『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界』 横須賀美術館

横須賀美術館
『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界』
2023/2/11~4/9



横須賀美術館にて開催中の『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界』を見て来ました。

1915年に生まれた土方重巳は、戦前から戦後を通してグラフィックデザイナーとして活動すると、映画のポスターから子ども向けのキャラクターデザイン、また絵本や企業広告など幅広い分野に業績を残しました。

まずはじめに並ぶのが土方が戦前から戦中に手がけた映画のポスターなどで、『白鳥の湖』や『ハムレット』といった舞台公演のポスターも目立っていました。東宝映画会社に入社した土方は、同社の映画のポスターから広告、チラシのデザインを担っていて、戦後に退社した後は他社の演劇やバレエのグラフィックデザインも制作しました。

1949年、劇作家の飯沢匡の勧めによって子ども向けの仕事を手がけるようになると、童画の制作からラジオ、テレビ番組の仕事も担い、とりわけNHKテレビ『おかあさんといっしょ』の人形劇「ブーフーウー」をはじめ、「ダットくん」や「とんでけブッチー」人形劇のデザインで人気を集めました。

さらに構成と文章を飯沢、デザインを土方、また人形制作を川本喜八郎が担った『人形絵本』では、ヨーロッパやアメリカを中心とする世界78ヶ国にて80種類の作品が出版されるなど海外でも評価を得ました。

こうした子ども向けの仕事と並び、土方が旺盛に制作していたのが企業広告やテレビCMの分野で、朝日麦酒のキャラクター人形や花王や大丸、ヤマハといった企業のためのデザインを手がけました。



その企業向けの仕事で今もよく知られるのが、1959年に佐藤製薬の店頭ディスプレイ人形として発表されたサトちゃんで、展示では「サトちゃんワールド」と題し、多くのサトちゃんをはじめ、チラシやデザインの原画が紹介されていました。



これほど知名度のある製薬メーカーのキャラクターも他に存在しないかもしれません。なお「サトちゃんワールド」については撮影も可能でした。


土方重巳の世界展が開催中。あの「サトちゃん」の生みの親! | イロハニアート



4月9日まで開催されています。

『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界』 横須賀美術館@yokosuka_moa
会期:2023年2月11日(土)~4月9日(日)
休館:3月6日(月)、4月3日(月)。
料金:一般1000(800)円、大学・高校生・65歳以上800(640)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *市内在住または在学の高校生は無料。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで
住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
交通:京急線馬堀海岸駅1番乗り場より京急バス観音崎行(須24、堀24)にて「観音崎京急ホテル・横須賀美術館前」下車、徒歩約2分。
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『エゴン・シーレ展』 東京都美術館

東京都美術館
『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』
1/26~4/9



東京都美術館で開催中の『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』を見てきました。

1890年に生まれ、世紀末を経たウィーンにて活動したエゴン・シーレは、人間の内面や性を描き出すと、28歳という短い生涯を駆け抜けました。

そのシーレの世界有数のコレクションで知られるウィーンのレオポルド美術館の所蔵作品を中心としたのが『エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』で、シーレの油彩画とドローイング約50点に加え、クリムトといった同時代作家たちを含む約120点の作品が公開されていました。

まず冒頭ではシーレが16歳の時に描いたドローイングや、母のすがたを捉えた肖像画などが展示されていて、16歳にてウィーンの美術アカデミーに合格した早熟ともいえる画才を見ることができました。それに続くのがウィーン分離派を設立した頃の作品で、平面的な構図や金や銀を用いた技法に、シーレの才能を見抜いたクリムトの影響が伺えました。

今回の展覧会ではシーレとともに、モーザーとゲルストル、ココシュカらの作品が一定数まとめて展示されていて、モーザーの色彩鮮やかな風景画や、表現主義の先駆者とされるゲルストルの肖像画に魅せられました。



シーレで特に目立っていたのは自画像をはじめとする肖像の作品で、『ほおずきの実のある自画像』における攻撃的とも怯えているような眼差しからは、画家の自信と不安といった多感な感性が滲み出ているかのようでした。

また女性像や裸体の作品も魅惑的で、とりわけ鉛筆やチョーク、グワッシュを用いて描かれた裸体のドローイングからは、強い官能性とともに、日本の浮世絵にも影響を受けたという独自の空間表現を見て取れました。


