都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」 原美術館
原美術館
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」
8/28-11/18
原美術館で開催中の「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」の特別内覧会に参加してきました。
昨年のアート・スコープ「インヴィジブル・メモリーズ」しかり、アーティストの異文化交流を積極的に支援している原美術館。
今回のプロジェクトで招聘したのは広域アジア、及びアメリカ在住の若手アーティスト、計10名です。2007年から2011年にかけ、それぞれ3ヶ月間、日本への「アーティスト・イン・レジデンス」として滞在制作を行った作家の作品が一堂に介しました。
出品作家は以下の通りです。
カディム アリ Khadim Ali [アフガニスタン、1978年生]
ムナム アパン Minam Apang [インド、1980年生]
フロレンシア ロドリゲス ヒレス Florencia Rodrigues Giles [アルゼンチン、1978年生]
デュート ハルドーノ Duto Hardono [インドネシア、1985年生]
プラディープ ミシュラ Pradeep Mishra [インド、1977年生]
ドナ オン Donna Ong [シンガポール、1978年生]
チアゴ ホシャ ピッタ Thiago Rocha Pitta [ブラジル、1980年生]
シャギニ ラトナウラン Syagini Ratnawulan [インドネシア、1979年生]
エリカ ヴェルズッティ Erika Verzutti [ブラジル、1971年生]
メアリー=エリザベス ヤーボロー Mary - Elizabeth Yarbrough [アメリカ、1974年生]
「アジア、中東、南米など比較的公的なサポートの少ない国の作家を選ぶように心がけた。」(@haramuseumより転載。)というアーティストたち、当然ながら文化圏も異なれば、表現の手法も絵画にインスタレーション他と多種多様。
それらの作品が原美術館の建物を一つの「ホーム」と見立て、時に調和、またある時には互いに主張し合うかのように展示されていました。
さて冒頭、チアゴ ホシャ ピッタのモノクロームのオブジェに何やらただならぬ気配を感じる方も多いかもしれません。
チアゴ ホシャ ピッタ「地質大陸移動の記念碑」(2012年)
「地質大陸移動の記念碑」(2012年)と名付けられたこの作品、布がドレープを描いて吊るされていますが、良く目をこらすと表面には石のような固形物が爛れ、石化、つまりは硬くなっている様子が見て取れます。
実はこれはセメントです。帆船としての軽さと石の重量感の両方を伴うというコンセプト、それこそ切り立つ山、またその断面のようにも写るかもしれません。
チアゴ ホシャ ピッタ「空模様と都市の絵画のためのスケッチ」(2008年)
また滞在中に東京の建築に関心を覚えたチアゴ ホシャ ピッタは三点の水彩、「空模様と都市の絵画のためのスケッチ」(2008年)も出品しています。その朧げに浮かぶ直線のシルエット、確かにビルの姿のように見えますが、モノクロームでかつ滲みを帯びた質感は、まるで水墨表現をも連想させてはいないでしょうか。質感は実に繊細でした。
さてモノクロームから一点、眩しいまでの赤が目に飛び込んでくるのは、プラディープ ミシュラの油彩画です。
プラディープ ミシュラの「ウォームス オブ トゥゲザネス9」(2010年)
まさに燃え盛る赤、その中にはミシュラが滞在中に集中して取り上げた動物のモチーフが登場しています。モミュメンタルなまでの「ウォームス オブ トゥゲザネス9」(2010年) の迫力は並大抵ではありません。赤に浮かび上がる二羽の鳥、それこそ神の鳥とでもいうようなオーラを放っていました。
さてもっと日常、ようは東京の生活なり風俗へ関心を寄せた作品を発表しているのが、エリカ ヴェルズッティです。
エリカ ヴェルズッティ「カルボナーダ」(2010年)
まさに滞在中の風景、それこそ電車の車内から、駅で見かけたという「奇妙」(解説より引用)なブロンズ像などを軽妙なタッチで描いています。
エリカ ヴェルズッティ「マネ」、「銀座」、「日比谷ブライド」(2010年)他
また一枚、マネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」を描いた作品がありましたが、これは彼女が滞在したのが2010年であることを鑑みると、ちょうどその時三菱一号館美術館で開催されていた「マネとモダン・パリ」で見たものなのかもしれません。
メアリー=エリザベス ヤーボロー「お目にかかれて嬉しいです」(2007年)
さらに日本の生活に密接なのがメアリー=エリザベス ヤーボロー。なんと彼女は日本のカラオケの独特のスタイルに興味をいだき、歌姫、美空ひばりをモチーフとした作品を制作しました。
メアリー=エリザベス ヤーボロー「虚空の中へ」(2008年)他
ちなみにヤーボロー、一見タブローに見えますが、鏡面のアクリルパネルやマットなどを使って、コラージュ風に作品を仕立てているのも興味深いところかもしれません。
さてこのプロジェクト、滞在期間は2007年から2011年。というわけでかの震災後の滞在経験を持つアーティストがいるのも重要なポイントです。
シャギニ ラトナウラン「忘れないで」(2011年)他
震災後に日本に滞在したのはインドネシア人のアーティスト、シャギニ ラトナウランとデュート ハルドーノですが、当然ながら日本人でも大きなショックを受けた大災害、お二方にも強い印象を与えたに違いありません。
「シャギニ ラトナウランは震災後の滞在で、孤独に内面を見つめる機会となった。転換機として貴重な体験。ロンドンのゴールドスミス卒でコンセプチュアルな制作だったが、日本の滞在を経てより自己を見つめ、直感をいかすように。彼女はファッションにも関心。」(@haramuseumより転載。)
震災を踏まえた日本と向き合った外国人アーティスト、その表現の在り方そのものにも注目すべき展覧会と言えそうです。
本展の特設サイトが充実しています!
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」公式サイト
また9月26日にはWEBやSNSで情報発信をしている方を対象に、特別鑑賞会が開催されます。
「ホームアゲイン 展覧会リポーター特別鑑賞会開催!」
日時:9月26日(水)18:00~20:00
会場:原美術館
特典:当日限り、展覧会招待
申込締め切り:9月19日(水)
定員:40名
締切は9/19、展覧会に招待される上、キュレータートークも行われるという嬉しい企画です。申込方法などは公式サイトをご参照下さい。
内覧時にはフロレンシア ロドリゲス ヒレスのパフォーマンスも行われました。
また屋上のフラッグもお見逃しなく。こちらはプラディープ ミシュラの作品です。
ちなみに会場内は撮影が可能です。リンク先の注意事項を熟読の上、カメラ片手で出かけましょう。
11月18日まで開催されています。
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」 原美術館(@haramuseum)
会期:8月28日(火)~11月18日(日)
休館:月曜日。(但し祝日に当たる9月17日、10月8日は開館。翌9月18日、10月9日は休館。)
時間:11:00~17:00。*毎週水曜日は20時まで開館。
料金: 一般1000円、大高生700円、小中生500円
*原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料。20名以上の団体は1人100円引。
住所:品川区北品川4-7-25
交通:JR線品川駅高輪口より徒歩15分。都営バス反96系統御殿山下車徒歩3分。
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」
8/28-11/18
原美術館で開催中の「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」の特別内覧会に参加してきました。
昨年のアート・スコープ「インヴィジブル・メモリーズ」しかり、アーティストの異文化交流を積極的に支援している原美術館。
今回のプロジェクトで招聘したのは広域アジア、及びアメリカ在住の若手アーティスト、計10名です。2007年から2011年にかけ、それぞれ3ヶ月間、日本への「アーティスト・イン・レジデンス」として滞在制作を行った作家の作品が一堂に介しました。
出品作家は以下の通りです。
カディム アリ Khadim Ali [アフガニスタン、1978年生]
ムナム アパン Minam Apang [インド、1980年生]
フロレンシア ロドリゲス ヒレス Florencia Rodrigues Giles [アルゼンチン、1978年生]
デュート ハルドーノ Duto Hardono [インドネシア、1985年生]
プラディープ ミシュラ Pradeep Mishra [インド、1977年生]
ドナ オン Donna Ong [シンガポール、1978年生]
チアゴ ホシャ ピッタ Thiago Rocha Pitta [ブラジル、1980年生]
シャギニ ラトナウラン Syagini Ratnawulan [インドネシア、1979年生]
エリカ ヴェルズッティ Erika Verzutti [ブラジル、1971年生]
メアリー=エリザベス ヤーボロー Mary - Elizabeth Yarbrough [アメリカ、1974年生]
「アジア、中東、南米など比較的公的なサポートの少ない国の作家を選ぶように心がけた。」(@haramuseumより転載。)というアーティストたち、当然ながら文化圏も異なれば、表現の手法も絵画にインスタレーション他と多種多様。
それらの作品が原美術館の建物を一つの「ホーム」と見立て、時に調和、またある時には互いに主張し合うかのように展示されていました。
さて冒頭、チアゴ ホシャ ピッタのモノクロームのオブジェに何やらただならぬ気配を感じる方も多いかもしれません。
チアゴ ホシャ ピッタ「地質大陸移動の記念碑」(2012年)
「地質大陸移動の記念碑」(2012年)と名付けられたこの作品、布がドレープを描いて吊るされていますが、良く目をこらすと表面には石のような固形物が爛れ、石化、つまりは硬くなっている様子が見て取れます。
実はこれはセメントです。帆船としての軽さと石の重量感の両方を伴うというコンセプト、それこそ切り立つ山、またその断面のようにも写るかもしれません。
チアゴ ホシャ ピッタ「空模様と都市の絵画のためのスケッチ」(2008年)
また滞在中に東京の建築に関心を覚えたチアゴ ホシャ ピッタは三点の水彩、「空模様と都市の絵画のためのスケッチ」(2008年)も出品しています。その朧げに浮かぶ直線のシルエット、確かにビルの姿のように見えますが、モノクロームでかつ滲みを帯びた質感は、まるで水墨表現をも連想させてはいないでしょうか。質感は実に繊細でした。
さてモノクロームから一点、眩しいまでの赤が目に飛び込んでくるのは、プラディープ ミシュラの油彩画です。
プラディープ ミシュラの「ウォームス オブ トゥゲザネス9」(2010年)
まさに燃え盛る赤、その中にはミシュラが滞在中に集中して取り上げた動物のモチーフが登場しています。モミュメンタルなまでの「ウォームス オブ トゥゲザネス9」(2010年) の迫力は並大抵ではありません。赤に浮かび上がる二羽の鳥、それこそ神の鳥とでもいうようなオーラを放っていました。
さてもっと日常、ようは東京の生活なり風俗へ関心を寄せた作品を発表しているのが、エリカ ヴェルズッティです。
エリカ ヴェルズッティ「カルボナーダ」(2010年)
まさに滞在中の風景、それこそ電車の車内から、駅で見かけたという「奇妙」(解説より引用)なブロンズ像などを軽妙なタッチで描いています。
エリカ ヴェルズッティ「マネ」、「銀座」、「日比谷ブライド」(2010年)他
また一枚、マネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」を描いた作品がありましたが、これは彼女が滞在したのが2010年であることを鑑みると、ちょうどその時三菱一号館美術館で開催されていた「マネとモダン・パリ」で見たものなのかもしれません。
メアリー=エリザベス ヤーボロー「お目にかかれて嬉しいです」(2007年)
さらに日本の生活に密接なのがメアリー=エリザベス ヤーボロー。なんと彼女は日本のカラオケの独特のスタイルに興味をいだき、歌姫、美空ひばりをモチーフとした作品を制作しました。
メアリー=エリザベス ヤーボロー「虚空の中へ」(2008年)他
ちなみにヤーボロー、一見タブローに見えますが、鏡面のアクリルパネルやマットなどを使って、コラージュ風に作品を仕立てているのも興味深いところかもしれません。
さてこのプロジェクト、滞在期間は2007年から2011年。というわけでかの震災後の滞在経験を持つアーティストがいるのも重要なポイントです。
シャギニ ラトナウラン「忘れないで」(2011年)他
震災後に日本に滞在したのはインドネシア人のアーティスト、シャギニ ラトナウランとデュート ハルドーノですが、当然ながら日本人でも大きなショックを受けた大災害、お二方にも強い印象を与えたに違いありません。
「シャギニ ラトナウランは震災後の滞在で、孤独に内面を見つめる機会となった。転換機として貴重な体験。ロンドンのゴールドスミス卒でコンセプチュアルな制作だったが、日本の滞在を経てより自己を見つめ、直感をいかすように。彼女はファッションにも関心。」(@haramuseumより転載。)
震災を踏まえた日本と向き合った外国人アーティスト、その表現の在り方そのものにも注目すべき展覧会と言えそうです。
本展の特設サイトが充実しています!
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」公式サイト
また9月26日にはWEBやSNSで情報発信をしている方を対象に、特別鑑賞会が開催されます。
「ホームアゲイン 展覧会リポーター特別鑑賞会開催!」
日時:9月26日(水)18:00~20:00
会場:原美術館
特典:当日限り、展覧会招待
申込締め切り:9月19日(水)
定員:40名
締切は9/19、展覧会に招待される上、キュレータートークも行われるという嬉しい企画です。申込方法などは公式サイトをご参照下さい。
内覧時にはフロレンシア ロドリゲス ヒレスのパフォーマンスも行われました。
また屋上のフラッグもお見逃しなく。こちらはプラディープ ミシュラの作品です。
ちなみに会場内は撮影が可能です。リンク先の注意事項を熟読の上、カメラ片手で出かけましょう。
11月18日まで開催されています。
「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」 原美術館(@haramuseum)
会期:8月28日(火)~11月18日(日)
休館:月曜日。(但し祝日に当たる9月17日、10月8日は開館。翌9月18日、10月9日は休館。)
時間:11:00~17:00。*毎週水曜日は20時まで開館。
料金: 一般1000円、大高生700円、小中生500円
*原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料。20名以上の団体は1人100円引。
住所:品川区北品川4-7-25
交通:JR線品川駅高輪口より徒歩15分。都営バス反96系統御殿山下車徒歩3分。
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「ドビュッシーナイト in 6次元」を開催します!
ブリヂストン美術館で好評開催中の「ドビュッシー 音楽と美術」展。
既に会期もあと2ヶ月を切りましたが、さらに展覧会を盛り上げよう!ということで、「ドビュッシーナイト 音楽と美術のあいだで」を開催することになりました。
9/8(土)ドビュッシーナイト「音楽と美術のあいだで」 6次元
新畑泰秀(ブリヂストン美術館学芸課長)×ミヤケマイ(美術家)
〈進行〉 鈴木雅也(美術/音楽ブログ「はろるど」管理人)
時間:18:30開場 19時スタート
入場料:1500円(ドビュッシーカクテル&おつまみ付)
予約方法: 8/30(木)19:00に予約受付を開始します。
件名を「ドビュッシーナイト」とし、お名前、参加人数、お電話番号を明記の上、
rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp まで。
会場は荻窪のカフェスペース6次元。ゲストはブリヂストン美術館学芸課長でドビュッシー展担当の新畑泰秀さんと、現代美術家のミヤケマイさん。そして進行を不肖私はろるどが務めることになりました。
6次元
というわけで手順についても簡単に。まずは新畑さんに展覧会の内容についてご説明(立ち上げ時の裏話も?!)いただいた後、いくつかのドビュッシーに関するトピックを設けて、タイトルの通り「音楽と美術」との関係を、音楽もお詳しいミヤケさんを交えてお話いただきます。
なお会場には展覧会に出品された絵画のスライドだけではなく、引用された曲を中心に、ドビュッシーの音楽も流す予定。その中にはドビュッシーの最初期の作品で、当時の批評家に「印象主義である。」と称された曰く付きの「春」も、貴重な音源をお借りしてかけるつもりです。
また当日は6次元さんによるドビュッシーに因んだカクテルも振る舞われるとか。これは私自身も非常に楽しみ!
ドビュッシー展会場風景(館内撮影については内覧時の許可をいただいています。)
新畑さんが仰るにドビュッシー展は「音楽が出来た空間」を探る展覧会とのこと。その「空間」をトピックとして引き出しながら、さらにドビュッシーの創造の源泉はどこにあったのかということを、同じ作り手でおられる美術家のミヤケさんの視点を交えながら、探っていければと思っています。
受付は明日、8月30日(木)19時スタート。上記の通り6次元さんのメールアドレスにてお受付致します。定員は最大で40名ほどです。新畑さんとミヤケさんのドビュッシーに関するまたとないトークライブ、是非ともお越し下さい!
