泉屋博古館東京にて『特別展 木島櫻谷―山水夢中』が開催中です

明治から昭和前期まで京都にて活動した画家、木島櫻谷は、動物の絵画から琳派の屏風、さらに山水画などを手がけると、叙情的で気品のある作品で知られ、近年再評価の機運が高まってきました。



その櫻谷の画業を紹介する『特別展 木島櫻谷―山水夢中』が、泉屋博古館東京にて開かれています。

日本画家、木島櫻谷の展覧会が泉屋博古館東京にて開催!見どころは? | イロハニアート



今回の櫻谷展の最大の見どころは、徹底した写生に基づいた山水画に着目していることで、集大成のひとつともいえる南禅寺塔頭の南陽院本堂の障壁画である『万壑烟霧(ばんがくえんむ)』が東京にて初めて展示されました。



また飛騨や富士、若狭、大分など全国各地へ出かけた際に描いた写生帖も出品されていて、櫻谷がいかに写生を重視していたのかについて知ることもできました。

第7回文展への出品作で、長く行方が分からなくなっていたものの、2019年に京都の福田美術館にて78年ぶりに公開された『駅路之春』も見どころといえるかもしれません。街道の茶店でくつろぐ旅の一行や白黒の馬などを、鮮やかな色彩によって描いていました。

このほか、最後の帝展出品作で、57歳にして櫻谷が到達した山水画のひとつの頂点ともいうべき『峡中の秋(きょうちゅうのあき)』も見応えがありました。


最後に展示替えの情報です。会期中、6月26日に展示替えが行われ、後期展示に入りました。以降の入れ替えはありません。

『特別展 木島櫻谷―山水夢中』出品リスト(PDF)
前期:6月3日(土)〜6月25日(日)
後期:6月27日(火)〜7月23日(日)
 *『寒月』の展示は6月18日にて終了しました。

私もすでに前期期間中に展示を見ましたが、改めて後期も出向こうと思いました。*写真はロビーにて展示中の作品。ロビーの作品のみ撮影ができます。


7月23日まで開催されています。

『特別展 木島櫻谷―山水夢中』 泉屋博古館東京@SenOkuTokyo
会期:2023年6月3日(土)〜7月23日(日)
 前期:6月3日(土)〜6月25日(日)、後期:6月27日(火)〜7月23日(日)
休館:月曜日(7月17日は開館)、7月18日(火)
時間:11:00~18:00
 *金曜日は19時まで開館
 *入館は閉館の30分前まで
料金:一般1200(1000)円、高校・大学生800(700)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体。
住所:港区六本木1-5-1
交通:東京メトロ南北線六本木一丁目駅北改札1-2出口より直通エスカレーターにて徒歩5分。
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『田原桂一展「存在」』 √K Contemporary

√K Contemporary
『田原桂一展「存在」』
2023/6/17〜7/15


田原桂一『Rome-5』 1979年撮影

東京・神楽坂の√K Contemporary(ルートK コンテンポラリー)にて、写真家の田原桂一の個展「存在」が開かれています。

今回の展示で公開されたのは、田原が20代後半の頃、1978年から1980年にかけて撮影した「Photosynthesis」と呼ばれるシリーズで、いずれも当時33歳でパリでデビューを果たしたばかりのダンサー、田中泯を被写体としたものでした。


田原桂一『Bordeaux-11』 1980年撮影

そのうちの『Bordeaux-11』とは、かつてナチス・ドイツがフランスのボルドーに築いた要塞を舞台とした作品で、誰もいない廃墟の中、田中が忽然とすがたを現して立つような光景を写し出していました。


田原桂一『Island-22』 1980年撮影

一方で『Island-22』では、田中が両手を地面に突きながら、腰を屈めて走り出すような仕草をとらえていて、頭を突き出した肉体そのものの迫力と動的でかつ躍動感のある画面を築き上げていました。


田原桂一『Bordeaux-6』 1980年撮影

一連の「Photosynthesis」は3年間かけて撮影された後、実に35年間未発表だったもので、今回は2017年に原美術館の展示にて発表されて以来、久しぶりに公開されました。


「Portrait」シリーズ 作品展示風景

この「Photosynthesis」に続くのが、クリスチャン・ボルタンスキーやヨーゼフ・ボイスといった世界的なアーティストを被写体とした「Portrait」シリーズで、ちょうど暗がりの空間に吊るされるようにして作品が展示されていました。


「Photosynthesis」シリーズ 作品展示風景

白く明るい1階から2階に並ぶ「Photosynthesis」シリーズと、一転しての暗がりに浮かび上がる「Portrait」シリーズのコントラストも魅力といえるかもしれません。

なお現在、√K Contemporaryでは三上晴子による『Eye-Tracking Informatics』を特別に展示中です。

三上晴子「Eye-Tracking Informatics」特別展示
https://root-k.jp/exhibitions/seiko-mikami_eye-tracking-informatics/

