『みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ』  武蔵野美術大学美術館

武蔵野美術大学美術館
『みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ』
2022/7/11~8/14、9/5~10/2



武蔵野美術大学美術館で開催中の『みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」を見てきました。

1967年に開館した武蔵野美術大学美術館は、近代椅子を収集し続けたことで知られ、現在は国内有数の約400脚を超えるコレクションを築くに至りました。



その近代椅子のコレクションを紹介するのが『みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ』で、会場には400脚の中から選ばれた250脚の椅子が展示されていました。



同大学において椅子のコレクションのきっかけとなったのは、まだ美術館において椅子が収集対象として認識されていなかった1960年代のことでした。そこで工芸工業デザイン専攻の初代主任教授だった豊口克平らが「プロダクト・デザインを学ぶ者にとって椅子は格好の教材である」と提唱すると、近代椅子のコレクションがスタートしました。



今回の椅子の展示で嬉しいのは、一部を除く椅子へ実際に座れることでした。当然ながら椅子の1つ1つのかたちは異なるため、座り心地もすべて違いましたが、まさに目だけではなく触るなどして五感を用いて楽しめました。



そして単に名品選のように椅子を並べるのではなく、「近代椅子デザインの源流」から「フォールディングとロッキング」など全10章に分けて紹介していて、近代以前から現代に至るまでの椅子のデザインの変遷をたどることができました。



またスカンジナビアンモダンやイタリアンモダン、それに日本といった地域によって異なった椅子にも着目していて、それぞれ独自に展開したデザインの特長についても知ることができました。



見て、触れて、座りながら楽しめるだけでなく、椅子をデザインの視点からも細かに検証した好企画と言えるのではないでしょうか。会場内も思いの外に賑わっていました。



会期は前後期の2期制です。一部の椅子が入れ替わるほか、8月中旬から9月初旬まではお休みとなります。お出かけの際はご注意ください。

[前期]2022年7月11日(月)~8月14日(日)
[後期]2022年9月5日(月)~10月2日(日)



予約は不要ですが、入館時に連絡先などを記入する必要があります。また感染症対策として椅子を触る際に用いる使い捨ての手袋が用意されていました。


入場は無料です。10月2日まで開催されています。おすすめします。

『みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」  武蔵野美術大学美術館@mau_m_l
会期:[前期]2022年7月11日(月)~8月14日(日)、[後期]9月5日(月)~10月2日(日)
休館:水曜日。
時間:12:00~20:00
 *土・日曜・祝日は10:00~17:00
料金:無料
場所:東京都小平市小川町1-736
交通:西武国分寺線鷹の台駅下車徒歩約20分。JR線国分寺駅(バス停:国分寺駅北入口)より西武バスにて「武蔵野美術大学」下車。(所要約25分)
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#わたしを作った展覧会5選

三菱一号館美術館の公式アカウント(@ichigokan_PR)などからはじまった「#わたしを作った展覧会5選」が、Twitterにて話題になっています。


いわゆる「ベスト5」ではなく「わたしを作った」との観点がユニークで、美術鑑賞の原点やその後の価値観などに影響を与えた展覧会などがリストアップされているようです。



私が美術に接したのは、このブログをはじめる少し前にあたる2000年の頃でしたが、ブログを開始して以降、過去をさかのぼって「#わたしを作った展覧会5選」を挙げてみました。(コメントはTwitterにて書いたものと同じです。)

・「RIMPA展」 東京国立近代美術館(2004年)
おそらく本格的に琳派に接した初めての展覧会だったと思います。これまた名も知らないまま抱一の「夏秋草図屏風」を初めて見て大感動したんですよね…琳派といえば東博の大琳派も質量ともに圧倒的な内容でした。

・「ザオ・ウーキー展」 ブリヂストン美術館(2004~2005年)
初めてブリヂストン美術館へ行って、作家の名も知らないまま見て、とても心引かれた展覧会。この頃、近美のライプ、川村のライマンなどを見て、現代美術の面白さにのめり込んだような気がします。

・「李禹煥展 余白の芸術」 横浜美術館(2005年)
この夏に国立新美術館で個展を控える李禹煥。振り返るとなぜにはまったのかあまりよく分かりませんが、ご本人のレクチャーや菅さんとの対談を聞いたり、何度も見に行った展覧会でした。あんなに横浜美術館へ通ったのはこれ以来ないかも…

・「北斎展」 東京国立博物館(2005年)
言わずとしれた北斎の大回顧展。全500点の作品にて北斎の画業を辿っていく。天才、超人、凄まじい創作世界にひたすら圧倒されました。あれから15年以上も経ちますが、これを超える北斎展ってもうないかも…

・「ヴォルフガング・ティルマンス」 国立国際美術館(2015年)
これまた言葉にするのが難しいですが、なんて自由なんだろう…と至極感心した展覧会でした。答えもなく、出口も見えないあらゆる現象やイメージの中に放り込まれるような体験。写真だとグルスキーやデマンドもすごく印象に残りましたが、「作った」の観点よりこちらを選びました。

