藤森照信 茶室「五庵」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
藤森照信 茶室「五庵」
2021/7/1~9/5



パビリオン・トウキョウ2021で開催中の藤森照信 茶室「五庵」を見てきました。

建築家の藤森照信はパビリオン・トウキョウ2021において、新国立競技場を望む地へ2階建ての茶室を築きました。



それが茶室「五庵」で、外苑西通りの仙寿院交差点に位置するビクタースタジオ前にありました。



台形の基壇は緑色の芝生に覆われていて、上部の茶室の外壁には杉材の表面を焼いて炭化させた焼杉が用いられていました。また基壇には小さな小窓が各面に3つ並んでいて、2階には半円にくり抜かれた大きな窓がありました。



1階の丸い穴から体を滑らせるように入ると、いわゆる待合があり、その隅に茶室へと上がる小さな梯子が設置されていました。そして待合では茶室の制作プロセスや藤森のインタビューなどを収録した動画がモニターに映されていました。



にじり口を再解釈したという梯子を登って2階へと上がると、中央にテーブルのある茶室がありました。テーブルは四畳半の床が見えなくなるくらいの大きさで、炉や茶道具の他、トクサと芝でつくった小さな山などが設えられていました。



テーブルの角は削り取られるように丸みを帯びていて、木の温もりが感じられました。



一方で白い天井を見やると、まるで小さな石のような炭の破片が散りばめられていて、五色にグラデーションを描く和紙の照明が吊り下がっていました。



そして交差点に面した側には窓がくり抜かれていて、新国立競技場を一望することができました。また暑い中でも時折、抜ける風が心なしか気持ち良く感じられました。

観覧についての情報です。茶室「五庵」の内部への入場は当日の予約制となっています。基本的に飛び込みでは入場できません。

予約の受付場所は茶室「五庵」ではなく、外苑西通りを南へ550メートルほど進んだワタリウム美術館の1階カウンターとなります。ワタリウム美術館からの所要時間は約5〜6分程度でした。

受付時間は10時20分から17時までで、1人1枠、2名まで予約ができます。また1枠30分毎の入れ替え制で、定員に達し次第、受付は終了となります。

私が出向いたのは平日の14時半をゆうに回っていましたが、すぐに15時からの枠の整理券を予約することができました。

一度に「五庵」の茶室へ入ったのは5名で、30分の時間枠にて10名ほどの定員になっているようでした。基本的に先着順にて案内されていて、私の場合はまず茶室へ入って15分弱ほど滞在した後、待合へ降りて映像を鑑賞しました。(後から来た5名の方は、先に待合で映像を見た後、入れ替わりで茶室へと上がっていました。)またかなり急な梯子のため、動きやすい服装がベストかもしれません。



アクセスは千駄ヶ谷駅や北参道駅からと案内されていますが、先に整理券を入手する必要があるため、外苑前駅からワタリウム美術館へと向かい、その後「五庵」へと移動するのが便利ではないでしょうか。



オリンピック開幕前だったからか予約もスムーズでしたが、開幕後は人出が増している可能性もあります。なお当日分の整理券がなくなった際は公式Twitterにてお知らせがあるそうです。

9月5日まで公開されています。

藤森照信 茶室「五庵」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)~9月5日(日)
時間:11:00~19:00。
 *しばらくの間、平日・日曜・祝日の内部入場は18:00まで。但し土曜日は19:00まで
休館:会期中無休
料金:無料
住所:渋谷区神宮前2-21-1 ビクタースタジオ前
交通:JR線千駄ヶ谷駅より徒歩10分、都営大江戸線国立競技場前駅A4出口より徒歩10分、東京メトロ副都心線北参道駅2出口より徒歩10分。
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「イラストレーター 安西水丸展」 世田谷文学館

世田谷文学館
「イラストレーター 安西水丸展」
2021/4/24~9/20



世田谷文学館で開催中の「イラストレーター 安西水丸展」を見てきました。

1942年に生まれたイラストレーターの安西水丸は、漫画や小説に絵本、エッセイや広告などで多様に活動しては、多くの人々の心を捉えてきました。

その安西の仕事の全貌を幼少期にまで遡っているのが「イラストレーター 安西水丸展」で、原画や関連資料など500点に加え、旅にまつわる原稿や民芸品といった130点の資料が展示されていました。



まず冒頭は「ぼくの仕事」の題し、安西が本や広告などに描いた絵が展示されていて、中には2020年末に新たに発見された小説「アマリリス」のカバー原画といった貴重な作品もありました。



またイラストとともに、モチーフの元になったスノードームや瓶なども合わせて公開されて、ともに見比べることができました。覗き窓のように設置された展示ケースも面白いのではないでしょうか。



会場構成を手掛けたのはデザイン事務所「DO.DO」(ドド)で、壁に安西のコレクションしたスノードームのモチーフを描いたり、覗き穴や顔はめスポットなどを設置していて、遊び心に満ちた空間を築き上げていました。展示室内に8カ所ほど隠された、安西を象るパネルやシルエットを探して歩くのも楽しいかもしれません。



安西と関係の深かった嵐山光三郎、村上春樹、和田誠に関する作品も見どころだったのではないでしょうか。嵐山光三郎は安西と同じ年の編集者で、漫画雑誌「ガロ」や絵本「ピッキーとポッキー」などの様々な仕事を手がけました。



「兄弟のようだ」とも語る村上春樹とはジャズ喫茶経営中の頃からの知り合いで、村上の本の装丁を数多く担いました。さらに先輩にあたるイラストレーターの和田誠は安西にとってライバルともいえる存在で、2001年から2014年にかけて2人で1枚の作品を仕上げる取り組みを行いました。結果的に描かれた作品は200点にも及ぶそうです。



幼少期の資料から生涯にわたって愛した品々を紹介する「ぼくの来た道」も興味深いものがありました。ここでは学校で賞をとった水泳大会のポスターから大学時代に制作したレコードジャケット風の作品などが展示されていて、安西がイラストレーターとして活動するまでの道のりを辿ることができました。



安西は3歳から中学を終える直前まで千葉県の千倉で過ごしていて、同地の広い海や自然環境が、自身の想像力や美意識を育んだとも語っています。

また画面を横切る一本の線を「ホリゾン=水平線」と呼んでいましたが、ホリゾンを引く時に千倉の海の水平線が目に浮かんだともしています。まさに千倉での生活、そして海こそが安西の創作の源泉の1つだったのかもしれません。



「素朴な和が好きだ」という安西は、アトリエの和室に鳥取の民芸家具を置き、自ら描いた屏風や掛軸を飾ったとされていて、会場でも一部が再現されていました。あたかもアトリエにお邪魔したかのような雰囲気が感じられるのではないでしょうか。



ラストは「たびたびの旅」と題し、旅する人だった安西に着目して、旅にまつわる作品や旅のための道具、さらに旅先で求めた土産物などが展示されていました。



生涯で国内外の様々な場所を訪ねた安西は、特に電車での旅を好み、いつでも旅に出られるようにカメラや双眼鏡、手帳を入れる鞄を置いていました。



平日の夕方に出向きましたが、会場内は想像以上に賑わっていました。公式サイトによると休日の14時から16時の間は、混雑のために入場を規制する場合があるそうです。またグッズ売り場も盛況でした。