1回数分ほど体験できるインタラクティブな作品です。公開日程、および予約方法については同ギャラリーのWEBサイトをご確認ください。


田原桂一の写真がとらえた、人間の存在の輝き。ダンサー、田中泯と取り組んだ表現とは?|Pen Online

7月15日まで開催されています。

『田原桂一展「存在」』 √K Contemporary(ルートK コンテンポラリー)(@rk_contemporary
会期:2023年6月17日(土) 〜7月15日(土)
休館:日・月曜日。
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:新宿区南町6
交通:都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅A2出口より徒歩5分。東京メトロ東西線神楽坂駅神楽坂口より徒歩12分。
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大阪中之島美術館にて開催中の画家、佐伯祐三の回顧展がまもなく閉幕します

1月から4月にかけて東京ステーションギャラリーにて開かれ、現在、大阪中之島美術館へ巡回中の『佐伯祐三 自画像としての風景』が、明日6月25日に閉幕します。



今回の展覧会では佐伯の描いた大阪、東京、パリの3つの街に注目し、どのように画家が自らの表現を獲得していったのかを追っていて、大阪中之島美術館のコレクションを中心に約140点の作品が公開されました。



また人気のあるパリ時代の作品だけでなく、これまで必ずしも高く評価されてこなかった一時帰国時代に焦点を当てていて、特に東京のアトリエ近くの「下落合風景」と大阪の「滞船」のシリーズが集中して取り上げられていました。



そこで佐伯は1度目のパリで街景に向き合った視点を踏まえつつ、電柱や電線、また帆柱やロープといった中空に伸びる線という要素を見出していて、それが2度目のパリ時代の壁のポスターや文字を描いた作品へと応用していくさまを見ることができました。



佐伯祐三の歩みを回顧展とともにたどる|『佐伯祐三 自画像としての風景』 | イロハニアート



東京展では会場の都合上、会期中に展示替えが行われましたが、スペースに余裕のある大阪展では一度にすべての出展作品を見ることができます。



私も昨日、大阪中之島美術館へと出向き、東京に続いて展示を見てきましたが、質量ともに充実した内容に改めて感心させられました。



またれんが壁の重厚な東京ステーションギャラリーと、天井が高く開放感のあるホワイトキューブの大阪中之島美術館の展示室は雰囲気が違って感じられたかもしれません。


一部作品を除いて撮影も可能です。



これ以降の巡回はありません。6月25日まで開かれています。

『佐伯祐三 自画像としての風景』 大阪中之島美術館@nakkaart2022
会期:2023年4月15日(土)〜6月25日(日)
休館:月曜日(5月1日は開館)。
料金:一般1800円、高校・大学生1500円、中学・小学生500円。
時間:10:00~17:00。
 *入館は閉館の30分前まで。
住所:大阪市北区中之島4-3-1
交通:京阪中之島線渡辺橋駅2番出口より徒歩約5分。Osaka Metro四つ橋線肥後橋駅4番出口より徒歩約10分。
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『I LOVE ART 17 プレイプレイアート展』 ワタリウム美術館

ワタリウム美術館
『I LOVE ART 17 プレイプレイアート展』
2023/3/19〜8/3


小谷元彦『Surf Angel(Provisional Monument 2)』 2022年

ワタリウム美術館にて『I LOVE ART 17 プレイプレイアート展』が開かれています。

これはワタリウム美術館のコレクションより19人、さらにゲストとして小谷元彦を迎え、計20名のアーティストを紹介するもので、2階から4階の展示室へ約150展もの作品が所狭しと並んでいました。


ニキ・ド・サン=ファル 展示作品

まず2階ではアンディ・ウォーホルにソル・ルウィット、またニキ・ド・サン=ファルなどの作品が展示されていて、ナムジュン・パイクのロボット「K-567」が時折奇妙な動きを見せていました。


小谷元彦『Surf Angel(Provisional Monument 2)』 2022年

この空間で特に目立つのが、ゲストアーティストとして迎えられた小谷元彦の『Surf Angel(Provisional Monument 2)』で、昨年、宮城県石巻市にて開かれた芸術祭、『リボーンアート・フェスティバル2021-22(後期)』のために制作された作品でした。

ここでは波の上のサーフボードに乗りながら、バランスをとるように両手を大きく広げ、背中に羽根をつけた水着すがたの天使を象っていて、鏡のはめ込まれた頭部は幾何学的なかたちをしていました。


小谷元彦『Surf Angel(Provisional Monument 2)』 2022年

それにしても高さ6メートルの『Surf Angel(Provisional Monument 2)』の迫力は並大抵のものではなかったかもしれません。これほど大きな作品をどのように展示室に入れたのかと思ってしまうほどでした。