やはりどうしても美術に接したはじめた頃が中心となりましたが、皆さんの「#わたしを作った展覧会」はどのような展覧会が挙げられるでしょうか。


これまでの展覧会や美術、また作品との出会いを振り返りつつ、「#わたしを作った展覧会」を考えるのも楽しいかもしれません。
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『「A Quiet Sun」田口和奈展』 メゾンエルメス フォーラム

メゾンエルメス
『「A Quiet Sun」田口和奈展』 
2022/6/17~9/30



メゾンエルメス フォーラムで開催中の『「A Quiet Sun」田口和奈展』を見てきました。

1979年に生まれた田口和奈は、現在ウィーンを拠点に制作を続け、アジアやヨーロッパなどで個展やグループ展を開くなどして活動してきました。



その田口の東京での個展が『A Quiet Sun』で、本展のために作られた新作と、田口が収集した誰の手によるものか分からないファウンドフォトと呼ばれる作品にて構成されていました。



ともかく目を引くのは、モノクロームに包まれた人や風景、はたまた名画のモチーフを捉えた小さな作品で、いずれも時間がとまっているような静謐でかつ幻想的な表情を見せていました。



田口は自ら制作した絵画や彫刻を多重露光で撮影したり、プリントした印画紙の上に油彩のドローイングを描き、再び撮影をするといった複雑な手法にて作品を制作していて、一見するところ写真とも絵画とも判別し得ないような重層的なイメージが浮かび上がっていました。



またコラージュとも呼べるような手わざの跡も感じられて、質感などの繊細なニュアンスも魅惑的に思えました。



エルメスのスペースがこれほど寡黙な雰囲気に包まれていたことはあまりなかったかもしれません。ガラスブロックの窓から降り注ぐ明るい夏の日差しの中、小さなモノクロームの小宇宙が物語を生み出すように連なっていました。



予約は不要です。9月30日まで開催されています。

『A Quiet Sun」田口和奈展』 メゾンエルメス フォーラム
会期:2022年6月17日(金)~9月30日(金)*予定
休廊:7月14日(木)、8月17日(水)
時間:11:00~19:00 
 *最終入場は閉館の30分前まで。
料金:無料。
住所:中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8階フォーラム
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分。
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『特別展 鯨』 千葉県立中央博物館

千葉県立中央博物館
『特別展 鯨』
2022/7/16~9/25



千葉県立中央博物館で開催中の『特別展 鯨』を見てきました。



約5000万年前に4本脚で地上を歩いていたクジラは、1000万年をかけて川や海などの水中生活に適応し、現在のようなすがたとなって人間の暮らしにも深く関わってきました。



そのクジラの進化や生態について探るのが『特別展 鯨』で、会場にはクジラの骨格をはじめ、さまざまな標本資料が公開されていました。



まず冒頭ではクジラの長い歴史をたどっていて、クジラの進化がわかる1/25の模型などが展示されていました。



それに続くのが現在のクジラの生態で、ハクジラとヒゲクジラの一生がパネルや資料にて紹介されていました。そのうちのハクジラは世界に76種生息していて、体長4メートル以下の種が多いものの、中にはマッコウクジラのオスのように16メートルに及ぶものもいました。



一方のヒゲクジラは約14種が生息していて、いずれも寿命が極めて長く、大型のシロナガスクジラでは100歳を超える個体も確認されました。シロナガスクジラの背骨やアカボウクジラの胃といった標本も興味深いかもしれません。



海に囲まれた千葉県には多くのクジラが生息していて、これまでに全国最多の35種ものクジラの存在が記録されてきました。そして縄文時代にまでさかのぼるほどクジラと人間の関係は古く、千葉に残る漁法や食文化、また信仰といった生活、文化遺産についても紹介されていました。



このほかではマッコウクジラなどの大型標本も目立っていたのではないでしょうか。また研究の結果、ニタリクジラから分けられた新たな種の存在など、最新の知見についても触れていました。



最後に千葉県中央博物館へのアクセスの情報です。最寄駅は京成千原線の千葉寺駅ですが、歩くと青葉の森公園を経由して約20分ほどかかります。


よってバス停「中央博物館」から少し歩くものの、千葉駅東口からの京成バスが便利かもしれません。また近くには千葉市美術館も位置していて、バスはもちろん、シェアサイクルなどを利用すると比較的スムーズに行き来することができます。