写真も自由に撮れましたが、撮影を楽しみたい場合は混雑時間帯を避けるのが良いかもしれません。



当初の会期(8月31日まで)が延長されました。9月20日まで開催されています。おすすめします。

「イラストレーター 安西水丸展」 世田谷文学館@SETABUN
会期:2021年4月24日(土)~9月20日(月・祝)
休館:月曜日。但し8月9日・9月20日は開館し、8月10日は休館。
時間:10:00~18:00 *入場、及びミュージアムショップの営業は17時半まで。
料金:一般900(720)円、大学・高校生・65歳以上600(480)円、小・中学生300(240)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:世田谷区南烏山1-10-10
交通:京王線芦花公園駅より徒歩5分。
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妹島和世「水明」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
妹島和世「水明」
2021/7/1〜9/5



パビリオン・トウキョウ2021で開催中の妹島和世「水明」を見てきました。

建築家の妹島和世のパビリオンは、潮入の池や鴨場を有し、古くは徳川将軍家の別邸でもあった浜離宮恩賜庭園に建てられています。

浜離宮には大手門口と中の御門口の2つの入場口があり、パビリオンは大手門口にほど近い延遼館跡と呼ばれるエリアにありました。

延遼館とは明治時代に整備された迎賓施設で、国賓などの要人を多く迎えたものの、明治22年に老朽化を理由に解体されました。現在は一面の芝生が敷かれています。



「水明」と名づけられたパビリオンは、平安時代の庭園にあった水路である曲水をイメージとしていて、幅80センチ、全長約170メートルの水路が樹木の合間をうねるように築かれていました。



実際に水が流れる水路は鏡面加工が施されていて、その上に植物や造花が置かれていました。高層ビルを背景にした庭園空間と無機的な水路、さらには草花などのコントラストも面白いかもしれません。



この日は雲の多い天候でしたが、それでも水路に樹木や空、またビルなどが映り込んでいて、見る立ち位置によって景色が変わりました。

「浜離宮は水とともにある庭園と言えると思います。その風景に現代を表すような水を足してみたいと考えました。」 妹島和世 「パビリオン・トウキョウ2021」より



晴天時は青空も映えるかもしれませんが、雨の日も雨粒が水面を波打って美しく見えるかもしれません。あまり近づいて鑑賞することは叶いませんでしたが、風に吹かれて僅かに揺れる水面にしばし見入りました。


パビリオンの鑑賞は無料ですが、浜離宮への入園料(一般300円)がかかります。また入園に際しては事前に整理券(オンライン)が必要となります。

9月5日まで開催されています。

妹島和世「水明」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)〜9月5日(日)
時間:9:00~17:00。*入園は16時半まで。
休館:会期中無休
料金:一般300(240)円、65歳以上150(120)円。
 *( )内は20名以上の団体料金
住所:中央区浜離宮庭園 浜離宮恩賜庭園
交通:都営地下鉄大江戸線築地市場駅、汐留駅よりそれぞれ徒歩7分。ゆりかもめ汐留駅より徒歩7分。
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「巨大映像で迫る五大絵師」 大手町三井ホール

大手町三井ホール
「巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─」
2021/7/16~9/9



大手町三井ホールで開催中の「巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─」の特別内覧会に参加してきました。

桃山時代から江戸時代に活躍した俵屋宗達、尾形光琳、伊藤若冲、葛飾北斎、歌川広重の5名の絵師の作品を、大型の映像と音楽にて体感的に楽しめるイベントが、東京の大手町三井ホールにてはじまりました。



それが「巨大映像で迫る五大絵師」展で、5名の絵師の主要作品、及び同時代の金屏風など42作品が上映されていました。

まず冒頭、会場入口奥にて展示していたのが、各作品の緻密な部分を拡大して魅力に迫る「解説シアター」でした。ここでは超高精細デジタル画像にて作品をスクリーンに投影しつつ、解説ナレーションにて見どころを紹介していました。いわばメインの巨大映像の予習ともいえる内容だったかもしれません。

浮世絵を3Dデータとして組み上げ、実に20億画素にデジタルリマスターした画像は極めてクリアで、スクリーンに拡大しても全くぶれることはなく、和紙の繊細な質感や微細な凹凸までも目の当たりにできました。また屏風絵においても金箔や切箔、それに金砂子などの素材や表現の違いまでを再現していて、絵師の筆遣いを映像を通して感じられるかのようでした。



「解説シアター」に続くのがメイン会場である「3面シアター」でした。縦7メートル、横幅45メートルにも及ぶ3面スクリーンが観覧席を囲んでいて、ほかでは目にしたことのないような巨大映像空間が築かれていました。



そして「3面シアター」では北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』や宗達と光琳の2点の「風神雷神図屏風」、はたまた若冲の「仙人掌群鶏図」などの作品が、ドラマテックな動きのある視覚効果を加えながら投影されていて、あたかも作品の中に入り込むような錯覚にとらわれました。



巨大映像とコラボレーションした音楽も重要な要素を占めていたかもしれません。ジャズ風のピアノや三味線、和太鼓などによる音楽が時に大音量で会場内に響きつつ、作品を演出していて、巨大スペクタクルともいえるショーが展開していました。



「3面シアター」の上映の後は「フォトタイム」が設定されていて、スクリーンを前に記念撮影を自由に楽しむことができました。(本エントリの写真も全てフォトタイムにて撮影。解説シアター、及び3面シアター上映中は撮影できません。)



ラストは「Digital北斎×広重コーナー」で、「冨嶽三十六景」と「東海道五拾三次」からセレクトされた58作品を12台の大型モニターにて鑑賞できました。(同コーナーも撮影可)

「新感覚のアートエキシビション」とも案内されていましたが、実際の美術作品を目にするのとは全く異なった鑑賞体験が得られるのではないでしょうか。高精細な巨大映像にて作品にのめり込みつつ、熱気に満ちた音楽のライブを前にするように楽しみました。

最後に上映、及びチケットの情報です。上映は会期中、プログラムが毎日入れ替わるダブルプログラムです。AプログラムとBプログラムにて上映作品が異なります。公式サイトから開催カレンダー、もしくは上映作品一覧にてご確認ください。

チケットは期間中有効の平日フリー入場券と、土日祝日と最終日の日付指定券があり、それぞれ指定された日にちの10時半から18時半の好きな時間に入場できます。ぴあやローソンチケットなどで購入可能です。