エゴン・シーレ『吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)」 1912年 レオポルド美術館

人物画の印象の強いシーレの風景画も面白いかもしれません。シーレは1910年に南ボヘミアのクルマウへ短期間移り住むと、同地の古風な街並みなどを繰り返し描きました。


エゴン・シーレ『モルダウ河畔のクルマウ』 1914年 レオポルド美術館

またノイレングバッハ、トリエステ、トラウン湖、ケルンテン地方などを訪ねると、自然や田舎の風景を表した作品を制作しました。


エゴン・シーレ『小さな街 Ⅲ』 1913年 レオポルド美術館

ただシーレは風景を自らの心象を投影するように風景を再構成したり、平面性や装飾性を強調するなどしていて、単に写生して描いていたわけではありませんでした。


エゴン・シーレ『ドナウ河畔の街シュタイン II』 1913年 レオポルド美術館

そのうちの『ドナウ河畔の街シュタイン II』では、シュタインの特徴的な建物を選び、自ら好きなように再編成して描いて、いわばコラージュのような風景を絵画平面へと築いていました。


エゴン・シーレ『荷造り部屋』 1917年 レオポルド美術館

28歳の短い生涯を駆け抜ける。世紀末のウィーンが生んだ異才、エゴン・シーレの画業|Pen Online

シーレの画業や足跡を中心としながら、ウィーン世紀末の芸術を俯瞰できる好企画ではないでしょうか。作品点数も多く、かなり見応えがありました。


オンラインでの日時予約制です。チケットカウンターでも直近の時間枠による当日券が発売されますが、予定枚数が終了している場合があります。



シーレの風景画の展示コーナーのみ撮影が可能です。4月9日まで開催されています。おすすめします。

『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』(@schiele2023jp) 東京都美術館@tobikan_jp
会期:2023年1月26日(木)~4月9日(日)
時間:9:30~17:30
 *毎週金曜日は20時まで開館
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。
料金:一般2200円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1500円、高校生以下無料。
 *オンラインでの日時指定予約制。
 *平日限定ペア割(枚数限定)3600円。
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
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『仲條正義名作展』 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
『仲條正義名作展』
2023/2/16~3/30



クリエイションギャラリーG8で開催中の『仲條正義名作展』を見てきました。

1933年に生まれた仲條正義は、資生堂企業文化誌『花椿』のアートディレクションをはじめ、松屋銀座、東京都現代美術館などのCI計画などを手がけると、日本を代表するグラフィックデザイナーのひとりとして活動しました。



その仲條の業績を紹介するのが『仲條正義名作展』で、会場にはポスター、ロゴ、エディトリアル、パッケージなどが公開されていました。



まず目を引くのが空間を彩るかのように並ぶポスター類で、とりわけ『1994現代ポスター競作展 21 VS. 21』(1994年)や『仲條正義展 NAKAJOISH』(1988年)など過去の展覧会に出展された作品が目立っていました。



また仲條のデザインで有名な資生堂に関する展示も充実していて、『花椿』をはじめ、『資生堂パーラー』のパッケージなども多様に展示されていました。



美術館での仕事として重要なのは、東京都現代美術館、および細見美術館のCI計画などで、両美術館のロゴから細見美術館の琳派に関するポスターも出品されていました。



こうした一連の作品と並んで興味深いのが、過去の出版物より引用された仲條の文章で、「文字について」や「デザインとは」などからは仲條のデザインに対するスタンスを知れました。



「傑作は偶然だ。」や「デザインの根本は矛盾である。矛盾を否定しない。」といった仲條語録も興味深いのではないでしょうか。2021年10月、88歳で亡くなった仲條の幅広い創作世界を作品や言葉を通して楽しむことができました。

88歳の生涯を現役のデザイナーとして貫く。常に新たな表現へと挑み続けた仲條正義の軌跡|Pen Online



撮影も可能です。3月30日まで開催されています。

『仲條正義名作展』 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2023年2月16日(木)~3月30日(木)
休館:日曜、祝日。
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
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サントリー美術館にて『没後190年 木米』が開かれています

江戸時代後期の京都の文人、木米は、作陶に打ち込みつつ、山水画も手がけ、多くの文人らと交流するなどして活動しました。



その木米の業績と足跡を紹介する『没後190年 木米』の見どころについて、WEBメディアのイロハニアートに寄稿しました。

木米が切り開いた新たな美の世界とは? | イロハニアート

まず展示では木米のやきものを紹介していて、中国や朝鮮、それに日本の古陶磁に着想を得ながら、かたちや文様の一部を抜き出しては再構成するユニークでかつ魅惑的な造形を見ることができました。



こうした木米の作陶のうち、特に才能を発揮したのが、当時流行していたという煎茶の器で、釜の湯を沸かすための風炉では、茶を主題とした中国の詩を側面から背面に彫り、あたかも版本のように見せていました。まさに書物好きの木米ならではの作品といえるかもしれません。

木米が山水画を手がけたのは、画家の田能村竹田らと交流した50歳代の後半のことでした。その多くは為書、つまり誰かのために描かれた私信のようなもので、一連の作品からは木米の幅広い文人ネットワークを知ることができました。

「これまでに集めた各地の陶土をこね合わせ、その中に私の亡骸を入れて窯で焼き、山中に埋めて欲しい。長い年月の後、私を理解してくれる者が、それを掘り起こしてくれるのを待つ。」とした木米の大胆な遺言も興味深いかもしれません。