受付開始後、たくさんのご予約をありがとうございました。定員に達したため受付を終了させていただきました。
「Debussy Collection/Sony Classics」
六次元 ロクジゲン http://www.6jigen.com/
住所:〒167-0043 杉並区上荻1-10-3 2F
電話:03-3393-3539
営業時間:金・土・日(15:00~22:00)
問い合わせ rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp
既に会期もあと2ヶ月を切りましたが、さらに展覧会を盛り上げよう!ということで、「ドビュッシーナイト 音楽と美術のあいだで」を開催することになりました。
9/8(土)ドビュッシーナイト「音楽と美術のあいだで」 6次元
新畑泰秀(ブリヂストン美術館学芸課長)×ミヤケマイ(美術家)
〈進行〉 鈴木雅也(美術/音楽ブログ「はろるど」管理人)
時間:18:30開場 19時スタート
入場料:1500円(ドビュッシーカクテル&おつまみ付)
予約方法: 8/30(木)19:00に予約受付を開始します。
件名を「ドビュッシーナイト」とし、お名前、参加人数、お電話番号を明記の上、
rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp まで。
会場は荻窪のカフェスペース6次元。ゲストはブリヂストン美術館学芸課長でドビュッシー展担当の新畑泰秀さんと、現代美術家のミヤケマイさん。そして進行を不肖私はろるどが務めることになりました。
6次元
というわけで手順についても簡単に。まずは新畑さんに展覧会の内容についてご説明(立ち上げ時の裏話も?!)いただいた後、いくつかのドビュッシーに関するトピックを設けて、タイトルの通り「音楽と美術」との関係を、音楽もお詳しいミヤケさんを交えてお話いただきます。
なお会場には展覧会に出品された絵画のスライドだけではなく、引用された曲を中心に、ドビュッシーの音楽も流す予定。その中にはドビュッシーの最初期の作品で、当時の批評家に「印象主義である。」と称された曰く付きの「春」も、貴重な音源をお借りしてかけるつもりです。
また当日は6次元さんによるドビュッシーに因んだカクテルも振る舞われるとか。これは私自身も非常に楽しみ!
ドビュッシー展会場風景(館内撮影については内覧時の許可をいただいています。)
新畑さんが仰るにドビュッシー展は「音楽が出来た空間」を探る展覧会とのこと。その「空間」をトピックとして引き出しながら、さらにドビュッシーの創造の源泉はどこにあったのかということを、同じ作り手でおられる美術家のミヤケさんの視点を交えながら、探っていければと思っています。
受付は明日、8月30日(木)19時スタート。上記の通り6次元さんのメールアドレスにてお受付致します。定員は最大で40名ほどです。新畑さんとミヤケさんのドビュッシーに関するまたとないトークライブ、是非ともお越し下さい!
受付開始後、たくさんのご予約をありがとうございました。定員に達したため受付を終了させていただきました。
「Debussy Collection/Sony Classics」
六次元 ロクジゲン http://www.6jigen.com/
住所:〒167-0043 杉並区上荻1-10-3 2F
電話:03-3393-3539
営業時間:金・土・日(15:00~22:00)
問い合わせ rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp
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「特撮博物館」 東京都現代美術館
東京都現代美術館
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」
7/10~10/8
東京都現代美術館で開催中の「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」へ行ってきました。
「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」
こうも銘打たれた特撮博物館展、実はファンの方には申し訳ないと思いながら、私自身はエヴァもウルトラマンも殆ど見たことがありません。
「帰ってきたウルトラマン」1971年 ウルトラマン(飛行シーン用)
しかしながら断言出来ます。そうした私でも軽い熱狂を覚えるほどに楽しめる展覧会です。
テーマは言うまでもなく特撮、かつて怪獣やヒーロたちの活躍する舞台を飾ったセットです。会場には日本の誇る「特撮芸術」、そのミニチュアやデザイン画など500点もの作品がズラリと勢揃いしていました。
冒頭、日本の特撮の原点、主に60年代の特撮映画に用いられたミニチュアが登場します。
そのスタイリッシュなアートワークはまるで時代を感じさせない斬新なものばかり。
「怪獣総進撃」1968年 ムーンライトSY-3
いわゆるSFは日本に限らずこの1950~60年代にあるのかもしれませんが、リアルタイムとして経験せずとも、こうしたミニチュアからも往時の創造への熱気は伝わるものです。そしてその蓄積こそが、我々の特撮への憧れと感動を今もなお与え続けているのかもしれません。
そして展覧会の核心、「特撮美術倉庫」に入るとさらなる驚きが待ち構えています。
なんとここでは特撮映画の撮影所内の美術倉庫を再現したかのような展示が繰り広げられているのです。
「モスラ」(1961年)のオリジナル図面から再制作した東京タワー
ともかくあの場の様子を言葉に表すのは難しいのですが、長さ数メートルにも及ぶ潜水艦に戦闘機、それにゴジラの脚からもっと撮影現場に身近なもの、それこそフィルム機器から脚立までが所狭しと置かれています。
臨場感溢れる倉庫で見るミニチュアの迫力はただならぬものです。どのような映画やTVに使用されたのかを知るまでもなく、一点一点の作品をまさに時間を忘れて見入ってしまいました。
さてラストは今に特撮技術を甦らせた「巨神兵東京に現れる」のミニチュアステージです。ひん曲がった東京タワーに戦車の進む街の特撮用ミニチュアジオラマが、何と10メートル四方のスケールでお披露目されます。
そして嬉しいことにここは撮影可能。(その他は一切撮影が出来ないのでご注意下さい。)ケースもなく、今まさに目の前に剥き出しにされたジオラマ世界に目も心も奪われながら、ひたすらにカメラのシャッターを切っている自分に気づきました。
もちろん会場では「巨神兵」の映像作品も公開されています。ちなみに本作は庵野監督をして最後の特撮映画とか。さらに進化した特撮の今、その魅力をフルに感じ取ることが出来ました。
それにしても何も大きなビルやセットだけでなく、家屋の洗濯物やら電柱までと細かく再現された箇所は鳥肌ものです。この細部への視座、そして意匠こそ、ひょっとすると日本人が最も得意としているモノ造りの原点なのかもしれません。
夏休みもそろそろ終わりに迫る日曜日(8/26)の観覧ということもあってか、会場内はかなり混雑していました。また入場待ちの列こそなかったものの、チケットブースでは10分ほどの待ち時間(15時頃)が発生していました。前もってオンラインで購入してしまった方が便利かもしれません。
10月8日まで開催されています。おすすめします。
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」 東京都現代美術館
会期:7月10日(火) ~ 10月8日(月・祝)
休館:月曜日。但し7月16日、8月13日、20日、9月17日、24日、10月1日、8日は開館。(7月17日、9月18日は休館。)
時間:10:00~18:00
料金:一般1400円(1300円) 、中高生900円(800円)、小学生400円(300円)、小学生未満無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」
7/10~10/8
東京都現代美術館で開催中の「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」へ行ってきました。
「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」
こうも銘打たれた特撮博物館展、実はファンの方には申し訳ないと思いながら、私自身はエヴァもウルトラマンも殆ど見たことがありません。
「帰ってきたウルトラマン」1971年 ウルトラマン(飛行シーン用)
しかしながら断言出来ます。そうした私でも軽い熱狂を覚えるほどに楽しめる展覧会です。
テーマは言うまでもなく特撮、かつて怪獣やヒーロたちの活躍する舞台を飾ったセットです。会場には日本の誇る「特撮芸術」、そのミニチュアやデザイン画など500点もの作品がズラリと勢揃いしていました。
冒頭、日本の特撮の原点、主に60年代の特撮映画に用いられたミニチュアが登場します。
そのスタイリッシュなアートワークはまるで時代を感じさせない斬新なものばかり。
「怪獣総進撃」1968年 ムーンライトSY-3
いわゆるSFは日本に限らずこの1950~60年代にあるのかもしれませんが、リアルタイムとして経験せずとも、こうしたミニチュアからも往時の創造への熱気は伝わるものです。そしてその蓄積こそが、我々の特撮への憧れと感動を今もなお与え続けているのかもしれません。
そして展覧会の核心、「特撮美術倉庫」に入るとさらなる驚きが待ち構えています。
なんとここでは特撮映画の撮影所内の美術倉庫を再現したかのような展示が繰り広げられているのです。
「モスラ」(1961年)のオリジナル図面から再制作した東京タワー
ともかくあの場の様子を言葉に表すのは難しいのですが、長さ数メートルにも及ぶ潜水艦に戦闘機、それにゴジラの脚からもっと撮影現場に身近なもの、それこそフィルム機器から脚立までが所狭しと置かれています。
臨場感溢れる倉庫で見るミニチュアの迫力はただならぬものです。どのような映画やTVに使用されたのかを知るまでもなく、一点一点の作品をまさに時間を忘れて見入ってしまいました。
さてラストは今に特撮技術を甦らせた「巨神兵東京に現れる」のミニチュアステージです。ひん曲がった東京タワーに戦車の進む街の特撮用ミニチュアジオラマが、何と10メートル四方のスケールでお披露目されます。
そして嬉しいことにここは撮影可能。(その他は一切撮影が出来ないのでご注意下さい。)ケースもなく、今まさに目の前に剥き出しにされたジオラマ世界に目も心も奪われながら、ひたすらにカメラのシャッターを切っている自分に気づきました。
もちろん会場では「巨神兵」の映像作品も公開されています。ちなみに本作は庵野監督をして最後の特撮映画とか。さらに進化した特撮の今、その魅力をフルに感じ取ることが出来ました。
それにしても何も大きなビルやセットだけでなく、家屋の洗濯物やら電柱までと細かく再現された箇所は鳥肌ものです。この細部への視座、そして意匠こそ、ひょっとすると日本人が最も得意としているモノ造りの原点なのかもしれません。
夏休みもそろそろ終わりに迫る日曜日(8/26)の観覧ということもあってか、会場内はかなり混雑していました。また入場待ちの列こそなかったものの、チケットブースでは10分ほどの待ち時間(15時頃)が発生していました。前もってオンラインで購入してしまった方が便利かもしれません。
10月8日まで開催されています。おすすめします。
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」 東京都現代美術館
会期:7月10日(火) ~ 10月8日(月・祝)
休館:月曜日。但し7月16日、8月13日、20日、9月17日、24日、10月1日、8日は開館。(7月17日、9月18日は休館。)
時間:10:00~18:00
料金:一般1400円(1300円) 、中高生900円(800円)、小学生400円(300円)、小学生未満無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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「田村彰英 夢の光」 東京都写真美術館
東京都写真美術館
「田村彰英 夢の光」
7/21-9/23
東京都写真美術館で開催中の「田村彰英 夢の光」へ行ってきました。
光に対する受け止め方なり表し方、ひょっとするとそれは写真家の最も個性が表れる部分かもしれません。
1960年代、米軍基地を捉えたシリーズで一躍脚光を浴びた田村彰英は、以後、変わりゆく都市の姿や、座礁したタンカー事故の現場、そして最近ではかの震災の被災地などを、時に無機的でかつコンセプチュアルに、また別の地平においては極めて繊細な感覚をもって写し出しました。
本展ではそうした田村の業績を120点弱のスケールの写真で辿ることが出来ます。
構成は以下の通りでした。
「BASE」 BASE
「家」、「道」 House、Road
「午後」 Afternoon
「湾岸」 Wangan
「赤陽」 Dusk
「名もなき風景のために」 Erewhon
「BASE 2005-2012」 BASE2005-2012
冒頭、厚木や横須賀の基地を写した「BASE」からしてどこかセンシティブです。
シリーズ「BASE」より「横須賀」(1969年)
当時は基地問題で様々な動きがあった時代、もちろん状況は今もあまり変わることはありませんが、それはともかくも田村は社会的な文脈を排した基地を言わばピュアなまでの風景として表しました。
戦闘機や靡く星条旗はもはや匿名的、ようはそれが横須賀であったり横田であることを感じさせません。
シリーズ「家」より(1968年6月22日)
そしてこの匿名性は、郊外で造成中の住宅地や建設中の道路を定点観測した「家」と「道」でも同様です。
住宅が徐々に建っていく様子、その変化は春夏秋冬、例えば雷光が炸裂し雪が降り積もるといった季節の移ろいを伝えながら、ひたすら淡々と何らかの幾何学模様のように捉えられています。
シリーズ「午後」より「横浜市保土ヶ谷区」(1972年)
この田村の視点は、もっと大きなスケールへと転化した「午後」や「湾岸」でもあまり変わることはないかもしれません。
シリーズ「湾岸」より「鶴見」(1992年)
国内の街角の日常的な風景も、またもっとダイナミックに、ベイブリッジや巨大なタンクを写した作品のいずれもが、言わば無国籍風、ようはどこか見知らぬ外国の景色のように切り取られています。
しかしながら興味深いのは、何気ない風景の中に潜む光の陰影の細やかなニュアンスです。
道端の縁石に差し込む光の陰影は柔らかく繊細です。またその鋭敏さと反面的に即物的感覚の同居する様は、例えれば石元泰博の作品のような美意識に通じはしないでしょうか。
またそうした田村の光の細微までを伺う姿勢は、100年前のビンテージレンズを用いた「赤陽」にも通じています。
古びた場末の家屋が柔らかな光で包まれている姿、その郷愁すら呼び覚ます刹那的な光こそ、タイトルにもある「夢の光」ではないかと思いました。
シリーズ「名もなき風景のために」から「座礁船 三重県津市」(1994年)
しかしながら何らかの事件性を帯びた地点を写した「名もなき風景のために」ではやや様相が異なります。
シリーズ「名もなき風景のために」から「陸前高田」(2011年)
ごく普通の砂浜へ突然闖入したタンカー、そして長閑かな田園地帯にそびえるオウムの施設、はたまたかの日常を奪った震災の爪痕を捉えた作品を前にすると、そこに非情なまでの美を感じるとともに、やはり何とも言い難い不条理や狂気、或いは暴力的なものが潜んでいるように思えてなりません。
ここに田村の言う「私は心の中の混乱と矛盾と暗黒のかなたの光明(夢の光)を探し続けている。」という言葉がずしりと響いてきました。光はまだ見果てぬ彼方にあるのかもしれません。
「夢の光―Light of Dreams―田村彰英写真集/日本カメラ社」
9月23日まで開催されています。ズバリおすすめします。
「田村彰英 夢の光」 東京都写真美術館
会期:7月21日(土)~9月23日(日)
休館:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館。)
時間:10:00~18:00 *毎週木・金曜日は20時まで。(入館は閉館の30分前まで。)
料金:一般600円(480円)、学生500円(400円)、中高生・65歳以上400円(320円)
*9月17日(月・祝)は65歳以上は無料。( )は20名以上団体。
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口改札より徒歩8分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩10分。
「田村彰英 夢の光」
7/21-9/23
東京都写真美術館で開催中の「田村彰英 夢の光」へ行ってきました。
光に対する受け止め方なり表し方、ひょっとするとそれは写真家の最も個性が表れる部分かもしれません。
1960年代、米軍基地を捉えたシリーズで一躍脚光を浴びた田村彰英は、以後、変わりゆく都市の姿や、座礁したタンカー事故の現場、そして最近ではかの震災の被災地などを、時に無機的でかつコンセプチュアルに、また別の地平においては極めて繊細な感覚をもって写し出しました。
本展ではそうした田村の業績を120点弱のスケールの写真で辿ることが出来ます。
構成は以下の通りでした。
「BASE」 BASE
「家」、「道」 House、Road
「午後」 Afternoon
「湾岸」 Wangan
「赤陽」 Dusk
「名もなき風景のために」 Erewhon
「BASE 2005-2012」 BASE2005-2012
冒頭、厚木や横須賀の基地を写した「BASE」からしてどこかセンシティブです。
シリーズ「BASE」より「横須賀」(1969年)
当時は基地問題で様々な動きがあった時代、もちろん状況は今もあまり変わることはありませんが、それはともかくも田村は社会的な文脈を排した基地を言わばピュアなまでの風景として表しました。
戦闘機や靡く星条旗はもはや匿名的、ようはそれが横須賀であったり横田であることを感じさせません。
シリーズ「家」より(1968年6月22日)
そしてこの匿名性は、郊外で造成中の住宅地や建設中の道路を定点観測した「家」と「道」でも同様です。
住宅が徐々に建っていく様子、その変化は春夏秋冬、例えば雷光が炸裂し雪が降り積もるといった季節の移ろいを伝えながら、ひたすら淡々と何らかの幾何学模様のように捉えられています。
シリーズ「午後」より「横浜市保土ヶ谷区」(1972年)
この田村の視点は、もっと大きなスケールへと転化した「午後」や「湾岸」でもあまり変わることはないかもしれません。
シリーズ「湾岸」より「鶴見」(1992年)
国内の街角の日常的な風景も、またもっとダイナミックに、ベイブリッジや巨大なタンクを写した作品のいずれもが、言わば無国籍風、ようはどこか見知らぬ外国の景色のように切り取られています。
しかしながら興味深いのは、何気ない風景の中に潜む光の陰影の細やかなニュアンスです。
道端の縁石に差し込む光の陰影は柔らかく繊細です。またその鋭敏さと反面的に即物的感覚の同居する様は、例えれば石元泰博の作品のような美意識に通じはしないでしょうか。
またそうした田村の光の細微までを伺う姿勢は、100年前のビンテージレンズを用いた「赤陽」にも通じています。
古びた場末の家屋が柔らかな光で包まれている姿、その郷愁すら呼び覚ます刹那的な光こそ、タイトルにもある「夢の光」ではないかと思いました。
シリーズ「名もなき風景のために」から「座礁船 三重県津市」(1994年)
しかしながら何らかの事件性を帯びた地点を写した「名もなき風景のために」ではやや様相が異なります。
シリーズ「名もなき風景のために」から「陸前高田」(2011年)
ごく普通の砂浜へ突然闖入したタンカー、そして長閑かな田園地帯にそびえるオウムの施設、はたまたかの日常を奪った震災の爪痕を捉えた作品を前にすると、そこに非情なまでの美を感じるとともに、やはり何とも言い難い不条理や狂気、或いは暴力的なものが潜んでいるように思えてなりません。
ここに田村の言う「私は心の中の混乱と矛盾と暗黒のかなたの光明(夢の光)を探し続けている。」という言葉がずしりと響いてきました。光はまだ見果てぬ彼方にあるのかもしれません。
「夢の光―Light of Dreams―田村彰英写真集/日本カメラ社」
9月23日まで開催されています。ズバリおすすめします。
「田村彰英 夢の光」 東京都写真美術館
会期:7月21日(土)~9月23日(日)
休館:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館。)
時間:10:00~18:00 *毎週木・金曜日は20時まで。(入館は閉館の30分前まで。)
料金:一般600円(480円)、学生500円(400円)、中高生・65歳以上400円(320円)
*9月17日(月・祝)は65歳以上は無料。( )は20名以上団体。
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口改札より徒歩8分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩10分。
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「ドビュッシー、アニヴァーサリーイベント」 ブリヂストン美術館
今年生誕150周年を迎えた作曲家、クロード・ドビュッシー。
その業績を同時代の文学や舞台芸術の動向までを視野に入れながら、主に美術の観点からひも解く「ドビュッシー、音楽と美術」展がブリヂストン美術館で開催中です。
「ドビュッシーの150回目の誕生日!」@ブリヂストン美術館ブログ
ドビュッシーが生まれたのは1862年8月22日、午前4時半頃。というわけで150年目にあたる昨日、同美術館では「ドビュッシー、アニヴァーサリーイベント」と題していくつかの催しが行われました。
1「ドビュッシー、往時の音色:ツァイト・フォト・サロン レコード・コレクション鑑賞会」
20世紀前半の貴重なクラシック音楽の演奏を収録したSPレコードの鑑賞会を開催。
12:30~14:00
2「スライドトーク」
ドビュッシー、音楽と美術展を企画した学芸員が展覧会の解説を行います。
15:00~16:00
3「コンサート、特別鑑賞会」
新倉瞳ドビュッシー誕生日記念コンサート、及び特別鑑賞会。
17:00~20:00
私は時間などの都合もあり、夕方の記念コンサートの後、18時頃からの鑑賞会のみの参加でしたが、途中にはチェリストの新倉さんがエントランスホールにてカサドの「チェロ無伴奏組曲」の一楽章を披露していただけるという嬉しいサプライズも。
演奏後にはご覧の通り、ドビュッシーの「海」から影響を受けたとされるアンリ=エドモン・クロスの「黄金の島」前でポーズまでとって下さいました。
また特別鑑賞会中にはなんとブリヂストン美術館から「ドビュッシー誕生日記念ケーキ」と「ドビュッシープレート」が登場!