手前:ファブリス・イベール『ベシーヌの人(ポフ125)』 1988〜98年

続く3階では小沢剛、またアレクサンドル・ロトチェンコ、そして4階ではディヴィッド・ホックニーらの作品が展示されていて、とりわけ11の身体の穴より水が吹き出すファブリス・イベールの噴水『ベシーヌの人』に目を引かれました。


手前:ソル・ルウィット『ピラミッド』 1986年 右:ナムジュン・パイク『ロボット K-567』 1993年

作品を広場の中の風景や人物に見立た展示とのことでしたが、端的にワタリウム美術館のコレクション展としても見応えがあったかもしれません。


左下:オラフ・ニコライ『上野公園/テント』 1999年 右上:アレクサンドル・ロトチェンコ『空間構成13番「三角形の中の三角形」』 1921年(2018年再構築)

またリボーンアートでキービジュアルを飾った小谷の『Surf Angel(Provisional Monument 2)』をまさか東京で見られるとは思いませんでした。


ジョナサン・ボロフスキー『分子男』 1983年

会場内の撮影も可能です。


8月3日まで開催されています。

『I LOVE ART 17 プレイプレイアート展』 ワタリウム美術館@watarium
会期:2023年3月19日(日)〜8月3日(木)*会期延長
休館:月曜日。但し7月17日は開館。
時間:11:00~19:00 
 *毎週水曜日は21時まで開館。
料金:一般1500円、25歳以下(学生)・高校生・70歳以上1300円、小・中学生500円。
 *ペア券:大人2人2600円。
 *会期中何度でも展覧会へ入場できるパスポート制チケット。
住所:渋谷区神宮前3-7-6
交通:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩8分。
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『ケニー・シャーフ I’m Baaack』 NANZUKA UNDERGROUND 草月会館

NANZUKA UNDERGROUND 草月会館
『ケニー・シャーフ I’m Baaack』
2023/6/10〜7/9 *草月会館は6/30まで


ケニー・シャーフ『JANGARU!』(2023年)

アメリカのアーティスト、ケニー・シャーフの個展が、東京・神宮前のNANZUKA UNDERGROUNDと赤坂の草月会館にて開かれています。


右からケニー・シャーフ『AKAO』(2023年)、「ARBO ROSO」(2022年)

まずNANZUKA UNDERGROUNDにて展示されているのが、シャーフの新作の絵画で、いずれも代名詞ともいえる巨大なアメーバやSFの宇宙人を連想させるようなキャラクターが描かれていました。


ケニー・シャーフ『Pintura del Tokyo』(2023年)

それらは変幻自在にすがたを変えつつ、画面を飛び回るように表されていて、絵画に類稀なる動きや生命感を与えていました。


ケニー・シャーフ『NAMIGO』(2022年)

と同時に背景には日本語の新聞の引用と思しき文章や文字がたくさん記されていて、新型コロナウィルスや福島の原発事故を扱った記事などが引用されていることを見てとれました。


ケニー・シャーフ『Cosmic Cavern』 展示風景

この絵画とともに公開されているのが、暗室を用いた『Cosmic Cavern』と題するインスタレーションでした。


ケニー・シャーフ『Cosmic Cavern』 展示風景

これは打ち捨てられた玩具や衣類、それに家電といったオブジェクトを室内に散乱するように並べつつ、ブラックライトで照らし出すもので、本来的にゴミであったものがポップなアートとして転換する光景を楽しむことができました。


草月会館 展示風景

一方、草月会館では、イサムノグチの手がけた石庭を舞台にアルミによるカラフルな立体彫刻を展開していて、あたかもキャラクターたちが空間を支配しているような雰囲気が感じられました。


「夢の車」

このほか、会館前に公開中の「夢の車」も目立っていたかもしれません。かつての1985年にシャーフ自身がキャデラックへとペイントと改造を施した車で、車外だけなく車内もシャーフのカラフルな色彩世界が渦巻いていました。


草月会館 展示風景

草月会館とNANZUKA UNDERGROUNDでは会期が異なります。


アメリカの「ポップ・シュルレアリスト」、ケニー・シャーフの30年ぶりの個展が都内2会場にて開催中!|Pen Online


草月会館 展示風景

草月会館は6月30日まで、NANZUKA UNDERGROUNDは7月9日まで開催されています。

『ケニー・シャーフ I’m Baaack』 NANZUKA UNDERGROUND@NANZUKAUNG
会期:2023年6月10日(土)〜7月9日(日)
休館:月、火曜。
時間:11:00~19:00
料金:無料。
住所:渋谷区神宮前3-30-10
交通:東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩8分。JR山手線原宿駅竹下口より徒歩10分。