第一、第二の企画展示室だけでなく、常設展示のスペースでも標本資料が公開されていました。お見逃しなきようにご注意ください。



一部資料の撮影も出来ました。9月25日まで開催されています。

『特別展 鯨』 千葉県立中央博物館@chiba_chuohaku
会期:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
休室:月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、次の平日が休館。)8月8日、15日は開館。
時間:9:00~16:30
 *最終入館は16:00
料金:一般800(640)円、高校・大学生400(320)円、中学生以下無料。
 *( )内は団体料金。
住所:千葉市中央区青葉町955-2
交通:京成千原線千葉寺駅より徒歩20分。JR千葉駅東口より7番乗り場から京成バス「千葉大学病院」、「南矢作」行きに乗り、「中央博物館」で下車。バス停より徒歩約7分。
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『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』 千葉市美術館

千葉市美術館
『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』
2022/7/6〜10/2



千葉市美術館で開催中の『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』を見てきました。

美術家の秋岡美帆(1952〜2018年)は、フィルムカメラで風景を撮影すると、NECOプリントと呼ばれる技法を取り込み、色彩豊かでかつ抽象性を帯びた独自のイメージを切り拓きました。

その秋岡の制作を紹介するのが『特集:秋岡美帆』で、昨年度に新たに寄贈、また寄託を受けた5点の作品が公開されていました。


秋岡美帆『そよぎ4-1』 1988(昭和63)年

まず目を引くのは、眩しいまでの緑が光を伴って揺らめいているような『そよぎ4-1』と題した作品で、日差しを受けた大きな楠をモチーフとしていました。

秋岡は1982年に大阪府池田市にて楠木に出会うと、以降12年にもわたって楠を被写体とした作品を手がけていて、まさに『そよぎ』の名が示すように、黄緑色の葉が風に靡いているような光景が広がっていました。


秋岡美帆『光の間 02-5-31-1』 2002(平成14)年

NECOプリントとは、ポジフィルムを電気信号に換え、エアブラシによって4色のインクを吹き付けていく印刷技法で、元々は屋外広告に用いられてきた技術でした。それを秋岡は美術の世界へと先駆的に取り入れると、楠といった樹木の影や木漏れ日などを被写体にして作品を制作していきました。


秋岡美帆『光の間 '98-7』 1998(平成10)年

いずれもスローシャッターやアウトフォーカスなどの技法により、抽象と呼べるようなイメージが開けていて、光と色に全身が包まれるかのような味わいが感じられました。


『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』展示風景

自然の美しく抽象的なかたちは、時に宇宙の天体を連想させるようで、幻想性すら帯びたイメージに心を奪われました。


橋口五葉『手拭持てる女』 大正9年(1920)/ 大正10年 (1921)完成

なお現在、常設展示室における『千葉市美術館コレクション選』では、『特集:田中一村 新収蔵作品を中心に/歌麿とその周辺/特集:橋口五葉』もあわせて開催されています。ここでは『アダンの海辺』を中心とする一村の作品や、『手拭持てる女』といった橋口五葉の素描や木版画を鑑賞することができます。*『特集:秋岡美帆』以外は7月31日まで。


10月2日まで開かれています。

『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』 千葉市美術館@ccma_jp
会期:2022年7月6日(水)〜10月2日(日)
休室:毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)、メンテナンス日。
時間:10:00~18:00。
 *入場受付は閉館の30分前まで
 *毎週金・土曜は20時まで開館。
料金:一般300(240)円、大学生220(170)円、高校生以下無料。
 *( )内は30名以上の団体料金。
 *企画展チケットにて観覧可。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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世田谷美術館にて『絵本作家・わかやまけんの世界』が開催されています

1930年に生まれたわかやまけん(若山憲)は、「こぐまちゃんえほん」シリーズのほか多くの絵本を手がけると、絵本の研究誌『月刊絵本』創刊に関わるなど、戦後日本の絵本文化の普及に尽力しました。



そのわかやまの創作世界を紹介するのが『こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界』で、展示の内容についてPenオンラインに寄稿しました。

「こぐまちゃん」はこうして生まれた!世田谷美術館で展覧会が開催中|Pen Online

今回の展示では「こぐまちゃんえほん」シリーズの創作プロセスをたどるだけでなく、『おばけのどろんどろん』や『あかべこのおはなし』といったさまざまな絵本をはじめ、初期の紙芝居や雑誌『保育の友』の表紙原画など、わかやまの仕事の全貌を紹介していて、関連資料を含めると実に約230点もの作品が公開されていました。

このうち『あかべこのおはなし』とは、会津地方の郷土玩具、あかべこが会津磐梯山へと動物たちに誘われながら旅をする物語で、東日本大震災以降、福島の土地を知ってほしいと20年ぶりに復刊されました。

現在も全国社会福祉協議会出版部によって刊行の続く『保育の友』は、子どもの保育の内容や地域の保育のカリキュラムなどを紹介する雑誌で、わかやまは表紙絵を1982年から約10年間担当しました。いわゆる一点ものだけに、一枚一枚の絵が物語るような描き方にも工夫が見られるのではないでしょうか。



このほかでは、小さな豆本や「こぐまちゃんえほん」シリーズの発表前に描かれた下絵なども見どころといえるかもしれません。豊富な作品と資料にてわかやまの幅広い創作世界を知ることができました。