お披露目後はこの日に参加した方々、おおよそ100名程度でいただきました。
さて展覧会はこれで3度目でしたが、改めて見て思うのは、ドビュッシーには「引き出しが多い」ということ。
実際に展覧会でもドビュッシーが作曲家はもちろん、如何に様々な画家や詩人らと交流があったのかについて触れていますが、例えばジャポニスムだけでなく古代ギリシャからラファエル前派にアール・ヌーヴォ云々と、彼の非常に多岐に渡る関心の在処もまた興味深いところです。
それに後半では言わばドビュッシーと直接的には関係のない画家の作品も登場。一見、親和性のあるようにもとれる音楽と美術は、実際のところ本当に接点があるのか、またあった場合はどのような言葉で語りうるのかなどについて、色々と考えさせられる面の多い展覧会でした。
さてさてここで一つ簡単なイベントへのお誘いを。
実は展覧会とも関連して、荻窪の6次元で9月8日(土)19時より、「ドビュッシーナイト」なるトークイベントが開催されることになりました。
出演は本展ご担当でブリヂストン美術館の新畑泰秀さんと、美術家のミヤケマイさん。また僭越ながら私、はろるどが会の進行をつとめさせていただくことになりました。
9/8(土)ドビュッシーナイト「音楽と美術のあいだで」 6次元(荻窪)
新畑泰秀(ブリヂストン美術館学芸課長)×ミヤケマイ(美術家)
〈進行〉 鈴木雅也(美術/音楽ブログ「はろるど」管理人)
時間:18:30開場 19時スタート
入場料:1500円(ドビュッシーカクテル&おつまみ付)
予約方法:※ 8/30(木)19:00に予約受付を開始。
また改めて別記事でも告知させていただきますが、展覧会を立ち上げた新畑さんに気鋭の美術家のミヤケさんというこれまでにはないお取り合わせの二方、きっと興味深いお話がきけるのではないでしょうか。ご期待下さい。(進行は、何とかうまく出来るように頑張ります…。)
「ドビュッシー、音楽と美術―印象派と象徴派のあいだで」 ブリヂストン美術館
会期:7月14日(土)~10月14日(日)
時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日(ただし7/16 、9/17、10/8は開館)
料金:一般1500円、シニア(65歳以上)1300円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
*団体(15名以上)は各200円引き。
住所:中央区京橋1-10-1
交通 :JR線東京駅八重洲中央口徒歩5分。東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩5分。東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線日本橋駅B1出口徒歩5分。
注)写真は特別内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
その業績を同時代の文学や舞台芸術の動向までを視野に入れながら、主に美術の観点からひも解く「ドビュッシー、音楽と美術」展がブリヂストン美術館で開催中です。
「ドビュッシーの150回目の誕生日!」@ブリヂストン美術館ブログ
ドビュッシーが生まれたのは1862年8月22日、午前4時半頃。というわけで150年目にあたる昨日、同美術館では「ドビュッシー、アニヴァーサリーイベント」と題していくつかの催しが行われました。
1「ドビュッシー、往時の音色:ツァイト・フォト・サロン レコード・コレクション鑑賞会」
20世紀前半の貴重なクラシック音楽の演奏を収録したSPレコードの鑑賞会を開催。
12:30~14:00
2「スライドトーク」
ドビュッシー、音楽と美術展を企画した学芸員が展覧会の解説を行います。
15:00~16:00
3「コンサート、特別鑑賞会」
新倉瞳ドビュッシー誕生日記念コンサート、及び特別鑑賞会。
17:00~20:00
私は時間などの都合もあり、夕方の記念コンサートの後、18時頃からの鑑賞会のみの参加でしたが、途中にはチェリストの新倉さんがエントランスホールにてカサドの「チェロ無伴奏組曲」の一楽章を披露していただけるという嬉しいサプライズも。
演奏後にはご覧の通り、ドビュッシーの「海」から影響を受けたとされるアンリ=エドモン・クロスの「黄金の島」前でポーズまでとって下さいました。
また特別鑑賞会中にはなんとブリヂストン美術館から「ドビュッシー誕生日記念ケーキ」と「ドビュッシープレート」が登場!
お披露目後はこの日に参加した方々、おおよそ100名程度でいただきました。
さて展覧会はこれで3度目でしたが、改めて見て思うのは、ドビュッシーには「引き出しが多い」ということ。
実際に展覧会でもドビュッシーが作曲家はもちろん、如何に様々な画家や詩人らと交流があったのかについて触れていますが、例えばジャポニスムだけでなく古代ギリシャからラファエル前派にアール・ヌーヴォ云々と、彼の非常に多岐に渡る関心の在処もまた興味深いところです。
それに後半では言わばドビュッシーと直接的には関係のない画家の作品も登場。一見、親和性のあるようにもとれる音楽と美術は、実際のところ本当に接点があるのか、またあった場合はどのような言葉で語りうるのかなどについて、色々と考えさせられる面の多い展覧会でした。
さてさてここで一つ簡単なイベントへのお誘いを。
実は展覧会とも関連して、荻窪の6次元で9月8日(土)19時より、「ドビュッシーナイト」なるトークイベントが開催されることになりました。
出演は本展ご担当でブリヂストン美術館の新畑泰秀さんと、美術家のミヤケマイさん。また僭越ながら私、はろるどが会の進行をつとめさせていただくことになりました。
9/8(土)ドビュッシーナイト「音楽と美術のあいだで」 6次元(荻窪)
新畑泰秀(ブリヂストン美術館学芸課長)×ミヤケマイ(美術家)
〈進行〉 鈴木雅也(美術/音楽ブログ「はろるど」管理人)
時間:18:30開場 19時スタート
入場料:1500円(ドビュッシーカクテル&おつまみ付)
予約方法:※ 8/30(木)19:00に予約受付を開始。
また改めて別記事でも告知させていただきますが、展覧会を立ち上げた新畑さんに気鋭の美術家のミヤケさんというこれまでにはないお取り合わせの二方、きっと興味深いお話がきけるのではないでしょうか。ご期待下さい。(進行は、何とかうまく出来るように頑張ります…。)
「ドビュッシー、音楽と美術―印象派と象徴派のあいだで」 ブリヂストン美術館
会期:7月14日(土)~10月14日(日)
時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日(ただし7/16 、9/17、10/8は開館)
料金:一般1500円、シニア(65歳以上)1300円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
*団体(15名以上)は各200円引き。
住所:中央区京橋1-10-1
交通 :JR線東京駅八重洲中央口徒歩5分。東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩5分。東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線日本橋駅B1出口徒歩5分。
注)写真は特別内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「藤田嗣治と愛書都市パリ」 渋谷区立松濤美術館
渋谷区立松濤美術館
「藤田嗣治と愛書都市パリ 花ひらく挿絵本の世紀」
7/31-9/9
渋谷区立松濤美術館で開催中の「藤田嗣治と愛書都市パリ 花ひらく挿絵本の世紀」へ行ってきました。
エコール・ド・パリを代表する画家、藤田嗣治。ともかく美しい乳白色による裸婦像、そして可愛らしい猫などに惹かれる方も多いかもしれません。
一言で申し上げましょう。この展覧会のポイントは「実は藤田嗣治は類い稀な挿絵画家でもあった。」ということです。
藤田が渡仏した1913年、既にヨーロッパでは印象派経由による新しい挿絵文化が花開き、多くの挿絵本が制作されていました。
藤田嗣治「『中毒ついて』より」1928年 ランス市立図書館
藤田もその中に飛び込みます。特に最も精力的だったのは1920年代のこと。10年間のうちに約30にも及ぶ挿絵本を手掛けました。
というわけで会場には油画の割にはあまり知られていない藤田の挿絵がずらりと並びます。
構成は以下の通りでした。
1「藤田嗣治の挿絵本」
1-1愛書都市パリ
1-2 記憶の中の日本
1-3 フランス文化との対話
2「エコール・ド・パリの挿絵本とその時代」
2-1 花開く挿絵本の時代
2-2 秩序への呼びかけ
冒頭は一回目の渡仏時代の挿絵本です。画壇で頭角を表した藤田は渡仏後6年、1919年に最初の挿絵本「詩数篇」を描きました。
また面白いのが最も多く描いた1920年代の挿絵本です。藤田はここで半ば戦略的に日本的なモチーフを挿絵本の中へ落とし込んでいきます。
「国民美術協会展における日本美術展」(アベイユ・ドール社)では何と十二単の女性を描いています。
それに日本の昔話を題材にした「日本昔噺」(アベイユ・ドール社)では、その情緒的な人物描写が、例えば月岡芳年の月百姿を連想させはしないでしょうか。
そして何と言っても素晴らしいのがコクトーの「海龍」(ジョルジュ・ギヨ社)の挿絵です。
藤田嗣治「『海龍』より」1955年 東京国立近代美術館
ここには和装の女性などが登場しますが、例えば艶やかなる髪の毛から指先のちょっとした皺などが、驚くほどに精緻でかつ緩急の付いた線で表現されています。
「面相筆の藤田」と言われるだけあり、元々藤田の作品は油絵でも線に大変な魅力がありますが、それは挿絵でも同じこと。
むしろ簡素な挿絵という表現を通して際立つ藤田の生き生きとした線描、その素晴らしさには思わず言葉を失ってしまいました。
さて藤田はその後、一時日本へと帰国。これまでとは打って変わっての色彩豊かな作品など、画業の更なる変化を見せていきますが、この帰国中、そして再びフランスへと渡った後も、挿絵本の制作をやめることはありませんでした。
藤田嗣治「『ラ・フォンテーヌ 20の寓話』より」1961年 東京国立近代美術館/ランス市立図書館
しかも面白いのが今までとは逆にフランスのモチーフを多く取り入れていることです。
コクトーとの共作「四十雀」(ピエール・ド・タルタス)ではフランスの風俗や生活を、晩年の藤田が得意とした子どもの絵で表しています。
また順序は前後しますが、藤田の65歳を記念して出版された「魅せられたる河」においては、石造りの建物の並ぶパリの街並みを質感溢れる表現しました。
あまりにも多種多様な藤田の挿絵本世界、改めて彼の才能に感心する他ありません。
さてこの展覧会、藤田だけで終わらないところがまた凄いところです。後半はエコール・ド・パリの画家たちによる挿絵本がいくつも紹介されているのです。
マルク・シャガール「フィレータースの果樹園 『ダフニスとクロエ』より」1957-60年 北海道立近代美術館
パスキン、シャガール、ドラン、ドレにグランヴィルやマティスなどが集います。
パブロ・ピカソ「『知られざる傑作』より」1931年 うらわ美術館
バルザックの「知られざる傑作」に付けたピカソの挿絵、そして二次大戦後の古典回帰の潮流にのって描かれた「ラ・フォンテーヌ 20の寓話」など、優れた挿絵本を楽しむことが出来ました。
エコール・ド・パリの「挿絵」に着目しながら、藤田の多芸な技を紹介する展覧会。しかも藤田の油彩も一部出品。期待以上の内容でした。
「藤田嗣治 本のしごと/林洋子/集英社新書」
9月9日まで開催されています。おすすめします。
「藤田嗣治と愛書都市パリ 花ひらく挿絵本の世紀」 渋谷区立松濤美術館
会期:7月31日(火)~9月9日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~18:00 *毎週金曜は19時まで開館。
料金:一般300円(240円)、小中学生100円(80円)。
*( )内は団体10名以上。土曜日は小中学生無料。60歳以上は無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15~20分。
「藤田嗣治と愛書都市パリ 花ひらく挿絵本の世紀」
7/31-9/9
渋谷区立松濤美術館で開催中の「藤田嗣治と愛書都市パリ 花ひらく挿絵本の世紀」へ行ってきました。
エコール・ド・パリを代表する画家、藤田嗣治。ともかく美しい乳白色による裸婦像、そして可愛らしい猫などに惹かれる方も多いかもしれません。
一言で申し上げましょう。この展覧会のポイントは「実は藤田嗣治は類い稀な挿絵画家でもあった。」ということです。
藤田が渡仏した1913年、既にヨーロッパでは印象派経由による新しい挿絵文化が花開き、多くの挿絵本が制作されていました。
藤田嗣治「『中毒ついて』より」1928年 ランス市立図書館
藤田もその中に飛び込みます。特に最も精力的だったのは1920年代のこと。10年間のうちに約30にも及ぶ挿絵本を手掛けました。
というわけで会場には油画の割にはあまり知られていない藤田の挿絵がずらりと並びます。
構成は以下の通りでした。
1「藤田嗣治の挿絵本」
1-1愛書都市パリ
1-2 記憶の中の日本
1-3 フランス文化との対話
2「エコール・ド・パリの挿絵本とその時代」
2-1 花開く挿絵本の時代
2-2 秩序への呼びかけ
冒頭は一回目の渡仏時代の挿絵本です。画壇で頭角を表した藤田は渡仏後6年、1919年に最初の挿絵本「詩数篇」を描きました。
また面白いのが最も多く描いた1920年代の挿絵本です。藤田はここで半ば戦略的に日本的なモチーフを挿絵本の中へ落とし込んでいきます。
「国民美術協会展における日本美術展」(アベイユ・ドール社)では何と十二単の女性を描いています。
それに日本の昔話を題材にした「日本昔噺」(アベイユ・ドール社)では、その情緒的な人物描写が、例えば月岡芳年の月百姿を連想させはしないでしょうか。
そして何と言っても素晴らしいのがコクトーの「海龍」(ジョルジュ・ギヨ社)の挿絵です。
藤田嗣治「『海龍』より」1955年 東京国立近代美術館
ここには和装の女性などが登場しますが、例えば艶やかなる髪の毛から指先のちょっとした皺などが、驚くほどに精緻でかつ緩急の付いた線で表現されています。
「面相筆の藤田」と言われるだけあり、元々藤田の作品は油絵でも線に大変な魅力がありますが、それは挿絵でも同じこと。
むしろ簡素な挿絵という表現を通して際立つ藤田の生き生きとした線描、その素晴らしさには思わず言葉を失ってしまいました。
さて藤田はその後、一時日本へと帰国。これまでとは打って変わっての色彩豊かな作品など、画業の更なる変化を見せていきますが、この帰国中、そして再びフランスへと渡った後も、挿絵本の制作をやめることはありませんでした。
藤田嗣治「『ラ・フォンテーヌ 20の寓話』より」1961年 東京国立近代美術館/ランス市立図書館
しかも面白いのが今までとは逆にフランスのモチーフを多く取り入れていることです。
コクトーとの共作「四十雀」(ピエール・ド・タルタス)ではフランスの風俗や生活を、晩年の藤田が得意とした子どもの絵で表しています。
また順序は前後しますが、藤田の65歳を記念して出版された「魅せられたる河」においては、石造りの建物の並ぶパリの街並みを質感溢れる表現しました。
あまりにも多種多様な藤田の挿絵本世界、改めて彼の才能に感心する他ありません。
さてこの展覧会、藤田だけで終わらないところがまた凄いところです。後半はエコール・ド・パリの画家たちによる挿絵本がいくつも紹介されているのです。
マルク・シャガール「フィレータースの果樹園 『ダフニスとクロエ』より」1957-60年 北海道立近代美術館
パスキン、シャガール、ドラン、ドレにグランヴィルやマティスなどが集います。
パブロ・ピカソ「『知られざる傑作』より」1931年 うらわ美術館
バルザックの「知られざる傑作」に付けたピカソの挿絵、そして二次大戦後の古典回帰の潮流にのって描かれた「ラ・フォンテーヌ 20の寓話」など、優れた挿絵本を楽しむことが出来ました。
エコール・ド・パリの「挿絵」に着目しながら、藤田の多芸な技を紹介する展覧会。しかも藤田の油彩も一部出品。期待以上の内容でした。
「藤田嗣治 本のしごと/林洋子/集英社新書」
9月9日まで開催されています。おすすめします。
「藤田嗣治と愛書都市パリ 花ひらく挿絵本の世紀」 渋谷区立松濤美術館
会期:7月31日(火)~9月9日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~18:00 *毎週金曜は19時まで開館。
料金:一般300円(240円)、小中学生100円(80円)。
*( )内は団体10名以上。土曜日は小中学生無料。60歳以上は無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15~20分。
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「おもしろびじゅつワンダーランド」 サントリー美術館
サントリー美術館
「来て、見て、感じて、驚いちゃって!おもしろびじゅつワンダーランド」展
8/8-9/2
サントリー美術館で開催中の「来て、見て、感じて、驚いちゃって!おもしろびじゅつワンダーランド」展へ行ってきました。
まさに史上初、テーマパーク体験型の日本美術展。既に巷でも大きな評判となっていますが、確かにこれほど「見て、感じて、楽しめる。」日本美術の展覧会はなかったかもしれません。
ともかく冒頭、プラネタリウムからしていきなり「驚いちゃいます」!