『ケニー・シャーフ I’m Baaack』 草月会館
会期:2023年6月10日(土) 〜6月30日(金)
休館:日、月曜
時間:11:00〜16:00 *金・土曜は17時まで。
料金:無料
住所:港区赤坂7-2-21
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営地下鉄大江戸線青山一丁目駅南青山4番出口より徒歩5分。
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『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』 上野の森美術館

上野の森美術館
『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』
2023/5/31~7/22



19世紀にイギリスで恐竜の化石が発見されて以来、人々は化石などの痕跡から想像を膨らませると、恐竜のすがたを描き続け、今に至るまで多くのパレオアート(古生物を復元する芸術)が生み出されてきました。

そうしたパレオアートの世界を紹介するのが『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』で、会場には19世紀の復元図、20世紀の絵画にサブカルチャー、さらに近年の研究に基づくパレオアートなど150点の作品が展示されていました。


ロバート・ファレン『ジュラ紀の海の生き物―ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)』 1850年頃 ケンブリッジ大学セジウィック地球科学博物館

まずはじめに展示されるのは19世紀の黎明期におけるパレオアートで、古生物の生態を復元した史上初の絵画のひとつとされる『ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)』などを見ることができました。


ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ『水晶宮のイグアノドン』 1853年頃 ロンドン自然史博物館

この頃はまだ恐竜に対する研究が進んでいなかったため、多くの画家はイマジネーションに基づいて恐竜を描いていて、中には鼻の上にツノがあるイグアノドンなど、現在では否定されているすがたをしている恐竜も少なくありませんでした。


チャールズ・R・ナイト『ステゴサウルス』 1901年 アメリカ自然史博物館

しかし1978年から80年にかけてベルギーにてイグアノドンの化石が多く発見されると、恐竜に対する新たな知見が生まれ、従来のすがたは大きく修正を余儀なくされました。またアメリカで「化石戦争」と呼ばれる発掘競争による次々と新たな恐竜が発見されると、同国のチャールズ・R・ナイトらがパレオアートとして描き、古典的な恐竜のイメージの規範として人々に影響を与えました。


ズデニェク・ブリアン『アントロデムス・バレンスとステゴサウルス・ステノプス』 1950年 ドヴール・クラーロヴェー動物園

このナイトの影響を受けて新たなパレオアートを手がけたのがチェコスロヴァキアのズデニェク・ブリアンで、画才を発揮しては恐竜をリアリティに富んだ様子で描き出すと、作品は書物を通して日本を含む世界へと拡散しました。


左からニーヴ・パーカー『イグアノドン』、『ヒプシロフォドン』 ともに1950年代 ロンドン自然史博物館

2大巨匠とも呼ばれるナイトとブリアンの展示もひとつのハイライトといえるかもしれません。またブリアンと同時代に活動したイギリスのニーヴ・パーカーの作品にも見入るものがありました。


ジョーン・マーサ『ホースシュー・キャニオンでの遭遇』 1997年 インディアナポリス子供博物館(ランツェンドルフ・コレクション)

20世紀に入り、1960年代から70年代になると、「恐竜ルネサンス」と呼ばれるように恐竜研究は大きな転換点を迎えました。それは恐竜は以前から考えられていた鈍重な変温動物ではなく、活発に活動する恒温動物であるという見解が示されたことで、パレオアートにおいても恐竜は新たなすがたとして表現されるようになりました。


ダグラス・ヘンダーソン『ティラノサウルス』 1992年 インディアナポリス子供博物館(ランツェンドルフ・コレクション)

こうした「恐竜ルネサンス」以降のパレオアートも見どころだったかもしれません。とりわけ恐竜を当時の生息環境とともに描き出したアメリカのダグラス・ヘンダーソンの作品に心を引かれました。


小田隆『篠山層群産動植物の生態環境復元画』 2014年 丹波市立丹波竜化石工房

このほか、日本における恐竜の受容史も紹介されていて、恐竜をモチーフとした福沢一郎や立石紘一らの絵画とともに、いま活躍する画家の小田隆や古生物造形作家の徳川広和などの作品も見ることができました。

WEBメディア「イロハニアート」にも展示の見どころを寄稿しました。

絵画の中でよみがえる、恐竜の生命の軌跡。上野の森美術館にて『恐竜図鑑』展が開催中! | イロハニアート


『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』展示風景

化石ではない絵の主役が異色の恐竜展と呼べるかもしれません。また一部作品を除いて撮影も可能でした。


『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』展示入口

7月22日まで開催されています。

*本エントリの写真はプレス内覧会の際に主催者の許可を得て撮影しました。

『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』@kyoryu_zukan) 上野の森美術館@UenoMoriMuseum
会期:2023年5月31日 (水) ~7月22日(土)
時間:10:0~17:00
 *土日祝は9:30開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:会期中無休
料金:一般2300円、大学生・専門学校生1600円、小・中学・高校生1000円。
住所:台東区上野公園1-2
交通:JR線上野駅公園口より徒歩3分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅・京成線上野駅より徒歩5分
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『DARA BIRNBAUM ダラ・バーンバウム』 プラダ 青山店

