婦人と一角獣ナイト」
時間:19:00開場 19:30開始
参加費:1500円(国立新美術館「貴婦人と一角獣展」観覧チケット+特製コースター付き)
会場:6次元
*美術史家 金沢百枝先生による「貴婦人と一角獣」の愉しい見方(スライド講座)。「貴婦人と一角獣」にちなんだアイテム(アクセサリー、グッズ、髪型)を持参してトークを聴くだけでなく積極的に「参加」しましょう。
展覧会もいよいよ佳境。あと半月ほどです。私もこの日のトークを参考に、再度見納めに行きたいと思います。
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「貴婦人と一角獣展」会場風景
「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」 国立新美術館
会期:4月24日(水)~7月15日(月・祝)
休館:火曜日。但し4月30日は開館。
時間:10:00~18:00 *金曜日は20時まで開館。
料金:一般1500(1300)円、 大学生1200(1000)円、高校生800(600)円。中学生以下無料。
*( )内は団体料金。4月27日(土)、28日(日)、29日(月・祝)は高校生無料観覧日。(要学生証)
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
注)展覧会風景については報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「引込線 2013」(所沢ビエンナーレ)が開催されます
所沢市内を舞台に2008年以降、2009年、2011年と開催されてきた「所沢ビエンナーレ 引込線」。
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今年は名称をシンプルに「引込線 2013」へと変更。8月31日(土)から旧所沢市立第2給食センターにて開催されます。
私もプレ展から毎回欠かさず見に行っている展覧会。会場は前回に引き続いて旧所沢市立第2給食センター。最寄の航空公園駅から約2.5キロとややアクセスに難もありますが、ともかくかつての給食センターの設備も残る空間は極めて特異。プレ展の車両工場跡地を彷彿させるような強い場所性がありました。
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というわけで勝手に応援。こちらでも概要をまとめておきます。
名称:「引込線 2013」
会期:2013年8月31日(土)~9月23日(月・祝) *会期中無休
時間:10:00~17:00
会場:旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉県所沢市中富1862-1)
交通:西武新宿線航空公園駅東口より徒歩40分。航空公園駅東口より1番乗り場「西武バス航空公園駅」より所20-3系統「並木通り団地行き」または、新所03系統「新所沢駅東口行き」に乗り「並木通り団地入口」下車。バス停から約400m。
料金:無料
また参加アーティストとカタログの執筆者は以下の通り。
参加アーティスト(計17名):伊藤誠、遠藤利克、荻野僚介、利部志穂、倉重光則、末永史尚、鷹野隆大、戸谷成雄、冨井大裕、登山博文、豊嶋康子、中山正樹、前野智彦、眞島竜男、益永梢子、水谷一、箕輪亜希子
参加論考執筆者(計14名):阿部真弓、荒川徹、石川卓磨、石崎尚、井上康彦、沢山遼、高嶋晋一、中井悠、野田吉郎、桝田倫広、松浦寿夫、峯村敏明、森啓輔、米田尚輝
今年は作家の人選を軌道修正、またカタログの執筆者も若手批評家に一新したそうです。
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さて「引込線 2013」の構成は3つ。
1.給食センターとして活用されていた建物を会場とする展覧会
2.会期中に執筆陣、アーティストの恊働で行われる「ゼミナール給食センター」
3.展覧会後に発行する論文集を兼ねたカタログ所沢ビエンナーレ
1と3は前回と同様、2の「ゼミナール給食センター」は今回の新設です。会場内のイベントルームにて作家と執筆家が様々なトークセッションを行うイベントが催されるとか。なおその他レクチャー、またシンポジウムなどについては今後、随時公式ウェブサイトで発表されるそうです。
その公式サイトも既にオープン。概要、参加者、またカタログなどについての情報も記載されています。要チェック!
「美術作家と批評家による第四回自主企画展 引込線 2013」公式WEBサイト/プレスリリース(PDF)
また駅からのアクセスについても詳細が。私は前回は行きを航空公園駅からの徒歩(30分以上かかります。)、帰りはバス便(本数は毎時3~4本程度。)を利用しましたが、バス停から会場までもそこそこ距離があります。
台数限定ながら駐車スペースもあるようです。(前回展の時も車で来場されていた方を見かけました。)ともかく夏の暑い時期、車を利用するのも手かもしれません。
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注意事項には「本展覧会では使われていなかった工場を作家達の手で整備し、会場として使用しています。美術館と違って不便な点も多々ありますが、作家達による手作りの表現空間を楽しんで頂ければと思います。」という記載も。そしてその手作りの空間こそ、「引込線」の醍醐味でもあります。
「引込線 2013」。会場が前回の2つから1つ。そして何よりも出品作家がかなり入れ替わりました。各種イベントやトークなどでどう発信するのか。装いも新たにまた変化する「引込線」。今年も期待しましょう!
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「引込線 2013」 旧所沢市立第2学校給食センター
会期:2013年8月31日(土)~9月23日(月・祝) *会期中無休
時間:10:00~17:00
会場:旧所沢市立第2学校給食センター
住所:埼玉県所沢市中富1862-1
料金:無料
主催:引込線 2013 実行委員会
助成:朝日新聞文化財団、花王芸術・科学文化財団、野村財団、武蔵野美術大学
協賛:コエドブルワリー
後援:所沢市、所沢市教育委員会、日本大学藝術学部
注)写真は全て前回の「所沢ビエンナーレ 引込線 2011」(会場:旧所沢市立第2学校給食センター)のものです。
「所沢ビエンナーレ引込線 2011」 所沢市生涯学習推進センター(第一会場)
「所沢ビエンナーレ引込線 2011」 旧所沢市立第2学校給食センター(第二会場)
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今年は名称をシンプルに「引込線 2013」へと変更。8月31日(土)から旧所沢市立第2給食センターにて開催されます。
私もプレ展から毎回欠かさず見に行っている展覧会。会場は前回に引き続いて旧所沢市立第2給食センター。最寄の航空公園駅から約2.5キロとややアクセスに難もありますが、ともかくかつての給食センターの設備も残る空間は極めて特異。プレ展の車両工場跡地を彷彿させるような強い場所性がありました。
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というわけで勝手に応援。こちらでも概要をまとめておきます。
名称:「引込線 2013」
会期:2013年8月31日(土)~9月23日(月・祝) *会期中無休
時間:10:00~17:00
会場:旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉県所沢市中富1862-1)
交通:西武新宿線航空公園駅東口より徒歩40分。航空公園駅東口より1番乗り場「西武バス航空公園駅」より所20-3系統「並木通り団地行き」または、新所03系統「新所沢駅東口行き」に乗り「並木通り団地入口」下車。バス停から約400m。
料金:無料
また参加アーティストとカタログの執筆者は以下の通り。
参加アーティスト(計17名):伊藤誠、遠藤利克、荻野僚介、利部志穂、倉重光則、末永史尚、鷹野隆大、戸谷成雄、冨井大裕、登山博文、豊嶋康子、中山正樹、前野智彦、眞島竜男、益永梢子、水谷一、箕輪亜希子
参加論考執筆者(計14名):阿部真弓、荒川徹、石川卓磨、石崎尚、井上康彦、沢山遼、高嶋晋一、中井悠、野田吉郎、桝田倫広、松浦寿夫、峯村敏明、森啓輔、米田尚輝
今年は作家の人選を軌道修正、またカタログの執筆者も若手批評家に一新したそうです。
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さて「引込線 2013」の構成は3つ。
1.給食センターとして活用されていた建物を会場とする展覧会
2.会期中に執筆陣、アーティストの恊働で行われる「ゼミナール給食センター」
3.展覧会後に発行する論文集を兼ねたカタログ所沢ビエンナーレ
1と3は前回と同様、2の「ゼミナール給食センター」は今回の新設です。会場内のイベントルームにて作家と執筆家が様々なトークセッションを行うイベントが催されるとか。なおその他レクチャー、またシンポジウムなどについては今後、随時公式ウェブサイトで発表されるそうです。
その公式サイトも既にオープン。概要、参加者、またカタログなどについての情報も記載されています。要チェック!
「美術作家と批評家による第四回自主企画展 引込線 2013」公式WEBサイト/プレスリリース(PDF)
また駅からのアクセスについても詳細が。私は前回は行きを航空公園駅からの徒歩(30分以上かかります。)、帰りはバス便(本数は毎時3~4本程度。)を利用しましたが、バス停から会場までもそこそこ距離があります。
台数限定ながら駐車スペースもあるようです。(前回展の時も車で来場されていた方を見かけました。)ともかく夏の暑い時期、車を利用するのも手かもしれません。
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注意事項には「本展覧会では使われていなかった工場を作家達の手で整備し、会場として使用しています。美術館と違って不便な点も多々ありますが、作家達による手作りの表現空間を楽しんで頂ければと思います。」という記載も。そしてその手作りの空間こそ、「引込線」の醍醐味でもあります。
「引込線 2013」。会場が前回の2つから1つ。そして何よりも出品作家がかなり入れ替わりました。各種イベントやトークなどでどう発信するのか。装いも新たにまた変化する「引込線」。今年も期待しましょう!
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「引込線 2013」 旧所沢市立第2学校給食センター
会期:2013年8月31日(土)~9月23日(月・祝) *会期中無休
時間:10:00~17:00
会場:旧所沢市立第2学校給食センター
住所:埼玉県所沢市中富1862-1
料金:無料
主催:引込線 2013 実行委員会
助成:朝日新聞文化財団、花王芸術・科学文化財団、野村財団、武蔵野美術大学
協賛:コエドブルワリー
後援:所沢市、所沢市教育委員会、日本大学藝術学部
注)写真は全て前回の「所沢ビエンナーレ 引込線 2011」(会場:旧所沢市立第2学校給食センター)のものです。
「所沢ビエンナーレ引込線 2011」 所沢市生涯学習推進センター(第一会場)
「所沢ビエンナーレ引込線 2011」 旧所沢市立第2学校給食センター(第二会場)
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「レオ・レオニ展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
Bunkamura ザ・ミュージアム
「レオ・レオニ 絵本のしごと」
6/22-8/4
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Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「レオ・レオニ 絵本のしごと」のプレスプレビューに参加してきました。
金魚の「スイミー」にねずみの「フレデリック」、そして尺取り虫の「ひとあしひとあし」など、数多くの絵本を制作した作家、レオ・レオニ(1910~1999)。今、彼の作品世界を紹介する一大回顧展がBunkamuraザ・ミュージアムで行われています。
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「フレデリック」1967年
それこそ教科書にも掲載されているレオニの絵本。その魅力は良く知られているところですが、展覧会を追いかけると彼の優れた作画技術なりメッセージがより浮き彫りに。一口に可愛らしい絵本と言えども、そこからは社会を見つめ、人を見つめ続けたレオニの人となりも伝わってきます。
では早速、レオニの原点から。生まれは1910年のオランダ、ユダヤ人です。イタリアへ渡りグラフィックデザイナーとして活躍するも、第二次世界大戦のため1939年にアメリカへ亡命。そこで初めて絵本の制作に取りかかります。ちなみにデビュー作は1959年の「あおくんときいろちゃん」。レオニ49歳。絵本作家としては遅咲きです。
しかしながらレオニが長らくデザイナーとしてキャリアを重ねていたというのが極めて重要。というのも、彼の絵本における色のセンス。これが実に絶妙なのです。
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「マシューのゆめ」1991年
例えば「マシューのゆめ」。絵描きのねずみの物語ですが、この鮮やかな色の舞い。まさにカラリスト、「色の魔術師」に相応しい世界。鮮やかです。
また作画においても単に水彩を施すだけでなく、切り紙を貼ってコラージュをしたり、色鉛筆を用いたりするなどして、多様な質感を生み出しているのも特徴。中にはテンペラを使った作品も。これらは実物の原画を見ないと分かりません。
また「ペツェッティーノ」はどうでしょうか。自分を誰かのかけらだと思っているペツェッティーノの旅、そこに描かれているのは色のモザイク。高いデザイン性。まるで抽象です。
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「ペツェッティーノ」1975年
なお「ペツェッティーノ」しかり、レオニの作品には、小さな生き物へ強い愛情が向けられているのもポイント。小さな主人公が自分らしさを如何に獲得していくのか。そうしたストーリーの絵本も目立ちます。
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「はまべにはいしがいっぱい」1961年
また時に特異ともいえるレオニーの眼差しも。一例が「はまべにはいしがいっぱい」。小さな無数の小石を鉛筆のデッサンで描いたというシリーズです。
レオニは子どもの頃、ガラス容器の中に石ころや苔などを入れて『箱庭』を作り、そこにトカゲやカタツムリなどを飼っていたとか。「私の絵本の主人公は、昔、ガラスの飼育器に棲んでいたカエルやネズミ、トゲウオ、カメ、カタツムリ、チョウと同じなのです」という言葉も残しています。
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「どうするティリー?」1989年
また社会的なテーマをかかげた作品も。野ねずみのティリーが立ちはだかる壁を超える「どうするティリー?」は、ベルリンの壁が崩壊した時の絵本。ティリーは統合ドイツのシンボルでもあります。
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Swimmy 1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon Semitransparent Design
さて日本で最も有名な金魚の「スイミー」の物語。残念ながら原画の多くは行方不明とのことですが、そのかわりに映像スクリーンを用いたインタラクティブな仕掛けも。手を伸ばして全身で楽しめます。
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レオ・レオニ展会場風景
国内で発行されたレオニの絵本が全て揃う絵本コーナーも充実。その数は約40冊。また子ども向けの小さな椅子とテーブルも準備。さすがの演出です。ついつい長居してしまいそう!