ちなみに館内はこれまたおそらくサントリー美術館では史上初の館内撮影可。カメラ必須です。私もデジカメを片手にプラネタリウムで潜り込んでみました。
「模様のプラネタリウム」展示室風景
で、まずはそのプラネタリウム、映像は同館コレクションの自慢の逸品から、国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」です。
元々サントリー美術館は立体展示に定評があり、こうした蒔絵手箱などをいつも見事に見せていますが、それでも通常は内部の細かな意匠を見ることは叶いません。
国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館
ようはその繊細な金蒔絵の紋様、まさに箱の裏側のそれも、こうしたボックス型のスペースの天井へ投影しているわけです。満点の星々はまさに金粉、そこへ次々とさも星座を描くかのように紋様が映し出されます。
「模様のプラネタリウム」展示室風景
蒔絵手箱の小宇宙がそれこそ大宇宙へと展開していく様、思いもよらない演出にのっかけからわくわくさせられました。
「武蔵野図屏風 ススキ林のアプローチ」展示室風景
さて宇宙の次は大地、まさにこれからの季節にぴったりのススキの野、武蔵野図が登場します。
「武蔵野図屏風」(部分)江戸時代 17世紀 サントリー美術館
シンプルなススキ林のセットは臨場感抜群。ススキ越しに見やる「武蔵野図屏風」の大自然、もちろん細部の可憐な草花も見逃せませんが、その情緒豊かな展示には感心させられました。
空、自然とくれば次は都市、日本美術の中でも特に都市の風俗に着目した「洛中洛外図屏風」です。
左奥:「洛中洛外図屏風」伝土佐光高 江戸時代 17世紀後半
右:「京都街中タッチパネル」展示室風景
伝土佐光高による洛中洛外、作品自体も比較的状態が良く、京の街を行き交う人々の細かな姿を見ることが出来ますが、それだけで終わらないのが今回の展示。何とタッチパネルのデジタル空間で今に甦らせました。
「京都街中タッチパネル」
もちろんパネルはインタラクティブ。触れば部分部分の情景がぐっとルーペ状にクローズアップ、笑っている人の表情までが確認可能。単眼鏡をのぞき込むよりももっと気軽に拡大して楽しむことが出来るわけでした。
「舞踊図 顔はめパネルなりきりDancers」展示室風景
さて都市の次は我々人間が主人公。金地の中を女性たちがリズミカルに舞う「舞踊図」の世界へ、はめ込みパネルで入り込めます。
「全身で影絵遊び」展示室風景
またさらに面白いのが広重画をモチーフにした「影絵遊び」。ここでは機知に富んだ広重画を障子越しのシルエットで再現します。セットは小さめながらも大人も体験出来るコーナー、ポーズを作るのが意外と難しいのですが、入れ替わり立ち替わり、老若男女による「再現広重」、様々な影絵が生み出されていました。
ラストは名付けて「クール・デザイン鍋島」。my鍋島の絵付けデザインです。
「クール・デザイン鍋島」展示室風景
但し絵付けと言ってもここはまた最新のデジタル、手元のパネルでのバーチャル絵付けに他なりません。
「クール・デザイン鍋島」操作パネル
お皿の種類は三種、また絵柄も10点ほどと一見少なめにも思えますが、実は拡大、一部トリミング、また回転可能ということで、これまた無数のイメージが組み上がっていきます。
「クール・デザイン鍋島」操作パネル
サインをして完成。作品は大きなケースに映し出されます。
「鍋島」展示室風景
ここは人気のコーナーということで、席が埋まると多少の待ち時間も発生するやもしれませんが、隣にズラリと並んだ本物の鍋島を参考にしながら試行錯誤、絵付けにチャレンジしました。
「和ガラスの藍色ドーム展示室風景」
それにしても順路は前後しますが、和ガラスの藍色ドーム、その灯っては消える藍の美しさもまた大いに注目すべきではないでしょうか。
「薩摩切子 藍色被船形鉢」19世紀中頃 サントリー美術館
サントリー美術館のライティング、毎度毎度のセンスの良さに感銘しますが、ガラスの涼し気な藍色を全身で浴びていく体験はとても新鮮でした。
「クール・デザイン鍋島」展示室風景
日本美術、静まり返った空間でガラスケース越しに見やる屏風絵なり掛け軸画、確かにそれも鑑賞態度としては重要なことかもしれません。しかしながら今回は全く異なった地平を目指した新境地です。
あえて出品数をぐっと絞り、時に全身を使ってのインタラクティブの展示にて、日本美術を切っ掛けに見る側の感性を引き出そうとした、まさに前代未聞の展覧会と言えるのではないでしょうか。
「京都街中タッチパネル」展示室風景
この斬新でかつ意欲的な日本美術展を実現したサントリー美術館、そして展示に携われた方へ大いに拍手を送りたいと思います。
9月2日までの開催です。おすすめします。なお嬉しいことに中学生以下は無料です。ご家族で是非!
「来て、見て、感じて、驚いちゃって!おもしろびじゅつワンダーランド」 サントリー美術館
会期:8月8日(水)~9月2日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00) *8月12日は20時まで開館。
料金:一般1000円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
*20名以上で団体料金(100円引)。ホームページ限定割引券、及び携帯割(携帯/スマホサイトの割引券提示)あり。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
「来て、見て、感じて、驚いちゃって!おもしろびじゅつワンダーランド」展
8/8-9/2
サントリー美術館で開催中の「来て、見て、感じて、驚いちゃって!おもしろびじゅつワンダーランド」展へ行ってきました。
まさに史上初、テーマパーク体験型の日本美術展。既に巷でも大きな評判となっていますが、確かにこれほど「見て、感じて、楽しめる。」日本美術の展覧会はなかったかもしれません。
ともかく冒頭、プラネタリウムからしていきなり「驚いちゃいます」!
ちなみに館内はこれまたおそらくサントリー美術館では史上初の館内撮影可。カメラ必須です。私もデジカメを片手にプラネタリウムで潜り込んでみました。
「模様のプラネタリウム」展示室風景
で、まずはそのプラネタリウム、映像は同館コレクションの自慢の逸品から、国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」です。
元々サントリー美術館は立体展示に定評があり、こうした蒔絵手箱などをいつも見事に見せていますが、それでも通常は内部の細かな意匠を見ることは叶いません。
国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館
ようはその繊細な金蒔絵の紋様、まさに箱の裏側のそれも、こうしたボックス型のスペースの天井へ投影しているわけです。満点の星々はまさに金粉、そこへ次々とさも星座を描くかのように紋様が映し出されます。
「模様のプラネタリウム」展示室風景
蒔絵手箱の小宇宙がそれこそ大宇宙へと展開していく様、思いもよらない演出にのっかけからわくわくさせられました。
「武蔵野図屏風 ススキ林のアプローチ」展示室風景
さて宇宙の次は大地、まさにこれからの季節にぴったりのススキの野、武蔵野図が登場します。
「武蔵野図屏風」(部分)江戸時代 17世紀 サントリー美術館
シンプルなススキ林のセットは臨場感抜群。ススキ越しに見やる「武蔵野図屏風」の大自然、もちろん細部の可憐な草花も見逃せませんが、その情緒豊かな展示には感心させられました。
空、自然とくれば次は都市、日本美術の中でも特に都市の風俗に着目した「洛中洛外図屏風」です。
左奥:「洛中洛外図屏風」伝土佐光高 江戸時代 17世紀後半
右:「京都街中タッチパネル」展示室風景
伝土佐光高による洛中洛外、作品自体も比較的状態が良く、京の街を行き交う人々の細かな姿を見ることが出来ますが、それだけで終わらないのが今回の展示。何とタッチパネルのデジタル空間で今に甦らせました。
「京都街中タッチパネル」
もちろんパネルはインタラクティブ。触れば部分部分の情景がぐっとルーペ状にクローズアップ、笑っている人の表情までが確認可能。単眼鏡をのぞき込むよりももっと気軽に拡大して楽しむことが出来るわけでした。
「舞踊図 顔はめパネルなりきりDancers」展示室風景
さて都市の次は我々人間が主人公。金地の中を女性たちがリズミカルに舞う「舞踊図」の世界へ、はめ込みパネルで入り込めます。
「全身で影絵遊び」展示室風景
またさらに面白いのが広重画をモチーフにした「影絵遊び」。ここでは機知に富んだ広重画を障子越しのシルエットで再現します。セットは小さめながらも大人も体験出来るコーナー、ポーズを作るのが意外と難しいのですが、入れ替わり立ち替わり、老若男女による「再現広重」、様々な影絵が生み出されていました。
ラストは名付けて「クール・デザイン鍋島」。my鍋島の絵付けデザインです。
「クール・デザイン鍋島」展示室風景
但し絵付けと言ってもここはまた最新のデジタル、手元のパネルでのバーチャル絵付けに他なりません。
「クール・デザイン鍋島」操作パネル
お皿の種類は三種、また絵柄も10点ほどと一見少なめにも思えますが、実は拡大、一部トリミング、また回転可能ということで、これまた無数のイメージが組み上がっていきます。
「クール・デザイン鍋島」操作パネル
サインをして完成。作品は大きなケースに映し出されます。
「鍋島」展示室風景
ここは人気のコーナーということで、席が埋まると多少の待ち時間も発生するやもしれませんが、隣にズラリと並んだ本物の鍋島を参考にしながら試行錯誤、絵付けにチャレンジしました。
「和ガラスの藍色ドーム展示室風景」
それにしても順路は前後しますが、和ガラスの藍色ドーム、その灯っては消える藍の美しさもまた大いに注目すべきではないでしょうか。
「薩摩切子 藍色被船形鉢」19世紀中頃 サントリー美術館
サントリー美術館のライティング、毎度毎度のセンスの良さに感銘しますが、ガラスの涼し気な藍色を全身で浴びていく体験はとても新鮮でした。
「クール・デザイン鍋島」展示室風景
日本美術、静まり返った空間でガラスケース越しに見やる屏風絵なり掛け軸画、確かにそれも鑑賞態度としては重要なことかもしれません。しかしながら今回は全く異なった地平を目指した新境地です。
あえて出品数をぐっと絞り、時に全身を使ってのインタラクティブの展示にて、日本美術を切っ掛けに見る側の感性を引き出そうとした、まさに前代未聞の展覧会と言えるのではないでしょうか。
「京都街中タッチパネル」展示室風景
この斬新でかつ意欲的な日本美術展を実現したサントリー美術館、そして展示に携われた方へ大いに拍手を送りたいと思います。
9月2日までの開催です。おすすめします。なお嬉しいことに中学生以下は無料です。ご家族で是非!
