「特別展 植物 地球を支える仲間たち」 国立科学博物館

国立科学博物館
「特別展 植物 地球を支える仲間たち」
2021/7/10~9/20



国立科学博物館で開催中の「特別展 植物 地球を支える仲間たち」を見てきました。

約4億7000万年前に祖先が陸上に進出したとされる植物は、地球上で繁栄を続け、現在においても最も広い空間を占める生物群となりました。


「青いキク」 農研機構

その植物を総合的に紹介するのが「特別展 植物 地球を支える仲間たち」で、模型や標本、映像やインスタレーション展示などにより、植物の生態のあり方を詳らかにしていました、


「ショクダイオオコンニャク」(実物大模型)

まず興味深いのが、花、果実などを巨大化、ないし矮小化した植物の展示で、大きすぎる花の集まりとして、インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林に自生する、高さ約3メートルもの「ショクダイオオコンニャク」の実物大模型に目を奪われました。


「ラフレシア」(実物大模型) 京都府立動物園

また東南アジアに分布し、約20種が知られる「ラフレシア」も単独の花としては世界一の大きさを誇っていて、直径は1メートルを超えていました。


「小さすぎる植物体」より「ミジンコウキクサ」

一方で小さすぎる植物として紹介されていたのが、長径が1センチにも見たない「ミジンコウキクサ」で、拡大模型が展示されていました。根もなく、重さも150マイクログラムしかないものの、増殖するスピードは凄まじく、水面を覆うほどに広がることがあるそうです。小さくとも生命力の強い植物といえるかもしれません。


「長生きすぎる葉」より「キソウテンガイ」 国立科学博物館

長生きすぎる葉として紹介された、アフリカ南西部のナミブ砂漠に生きる「キソウテンガイ」にも驚かされるのではないでしょうか。付け根に生長点のある葉は、毎日0.4ミリずつ葉を作っていて、葉先が枯れても数百年は成長し続けるとされています。個体の寿命は実に1500年にも及ぶそうです。


「プシロフィトン・プリンケプス」 前期デボン紀 国立科学博物館 ほか

植物の成長や進化のプロセスに関する展示も充実していたかもしれません。約4億7000万年前に陸上に進出した後、約4億3000万年前の頃には維管束を持つ植物が出現していて、現在のように菌類と共生がはじまりました。また根や葉を進化させた植物は、茎が太るものなど、巨大な体を支えるようになり、約3億8000万年前までにはシダ植物などを中心とした森が誕生しました。


「いろいろな被子植物の葉」 約300万年前 豊橋市自然史博物館

また現在、陸上植物はコケ、小葉、シダ、裸子、被子の5つのグループに分けられますが、それらは初めから揃っていたわけでなく、陸上進出後に進化を遂げることによって現れました。


左:「クックソニア・バランデイ」 約4億3200万年前 チェコ国立博物館
右:「クックソニア」(実物大模型) 大阪市立自然史博物館

「クックソニア・バランデイ」とは維管束植物の大型化石としては最初期の標本で、模型とともに化石そのものも世界で初めて公開されました。100年以上前にフランス人古生物学者が発見し、長くチェコ国立博物館に収蔵されていたものの、最近になって価値が再発見されたとのことでした。


「オドントプテリス・デュフレスノイ(葉)」 約3億年前 福井県立恐竜博物館

後期石炭紀を代表し、メデゥロサ類と呼ばれるシダ種子類の葉の化石である「オドントプテリス・デュフレスノイ(葉)」も目立っていて、葉の痕跡を具に観察することができました。

「本当は怖い植物たち」と題した、食虫植物や毒を持つ植物などを取り上げた展示も見応えがあったのではないでしょうか。


「ハエトリソウ」(約100倍拡大模型)と「モウセンゴケ」(約200倍拡大模型)

そのうち食虫植物ではハエトリソウやモウセンゴケの拡大模型とともに、実際にいきた植物も展示されていて、半ば異様ともいえるような形とともに生態のあり方を目の当たりにできました。