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Copyright 2013 by Blueandyellow,LLC Licensed by Cosmo Merchandsing
さらにグッズもご覧の通り。少なくとも私の知る限りではBunkamura史上最大級の広さ。会場でしか手に入らないオリジナルも揃っています。
「スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし/レオ・レオニ/好学社」
初日から盛況と聞きました。会期末にかけてはかなり混雑してくるかもしれません。ともかくはお早めにどうぞ。
8月4日まで開催されています。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」 Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:6月22日(土)~8月4日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00。毎週金・土は21:00まで開館。入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1100)円、大学・高校生900(700)円、中学・小学生600(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要電話予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」
6/22-8/4
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Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「レオ・レオニ 絵本のしごと」のプレスプレビューに参加してきました。
金魚の「スイミー」にねずみの「フレデリック」、そして尺取り虫の「ひとあしひとあし」など、数多くの絵本を制作した作家、レオ・レオニ(1910~1999)。今、彼の作品世界を紹介する一大回顧展がBunkamuraザ・ミュージアムで行われています。
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「フレデリック」1967年
それこそ教科書にも掲載されているレオニの絵本。その魅力は良く知られているところですが、展覧会を追いかけると彼の優れた作画技術なりメッセージがより浮き彫りに。一口に可愛らしい絵本と言えども、そこからは社会を見つめ、人を見つめ続けたレオニの人となりも伝わってきます。
では早速、レオニの原点から。生まれは1910年のオランダ、ユダヤ人です。イタリアへ渡りグラフィックデザイナーとして活躍するも、第二次世界大戦のため1939年にアメリカへ亡命。そこで初めて絵本の制作に取りかかります。ちなみにデビュー作は1959年の「あおくんときいろちゃん」。レオニ49歳。絵本作家としては遅咲きです。
しかしながらレオニが長らくデザイナーとしてキャリアを重ねていたというのが極めて重要。というのも、彼の絵本における色のセンス。これが実に絶妙なのです。
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「マシューのゆめ」1991年
例えば「マシューのゆめ」。絵描きのねずみの物語ですが、この鮮やかな色の舞い。まさにカラリスト、「色の魔術師」に相応しい世界。鮮やかです。
また作画においても単に水彩を施すだけでなく、切り紙を貼ってコラージュをしたり、色鉛筆を用いたりするなどして、多様な質感を生み出しているのも特徴。中にはテンペラを使った作品も。これらは実物の原画を見ないと分かりません。
また「ペツェッティーノ」はどうでしょうか。自分を誰かのかけらだと思っているペツェッティーノの旅、そこに描かれているのは色のモザイク。高いデザイン性。まるで抽象です。
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「ペツェッティーノ」1975年
なお「ペツェッティーノ」しかり、レオニの作品には、小さな生き物へ強い愛情が向けられているのもポイント。小さな主人公が自分らしさを如何に獲得していくのか。そうしたストーリーの絵本も目立ちます。
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「はまべにはいしがいっぱい」1961年
また時に特異ともいえるレオニーの眼差しも。一例が「はまべにはいしがいっぱい」。小さな無数の小石を鉛筆のデッサンで描いたというシリーズです。
レオニは子どもの頃、ガラス容器の中に石ころや苔などを入れて『箱庭』を作り、そこにトカゲやカタツムリなどを飼っていたとか。「私の絵本の主人公は、昔、ガラスの飼育器に棲んでいたカエルやネズミ、トゲウオ、カメ、カタツムリ、チョウと同じなのです」という言葉も残しています。
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「どうするティリー?」1989年
また社会的なテーマをかかげた作品も。野ねずみのティリーが立ちはだかる壁を超える「どうするティリー?」は、ベルリンの壁が崩壊した時の絵本。ティリーは統合ドイツのシンボルでもあります。
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Swimmy 1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon Semitransparent Design
さて日本で最も有名な金魚の「スイミー」の物語。残念ながら原画の多くは行方不明とのことですが、そのかわりに映像スクリーンを用いたインタラクティブな仕掛けも。手を伸ばして全身で楽しめます。
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レオ・レオニ展会場風景
国内で発行されたレオニの絵本が全て揃う絵本コーナーも充実。その数は約40冊。また子ども向けの小さな椅子とテーブルも準備。さすがの演出です。ついつい長居してしまいそう!
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Copyright 2013 by Blueandyellow,LLC Licensed by Cosmo Merchandsing
さらにグッズもご覧の通り。少なくとも私の知る限りではBunkamura史上最大級の広さ。会場でしか手に入らないオリジナルも揃っています。
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初日から盛況と聞きました。会期末にかけてはかなり混雑してくるかもしれません。ともかくはお早めにどうぞ。
8月4日まで開催されています。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」 Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:6月22日(土)~8月4日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00。毎週金・土は21:00まで開館。入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1100)円、大学・高校生900(700)円、中学・小学生600(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要電話予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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酒井抱一の「月に秋草図屏風」が展示されます(夏目漱石の美術世界展)
勝手応援中の「夏目漱石の美術世界展」。場所は上野の東京藝術大学大学美術館。
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「夏目漱石の美術世界展」@東京藝術大学大学美術館(プレビュー記事)
5月半ばからスタートした展覧会もいよいよ7月7日まで。佳境に入りました。
さて本展のチラシ表紙のトップ、最上段に掲載されたのは金地の屏風絵。はて、あっただろうか。そんなことを思った方もおられるやもしれません。
作品の名は酒井抱一の「月に秋草図屏風」。東博寄託の重要文化財。実のところこれまで展示されていませんでした。
ここにようやく登場、本日、6月25日(火)より会期末日まで展示されます。
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酒井抱一「月に秋草図屏風」江戸時代(19世紀) 重要文化財 東京国立博物館寄託 *展示期間:6/25-7/7
Image: TNM Image Archives
保存などの観点とはいえ、メインの作品が会期末の10数日しか出ないのも珍しいかもしれませんが、そもそもこの屏風の展示機会自体が稀。私の記憶が定かならば、都内で展示されたのは2008年の東博大琳派以来。抱一の大回顧展として注目を浴びた千葉市美術館の「酒井抱一と江戸琳派の全貌」展にも出品されませんでした。
月夜を彷徨うかのような秋草の動き。構図とモチーフに完成された「夏秋草図屏風」とはまた異なったある種の自在、即興性の美学。「月に秋草図屏風」の空間は実に深淵。それこそ彼岸へと誘います。抱一画では特に重要な作品です。
待ちに待った「月に秋草図屏風」の展示。漱石との関係では、小説「門」に登場する屏風のモチーフになったとされる作品です。
下に萩、桔梗、芒、葛、女郎花を隙間なく描いた上に、真丸な月を銀で出して、其横の空いた所へ、野路や空月の中なる女郎花、其一と題してある。
宗助は膝を突いて銀の色の黒く焦げた辺から、葛の葉の風に裏を返している色の乾いた様から、大福程な大きな丸い朱の輪郭の中に、抱一と行書で書いた落款をつくづくと見て、父の生きている当時を憶い起こさずにはいられなかった。 *夏目漱石「門」より。
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「夏目漱石と美術世界展」会場風景
「夏目漱石の美術世界展」のハイライトとも言うべき抱一の「月に秋草図屏風」。次またいつ出会えるかも分かりません。この機会に是非ともご覧ください。
「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」
「夏目漱石の美術世界展」 東京藝術大学大学美術館
会期:5月14日(火)~7月7日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般1500(1200)円、高校・大学生1000(700)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「夏目漱石の美術世界展」@東京藝術大学大学美術館(プレビュー記事)
5月半ばからスタートした展覧会もいよいよ7月7日まで。佳境に入りました。
さて本展のチラシ表紙のトップ、最上段に掲載されたのは金地の屏風絵。はて、あっただろうか。そんなことを思った方もおられるやもしれません。
作品の名は酒井抱一の「月に秋草図屏風」。東博寄託の重要文化財。実のところこれまで展示されていませんでした。
ここにようやく登場、本日、6月25日(火)より会期末日まで展示されます。
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酒井抱一「月に秋草図屏風」江戸時代(19世紀) 重要文化財 東京国立博物館寄託 *展示期間:6/25-7/7
Image: TNM Image Archives
保存などの観点とはいえ、メインの作品が会期末の10数日しか出ないのも珍しいかもしれませんが、そもそもこの屏風の展示機会自体が稀。私の記憶が定かならば、都内で展示されたのは2008年の東博大琳派以来。抱一の大回顧展として注目を浴びた千葉市美術館の「酒井抱一と江戸琳派の全貌」展にも出品されませんでした。
月夜を彷徨うかのような秋草の動き。構図とモチーフに完成された「夏秋草図屏風」とはまた異なったある種の自在、即興性の美学。「月に秋草図屏風」の空間は実に深淵。それこそ彼岸へと誘います。抱一画では特に重要な作品です。
待ちに待った「月に秋草図屏風」の展示。漱石との関係では、小説「門」に登場する屏風のモチーフになったとされる作品です。
下に萩、桔梗、芒、葛、女郎花を隙間なく描いた上に、真丸な月を銀で出して、其横の空いた所へ、野路や空月の中なる女郎花、其一と題してある。
宗助は膝を突いて銀の色の黒く焦げた辺から、葛の葉の風に裏を返している色の乾いた様から、大福程な大きな丸い朱の輪郭の中に、抱一と行書で書いた落款をつくづくと見て、父の生きている当時を憶い起こさずにはいられなかった。 *夏目漱石「門」より。