定員に空きがある場合は会場窓口にて当日チケットが販売されます。当日券の販売は10時半から18時半で、定員枚数に達した段階で販売終了となります。

所要時間は「解説シアター」と「3面シアター」が各20分、計40分(着席制)でした。「Digital北斎×広重コーナー」の鑑賞には特に時間の制限はありません。



9月9日まで開催されています。なお東京での会期を終えると、大阪の堂島リバーフォーラムへと巡回(2021年12月3日〜2022年1月30日)します。

「巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─」@faaj_staff) 大手町三井ホール
会期:2021年7月16日(金) ~9月9日(木) 
時間:10:30~19:30。
 *最終入館は閉館の60分前まで。
休館:無休。
料金:一般2000円、大学・専門学校生1500円、中学・高校生1000円、小学生以下、70歳以上は無料。
住所:千代田区大手町1-2-1 Otemachi One 3F
交通:東京メトロ千代田線・丸ノ内線・半蔵門線・東西線、都営三田線大手町駅C4出口直結。東京メトロ東西線竹橋駅徒歩2分。
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藤原徹平「ストリートガーデンシアター」、平田晃久「Global Bowl」、会田誠「東京城」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
藤原徹平「ストリートガーデンシアター」、平田晃久「Global Bowl」、会田誠「東京城」 
2021/7/1~9/5



パビリオン・トウキョウ2021で展開中の「藤原徹平『ストリートガーデンシアター』」、「平田晃久『Global Bowl』」、「会田誠『東京城』」を見てきました。

いずれも神宮前から青山界隈に点在する藤原徹平の「ストリートガーデンシアター」、平田晃久の「Global Bowl」、そして会田誠の「東京城」の各パビリオンは、全て歩いて回ることができます。



まず最も渋谷側に位置する旧子どもの城前に展開したのが藤原徹平の「ストリートガーデンシアター」で、「植物と人のための劇場」をテーマに木組みと植物を組み合わせたパビリオンでした。



パビリオンは大小2つの建物の分かれていて、いずれも植木梁と呼ばれる梁に数多くの植木鉢がはめ込まれていました。既存の岡本太郎のオブジェとの奇異といえるような対比も面白いかもしれません。



そして植木鉢には野菜や雑草、それに花やハーブなどの様々な植物が植えられていて、通路へと立ち入って進むこともできました。アスレチックのような構造物でありながら、植物と人のためのステージのような空間が築かれていたかもしれません。



最上段には休憩ができるようなスペースも用いられていました。また植物は日々、成長するために、会期を追うごとにパビリオンの景色も変化していくのではないでしょうか。



この旧子どもの城に隣接する国際連合大学前に建てられたのが、平田晃久の手掛けた木のパビリオンの「Global Bowl」でした。たくさんの穴が空いた半円のオブジェで、穴を通して中と行き来したり座ったりすることも可能でした。



必ずしもオブジェ自体は大きくないものの、ビルに囲まれた青山通りに出現した木製のフォルムは明らかに目立っていて、多くの人が立ち寄っていました。また子どもたちが何度も出入りしながら楽しそうにする姿も印象に残りました。

平田は花の合間を飛ぶ蝶のように、隙間が重なる領域を「からまりしろ」と呼んでは、建築設計の1つの指針としているそうです。まさにこの穴の存在こそが「からまりしろ」なのかもしれません。



会田誠の「東京城」が位置するのは青山一丁目駅近くで、ちょうど神宮外苑のイチョウ並木入口の両側に建っていました。



それはブルーシートとダンボールで作られた2つの城型のパビリオンで、聖徳絵画記念館を奥に望むイチョウの並木道を飾るには明らかに異彩を放っていました。



「強調したいのは恒久性とは真逆の仮設性、頼りなさ、ヘナチョコさ──しかしそれに頑張って耐えている健気な姿である。」 会田誠 「パビリオン・トウキョウ2021」より



ブルーシートとダンボールは、例えば屋根の応急処置であったり、避難所の区切りだったりするなど、台風や地震といった災害時にも利用される素材でもあります。

また土台は神宮外苑造営の際に建設されたもので、関東大震災後のバラック建設の指揮官だった建築構造家の佐野利器が建設したとされています。そうした災害への意識を踏まえながら、廉価で日用的な素材を用いつつ、異様ともいえる城の形で表現したことも興味深く思えました。

9月5日まで公開されています。

藤原徹平「ストリートガーデンシアター」、平田晃久「Global Bowl」、会田誠「東京城」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)~9月5日(日)
時間:10:00~18:00
休館:無休
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-53-1(ストリートガーデンシアター)、渋谷区神宮前5-53-70(Global Bowl)、港区北青山2丁目1番地先(東京城)
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B2出口より徒歩5分(ストリートガーデンシアター)。東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B2出口より徒歩5分(Global Bowl)。東京メトロ銀座線外苑前駅4a出口、及び東京メトロ銀座線・半蔵門線青山一丁目駅1出口よりそれぞれ徒歩2分(東京城)。
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藤本壮介「雲のパビリオン」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
藤本壮介「雲のパビリオン」
2021/7/1〜9/5



多様な文化プログラムを展開する「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の一つとして、新国立競技場を中心とする複数の箇所に建物やオブジェを設置する「パビリオン・トウキョウ2021」が開かれています。

そのうち「雲のパビリオン」を手掛けたのが建築家の藤本壮介で、都内の2ヶ所に雲をイメージしたパビリオンを展示していました。



まず第一会場として設置されたのが、原宿駅にほど近い代々木公園内のパノラマ広場付近でした。原宿門から園内に入って少し歩くと、すぐに広場に浮かぶパビリオンが姿を現しました。



藤本は雲は憧れの存在だと語り、「とてつもなく大きく、さまざまなものをすべて包み込んでしまう究極の建築」(解説より)と定義しています。



パビリオンは複数の白いバルーンが集まったような形をしていて、園内の緑や青空と美しいコントラストを描いていました。

続く第二会場は、代々木公園から直線距離で南東へ約5キロ、また山手線の内回りで7駅先に位置する高輪ゲートウエイ駅でした。



ちょうど駅構内の2階部分のコンコースに置かれていて、窓から燦々と差し込む夏の光を受けていました。あたかも以前から設置されていたような佇まいを見せていて、隈研吾の設計した空間とも違和感がありませんでした。

「歴史ある風景に溶け込むように、新しいけれど、もともとそこにあったような建築が作れないかと考えました。」 石上純也 「パビリオン・トウキョウ2021」より



代々木公園内のパビリオンは10時から18時、高輪ゲートウェイ駅は初電から終電までが公開時間となります。なお高輪ゲートウェイの会場は駅構内のため、所定の入場料、もしくは電車代がかかります。あらかじめご注意ください。

この日は青空の広がる晴天でしたが、天気によって見え方が変わってくるのかもしれません。またいずれも3本の脚で固定されていましたが、あたかも雲のバルーンが浮き上がるのを引き留めているように見えるのも面白く感じました。


9月5日まで公開されています。

「藤本壮介『雲のパビリオン』」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)〜9月5日(日)
時間:10:00~18:00(第一会場)、初電から終電まで(第二会場)
休館:無休
料金:無料
住所:代々木公園 パノラマ広場付近(第一会場)渋谷区代々木神園町、神南二丁目 代々木公園。高輪ゲートウェイ駅 改札内(第二会場)港区港南2-1-220
交通:JR線原宿駅表参道改札より徒歩3分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅1・2・3出口より徒歩3分(第一会場)。JR線高輪ゲートウェイ駅改札内(第二会場)。
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「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」
2021/6/1~9/26



東京国立近代美術館で開催中の「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」を見てきました。

MOMATコレクションには、日本の20世紀の初頭から現代へと至る100年間の美術の流れを網羅すべく、日本画、洋画、版画、水彩・素描、写真など、実に13000点もの作品がコレクションされてきました。