プラダ 青山店5階
『DARA BIRNBAUM ダラ・バーンバウム』
2023/6/1〜8/28



アメリカのメディアアーティスト、ダラ・バーンバウムの個展が、東京・南青山のプラダ 青山店5階にて開かれています。

今回の展覧会のキュレーションを主に担ったのは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)でキュレーターを務めたバーバラ・ロンドンで、バーンバウムが1979年から2011年の間に完成させた4つの作品が展示されていました。


『Arabesque』(2011年)

そのうち最も大掛かりなのが、4つの媒体を用いた『Arabesque』(2011年)と題したビデオインスタレーションでした。


『Arabesque』(2011年)

ここではロマン派の作曲家夫婦であるクララ・シューマンとロベルト・シューマンのキャリアに着目していて、夫婦の人生を描いた伝記映画『愛の調べ』(1947年)から切り取った映像を取り入れつつ、YouTubeに投稿されている女性奏者の映像を映し出していました。


『Bruckner: Symphony No. 5 in B-Dur』(1995年)

『Bruckner: Symphony No. 5 in B-Dur』(1995年)も、音楽に着想を得たサウンドインスタレーションで、アントン・ブルックナーの「交響曲第5番」のふたつの演奏を重ね合わることで、異なった指揮者が同じ曲をどう解釈するかということについて洞察を示していました。


『Bruckner: Symphony No. 5 in B-Dur』(1995年)

テレビ番組をはじめとする他者の撮影した映像を素材としながら、目的を変えて作品化させるバーンバウムは、1970年代半ばの黎明期よりビデオアートに参入すると、以来、約50年に渡ってビデオ、メディア、およびインスタレーション作品を手がけてきました。


『Kiss the Girls: Make Them Cry』(1979年)

このほか、アメリカのテレビで人気のゲーム番組から選んだ映像を編集した『Kiss the Girls: Make Them Cry』(1979年)もバーンバウムならではの実験的なインスタレーションと呼べるかもしれません。

一室での小規模な内容でありながら、メディアアートの基礎を築いたともいわれるバーンバウムの新旧の制作を追いかけることができました。


メディアアートのパイオニアが贈る映像の饗宴。プラダ 青山店にて『ダラ・バーンバウム』展が開催中!|Pen Online



会期中は無休です。8月28日まで開催されています。

『DARA BIRNBAUM ダラ・バーンバウム』 プラダ 青山店5階(@prada_japan
会期:2023年6月1日(木)〜8月28日(月)
休廊:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:港区南青山5-2-6
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩3分。
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『高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャー日本現代アートのDNAを探るー」展』 WHAT MUSEUM

WHAT MUSEUM
『高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャー日本現代アートのDNAを探るー」展』
2023/4/28〜8/27



日本屈指のアートコレクターで精神科医の高橋龍太郎が収集したコレクションを紹介する展覧会が、東京・天王洲のWHAT MUSEUMにて開かれています。


岩崎貴宏『リフレクション・モデル(金閣)』 2014年

それが『高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャー日本現代アートのDNAを探るー」展』で、会場には岡村桂三郎に鴻池朋子、また山口晃や横尾忠則といった33名の現代作家の作品、約40点が展示されていました。


華雪『木』 2021年

高橋龍太郎が本格的に現代美術を収集しはじめたのは1997年のことで、草間彌生や合田佐和子を出発点とすると、奈良美智や村上隆、そして名和晃平といった日本の現代美術家らの作品をコレクションしました。


町田久美『郵便配達夫』 1999〜2005年
 
その数は約3000点にも及んでいて、2008年以降は国内外の23の公立・私立美術館にて「ネオテニー・ジャパン高橋コレクション」といった展覧会にて広く公開されてきました。


岡村桂三郎『白象03-1』 2003年、『獅子08-1』 2008年 

今回は日本の歴史の中で築かれた文化や芸術、それに価値観を継承しつつ、独自の視点で再解釈して新たに表現している作家に焦点を当てていて、最初の空間では岡村桂三郎の板絵や杉本博司の写真、それに井上有一の作品などが暗がりの中で光に浮かび上がる光景を見ることができました。


鴻池朋子『無題』 2010年

また襖や岩絵具など日本の建築様式や素材に向き合いながら制作する作家も紹介されていて、髑髏をモチーフとした鴻池朋子の襖絵や、墨の線や岩絵具の質感を活かして若冲の雄鶏を彷彿させるようなイメージを描いた町田久美の絵画にも目を引かれました。