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「夏目漱石と美術世界展」会場風景
「夏目漱石の美術世界展」のハイライトとも言うべき抱一の「月に秋草図屏風」。次またいつ出会えるかも分かりません。この機会に是非ともご覧ください。
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「夏目漱石の美術世界展」 東京藝術大学大学美術館
会期:5月14日(火)~7月7日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般1500(1200)円、高校・大学生1000(700)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「元田久治 東京」 アートフロントギャラリー
アートフロントギャラリー
「元田久治 東京」
6/21-7/14
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アートフロントギャラリーで開催中の元田久治個展、「東京」へ行ってきました。
誰もが知る東京を代表するランドマークを半ば「廃墟」と化して描く元田久治の平面世界。曲がった東京タワーにひび割れた都庁、そして朽ち果てた東京駅に荒れ果てた新宿の雑踏などを緻密なタッチで表現。近未来をも予感させる廃墟都市東京の姿は既に知られているところかもしれません。
その元田が代官山のアートフロントで個展を開催。20点弱のリトグラフに数点の油絵と、久々にまとまった数の作品を展示しています。
さてリトグラフはお馴染みの廃墟シリーズ、先にも触れたように東京のランドマークが廃墟と化した作品です。
無数に亀裂の入ったビルや道路。甚大な災害に見舞われ、人間を含めた生き物が全て失われてしまった光景。そのような中でも地面の裂け目から逞しく生い茂る草は、経過した時間を伝えるとともに、次の段階へのステップ、言わば「再生」を思わせる面もあります。
一方で数点の油画。こちらはリトグラフとはまた異った展開。そしてずばりこれが面白い。
と言うのも、描かれているのは何気ない道端の草むら、もしくは手すりをクローズアップしたもの。一見するところ、廃墟でも何でもありません。
しかしながら良く目を凝らすと、その草むらの中には小さな滑走路があり、何と飛行機が飛んでいる。また手すりの向こうに広がるのは発電所を俯瞰した光景。かの福島の原発を思わせる建屋が隠れているのです。
「元田久治作品集『NEO RUINS』/河出書房新社」
日常に突如出現した箱庭的世界。そもそも廃墟シリーズにおいても、元田は都市を一つの廃墟として幻視していますが、この箱庭にも小さな幻が登場。モニュメンタルな地点でもない道端に潜む異界。これまでにはない展開にぞくぞくしました。
7月14日までの開催です。
「元田久治 東京」 アートフロントギャラリー(@art_front)
会期:6月21日(金)~7月14日(日)
休廊:月曜日
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:渋谷区猿楽町29-18ヒルサイドテラスA棟
交通:東急東横線代官山駅より徒歩5分。
「元田久治 東京」
6/21-7/14
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アートフロントギャラリーで開催中の元田久治個展、「東京」へ行ってきました。
誰もが知る東京を代表するランドマークを半ば「廃墟」と化して描く元田久治の平面世界。曲がった東京タワーにひび割れた都庁、そして朽ち果てた東京駅に荒れ果てた新宿の雑踏などを緻密なタッチで表現。近未来をも予感させる廃墟都市東京の姿は既に知られているところかもしれません。
その元田が代官山のアートフロントで個展を開催。20点弱のリトグラフに数点の油絵と、久々にまとまった数の作品を展示しています。
さてリトグラフはお馴染みの廃墟シリーズ、先にも触れたように東京のランドマークが廃墟と化した作品です。
無数に亀裂の入ったビルや道路。甚大な災害に見舞われ、人間を含めた生き物が全て失われてしまった光景。そのような中でも地面の裂け目から逞しく生い茂る草は、経過した時間を伝えるとともに、次の段階へのステップ、言わば「再生」を思わせる面もあります。
一方で数点の油画。こちらはリトグラフとはまた異った展開。そしてずばりこれが面白い。
と言うのも、描かれているのは何気ない道端の草むら、もしくは手すりをクローズアップしたもの。一見するところ、廃墟でも何でもありません。
しかしながら良く目を凝らすと、その草むらの中には小さな滑走路があり、何と飛行機が飛んでいる。また手すりの向こうに広がるのは発電所を俯瞰した光景。かの福島の原発を思わせる建屋が隠れているのです。
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日常に突如出現した箱庭的世界。そもそも廃墟シリーズにおいても、元田は都市を一つの廃墟として幻視していますが、この箱庭にも小さな幻が登場。モニュメンタルな地点でもない道端に潜む異界。これまでにはない展開にぞくぞくしました。
7月14日までの開催です。
「元田久治 東京」 アートフロントギャラリー(@art_front)
会期:6月21日(金)~7月14日(日)
休廊:月曜日
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:渋谷区猿楽町29-18ヒルサイドテラスA棟
交通:東急東横線代官山駅より徒歩5分。
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「カイユボット展」 記者発表会
10月10日(木)からブリヂストン美術館で始まる「カイユボット展ー都市の印象派」の記者発表会に参加してきました。
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「カイユボット展ー都市の印象派」@ブリヂストン美術館(10/10~12/29)
追記:「カイユボット展」@ブリヂストン美術館(プレビュー記事)
知られざる印象派の画家、ギュスターヴ・カイユボット(1848-1894)。モネやルノワールらとともに印象派展に参加するなどして活動しながらも、画家としての注目度は今ひとつ。よく知られた画家とは決して言えません。
では何故にカイユボットは知られていないのか。その一つとして彼の境遇が。カイユボットは非常に裕福な家に生まれたため、作品を売却する必要がなく、残されたものの多くが遺族の元に。そのまま美術館へ渡ることもなく秘蔵されます。つまり人目に触れる機会自体が少なかったのです。
また45歳で亡くなったカイユボットはどちらかと言えば寡作。素描などをあわせてもレゾネ1冊分、約500点ほど作品を残したに過ぎません。
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「ピアノを弾く若い男」1876年 ブリヂストン美術館
しかしながら近年、特に西欧では再評価が進展。また日本でも2012年にブリヂストン美術館が「ピアノを弾く若い男」を収蔵。コレクション展などに出品されることで、僅かながらも認知が高まりました。
というわけで、まさにこの機会、この場所、ブリヂストン美術館だからこその展覧会です。カイユボットの日本初の回顧展が10月10日より始まります。
少し前置きが長くなりました。ではカイユボットは何者なのか。その辺を少しだけ追いかけましょう。
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「自画像」1889年頃 オルセー美術館
生まれはパリの裕福な実業家。アカデミズムの画家のアトリエで学んだ後、パリ国立美術学校に入学。画家の道へ。印象派の画家らと知り合います。
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第3回印象派展、カイユボット出品作品
印象派展に参加したのは2回目から。おそらくはルノワールの誘いだといわれています。その後、全部で8回あった印象派展のうち、3、4、5回に出品。「都市の印象派」のサブタイトルならぬ、パリの都市生活や風俗をテーマとした作品を描き続けました。
また印象派展では経済的にもメンバーを支援。仲間の画家の作品を購入していきます。
実はカイユボットが初めに評価されたのはこのコレクターとしての活動。彼の死後、手元に残った70点弱の印象派作品はどれも傑作ばかり。その中には今でこそオルセーの誇るドガの「エトワール」やルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」など、画家を代表する作品も少なくありません。
カイユボットの遺言によりそれらは国立美術館へ寄贈されることになりましたが、ここで一悶着が。当時の印象派絵画は言わば前衛。美術館へ収められることへの反発も強く、寄贈は難航を極めます。結局、死の2年後に40点が受け入れられましたが、これが「カイユボット遺贈事件」としてかなり話題になったのだそうです。
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「ヨーロッパ橋」1876年 ジュネーヴ・プティ・パレ美術館
さてそれでは今回の展覧会のポイントをまず4つ。
1 知られざる画家の全貌を紹介する日本初の回顧展
2 「印象派展」出品作など代表作を展示
3 世界各地の美術館に加え、個人所有の秘蔵コレクションから出品
4 弟マルシャル・カイユボットの撮影による貴重な写真作品もあわせて展観
興味深いのは4つ目の弟マルシャル撮影の写真。このマルシャル、「ピアノを弾く若い男」でピアノを弾いている人物そのもの。音楽を学びつつ、写真にも深い関心を寄せ、パリや近郊を捉えた風景写真を多く残しました。
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ヨーロッパ橋を撮影した写真作品
印象派の画家たちが活躍した19世紀後半はまさに写真が急速に普及した時代。弟マルシャルの写真の構図は兄ギュスターヴの絵画に影響を与えたという指摘も。マルシャルの写真を見ながら、印象派絵画と写真表現の影響関係にも注目していくそうです。
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カイユボット展出品作品数(予定)
なおマルシャルの写真の出品は全80点。そして兄ギュスターブ・カイユボットの作品は油彩44、パルテル1、素描8、版画4点ほどが出品予定。当然ながらこれほどカイユボットの作品が集まるのは日本で初めてです。(ちなみに国内にはカイユボットの作品がブリヂストン美術館蔵の「ピアノを弾く若い男」を含めても3点しかありません。)
展覧会ではカイユボットの作品を以下のジャンル別に紹介。
1.自画像、2.室内の風景、3.窓辺の風景、4.近代都市の風景、5.水辺の風景、6.庭園と田園風景、7.静物、8.素描、9.弟マルシャル・カイユボットの写真
変わりゆく近代都市パリの姿や風俗を光あふれる画面で捉え、時に写真を感じさせる技法を駆使して絵画を描いたカイユボット。また印象派の画家たちがあまり描かなかった静物画にも取り組んでいます。
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「建物のペンキ塗り」1877年 個人蔵
カイユボットの描く都市風景。同じく印象派ではドガも都市を得意としましたが、例えば「建物のペンキ塗り」など、それこそモダン・アメリカンを思わせるようなファッショナブルな構図も。新しい感覚を呼び起こします。
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「イエール川のカヌー漕ぎ」1877年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
ボート遊びを描いた「イエール川のカヌー漕ぎ」でもスポーツに打ち込む男性の姿を思い切ってクローズアップ。どことなく写真的です。
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「読み物をする女性」1880年 個人蔵
また「読み物をする女性」。前の女性の大きさからするとソファの上の男性はあまりにも小さい。この前景と後景の大胆な対比は何なのか。カイユボットの眼差しは実はかなり斬新でかつ個性的です。
特設サイトもオープン。写真家Mがカイユボットの魅力を随時紹介するという公認ブログ「写真家Mのカイユボット展ブログ」もスタートしました。
「カイユボット展 特設サイト」 「写真家Mのカイユボット展ブログ」
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カイユボット展会場に導入される電子端末・展示イメージ(予定)
早割ペア割引券は8月10日から発売予定。また会場ではDNPの協力の元、電子端末を使って、カイユボットの作品と写真、そしてパリの街を相互に行き交うような仕掛けも導入されるとか。こうした試みはブリヂストン美術館で初めてです。期待しましょう!