「来て、見て、感じて、驚いちゃって!おもしろびじゅつワンダーランド」 サントリー美術館
会期:8月8日(水)~9月2日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00) *8月12日は20時まで開館。
料金:一般1000円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
*20名以上で団体料金(100円引)。ホームページ限定割引券、及び携帯割(携帯/スマホサイトの割引券提示)あり。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
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「青山杉雨の眼と書」 東京国立博物館
東京国立博物館
「青山杉雨の眼と書」
7/18-9/9
東京国立博物館で開催中の「青山杉雨の眼と書」へ行ってきました。
中国書法の普及、啓蒙に尽力し、昭和から平成にかけての書壇に一時代を画した書家、青山杉雨(1912-1993)。
と、チラシなどでは紹介されていますが、先に告白しておくと、書に疎い私は、その「あおやまさんう」というお名前すら全く存じ上げませんでした。
もちろん書には美術同様、何らかの知識なりがあればより深く入っていけることは事実。しかしながら日頃の展覧会巡りの中で、なかなかそこまで突っ込んでいくのも難しい面があるかもしれません。
前置きが長くなりました。端的に申し上げれば、私のように書の知識がなくとも、感覚的にその面白さに触れることが出来ます。
構成は以下の通りでした。
第1部 青山杉雨の眼~中国書跡・中国絵画~
第2部 青山杉雨の書
第3部 青山杉雨の素顔
さてこの展覧会、タイトルにもあるように、単に「青山杉雨展」ではなく、「眼と書」が付くのも注目すべきポイントかもしれません。
というのも、冒頭の「眼」では、杉雨が強くインスピレーションを受け、昭和20年代より収集し続けた明・清の書、さらには文人画を中心とする絵画が展示されているのです。
「霧中群峰図」こんざん 清時代・康煕2年(1663) 東京国立博物館 *展示期間: 8/21~9/9
つまり本展は書のみではなく、書+絵画の展覧会。これは絵画には多少なりとも親しみのある自分にとっては嬉しいところでした。
というわけで図版がないのが心苦しいところですが、いくつか作品をご紹介しましょう。
まずは「臨石鼓文軸」、実は作者の呉昌碩こそ、杉雨がら30代の頃に強く影響を受けた書家に他なりませんが、その自在な筆致は、確かに後の杉雨の快活なそれを思わせる面があるのではないでしょうか。
そしてもう一人、董其昌も重要です。
「董其昌・画禅室」青山杉雨 昭和51年(1976) 日本芸術院
こちらは同じく杉雨が今度は60代を過ぎてから知った書家で、晩年の彼に影響を与えています。
明清絵画では春草画を思わせる清明な銭杜の「墨梅図軸」、また颯爽としたタッチで赤い花を描いた陳鴻寿「花卉図軸」なども見どころではないでしょうか。
これらは主に東京国立博物館の所蔵作品ですが、東洋館改修休館中の今、こうしてまとめて出るのも滅多にないこと。ここはじっくりと見入りました。
「萬方鮮」青山杉雨 昭和52年(1977) 東京国立博物館
そして後半は青山杉雨の世界です。書はもちろん、各種資料、さらには書斎の再現展示までを通して、杉雨の全貌に迫る内容となっていました。
先にも触れましたが、30代の頃に呉昌碩、60代には董其昌の影響というように、杉雨は年代において作風がかなり変化していきます。
またもう一つ、杉雨の書を見る上で重要なのが中国の古代文字です。
例えば「戦士図・図象文字集成」。これは殷代の図象文字から、そのイメージを行進する戦士たちに見立てた作品ですが、ここにはもはや絵画的地平というべき斬新な書の形態は現れているのではないでしょうか。
「殷文鳥獣戯画」青山杉雨 昭和44年(1969) 東京国立博物館
誤解を恐れずに言えば、書から絵画を行き来し、自由で斬新な書を確立させたことこそ、杉雨の最も魅力的な部分です。
言うまでもなく漢字は表語文字であり、一つ一つには元来の意味が込められていますが、杉雨はそのイメージを書を通して解放、さらには別の高みへのせることに成功しました。
無心で作品に接して見てください。文字が踊るようにリズムをとり、いつしかラスコーの壁画とも、ミショー、またクレーの抽象ともとれるようなイメージへと転化しています。
もちろんこれは書を理解する上では正しくないかもしれませんが、私は杉雨の書の中に文字を通しての変幻自在なイメージの源泉が無数にあるように思えてなりませんでした。
ラストの書斎の再現展示が驚くほど充実しています。臨場感に溢れた展示、すなわち重厚な卓に筆と硯、そして棚に積み上げられた書籍に接していると、今にも杉雨がここに現れるのではないかという錯覚を覚えるほどでした。ここは一推しです。*復元書斎については1089ブログをご参照下さい。
「青山杉雨の眼と書」の楽しみ方2─青山杉雨の素顔~書斎にまつわるエトセトラ~@1089ブログ(東京国立博物館)
また余談ですが、会場内は鉛筆であれば手帖なりにメモが可能です。
いくつかの杉雨の書、見ていると不思議にも真似して書いてみたくなります。
書のイメージを手元のメモ帖へ落として見ながら接する展示、もちろん下手の横好きに過ぎませんが、これが思いの他に楽しめました。 是非とも試してみて下さい。
夏の東博、上野の他所の喧騒とは一線を画し、非常に静かな環境で作品と向き合うことが出来ます。
なお本館総合文化展(平常展)特別5室の「中国山水画の20世紀 中国美術館名品選」も、杉雨展と親和性の高い展示です。
「中国山水画の20世紀 中国美術館名品選」@東京国立博物館(本館特別5室) 7月31日(火)~ 8月26日(日)
それこそ杉雨に影響を与えた呉昌碩も出てきます。特別展のチケットで観覧可能なので、ここはあわせてご覧ください。
「青山杉雨/次世代に伝える21世紀の新古典/芸術新聞社」
9月9日まで開催されています。
「生誕100年記念 青山杉雨の眼と書」 東京国立博物館
会期:7月18日(水)~9月9日(日)
休館:月曜日。但し8月13日(月)は開館。
料金:一般1400円(1100円)、大学生1100円(800円)、高校生800円(500円)、中学生以下無料
* ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) *毎週金曜日は20時、土・日・祝・休日は18時まで開館。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
「青山杉雨の眼と書」
7/18-9/9
東京国立博物館で開催中の「青山杉雨の眼と書」へ行ってきました。
中国書法の普及、啓蒙に尽力し、昭和から平成にかけての書壇に一時代を画した書家、青山杉雨(1912-1993)。
と、チラシなどでは紹介されていますが、先に告白しておくと、書に疎い私は、その「あおやまさんう」というお名前すら全く存じ上げませんでした。
もちろん書には美術同様、何らかの知識なりがあればより深く入っていけることは事実。しかしながら日頃の展覧会巡りの中で、なかなかそこまで突っ込んでいくのも難しい面があるかもしれません。
前置きが長くなりました。端的に申し上げれば、私のように書の知識がなくとも、感覚的にその面白さに触れることが出来ます。
構成は以下の通りでした。
第1部 青山杉雨の眼~中国書跡・中国絵画~
第2部 青山杉雨の書
第3部 青山杉雨の素顔
さてこの展覧会、タイトルにもあるように、単に「青山杉雨展」ではなく、「眼と書」が付くのも注目すべきポイントかもしれません。
というのも、冒頭の「眼」では、杉雨が強くインスピレーションを受け、昭和20年代より収集し続けた明・清の書、さらには文人画を中心とする絵画が展示されているのです。
「霧中群峰図」こんざん 清時代・康煕2年(1663) 東京国立博物館 *展示期間: 8/21~9/9
つまり本展は書のみではなく、書+絵画の展覧会。これは絵画には多少なりとも親しみのある自分にとっては嬉しいところでした。
というわけで図版がないのが心苦しいところですが、いくつか作品をご紹介しましょう。
まずは「臨石鼓文軸」、実は作者の呉昌碩こそ、杉雨がら30代の頃に強く影響を受けた書家に他なりませんが、その自在な筆致は、確かに後の杉雨の快活なそれを思わせる面があるのではないでしょうか。
そしてもう一人、董其昌も重要です。
「董其昌・画禅室」青山杉雨 昭和51年(1976) 日本芸術院
こちらは同じく杉雨が今度は60代を過ぎてから知った書家で、晩年の彼に影響を与えています。
明清絵画では春草画を思わせる清明な銭杜の「墨梅図軸」、また颯爽としたタッチで赤い花を描いた陳鴻寿「花卉図軸」なども見どころではないでしょうか。
これらは主に東京国立博物館の所蔵作品ですが、東洋館改修休館中の今、こうしてまとめて出るのも滅多にないこと。ここはじっくりと見入りました。
「萬方鮮」青山杉雨 昭和52年(1977) 東京国立博物館
そして後半は青山杉雨の世界です。書はもちろん、各種資料、さらには書斎の再現展示までを通して、杉雨の全貌に迫る内容となっていました。
先にも触れましたが、30代の頃に呉昌碩、60代には董其昌の影響というように、杉雨は年代において作風がかなり変化していきます。
またもう一つ、杉雨の書を見る上で重要なのが中国の古代文字です。
例えば「戦士図・図象文字集成」。これは殷代の図象文字から、そのイメージを行進する戦士たちに見立てた作品ですが、ここにはもはや絵画的地平というべき斬新な書の形態は現れているのではないでしょうか。
「殷文鳥獣戯画」青山杉雨 昭和44年(1969) 東京国立博物館
誤解を恐れずに言えば、書から絵画を行き来し、自由で斬新な書を確立させたことこそ、杉雨の最も魅力的な部分です。
言うまでもなく漢字は表語文字であり、一つ一つには元来の意味が込められていますが、杉雨はそのイメージを書を通して解放、さらには別の高みへのせることに成功しました。
無心で作品に接して見てください。文字が踊るようにリズムをとり、いつしかラスコーの壁画とも、ミショー、またクレーの抽象ともとれるようなイメージへと転化しています。
もちろんこれは書を理解する上では正しくないかもしれませんが、私は杉雨の書の中に文字を通しての変幻自在なイメージの源泉が無数にあるように思えてなりませんでした。
ラストの書斎の再現展示が驚くほど充実しています。臨場感に溢れた展示、すなわち重厚な卓に筆と硯、そして棚に積み上げられた書籍に接していると、今にも杉雨がここに現れるのではないかという錯覚を覚えるほどでした。ここは一推しです。*復元書斎については1089ブログをご参照下さい。
「青山杉雨の眼と書」の楽しみ方2─青山杉雨の素顔~書斎にまつわるエトセトラ~@1089ブログ(東京国立博物館)
また余談ですが、会場内は鉛筆であれば手帖なりにメモが可能です。
いくつかの杉雨の書、見ていると不思議にも真似して書いてみたくなります。
書のイメージを手元のメモ帖へ落として見ながら接する展示、もちろん下手の横好きに過ぎませんが、これが思いの他に楽しめました。 是非とも試してみて下さい。
夏の東博、上野の他所の喧騒とは一線を画し、非常に静かな環境で作品と向き合うことが出来ます。
なお本館総合文化展(平常展)特別5室の「中国山水画の20世紀 中国美術館名品選」も、杉雨展と親和性の高い展示です。
「中国山水画の20世紀 中国美術館名品選」@東京国立博物館(本館特別5室) 7月31日(火)~ 8月26日(日)
それこそ杉雨に影響を与えた呉昌碩も出てきます。特別展のチケットで観覧可能なので、ここはあわせてご覧ください。
「青山杉雨/次世代に伝える21世紀の新古典/芸術新聞社」
9月9日まで開催されています。
「生誕100年記念 青山杉雨の眼と書」 東京国立博物館
会期:7月18日(水)~9月9日(日)
休館:月曜日。但し8月13日(月)は開館。
料金:一般1400円(1100円)、大学生1100円(800円)、高校生800円(500円)、中学生以下無料
* ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) *毎週金曜日は20時、土・日・祝・休日は18時まで開館。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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「マリー・ローランサンとその時代展」 ニューオータニ美術館
ニューオータニ美術館
「マリー・ローランサンとその時代展 ~巴里に魅せられた画家たち」
7/14-9/30
ニューオータニ美術館で開催中の「マリー・ローランサンとその時代展 ~巴里に魅せられた画家たち」へ行ってきました。
エコール・ド・パリの女性画家の中では最も知名度の高いローランサン、首都圏である程度まとまって展示されたのは、2010年の川村記念での「マリー・ローランサンの扇」展以来のことかもしれません。
川村では「扇」というモチーフに着目していましたが、今回はもっとオーソドックス、ローランサンと同時代の画家にスポットを当てた展覧会となっています。
マリー・ローランサン「三人の若い女」1953年頃 マリー・ローランサン美術館
冒頭はローランサンです。作品数は前後期をあわせると29点(半期では20点弱)でしたが、初期から60歳前後の作品まで、幅広い年代の作品を楽しむことが出来ました。
不穏な気配、そして何とも言い難い閉塞感が画面を支配します。虚ろで定まらない表情の女性と犬を描いたのは「犬を連れた若い女」(1921)です。
実は若い頃のローランサンは、ドイツ人男爵と結婚してドイツへ移住するも、生活は破綻(離婚がまさに1921年。)、第一次大戦後にスペインへ亡命するという、苦難の人生を歩んでいますが、そうした孤独感を反映した作品だと言えるのではないでしょうか。
また初期作では「優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踏」(1913)も見逃せません。舞踏のリズムにあわせるように交錯する線の表現は、ローランサンが当初に受けたキュビズムの影響を見ることが出来ます。
マリー・ローランサン「扇を持つ若い女」1950年頃 マリー・ローランサン美術館
とは言えやはり魅惑的なのは、「音楽」(1944)や「扇をもつ若い女」(1950)など、肉感的でボリューム感のある女性に透明感のある色彩美を融合させた作品ではないでしょうか。
ちなみに後者「扇をもつ若い女」は額装にはガラスの破片が散りばめられていました。制作当時のものかは不明ですが、鏡の中で光るローランサン一流の女性美、それこそ眩いばかりに輝いて見えました。
さて展覧会後半はタイトルからして「その時代」、つまり同時代のエコール・ド・パリの画家たちです。
キース・ヴァン・ドンゲン「腰掛ける婦人」1925-30年 ニューオータニ美術館
もちろんここではドンゲン、ルオー、そして私の偏愛のヴラマンクといった画家の作品も登場しますが、何よりも興味深いのは「日本人画家の憧れ」と題し、当時渡仏した日本人画家が紹介されていることではないでしょうか。
佐伯祐三「扉」1928年 田辺市美術館
藤田嗣治に佐伯祐三、そして荻須高徳に小磯良平ら、その数40点弱。全体の出品数からしても、相当に力の入ったセクションと言えるかもしれません。
児島虎次郎「手鏡を持つ婦人」1920年 高梁市成羽美術館
おすすめは徳永仁臣と児島虎次郎の裸婦対決ならぬ、「瞑想」(1912-1913)と「裸婦と椿」(1903)です。
ともに横たわる裸婦のモチーフがとられていますが、前者、つまり徳永の「瞑想」はまるでゴヤ画を思わせるようなエロチックさと気高さを、一方で児島の「裸婦と椿」はコラン風の裸婦の中にも椿を散らし、独特の妖艶さを醸し出しています。
小磯良平「踊り子」1940年 神戸市立小磯記念美術館
また小磯良平の7~8点規模で展示されているのもポイントかもしれません。ドガ風の踊り子からフォーブ、そしてピカソと、画風を大きく変えていく様は興味深いものがありました。
なおローランサンの作品を中心に会期中、一度展示替えがあります。
前期:7月14日(土)~8月19日(日)
後期:8月21日(火)~9月30日(日)
前期展示を有料券で入場した場合、半券の提示で後期は半額になります。ここは嬉しいところでした。
いわゆるローランサンの回顧展ではありませんが、同時代の画家、そして何かと脇に置かれがちな日本人画家にも光を当てた好企画と言えそうです。
9月30日まで開催されています。
*次回展は埼近美の回顧展でも話題を集めた小村雪岱展!(10/6~11/25)
「マリー・ローランサンとその時代展 ~巴里に魅せられた画家たち」 ニューオータニ美術館
会期:7月14日(土)~9月30日(日)
休館:月曜日(但し7/16、9/17は開館、7/17、9/18は休館。)
料金:一般800円、高・大生500円、小・中生300円
*宿泊者無料、20名以上の団体は各100円割引。後期は前期の有料半券を提示すると半額。
時間:10:00~18:00
住所:千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ ガーデンコート6階
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅D出口より徒歩5分。東京メトロ半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅7番出口より徒歩5分。
「マリー・ローランサンとその時代展 ~巴里に魅せられた画家たち」
7/14-9/30
ニューオータニ美術館で開催中の「マリー・ローランサンとその時代展 ~巴里に魅せられた画家たち」へ行ってきました。
エコール・ド・パリの女性画家の中では最も知名度の高いローランサン、首都圏である程度まとまって展示されたのは、2010年の川村記念での「マリー・ローランサンの扇」展以来のことかもしれません。
川村では「扇」というモチーフに着目していましたが、今回はもっとオーソドックス、ローランサンと同時代の画家にスポットを当てた展覧会となっています。
マリー・ローランサン「三人の若い女」1953年頃 マリー・ローランサン美術館
冒頭はローランサンです。作品数は前後期をあわせると29点(半期では20点弱)でしたが、初期から60歳前後の作品まで、幅広い年代の作品を楽しむことが出来ました。
不穏な気配、そして何とも言い難い閉塞感が画面を支配します。虚ろで定まらない表情の女性と犬を描いたのは「犬を連れた若い女」(1921)です。
実は若い頃のローランサンは、ドイツ人男爵と結婚してドイツへ移住するも、生活は破綻(離婚がまさに1921年。)、第一次大戦後にスペインへ亡命するという、苦難の人生を歩んでいますが、そうした孤独感を反映した作品だと言えるのではないでしょうか。
また初期作では「優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踏」(1913)も見逃せません。舞踏のリズムにあわせるように交錯する線の表現は、ローランサンが当初に受けたキュビズムの影響を見ることが出来ます。
マリー・ローランサン「扇を持つ若い女」1950年頃 マリー・ローランサン美術館
とは言えやはり魅惑的なのは、「音楽」(1944)や「扇をもつ若い女」(1950)など、肉感的でボリューム感のある女性に透明感のある色彩美を融合させた作品ではないでしょうか。
ちなみに後者「扇をもつ若い女」は額装にはガラスの破片が散りばめられていました。制作当時のものかは不明ですが、鏡の中で光るローランサン一流の女性美、それこそ眩いばかりに輝いて見えました。
さて展覧会後半はタイトルからして「その時代」、つまり同時代のエコール・ド・パリの画家たちです。
キース・ヴァン・ドンゲン「腰掛ける婦人」1925-30年 ニューオータニ美術館
もちろんここではドンゲン、ルオー、そして私の偏愛のヴラマンクといった画家の作品も登場しますが、何よりも興味深いのは「日本人画家の憧れ」と題し、当時渡仏した日本人画家が紹介されていることではないでしょうか。
佐伯祐三「扉」1928年 田辺市美術館
藤田嗣治に佐伯祐三、そして荻須高徳に小磯良平ら、その数40点弱。全体の出品数からしても、相当に力の入ったセクションと言えるかもしれません。
児島虎次郎「手鏡を持つ婦人」1920年 高梁市成羽美術館
おすすめは徳永仁臣と児島虎次郎の裸婦対決ならぬ、「瞑想」(1912-1913)と「裸婦と椿」(1903)です。
ともに横たわる裸婦のモチーフがとられていますが、前者、つまり徳永の「瞑想」はまるでゴヤ画を思わせるようなエロチックさと気高さを、一方で児島の「裸婦と椿」はコラン風の裸婦の中にも椿を散らし、独特の妖艶さを醸し出しています。
小磯良平「踊り子」1940年 神戸市立小磯記念美術館
また小磯良平の7~8点規模で展示されているのもポイントかもしれません。ドガ風の踊り子からフォーブ、そしてピカソと、画風を大きく変えていく様は興味深いものがありました。
なおローランサンの作品を中心に会期中、一度展示替えがあります。
前期:7月14日(土)~8月19日(日)
後期:8月21日(火)~9月30日(日)
前期展示を有料券で入場した場合、半券の提示で後期は半額になります。ここは嬉しいところでした。
いわゆるローランサンの回顧展ではありませんが、同時代の画家、そして何かと脇に置かれがちな日本人画家にも光を当てた好企画と言えそうです。
9月30日まで開催されています。
*次回展は埼近美の回顧展でも話題を集めた小村雪岱展!(10/6~11/25)
「マリー・ローランサンとその時代展 ~巴里に魅せられた画家たち」 ニューオータニ美術館
会期:7月14日(土)~9月30日(日)
休館:月曜日(但し7/16、9/17は開館、7/17、9/18は休館。)
料金:一般800円、高・大生500円、小・中生300円
*宿泊者無料、20名以上の団体は各100円割引。後期は前期の有料半券を提示すると半額。
時間:10:00~18:00
住所:千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ ガーデンコート6階
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅D出口より徒歩5分。東京メトロ半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅7番出口より徒歩5分。
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「本格焼酎・泡盛 フェスティバル」(TKPガーデンシティ品川)を開催!