「生きた食虫植物」展示風景

こうした食虫植物は、栄養分が不足した土地や根での呼吸が難しい湿地などに生息していて、葉から小動物由来のリンや窒素を吸収しては生育に必要な栄養としてきました。


右:「ライオンゴロシの果実」 6倍拡大模型と実物 国立科学博物館
左:「ウンカリナ・グランディディエリ」 8倍拡大模型と実物 国立科学博物館

「凶暴な果実」とした「ライオンゴロシ」や「ウンカリナ・グランディディエリ」などの果実の展示も面白かったかもしれません。いずれも鋭利な突起を有していて、まるで武器のように見えました。


「キタダケトリカブト」 文化庁

可憐な花をつけた「キタダケトリカブト」にも目を引かれるのではないでしょうか。南アルプス北岳に固有で、日本に約50種類知られるトリカブト属の1つとして知られています。


「ハナトリカブトの塊根」(3倍拡大模型) 国立科学博物館

しかしそうした花の一方、根にはアコニチンと呼ばれる強力な毒を持っていて、人は毒を含む生薬として利用しながら、トリカブト自身も動物から食べられるのを防いできました。根は見るからに毒々しく、まさに植物の表と裏の姿といえるかもしれません。


「光合成FACTORY」展示コーナー

この他、遺伝子の作用を音楽で楽しめる「花の遺伝子ABCソング」や、光合成の仕組みをインスタレーションで学べる「光合成FACTORY」といった体感展示も楽しいのではないでしょうか。展示映像を除いた会場内の撮影も可能でした。


「ティランジアの仲間」

オンラインでの事前予約制が導入されました。入場の際は予め公式サイトより来場日時を指定しておく必要があります。


会期も残すところ約20日となりました。9月20日まで開催されています。なお東京での展示を終えると、大阪市立自然史博物館(2022年1月14日~4月3日)へと巡回します。

「特別展 植物 地球を支える仲間たち」@plants_nakama) 国立科学博物館@museum_kahaku
会期:2021年7月10日(土)~9月20日(月・祝)
休館:7月12日(月)、9月6日(月)。
時間:9:00~17:00。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生1900円、小・中・高校生600円。
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
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「北斎づくし」 東京ミッドタウン・ホール

東京ミッドタウン・ホール
「生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』」
2021/7/22~9/17



東京ミッドタウン・ホールで開催中の「生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』のプレス内覧会に参加してきました。

江戸時代後期に活躍した葛飾北斎は、20歳で浮世絵師としてデビューすると、90歳で没するまで活動し、生涯に渡って3万点もの膨大な作品を描きました。

その北斎の生誕260年を期して行われているのが「北斎づくし」で、代表作といえる「北斎漫画」、「冨嶽三十六景」、それに「富嶽百景」などの作品が一堂に公開されていました。



今回の北斎展の大きな特徴として挙げられるのが、「北斎漫画」、「冨嶽三十六景」、そして「富嶽百景」の全点、及び全図が公開されていることで、通常、見開きのみで展示される機会の多い「北斎漫画」についても883もの全てのページを鑑賞することができました。


「北斎漫画」第十一編

これは世界一の「北斎漫画」のコレクターとされる、浦上蒼穹堂の浦上満がコレクションを提供したことによって実現したもので、全15編、約500冊にも及ぶ「北斎漫画」が各巻毎にずらりと並んでいました。


「冨嶽三十六景」展示室

人気の「冨嶽三十六景」も全ての作品が揃っていて、有名な「神奈川沖浪裏」や「颱風快晴」なども一度に見ることができました。なお北斎が晩年に描いた「冨嶽三十六景」は、当初の36枚から10枚追加されたため、全部で46枚の作品が残されました。



こうした一連の全図公開と並んで展覧会の見どころといえるのが、作品を引き立てるような空間デザインとグラフィックでした。



まず空間デザインは建築家の田根剛が担っていて、「北斎漫画」の展示室では同作のモチーフを壁からバナー、床面、さらには展示台にプリントしていました。賑やかな縁日のような雰囲気が醸し出されていたかもしれません。