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記者発表会でパネルを前に解説するブリヂストン美術館の島田館長
「カイユボット展ー都市の印象派」はブリヂストン美術館で10月10日から開催されます。
「カイユボット展ー都市の印象派」 ブリヂストン美術館
会期:10月10日(木)~12月29日(日)
時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日(ただし12/16、祝日は開館)
主催:オルセー美術館、オランジュリー美術館、石橋財団ブリヂストン美術館、日本経済新聞社
会場:石橋財団ブリヂストン美術館(東京都中央区京橋1-10-1)
料金:一般1500円(1300円)、65歳以上シニア1300円(1100円)、大・高生1000円(800円)
*( )内は前売及び15名以上団体料金。
*早割ペア券2000円を販売。販売期間は8/10~9/9限定。
交通 :JR線東京駅八重洲中央口徒歩5分。東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩5分。東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線日本橋駅B1出口徒歩5分。
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「カイユボット展ー都市の印象派」@ブリヂストン美術館(10/10~12/29)
追記:「カイユボット展」@ブリヂストン美術館(プレビュー記事)
知られざる印象派の画家、ギュスターヴ・カイユボット(1848-1894)。モネやルノワールらとともに印象派展に参加するなどして活動しながらも、画家としての注目度は今ひとつ。よく知られた画家とは決して言えません。
では何故にカイユボットは知られていないのか。その一つとして彼の境遇が。カイユボットは非常に裕福な家に生まれたため、作品を売却する必要がなく、残されたものの多くが遺族の元に。そのまま美術館へ渡ることもなく秘蔵されます。つまり人目に触れる機会自体が少なかったのです。
また45歳で亡くなったカイユボットはどちらかと言えば寡作。素描などをあわせてもレゾネ1冊分、約500点ほど作品を残したに過ぎません。
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「ピアノを弾く若い男」1876年 ブリヂストン美術館
しかしながら近年、特に西欧では再評価が進展。また日本でも2012年にブリヂストン美術館が「ピアノを弾く若い男」を収蔵。コレクション展などに出品されることで、僅かながらも認知が高まりました。
というわけで、まさにこの機会、この場所、ブリヂストン美術館だからこその展覧会です。カイユボットの日本初の回顧展が10月10日より始まります。
少し前置きが長くなりました。ではカイユボットは何者なのか。その辺を少しだけ追いかけましょう。
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「自画像」1889年頃 オルセー美術館
生まれはパリの裕福な実業家。アカデミズムの画家のアトリエで学んだ後、パリ国立美術学校に入学。画家の道へ。印象派の画家らと知り合います。
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第3回印象派展、カイユボット出品作品
印象派展に参加したのは2回目から。おそらくはルノワールの誘いだといわれています。その後、全部で8回あった印象派展のうち、3、4、5回に出品。「都市の印象派」のサブタイトルならぬ、パリの都市生活や風俗をテーマとした作品を描き続けました。
また印象派展では経済的にもメンバーを支援。仲間の画家の作品を購入していきます。
実はカイユボットが初めに評価されたのはこのコレクターとしての活動。彼の死後、手元に残った70点弱の印象派作品はどれも傑作ばかり。その中には今でこそオルセーの誇るドガの「エトワール」やルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」など、画家を代表する作品も少なくありません。
カイユボットの遺言によりそれらは国立美術館へ寄贈されることになりましたが、ここで一悶着が。当時の印象派絵画は言わば前衛。美術館へ収められることへの反発も強く、寄贈は難航を極めます。結局、死の2年後に40点が受け入れられましたが、これが「カイユボット遺贈事件」としてかなり話題になったのだそうです。
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「ヨーロッパ橋」1876年 ジュネーヴ・プティ・パレ美術館
さてそれでは今回の展覧会のポイントをまず4つ。
1 知られざる画家の全貌を紹介する日本初の回顧展
2 「印象派展」出品作など代表作を展示
3 世界各地の美術館に加え、個人所有の秘蔵コレクションから出品
4 弟マルシャル・カイユボットの撮影による貴重な写真作品もあわせて展観
興味深いのは4つ目の弟マルシャル撮影の写真。このマルシャル、「ピアノを弾く若い男」でピアノを弾いている人物そのもの。音楽を学びつつ、写真にも深い関心を寄せ、パリや近郊を捉えた風景写真を多く残しました。
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ヨーロッパ橋を撮影した写真作品
印象派の画家たちが活躍した19世紀後半はまさに写真が急速に普及した時代。弟マルシャルの写真の構図は兄ギュスターヴの絵画に影響を与えたという指摘も。マルシャルの写真を見ながら、印象派絵画と写真表現の影響関係にも注目していくそうです。
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カイユボット展出品作品数(予定)
なおマルシャルの写真の出品は全80点。そして兄ギュスターブ・カイユボットの作品は油彩44、パルテル1、素描8、版画4点ほどが出品予定。当然ながらこれほどカイユボットの作品が集まるのは日本で初めてです。(ちなみに国内にはカイユボットの作品がブリヂストン美術館蔵の「ピアノを弾く若い男」を含めても3点しかありません。)
展覧会ではカイユボットの作品を以下のジャンル別に紹介。
1.自画像、2.室内の風景、3.窓辺の風景、4.近代都市の風景、5.水辺の風景、6.庭園と田園風景、7.静物、8.素描、9.弟マルシャル・カイユボットの写真
変わりゆく近代都市パリの姿や風俗を光あふれる画面で捉え、時に写真を感じさせる技法を駆使して絵画を描いたカイユボット。また印象派の画家たちがあまり描かなかった静物画にも取り組んでいます。
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「建物のペンキ塗り」1877年 個人蔵
カイユボットの描く都市風景。同じく印象派ではドガも都市を得意としましたが、例えば「建物のペンキ塗り」など、それこそモダン・アメリカンを思わせるようなファッショナブルな構図も。新しい感覚を呼び起こします。
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「イエール川のカヌー漕ぎ」1877年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
ボート遊びを描いた「イエール川のカヌー漕ぎ」でもスポーツに打ち込む男性の姿を思い切ってクローズアップ。どことなく写真的です。
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「読み物をする女性」1880年 個人蔵
また「読み物をする女性」。前の女性の大きさからするとソファの上の男性はあまりにも小さい。この前景と後景の大胆な対比は何なのか。カイユボットの眼差しは実はかなり斬新でかつ個性的です。
特設サイトもオープン。写真家Mがカイユボットの魅力を随時紹介するという公認ブログ「写真家Mのカイユボット展ブログ」もスタートしました。
「カイユボット展 特設サイト」 「写真家Mのカイユボット展ブログ」
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カイユボット展会場に導入される電子端末・展示イメージ(予定)
早割ペア割引券は8月10日から発売予定。また会場ではDNPの協力の元、電子端末を使って、カイユボットの作品と写真、そしてパリの街を相互に行き交うような仕掛けも導入されるとか。こうした試みはブリヂストン美術館で初めてです。期待しましょう!
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記者発表会でパネルを前に解説するブリヂストン美術館の島田館長
「カイユボット展ー都市の印象派」はブリヂストン美術館で10月10日から開催されます。
「カイユボット展ー都市の印象派」 ブリヂストン美術館
会期:10月10日(木)~12月29日(日)
時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日(ただし12/16、祝日は開館)
主催:オルセー美術館、オランジュリー美術館、石橋財団ブリヂストン美術館、日本経済新聞社
会場:石橋財団ブリヂストン美術館(東京都中央区京橋1-10-1)
料金:一般1500円(1300円)、65歳以上シニア1300円(1100円)、大・高生1000円(800円)
*( )内は前売及び15名以上団体料金。
*早割ペア券2000円を販売。販売期間は8/10~9/9限定。
交通 :JR線東京駅八重洲中央口徒歩5分。東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩5分。東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線日本橋駅B1出口徒歩5分。
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「宮永愛子展 house」 ミヅマアートギャラリー
ミヅマアートギャラリー
「宮永愛子展 house」
6/12-8/3
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ミヅマアートギャラリーで開催中の宮永愛子個展、「house」へ行ってきました。
昨年秋、大阪の国立国際美術館で一大個展、「なかそら」を行った宮永愛子。お馴染みのナフタリンを素材としたオブジェの数々。国立国際の広いスペースを活用しての壮大なインスタレーションもまた人気を集めました。
以来、東京では初となる個展がここミヅマの地にて。国立国際に出品されて話題を博した最大のナフタリン作品の他、一部新作を交えての展示となっています。
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まずはその最大の作品から。メインスペース中央にさながら玉座の如く堂々と置かれているのが椅子を樹脂で固めた作品、「waiting for awakening」です。
椅子の背や脚、またクッションと樹脂の関係。積もった雪の結晶のように美しくまとわりつく様子。椅子の物質感と樹脂の繊細な感覚が同居しています。

また面白いのはハシゴをモチーフとした作品。こちらも国立国際に出品されたそうですが、ハシゴの中には蝶が薄い羽をピンと伸ばしています。なおこのハシゴ、思わぬ場所が光源になっています。そちらも注目です。

奥の和室では一冊の本がぽつんと。また靴や時計を閉じ込めた小品もいくつか登場しています。
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静謐な宮永の作品。青くまた白い光の美しさと儚さ。どことない清涼感も覚える展示でした。
「宮永愛子作品集 空中空(なかそら)/青幻舎」
国立国際美術館での「なかそら」展公式カタログ兼作品集が青幻舎から販売中です。
8月3日まで開催されています。
「宮永愛子展 house」 ミヅマアートギャラリー
会期:6月12日(水)~8月3日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
「宮永愛子展 house」
6/12-8/3
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ミヅマアートギャラリーで開催中の宮永愛子個展、「house」へ行ってきました。
昨年秋、大阪の国立国際美術館で一大個展、「なかそら」を行った宮永愛子。お馴染みのナフタリンを素材としたオブジェの数々。国立国際の広いスペースを活用しての壮大なインスタレーションもまた人気を集めました。
以来、東京では初となる個展がここミヅマの地にて。国立国際に出品されて話題を博した最大のナフタリン作品の他、一部新作を交えての展示となっています。
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まずはその最大の作品から。メインスペース中央にさながら玉座の如く堂々と置かれているのが椅子を樹脂で固めた作品、「waiting for awakening」です。
椅子の背や脚、またクッションと樹脂の関係。積もった雪の結晶のように美しくまとわりつく様子。椅子の物質感と樹脂の繊細な感覚が同居しています。
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また面白いのはハシゴをモチーフとした作品。こちらも国立国際に出品されたそうですが、ハシゴの中には蝶が薄い羽をピンと伸ばしています。なおこのハシゴ、思わぬ場所が光源になっています。そちらも注目です。
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奥の和室では一冊の本がぽつんと。また靴や時計を閉じ込めた小品もいくつか登場しています。
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静謐な宮永の作品。青くまた白い光の美しさと儚さ。どことない清涼感も覚える展示でした。
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国立国際美術館での「なかそら」展公式カタログ兼作品集が青幻舎から販売中です。
8月3日まで開催されています。
「宮永愛子展 house」 ミヅマアートギャラリー
会期:6月12日(水)~8月3日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
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ブリヂストン美術館で「追悼 ザオ・ウーキー」展が開催されます
この春、92歳で亡くなった画家のザオ・ウーキー。ザオの作品といえば、京橋のブリヂストン美術館。創設者の石橋正二郎とザオ本人に親交があったこともあり、現在でも国内屈指のザオ・コレクション形成しています。
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「追悼 ザオ・ウーキー」@ブリヂストン美術館(6/22~9/18)
そのコレクションから厳選された9点が「追悼 ザオ・ウーキー」と題して展示されます。(出品作品は上記リンク先特設サイトへ。)
期間は6月22日(土)から9月18日(水)まで。ちょうどコレクション展「色を見る、色を楽しむ。」が行われている間です。
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「色を見る、色を楽しむ。」@ブリヂストン美術館(6/22~9/18)
同展ではいわゆる色をテーマにコレクションから170作品を紹介。またマティスの挿絵本「ジャズ」と、最近収蔵されたというルドンのリトグラフ集「夢想」などもあわせて出品されます。
「追悼 ザオ・ウーキー」は「色を見る、色を楽しむ。」の併催の展示。第10室での開催です。
ザオの没後、これほどまとまった数の作品が出るのは初めて。なお同館では水彩や墨画をあわせ18点のザオ作品を所有しているそうです。ここは改めてじっくり向き合いたいところではないでしょうか。
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ザオ・ウーキーのアド・カード
なおカフェやギャラリーでザオの作品をあしらったアド・カードを配布中。こちらは裏面に展示情報の他、割引券が付いているという優れものです。
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アド・カード裏面
「追悼 ザオ・ウーキー」は「色を見る、色を楽しむ。」と同じく6月22日より開催されます。
「追悼 ザオ・ウーキー」 ブリヂストン美術館
会期:6月22日(土)~9月18日(水)
時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日。
料金:一般800(600)円、65歳以上600(500)円、大学・高校生500(400)円、中学生以下無料。
*( )内は15名以上の団体割引。
住所:中央区京橋1-10-1
交通:JR線東京駅八重洲中央口徒歩5分。東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩5分。東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線日本橋駅B1出口徒歩5分。
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「追悼 ザオ・ウーキー」@ブリヂストン美術館(6/22~9/18)
そのコレクションから厳選された9点が「追悼 ザオ・ウーキー」と題して展示されます。(出品作品は上記リンク先特設サイトへ。)
期間は6月22日(土)から9月18日(水)まで。ちょうどコレクション展「色を見る、色を楽しむ。」が行われている間です。