いつも美術の感想なりを拙いながらも書いているせいか、よく「美術がお好きなんですね。」なんて言われる今日この頃。
もちろん美術は音楽と同じくらい大好きですが、それと比べてもほぼ遜色ないくらい好き、ようは日頃の楽しみにしているのがお酒です。
というわけで今日はお酒の一風変わったイベントをご紹介。
場所は品川駅高輪口徒歩3分のTKPガーデンシティ品川、その中でも最大スペースの「ボールルーム」です。
料金システムは上の通り。入場料は無料ですが、試飲飲み放題については前売3500円、当日4000円と所定の料金がかかります。また焼酎・泡盛、ビールなど各1杯500円の個別券も販売されます。
ちなみに飲み放題となるドリンクは焼酎・泡盛など全120種類。
中には都内では滅多に手に入らない焼酎も含まれているそうです。
ドリンクメニューリスト(全一覧)
またこのイベントで面白いのはイタリアンとのコラボ、つまりお酒を引き立てる料理にもこだわりがあるということです。
TKPガーデンシティ品川のシェフで料理研究家でもある時松シェフが腕を振るい、特別メニューをワンコインの500円で提供します。
フードメニューリスト(一部)
イタリアンと焼酎・泡盛との組み合わせ、あまり一般的ではないかもしれませんが、そこにあえてチャレンジしているのも、今回の大きな特徴と言えるかもしれません。
飲み放題3500円、4000円と言われると、ちょっとと思う方も多いかもしれませんが、入場に関しては無料のイベントです。ワンコイン500円の1杯券もあるので、気軽に参加してみるのも良いのではないでしょうか。また当日はマイグラスをお忘れなく。(グラスの貸出は100円。)日頃飲み慣れた器でいただきましょう。
ちなみにこれまでこうしたイベントはワイン・日本酒ではありましたが、焼酎・泡盛では初めてだそうです。
当日は試飲券購入者向けの抽選会などもあるとか。というわけで私もディナーの部に顔を出すつもりでいます。
チケット販売については改めて公式サイト(チケット案内)でご確認下さい。ちなみに前売券の販売期限は、店頭とWEBで17日(金)の17時までです!
「本格焼酎・泡盛 フェスティバル」(@ShochuAwamori) TKPガーデンシティ品川
日時:2012年8月18日(土)
ランチの会 12:00~14:30
ディナーの会 16:30~19:00 *各回入替制、入場は閉場の30分前まで。
会場:TKP ガーデンシティ品川「ボールルーム」
住所:港区高輪3-13-3 SHINAGAWA GOOS 1階
交通:JR・京急線品川駅高輪口より徒歩3分。
入場料:無料
チケット:各回前売券 焼酎・泡盛飲み放題券 3500円
各回当日券 焼酎・泡盛飲み放題券 4000円 *女性には料理が1品提供。
フード券1皿500円。焼酎・泡盛、ビール、ワイン各1杯500円にて提供。
もちろん美術は音楽と同じくらい大好きですが、それと比べてもほぼ遜色ないくらい好き、ようは日頃の楽しみにしているのがお酒です。
というわけで今日はお酒の一風変わったイベントをご紹介。
「本格焼酎・泡盛 フェスティバル」in TKPガーデンシティ品川
日時:2012年8月18日(土) ランチ/12:00~14:30、ディナー/16:30~19:00
*各回入替制。入場は閉場の30分前まで。
会場:TKPガーデンシティ品川「ボールルーム」
入場料:無料
チケット:各回前売券 焼酎・泡盛飲み放題券 3500円
各回当日券 焼酎・泡盛飲み放題券 4000円 *女性には料理が1品提供。
フード券1皿500円。焼酎・泡盛、ビール、ワインなど各1杯500円にて提供。
日時:2012年8月18日(土) ランチ/12:00~14:30、ディナー/16:30~19:00
*各回入替制。入場は閉場の30分前まで。
会場:TKPガーデンシティ品川「ボールルーム」
入場料:無料
チケット:各回前売券 焼酎・泡盛飲み放題券 3500円
各回当日券 焼酎・泡盛飲み放題券 4000円 *女性には料理が1品提供。
フード券1皿500円。焼酎・泡盛、ビール、ワインなど各1杯500円にて提供。
場所は品川駅高輪口徒歩3分のTKPガーデンシティ品川、その中でも最大スペースの「ボールルーム」です。
料金システムは上の通り。入場料は無料ですが、試飲飲み放題については前売3500円、当日4000円と所定の料金がかかります。また焼酎・泡盛、ビールなど各1杯500円の個別券も販売されます。
ちなみに飲み放題となるドリンクは焼酎・泡盛など全120種類。
【協力酒造メーカー】
青ヶ島酒造(東京)、奄美酒類(鹿児島)、壱岐の蔵酒造(長崎)、神楽酒造(宮崎)、研醸(福岡)、小正醸造(鹿児島)、常楽酒造(熊本)、白金酒造(鹿児島)、高千穂酒造(宮崎)、田崎酒造(鹿児島)、 田苑酒造(鹿児島)、忠孝酒造(沖縄)、濱田酒造(鹿児島)、比嘉酒造(沖縄)、房の露酒造(熊本)、 藤居酒造(大分)、ヘリオス酒造(沖縄)、紅乙女酒造(福岡)、本坊酒造(鹿児島)、町田酒造(鹿児島)、 若潮酒造(鹿児島)
青ヶ島酒造(東京)、奄美酒類(鹿児島)、壱岐の蔵酒造(長崎)、神楽酒造(宮崎)、研醸(福岡)、小正醸造(鹿児島)、常楽酒造(熊本)、白金酒造(鹿児島)、高千穂酒造(宮崎)、田崎酒造(鹿児島)、 田苑酒造(鹿児島)、忠孝酒造(沖縄)、濱田酒造(鹿児島)、比嘉酒造(沖縄)、房の露酒造(熊本)、 藤居酒造(大分)、ヘリオス酒造(沖縄)、紅乙女酒造(福岡)、本坊酒造(鹿児島)、町田酒造(鹿児島)、 若潮酒造(鹿児島)
中には都内では滅多に手に入らない焼酎も含まれているそうです。
ドリンクメニューリスト(全一覧)
またこのイベントで面白いのはイタリアンとのコラボ、つまりお酒を引き立てる料理にもこだわりがあるということです。
TKPガーデンシティ品川のシェフで料理研究家でもある時松シェフが腕を振るい、特別メニューをワンコインの500円で提供します。
フードメニューリスト(一部)
イタリアンと焼酎・泡盛との組み合わせ、あまり一般的ではないかもしれませんが、そこにあえてチャレンジしているのも、今回の大きな特徴と言えるかもしれません。
飲み放題3500円、4000円と言われると、ちょっとと思う方も多いかもしれませんが、入場に関しては無料のイベントです。ワンコイン500円の1杯券もあるので、気軽に参加してみるのも良いのではないでしょうか。また当日はマイグラスをお忘れなく。(グラスの貸出は100円。)日頃飲み慣れた器でいただきましょう。
ちなみにこれまでこうしたイベントはワイン・日本酒ではありましたが、焼酎・泡盛では初めてだそうです。
当日は試飲券購入者向けの抽選会などもあるとか。というわけで私もディナーの部に顔を出すつもりでいます。
チケット販売については改めて公式サイト(チケット案内)でご確認下さい。ちなみに前売券の販売期限は、店頭とWEBで17日(金)の17時までです!
「本格焼酎・泡盛 フェスティバル」(@ShochuAwamori) TKPガーデンシティ品川
日時:2012年8月18日(土)
ランチの会 12:00~14:30
ディナーの会 16:30~19:00 *各回入替制、入場は閉場の30分前まで。
会場:TKP ガーデンシティ品川「ボールルーム」
住所:港区高輪3-13-3 SHINAGAWA GOOS 1階
交通:JR・京急線品川駅高輪口より徒歩3分。
入場料:無料
チケット:各回前売券 焼酎・泡盛飲み放題券 3500円
各回当日券 焼酎・泡盛飲み放題券 4000円 *女性には料理が1品提供。
フード券1皿500円。焼酎・泡盛、ビール、ワイン各1杯500円にて提供。
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東京国立近代美術館、この夏以降のイベント情報
リニューアル休館中も意欲的な企画を展開する東京国立近代美術館。
先日も「Concerto Museo/絵と音の対話」に参加してきたばかりですが、8月後半以降もまた見逃せないイベントが数多く続きます。
もちろん各イベント情報の詳細は東近美サイトにも掲載されていますが、別々のページに出ていたりするので、私としては少々混乱することも。
ということで以下に時系列でイベントを簡単にまとめておきました。
「14の夕べ / 14 EVENINGS」
8月26日(日)~9月8日(土)
*夕方からの特別開館。美術、ダンス、音楽、演劇、朗読など多彩なジャンルの「パフォーマンス」を展開。
*プログラム・スケジュール
8月26日[日]19:30開演「東京デスロック」
8月27日[月]19:30開演「福永信/古川日出男/谷川俊太郎」
8月28日[火]20:00開演「奥村雄樹」
8月29日[水]17:00第1部(公開録音)開演/19:30第2部開演「No Collective」
8月30日[木]19:00開演「手塚夏子」
8月31日[金]20:00開演「高嶋晋一」
9月1日[土]20:00開演「小杉武久」
9月2日[日]17:00開演「大友良英 one day ensembles」
9月3日[月]20:00開演「神村恵カンパニー」
9月4日[火]20:00開門「core of bells」
9月5日[水]19:30開演「小林耕平」
9月6日[木]20:00開演「村川拓也」
9月7日[金]17:00開演「橋本聡」
9月8日[土]20:00開演「一柳慧」
*各日17:00開館、プログラム開始までライブやトークなどを予定。参加無料。
「BEER MOMAT」
8月26日(日)~9月8日(土)
9月13日(木)~15日(土)
9月20日(木)~22日(土)
9月27日(木)~29日(土)
*夏の夕べ、美術館がラウンジへ!「14の夕べ」開演前には、DJ、ライブなど開催。
*9月1日からは「夏の家」がオープンエアのイートスペースへ。フードとドリンクを提供。
「夏の家:MOMAT Pavilion designed and built by Studio Mumbai」
8月26日(日)~2013年1月14日(月・祝)
*美術館の前庭に東屋を設置し、憩いの場として開放。
*レクチャー・プログラム(全て無料)
9月22日(土)18:00~20:00 「動く」(動く家、仮の家)
牧紀男(計画家)、中谷礼仁(歴史工学家)、坂口恭平(建築家など)
9月28日(金)19:00~21:00 「考える」(家の条件)
藤森照信(建築史家)、塚本由晴(建築家) 司会:後藤治(建築史家)
9月29日(土)18:00~20:00 第3回「つくる」(建築の造り方)
内田祥哉(建築家)、高橋てい一(建築家) 司会:戸田穣(建築史家)
「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」
10月16日(火)~2013年年1月14日(月・祝)
*10年ぶりの所蔵品ギャラリーリニューアル後の初の企画展。
*全館規模で所蔵作品を展示するとともに、1950年代に焦点を当てたテーマ展示も。
あの東近美でお酒を楽しめる「BEER MOMAT」も要注目ですが、やはり気になるのは「14の夕べ」。各方面にわたる出演者の方によるパフォーマンス、しかも無料とは太っ腹。これは大いに話題を集めるのではないでしょうか。
夏のスペシャルプログラム カレンダー@東京国立近代美術館
60周年記念サイト、ツイッター(@MOMAT60th)、Facebookと、これまでにない情報発信を仕掛ける東京国立近代美術館。秋の全面リニューアルオープンに向けて、さらにヒートアップしてきそうです。
先日も「Concerto Museo/絵と音の対話」に参加してきたばかりですが、8月後半以降もまた見逃せないイベントが数多く続きます。
もちろん各イベント情報の詳細は東近美サイトにも掲載されていますが、別々のページに出ていたりするので、私としては少々混乱することも。
ということで以下に時系列でイベントを簡単にまとめておきました。
「14の夕べ / 14 EVENINGS」
8月26日(日)~9月8日(土)
*夕方からの特別開館。美術、ダンス、音楽、演劇、朗読など多彩なジャンルの「パフォーマンス」を展開。
*プログラム・スケジュール
8月26日[日]19:30開演「東京デスロック」
8月27日[月]19:30開演「福永信/古川日出男/谷川俊太郎」
8月28日[火]20:00開演「奥村雄樹」
8月29日[水]17:00第1部(公開録音)開演/19:30第2部開演「No Collective」
8月30日[木]19:00開演「手塚夏子」
8月31日[金]20:00開演「高嶋晋一」
9月1日[土]20:00開演「小杉武久」
9月2日[日]17:00開演「大友良英 one day ensembles」
9月3日[月]20:00開演「神村恵カンパニー」
9月4日[火]20:00開門「core of bells」
9月5日[水]19:30開演「小林耕平」
9月6日[木]20:00開演「村川拓也」
9月7日[金]17:00開演「橋本聡」
9月8日[土]20:00開演「一柳慧」
*各日17:00開館、プログラム開始までライブやトークなどを予定。参加無料。
「BEER MOMAT」
8月26日(日)~9月8日(土)
9月13日(木)~15日(土)
9月20日(木)~22日(土)
9月27日(木)~29日(土)
*夏の夕べ、美術館がラウンジへ!「14の夕べ」開演前には、DJ、ライブなど開催。
*9月1日からは「夏の家」がオープンエアのイートスペースへ。フードとドリンクを提供。
「夏の家:MOMAT Pavilion designed and built by Studio Mumbai」
8月26日(日)~2013年1月14日(月・祝)
*美術館の前庭に東屋を設置し、憩いの場として開放。
*レクチャー・プログラム(全て無料)
9月22日(土)18:00~20:00 「動く」(動く家、仮の家)
牧紀男(計画家)、中谷礼仁(歴史工学家)、坂口恭平(建築家など)
9月28日(金)19:00~21:00 「考える」(家の条件)
藤森照信(建築史家)、塚本由晴(建築家) 司会:後藤治(建築史家)
9月29日(土)18:00~20:00 第3回「つくる」(建築の造り方)
内田祥哉(建築家)、高橋てい一(建築家) 司会:戸田穣(建築史家)
「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」
10月16日(火)~2013年年1月14日(月・祝)
*10年ぶりの所蔵品ギャラリーリニューアル後の初の企画展。
*全館規模で所蔵作品を展示するとともに、1950年代に焦点を当てたテーマ展示も。
あの東近美でお酒を楽しめる「BEER MOMAT」も要注目ですが、やはり気になるのは「14の夕べ」。各方面にわたる出演者の方によるパフォーマンス、しかも無料とは太っ腹。これは大いに話題を集めるのではないでしょうか。
夏のスペシャルプログラム カレンダー@東京国立近代美術館
60周年記念サイト、ツイッター(@MOMAT60th)、Facebookと、これまでにない情報発信を仕掛ける東京国立近代美術館。秋の全面リニューアルオープンに向けて、さらにヒートアップしてきそうです。
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「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」 東京国立近代美術館
東京国立近代美術館
「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」
8/12 15:00~
東京国立近代美術館で開催された「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」へ行ってきました。
大規模リニューアル中の東京国立近代美術館、秋までの改修期間中は通常の常設展もクローズされていますが、その間、様々なイベントが行われているのをご存知でしょうか。
夏のスペシャルプログラム カレンダー@東京国立近代美術館
そうした夏の東近美のスペシャルイベントの第一弾が、今回の「Concerto Museo/絵と音の対話」です。
テーマは絵画と音楽、3日間限定です。会場はもちろん東近美の館内。このイベントのために選定された所蔵作品を背景に、クラシック演奏家によるミニコンサートが行われました。
というわけで私が聞きに行ったのは最終日の回、タイトルは「抽象芸術の相即」です。
リヒターの「抽象絵画(赤)」や大観の「或る日の太平洋」を前にして、東フィル首席チェリストの渡邉辰紀が以下の演目を演奏しました。
ヨハン・セバスチャン・バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番
スティーヴ・ライヒ:チェロ・カウンターポイント