山口英紀『動脈』 2008年 

このほか、ビルの並ぶ都市風景を水墨にて精緻に描いた山口英紀や、九谷焼の赤絵の技術を用いなが幾何学模様を表した見附正康の作品なども見どころだったかもしれません。


見附正康『無題』 2022年

掛け軸を用い、三味線の調べとともにシュールな映像が展開する束芋のインスタレーションにも心を惹かれました。


熊條雅由 展示作品

なお1階のスペースでは同館で初めて公開制作が行われていて、1989年生まれの画家、熊條雅由の作品や画材、また制作プロセスなどを見ることもできました。


高橋龍太郎のコレクションから探る、日本の現代アートのDNA。WHAT MUSEUMにて展覧会が開催中!|Pen Online

一部を除き、撮影も可能です。8月27日まで開催されています。

『高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャー日本現代アートのDNAを探るー」展』 WHAT MUSEUM Space 1, 2F(@what_terrada
会期:2023年4月28日(金)〜8月27日(日)
休館:月曜日。祝日の場合、翌火曜休館。
時間:11:00~18:00
 *入館は閉館1時間前まで
料金:一般1500円、大・専門学生800円、高校生以下無料。
住所:品川区東品川2-6-10 寺⽥倉庫G号
交通:東京モノレール天王洲アイル駅徒歩5分。東京臨海高速鉄道りんかい線天王洲アイル駅B出口徒歩4分。
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『横尾忠則 銀座番外地』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes』
2023/5/15~6/30



ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて『横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes』が開かれています。

今回の展覧会で焦点を当てたのは作品完成以前の「デザイン表現のプロセス」で、会場にはラフスケッチ、アイデアノート、デッサン、また表現エレメントとしてのドローイングに原画、さらに版画やポスターを仕上げるための版下、色指定紙などが所狭しと並んでいました。



これらはいずれも横尾が今年、日本芸術院に選出された評価理由である「文学、演劇、音楽、映画、ファッション等、様々な分野に活動の場を拡げた43年前のデザイン」に由来していて、いわゆる完成品のポスターや書籍の展示はありませんでした。



一連の資料や作品は横尾忠則現代美術館のもとで約80箱に収納、整理されていたもので、収納状況を記録した約18000点の写真をチェックした上にて、約2500枚に出力されたコピーから250点の出展品が選ばれました。



一点一点にはキャプションもなく、展示室には作品や資料がひたすら並んでいて、横尾のインスピレーションの源泉に満ちた一種のカオスとも呼べる状況が築かれていました。



まるで宇宙を連想させるような暗がりの地下展示室の雰囲気も独特だったかもしれません。横尾の表現の原点や原郷ともいうべき作品や資料がまるできらめく星のように散りばめられていました。


横尾忠則の創造の源流に触れる旅へ。ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『横尾忠則 銀座番外地』展|Pen Online



撮影が可能です。6月30日まで開催されています。

『横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2023年5月15日(月)~6月30日(金)
休廊:日曜・祝日。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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太田記念美術館にて『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』が開かれています

3歳にて来日し、生涯を日本で送った画家、ポール・ジャクレー(1896〜1960年)は、ミクロネシアの島々や朝鮮、また中国などにたびたび滞在すると、同地の人々の暮らす様子を版画に表現しました。



そのジャクレーの版画を紹介するのが『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』で、画家のたどった軌跡と見どころについてWEBメディアのイロハニアートへ寄稿しました。

ポール・ジャクレーの新版画、華やかな色彩の世界への招待。@太田記念美術館 | イロハニアート

今回の展覧会の最大の特徴は、ジャクレーが手がけた全162点の新版画を前期と後期に分けてすべて紹介されることで、軽井沢町追分宿郷土館で開催された『軽井沢を愛したフランス人浮世絵師 ポール・ジャクレー全木版画展』(2021年)以来、首都圏では初めてのこととなります。

ジャクレーが最初の新版画を制作したのは38歳の時のことで、それから自らが彫師と摺師を指揮する私家版の手法にて独自の芸術性を追求しつつ、作品を世に送り出しました。



仕事に対して厳格であったジャクレーは、工房でも彫師や摺師のそばを離れることなく、版画制作の工程に目を光らせていて、使用する絵具や摺りの仕上がりにもこだわりを見せていました。

そして時に200回以上も摺りを重ねて作られた版画は、赤や水色、黄色や紫などの瑞々しい色彩を魅力としていて、衣服の細かな紋様なども実に精緻に象られていました。



私も早速初日に会場へ出向き、作品を目にしましたが、その色彩美に魅せられるとともに、顔のあごや細い指先などを表す滑らかでかつ艶やかな線にも大いに心を惹かれました。


改めて展示替えの情報です。会期中、前後期において作品がすべて入れ替わります。

『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』
前期:6月3日(土)〜6月28日(水)
後期:7月1日(土)〜7月26日(水)