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「色を見る、色を楽しむ。」@ブリヂストン美術館(6/22~9/18)
同展ではいわゆる色をテーマにコレクションから170作品を紹介。またマティスの挿絵本「ジャズ」と、最近収蔵されたというルドンのリトグラフ集「夢想」などもあわせて出品されます。
「追悼 ザオ・ウーキー」は「色を見る、色を楽しむ。」の併催の展示。第10室での開催です。
ザオの没後、これほどまとまった数の作品が出るのは初めて。なお同館では水彩や墨画をあわせ18点のザオ作品を所有しているそうです。ここは改めてじっくり向き合いたいところではないでしょうか。
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ザオ・ウーキーのアド・カード
なおカフェやギャラリーでザオの作品をあしらったアド・カードを配布中。こちらは裏面に展示情報の他、割引券が付いているという優れものです。
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アド・カード裏面
「追悼 ザオ・ウーキー」は「色を見る、色を楽しむ。」と同じく6月22日より開催されます。
「追悼 ザオ・ウーキー」 ブリヂストン美術館
会期:6月22日(土)~9月18日(水)
時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日。
料金:一般800(600)円、65歳以上600(500)円、大学・高校生500(400)円、中学生以下無料。
*( )内は15名以上の団体割引。
住所:中央区京橋1-10-1
交通:JR線東京駅八重洲中央口徒歩5分。東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩5分。東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線日本橋駅B1出口徒歩5分。
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「プーシキン美術館展」でブロガー内覧会を開催
7月6日(土)から横浜美術館で開催される「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」。
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「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」@横浜美術館(7/6~9/16)
モスクワのプーシキン美術館が誇るフランス絵画コレクションが日本へ。一度は2011年に開催が決まっていたものの、かの大震災によってやむなく中止。今年になって再び開催が決まった展覧会でもあります。
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ポール・セザンヌ「パイプをくわえた男」1893-96年頃
既に先行する名古屋では愛知県美術館に巡回中。評判もツイッター(@Pushkin_Aichi)などであがってきているところです。
その横浜展の初日にブロガー向けの特別内覧会が開催されます。
[プーシキン美術館展 フランス絵画300年 特別観覧会概要]
・日時 2013年7月6日(土)18:00~20:00(受付開始 17:30~)
・場所 横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
・スケジュール
17:30~ 受付開始
18:00~18:30 ミニレクチャー(レクチャーホールにて)
18:30~20:00 特別観覧会
・定員 100名
*ブログ、Facebook、Twitterを開設していらっしゃる方。ブログの内容は問いません。
・参加費 無料
・申込 専用申込フォームより→https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=5
・申込締切 6月27日(木) 13:00
*抽選で100名をご招待します。当選者には7月1日(月)までにメールでお知らせします。
日時は展覧会オープン初日、7月6日(土)の18時から20時まで。有り難い土曜夜での開催。夜間の貸し切りです。またレクチャーの他、音声ガイド無料貸出、さらには会場の一部撮影の出来る特典がついています。
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フィンセント・ファン・ゴッホ「医師レーの肖像」1889年
[参加の特典]
1.開幕日(7月6日)当日の夜間貸切観覧会です。
2.参加の皆様にマスコミ用のプレスリリースをプレゼントいたします。
3.水谷豊さんナビゲートによる音声ガイドを無料で貸し出しいたします。
4.担当主任学芸員によるミニレクチャーにご参加いただけます。
5.展示室内の撮影が行えます。(但し1点撮り不可、フラッシュ不可などの条件付き)
対象はブロガー、Facebook、Twitterアカウントをお持ちの方です。ジャンルは問いません。本展のレビュー記事や魅力などを紹介すればOK。
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ニコラ・プッサン「アモリびとを打ち破るヨシュア」1624-25年頃
定員は100名。抽選制です。申込期限の6月27日(木)の13時までに専用フォームからお申し込み下さい。当選者のみ7月1日(月)までにメールでお知らせがあります。
私の記憶では横浜美術館でのブロガー内覧会は初めて。今年の浜美の夏を飾るメインの大型展です。
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ポール・ゴーギャン「エイアハ・オヒパ(働くなかれ)」1896年
まずは奮ってご応募下さい。
「プーシキン美術館展」夜間特別観覧会 申込フォーム
本イベントの主催で各種展覧会情報を発信する広報事務局「ウィンダム」のアカウント→(@WindamArtPR)
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「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」 横浜美術館
会期:7月6日(土)~9月16日(月・祝)
時間:10:00~18:00(8、9月の金曜日は20時まで開館)*入館は閉館の30分前まで。
休館:木曜日。但し8月1日、15日は開館。
会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
主催:横浜美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省
後援:外務省、ロシア連邦大使館、ロシア連邦交流庁、横浜市、神奈川新聞社
料金:一般1500(1400)円、大学・高校生1200(1100)円、中学生600(500)円。小学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。毎週土曜日は高校生以下無料。
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「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」@横浜美術館(7/6~9/16)
モスクワのプーシキン美術館が誇るフランス絵画コレクションが日本へ。一度は2011年に開催が決まっていたものの、かの大震災によってやむなく中止。今年になって再び開催が決まった展覧会でもあります。
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ポール・セザンヌ「パイプをくわえた男」1893-96年頃
既に先行する名古屋では愛知県美術館に巡回中。評判もツイッター(@Pushkin_Aichi)などであがってきているところです。
その横浜展の初日にブロガー向けの特別内覧会が開催されます。
[プーシキン美術館展 フランス絵画300年 特別観覧会概要]
・日時 2013年7月6日(土)18:00~20:00(受付開始 17:30~)
・場所 横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
・スケジュール
17:30~ 受付開始
18:00~18:30 ミニレクチャー(レクチャーホールにて)
18:30~20:00 特別観覧会
・定員 100名
*ブログ、Facebook、Twitterを開設していらっしゃる方。ブログの内容は問いません。
・参加費 無料
・申込 専用申込フォームより→https://admin.prius-pro.jp/m/win/form.php?f=5
・申込締切 6月27日(木) 13:00
*抽選で100名をご招待します。当選者には7月1日(月)までにメールでお知らせします。
日時は展覧会オープン初日、7月6日(土)の18時から20時まで。有り難い土曜夜での開催。夜間の貸し切りです。またレクチャーの他、音声ガイド無料貸出、さらには会場の一部撮影の出来る特典がついています。
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フィンセント・ファン・ゴッホ「医師レーの肖像」1889年
[参加の特典]
1.開幕日(7月6日)当日の夜間貸切観覧会です。
2.参加の皆様にマスコミ用のプレスリリースをプレゼントいたします。
3.水谷豊さんナビゲートによる音声ガイドを無料で貸し出しいたします。
4.担当主任学芸員によるミニレクチャーにご参加いただけます。
5.展示室内の撮影が行えます。(但し1点撮り不可、フラッシュ不可などの条件付き)
対象はブロガー、Facebook、Twitterアカウントをお持ちの方です。ジャンルは問いません。本展のレビュー記事や魅力などを紹介すればOK。
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ニコラ・プッサン「アモリびとを打ち破るヨシュア」1624-25年頃
定員は100名。抽選制です。申込期限の6月27日(木)の13時までに専用フォームからお申し込み下さい。当選者のみ7月1日(月)までにメールでお知らせがあります。
私の記憶では横浜美術館でのブロガー内覧会は初めて。今年の浜美の夏を飾るメインの大型展です。
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ポール・ゴーギャン「エイアハ・オヒパ(働くなかれ)」1896年
まずは奮ってご応募下さい。
「プーシキン美術館展」夜間特別観覧会 申込フォーム
本イベントの主催で各種展覧会情報を発信する広報事務局「ウィンダム」のアカウント→(@WindamArtPR)
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「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」 横浜美術館
会期:7月6日(土)~9月16日(月・祝)
時間:10:00~18:00(8、9月の金曜日は20時まで開館)*入館は閉館の30分前まで。
休館:木曜日。但し8月1日、15日は開館。
会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
主催:横浜美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省
後援:外務省、ロシア連邦大使館、ロシア連邦交流庁、横浜市、神奈川新聞社
料金:一般1500(1400)円、大学・高校生1200(1100)円、中学生600(500)円。小学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。毎週土曜日は高校生以下無料。
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ファインバーグ・コレクション展の後期展示がスタートします
江戸東京博物館で開催中の「ファインバーグ・コレクション 江戸絵画の奇跡」展。
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「ファインバーグ・コレクション展」@江戸東京博物館(プレビュー記事)
アメリカの実業家、ロバート&ベッツィーファインバーグ夫妻の蒐集した江戸絵画群。琳派、文人、円山四条派、そして奇想に浮世絵と幅広いコレクションが揃っています。
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「ファインバーグ・コレクション展」会場風景
既に会期も半ば。一度見たという方も多いかもしれませんが、やはり押さえておきたいのは展示替え作品がかなりあるということ。
[ファインバーグ・コレクション展出品リスト](PDF)
前期:5月21日~6月16日
後期:6月18日~7月15日
上記リストを見ても明らなように、前後期あわせて90点余のうち、25点弱ほどの作品が入れ替わります。
後期開始日は6月18日(火)。例えば抱一では「宇津の細道図屏風」から「柿に目白図」、また其一では「大江山図」から「松島図小襖」へ。さらに明治期の画家では鈴木松年から竹内栖鳳にバトンタッチも。その他、雪佳、大雅、また盧雪などもいくつか入れ替わります。
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谷文晁「秋夜名月図」江戸時代/文化14(1817)年
またコレクションの印象として特に文人画と浮世絵に優品が多い印象が。一推しは谷文晁の傑作「秋夜名月図」。このどこか儚気でまた趣き深い様子と言ったら比類がありません。こちらは通期展示です。
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酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」江戸時代/19世紀
また通期と言えば、抱一の「十二ヶ月花鳥図」を12幅全て前後期で楽しめるのもポイント。惜しげもなく一挙に公開されています。
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「ファインバーグ・コレクション展」グッズ各種。抱一の「十二ヶ月花鳥図」大判はがき12枚セットは買い!
幸いなことに会場は比較的余裕があるそうです。江戸絵画の百花繚乱。もちろん私も再度、両国へ行くつもりです。
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「ファインバーグ・コレクション展」書籍販売コーナー
ファインバーグ・コレクション展は7月15日まで開催されています。
「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」 江戸東京博物館(@edohakugibochan)
会期:5月21日(火)~7月15日(日)
休館:月曜日。但し7月15日は開館。
時間:9:30~17:30 *毎週土曜日は19:30まで。
料金:一般1300(1040)円、大学・専門学校生1040(830)円、小・中・高校生・65歳以上650(520)円
*( )内は20名以上の団体料金。常設展との共通券あり。
場所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。また掲載作品は全てファインバーグ・コレクションです。
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「ファインバーグ・コレクション展」@江戸東京博物館(プレビュー記事)
アメリカの実業家、ロバート&ベッツィーファインバーグ夫妻の蒐集した江戸絵画群。琳派、文人、円山四条派、そして奇想に浮世絵と幅広いコレクションが揃っています。
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「ファインバーグ・コレクション展」会場風景
既に会期も半ば。一度見たという方も多いかもしれませんが、やはり押さえておきたいのは展示替え作品がかなりあるということ。
[ファインバーグ・コレクション展出品リスト](PDF)
前期:5月21日~6月16日
後期:6月18日~7月15日
上記リストを見ても明らなように、前後期あわせて90点余のうち、25点弱ほどの作品が入れ替わります。
後期開始日は6月18日(火)。例えば抱一では「宇津の細道図屏風」から「柿に目白図」、また其一では「大江山図」から「松島図小襖」へ。さらに明治期の画家では鈴木松年から竹内栖鳳にバトンタッチも。その他、雪佳、大雅、また盧雪などもいくつか入れ替わります。
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谷文晁「秋夜名月図」江戸時代/文化14(1817)年
またコレクションの印象として特に文人画と浮世絵に優品が多い印象が。一推しは谷文晁の傑作「秋夜名月図」。このどこか儚気でまた趣き深い様子と言ったら比類がありません。こちらは通期展示です。
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酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」江戸時代/19世紀
また通期と言えば、抱一の「十二ヶ月花鳥図」を12幅全て前後期で楽しめるのもポイント。惜しげもなく一挙に公開されています。
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「ファインバーグ・コレクション展」グッズ各種。抱一の「十二ヶ月花鳥図」大判はがき12枚セットは買い!