展覧会カタログ(特設ショップから)

また会場グラフィックを祖父江慎が手掛けていて、新聞サイズの超大判特製カタログのアートディレクションもつとめました。江戸時代の木版摺物に触発されたという546×406ミリものカタログは、もはや前例がないと言って良いほど個性的ではないでしょうか。


「読本」展示室

「新編水滸画伝」などの読本が並んだ展示室では、作品のモチーフが拡大されて壁や床にプリントされていて、あたかも絵の中に入り込んでいくような感覚を得ることができました。「北斎漫画」の白、「冨嶽三十六景」の赤、そして読本や「富嶽百景」の黒をそれぞれ基調とした展示室など、順を追って変化する空間構成も効果的だったかもしれません。


デジタル展示シアター

この他、北斎作品のアーカイブを用いたデジタル展示シアターでは、壁3面と和紙のスクリーンに「北斎漫画」や「冨嶽三十六景」のモチーフが映されていて、演出効果とともにライブ感をもって作品を楽しめました。



北斎のデザインを巧みに落とし込んだグッズが並ぶ特設ショップも魅惑的ではないでしょうか。グッズの制作秘話を極小の文字で書いた「グッズ小咄」も楽しく思えました。

混雑緩和のためオンラインでの日時予約制が導入されました。時間枠に余裕がある場合のみ、会場でも当日券を限定数販売しています。最新の販売情報については公式Twitterアカウント(@Hokusaidukushi)をご覧ください。


「北斎漫画」第八編

会場内のキャプションは限定的なため、作品への理解を深めるのに音声ガイドが有用かもしれません。作品解説に加え、浦上や田根などのインタビューも収録されていました。


一部展示を除いて撮影も可能です。(*本エントリの写真はプレス内覧会の際に主催者の許可を得て撮影しました。)



会期は中盤から終盤へと差し掛かりました。9月17日まで開催されています。

「生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』」@Hokusaidukushi) 東京ミッドタウン・ホール
会期:2021年7月22日(木.祝)~9月17日(金)
休館:8月24日、9月7日。
時間:11:00~19:00
 *最終入場は18:30まで。
料金:一般1800円、大学・専門学生1200、高校生・小中学生900円。
場所:港区赤坂9-7-2 東京ミッドタウンB1
交通:都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。
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「東京ビエンナーレ2020/2021『佐藤直樹 そこで生えている。2013-2021』」 正則学園高校

正則学園高校 6階教室
「東京ビエンナーレ2020/2021『佐藤直樹 そこで生えている。2013-2021』」
2021/7/30〜8/28



正則学園高校にて開催中の「東京ビエンナーレ2020/2021『佐藤直樹 そこで生えている。2013-2021』」を見てきました。

グラフィックデザイナーであり、2010年に「アーツ千代田3331」の立ち上げにも携わった佐藤直樹は、近年絵画制作へと重心を移し、個展や画集を刊行するなどして活動してきました。



その佐藤が東日本大震災後に制作し続けているのが絵画「そこで生えている。」シリーズで、植物といった自然をモチーフにして、実に250メートルの長さにまで描いてきました。



それこそ闇夜のジャングルの中へと誘われたような錯覚に囚われるかもしれません。会場である高校の6階のエレベーターを降りて目に飛び込んでくるのが、わずかな明かりのみに照らし出された「そこで生えている。」で、廊下から複数の教室へと迷路を築くように連なっていました。



いずれも木炭によって巨大な花や草木、さらには水の流れなどが木のパネルへ濃密に描かれていて、暗がりの空間にもかかわらず、どこか熱気のようなものが感じられました。



花や樹木はうねるような線によって象られていて、私が確認した範囲では動物は一切登場していませんでした。それこそ人跡未踏の地にて植物のみが繁茂しているような世界といえるかもしれません。



廊下から教室を埋め尽くすように連なる作品は全部で280枚ほどあり、長さも佐藤にとっての過去最長となる270メートルにも及ぶそうです。



また会場では何も描かれていない木の板も何枚か置かれていて、描きかけと思われる植物の断片も目にすることができました。一体全体、この作品は「完成」することがあるのでしょうか。