なお会期中、2回目以降を観覧する場合は、半券の提示にて割引(200円引)となります。

7月26日まで開催されています。

『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』 太田記念美術館@ukiyoeota
会期:2023年6月3日(土)〜7月26日(水)
 *前期:6月3日(土)〜6月28日(水)、後期:7月1日(土)〜7月26日(水)
 *前期と後期で全点入れ替え
休館:月曜日、6月29日~6月30日(展示替えのため)。
時間:10:30~17:30(入館は17時まで)
料金:一般1000円、大・高生700円、中学生以下無料。
住所:渋谷区神宮前1-10-10
交通:東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩5分。
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『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 森美術館

森美術館
『森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 
2023/4/19〜9/24


ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト『グラフィック・エクスチェンジ』(2015年、部分)

学校で習う教科を入口として、現代アートの作品を紹介する展覧会が、森美術館にて開かれています。

それが『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』で、会場では54組のアーティストによる約150点の作品が公開されていました。


イー・イランの『ダンシング・クイーン』(2019年)

まず冒頭の「国語」では言葉や言語をテーマとした作品や、文学や詩の要素を持つ作品が展示されていて、さまざまな女性の生活を支えてきたポップソングの歌詞を織物にしたイー・イランの『ダンシング・クイーン』などを見ることができました。


アイ・ウェイウェイ(艾未未)『漢時代の壷を落とす』(1995/2009年)、『コカ・コーラの壷』(1997年)

これに続くのが今回の展示にて最もボリュームを占める「社会」で、美術史を主題としたアイ・ウェイウェイに森村泰昌や、戦争や災害をテーマとするディン・Q・レに畠山直哉などの作品に目を引かれました。


ヴァンディー・ラッタナ『爆弾の池』(2009年) 

ヴァンディー・ラッタナの『爆弾の池』とは、カンボジアの農地に点在する円形の凹みや湖を写真に収めたもので、いずれもベトナム戦争中に米軍の爆撃によって作られた爆弾クレーターでした。


ハラーイル・サルキシアン『処刑広場』(2008年)

またハラーイル・サルキシアンは『処刑広場』において、シリアで過去に公開処刑が行われた三つの街の広場を写していて、先の『爆弾の池』と同じく一見、平穏な景色に映りながらも、その内実を知るとまた違った印象が与えられました。


青山悟 作品展示風景

このほか「社会」では、工業用ミシンを用いた刺繍を制作し、労働のあり方を問い直す青山悟の作品や、愛知県の製陶産業の歴史と世界経済の関係を人間浄瑠璃にて語る田村友一郎の映像も見応えがあったかもしれません。


李禹煥(リ・ウファン)『関係項』(1968/2019年)、『対話』(2017年)

さらに「哲学」、「算数」、「理科」、「総合」と展示が続いていて、宮島達男に李禹煥、またマリオ・メルツに杉本博司、そして宮永愛子からヤン・ヘギュといったさまざまな作品を見ることができました。


杉本博司 作品展示風景

出品作品の半数以上は森美術館のコレクションにて占められていて、端的に同館のコレクション展としても充実していたのではないでしょうか。


現代アートで学ぶ、新しい世界。『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』が森美術館にて開催中!|Pen Online


ヤン・へギュ、作品展示風景

なお「音楽」と「体育」の上映作品は前期と後期で作品が入れ替わります。上映スケジュールなどは同館のWEBサイトにてご確認ください。


ヤコブ・キルケゴール『永遠の雲』(2023年)

会期中は無休です。9月24日まで開かれています。

『森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 森美術館@mori_art_museum
会期:2023年4月19日(水)〜9月24日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *火曜日は17時で閉館。ただし5月2日(火)、8月15日(火)は22時まで。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:[平日]一般2000(1800)円、高校・大学生1400(1300)円、4歳~中学生800(700)円、65歳以上1700(1500)円
[土・日・休日]一般2200(2000)円、高校・大学生1500(1400)円、4歳~中学生900(800)円、65歳以上1900(1700)円。
 *( )内はオンラインチケット料金。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
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2023年6月に見たい展覧会【ポール・ジャクレー/三沢厚彦/イギリス風景画と国木田独歩】