黛敏郎:BUNRAKU
カール・ヴァイン:インナーワールド
1曲目はチェリストの聖典とまでにうたわれるバッハの無伴奏チェロ組曲から6番。当然ながら通常のコンサートホールとは異なる異空間、いつもと違う雰囲気で大変ではなかったかとも推測されましたが、そこは渡邉も落ち着いてチェロ、そしてバッハと対峙します。
ともかく印象に深かったのは、非常に情熱的な演奏であったということです。時に嘆き悲しむような感情豊かなフレーズで、切々と、また高らかにバッハの旋律を歌い上げます。
そして2曲目は私も大好きなライヒから「チェロ・カウンターポイント」でした。
かの原初的でかつ力強いリズムがチェロから激しく刻まれます。また注目は会場内に設置された7つのパートの多重録音です。
スピーカーを効果的に用い、広がる音場、そしてそこへ脳を覚醒させるような覚醒的なリズムは、まさにライヒの真骨頂ではないでしょうか。見事な演奏でした。
3曲目の黛は今、何かと話題の文楽から、その音を西洋音楽へと転化させようと試みた作品です。
ここでも渡邉はチェロを時に叩くなどをして音を出し、確かに黛の意図したBUNRAKUの響きを引き出します。
最後のカール・ヴァインでもライヒと同様、スピーカーが引用され、コンピューター処理されたチェロの分断的な音と、渡邉自身のチェロの音が複層的にも合わさり、創造性に富んだ音楽的空間を作り上げていました。
開演前には本展を担当した学芸の方と、プログラム構成を行った浅岡洋平氏との間でトークが行われました。
そこではタイトルの「相即」とは仏教用語で二つの相反するものが溶け合っていく様を指すこと、またそれは絵画と音楽を繋ぐ際にも有用なキーワードではないかと語られ、さらには演奏プログラムと展示作品(絵画)の関係等についてのレクチャーへと続きました。
その中で一つ具体的な例として面白かったのは、例えば大観の墨絵なり絵画平面と接するのは筆、つまり動物の毛であるのが、チェロという弦楽器の弦と弓(弓は馬の毛で出来ている。)の関係に似ているという話です。そしてともに両者をこすり合わせることで、一つの表現を行っているという共通点もあるのではないかとの指摘もなされました。
また黛は西洋楽器で文楽の音を表した一方、横山は日本画の素材でNYの景色を描いた、その双方にも類似点がある、というような話もありました。
それにキャンバス平面は音楽の楽譜であり、それに向き合う鑑賞者は、音楽で言えば楽譜を解釈する演奏者にあたるのではないかという話も示唆に富んでいるかもしれません。
もちろん絵画と音楽、その親和性については様々な議論があります。
しかしながら例えばライヒの沸き立つリズムが李の「線より」のリズムと呼応し、またバッハの旋律がリヒターの絵画層へと沈み込んでいくような感覚は、通常の美術展、もしくはコンサートではまず味わえません。
音楽的と美術的な感動、それを同時に味わうような体験は、確かに新鮮でした。
それにしても会場は200ほど用意された椅子席も埋まり、立ち見が出るほどの盛況でした。この意欲的な企画を無料で行った東近美、素直に拍手を送りたいと思います。
「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」 東京国立近代美術館(@MOMAT60th)
日程:8月12日(日)15:00~16:00
時間:15:00~16:00
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」
8/12 15:00~
東京国立近代美術館で開催された「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」へ行ってきました。
大規模リニューアル中の東京国立近代美術館、秋までの改修期間中は通常の常設展もクローズされていますが、その間、様々なイベントが行われているのをご存知でしょうか。
夏のスペシャルプログラム カレンダー@東京国立近代美術館
そうした夏の東近美のスペシャルイベントの第一弾が、今回の「Concerto Museo/絵と音の対話」です。
テーマは絵画と音楽、3日間限定です。会場はもちろん東近美の館内。このイベントのために選定された所蔵作品を背景に、クラシック演奏家によるミニコンサートが行われました。
というわけで私が聞きに行ったのは最終日の回、タイトルは「抽象芸術の相即」です。
リヒターの「抽象絵画(赤)」や大観の「或る日の太平洋」を前にして、東フィル首席チェリストの渡邉辰紀が以下の演目を演奏しました。
ヨハン・セバスチャン・バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番
スティーヴ・ライヒ:チェロ・カウンターポイント
黛敏郎:BUNRAKU
カール・ヴァイン:インナーワールド
1曲目はチェリストの聖典とまでにうたわれるバッハの無伴奏チェロ組曲から6番。当然ながら通常のコンサートホールとは異なる異空間、いつもと違う雰囲気で大変ではなかったかとも推測されましたが、そこは渡邉も落ち着いてチェロ、そしてバッハと対峙します。
ともかく印象に深かったのは、非常に情熱的な演奏であったということです。時に嘆き悲しむような感情豊かなフレーズで、切々と、また高らかにバッハの旋律を歌い上げます。
そして2曲目は私も大好きなライヒから「チェロ・カウンターポイント」でした。
かの原初的でかつ力強いリズムがチェロから激しく刻まれます。また注目は会場内に設置された7つのパートの多重録音です。
スピーカーを効果的に用い、広がる音場、そしてそこへ脳を覚醒させるような覚醒的なリズムは、まさにライヒの真骨頂ではないでしょうか。見事な演奏でした。
3曲目の黛は今、何かと話題の文楽から、その音を西洋音楽へと転化させようと試みた作品です。
ここでも渡邉はチェロを時に叩くなどをして音を出し、確かに黛の意図したBUNRAKUの響きを引き出します。
最後のカール・ヴァインでもライヒと同様、スピーカーが引用され、コンピューター処理されたチェロの分断的な音と、渡邉自身のチェロの音が複層的にも合わさり、創造性に富んだ音楽的空間を作り上げていました。
開演前には本展を担当した学芸の方と、プログラム構成を行った浅岡洋平氏との間でトークが行われました。
そこではタイトルの「相即」とは仏教用語で二つの相反するものが溶け合っていく様を指すこと、またそれは絵画と音楽を繋ぐ際にも有用なキーワードではないかと語られ、さらには演奏プログラムと展示作品(絵画)の関係等についてのレクチャーへと続きました。
その中で一つ具体的な例として面白かったのは、例えば大観の墨絵なり絵画平面と接するのは筆、つまり動物の毛であるのが、チェロという弦楽器の弦と弓(弓は馬の毛で出来ている。)の関係に似ているという話です。そしてともに両者をこすり合わせることで、一つの表現を行っているという共通点もあるのではないかとの指摘もなされました。
また黛は西洋楽器で文楽の音を表した一方、横山は日本画の素材でNYの景色を描いた、その双方にも類似点がある、というような話もありました。
それにキャンバス平面は音楽の楽譜であり、それに向き合う鑑賞者は、音楽で言えば楽譜を解釈する演奏者にあたるのではないかという話も示唆に富んでいるかもしれません。
もちろん絵画と音楽、その親和性については様々な議論があります。
しかしながら例えばライヒの沸き立つリズムが李の「線より」のリズムと呼応し、またバッハの旋律がリヒターの絵画層へと沈み込んでいくような感覚は、通常の美術展、もしくはコンサートではまず味わえません。
音楽的と美術的な感動、それを同時に味わうような体験は、確かに新鮮でした。
それにしても会場は200ほど用意された椅子席も埋まり、立ち見が出るほどの盛況でした。この意欲的な企画を無料で行った東近美、素直に拍手を送りたいと思います。
「Concerto Museo/絵と音の対話:抽象芸術の相即」 東京国立近代美術館(@MOMAT60th)
日程:8月12日(日)15:00~16:00
時間:15:00~16:00
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」 日本橋高島屋 美術画廊X
日本橋高島屋 美術画廊X
「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」
8/1-8/13
日本橋高島屋美術画廊Xで開催中の「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」へ行ってきました。
老舗百貨店ながらも、まさにフレッシュな若手作家を次々と取り上げる日本橋高島屋美術画廊。
毎度の展示が見逃せないとしても過言ではありませんが、今回、また興味深い新たなシリーズが始まりました。
それが比較的若い世代の水墨表現を紹介していく「水墨最前線」です。
初回は3名。朝倉隆文、及川聡子、大塚怜美の各作品が展示されました。
さて水墨という一定の表現ながらも、まさに三者三様、その作品は全く異なった趣を見せています。
まず感心したのは、この春、東北芸術工科大学大学院を卒業したばかりの大塚怜美です。
大塚怜美「変身他自図」2011年 絹・墨
モチーフは今時の女性、分かりやすくいえば「ギャル」ですが、ともかくは透明感がありながらも、どこか肉感的な人物表現に目を奪われはしないでしょうか。
また半ば皮肉めいたタイトルも面白いところかもしれません。
化粧や髪をすいて身支度をする女性は「変身他自図」、もしくは「粉飾直し」などと名付けられます。ようは似たような化粧をする人達は実は没個性、つまり自分をどう見せるのではなく、単に他人と同じになりたいだけではないかと指摘しているわけでした。
さて湯気を胡粉の美しい質感を用いて表すのは及川聡子です。
及川聡子「水焔7」2012年 麻紙・墨・胡粉・岩絵具
まさにゆらゆらと靡く湯気そのものを、あたかも陽炎の如く描きだしていますが、しばらく見ていると人体の器官を思わせるような生々しさを感じるのも重要なポイントかもしれません。
ラストは緻密な線描が空間を埋め尽くし、あたかも龍や獣が渾然一体と駆けるような様子を描く朝倉隆文です。
朝倉隆文「九龍図」(部分)2011年 麻紙・墨
線は群れて増殖します。近づくと大変な迫力がありました。
それこそ目利きの高島屋ならではの意欲的なシリーズ展、また次回にも期待したいと思います。
8月13日までの開催です。
「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」 日本橋高島屋 美術画廊X(アッと@ART)
会期:8月1日(水)~8月13日(月)
休廊:会期中無休。
時間:10:00~20:00
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋6階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」
8/1-8/13
日本橋高島屋美術画廊Xで開催中の「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」へ行ってきました。
老舗百貨店ながらも、まさにフレッシュな若手作家を次々と取り上げる日本橋高島屋美術画廊。
毎度の展示が見逃せないとしても過言ではありませんが、今回、また興味深い新たなシリーズが始まりました。
それが比較的若い世代の水墨表現を紹介していく「水墨最前線」です。
初回は3名。朝倉隆文、及川聡子、大塚怜美の各作品が展示されました。
さて水墨という一定の表現ながらも、まさに三者三様、その作品は全く異なった趣を見せています。
まず感心したのは、この春、東北芸術工科大学大学院を卒業したばかりの大塚怜美です。
大塚怜美「変身他自図」2011年 絹・墨
モチーフは今時の女性、分かりやすくいえば「ギャル」ですが、ともかくは透明感がありながらも、どこか肉感的な人物表現に目を奪われはしないでしょうか。
また半ば皮肉めいたタイトルも面白いところかもしれません。
化粧や髪をすいて身支度をする女性は「変身他自図」、もしくは「粉飾直し」などと名付けられます。ようは似たような化粧をする人達は実は没個性、つまり自分をどう見せるのではなく、単に他人と同じになりたいだけではないかと指摘しているわけでした。
さて湯気を胡粉の美しい質感を用いて表すのは及川聡子です。
及川聡子「水焔7」2012年 麻紙・墨・胡粉・岩絵具
まさにゆらゆらと靡く湯気そのものを、あたかも陽炎の如く描きだしていますが、しばらく見ていると人体の器官を思わせるような生々しさを感じるのも重要なポイントかもしれません。
ラストは緻密な線描が空間を埋め尽くし、あたかも龍や獣が渾然一体と駆けるような様子を描く朝倉隆文です。
朝倉隆文「九龍図」(部分)2011年 麻紙・墨
線は群れて増殖します。近づくと大変な迫力がありました。
それこそ目利きの高島屋ならではの意欲的なシリーズ展、また次回にも期待したいと思います。
8月13日までの開催です。
「水墨最前線2012 朝倉隆文/及川聡子/大塚怜美」 日本橋高島屋 美術画廊X(アッと@ART)
会期:8月1日(水)~8月13日(月)
休廊:会期中無休。
時間:10:00~20:00
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋6階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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「ヨコハマ大鉄道博」 ランドマークホール
ランドマークホール
「tvk開局40周年記念 新橋~横濱 鉄道開通140周年 ヨコハマ大鉄道博」
8/10-8/26
ランドマークホールで開催中の「ヨコハマ大鉄道博」のプレスプレビューに参加してきました。
昭和5年に新橋~横浜間に鉄道が開通してから140年、今でも生活に欠かせないばかりが、人々に夢を与え続ける乗り物でもありますが、また改めて模型や資料などを通して、鉄道の魅力に触れようという展示が始まりました。
それが横浜はランドマークプラザは5階、ランドマークホールで開催中の「ヨコハマ大鉄道博」です。
まずはともかく模型、OJゲージと呼ばれる鉄道模型から早くもヒートアップしてしまいます。
実は何を隠そう、私もかなり鉄道模型が好きで、以前は自宅にNゲージを走らせたりして遊んでいたこともありました。
というわけでこのスケール、1000両を超えるHOゲージによる大ジオラマには思わず息をのんでしまいます。
ちなみにHOゲージとは鉄道模型の規格の名前です。日本では一回り小さいNゲージが一般的ですが、欧米ではこのHOが愛好されています。
それにしても全てフル編成、つまり東海道新幹線であれば16両で運行しているのも見逃せません。また一部の車両は完全に手作りのもあるそうです。内覧時はまだ設営中でしたが、それでもHOならではの力強い走りを楽しむことが出来ました。
さて会場はランドマークプラザ、ようは横浜ということで、神奈川に因んだ展示があるのもポイントです。これ見たことある、懐かしい!、という方も多いのではないでしょうか。
「横浜の鉄道 今昔展」と題し、東急や京急などのヘッドマークやら資料、それにかつて走っていた市電の駅名表示板などもお目見えしています。
またヘッドマークといえば、かつては日本中を駆け巡っていたものの、今はもはや「あけぼの」と「北斗星」のみとなってしまったブルートレインです。
実は私もこの「あけぼの」と「北斗星」しかブルートレインを知らない(他は乗ったことがない)のですが、東京から九州を結び、今や九州新幹線の列車名ともなった「さくら」のマークもありました。
さて今回の展示で一番感心したのは、32分の1スケールの1番ゲージ、それもイタリアやイギリスなどのビンテージ機関車や客車などが展示されていたことです。
例えばイタリア国鉄の電気機関車の「E626」における精密さ、写真で見ても驚くほどではないでしょうか。ちなみこれ、ライトも点灯し、ブレーキも本物と同じように作動します。
そしてオリエント急行の食堂車もまさに圧巻の一言。なおこの作品は完成にまで4~5年ほどかかり、素材も実物と同様、金属と木材を用いているのだそうです。
これら1番ゲージなどの大型鉄道模型は何と横浜初公開です。ここは時間を忘れて見入ってしまいました。
会場では体験型の展示運転士シュミレーターとリニアの試乗体験(対象はお子さんのみ。)も行われています。
このシュミレーターは実際の運転士も訓練で使われるものです。難易度は高め、まさに本格的シュミレーターでした。
その他には、数々の国鉄の車両を設計された星氏についての紹介や、鉄道のコレクターさんによる貴重な資料の展示もあります。