そのうち「珠玉の名作」(リリースより)ばかりで構成されたが「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」で、横山大観「生々流転」をはじめとする8点の重要文化財のほか、藤田嗣治や梅原龍三郎、それに東山魁夷などの約250点の作品が公開されていました、


小林古径「唐蜀黍」 1939年

まず1室の「ハイライト」で目を引くのが、土田麦僊の「湯女」や小林古径の「唐蜀黍(とうもろこし)」、それに横山大観の「生々流転」などでした。そのうち古径の「唐蜀黍」が左右に一本ずつのとうもろこしを色を変えて描いていて、右はほぼ直立していたものの、左は風に吹かれているのか傾いていました。こうした左右に対照的な構図や葉に用いられたたらし込みの技法などから、宗達といった琳派を意識した作品と指摘されているそうです。


横山大観「生々流転」 1923年 

横山大観の「生々流転」は全長40メートルもの画巻に展開する超大作で、雲から雫となり、川へと流れ、海原を開いては再び雲となるという、いわば水の一生を描いていました。


横山大観「生々流転」(部分) 1923年

ともかく水墨の技術が卓越していて、山の合間を進む水のせせらぎなども細かに表現されていました。また随所で自然とともに生きる人々の姿が見られるのも、本作の見どころといえるかもしれません。


中沢弘光「夏」 1907年

第2室の「明治の美術」では、西洋絵画受容の初期の名作として知られる原田直次郎の「騎龍観音」とともに、中沢弘光の「夏」に目が止まりました。第1回の文展に出展された作品で、夏の明るい日差しの元、海辺の砂浜にて日傘をさす女性を描いていました。油彩画ながらもパステルのように淡い色調も魅力ではないでしょうか。


小原古邨「金魚二匹」 1926〜45年

新版画家として活動し、特に花鳥画で人気を博した小原古邨も充実していました。今回は32点を前後期に分けて展示していて、いずれも色鮮やかな「紫陽花」や「朝顔」、それに水草を下に金魚がのんびりと泳ぐ「金魚二匹」などに魅せられました。


右:戸張弧雁「麻の葉」 1913年

同じく木版画では戸張弧雁の「化粧」や「麻の葉」も見入る作品だったかもしれません。華美ではない、古風を帯びたような落ち着いた色調に独特のセンスを感じました。


第8室「具体とアンフォルメル」展示風景

白髪一雄や吉原治良、それに勅使河原蒼風などの作品が並ぶ第8室の「具体とアンフォルメル」も見応え十分でした。1954年に吉原治良をリーダーに結成されたのが具体美術協会で、「ひとのまねをするな」のモットーの元、白髪一雄や田中敦子などが旺盛に活動しました。


今井俊満「コンポジション」 1955年

一方で具体の作家は、1950年後半にフランスを中心とした抽象絵画運動「アルフォルメル」にも呼応していて、日本からもパリに留学していた今井俊満らが参加しました。


東山魁夷「白夜光」 1965年

第10室の「日本画」では戦後日本画を代表する東山魁夷が特集されていました。ここでは代表作の「道」をはじめ、「晩照」や「白夜光」などが並んでいて、とりわけ京都の嵯峨野に取材して月下の竹林を描いた「月篁」に心を魅かれました。


東山魁夷「月篁」 1967年

竹林は薄暗がりの中に密集しながらも、上部がわずかに明るくなっていて、絵の外にあって光を放つ月の存在が巧みに表されてました。明かりに向かって竹林が背を伸ばしていくような表現も面白いかもしれません。


第11室「現代工芸の座標」展示風景

昨年10月に金沢へ移転した国立工芸館のコレクションの一部が、第11室「現代工芸の座標」にて展示されていました。


森村泰昌「Brothers (A Late Autumn Prayer)」 1991年

石内都、大竹伸朗、村上隆、丸山直文らの現代の作品による第12室「この30年の美術」も見逃せないかもしれません。森村泰昌の「Brothers (A Late Autumn Prayer)」が新たに加わった作品として公開されていました。


会期中に作品の入れ替えがあります。詳しくは下記リンク先の出品リストをご覧ください。

「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」(出品リスト
前半:5月25日〜7月18日
後半:7月20日〜9月26日

会場で当日券も販売されていますが、オンラインでの事前予約制も導入されました。会場の混雑状況によっては事前予約が優先となります。


小企画「鉄とたたかう 鉄とあそぶ デイヴィッド・スミス《サークルⅣ》を中心に」展示風景

企画展「隈研吾展」のチケットでも観覧可能です。またコレクションによる小企画「鉄とたたかう 鉄とあそぶ デイヴィッド・スミス《サークルⅣ》を中心に」もあわせて見ることができます。


藤田嗣治「自画像」 1929年

一部の作品を除いて撮影もできました。9月26日まで開催されています。

「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:2021年6月1日(火)~9月26日(日)
時間:10:00~17:00。
 *金曜・土曜は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館。8月10日(火)、9月21日(火)は休館。
料金:一般500(400)円、大学生250(200)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」 SOMPO美術館

SOMPO美術館
「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
2021/6/25~9/12



SOMPO美術館で開催中の「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」を見てきました。

フランス、シャンパーニュ地方のランス市の中心に位置するランス美術館は、19世紀の風景画を多くコレクションすることで知られ、特にコローはルーブル美術館に次ぐ数の作品を所蔵してきました。

そのランス美術館より風景画のコレクションが日本へとやってきました。会場ではミシャロン、コロー、クールベにはじまり、バルビゾン派からブーダン、さらにはルノワールやモネなどの油彩や版画、約80点が展示されていました。

第1章「コローと19世紀風景画の先駆者たち」のコーナーからして展覧会のハイライトを飾っていたかもしれません。ここではジョルジュ・ミシェル、ギュスターヴ、クールベ、そしてコローの絵画が並んでいて、とりわけコローは全21点中、16点を占めていました。そもそも国内でこれほどまとめてコローの作品を見る機会も多くないのではないでしょうか。

そのうち白眉ともいえるのが「湖畔の木々の下のふたりの姉妹」で、高い樹木の下、湖面を垣間見る草地の上で、ふたりの姉妹がくつろぐ姿を描いていました。前景の姉妹から中景の樹木、さらには湖や空が広がる後景の対比的な表現も、ドラマティックな光景だったかもしれません。



テオドール・ルソー、ドービニー、トロワイヨンの絵画が展示されたバルビゾン派も見どころの1つでした。テオドール・ルソーの「沼」は、フランス中部のベリー地方の風景を舞台とした作品で、広い草原の中、高い樹木を背景に沼の際にいる人物をパノラマのように描いていました。この他では動物を描くのを得意としたトロワイヨンの「ノルマンディー、牛と羊の群れの帰り道」も魅惑的ではないでしょうか。朱色に染まった木立の合間を、牛や羊、それに黒い牧羊犬が農婦とともにのんびりと歩く様子を牧歌的に表していました。