6月は真夏に向けて多くの展覧会がスタートします。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・『吹きガラス 妙なるかたち、技の妙』 サントリー美術館(4/22~6/25)
・『谷川俊太郎 絵本★百貨展』 PLAY! MUSEUM(4/12~7/9)
・『発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間』 府中市美術館(5/20~7/9)
・『霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展』(6/3~7/9)
・『小林古径 生誕140周年記念 小林古径と速水御舟—画壇を揺るがした二人の天才—』 山種美術館(5/20~7/17)
・『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』 上野の森美術館(5/31~7/22)
・「本の芸術家・武井武雄展」神奈川近代文学館(6/3〜7/23)
・『木島櫻谷 —山水夢中』 泉屋博古館東京(6/3~7/23)
・『尾形乾山生誕360年 琳派のやきもの —響きあう陶画の美』 出光美術館(6/10~7/23)
・『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』 太田記念美術館(6/3~7/26)
・『田沼武能 人間讃歌』 東京都写真美術館(6/2~7/30)
・『2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』板橋区立美術館(6/24〜8/13)
・『日本のタイル100年—美と用のあゆみ』 江戸東京たてもの園(3/11~8/20)
・『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』 アーティゾン美術館(6/3~8/20)
・『蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる』 国立新美術館(6/29~8/21)
・『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)
・『北斎 大いなる山岳』 すみだ北斎美術館(6/20~8/27)
・『古代メキシコ —マヤ、アステカ、テオティワカン』 東京国立博物館(6/16~9/3)
・『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』 東京都庭園美術館(6/24〜9/3)
・『聖像・仏像・彫像 柳宗悦が見た「彫刻」』 日本民藝館(6/29〜9/3)
・『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』 千葉市美術館(6/10~9/10)
・『ガウディとサグラダ・ファミリア展』 東京国立近代美術館(6/13~9/10)
・『生誕100年 山下清展ー百年目の大回想』 SOMPO美術館(6/24〜9/10)
・『本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語』 東京都写真美術館(6/16~9/24)

ギャラリー

・『エレナ・ノックス あざらし話』 ANOMALY(6/3〜6/24)
・『第25回亀倉雄策賞受賞記念 岡崎智弘 個展「STUDY」』 クリエイションギャラリーG8(6/6~6/28)
・『横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(5/15~6/30)
・『神谷徹「息/瞼の裏/なぞる」』 SCAI THE BATHHOUSE(5/9〜7/8)
・『坪本 知恵 間の形 – undetermined forms –』 YUKIKOMIZUTANI(6/16〜7/8)
・『ケニー・シャーフ I’m Baaack』 NANZUKA UNDERGROUND(6/10〜7/9)
・『田原桂一展「存在」』 √K Contemporary(6/17〜7/15)
・『近藤亜樹 わたしはあなたに会いたかった』 シュウゴアーツ(6/10〜7/22)
・『資生堂のクリエイティブワーク Series.1 「あいだ に あるもの ー1970年代の資生堂雑誌広告からー』資生堂ギャラリー(6/6~7/30)
・『ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING ⽣きるための⼒学』 TOTOギャラリー・間(5/18~8/6)
・『ダラ・バーンバウム個展』 プラダ青山(6/1〜8/28)

まずは新版画の展覧会です。太田記念美術館にて・『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』が開かれます。



『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』@太田記念美術館(6/3~7/26)

3歳の時に来日し、生涯を日本で暮らしたポール・ジャクレーは、幼い頃から浮世絵に関心を抱くと、30代前半にして南洋の島々やアジアに滞在し、同地に暮らす人々のすがたを新版画に表しました。


そのジャクレーの描いた162点のすべての新版画を紹介するのが今回の展覧会で、国内にて全点公開されるのは、軽井沢町追分宿郷土館で開催された『軽井沢を愛したフランス人浮世絵師 ポール・ジャクレー全木版画展』(2021年)以来、首都圏では初めてとなります。

ジャクレーというと2003年に横浜美術館でも回顧展(*)が開かれましたが、久しぶりに色彩豊かな木版画を楽しめる機会となりそうです。*『ポール・ジャクレー展 虹色の夢をつむいだフランス人浮世絵師』(会期:2003年4月19日〜6月15日)

続いては動物の彫刻で人気の三沢厚彦です。千葉市美術館にて『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』が開催されます。



『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』@千葉市美術館(6/10~9/10)

これは1990年代の初期未発表作から、代表作の「ANIMALS」シリーズ、そしてキメラといった最新作まで200点を超える三沢の彫刻や絵画を紹介するもので、千葉県内としては初めての個展となります。


またさや堂ホールを用いた展示や美術館のコレクションとのコラボといった、千葉オリジナルの内容にも注目が集まるかもしれません。

最後は日本におけるイギリス風景画の受容をたどる展覧会です。茅ヶ崎市美術館にて『イギリス風景画と国木田独歩』が開かれます。



『イギリス風景画と国木田独歩』@茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)


この展覧会は独歩の代表作『武蔵野』などに見られる自然観を起点に、コンスタブルやターナー、ジョン・マー ティンにサミュエル・パーマーらといった近代イギリス風景画を紹介するもので、主に郡山市立美術館と府中市美術館の所蔵の作品が展示されます。

一部内容が重なりますが、イロハニアートにも今月のおすすめの展覧会を寄稿しました。

【2023年6月のおすすめ展覧会5選】恐竜図鑑から抽象絵画、それに三沢厚彦や古代メキシコまで | イロハニアート

それではどうぞよろしくお願いします。
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