現代における木米の再評価の1つのきっかけになり得るような回顧展だったのではないでしょうか。作品は質量ともに大変充実していました。

会期中、書画を中心に展示替えがあります。詳しくは出品リストをご覧ください。

『没後190年 木米』出品作品リスト(PDF)

巡回はありません。3月26日まで開催されています。

『没後190年 木米』 サントリー美術館@sun_SMA
会期:2023年2月8日(水)~3月26日(日)
休館:火曜日。*3月21日は18時まで開館
時間:10:00~18:00(金・土は20時まで)
 *2月22日(水)、3月20日(月)は20時まで開館
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分
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『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』 PLAY! MUSEUM

PLAY! MUSEUM
『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』
2023/1/21〜2023/4/2



PLAY! MUSEUMで開催中の『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』を見てきました。

2014年に当時ピクサーで同僚だった堤大介とロバート・コンドウが立ち上げたアニメーションスタジオ「トンコハウス」は、デビュー作『ダム・キーパー』がアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされるなどして注目を浴びました。

その堤が監督を務め、2022年秋にNetflixにて公開されたのが長編アニメーション『ONI ~ 神々山のおなり』 で、日本の鬼を題材に、森に暮らす妖怪や神々たちが心に潜む恐れと向き合いながら成長する物語が描かれました。



まず会場で紹介されるのが、10歳の女の子で主人公のおなりと父とされるなりどんで、人形やアニメーションの映像を通して『ONI』の世界観を知ることができました。



一連の映像にて目を引くのが、トンコハウスによる美しい自然描写と光と陰影の映像表現で、空調によってゆらゆらと揺れる手漉きの和紙へとアニメを投影した展示では、まるで作品の中の風や光の移ろいまでが再現されているかのようでした。



今回の展覧会は映像作家の菱川勢一とブルーシープが共同で手がけたもので、手づくりの和紙提灯やお面、それに凧や祭りやぐらなど日本の伝統的なものと『ONI』の映像美とが一体となって、異空間へトリップできるように作られていました。



鬼の村とおなりが住む神々山をつなぐ「戻り橋」を進む広がるのが「迷いの森」で、その先には物語のハイライトに登場するやぐらが設置され、作品のさまざまな場面が映像にて紹介されていました。



またここでは森の中の精霊であるモリノコに関する演出も行われていて、実際に太鼓を叩いて光を生み出すこともできました。



こうした空間演出のほかに充実していたのは、『ONI』の制作プロセスを紹介したメイキングの展示でした。



そこにはパイロット版のためにつくられたコマ撮り用の人形やスタジオセットから、キャラクターを描いたスケッチ、またカラースクリプトやライティングといったトンコハウスの映像づくりがパネルなどにて紹介されていて、どのように『ONI』が着想され、映像化していったのかをたどることができました。



会場の最後には特設シアターが設けられていて、『ONI』をはじめとしたトンコハウスの4つアニメーション作品が紹介されていました。なお『ONI』は1日数回時間指定で、会期中期間を区切って全4話が上映されます。スケジュールは公式サイトをご確認ください。



トンコハウス・堤大介の「ONI展」の見どころレポート! | イロハニアート

事前に『ONI』の内容を知らずとも楽しめるように工夫されていますが、先にアニメーションを鑑賞した上で展示を見た方がより面白いかもしれません。みんなで「どんつこつこつこ わっしょい!わっしょい!」と歌うラストの感動的なシーンが蘇りました。



会場内はシアターを除いて撮影も可能です。


4月2日まで開催されています。

『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』 PLAY! MUSEUM@PLAY_2020
会期:2023年1月21日(土)〜2023年4月2日(日)
休館:会期中無休。ただし3月5日(日)を除く
料金:一般1800円、大学生1200円、高校生1000円、中・小学生600円、未就学児無料。
 *当日券で入場可。ただし休日および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券(オンラインチケット)を販売。
時間:10:00~17:00。
 *土日祝は18:00まで
 *入館は閉館の30分前まで。
住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 2F
交通:JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅北口より徒歩約10分
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『動物会議 緊急大集合!』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『動物会議 緊急大集合!』
2023/2/9~3/25



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『動物会議 緊急大集合!』を見てきました。

1949年、ドイツの作家のエーリッヒ・ケストナーは、絵本『動物会議』において、「子どもたちのために、戦争のない世界をつくろう。」と、動物たちを主人公にして戦争を繰り返す人間を批判する物語を描きました。



この絵本『動物会議』にインスピレーションを受けて企画されたのが『動物会議 緊急大集合!』で、DNPグラフィックデザイン・アーカイブの中から、ケストナーの「人間と動物との共存と平和」という意思を体現するようなポスター約120点が公開されていました。