(フォトスポット)

混雑緩和のため、オンラインでの日時指定券が販売されています。なお美術館窓口にて当日券も購入できますが、来場時に予定数の販売が終了している場合があります。あらかじめチケットを予約されることをおすすめします。


世田谷美術館での会期以降、以下のスケジュールでの巡回が決まりました。

山形美術館:2023年4月~5月(予定)
岐阜県美術館:2023年7月21日 (金)~9月24日 (日)

9月4日まで開催されています。※一番上の写真はプレス内覧会時に主催者の許可を得て撮影しました。

『こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界』@wakayama_sekai) 世田谷美術館@setabi_official
会期:2022年7月2日(土)~9月4日(日)
休館:月曜日。ただし7月18日(月・祝)は開館、翌7月19日(火)は休館。
時間:10:00~18:00
 *最終入場は閉館の30分前まで
料金:一般1200円、65歳以上1000円、大学・高校生800円、中学・小学生500円。
住所:世田谷区砧公園1-2
交通:東急田園都市線用賀駅より徒歩17分。美術館行バス「美術館」下車徒歩3分
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『蜷川実花「瞬く光の庭」』 東京都庭園美術館

東京都庭園美術館
『蜷川実花「瞬く光の庭」』
2022/6/25〜9/4



東京都庭園美術館で開催中の『蜷川実花「瞬く光の庭」』を見てきました。

2001年に第26回木村伊兵衛写真賞を受賞した蜷川実花は、これまで花や植物、または人物から風景など幅広いモチーフとした写真を手がけ、映像や映画監督としても作品を発表するなど多様に活動してきました。



その蜷川の花をテーマとした個展が『蜷川実花「瞬く光の庭」』で、2021年以降に撮影された植物の写真と映像作品が公開されていました。



まずアール・デコ様式の本館に展開するのが、色とりどりの花びらをつけた花や植物の写真で、いずれも明るい光に包まれるようにして捉えられていました。



この光を蜷川は「光彩色」と呼んでいて、梅や河津桜、ネモフィラなどの四季の花々の写真が広間や通路を抜けるごとに飾られていました。部屋を移動するごとに、四季の移ろいを追体験できるような構成といえるかもしれません。



いずれも公園や庭の花壇に咲いている花を捉えていて、いわゆる野生ではなく、人の手によって育まれたもののみを写し出していました。



そもそも花とは蜷川にとってデビュー前より写し続けている身近なモチーフでありながら、コロナ禍の中、改めて撮影した時の気持ちを「生まれたての気分で撮った。」とも語っていて、一連の写真には新たな方向性も示されているのもしれません。



まさにアール・デコの装飾と蜷川の花がコラボレーションする展示で、館内は花の楽園を体現したかのように美しく彩られていました。またいくつかの写真は窓に展示されていましたが、戸外の光や庭園の緑と作品の世界とが響き合うような光景も魅力的に思えました。



こうした本館に続くのが、新館にて公開された映像インスタレーション『胡蝶めぐる季節』でした。



これは蝶に誘われたながら四季の花々をめぐる光景を映した作品で、中に入って花の咲き誇る空間を体感的に味わうことができました。身体が花々に包み込まれていくような浮遊感も得られるのではないでしょうか。



同じく新館での「なぜに花を撮り続けるのか。」を語る蜷川のインタビュー映像も充実していて、「花を撮って動いた心を写真で伝えたい。」とする言葉が印象に残りました。


アール・デコの館に花の楽園が出現!『蜷川実花「瞬く光の庭」』展レポート | イロハニアート

一部展示室の撮影が可能でした。9月4日まで開催されています。

『蜷川実花「瞬く光の庭」』 東京都庭園美術館@teienartmuseum
会期:2022年6月25日(土)〜9月4日(日)
休館:月曜日。ただし7月18日(月・祝)は開館、7月19日(火)は休館。
時間:10:00~18:00。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1400(1120)円 、大学生1120(890)円、中学生・高校生・65歳以上700(560)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
 *第3水曜日のシルバーデーは当面中止。
住所:港区白金台5-21-9
交通:都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅1番出口より徒歩6分。JR線・東急目黒線目黒駅東口、正面口より徒歩7分。
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『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』
2022/7/11~8/25



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』を見てきました。

1980年に生まれたグラフィックデザイナー髙田唯は、2006年に事務所「Allright Graphics」設立すると、広告やパッケージ、ロゴといった幅広いデザインを手がけるなどして活動してきました。

その髙田のデザインを紹介するのが『Chaotic Order(混沌とした秩序)』とした展示で、凧をモチーフとしたインスタレーションと髙田が過去に手がけた仕事などが公開されていました。



まず1階のスペースに展開するのが、髙田が近頃、興味を抱いているという凧のインスタレーションでした。ここでは天井から壁一面に色とりどりの凧が吊られていて、会場を鮮やかに彩っていました。