幸いなことに会場は比較的余裕があるそうです。江戸絵画の百花繚乱。もちろん私も再度、両国へ行くつもりです。
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「ファインバーグ・コレクション展」書籍販売コーナー
ファインバーグ・コレクション展は7月15日まで開催されています。
「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」 江戸東京博物館(@edohakugibochan)
会期:5月21日(火)~7月15日(日)
休館:月曜日。但し7月15日は開館。
時間:9:30~17:30 *毎週土曜日は19:30まで。
料金:一般1300(1040)円、大学・専門学校生1040(830)円、小・中・高校生・65歳以上650(520)円
*( )内は20名以上の団体料金。常設展との共通券あり。
場所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。また掲載作品は全てファインバーグ・コレクションです。
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「特別展 京都」 記者発表会
10月8日(火)から東京国立博物館で始まる「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」の記者発表会に参加してきました。
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「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」@東京国立博物館(10/8~12/1)
「国宝、重文でつづる天下人の都」。戦国時代から江戸時代の京都を舞台にした主に屏風絵や障壁画を展観。絢爛豪華な洛中洛外図屏風に二条城を飾る障壁画などが上野へとやってきます。
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「特別展 京都」記者発表会会場 6/13 日テレホール
キャッチコピーは「京都でもみることのできない京都」。では具体的には何がそうなのか。このコピーに沿って展示の内容をご紹介しましょう。
まずは洛中洛外図から。はて「洛中洛外図屏風」の展示は何も珍しいことではないのでは? そんなことを思う方もおられるやもしれません。
それを本展では圧倒的スケールにて紹介。つまり指定品、ようは国宝・重文指定を受けた「洛中洛外図屏風」の7点全てを展示するのです。
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「洛中洛外図屏風 上杉本」 米沢市上杉博物館
ちなみに7点の指定品とは又兵衛の「舟木本」(重文・東京国立博物館)、永徳の「上杉本」(国宝・米沢市上杉博物館)、そして町田本とも呼ばれる「歴博甲本」(重文・国立歴史民俗博物館)と同じく歴博所蔵の「乙本」(重文・国立歴史民俗博物館)、さらには「池田本」(重文・林原美術館)に「勝興寺本」(重文・富岡市)に「福岡市博物館本」(重文・福岡市博物館)のこと。
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「洛中洛外図屏風 上杉本」(右隻3-4扇) 米沢市上杉博物館
会期中に展示替えがあることもあり、必ずしも同一会期で揃うわけではありませんが、それでもこれらが一つの展覧会に全て出品されるのは稀。記憶にありません。
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「洛中洛外図屏風 池田本」(右隻5-6扇) 林原美術館
なお「洛中洛外図屏風」からは制作時の京都の姿とともに、注文主と制作者の関係も読み解くことも可能。信長が謙信に贈ったとされる上杉本では、実際に謙信が京へやって来た姿が描写されていると考えられています。それらを見比べることで往時の文化に風俗だけでなく、権力の有り様なども知ることが出来るわけです。
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龍安寺風景
続いては障壁画です。ここでも「京都でもみることののできない京都。」が。それはかの石庭で有名な龍安寺です。
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旧龍安寺方丈襖絵18面の配置図
実はかつて龍安寺には何面もの障壁画がありましたが、その多くが廃仏毀釈などによって散逸。海外へ多く渡り、メトロポリタンやシアトルの各美術館などに収められました。
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「列士図襖」 メトロポリタン美術館
その里帰りが実現するわけです。とりわけメトロポリタン美術館の「列士図襖」は初の里帰り。また龍安寺の「群仙図襖」は2010年にオークションに出て龍安寺へ帰還した作品。かつて石庭を見つめていた計18面の襖絵がお寺の配置に則りながら展示されます。当然ながら現地へ出向いても叶いません。
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二条城二の丸御殿「黒書院」一の間大床
また障壁画といえば二条城もポイント。こちらは大広間四の間の「松鷹図」、そして黒書院一の間、二の間の全ての障壁画を出品。その数なんと全84面。もちろん一度に城外へ出る数としては過去最多です。しかもこちらも実際の配置を再現すべく立体的に展示されます。
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現在の京都御所「紫宸殿」内部風景「賢聖障子絵」
それに障壁画では京都御所の正殿、紫宸殿のために描かれた「賢聖障子絵」なども登場。全20面。十面ずつの展示替えで展示されます。
市中を一望する「洛中洛外図屏風」を筆頭に、僧侶の「龍安寺」、武家の「二条城」、そして公家の「京都御所」から集められる障壁画の数々。しかも開催は東京のみ、つまり東京国立博物館だけの展示です。これも言ってしまえば京都では見られないということ。
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龍安寺石庭の四季を超高精細映像で撮影
また主催の日本テレビが総力を挙げて制作に取り組んだという4K映像を使った映像展示も。テーマは龍安寺。石庭を1年かけて撮影。四季折々の風景を全16メートル、つまり実際の石庭の長さとほぼ同じスクリーンに投影します。
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「龍安寺石庭」4K映像スクリーン(全16メートル)
記者発表時には龍安寺石庭4K映像のデモンストレーションも。ハイビジョンの4倍の超高精細映像。この美しさ、そして迫力!とは言え、残念ながら私の写真ではまるで伝わりません。これは是非とも会場で体感してみてください。
さて最後に一つ。非常に重要なことをお伝えしましょう。それは前売チケットについてです。普段、あまりこの手のタイアップ情報をブログで紹介することはないのですが、今回ばかりは別。では何が特別なのか。
なんと「特別展 京都」の会期中に、東博本館を使い、話題の3Dプロジェクションマッピングで「洛中洛外図」が投影されるのです。
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「洛中洛外図屏風3Dプロジェクションマッピング」イメージ画像
日にちは10月16日(水)と10月17日(木)の2日間限定。いずれも18時から。前売企画チケット「秋のスペシャルナイト3Dプロジェクションマッピング付きチケット」を購入した方のみ観覧出来ます。
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「秋のスペシャルナイト3Dプロジェクションマッピング付きチケット」
開催日 2013年10月16日(水)、17日(木)
夜間開館 18:00~21:00(展示室への最終入場は20:30)
投影時間 18:10~20:20(約5分間の映像をループ上映予定)
販売期間 9月中旬販売開始予定
販売数 2夜合わせて2728枚の限定販売(限定数に達し次第終了)
セット内容 3Dプロジェクションマッピング鑑賞券+京都展夜間開館入場券1枚+マッピング映像DVD
販売価格 2400円(税込)
チケット販売 ローソンチケット(Lコード33900)
なおチケットは特別夜間開館での展覧会観覧と3Dプロジェクションマッピングのセット。しかもマッピング映像のDVDまでいただけるという特典つき。価格は2400円です。
枚数は「舟木本」に登場する2728名の人物に因んで2728枚のみ。発売は9月中旬を予定しているそうです。また発売の際にも改めて取り上げたいと思いますが、ともかく東博で初めて行われる3Dプロジェクションマッピング。大いに注目されるに違いありません。
ちなみに前売券に関してですが、2枚1組の早割ペア券2200円が既に発売中。こちらは7月31日まで。詳細はチケット情報をご参照下さい。
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記者会見会場スクリーンに投影された「洛中洛外図屏風」
公式サイトも全面リニューアル済。見どころなどもアップされています。秋の東博は京都一色に染まること間違いなし!
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展覧会公式アプリ「洛中洛外図屏風」も公開中!
「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」は10月8日から東京国立博物館で開催されます。
「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」 東京国立博物館
会期:10月8日(火)~12月1日(日)
時間:9:30~17:00(金曜日は20時まで開館)*入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し10月14日(月)、11月4日(月)は開館。10月15日(火)、11月5日(火)は閉館。
会場:東京国立博物館(台東区上野公園13-9)
主催:東京国立博物館、日本テレビ放送網、読売新聞社
特別協賛 タマホーム
協賛 光村印刷、日本興亜損保
料金:一般1500(1300)円、大学生1200(1000)円、高校生900(700)円。中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体、及び前売券。前売券は7月13日から10月7日まで販売。
*早割ペア券:2枚1組セット2200円。販売期間は6月13日から7月31日まで。
*特典つき企画チケット各種あり。詳細はチケット情報へ。
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「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」@東京国立博物館(10/8~12/1)
「国宝、重文でつづる天下人の都」。戦国時代から江戸時代の京都を舞台にした主に屏風絵や障壁画を展観。絢爛豪華な洛中洛外図屏風に二条城を飾る障壁画などが上野へとやってきます。
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「特別展 京都」記者発表会会場 6/13 日テレホール
キャッチコピーは「京都でもみることのできない京都」。では具体的には何がそうなのか。このコピーに沿って展示の内容をご紹介しましょう。
まずは洛中洛外図から。はて「洛中洛外図屏風」の展示は何も珍しいことではないのでは? そんなことを思う方もおられるやもしれません。
それを本展では圧倒的スケールにて紹介。つまり指定品、ようは国宝・重文指定を受けた「洛中洛外図屏風」の7点全てを展示するのです。
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「洛中洛外図屏風 上杉本」 米沢市上杉博物館
ちなみに7点の指定品とは又兵衛の「舟木本」(重文・東京国立博物館)、永徳の「上杉本」(国宝・米沢市上杉博物館)、そして町田本とも呼ばれる「歴博甲本」(重文・国立歴史民俗博物館)と同じく歴博所蔵の「乙本」(重文・国立歴史民俗博物館)、さらには「池田本」(重文・林原美術館)に「勝興寺本」(重文・富岡市)に「福岡市博物館本」(重文・福岡市博物館)のこと。
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「洛中洛外図屏風 上杉本」(右隻3-4扇) 米沢市上杉博物館
会期中に展示替えがあることもあり、必ずしも同一会期で揃うわけではありませんが、それでもこれらが一つの展覧会に全て出品されるのは稀。記憶にありません。
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「洛中洛外図屏風 池田本」(右隻5-6扇) 林原美術館
なお「洛中洛外図屏風」からは制作時の京都の姿とともに、注文主と制作者の関係も読み解くことも可能。信長が謙信に贈ったとされる上杉本では、実際に謙信が京へやって来た姿が描写されていると考えられています。それらを見比べることで往時の文化に風俗だけでなく、権力の有り様なども知ることが出来るわけです。
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龍安寺風景
続いては障壁画です。ここでも「京都でもみることののできない京都。」が。それはかの石庭で有名な龍安寺です。
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旧龍安寺方丈襖絵18面の配置図
実はかつて龍安寺には何面もの障壁画がありましたが、その多くが廃仏毀釈などによって散逸。海外へ多く渡り、メトロポリタンやシアトルの各美術館などに収められました。
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「列士図襖」 メトロポリタン美術館
その里帰りが実現するわけです。とりわけメトロポリタン美術館の「列士図襖」は初の里帰り。また龍安寺の「群仙図襖」は2010年にオークションに出て龍安寺へ帰還した作品。かつて石庭を見つめていた計18面の襖絵がお寺の配置に則りながら展示されます。当然ながら現地へ出向いても叶いません。
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二条城二の丸御殿「黒書院」一の間大床
また障壁画といえば二条城もポイント。こちらは大広間四の間の「松鷹図」、そして黒書院一の間、二の間の全ての障壁画を出品。その数なんと全84面。もちろん一度に城外へ出る数としては過去最多です。しかもこちらも実際の配置を再現すべく立体的に展示されます。
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現在の京都御所「紫宸殿」内部風景「賢聖障子絵」
それに障壁画では京都御所の正殿、紫宸殿のために描かれた「賢聖障子絵」なども登場。全20面。十面ずつの展示替えで展示されます。
市中を一望する「洛中洛外図屏風」を筆頭に、僧侶の「龍安寺」、武家の「二条城」、そして公家の「京都御所」から集められる障壁画の数々。しかも開催は東京のみ、つまり東京国立博物館だけの展示です。これも言ってしまえば京都では見られないということ。
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龍安寺石庭の四季を超高精細映像で撮影
また主催の日本テレビが総力を挙げて制作に取り組んだという4K映像を使った映像展示も。テーマは龍安寺。石庭を1年かけて撮影。四季折々の風景を全16メートル、つまり実際の石庭の長さとほぼ同じスクリーンに投影します。
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「龍安寺石庭」4K映像スクリーン(全16メートル)
記者発表時には龍安寺石庭4K映像のデモンストレーションも。ハイビジョンの4倍の超高精細映像。この美しさ、そして迫力!とは言え、残念ながら私の写真ではまるで伝わりません。これは是非とも会場で体感してみてください。
さて最後に一つ。非常に重要なことをお伝えしましょう。それは前売チケットについてです。普段、あまりこの手のタイアップ情報をブログで紹介することはないのですが、今回ばかりは別。では何が特別なのか。
なんと「特別展 京都」の会期中に、東博本館を使い、話題の3Dプロジェクションマッピングで「洛中洛外図」が投影されるのです。
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「洛中洛外図屏風3Dプロジェクションマッピング」イメージ画像
日にちは10月16日(水)と10月17日(木)の2日間限定。いずれも18時から。前売企画チケット「秋のスペシャルナイト3Dプロジェクションマッピング付きチケット」を購入した方のみ観覧出来ます。
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「秋のスペシャルナイト3Dプロジェクションマッピング付きチケット」
開催日 2013年10月16日(水)、17日(木)
夜間開館 18:00~21:00(展示室への最終入場は20:30)
投影時間 18:10~20:20(約5分間の映像をループ上映予定)
販売期間 9月中旬販売開始予定
販売数 2夜合わせて2728枚の限定販売(限定数に達し次第終了)
セット内容 3Dプロジェクションマッピング鑑賞券+京都展夜間開館入場券1枚+マッピング映像DVD
販売価格 2400円(税込)
チケット販売 ローソンチケット(Lコード33900)
なおチケットは特別夜間開館での展覧会観覧と3Dプロジェクションマッピングのセット。しかもマッピング映像のDVDまでいただけるという特典つき。価格は2400円です。
枚数は「舟木本」に登場する2728名の人物に因んで2728枚のみ。発売は9月中旬を予定しているそうです。また発売の際にも改めて取り上げたいと思いますが、ともかく東博で初めて行われる3Dプロジェクションマッピング。大いに注目されるに違いありません。
ちなみに前売券に関してですが、2枚1組の早割ペア券2200円が既に発売中。こちらは7月31日まで。詳細はチケット情報をご参照下さい。
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記者会見会場スクリーンに投影された「洛中洛外図屏風」
公式サイトも全面リニューアル済。見どころなどもアップされています。秋の東博は京都一色に染まること間違いなし!