コローと並んで充実していたのが、海景画で知られるウジェーヌ・ブーダンの作品でした。会場では1つのスペースをぐるりと取り囲むように7点の絵画が並んでいて、一際大きな「水飲み場の牛の群れ」などに目を奪われました。コローはブーダンを「空の王者」と呼んだとされていますが、この作品でも灰色の雲が青空を隠すように広がる空模様の変化を巧みに描いていていました。また白い波の立つ海上を複数の帆船が進む「ベルク、出航」も、水平線を低くとっては広い空に浮かぶ雲を素早い筆触で表していました。印象派を思わせるような画風といえるかもしれません。

ラストは「印象主義の展開」で、ルノワール、シスレー、ピサロ、それにモネといった印象派における風景画が並んでいました。そのうち断然に心を惹かれたのがアルフレッド・シスレーの晩年の作品である「カーディフの停泊地」でした。ここではウェールズ南部の港町のカーディフを舞台に、桟橋を望む断崖の上から水色に染まる空と海を描いていて、手前の樹木のそばには小さな人の姿が見られました。ともかく白く光をたたえた水色の空と海の色彩が目に染み入るほどに美しく思えました。

コローやドービニー、またブラックモンなどのエッチングも見応えがあったかもしれません。なおランス美術館のコレクション展は2017年、SOMPO美術館の前身の東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館などでも開かれましたが、その際はバロックからロココ、印象派から藤田などの作品を多様に展観したのに対し、今回はフランスの近代風景画の成立プロセスを辿る内容に焦点を絞っていました。


新型コロナウイルス感染症対策に伴い、日時指定制が導入されました。時間枠の定員に空きがある際は、美術館受付でも当日券が販売されますが、事前に日時指定券を購入すると優先的に入場できます。



7月11日(日)の夕方前に出かけてきましたが、特に混雑することもなく余裕がありました。しばらくはゆったりした空間で絵画を楽しめそうです。

9月12日まで開催されています。また東京での会期を終えると、宮城県美術館(2021年9月18日~11月7日)、静岡市美術館(2021年11月20日〜2022年1月23日)、茨城県近代美術館(2022年2月9日~3月27日)へと巡回します。

*既に北九州市立美術館、島根県立美術館、福井県立美術館、名古屋市美術館の会期は終了。

「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」 SOMPO美術館@sompomuseum
会期:2021年6月25日(金)~9月12日(日)
休館:月曜日。但し8月9日は開館。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500円、大学生1100円、高校生以下無料。
住所:新宿区西新宿1-26-1
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
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「アイヌの装いとハレの日の着物」 渋谷区立松濤美術館

渋谷区立松濤美術館
「アイヌの装いとハレの日の着物―国立アイヌ民族博物館の開館によせて」
2021/6/26~8/9



渋谷区立松濤美術館で開催中の「アイヌの装いとハレの日の着物―国立アイヌ民族博物館の開館によせて」を見てきました。

2020年7月に北海道白老町に開館した国立アイヌ民族博物館は、今年で開館1周年を迎えました。

それを期して開かれたのが「アイヌの装いとハレの日の着物」で、19世紀から現代へと至るアイヌの服飾品、約50点が公開されていました。

まず地下展示室の第1章では「アイヌの装い」と題し、樹皮衣や木綿衣などが並んでいて、特に木綿衣のデコラティブな刺繍について魅せられました。また一口に文様と言っても、刺繍やテープ状の布で構成したり、幅広の布を切り抜いたものなど様々で、技法の幅広い展開についても見ることができました。

例えば一本のチェーンステッチのみを描いた木綿衣など、縫い目そのものも文様と化していて、シンプルながらもしゃれた佇まいに心を惹かれました。さらに濃紺ながら透けた生地が美しい「木綿地切伏刺繍衣装」も魅惑的ではなかったでしょうか。



続く2階展示室の第2章「ハレの日の着物」では、首飾りや耳飾りとともに、噴火湾沿岸に特徴的なハレの日の着物であるルウンペ(色裂置文衣)が展示されていました。

ルウンペとはアイヌ語で「ル(道)ウン(ある、持つ)ペ(もの)」を意味し、主に木綿の衣服の上にテープ状にて切り裂いた布を縫い、刺繍を施したもので、飾りには絹、苧麻、木綿やウールなど多様な素材が用いられました。華美でありつつも、力強さを見せる文様と言えるかもしれません。


またアイヌの人々の男性が和人との対面の場において用いた、日本の袖なしの着物を取り入れた「陣羽織」も興味深い衣装だったのではないでしょうか。なお一連の着物や首飾りは、国立アイヌ民族博物館やアイヌ民族文化財団をはじめ、日本民藝館、早稲田大学會津八一記念博物館、それに東京国立博物館などのコレクションでした。

さて今回の展示で私が特に興味深く感じたのは、2階のエレベーターホール前にて公開されていた18分のインタビュー映像でした。これは北海道白老町に住み、伝統工芸の復元や保存活動に取り組む山崎シマ子さんがルウンペを作る様子を収録したもので、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構が制作しました。

ここでは山崎さんが布を切り分けつつ、針を刺して糸を塗っていく姿が映されていて、中でも「気の向くままに、針が進むままに縫う。それ刺繍の醍醐味。」と語っていたのが印象に残りました。この言葉にこそ、素材や技法も多様で、作り手の創意工夫が反映されたアイヌの衣装のエッセンスが表れているのかもしれません。

この他にはウポポイのPR映像や紹介パネルも展示されていました。なお開館一年を迎えたウポポイは、現在、年間入場者数が目標(100万人)を大幅に下回る26万人に留まるなどコロナ禍の影響を大きく受けています。私も必ずやどこかのタイミングで訪ねたいと思いました。



展示室内の撮影はできません。8月9日まで開催されています。

「アイヌの装いとハレの日の着物―国立アイヌ民族博物館の開館によせて」 渋谷区立松濤美術館@shoto_museum
会期:2021年6月26日(土)~8月9日(月・休)
休館:月曜日。但し8月9日は開館。
時間:10:00~18:00 
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般700(560)円、大学生560(440)円、高校生・65歳以上350(280)円、小中学生100(80)円。
 *( )内は渋谷区民の入館料。
 *渋谷区民は毎週金曜日が無料。
 *土・日曜、祝日及び夏休み期間は小中学生が無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15分。
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「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」 東京国立博物館・本館 特別5室

東京国立博物館・本館 特別5室
「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」
2021/6/22~9/12



東京国立博物館・本館 特別5室で開催中の「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」の報道内覧会に参加してきました。

奈良県桜井市の聖林寺に安置された国宝「十一面観音菩薩立像」は、天平様式の仏像の傑作として知られ、多くの人々の信仰を集めてきました。


『十一面観音菩薩立像』 奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺 国宝

その「十一面観音菩薩立像」が史上初めて奈良県外で公開されたのが「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」で、同像と関連の仏像、ないしは大神神社の自然信仰を示す三輪山禁足地の出土品などが展示されていました。



奈良時代後期の作とされ、像高2メートルを超える「十一面観音菩薩立像」は、長らく三輪山をご神体とする大神神社の神宮寺である大神寺に安置されていて、鎌倉時代後期には大御輪寺と寺号を変更し、本尊として祀られていていました。しかし明治時代の廃仏毀釈のあおりを受け、大御輪寺は廃寺となったため、同像は僧侶の手により聖林寺へと移されました。