しばらく作品に見入りながら会場を歩いていると、植物の世界へと飲み込まれ、ここが学校の校舎の中であることを忘れてしまうほどでした。

なお現在、佐藤直樹展を開催中の正則学園高校では、1つ上のフロアの7階の体育館にて「池田晶紀《いなせな東京 Project》」が行われています。



こちらは写真家の池田昌紀が、いわゆる「神田っ子」をモデルに撮影した写真を公開するもので、体育館の壁から床、はたまた天井から吊られたバナーなどにポートレイトが展示されていました。



事務所や商店などを舞台に写したポートレイトも多く、モデルのほとんどの方が実に楽しそうな表情を見せているのも印象に残りました。それこそ神田の人々が持ち得ている活力を感じるような写真だったかもしれません。



東京ビエンナーレのパスポート(一般:2500円、学生:1900円)、もしくは個別鑑賞券(一般:500円、学生:350円)にて鑑賞可能です。



会期も残すところ2日となりました。8月28日まで開催されています。

東京ビエンナーレ2020/2021『佐藤直樹 そこで生えている。2013-2021』」(@tokyobiennale)  正則学園高校 6階教室
会期:2021年7月30日(金)〜8月28日(土)
休館:月・火曜日。
時間:11:00~18:00
料金:パスポート(一般2500円、学生1900円)、及び個別鑑賞券(一般500円、学生350円)。
場所:千代田区神田錦町3-1
交通:東京メトロ半蔵門線・都営三田線・新宿線神保町駅より徒歩6分。東京メトロ東西線竹橋駅より徒歩6分。
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「東京ビエンナーレ2020/2021『藤浩志 kaekko Expo.』」 アーツ千代田3331

アーツ千代田3331(2階体育館)
「東京ビエンナーレ2020/2021『藤浩志 kaekko Expo.』」
2021/8/17〜9/5



アーツ千代田3331(2階体育館)で開催中の「東京ビエンナーレ2020/2021『藤浩志 kaekko Expo.』」を見てきました。

現代美術家の藤浩志は、2000年頃から不要なおもちゃを交換できる「かえっこ」プログラムをはじめると、以来約20年以上に渡って全国各地にて展開してきました。

その藤の「かえっこ」の活動を検証し、蓄積されたおもちゃによるインスタレーションを見せたのが『藤浩志 kaekko Expo.』」で、体育館の広いスペースにて膨大なおもちゃが恐竜などを象っていました。



ともかく会場に入って目を見張るのは、アニメのキャラクターから乗り物、人形などのプラスチック製を中心としたおもちゃで、もはや数え切れないほどに集まっていました。



プラスチック製品とゴミに対する違和感を覚えた藤は、1997年に家庭のゴミを捨てない実験をはじると、後に子どもたちが使わなくなったおもちゃを物々交換できる「かえっこ」を立ち上げました。



一面に並ぶおもちゃも「かえっこ」によるもので、会場でも実際に不要なおもちゃを持ち込み、擬似通貨の「カエルポイント」に替えては、ポイントにて欲しいおもちゃと交換することができました。



おもちゃのインスタレーションは「トイパラダイス」と呼ばれていて、ぬいぐるみなどは体育館のステージまでに展開していました。そもそもこれほど大量のおもちゃを一度に見る機会自体からしてほとんどないのではないでしょうか。



また会場では子どもたちがおもちゃの破片などを用いて、様々な文字やかたちを作ったワークショップの成果も披露されていました。なおこのワークショップに参加することでも、おもちゃと交換可能な「カエルポイント」を入手できるそうです。



この他、マクドナルドが遊ばれなくなったハッピーセットのおもちゃを回収し、トレイに再生するリサイクルプロジェクトも紹介されていて、工場の模型で学ぶことができました。