いずれの凧も二本足の人のようなかたちをしたモチーフが描かれていて、フリーハンドを思わせるような揺らぎの伴う線も少なくありませんでした。

これらは髙田が日々の仕事の合間を縫って作られたものですが、一連の凧を目にしていると多くの人々が手を取り合いながら集っているようなイメージが浮かび上がりました。いわば凧の集会とも呼べるかもしれません。



一方の地下の展示室では髙田の多様なデザインが紹介されていて、それぞれの作品の意味をリーフレットから読み解けるように作られていました。



このデザインが驚くほどに大胆でかつ自由な発想に基づいていて、リーフレットを読まなければ何を表現しているのか分からないものも少なくありませんでした。



例えば「Carton Base」とは、髙田がグラフィックとして魅力を感じたという200mlの紙パック飲料の底面を模写した作品で、幾何学的ともいえるようなイメージが描かれていました。



また「Rip-Up Origami」は、折り紙を破っては色面を展開させたもので、さまざまな色をした折り紙の断片が抽象絵画のような世界を築いていました。



この他にもベビースターラーメンを線として捉えて地図を描いたり、電車の中吊り広告から背景の色面構成のみを表したり、ガムを吐き出して「口で作る彫刻」とするなど、もはや奇抜ともいえるようなアイデアからまったく予想もし得ないデザインが生み出されていました。



禁煙マークや自販機の100円マーク、それに駅や公園などの地図の中のコンパスをコレクションして写すなど、社会のさまざまな事象を観察する視線も極めてユニークではないでしょうか。



「ルールのない、好き勝手に遊びまわるプレイグランド」と解説にありましたが、スタイルにとらわれない発想力こそ髙田が生み出すデザインの源泉なのかもしれません。


予約は不要です。8月25日まで開催されています。

『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2022年7月11日(月)~8月25日(木)
休廊:日曜・祝日。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー
『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』
2022/7/6〜8/6



ミヅマアートギャラリーで開催中の『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』を見てきました。

1974年に生まれた宮永愛子は、日用品をナフタリンで象ったオブジェなどで知られ、近年は高松市美術館にて個展『槽法』(2019年)を開いたほか、『東京ビエンナーレ2020/2021』に参加するなどして幅広く活動してきました。



その宮永の新作からなる個展が「くぼみに眠る海」で、ガラスやナフタリンによる彫刻などが展示されていました。



今回の個展で目を引くのが、いずれの彫刻も動物をモチーフとしていることで、犬や熊、それに鳥のほか、大きなトランクの中には鯉が泳ぐかのようにして表現されていました。そしてナフタリンとガラスの素材を問わず、自ら光を放つように白く輝いていました。



また白い台の他に古びた木の箱には石膏の型がいくつか入れられていて、「熊」や「ツル小」と記した文字が紐でくくりつけられていました。いわゆる作品として位置づけられることのない、いわば脇役の石膏型をあえて展示しているのも面白いかもしれません。



宮永はコロナ禍の中、期せずして故郷の京都に居を移し、16年ぶりに同地にて生活をはじめました。また宮永の実家は曽祖父である初代宮永東山が開いた宮永東山窯で、家の工房には整理がつかない石膏型が山積みになって置かれていたとしています。そして宮永も幼い頃から型のある景色の中で日々の暮らしを送りました。



もはや宮永にとっての型とは生活の一部であったのかもしれません。ガラスやナフタリンといった脆さやはかなさを感じさせる彫刻とは異なり、まるで歴史が蓄積した化石のように重みのある型にしばらく見入りました。


予約は不要です。8月6日まで開催されています。

『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』 ミヅマアートギャラリー@MizumaGallery
会期:2022年7月6日(水)〜8月6日(土)
休廊:日・月・祝
時間:12:00~18:00
料金:無料
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
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『クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門"』 21_21 DESIGN SIGHT

21_21 DESIGN SIGHT
『クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門"』
2022/6/13~2023/2/12



21_21 DESIGN SIGHTで開催中の『クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”』を見てきました。



1961年に現代美術作家のクリストとジャンヌ=クロードが構想した「包まれた凱旋門」のプロジェクトは、実に60年の歳月をかけて2021年9月に実現しました。



そのプロジェクトの構想から実現までをたどるのが『クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”』で、会場には設営から公開時の記録映像をはじめ、プロジェクトのための模型やドローイングのレプリカなどが紹介されていました。



1935年6月13日、奇しくも同じ日に生まれたクリストとジャンヌ=クロードは、1958年にパリにて出会うとアーティストとしての活動をはじめ、1964年にはニューヨークにわたり、世界各地でさまざまなプロジェクトを手がけてきました。



そのうちの1つが「包まれた凱旋門」で、パリのシンボルであるエトワール凱旋門のすべてを文字通りに布で覆うというプロジェクトでした。そして2009年にジャンヌ=クロードが亡くなるも、クリストは創作を続けて、当初は2020年に実現する予定でした。