それらはいずれも日本のグラフィックデザイナー、アートディレクター、アーティストらが、動物を主役、もしくは脇役にして、生命、環境、戦争、文化、社会に対する問題意識や危機感を表したもので、写真、絵画、インスタレーション、またグラフィックなどさまざまな表現が用いられていました。



亀倉雄策から田中一光、それに佐藤晃一や横尾忠則、また監修を担った永井一正といった錚々たるメンバーによる名作ポスターからしても見応え十分といえるかもしれません。またそれぞれの展示室において動物をモチーフとしたポスターが向きあうなど、あたかも会議室をイメージさせるような空間構成も印象に残りました。



なお2階のライブラリーのスペースではケストナーの「動物会議」を実際に閲覧できるとともに、海外アーティストらによる動物をモチーフとしたポスターも展示されていました。



2022年5月から7月にかけ、ローマ日本文化会館にて同タイトルの企画展が開かれると、多くの来場者を数えるなどして話題を集めました。その後、規模を縮小し、パリ日本文化会館へと巡回していて、今回ギンザ・グラフィック・ギャラリーでは、ローマでの展覧会を再構成するかたちにて展示を行いました。



各地で戦争や紛争が続く昨今の世界の状況を鑑みながら、一連のポスターを追っていくと、70年前のケストナーのメッセージが今もなお重要な意味を持ち得ていることを強く感じてなりませんでした。


3月25日まで開催されています。

『動物会議 緊急大集合!』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2023年2月9日(木)~3月25日(土)
休廊:日曜・祝日。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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画家、佐伯祐三の回顧展が東京ステーションギャラリーにて開かれています

大正から昭和にかけて活動し、わずか30歳の若さで世を去った佐伯祐三は、主に大阪、東京、パリを拠点とすると、それぞれの街の風景を熱量をもって描き続けました。



その佐伯の東京での18年ぶりの回顧展が『佐伯祐三 自画像としての風景』で、展示の内容についてイロハニアートに寄稿しました。

佐伯祐三の歩みを回顧展とともにたどる|『佐伯祐三 自画像としての風景』 | イロハニアート

今回の回顧展では最初に佐伯の残した自画像が展示されていて、とりわけ同じ年に描きながらも大きく画風を変えた『パレットをもつ自画像』と『立てる自画像』に目を引かれました。

佐伯は1924年1月よりパリへと渡るとフォーヴィスム運動を率いた画家のヴラマンクと面会していて、裸婦を描いた作品を見せるも「このアカデミック!」と一蹴されたことから、独自の表現を模索しはじめました。

それに続くのが佐伯が国内で描いた風景画などで、特に2度の渡欧期に挟まれた一時帰国時代と呼ばれる時期の作品をまとめて展示していました。

佐伯は一時帰国時代において、アトリエに近かった東京の「下落合風景」と大阪の「滞船」の2つの風景に強い関心を抱いていて、それぞれ電柱や電線、また帆柱やロープといった中空に伸びる線を描きこみました。



ハイライトを飾るのは佐伯がパリで描いた風景画で、とりわけ2度目における石造りの壁や石畳が連なる街並みを猛烈な勢いで描いた作品には大変な迫力が感じられました。

最晩年の佐伯が新たに見出したのが、パリから東へ40キロほどの位置にある小さな村、ヴィリエ=シュル=モランで、パリとは異なった素朴な田舎の佇まいを力強く太い線と構築的な構図によって捉えました。



パリの石造りの建物や壁を描いた絵画を、佐伯の生きた時代に建てられた当時のれんが壁の残る展示室で鑑賞できるのも嬉しいところかもしれません。代表作を含む約140点もの作品が並んでいて、質量ともに不足はありませんでした。

4月2日まで開催されています。なお東京での展示を終えると大阪中之島美術館へ巡回します。*会期:2023年4月15日(土)〜6月25日(日)

*冒頭の展示室風景の写真は、プレス内覧会の際に主催者の許可を得て撮影しました。

『佐伯祐三 自画像としての風景』 東京ステーションギャラリー
会期:2023年1月21日(土) 〜4月2日(日)
休館:月曜日(3月27日は開館)。
料金:一般1400円、高校・大学生1200円、中学生以下無料。
 *オンラインでの日時指定券を販売。
時間:10:00~18:00。
 *金曜日は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
住所:千代田区丸の内1-9-1
交通:JR線東京駅丸の内北口改札前。(東京駅丸の内駅舎内)
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『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』 森美術館

森美術館
『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』
2022/12/1~2023/3/26

森美術館で開催中の『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』を見てきました。


呉夏枝(オ・ハヂ) 展示風景

3年に1度、森美術館が日本の現代アートシーンを総覧する『六本木クロッシング』展も、今年度で第7回を数えるに至りました。

今回のサブタイトルは「往来オーライ!」で、コロナ禍で途絶えてしまった人々の往来を再び取り戻したいという願いを込め、1940年代から1990年代生まれの日本のアーティスト22組の作品約120点が展示されていました。