藤はプラスチックを全面的に否定するのではなく、むしろ「素材と共に生まれ育ち」、「素材の出会いに感謝して楽しみ」、さらに「未来のあり方を考える」と語っています。*「」内は解説より



一見、華やかで賑やかなインスタレーションでありながら、しばらく見ているとおもちゃが全てを侵食していくような毒々しさが感じられるのも興味深く思えました。


事前予約制が導入されました。専用サイトより来場時間を指定する必要があります。



東京ビエンナーレのパスポート(一般:2500円、学生:1900円)、もしくは個別鑑賞券(一般:500円、学生:350円)にて鑑賞可能です。

9月5日まで開催されています。

東京ビエンナーレ2020/2021『藤浩志 kaekko Expo.』」(@tokyobiennale) アーツ千代田3331@3331ArtsChiyoda) 2階体育館
会期:2021年8月17日(火)〜9月5日(日)
休館:月・火曜日。
時間:12:00~19:00
 *最終入場は18:30まで。
料金:パスポート(一般2500円、学生1900円)、及び個別鑑賞券(一般500円、学生350円)。
場所:千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331 2階
交通:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分、東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分、都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分、JR御徒町駅南口より徒歩7分。
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「100%ORANGE オレンジ・ジュース」 千葉県立美術館

千葉県立美術館
「千葉の新進作家vol.2 100%ORANGE オレンジ・ジュース」
2021/7/13~9/20



千葉県立美術館で開催中の「千葉の新進作家vol.2 100%ORANGE オレンジ・ジュース」を見てきました。



イラストレーターの及川賢治と竹内繭子によるユニット「100%ORANGE」は、1990年代半ばより活動をはじめ、書籍や広告のほか、絵本や漫画などの創作でも幅広く活動してきました。



その2人の仕事を紹介するのが「千葉の新進作家vol.2 100%ORANGE オレンジ・ジュース」で、まさに濃縮還元100%オレンジ・ジュースならぬ、過去に作られたイラストレーションのエッセンスが濃縮するように展開していました。

さて「100%ORANGE」の創作の中で有名な作品をあげるとすれば、誰もが新潮文庫「Yonda?」キャンペーンに登場するパンダと答えるかもしれません。



これは2000年代に新潮社のプロモーション「Yonda?」シリーズのパンダのイラストレーションで、会場でもポスターから景品のマスコット、さらには絵本といったグッズなどが並んでいました。



私も「Yonda?」パンダの緑色のマグカップを持っていたことがありましたが、かつては書店にて大きく取り上げられたキャンペーンゆえに、知名度も高いのではないでしょうか。



「100%ORANGE」の作品の多くは「味わいのある輪郭線とあざやかな色面」(解説より)を特徴としていて、「Yonda?」においても黒く丸みを帯びた輪郭線がパンダをかわいらしく象っていました。



いずれも柏市出身である及川と竹内は、県内の高校で出会うと、家庭用のシルクスクリーンの印刷機であるプリントゴッコで手刷りしたポストカードを制作しては、フリーマーケットや雑貨店で販売しました。



全部で50種類ほど刷られたポストカードは、時に版が駄目になるまで何度も刷り重ねられ、次第に作品を見た人からイラストレーションの依頼を受けるようになりました。子どもたちやパンダなどの動物を描いたポストカードは、色数が2から3色に限定されていて、カジュアルでしゃれた雰囲気が感じられるのではないでしょうか。



普段の仕事机を再現したコーナー興味深いかもしれません。ここでは使い古しの鉛筆や消しゴム、ペンをはじめ、スケッチブックやラジオなどが置かれていて、2人のアトリエを見学しているような気にさせられました。



UFOや宇宙人、またはブッダなどをモチーフとした、こけしやマトリョーシカもかわいらしく見えました。これらは鎌倉のこけしとマトリョーシカの専門店「コケーシカ」で展示されたもので、七福神や当地の湘南をテーマとしたオリジナルの作品もありました。