しかしコロナ禍によって延期となり、クリストも5月に世を去りますが、2人の遺志を受け継いだ多くの賛同者の協力のもと、2021年9月に完成しました。



銀色のコーティングが施された25000平方メートルの青い布と、3000メートルもの赤いロープで包まれた「包まれた凱旋門」プロジェクトは16日間公開され、その光景を一目見ようと多くの人々が観覧に詰めかけました。



今回の展覧会ではプロジェクトの設営から完成時の様子が映像にて紹介されていて、どのように凱旋門が布に包まれ、人々が楽しんだのかを見ることができました。



とりわけ朝から晩へと変化する包まれた凱旋門の光景を目にしながら、現地の音声などが収録されたBGMを耳にしていると、あたかもパリへと誘われているような気分にさせられました。



またエンジニアや工事担当者、ディレクターらのインタビュー映像も充実していて、まさに「包まれた凱旋門」の裏側を伺い知ることもできました。



会場内にて展示された布やロープは、いずれも制作時に余ったもので、プロジェクトに使われたものと同じ素材で作られていました。



クリストとジャンヌ=クロードの人生の夢とも言える壮大なプロジェクトを追体験し得るような展覧会といえるかもしれません。



ギャラリー3の入口にもプロジェクトと同じ布が貼られていて、そちらは手で触ることも可能でした。布の感触を楽しむのも面白いのではないでしょうか。


一大プロジェクトの裏側が明らかに!『クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門"』展|Pen Online

撮影も可能です。2023年2月12日まで開催されています。

『クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門"』 21_21 DESIGN SIGHT@2121DESIGNSIGHT
会期:2022年6月13日(月)~2023年2月12日(日)
休館:火曜日。年末年始(12月27日~1月3日)。
時間:10:00~19:00
 *入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。
 *ギャラリー3は入場無料
住所:港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
交通:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅、及び東京メトロ千代田線乃木坂駅より徒歩5分。
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渋谷区立松濤美術館にて『津田青楓 図案と、時代と、』が開かれています

日本画、洋画、工芸や書など幅広いジャンルで作品を残した津田青楓は、明治時代に京都で多くの図案集を出版するなど、図案家としても活動しました。



その青楓と同時代の図案家の作品をたどるのが『津田青楓 図案と、時代と、』で、展示の内容についてPenオンラインに寄稿しました。

designの和訳として生まれた“図案”とは? 眼福の『津田青楓 図案と、時代と、』展|Pen Online

まずはじめに紹介されるのが青楓の手がけたさまざまな図案で、本田雲錦堂や山田芸艸堂から刊行された図案集や漱石や鈴木三重吉といった本の装飾図案などが並んでいました。

16歳にして最初の図案集を出版した青楓は、約10年の間に13タイトル、計40冊の図案集と図案雑誌を刊行していて、既存の伝統的なモチーフだけでなく、「うづら衣」といった自らのアイデアのもとに図案を生み出した作品も作られました。

ここで興味深いのは、青楓の図案が同時代において必ずしもすべてが高く評価されていたわけではないことで、例えば「うづら衣」ではユニークなモチーフが職人らが使いにくかったとされ、売れ行きは芳しくありませんでした。



こうした青楓の図案に続くのが、青楓の師の谷口香嶠や当時人気を博していた神坂雪佳、それに画家で図案の教育にも努めた浅井忠らの図案で、古谷紅麟や下村玉廣、それに荻野一水といった今ではあまりよく知られていない図案家にも魅惑的な作品が少なくありませんでした。

明治時代にヨーロッパの美術やデザインが日本にて知られると、元々職人の仕事とされていた図案制作へ多くの画家らも携わるようになり、さまざまな図案が生み出されるようになりました。青楓も明治40年にパリへと留学すると歴史画家のジャン=ポール・ローランスに学び、帰国後に洋画を描きながら新たな表現を志向しました。いわば図案に芸術化が図られた変革期とも呼べる時代でした。


青楓の展示といえば、2020年に練馬区立美術館にて「背く画家 津田青楓」と題した回顧展が開かれ、青楓の制作の全体像が示されましたが、今回はキャリア初期の図案のみに焦点を絞った内容でした。

図案家としての青楓と同時代の図案の潮流を、海外からの影響や図案教育の観点などを盛り込んで丹念に紹介した好企画といえるのではないでしょうか。見応えに不足はありませんでした。


展示替えの情報です。会期中、前後期にて一部作品が入れ替わります。

前期:6月18日(土)~7月18日(月・祝)
後期:7月20日(水)~8月14日(日)