今回の展示では「十一面観音菩薩立像」を独立したガラスのケースに納めていて、360度の角度からぐるりと一周して鑑賞することができました。



反りの強い蓮弁が連なる蓮華座の上に立つ仏像は堂々たる姿を見せていて、切れ長の目尻や引き締まった口元などの顔立ちは険しく、まさに威厳に満ちていました。また横から見るとかなり胸板が厚く、それでいて腰のあたりにかけては絞られていることも分かるのではないでしょうか。

左手で水瓶を持つ一方、右手はすらりと降ろしていて、手首をわずかに曲げては、指先をしなやかに内外へと屈していました。こうした繊細ともいえる造形美も「十一面観音菩薩立像」の魅力といえるかもしれません。

頭の上には当初11面あったうちの8面の小さな仏像がのっていて、穏やかであったり、怒っていたりと異なった表情を見せていました。なお同像は奈良時代後期から平安時代前期にかけて用いられた、木心の上に漆と木粉の練り物で形をつくる木心乾漆造りと呼ばれる技法で造られました。


左から『月光菩薩立像』と『日光菩薩立像』。ともに平安時代・10~11世紀、奈良・正暦寺

「十一面観音菩薩立像」とともに並ぶのが、同じくかつて大神寺にあり、後に正暦寺や法隆寺などへ移された「月光菩薩立像」と「日光菩薩立像」、それに「地蔵菩薩立像」でした。そのうち法隆寺の「地蔵菩薩立像」は江戸時代まで「十一面観音菩薩立像」とともに祀られたと伝えられていて、太づくりの体躯と穏やかな表情を特徴としていました。なおこれらの諸像が一堂に会したのは、実に150年ぶりのことでもあります。


「十一面観音菩薩立像 光背残欠」 奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺 国宝

中軸部分を残して多くを失ったものの、生命力に満ちた植物文が広がる「十一面観音菩薩立像」の光背残欠も見どころかもしれません。


奈良県桜井市 三輪山禁足地出土品 古墳時代・5〜6世紀 奈良・大神神社

さらに仏教伝来以前、三輪山への自然信仰を示す出土品もあわせて紹介されていました。大神神社の祭神である大物主大神が酒造りと関係が深いことから、酒造りに因む器物を象った製品が多く出土しているそうです。


左:『朱塗金銅装盾』 鎌倉時代・嘉元3(1305)年 奈良・大神神社 重要文化財 右:『三輪山絵図』 室町時代・16世紀 奈良・大神神社

混雑緩和のためWEBでの事前予約制が導入されました。入場に際しては日時指定券の予約が必要です。予約不要の当日券も若干枚用意されていますが、日時指定券は観覧料が割引で設定されています。予約がお得です。チケットの購入方法などについては公式サイトをご参照ください。

私自身、奈良は何度か旅したことがありますが、三輪山や大神神社、それに聖林寺の位置する桜井へは行ったことがありません。是非とも一度訪ね歩きたいと思いました。


9月12日まで開催されています。

「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」@shorinji2020) 東京国立博物館・本館 特別5室(@TNM_PR
会期:2021年6月22日(火)~9月12日(日)
時間:9:30~17:00。
 *当面の間、金・土曜日の夜間開館を中止。
休館:月曜日。但し8月9日(振休)は開館。
料金:一般1500(1400)円、大学生800(700)円、高校生500(400)円、中学生以下無料。
 * ( )内は前売日時指定券の料金
 *当日に限り総合文化展も観覧可。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。

注)写真は特別内覧会時に主催者の許可を得て撮影しました。
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「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」
2021/6/18~9/26



東京国立近代美術館で開催中の「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」を見てきました。

1954年に生まれた隈研吾は、木材や石などの自然の素材を用いた建築で知られ、日本を代表する建築家として活動してきました。


「東京大学大学院 情報学環 ダイワユビキタス学術研究館」 2014年

その隈の公共的な建築に着目したのが「新しい公共性をつくるためのネコの5原則」と題した展覧会で、建築の模型や写真をはじめ、映像やVR、さらにはネコの視点で都市生活を見直すというリサーチプロジェクトなどが紹介されていました。


「国立競技場」 2019年

まず今回の展覧会で興味深いのは、会場を有料と無料の2つのスペースに分けて構成していることでした。有料の第1会場では隈自身が選定したという公共的な建築物68件の模型や写真を、「孔」、「粒子」、「斜め」、「やわらかい」、「時間」の5の観点(原則)から紹介していました。

また高知県梼原町にある6つの建築を瀧本幹也が4K映像にまとめたインスタレーションや、アオーレ長岡の日常をドキュメンタリータッチで撮影した藤井光の映像、はたまたスコットランドの博物館「V&Aダンディー」のタイムプラス映像なども公開されていて、ダイナミックな視覚体験を伴って隈建築を鑑賞することができました。


「高輪ゲートウェイ駅」 2020年

第1会場では一部スペースの模型も撮影することも可能でした。(但しパネルは不可)なお会場デザインは隈研吾建築都市設計事務所が行い、作品解説は隈研吾自身が執筆を担いました。


「北京 前門」 2016年

各章毎に展示の設えが変化していくのも面白いポイントかもしれません。例えば「斜め」では展示壁そのものが斜めに切り込むように設置されていて、「時間」のエリアでは小さく古びたような石を積み上げては自然の遺跡のような空間を築き上げていました。


「ホテルロイヤルクラシック大阪」 2020年

東京国立近代美術館は天井高に制約があり、必ずしも開放感のあるスペースとはいえませんが、それでも構成に変化をつけつつ映像を挟むことで、メリハリのある内容となっていたかもしれません。



インタビュー映像やネコのリサーチからなる第2会場(無料)の展示も重要だったのではないでしょうか。ここではまず「復興と建築をめぐるインタビュー」として、南三陸町長の佐藤仁氏や浜田醤油研究開発責任者の浜田浩成氏といった発注者や利用者にインタビューした映像を流していました。

ここでは隈との最初の出会いでの印象や仕事の段取りやすすめ方などについても語られていて、いわば建築を使う側の個人的でかつ肌感覚とも呼べるような声を聞くことができました。


第2会場のラストで公開されたが「東京計画2020 ネコちゃん建築の5656原則」とするプロジェクトでした。これはデザイン・イノベーション・ファームであるTakramと協働し、隈の住む神楽坂の猫の生態をBPSを用いてリサーチしたもので、東京湾に海上都市を築く丹下健三の「東京計画1960」への応答として発表されました。隈はいわゆるコロナ禍の現在において、「人は一箇所に定まらずテンテンと暮らし、スキマに入り込んで自らノラミチをつくっていくネコの生態」(解説より)に学ぶべきとしていて、建築を上からの視点ではなく、また人でもなく、より地面に近いネコの視点から見ることこそ、ヒューマンな建築が生まれると訴えました。


「スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店」 2011年

こうした視点は第1会場の「孔」、「粒子」、「斜め」、「やわらかい」、「時間」の5原則とも呼応していて、例えば「孔」はネコの通り道であり、「やわらかい」はネコの好きなものであるとしています。また「斜め」もネコは苦にすることなく移動するといいます。


「オドゥンパザル近代美術館(OMM)」 2019年

それこそネコの視点を追体験すべく、建築模型の中に潜むネコを辿りながら見るのも楽しいかもしれません。写真ではほとんど分かりませんが、模型の随所にネコがいました。


「国立競技場」のためのランプシェード 2019年

神楽坂の路地を自由に行き来し、建物の隙間を生きるネコの生態から着想を得つつ、今後の建築のあり方を提案する意欲的な建築展ではないでしょうか。この他、オリンピックの開幕を控えた「国立競技場」の家具や建物の一部、またペデストリアンデッキなどの模型も見応えがありました。


「浮庵(フアン)」 2007年 

混雑緩和のためにオンラインでの事前日時予約制が導入されました。会場受付でも当日券が販売されていますが、混雑時は入場規制が行われ、当日券の販売が終了する場合があります。


「住箱」 2016年

平日の夕方前に出かけてきましたが、会期の早い段階としては思いがけないほど賑わっていました。今後、土日や後半にかけて混み合う可能性があります。事前に予約してから出かけることをおすすめします。

9月26日まで開催されています。

「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:2021年6月18日(金)~9月26日(日)
時間:10:00~17:00。
 *金曜・土曜は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館。8月10日(火)、9月21日(火)は休館。
料金:一般1300(1100)円、大学生800(500)円、高校生以下無料。
 *当日に限り所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧可。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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「南桂子生誕110年記念 蝶の行方展」 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション

ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
「南桂子生誕110年記念 蝶の行方展」 
2021/4/10~6/6、6/12~8/9



ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションで開催中の「南桂子生誕110年記念 蝶の行方展」を見てきました。

1911年に富山県に生まれた南桂子は、戦後に油彩画を発表しながら、後に夫となる銅版画家の浜口陽三に出会うと版画を手がけるようになりました。

その南の初期から晩年の制作に加え、浜口陽三の作品を紹介するのが「南桂子生誕110年記念 蝶の行方展」で、銅版画を中心に約60点(入れ替えあり)が展示されていました。

ともかく南の作品で魅惑的なのが、あたかも何かの行方を指し示す道標のように鳥や蝶を表しながら、森や湖、それに教会や城などの風景を幻想的に描いていることで、おとぎばなしや童話を目の当たりにするかのようでした。

南が本格的に銅版画を学んだのは、1953年にフランスへ渡ってからのことで、後に作品がニューヨーク近代美術館のクリスマスカードやユニセフのグリーティングカードに採用されるなどして高い評価を得ました。


いずれの作品も穏やかな色合いと繊細な描線を特徴としていて、心に染み入るような静謐でかつ異国情緒に満ちた世界が広がっていました。

今回の展示で印象に深かったのは、銅版画とともに、南が集めていたアクセサリーが紹介されていたことでした。それらは石のブローチやネックレスなどで、時にまるで作品の中から飛び出してきたような鳥のモチーフが装飾されていました。南の感性が伺えるのではないでしょうか。

さらに浜口の銅版も見どころと言えるかもしれません。カラーメゾチントによる沈み込むような色彩で知られる作品ですが、心なしか他のスペースで見るよりもさらに色の深みが増しているように思えました。



展覧会を見終えた後は、併設のカフェ・ミュゼ・アッシュにてチョコレートケーキセットを頂きました。エントランス側に位置する5席ほどの極めて小さなスペースながら、黒蜜風醤油を混ぜ込んだ名物のマーブル醤油アイスや本格的なチョコレートケーキを楽しめます。



新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言を受け、発令期間中は電話での事前予約制が導入されましたが、6月22日以降は予約が不要となりました。


6月12日より後期展示に入りました。以降の作品の入れ替えはありません。

8月9日まで開催されています。

「南桂子生誕110年記念 蝶の行方展」 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション@musee_hamaguchi
会期:2021年4月10日(土)~6月6日(日)、6月12日(土)~8月9日(月・振休)
時間:11:00~17:00。
 *土日祝日は10時に開館。最終入館は16時半まで。
休館:月曜日。
料金:一般600円、大学・高校生400円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋蛎殻町1-35-7
交通:東京メトロ半蔵門線水天宮前駅3番出口徒歩1分。東京メトロ日比谷線人形町駅A2出口徒歩8分。都営浅草線人形町駅A5出口より徒歩10分。
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WEBメディア「イロハニアート」がオープンしました

「アートのイロハが分かる」をテーマに、展覧会からDIY情報までを取り上げたWEBメディア「イロハニアート」が、7月1日にオープンしました。



【イロハニアート】(@irohani_art
URL:https://irohani.art/

現在のところのコンテンツは「EVENT」、「LIFE」、「NEWS」、「STUDY」の4つで、それぞれ展覧会やアプリの、さらに音声ガイドやアート系映画作品から西洋美術史に関するコラムなどが掲載されていました。

【イロハニアートコンテンツ一覧】
EVENT:展覧会やアートフェスティバルなど、これから開催される注目のイベントに関する情報をご紹介します。
LIFE:「アートのある暮らし」は素敵ですが、何だかちょっと難しそうって思いませんか? アートを生活に取り入れるためのちょっとしたコツなどをお伝えします。
NEWS:業界を騒がせる最新ニュースや、SNSやWEBで話題の情報など、アートにまつわる様々な情報をご紹介。
STUDY:肩肘張らずに気軽に、自由に。イロハニアートで、アートを楽しみながら学びましょう。

今後「イロハニアート」では「アートの入口」を意識し、注目の展覧会だけでなく、いわゆるステイホームを過ごすためのアートのアイデアなども提供していくそうです。



アートのイロハがわかる新メディア『イロハニアート』をローンチ(PR TIMES)

この「イロハニアート」のライター陣の一員として私も記事を書くことになりました。第一弾は今月のおすすめの展示を紹介する「日本美術からデジタルアートまで!7月から開催される東京都内のおすすめ展覧会5選」です。



「日本美術からデジタルアートまで!7月から開催される東京都内のおすすめ展覧会5選」

普段、毎月ブログの「予定と振りかえり」にてまとめている開催情報から、いくつかの展覧会をピックアップした内容となります。今後も毎月情報を発信していく予定です。

またライターには、「アートの定理」の明菜さん (@Akina_art)や、アートライターの新麻記子さん (@shin_makiko)なども参加されています。お二人とも既に各方面のメディアに寄稿されていますが、今後は「イロハニアート」でも興味深く楽しい記事を読むことができそうです。

「声優ナレーションやBGM付きも!美術館の「音声ガイド」の使い方をおさらいしよう」
「これからスタートする美術展に合わせてチェックしておきたいアート系映画作品5選」

今後はブログ「はろるど」と同じく「イロハニアート」もご覧いただければ幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