O JUN 展示風景

まずトップバッターをつとめたのは画家のO JUNで、肖像画や風景画とともにビル群の模型など複数の作品からなる「マチトエノムレ」と題するインスタレーションを公開していました。


青木千絵 展示風景

このO JUNと対になるスペースで展示を行っていたのが彫刻を手がける青木千絵で、いずれも人体の一部と思しき造形に漆を施した立体作品を見せていました。接地しているかと思いきや、吊られてわずかに宙に浮いていたりするなど、作品の見せ方も面白く感じられました。


横山奈美 展示風景

横山奈美のネオンサインを描く絵画も印象深かったかもしれません。これは身近な人物に「History」や「Love」の言葉を手書きしてもらい、それを元にしたネオンサインを発注し、さらにネオンを写実的に描いたもので、まるでネオンサインの光がキャンバスから「love」のメッセージとともに空間へ滲み出ているように思えました。


市原えつこ 展示風景

市原えつこの『未来SUSHI』も目立っていたのではないでしょうか。ロボットのペッパーくんの周りに配置されたコンベアの上には「下級国民用寿司」といったディストピアを思わせるネタの寿司が回っていて、未来の寿司の消費のあり方について考えさせれるものがありました。


石内都 展示風景

写真家の石内都は私的に親しみのある場所や身近なモチーフを写した作品を展示していて、慣れ親しんだという神奈川県の金沢八景やプリントを行った暗室、また自らの身体を捉えた写真を見ることができました。スケールやモチーフの異なる写真が断片的に連なるようすを目にしていると、どこか一編の詩が紡がれているような味わいも感じられました。


SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD 展示風景

「風景にノイズを起こす」をテーマに公共空間を舞台としたプロジェクトを手がけるSIDE COREと、匿名のアーティストにより結成されたEVERYDAY HOLIDAY SQUADによるインスタレーションも迫力がありました。


SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD 展示風景

ここではいずれも都市の風景から着想を得た夜間工事用の照明機材が用いていて、福島県より発信されるという時計の標準電波と同期する赤い工事現場のライトが点滅を繰り返していました。


青木野枝 展示風景

鉄を素材にリング状をオブジェを手がける青木野枝の作品も見応えがあったかもしれません。鉄本来の持つ重厚感を見せながらも、水泡を想起させるような浮遊感も同時に表されていて、独特の魅力をたたえていました。


3月26日まで開催されています。

『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』 森美術館@mori_art_museum
会期:2022年12月1日(木)~2023年3月26日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *火曜日は17時で閉館。
 *12月6日(火)は16時、1月3日(火)と3月21日(火・祝)は22時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:[平日]一般1800(1600)円、高校・大学生1200(1100)円、4歳~中学生600(500)円、65歳以上1500(1300)円
[土・日・休日]一般2000(1800)円、高校・大学生1300(1200)円、4歳~中学生700(600)円、65歳以上1700(1500)円。
 *( )内はオンラインチケット料金。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
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『ある少女の哲学 安珠 写真展』 シャネル・ネクサス・ホール

シャネル・ネクサス・ホール
『ある少女の哲学 安珠 写真展』
2023/1/18~2/12



シャネル・ネクサス・ホールで開催中の『ある少女の哲学 安珠 写真展』を見てきました。

東京に生まれ、パリコレに出演するなど国際的なモデルとして活躍した安珠は、帰国後に写真家に転身すると、文章を織り交ぜた物語性のある写真を手がけるなどして活動してきました。



その安珠の最新作約50点と映像、また過去の作品を交えて構成したのが『ある少女の哲学 安珠 写真展』で、いくつかの児童文学を素材に、少女が真理を求めて旅する無限の物語が紡がれていました。



「ある少女が大きなクローゼットの扉を開けると郷愁を誘う楠の葉の香り」などというテキストに連なるのが、「不思議の国のアリス」や「青い鳥」といった童話をモチーフとした世界による写真で、一連の作品を追っていると、あたかも少女と一緒に夢や幻の世界を旅しているような気持ちにさせられました。



カラーとモノクロームを交えた写真は、耽美的でかつ幻想的な雰囲気に包まれていて、「不思議の国のアリス」を体現するようなシュールな世界観にも心を引かれました。



ドイツの作家、エーリヒ・ケストナーが1949年に出版した絵本、「動物会議」を引用した作品も印象深いのではないでしょうか。



ケストナーは同作にて、かわいい動物たちを主人公にしつつも、戦争の愚行を繰り返す人間を痛烈に批判しましたが、絵本が世に送られてから約70年経った今もなお戦争は繰り返され、多くの子供たちが困難ない状況に置かれています。