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展覧会公式アプリ「洛中洛外図屏風」も公開中!
「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」は10月8日から東京国立博物館で開催されます。
「特別展 京都ー洛中洛外図と障壁画の美」 東京国立博物館
会期:10月8日(火)~12月1日(日)
時間:9:30~17:00(金曜日は20時まで開館)*入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し10月14日(月)、11月4日(月)は開館。10月15日(火)、11月5日(火)は閉館。
会場:東京国立博物館(台東区上野公園13-9)
主催:東京国立博物館、日本テレビ放送網、読売新聞社
特別協賛 タマホーム
協賛 光村印刷、日本興亜損保
料金:一般1500(1300)円、大学生1200(1000)円、高校生900(700)円。中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体、及び前売券。前売券は7月13日から10月7日まで販売。
*早割ペア券:2枚1組セット2200円。販売期間は6月13日から7月31日まで。
*特典つき企画チケット各種あり。詳細はチケット情報へ。
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6/15(土)「虞美人草図屏風」を逆さで展示!(夏目漱石の美術世界展)
東京藝術大学大学美術館で開催中の「夏目漱石の美術世界展」。
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「夏目漱石の美術世界展」@東京藝術大学大学美術館(プレビュー記事)
プレビュー記事にも触れましたが、漱石と美術の関わりを紹介する展覧会。漱石本人と直接関わる作品はもとより、小説中に引用された美術品が数多く展示されています。
そしてこの展覧会の一つポイントとなるのが、漱石が小説中に引用するため、架空に生み出した美術作品を再現する試みが行われていることです。それが荒井桂の「酒井抱一 虞美人草図屏風(推定試作)」。いうまでもなく虞美人草のラスト、藤尾の枕元で逆さに置かれた屏風です。
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荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年
逆に立てたのは二つ折りの銀屏である。一面に冴え返る月の色の方六尺のなかに、会釈もなく緑青を使って、柔婉なる茎を乱るるばかりに描た。不規則にぎざぎざを畳む鋸葉を描た。緑青の尽きる茎の頭には、薄い弁を掌ほどの大きさに描た。(略)色は赤に描た。紫に描た。凡てが銀の中から生える。銀の中に咲く。落つるも銀の中と思わせる程に描いた。花は虞美人草である。落款は抱一である。*夏目漱石「虞美人草」より
漱石は藤尾を半ば虞美人草に暗示。テキストには抱一の描いた二つ折りの銀屏風を描写しました。
しかしながらこの屏風が実際に抱一の描いたものであるかどうかは現時点で否定的。と言うのも、抱一がこの手の銀屏風を描いた記録はおろか、作品自体も残っていないからです。
それを東京藝術大学文化財保存学専攻准教授の荒井桂さんが今に再現。一度は完成作をボツにするなど試行錯誤の上、この「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」を出品しました。
実はプレビュー時に一度、逆さにして公開されましたが、会期中では通常通り、逆さにしないでの展示。それが6/15(土)のみ逆さなって展示されます。
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荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年(逆さにする作業)
逆さにすることで変化する光や色の表情。漱石が藤尾にこめた思いは如何に。ともかくも逆さを肉眼で確認出来るのは明日だけです。
「夏目漱石の美術世界展 出品リスト」@東京藝術大学(PDF)
既に会期も残り一ヶ月を切りました。いくつかの作品も入れ替わっています。まだご覧になっていない方も、この『逆さ展示』を機会に「夏目漱石の美術世界展」は如何でしょうか。
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J.W.ウォーターハウス「シャロットの女」1894年 リーズ市立美術館
Leeds Museums and Galleries (Leeds Art Gallery)
6/18(火)にはBS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」(20:00~20:54放送)でも紹介されるそうです。こちらも要チェックです!
「夏目漱石の美術世界展」 東京藝術大学大学美術館
会期:5月14日(火)~7月7日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般1500(1200)円、高校・大学生1000(700)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「夏目漱石の美術世界展」@東京藝術大学大学美術館(プレビュー記事)
プレビュー記事にも触れましたが、漱石と美術の関わりを紹介する展覧会。漱石本人と直接関わる作品はもとより、小説中に引用された美術品が数多く展示されています。
そしてこの展覧会の一つポイントとなるのが、漱石が小説中に引用するため、架空に生み出した美術作品を再現する試みが行われていることです。それが荒井桂の「酒井抱一 虞美人草図屏風(推定試作)」。いうまでもなく虞美人草のラスト、藤尾の枕元で逆さに置かれた屏風です。
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荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年
逆に立てたのは二つ折りの銀屏である。一面に冴え返る月の色の方六尺のなかに、会釈もなく緑青を使って、柔婉なる茎を乱るるばかりに描た。不規則にぎざぎざを畳む鋸葉を描た。緑青の尽きる茎の頭には、薄い弁を掌ほどの大きさに描た。(略)色は赤に描た。紫に描た。凡てが銀の中から生える。銀の中に咲く。落つるも銀の中と思わせる程に描いた。花は虞美人草である。落款は抱一である。*夏目漱石「虞美人草」より
漱石は藤尾を半ば虞美人草に暗示。テキストには抱一の描いた二つ折りの銀屏風を描写しました。
しかしながらこの屏風が実際に抱一の描いたものであるかどうかは現時点で否定的。と言うのも、抱一がこの手の銀屏風を描いた記録はおろか、作品自体も残っていないからです。
それを東京藝術大学文化財保存学専攻准教授の荒井桂さんが今に再現。一度は完成作をボツにするなど試行錯誤の上、この「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」を出品しました。
実はプレビュー時に一度、逆さにして公開されましたが、会期中では通常通り、逆さにしないでの展示。それが6/15(土)のみ逆さなって展示されます。
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荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年(逆さにする作業)
逆さにすることで変化する光や色の表情。漱石が藤尾にこめた思いは如何に。ともかくも逆さを肉眼で確認出来るのは明日だけです。
「夏目漱石の美術世界展 出品リスト」@東京藝術大学(PDF)
既に会期も残り一ヶ月を切りました。いくつかの作品も入れ替わっています。まだご覧になっていない方も、この『逆さ展示』を機会に「夏目漱石の美術世界展」は如何でしょうか。
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J.W.ウォーターハウス「シャロットの女」1894年 リーズ市立美術館
Leeds Museums and Galleries (Leeds Art Gallery)
6/18(火)にはBS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」(20:00~20:54放送)でも紹介されるそうです。こちらも要チェックです!
「夏目漱石の美術世界展」 東京藝術大学大学美術館
会期:5月14日(火)~7月7日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般1500(1200)円、高校・大学生1000(700)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「石の教会 内村鑑三記念堂」
先日出かけた軽井沢。ニューアートミュージアムやセゾン現代美術館の展示の他に、建築としても見逃せないスポットがあると聞き、立ち寄ったのは「石の教会 内村鑑三記念堂」。言うまでもなくキリスト教思想家の内村鑑三の教えを体現すべく造られた教会です。
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場所はホテルブレストンコートの敷地内。休日ということもあり、結婚式をあげている方も多くおられます。もちろんその間は見学することは叶いませんが、挙式と挙式の合間であれば内部も入ることが可能です。
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エントランスからして独特の曲線が全面に。教会への道も当然ながら石造り。下る道を進むと石の教会が見えてきました。
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こちらは遠景です。ちょうど結婚式を終えて出て来られた方が。それにしてもいわゆる教会らしからぬ異様な気配です。
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さらに深い森を進むと教会のすぐそばへ。石が堆く積み上げられる様はまるで要塞のようではありませんか。ともかく上部の石のアーチが強い個性を放っています。
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見学者の入口です。入ると言うよりも潜り込むような印象。礼拝堂は撮影禁止ですが、それ以外の廊下や屋根の部分はOK。中は内村鑑三の記念館としても利用されています。
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廊下はまるで西洋のお城の中のようでした。
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そして上を見上げると、石にはめ込まれたガラス窓が点々と連なっている。自然光が柔らかく差し込んできます。ちなみにこれは石が男性を、ガラスが女性を表しているとか。そしてそれらが合わせ重なることで、ともに支えあう人生を象徴しているのだそうです。
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さてちょうど式が終わったので礼拝堂から今度は表へ。こちらからもう一度教会の全景を。
有機的とも受け取れるようなフォルム。アーチの連続がリズムも生み出します。それにしてもやはり全体を支配するのは石の重厚な存在感です。華麗な装飾を一切排してのプリミティブなまでの造形。それでいてデザインとしての新しさも感じられます。
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内村鑑三が残した「無教会」という言葉。それは教会は信仰や制度がなくとも、祈りたい人が自由に集う場所であるべきだという考えだそうです。また「天然の中に神の意思がある」として、ここ軽井沢の自然も愛していたとか。森に寄り添い、また溶け込んでいた石の教会。深く心にとまる建物でした。
「石の教会・内村鑑三記念堂」
住所:長野県北佐久郡軽井沢町星野
電話:0267-45-2288
時間:9:00~18:00(挙式時以外は見学自由)
無料、無休
交通:上信越自動車道碓氷軽井沢ICより20分。無料駐車場あり。JR長野新幹線軽井沢駅から無料シャトルバスで15分。
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場所はホテルブレストンコートの敷地内。休日ということもあり、結婚式をあげている方も多くおられます。もちろんその間は見学することは叶いませんが、挙式と挙式の合間であれば内部も入ることが可能です。
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エントランスからして独特の曲線が全面に。教会への道も当然ながら石造り。下る道を進むと石の教会が見えてきました。
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こちらは遠景です。ちょうど結婚式を終えて出て来られた方が。それにしてもいわゆる教会らしからぬ異様な気配です。
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さらに深い森を進むと教会のすぐそばへ。石が堆く積み上げられる様はまるで要塞のようではありませんか。ともかく上部の石のアーチが強い個性を放っています。
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見学者の入口です。入ると言うよりも潜り込むような印象。礼拝堂は撮影禁止ですが、それ以外の廊下や屋根の部分はOK。中は内村鑑三の記念館としても利用されています。
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廊下はまるで西洋のお城の中のようでした。
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そして上を見上げると、石にはめ込まれたガラス窓が点々と連なっている。自然光が柔らかく差し込んできます。ちなみにこれは石が男性を、ガラスが女性を表しているとか。そしてそれらが合わせ重なることで、ともに支えあう人生を象徴しているのだそうです。
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さてちょうど式が終わったので礼拝堂から今度は表へ。こちらからもう一度教会の全景を。
有機的とも受け取れるようなフォルム。アーチの連続がリズムも生み出します。それにしてもやはり全体を支配するのは石の重厚な存在感です。華麗な装飾を一切排してのプリミティブなまでの造形。それでいてデザインとしての新しさも感じられます。
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内村鑑三が残した「無教会」という言葉。それは教会は信仰や制度がなくとも、祈りたい人が自由に集う場所であるべきだという考えだそうです。また「天然の中に神の意思がある」として、ここ軽井沢の自然も愛していたとか。森に寄り添い、また溶け込んでいた石の教会。深く心にとまる建物でした。
「石の教会・内村鑑三記念堂」
住所:長野県北佐久郡軽井沢町星野