【イロハニアート 運営会社概要】
会社名:株式会社エドムインクリメント
所在地:東京都港区南青山2-22-2 クインビル4、6F
代表者:吉村健
設立:2006年2月22日
URL:https://www.edomtt.co.jp/
事業内容:WEBサイト制作・運営・企画/アプリ制作/DTP関連制作/ITコンサルティング/
ゲーム制作/ベビー・キッズセレクトショップ運営
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2021年7月に見たい展覧会【包む-日本の伝統パッケージ/前川千帆/イスラーム王朝とムスリムの世界】

7月に入りました。新型コロナウイルス感染症対策に伴い、東京と近県にはまん延防止等重点措置がなされていますが、大半の美術館や博物館は時短や予約制などの対策を踏まえて開館しています。



一方で「茶の湯の美」の再開を一時検討していた出光美術館は、状況に鑑みて臨時休館を継続しました。よって「茶の湯の美」は中止となり、予定されていた「きらめきの日本美術 ―屏風絵と肉筆浮世絵」も開催が見合わせとなりました。以降のスケジュールについても、今後、大幅な見直しがなされるそうです。

この夏から秋に向けて、今月は数多くの展覧会が新たにスタートします。気になる展覧会をリストアップしてみました。

【展覧会】

・「アイヌの装いとハレの日の着物―国立アイヌ民族博物館の開館によせて」 渋谷区立松濤美術館(6/26~8/9)
・「2021イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」 板橋区立美術館(7/17~8/15)
・「グローバル化時代の現代美術―“セタビ”のコレクションで楽しむ世界旅行」 世田谷美術館(7/3~8/22)
・「藝大コレクション展 2021 I期 雅楽特集を中心に」 東京藝術大学大学美術館(7/22~8/22)
・「花を愛で、月を望む 日本の自然と美」 根津美術館(7/22~8/22)
・「自然が彩る かたちとこころ」 三井記念美術館(7/10~8/22)
・「山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選」 山種美術館(7/3~8/29)
・「ざわつく日本美術」 サントリー美術館(7/14~8/29)
・「Steps Ahead: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」 アーティゾン美術館(2/13~9/5)
・「ルネ・ラリック リミックスー時代のインスピレーションをもとめて」 東京都庭園美術館(6/26~9/5)
・「パビリオン・トウキョウ2021」 新国立競技場を中心とするエリア(7/1~9/5)
・「ボイス+パレルモ」 埼玉県立近代美術館(7/10~9/5)
・「包む-日本の伝統パッケージ」 目黒区美術館(7/13~9/5)
・「聖徳太子1400年遠忌記念 特別展 聖徳太子と法隆寺」 東京国立博物館・平成館(7/13~9/5)
・「マン・レイと女性たち」 Bunkamuraザ・ミュージアム(7/13~9/6)   
・「巨大映像で迫る五大絵師 -北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界」 大手町三井ホール(7/16~9/9)
・「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」 SOMPO美術館(6/25~9/12)
・「三菱創業150周年記念 三菱の至宝展」 三菱一号館美術館(6/30~9/12)
・「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」 パナソニック汐留美術館(7/3~9/20)
・「特別展 植物」 国立科学博物館(7/10~9/20)
・「大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―」 江戸東京博物館(7/10~9/20)
・「平木コレクションによる 前川千帆展」 千葉市美術館(7/13~9/20)
・「加藤翼 縄張りと島」 東京オペラシティアートギャラリー(7/17~9/20)
・「かこさとし展ーこどもはみらいにいきるひとー」 市川市文学ミュージアム(7/17~9/20)
・「日本民藝館改修記念 名品展II―近代工芸の巨匠たち」 日本民藝館(7/6~9/23)
・「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」 森美術館(4/22~9/26)
・「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」 東京国立近代美術館(6/18~9/26)
・「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ」 東京ステーションギャラリー(7/17~9/26)
・「THE北斎―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」 すみだ北斎美術館(7/20~9/26)
・「GENKYO 横尾忠則  原郷から幻境へ、そして現況は?」 東京都現代美術館(7/17~10/17)
・「ルール?展」 21_21 DESIGN SIGHT(7/2~11/28)
・「マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 イスラーム王朝とムスリムの世界」 東京国立博物館・東洋館(7/6~2022/2/20)

【ギャラリー】

・「伊藤彩展  Where is banana?」 三越コンテンポラリーギャラリー(7/7~7/19)
・「アウトサイダーアート展 Our Life is Our Art」 GYRE GALLERY(6/7~7/25)
・「still life 静物」 ギャラリー小柳(6/4­~7/31)
・「目 ただの世界」 SCAI THE BATHHOUSE(7/6~8/7)
・「玉山拓郎 Anything will slip off / If cut diagonally」 ANOMALY(7/17~ 8/14)
・「YOKOO LIFE 横尾忠則の生活」 ほぼ日曜日(7/17~8/22)
・「オリンピック・ランゲージ:デザインでみるオリンピック」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/20~8/28)
・「会田誠展 愛国が止まらない」 ミヅマアートギャラリー(7/7~8/28)
・「上村洋一 + エレナ・トゥタッチコワ Land and Beyond|大地の声をたどる」 ポーラ ミュージアム アネックス(7/21~8/29)

まずは目黒区美術館です。「包む-日本の伝統パッケージ」展が行われます。



「包む-日本の伝統パッケージ」@目黒区美術館(7/13~9/5)

これは戦前からアートディレクターとして活躍した岡秀行氏がコレクションした、木や竹に藁など自然を素材する伝統的なパッケージを紹介するもので、菓子や酒類の容器を中心に400点もの資料が公開されます。


同館では2011年にも岡氏の「包む」コレクションが展示され、美しい佇まいに私も大いに感銘を受けましたが、再び評判を集める展覧会となるかもしれません。

実に44年ぶりの大規模な回顧展です。千葉市美術館にて「平木コレクションによる 前川千帆展」が開催されます。



「平木コレクションによる 前川千帆展」@千葉市美術館(7/13~9/20)

1888年に京都に生まれた前川千帆は、木版を発表しては創作版画の普及に務め、恩地孝四郎や平塚運一とともに御三家と称されるほどの評価を得ました。


今回の展覧会では、主要な版画をはじめ、最初期の新聞や雑誌の投稿作品、あるいは版木などの資料を合わせて約350点がされます。また版画家の前に漫画家として活動していたこともあり、漫画の掲載誌やアニメーション映画なども紹介されます。「ほのぼの版画ワールド」と記されたチラシ表紙の作品からして魅惑的ではないでしょうか。

ラストはイスラーム美術の展覧会です。東京国立博物館にて「マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 イスラーム王朝とムスリムの世界」が開催されます。

「マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 イスラーム王朝とムスリムの世界」@東京国立博物館・東洋館(7/6~2022/2/20)

マレーシアのクアラルンプールに位置するマレーシア・イスラーム美術館には、工芸品や宝飾品など1万件以上ものイスターム美術品がコレクションされてきました。


その一端をコレクションを展示するのが「イスラーム王朝とムスリムの世界」で、特定の国家や地域によらない世界スケールにてイスラーム美術が紹介されます。なお会場は東京国立博物館の東洋館の第12、13室が用いられ、常設展(総合文化展)のチケットのみで観覧可能です。必ずしも身近とは言い難いイスラーム美術の奥深い魅力を辿ることができるかもしれません。

それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
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