「動物会議」の動物たちのように、会議へと招かれ、国境もない、恐怖から解放された世界を目指そうとする少女たちのすがたが思い浮かびました。



間もなく会期末です。2月12日まで開催されています。

『ある少女の哲学 安珠 写真展』 シャネル・ネクサス・ホール
会期:2023年1月18日(水)~2月12日(日)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:11:00~19:00。 
 *最終入場は18:30まで。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
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「第16回 shiseido art egg 岡ともみ展 サカサゴト』 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第16回 shiseido art egg 岡ともみ展 サカサゴト』
2023/1/24~2/26



資生堂ギャラリーで開催中の「第16回 shiseido art egg 岡ともみ展 サカサゴト』を見てきました。

2006年にスタートした新進アーティストを紹介する公募プログラム「shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)」も、今年で16回目を迎えるに至りました。

今回のアートエッグに入選したのは岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬の3名で、1月より5月にかけてぞれぞれ約1ヶ月間、個展の形式にて作品が発表されます。

その第1弾となるのが1992年生まれの岡ともみで、死者が出た際に日常の様々な動作を逆に行う「サカサゴト」に着目したインスタレーションを公開していました。



「電話をお取りください。」と書かれた古びた黒電話を取り、階段を降りて展示室へと進むと目に飛び込んでくるのが、11本の林立する柱に柱時計が設置されたインスタレーションでした。



いずれの時計も盤面は反転し、針も逆回転していて、下部には風車が回る光景や一本の花が添えられる様子、はたまた屏風絵が逆さに置かれるすがたなどが映像に映されていました。



これらは「サカサゴト」の風習を表したもので、例えば逆さに置かれた屏風絵では、故人の枕元に屏風を逆さに置く仏教の死後の儀式を意味していました。



一連の柱時計の作品に加え、雨の降る中に紫陽花の咲く光景を映した『青い紫陽花』も魅惑的だったかもしれません。これは作家の祖父が亡くなった際、棺に青い紫陽花を手向けたところ、遺骨が薄青に染まったことに着想を得たもので、作家の祖父の死と弔いの象徴として示されていました。


現代において「サカサゴト」の風習の多くが消えていこうとする中、形骸化する葬送のあり方を問い直す展示だったのではないでしょうか。私自身も最近、近しい人を亡くしただけに、どのように人の死と向かい、そして見送るのかについて改めて考えさせられるものがありました。



2月26日まで開催されています。

「第16回 shiseido art egg 岡ともみ展 サカサゴト』 資生堂ギャラリー@ShiseidoGallery
会期:2023年1月24日(火)~2月26日(日) 
休廊:月曜日。*祝日が月曜にあたる場合も休館
料金:無料。
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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『山下麻衣+小林直人 −もし太陽に名前がなかったら−』 千葉県立美術館

千葉県立美術館
『山下麻衣+小林直人 −もし太陽に名前がなかったら−』
2023/1/25~3/21



千葉県立美術館で開催中の『山下麻衣+小林直人 −もし太陽に名前がなかったら−』を見てきました。

千葉県出身のアート・ユニットの山下麻衣+小林直人は、映像やインスタレーションなどを制作し、国内外にて個展を開いてきたほか、芸術祭に参加するなどして活動してきました。


『Artist’s Notebook』 2014年〜

その山下と小林の国内では過去最大規模の個展が『山下麻衣+小林直人 −もし太陽に名前がなかったら−』で、初期作から近作に至るビデオ、インスタレーション、絵画など57点の作品が公開されていました。



まず目を引くのはガーゼマスクによるスクリーンに映された『NC_045512』で、リゾート地を思わせる海辺の景色を背景に小林がひたすらアルファベットを書き連ねていく様子が映されていました。


『NC_045512』 2023年

その文字列とは新型コロナの最初に検出されたウイルスのゲノム情報の塩基配列で、いずれも山下が読み上げながら小林に文字列の情報を提供していました。データにして29.9キロバイトながらも、29000以上もの文字に表されていて、すべて書くまでに約13時間もかかるということにも驚かされました。


『世界はどうしてこんなに美しいんだ』 2019年

自転車のペダルを漕ぐことで表現を行ったのが『世界はどうしてこんなに美しいんだ』などの3点の映像で、表題の作品では瀬戸内の夕陽と美しい風景を背景に疾走する自転車を長回しで捉えていました、



いずれの映像も車輪にLEDホイールライトが付けられていて、残像効果によって風景にメッセージを添えるように言葉が浮き上がっていました。

なお同作においてのメッセージは、ヴォクトール・フランクルによるユダヤ人強制収容所の記録『夜の霧』から、明日の生もわからない囚人が夕焼けを見た瞬間に口にした言葉を引用していました。



千葉の土地を舞台にしたのが『大地から作った1本のスプーン』と題したインスタレーションで、山下と小林が九十九里浜の飯岡海岸にて砂鉄を集め、そこから鉄を抽出して1本のスプーンを作る様子が映されていました。