土、日曜、祝日、および8月9日以降の最終週は日時指定予約制だ導入されました。専用WEBサイトよりあらかじめ来館日時を指定する必要があります。

8月14日まで開催されています。おすすめします。

『津田青楓 図案と、時代と、』 渋谷区立松濤美術館@shoto_museum
会期:2022年6月18日(土)~8月14日(日)
休館:月曜日。但し7月18日は開館。7月19日、8月12日。
時間:10:00~18:00 
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般800(640)円、大学生640(510)円、高校生・65歳以上400(320)円、小中学生100(80)円。
 *( )内は渋谷区民の入館料。
 *渋谷区民は毎週金曜日が無料。
 *土・日曜、祝日は小中学生が無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15分。
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『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』 スパイラル

スパイラル
『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』
2022/6/29〜7/11



スパイラルにて開催中の『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』を見てきました。

もの派のメンバーとして知られるアーティスト、菅木志雄(1944年〜)は、木や石、金属やロープなどを用い、さまざまな場所を取り込んだ作品を作り続け、毎年個展を開くなど精力的に活動してきました。



その菅の新作を中心に構成されたのが『有でもなく無でもなく』とした個展で、会場には木を素材とした立体作品などが展示されていました。



さて「同じことはやらない」と語り、常に異なる関心を持って制作に取り組んできたという菅でしたが、私が今回とりわけ興味深く思えたのは、螺旋のスロープのある空間に置かれた『積層空間』なる作品でした。



ちょうど空間の中央にただ1つ、透明のケースにて包まれた箱のようなかたちのオブジェが置かれていて、上の方は白く、また下の方は茶色を帯びているなど異なった色が重なっていました。まさに地層のようにも思えましたが、遠目では一体、中に何が入れられ、どのように作られているのか見当すらつきませんでした。



これは1968年、菅が実に24歳の時に初めて制作した作品で、おがくず、綿、灰、プラスチック、土などによって出来ていました。そして当時、菅は作品を展覧会に出展せず、当時居住していたという川崎市内にて野展、すなわち屋外展示として発表していて、昨年の岩手県立美術館での個展にて再制作されたものでした。つまり53年ぶりに展覧会にて公開された作品というわけでした。

それこそ地層ならぬ大地の一部分を切り取り、中へと詰め込めたようなイメージも浮かび上がっていて、木や石などを用いる作品とはまた異なった雰囲気をたたえていました。

なお菅は現在、小山登美夫ギャラリーでも同名のタイトルによる個展を開催中です。(7月9日まで)

菅木志雄「有でもなく無でもなく」@小山登美夫ギャラリー六本木 6月11日(土)〜7月9日(土)



こちらでは茶色い紙を重ねて四方をちぎり、木を組み合わせた新作『集分化』などを公開していました。表参道と六本木での2つの展示を見ていくのも良いかもしれません。


入場は無料です。7月11日まで開催されています。

『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』 スパイラル@SPIRAL_jp
会期:2022年6月29日(水)〜7月11日(月)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:港区南青山5-6-23
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B1出口すぐ。
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2022年7月に見たい展覧会【工藤麻紀子/東北へのまなざし/田中保とその時代】

あっという間に梅雨が明けたかと思いきや、記録的な酷暑ともいえる日々が続いています。



6月に見た展覧会では、アーティゾン美術館の『写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策』のほか、東京の郊外にて行われている2つの展覧会、『孤高の高野光正コレクションが語る ただいま やさしき明治』(府中市美術館)と『彫刻刀が刻む戦後日本―2つの民衆版画運動』(町田市立国際版画美術館)がとても印象に残りました。

7月も興味深い展覧会が目白押しです。気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『生誕100年朝倉摂展』 練馬区立美術館(6/26~8/14)
・『生誕150年 板谷波山 ―時空を超えた新たなる陶芸の世界』 出光美術館(6/18~8/21)
・『よめないけど、いいね! 根津美術館の書の名品』 根津美術館(7/16~8/21)
・『北斎 百鬼見参』 すみだ北斎美術館(6/21~8/28)
・『歌枕 あなたの知らない心の風景』サントリー美術館(6/29~8/28)
・『小松美羽展 岡本太郎に挑む―霊性とマンダラ』 川崎市岡本太郎美術館(6/25~8/28)
・『開館35周年記念展 美術館はおもちゃ箱・道具箱』 目黒区美術館(7/9~8/28)
・『カラーフィールド 色の海を泳ぐ』 DIC川村記念美術館(3/19~9/4)
・『蜷川実花「瞬く光の庭」』 東京都庭園美術館(6/25~9/4)
・『こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界』 世田谷美術館(7/2~9/4)
・『かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと』 Bunkamuraザ・ミュージアム(7/16~9/4)
・『とある美術館の夏休み』 千葉市美術館(7/16~9/4)
・『開館20周年記念展 モネからリヒターへ ―新収蔵作品を中心に』 ポーラ美術館(4/9~9/6)
・『リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』 国立西洋美術館(6/4~9/11)
・『工藤麻紀子展 花が咲いて存在に気が付くみたいな』 平塚市美術館(7/9~9/11)
・『茶の湯の陶磁器 “景色”を愛でる』 三井記念美術館(7/9~9/19)
・『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』 東京オペラシティ アートギャラリー(7/16~9/19)
・『東北へのまなざし1930-1945』 東京ステーションギャラリー(7/23~9/25)
・『ガブリエル・シャネル展 ― Manifeste de mode』 三菱一号館美術館(6/18~9/25)
・『キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル』 パナソニック汐留美術館(7/9~9/25)
・『水のかたち―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで』 山種美術館(7/9~9/25)
・『ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ』 市原湖畔美術館(7/16~9/25)
・『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』 国立新美術館(6/29~9/26)
・『クマのプーさん展』 PLAY! MUSEUM(7/16~10/2)
・『シアトル→パリ 田中保とその時代』 埼玉県立近代美術館(7/16~10/2)
・『ボストン美術館展 芸術×力』 東京都美術館(7/23~10/2)
・『フィン・ユールとデンマークの椅子』 東京都美術館(7/23~10/9)
・『アレック・ソス Gathered Leaves』 神奈川県立近代美術館 葉山館(6/25~10/10)
・『印象派からエコール・ド・パリへ スイス プチ・パレ美術館展』 SOMPO美術館(7/13~10/10)
・『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界』 森アーツセンターギャラリー(7/16~10/10)
・『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで/MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ』 東京都現代美術館(7/16~10/16)
・『鈴木大拙展 Life=Zen=Art』 ワタリウム美術館(7/5~10/30)
・『地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング』 森美術館(6/29~11/6)