電話:0267-45-2288
時間:9:00~18:00(挙式時以外は見学自由)
無料、無休
交通:上信越自動車道碓氷軽井沢ICより20分。無料駐車場あり。JR長野新幹線軽井沢駅から無料シャトルバスで15分。
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「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」 アルマスギャラリー
アルマスギャラリー
「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」
6/1-6/29
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アルマスギャラリーで開催中の野村在個展、「additional fugitive 増刷する刹那」へ行ってきました。
いただいた一枚のDM(上の画像)。白を背景に水色の液体のようなものが飛沫を上げている様子。実のところ全く予備知識なく、このイメージそのものに惹かれた私。意味ありげなタイトルもまた気になるポイント。一体どのような作品なのか。期待しながら画廊へと足を運んでみました。
さて作家、野村在の制作とは。言わば物質のとある現象を彫刻として捉えた写真です。
というわけで上記の作品も写真。滴り落ちる液体が揺らぐ、また広がって美しきカーブを描く瞬間。その姿を写真に起こしています。
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そしてそれが彫刻を志向していることの面白さ。台座の存在がポイントです。台座の上にさも乗って静止しているように見える現象。それがピタリと切り取られて強度のある『立体』へと変化。するとフォルムがぐっと浮かび上がり、一つの彫刻のような造形へと成していきます。
野村は元々、こうした可変性のある素材を彫刻作品として制作。と同時に写真の表現も行ってきました。
作品には一部、言わば木立のような『借景』のあるものも。こちらも一瞬の物質の変化を捉える手法です。ただ先に挙げた背景の白、また台座があった方が、彫刻としては際立ってくるのではないでしょうか。
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物質が「消滅へと向かう」ことを定着させる表現。そしてその現象にはかくも美しき「形」が秘められていた。シンプルな仕掛けながらも、表現は洗練。魅力的です。
6月29日まで開催されています。おすすめします。注)画廊は金・土・日のみのオープンです。
「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」 アルマスギャラリー
会期:6月1日(土)~6月29日(土)
休館:月~木曜日。年末年始(12/24-1/10)。*金・土・日のみオープン。
時間:12:00~19:00
住所:江東区清澄2-4-7
交通:東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩5分。
「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」
6/1-6/29
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アルマスギャラリーで開催中の野村在個展、「additional fugitive 増刷する刹那」へ行ってきました。
いただいた一枚のDM(上の画像)。白を背景に水色の液体のようなものが飛沫を上げている様子。実のところ全く予備知識なく、このイメージそのものに惹かれた私。意味ありげなタイトルもまた気になるポイント。一体どのような作品なのか。期待しながら画廊へと足を運んでみました。
さて作家、野村在の制作とは。言わば物質のとある現象を彫刻として捉えた写真です。
というわけで上記の作品も写真。滴り落ちる液体が揺らぐ、また広がって美しきカーブを描く瞬間。その姿を写真に起こしています。
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そしてそれが彫刻を志向していることの面白さ。台座の存在がポイントです。台座の上にさも乗って静止しているように見える現象。それがピタリと切り取られて強度のある『立体』へと変化。するとフォルムがぐっと浮かび上がり、一つの彫刻のような造形へと成していきます。
野村は元々、こうした可変性のある素材を彫刻作品として制作。と同時に写真の表現も行ってきました。
作品には一部、言わば木立のような『借景』のあるものも。こちらも一瞬の物質の変化を捉える手法です。ただ先に挙げた背景の白、また台座があった方が、彫刻としては際立ってくるのではないでしょうか。
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物質が「消滅へと向かう」ことを定着させる表現。そしてその現象にはかくも美しき「形」が秘められていた。シンプルな仕掛けながらも、表現は洗練。魅力的です。
6月29日まで開催されています。おすすめします。注)画廊は金・土・日のみのオープンです。
「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」 アルマスギャラリー
会期:6月1日(土)~6月29日(土)
休館:月~木曜日。年末年始(12/24-1/10)。*金・土・日のみオープン。
時間:12:00~19:00
住所:江東区清澄2-4-7
交通:東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩5分。
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「ミヤケマイ 『白粉花』」 ポーラミュージアムアネックス
ポーラミュージアムアネックス
「ミヤケマイ 『白粉花』」
5/25-6/30
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ポーラミュージアムアネックスで開催中のミヤケマイ個展、「白粉花」へ行ってきました。
日本画、インスタレーションの枠を超え、古典に現代、和とテクノロジーを半ば融合させて新たな地平を築くアーティスト、ミヤケマイ。彼女の久しぶりとなる大規模な個展が、今、銀座のポーラミュージアムアネックスで開かれています。
タイトルは「白粉花」。作品を通して見開かれる「白」の美しさ。過去の展開と新たな挑戦と。ミヤケマイの旧作とともに、次の世界も垣間見える展覧会です。
では早速、会場へ。お出迎えしてくれるのは当然ながら「白」を基調とした作品。しかしながらその表情は驚くほどに多彩です。
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こちらは掛け軸の「春秋」。山水に流水の景色の中には可愛らしくコミカルな猿や人間が。女子高校生の足だけが宙に浮いて切れているのもポイント。必ず今の世相が取り込まれています。
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また写真では何ともお伝えしにくいのですが、ハニカム構造体、ようは蜂の巣状の穴を隙間なく並べた支持体を用いた連作もいくつか。穴の向こうに見える景色、そしてモチーフとは一体何か。どこか謎解き的要素で楽しめるのもミヤケマイ作品の大きな魅力の一つです。
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「隣」2013年 インスタレーション、ホログラフィック・ディスプレイ
さて穴と言えばこちら。「隣」と名付けられた立体作品。障子のように格子が連なっていますが、よく見ると表面には穴が。
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「隣」2013年 インスタレーション、ホログラフィック・ディスプレイ
何とその先には動物や花のモチーフが。しかもホログラフィックを用いることにより、動きと光が加わるのも見逃せないところ。障子の向こうのテクノロジー。その絶妙な取り合わせ。ともかく穴をしばらく覗いてみて下さい。
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「必然」2013年 インスタレーション、軸、ビデオプロジェクション
そして茶室インスタレーションの展開も。こちらはウォークイン方式。小さなにじり口から入ることが出来ます。
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「必然」2013年 インスタレーション、軸、ビデオプロジェクション
そして奥の掛け軸を見やると文字が。こちらもビデオプロジェクションによる投影。時に強い社会性を持ったミヤケさんのメッセージが浮かび上がります。
産まれて落ちた時、私達は真っ白なまま世に出て来る。そしてこの世を去るときも記憶も消去され、真っ白な骨や灰になって出て行く。
その間、炭に近付ければ黒し、朱に交われば赤くなり、青は藍より出でて藍よりも青くなる。色とは光の産む幻想に過ぎない。
色は思案の外とは良く言ったもの。色白は七難隠すというがその七難とはなんなのであろう。 ミヤマケイ
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「天は自ら助くるものを助ける」2013年 陶器
入口には千手観音の「天は自ら助くるものを助ける」が壁一面に展開。よく見ると手は通常より2本少ない40本。そうです。この中に鑑賞者が入ることによって42本となる。まさに自らの助けこそが必要です。そしてこちらは撮影可能。思い思いのポーズを構えたいところです。
シニカルな視点を持ちあわせながらも、機知に富み、思いもよらぬほど繊細な感覚を呼び起こすミヤケマイの世界。存分に味わうことが出来ました。
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ミヤケマイ×和傘工房 コラボレーション「初音」
1階のウィンドウではミヤケマイさんのデザインされた和傘のディスプレイも!
6月30日まで開催されています。
「ミヤケマイ 『白粉花』」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:5月25日(土)~6月30日(日)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
注)会場内の写真はレセプション時に撮影しました。なお「天は自ら助くるものを助ける」については自由に撮影可能です。
「ミヤケマイ 『白粉花』」
5/25-6/30
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ポーラミュージアムアネックスで開催中のミヤケマイ個展、「白粉花」へ行ってきました。
日本画、インスタレーションの枠を超え、古典に現代、和とテクノロジーを半ば融合させて新たな地平を築くアーティスト、ミヤケマイ。彼女の久しぶりとなる大規模な個展が、今、銀座のポーラミュージアムアネックスで開かれています。
タイトルは「白粉花」。作品を通して見開かれる「白」の美しさ。過去の展開と新たな挑戦と。ミヤケマイの旧作とともに、次の世界も垣間見える展覧会です。
では早速、会場へ。お出迎えしてくれるのは当然ながら「白」を基調とした作品。しかしながらその表情は驚くほどに多彩です。
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こちらは掛け軸の「春秋」。山水に流水の景色の中には可愛らしくコミカルな猿や人間が。女子高校生の足だけが宙に浮いて切れているのもポイント。必ず今の世相が取り込まれています。
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また写真では何ともお伝えしにくいのですが、ハニカム構造体、ようは蜂の巣状の穴を隙間なく並べた支持体を用いた連作もいくつか。穴の向こうに見える景色、そしてモチーフとは一体何か。どこか謎解き的要素で楽しめるのもミヤケマイ作品の大きな魅力の一つです。
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「隣」2013年 インスタレーション、ホログラフィック・ディスプレイ
さて穴と言えばこちら。「隣」と名付けられた立体作品。障子のように格子が連なっていますが、よく見ると表面には穴が。
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「隣」2013年 インスタレーション、ホログラフィック・ディスプレイ
何とその先には動物や花のモチーフが。しかもホログラフィックを用いることにより、動きと光が加わるのも見逃せないところ。障子の向こうのテクノロジー。その絶妙な取り合わせ。ともかく穴をしばらく覗いてみて下さい。
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「必然」2013年 インスタレーション、軸、ビデオプロジェクション
そして茶室インスタレーションの展開も。こちらはウォークイン方式。小さなにじり口から入ることが出来ます。
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「必然」2013年 インスタレーション、軸、ビデオプロジェクション
そして奥の掛け軸を見やると文字が。こちらもビデオプロジェクションによる投影。時に強い社会性を持ったミヤケさんのメッセージが浮かび上がります。
産まれて落ちた時、私達は真っ白なまま世に出て来る。そしてこの世を去るときも記憶も消去され、真っ白な骨や灰になって出て行く。
その間、炭に近付ければ黒し、朱に交われば赤くなり、青は藍より出でて藍よりも青くなる。色とは光の産む幻想に過ぎない。
色は思案の外とは良く言ったもの。色白は七難隠すというがその七難とはなんなのであろう。 ミヤマケイ
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「天は自ら助くるものを助ける」2013年 陶器
入口には千手観音の「天は自ら助くるものを助ける」が壁一面に展開。よく見ると手は通常より2本少ない40本。そうです。この中に鑑賞者が入ることによって42本となる。まさに自らの助けこそが必要です。そしてこちらは撮影可能。思い思いのポーズを構えたいところです。
シニカルな視点を持ちあわせながらも、機知に富み、思いもよらぬほど繊細な感覚を呼び起こすミヤケマイの世界。存分に味わうことが出来ました。
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ミヤケマイ×和傘工房 コラボレーション「初音」
1階のウィンドウではミヤケマイさんのデザインされた和傘のディスプレイも!
6月30日まで開催されています。
「ミヤケマイ 『白粉花』」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:5月25日(土)~6月30日(日)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
注)会場内の写真はレセプション時に撮影しました。なお「天は自ら助くるものを助ける」については自由に撮影可能です。
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