『大地から作った1本のスプーン』 2009年

磁石を用いて砂鉄を集め、スプーンを作り出していく行為は、まさに「無から何かを生み出すこと」を体現していて、小さなスプーンには途方もない労力の痕跡が示されているかのようでした。


『1000WAVES』 2007年

ドイツのバルト海に面した海岸にて、打ち寄せる波を1000まで数えた映像『1000WAVES』も印象に深いかもしれません。そもそもどの波を1にするかも曖昧でありつつ、数えること自体が無意味に感じられながら、しばらく映像を追っているといつしか山下と小林のように波を数えている自分に気づきました。

山下と小林が自然に向き合い、人との関係を問い直しつつ、ひたむきに表現していくすがたそのものも面白いのではないでしょうか。自然や社会の様々な現象について、自らの行為を媒介として捉え直そうとするふたりの制作のスタンスを伺い知ることができました。


3月21日まで開催されています。

『山下麻衣+小林直人 −もし太陽に名前がなかったら−』 千葉県立美術館@chiba_pref_muse
会期:2023年1月25日(水)~3月21日(火・祝)
休館:月曜日。2月28日(火)
時間:9:00~16:30。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300(240)円、高校・大学生150(120)円、中学生以下、65歳以上無料。
 *( )内は20名以上の団体料金
 *第4期コレクション展 「名品4-旧制千葉中学から広がる堀江正章の系譜-」との共通券
住所:千葉市中央区中央港1-10-1
交通:JR線・千葉都市モノレール千葉みなと駅より徒歩約10分。
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日本民藝館にて『生誕100年 柚木沙弥郎展』が開かれています

1922年に生まれた柚木沙弥郎は、20代半ばにして染色の道に進むと、染色を中心にガラス絵、版画、肉筆、絵本などを制作し続け、高く評価されてきました。



その柚木の生誕100年を期して開かれているのが『生誕100年 柚木沙弥郎展』で、展示の見どころについてPenオンラインに寄稿しました。

柚木沙弥郎の染色と民藝のコラボレーションが実現!日本民藝館にて展覧会が開催中|Pen Online

今回は国内屈指の130点を超える柚木コレクションより、初作品から近作に至る染色が公開されていて、本館正面の大階段に掲げられた注染幾何文布や型染布など、歴史ある建物を鮮やかに彩っていました。

柚木は1947年、染色の道に進むために日本民藝館の創設者である柳宗悦を訪ねると、芹沢銈介を紹介され、職人のもとで勉強するように勧められました。そして静岡県由比町にある正雪紺屋に住み込んで、染色の基礎を学んでいきました。いわば柚木にとって日本民藝館とは創作の原点とも呼べるかもしれません。

ハイライトは大展示室にて行われている「古作との併陳」で、柚木の染色とともに同館の所蔵する工芸品や土偶といったプリミティブな造形品があわせて並んでいました。幾何文布とともに統一新羅の犬型土偶が展示されていたりするなど、時代や地域を超えた作品同士の邂逅も面白いのではないでしょうか。


私が出向いた日はちょうど西館の公開日だったこともあり、会場内はかなり賑わっていました。日本民藝館だからこそ実現した柚木の染色と民藝、さらには建物のコラボに多くの人々が魅了されるのかもしれません。



大展示室のガラスケースの展示のみ撮影が可能です。(本エントリの写真も撮影可能エリアで撮影しました。)

4月2日まで開催中されています。

『生誕100年 柚木沙弥郎展』 日本民藝館
会期:2023年1月13日(金)〜4月2日(日)
休館:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
時間:10:00~17:00。 *入館は16時半まで
料金:一般1200円、大学・高校生700円、中学・小学生200円。
住所:目黒区駒場4-3-33
交通:京王井の頭線駒場東大前駅西口から徒歩7分。駐車場(3台分)あり。
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2023年2月に見たい展覧会【江戸絵画の華 第2部/速水御舟/戸谷成雄】