決して広いスペースではありませんが、鉄道模型好きはもちろん、夏休みに親子連れで楽しむのにもぴったりな展覧会と言えそうです。
会場内は撮影可能です。カメラをお忘れなきようご注意下さい。
8月26日まで開催されています。
「tvk開局40周年記念 新橋~横濱 鉄道開通140周年 ヨコハマ大鉄道博」 ランドマークホール
会期:8月10日(金)~26日(日)
休館:会期中無休
料金:一般1200円(1000円)、中・高校生900円(700円)、小学生以下600円(400円)
*カッコ内は前売り料金。2歳以下入場無料。
時間:10:00~10:00
場所:横浜市西区みなとみらい2-2-1 ランドマークプラザ5F
交通:JR線桜木町駅から動く歩道で徒歩5分。みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5分。
「tvk開局40周年記念 新橋~横濱 鉄道開通140周年 ヨコハマ大鉄道博」
8/10-8/26
ランドマークホールで開催中の「ヨコハマ大鉄道博」のプレスプレビューに参加してきました。
昭和5年に新橋~横浜間に鉄道が開通してから140年、今でも生活に欠かせないばかりが、人々に夢を与え続ける乗り物でもありますが、また改めて模型や資料などを通して、鉄道の魅力に触れようという展示が始まりました。
それが横浜はランドマークプラザは5階、ランドマークホールで開催中の「ヨコハマ大鉄道博」です。
まずはともかく模型、OJゲージと呼ばれる鉄道模型から早くもヒートアップしてしまいます。
実は何を隠そう、私もかなり鉄道模型が好きで、以前は自宅にNゲージを走らせたりして遊んでいたこともありました。
というわけでこのスケール、1000両を超えるHOゲージによる大ジオラマには思わず息をのんでしまいます。
ちなみにHOゲージとは鉄道模型の規格の名前です。日本では一回り小さいNゲージが一般的ですが、欧米ではこのHOが愛好されています。
それにしても全てフル編成、つまり東海道新幹線であれば16両で運行しているのも見逃せません。また一部の車両は完全に手作りのもあるそうです。内覧時はまだ設営中でしたが、それでもHOならではの力強い走りを楽しむことが出来ました。
さて会場はランドマークプラザ、ようは横浜ということで、神奈川に因んだ展示があるのもポイントです。これ見たことある、懐かしい!、という方も多いのではないでしょうか。
「横浜の鉄道 今昔展」と題し、東急や京急などのヘッドマークやら資料、それにかつて走っていた市電の駅名表示板などもお目見えしています。
またヘッドマークといえば、かつては日本中を駆け巡っていたものの、今はもはや「あけぼの」と「北斗星」のみとなってしまったブルートレインです。
実は私もこの「あけぼの」と「北斗星」しかブルートレインを知らない(他は乗ったことがない)のですが、東京から九州を結び、今や九州新幹線の列車名ともなった「さくら」のマークもありました。
さて今回の展示で一番感心したのは、32分の1スケールの1番ゲージ、それもイタリアやイギリスなどのビンテージ機関車や客車などが展示されていたことです。
例えばイタリア国鉄の電気機関車の「E626」における精密さ、写真で見ても驚くほどではないでしょうか。ちなみこれ、ライトも点灯し、ブレーキも本物と同じように作動します。
そしてオリエント急行の食堂車もまさに圧巻の一言。なおこの作品は完成にまで4~5年ほどかかり、素材も実物と同様、金属と木材を用いているのだそうです。
これら1番ゲージなどの大型鉄道模型は何と横浜初公開です。ここは時間を忘れて見入ってしまいました。
会場では体験型の展示運転士シュミレーターとリニアの試乗体験(対象はお子さんのみ。)も行われています。
このシュミレーターは実際の運転士も訓練で使われるものです。難易度は高め、まさに本格的シュミレーターでした。
その他には、数々の国鉄の車両を設計された星氏についての紹介や、鉄道のコレクターさんによる貴重な資料の展示もあります。
決して広いスペースではありませんが、鉄道模型好きはもちろん、夏休みに親子連れで楽しむのにもぴったりな展覧会と言えそうです。
会場内は撮影可能です。カメラをお忘れなきようご注意下さい。
8月26日まで開催されています。
「tvk開局40周年記念 新橋~横濱 鉄道開通140周年 ヨコハマ大鉄道博」 ランドマークホール
会期:8月10日(金)~26日(日)
休館:会期中無休
料金:一般1200円(1000円)、中・高校生900円(700円)、小学生以下600円(400円)
*カッコ内は前売り料金。2歳以下入場無料。
時間:10:00~10:00
場所:横浜市西区みなとみらい2-2-1 ランドマークプラザ5F
交通:JR線桜木町駅から動く歩道で徒歩5分。みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5分。
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「二条城展」 江戸東京博物館
江戸東京博物館
「二条城展」
7/28-9/23
江戸東京博物館で開催中の「二条城展」へ行ってきました。
京都観光のメッカとも言って差し支えない二条城。
それだけに堀川通から望む御殿の威容はもちろん、内部の鶯張りの床、また豪華絢爛な障壁画などもよく知られているところかもしれません。
本展ではそうした二条城の歴史を、障壁画を中心に、関連の資料、工芸品などによってひも解いていきます。
構成は以下の通りでした。
第1章 二条城創建~京に響く徳川の天下
第2章 二条城大改築~東福門院和子の入内と寛永の行幸
第3章 寛永障壁画の輝き~日本絵画史最大の画派、狩野派の粋
第4章 激動の幕末~大政奉還の舞台として
第5章 離宮時代~可憐なる宮廷文化の移植
第6章 世界遺産二条城~文化財を守る・伝える
展示は二条城の創建からスタートです。関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は上洛時の宿として二条城の建造を決めます。そして1603年、ちょうどが家康が征夷大将軍の任を受けた年に無事、落成しました。
ここでは葵の御紋入りの唐門の欄間、そしてさり気なく2~3点ほど出品されている「洛中洛外図屏風」(*何点前後期で展示替えあり。)などが見どころになるのではないでしょうか。
「洛中洛外図屏風(左隻)」17世紀 富山・勝興寺 *前期展示:7/28~8/26
うち一点、勝興寺の「洛中洛外図屏風」は、右上に伏見城、そして中央に二条城を描いた、一双の洛中洛外図としては最古の作例だそうです。
1624年、家光が将軍になると、秀忠の娘である東福門院和子の入内した後水尾天皇の行幸を迎えるため、城の大改修工事が行われます。
「東福門院入内図屏風」17世紀 三井記念美術館 *後期展示:8/28~9/23
こうして完成した本丸や行幸御殿へ後水尾天皇が行幸した時こそが、最も二条城の華やいだ時期と言えるのかもしれません。
またここで面白いのは、二条城がどのようにして改修されていったのかを資料などで紹介していることです。
天守や城内を細かく記した図面なども展示されています。
また行幸時の饗応としてどのような献立が振る舞われたのかを記す「二条城行幸御献立之次第」も興味深い資料ではないでしょうか。
公家300名、大名100名と極めて巨大な宴席、まさに時の権勢を奮った徳川の威信をかけたものに違いありません。
「東福門院和子像」江戸時代 京都・光雲寺
それに東福門院所用の扇なども、当時の雰囲気を伝えてくれました。
さて展覧会のハイライトは障壁画です。
実は二条城、この寛永期の改修時に、探幽率いる狩野派の画人たちによって二の丸御殿の障壁画が描かれましたが、今回はそれらのうち「松鷹図」や黒書院の「菊図」などの主要な作品が展示されています。
狩野山楽または探幽「二の丸御殿 大広間四の間 松鷹図」1626年 京都市(元離宮二条城事務所)
中でもど迫力なのはやはり「松鷹図」、鋭くこちらを睨む鷹の殺気立った様子には思わず後ずさりしてしまいますが、この中央で力強く空間を切り裂く松は、例外的に桃山の様式が踏襲されているとのことでした。
また毎年、東博の国宝室で春を飾る狩野長信の「花下遊楽図」がさり気なく出ています。(前期展示のみ出品。)踊り楽しむ人物の生き生きした様子、やはり何度見ても感心させられます。
狩野甚之丞「二の丸御殿 遠侍二の間 竹林群虎図」1626年 京都市(元離宮二条城事務所)
しかしながら二条城、家光以降は徳川の歴史の表舞台から長い歳月の間、姿を消します。家光以降、次に二条城に足を踏み入れたのは、孝明天皇の行幸に供した14代将軍の家茂、何とその間は約230年です。
1867年には二条城の大広間で大政奉還が行われ、名実ともに徳川の世は終わります。江戸幕府が開かれた年に創建、そしてその終末の舞台も二条城、まさに徳川とともにあった城とも言えるのかもしれません。
「大政奉還(下図)」20世紀 明治神宮
さて二条城、当然ながら何もこれで全て終わってしまったわけではありません。
まさに葵から菊へ、二条城は再び改装され、宮内省の所管へと移行、いわゆる宮中の離宮として使われるようになりました。
その際は内装を正倉院風に模し、一方で広間には絨毯を敷いて様々な人物を持て成したのだそうです。
知られざる大政奉還以降の二条城の歴史についての言及があるのも、この展覧会のポイントかもしれません。
狩野甚之丞「二の丸御殿 遠侍勅使の間(下段) 檜図」1626年 京都市(元離宮二条城事務所)
決して広いとはいえない江戸博企画展示室のスペース、大作の障壁画を引きで見ることこそ叶いませんでしたが、京都以外では初めてとなる大規模な二条城障壁画の展示、私のような江戸絵画、障壁画・屏風絵好きにはたまらない内容でした。
「すぐわかる寺院別障壁画の見かた/東京美術」
先にも触れましたが、何割かの作品は途中で入れ替わります。
前期(7/2-8/26)、後期(8/28-9/23)
また一部作品については8月前半での入替などもあります。詳細は出品リストをご覧ください。
なお展覧会公式ツイッターの「まったか将軍」(@nijocastle2012)がこまめに展覧会の感想を拾っています。ちょっとクセのあるツィート(口癖は「大儀であった。」)です。フォローすると楽しいかもしれません。
「元離宮 二条城/京都新聞出版センター」
会期早々に出かけましたが、館内は思いの外に賑わっていました。
9月23日まで開催されています。
「二条城展」(@nijocastle2012) 江戸東京博物館
会期:7月28日(土)~9月23日(日)
休館:月曜日。但し8月13日、9月10日、17日は開館。
時間:9:30~17:30 *毎週土曜日は19:30まで。
場所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。
「二条城展」
7/28-9/23
江戸東京博物館で開催中の「二条城展」へ行ってきました。
京都観光のメッカとも言って差し支えない二条城。
それだけに堀川通から望む御殿の威容はもちろん、内部の鶯張りの床、また豪華絢爛な障壁画などもよく知られているところかもしれません。
本展ではそうした二条城の歴史を、障壁画を中心に、関連の資料、工芸品などによってひも解いていきます。
構成は以下の通りでした。
第1章 二条城創建~京に響く徳川の天下
第2章 二条城大改築~東福門院和子の入内と寛永の行幸
第3章 寛永障壁画の輝き~日本絵画史最大の画派、狩野派の粋
第4章 激動の幕末~大政奉還の舞台として
第5章 離宮時代~可憐なる宮廷文化の移植
第6章 世界遺産二条城~文化財を守る・伝える
展示は二条城の創建からスタートです。関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は上洛時の宿として二条城の建造を決めます。そして1603年、ちょうどが家康が征夷大将軍の任を受けた年に無事、落成しました。
ここでは葵の御紋入りの唐門の欄間、そしてさり気なく2~3点ほど出品されている「洛中洛外図屏風」(*何点前後期で展示替えあり。)などが見どころになるのではないでしょうか。
「洛中洛外図屏風(左隻)」17世紀 富山・勝興寺 *前期展示:7/28~8/26
うち一点、勝興寺の「洛中洛外図屏風」は、右上に伏見城、そして中央に二条城を描いた、一双の洛中洛外図としては最古の作例だそうです。
1624年、家光が将軍になると、秀忠の娘である東福門院和子の入内した後水尾天皇の行幸を迎えるため、城の大改修工事が行われます。
「東福門院入内図屏風」17世紀 三井記念美術館 *後期展示:8/28~9/23
こうして完成した本丸や行幸御殿へ後水尾天皇が行幸した時こそが、最も二条城の華やいだ時期と言えるのかもしれません。
またここで面白いのは、二条城がどのようにして改修されていったのかを資料などで紹介していることです。
天守や城内を細かく記した図面なども展示されています。
また行幸時の饗応としてどのような献立が振る舞われたのかを記す「二条城行幸御献立之次第」も興味深い資料ではないでしょうか。
公家300名、大名100名と極めて巨大な宴席、まさに時の権勢を奮った徳川の威信をかけたものに違いありません。
「東福門院和子像」江戸時代 京都・光雲寺
それに東福門院所用の扇なども、当時の雰囲気を伝えてくれました。
さて展覧会のハイライトは障壁画です。
実は二条城、この寛永期の改修時に、探幽率いる狩野派の画人たちによって二の丸御殿の障壁画が描かれましたが、今回はそれらのうち「松鷹図」や黒書院の「菊図」などの主要な作品が展示されています。
狩野山楽または探幽「二の丸御殿 大広間四の間 松鷹図」1626年 京都市(元離宮二条城事務所)
中でもど迫力なのはやはり「松鷹図」、鋭くこちらを睨む鷹の殺気立った様子には思わず後ずさりしてしまいますが、この中央で力強く空間を切り裂く松は、例外的に桃山の様式が踏襲されているとのことでした。
また毎年、東博の国宝室で春を飾る狩野長信の「花下遊楽図」がさり気なく出ています。(前期展示のみ出品。)踊り楽しむ人物の生き生きした様子、やはり何度見ても感心させられます。
狩野甚之丞「二の丸御殿 遠侍二の間 竹林群虎図」1626年 京都市(元離宮二条城事務所)
しかしながら二条城、家光以降は徳川の歴史の表舞台から長い歳月の間、姿を消します。家光以降、次に二条城に足を踏み入れたのは、孝明天皇の行幸に供した14代将軍の家茂、何とその間は約230年です。
1867年には二条城の大広間で大政奉還が行われ、名実ともに徳川の世は終わります。江戸幕府が開かれた年に創建、そしてその終末の舞台も二条城、まさに徳川とともにあった城とも言えるのかもしれません。
「大政奉還(下図)」20世紀 明治神宮
さて二条城、当然ながら何もこれで全て終わってしまったわけではありません。
まさに葵から菊へ、二条城は再び改装され、宮内省の所管へと移行、いわゆる宮中の離宮として使われるようになりました。
その際は内装を正倉院風に模し、一方で広間には絨毯を敷いて様々な人物を持て成したのだそうです。
知られざる大政奉還以降の二条城の歴史についての言及があるのも、この展覧会のポイントかもしれません。
狩野甚之丞「二の丸御殿 遠侍勅使の間(下段) 檜図」1626年 京都市(元離宮二条城事務所)
決して広いとはいえない江戸博企画展示室のスペース、大作の障壁画を引きで見ることこそ叶いませんでしたが、京都以外では初めてとなる大規模な二条城障壁画の展示、私のような江戸絵画、障壁画・屏風絵好きにはたまらない内容でした。
「すぐわかる寺院別障壁画の見かた/東京美術」
先にも触れましたが、何割かの作品は途中で入れ替わります。
前期(7/2-8/26)、後期(8/28-9/23)
また一部作品については8月前半での入替などもあります。詳細は出品リストをご覧ください。
なお展覧会公式ツイッターの「まったか将軍」(@nijocastle2012)がこまめに展覧会の感想を拾っています。ちょっとクセのあるツィート(口癖は「大儀であった。」)です。フォローすると楽しいかもしれません。
「元離宮 二条城/京都新聞出版センター」
会期早々に出かけましたが、館内は思いの外に賑わっていました。
9月23日まで開催されています。
「二条城展」(@nijocastle2012) 江戸東京博物館
会期:7月28日(土)~9月23日(日)
休館:月曜日。但し8月13日、9月10日、17日は開館。
時間:9:30~17:30 *毎週土曜日は19:30まで。
場所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。
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