ギャラリー

・『第24回亀倉雄策賞受賞記念 大貫卓也展「ヒロシマ・アピールズ」』 クリエイションギャラリーG8(7/12~8/20)
・『髙田唯 混沌とした秩序』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/11~8/25)
・『野口哲哉「this is not a samurai』 ポーラ ミュージアム アネックス(7/29~9/11)
・『A Quiet Sun 田口和奈展』 メゾンエルメス8階フォーラム(6/17~9/30)
・『末光弘和+末光陽子 / SUEP.展 Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち』 TOTOギャラリー・間(6/8~9/11)

まずは現代美術家の個展です。平塚市美術館にて『工藤麻紀子展 花が咲いて存在に気が付くみたいな』が開かれます。



『工藤麻紀子展 花が咲いて存在に気が付くみたいな』@平塚市美術館(7/9~9/11)

1978年生まれたの画家、工藤麻紀子は、色彩鮮やかな構成や装飾的な表現によって日常の生活をモチーフとした心象風景を描き、国内のグループ展に参加するなどして活動してきました。


その工藤の美術館としての初の個展が『花が咲いて存在に気が付くみたいな』と題した展示で、新作とインスタレーションを含む120点余りの作品が公開されます。工藤といえば、小山登美夫ギャラリーなどのギャラリーの個展をはじめ、東京オペラシティアートギャラリーの『絵画の在りか』などでも作品を見る機会がありましたが、今回は作品数を踏まえても充実した展覧会となりそうです。

東北の豊かな文化を改めて認識するような展覧会となるかもしれません。東京ステーションギャラリーにて『東北へのまなざし1930-1945』が開かれます。



『東北へのまなざし1930-1945』@東京ステーションギャラリー(7/23~9/25)

これは1930年から戦中にかけて、東北地方の建築や生活用品に着目したブルーノ・タウトや柳宗悦、それに東北の出身でもある今和次郎や吉井忠らの活動を紹介しながら、東北に関するさまざまな文物を展示するもので、東北のものづくりに向けられた視点をたどっていきます。


なお展示は4月の岩手県立美術館にはじまり、福島県立美術館にて開かれてきた巡回展で、ここ東京ステーションギャラリーが最後の開催地となります。

最後は埼玉県立近代美術館では25年ぶりとなる回顧展です。『シアトル→パリ 田中保とその時代』が行われます。



『シアトル→パリ 田中保とその時代』@埼玉県立近代美術館(7/16~10/2)


1886年に岩槻に生まれ、18歳にして移民としてシアトリに渡り、1920年にパリに移住した田中保は、サロン・ドートンヌなどの展覧会にて出品を重ねると、同地にて人気を博し、肖像や裸婦像などを描いては活動しました。

その田中は日本の美術教育を受けず、そもそもアメリカにて身を立てていたため、生前に日本の画壇に受け入れられることはありませんでした。そうした田中の画業を振り返るのが『シアトル→パリ 田中保とその時代』で、同時代の画家を含めた100点の作品が公開されます。最新の研究を交え、田中の実像が明らかになる機会となりそうです。

WEBメディア、イロハニアートでも7月のおすすめの展覧会をまとめました。あわせてご覧いただければ嬉しいです。


ドンゲンからアリス、ボストン美術館展まで。7月のおすすめ展覧会5選 | イロハニアート

それでは7月もどうぞよろしくお願いいたします。
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