今月は春に向けて数多くの展覧会がスタートします。気になる展覧会をリストアップしました。



展覧会

・『恵比寿映像祭2023 テクノロジー?』 東京都写真美術館(2/3~2/19)
・『没後200年 亜欧堂田善展 江戸の洋風画家・創造の軌跡』 千葉市美術館(1/13~2/26)
・『ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台』 東京都現代美術館(2022/11/12~2023/2/19)
・『交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー』 東京都庭園美術館(12/17~2023/3/5)
・『FACE展2023』 SOMPO美術館(2/18~3/12)
・『日本の切り絵 7人のミューズ』 そごう美術館(2/4~3/19)
・『山下麻衣+小林直人 —もし太陽に名前がなかったら—』 千葉県立美術館(1/25~3/21)
・『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』 森美術館(2022/12/1~2023/3/26)
・『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎』 東京オペラシティ アートギャラリー(1/18~3/26)
・『広重おじさん図譜』 太田記念美術館(2/3~3/26)
・『没後190年 木米』 サントリー美術館(2/8~3/26)
・『速水御舟展』 茨城県近代美術館(2/21~3/26)
・『江戸絵画の華 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派』 出光美術館(2/21~3/26)
・『仏具の世界 信仰と美のかたち』 根津美術館(2/18~3/31)
・『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』 PLAY! MUSEUM(1/21~4/2)
・『佐伯祐三 自画像としての風景』 東京ステーションギャラリー(1/21~4/2)
・『山中現展 描かれた詩』 群馬県立館林美術館(1/28~4/2)
・『江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット ~クジラと塩の織りなす布の物語~』 たばこと塩の博物館(1/21~4/9)
・『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』 東京都美術館(1/26~4/9)
・『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界』 横須賀美術館(2/11~4/9)
・『マリー・ローランサンとモード』 Bunkamuraザ・ミュージアム(2/14~4/9)
・『世田谷美術館コレクション選 わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち』 世田谷美術館(2/18~4/9)
・『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』 三菱一号館美術館(2/25~4/9)
・『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』 森アーツセンターギャラリー(2/3~4/10)
・『本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション』 練馬区立美術館(2/26~4/16)
・『ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術』 水戸芸術館(2/18~5/7)
・『第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap』 アーティゾン美術館(2/25~5/14)
・『戸谷成雄 彫刻』 埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)
・『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』 東京都現代美術館(2022/12/21~2023/5/28)
・『部屋のみる夢—ボナールからティルマンス、現代の作家まで』 ポーラ美術館(1/28~7/2)

ギャラリー

・『A girl philosophy」ある少女の哲学安珠写真展』 CHANEL NEXUS HALL(1/18~2/12)
・『フェアトレード  現代アート産業と製陶業をめぐって 上田勇児・梅津庸一』 Kanda & Oliveira(1/17~2/18)
・『小谷元彦 個展 invasion』 ANOMALY(1/21~2/18)
・『第16回 shiseido art egg 岡ともみ展』 資生堂ギャラリー(1/24~ 2/26)
・『DNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵作品より 動物会議 緊急大集合!』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(2/9~3/25)
・『仲條正義名作展』 クリエイションギャラリーG8(2/16~3/30)
・『中村裕太|ユアサエボシ 耽奇展覧』 ギャラリー小柳(1/28~3/31)
・『ポーラ ミュージアム アネックス展2023 —自立と統合—』 ポーラ ミュージアム アネックス(2/10~4/16)
・『ヴォルフガング・ティルマンス Moments of life展』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/2~6/11)

まずは江戸絵画です。出光美術館にて開催中の『江戸絵画の華』展が「若冲と江戸絵画」(第一部)より内容を入れ替え、「京都画壇と江戸琳派」(第二部)がはじまります。



『江戸絵画の華 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派』@出光美術館(2/21~3/26)

「〈第2部〉京都画壇と江戸琳派」にて取り上げられるのは、円山応挙をはじめ、その影響下にあった源琦や山口素絢、それに岸駒といった京都画壇の絵師で、加えて江戸琳派の酒井抱一と鈴木其一、さらには中村芳中や酒井道一らの作品が紹介されます。ダイナミックな空間表現を見せる応挙の『懸崖飛泉図屏風』や、抱一の基準作の1つともいえる『十二か月花鳥図』などに人気が集まりそうです。

東京以外では約15年ぶりとなる大規模な回顧展です。茨城県近代美術館にて『速水御舟展』が開催されます。



『速水御舟展』@茨城県近代美術館(2/21~3/26)

日本画家、速水御舟は40年という短い生涯ながらも、常に変革を求めて絵に向かい続け、近代日本画を牽引した人物として高く評価されてきました。その御舟の画業を詳らかにするのが今回の展覧会で、本画100点と素描などが公開されます。


ちょうど水戸では梅まつりの時期(2/11〜3/19)とも重なるだけに、偕楽園へのお花見を兼ねて出かけるのも良いかもしれません。

最後は現代美術です。彫刻家、戸谷成雄の個展が埼玉県立近代美術館にて行われます。



『戸谷成雄 彫刻』@埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)

1947年に長野県に生まれた戸谷成雄は、木材の表面をチェーンソーで彫り刻む「森」や「ミニマルバロック」シリーズなどの彫刻で知られ、1998年からは埼玉県秩父郡にアトリエを構えて制作を続けてきました。


その戸谷とゆかりの深い埼玉の地にて開かれるのが『戸谷成雄 彫刻』で、学生時代の彫刻作品から近年の最新シリーズなど約40点が公開されます。

イロハニアートでも2月のおすすめ展覧会を寄稿しました。

おすすめ展覧会5選【2023年2月】ヒグチユウコから速水御舟まで | イロハニアート


それでは今月もよろしくお願いします。
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