CDジャケットや本の装丁、さらにペットボトルやお菓子のパッケージなども魅惑的ではないでしょうか。いずれもレトロで手作り感があり、なおかつ温かみが感じられるデザインでしたが、心なしか小さな作品に「100%ORANGE」ならではの個性がにじみ出ていたかもしれません。日常の生活へと取り入れては欲しくなるようなデザインばかりでした。



2007年には絵本「よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし」にて第13回日本絵本大賞を受賞し、2012年には及川のTwitterを基にした詩画集「ひとりごと絵本」を出版するなど、近年は絵本での活躍も目立っていました。



おそらくは2人の直筆と思われるキャプションも親しみやすいのではないでしょうか。作品の制作プロセスを伺えるような絵本の原画などにも見入りました。


作品のジャンルや30にも及んでいて、イラストから絵本、マンダ、さらにはアニメへと行き来する「100%ORANGE」のマルチな才能に感銘するものがありました。



会場内の撮影も可能でした。9月20日まで開催されています。

「千葉の新進作家vol.2 100%ORANGE オレンジ・ジュース」 千葉県立美術館@chiba_pref_muse
会期:2021年7月13日(火)~9月20日(月・祝)
休館:月曜日。但し月曜が祝日の場合は開館し、翌日休館。9月14日(火)。
時間:9:00~16:30。
 *入館は閉館の30分前まで。
 *7月31日(土)、8月6日(金)、7日(土)、8日(日)、13日(金)、14日(土)、20日(金)、21日(土)、27日(金)、28日(土)、9月3日(金)、4日(土)は19時半までの夜間開館。
料金:一般300円、高校・大学生150円、中学生以下、65歳以上無料。
 *20名以上は団体料金(2割引)
 *コレクション展と共通チケット
住所:千葉市中央区中央港1-10-1
交通:JR線・千葉都市モノレール千葉みなと駅より徒歩約10分。
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「平木コレクションによる 前川千帆展」 千葉市美術館

千葉市美術館
「平木コレクションによる 前川千帆展」
2021/7/13~9/20



千葉市美術館で開催中の「平木コレクションによる 前川千帆展」を見てきました。

1888年に京都に生まれた前川千帆(まえかわせんぱん)は、漫画家として活動しながら木版画を手掛けると、恩地孝四郎や平塚運一らとともに創作版画家の「御三家」と称されるほど評価されました。

その前川の画業を振り返るのが「平木コレクションによる 前川千帆展」で、新聞雑誌の投稿から漫画の原画、版画、はたまた版木など約350点もの作品と資料が展示されていました。*前後期で展示替えあり

はじまりは前川が「時事新報」や「ホトトギス」などへ投稿した漫画で、中には現存最古のアニメーション映画とされた幸内純一との共作「なまくら刀」といった映像も展示されていました。このほか、自動車に分乗して東海道を旅する様子を描いた「東海道五十三次漫画絵巻」も面白い作品かもしれません。

前川の木版で特徴的なのは人間が多く登場することで、自転車を追っかける犬をスピード感をもって描いた「四国の風景」など動きのある作品も少なくありませんでした。これらには漫画家として活動した経験も影響しているのかもしれません。

チラシ表紙を飾る「少女」は白い帽子をかぶった2人の女性が会話する姿を描いた作品で、簡略化された脚や刷り残しのようなタッチなどに素朴な味わいが感じられました。

「野外小品」と呼ばれる一連の連作は、文字通り野外における人の生活を表現していて、凧揚げや縄跳び、それに登山する人々などを描いていました。解説に「版画ジャーナリズム」とありましたが、前川ならではの人間観察眼が発揮された作品といえるかもしれません。



新宿三越の屋上を舞台とした「屋上風景」に魅せられました。これは眼下にビルを望むデパートの屋上に集うカップルをモチーフとした作品で、水色に染まる円形の建物や手すり、そして黄色やワイン色のドレスが美しいコントラストを描いていました。また一見、素朴なタッチでありながらも、人の影や衣服の線などがニュアンスに富んでいて、前川の高い表現力を伺い知るものがありました。

私が前川の仕事で特に心を惹かれたのは、「ゴールデン・バット動物園」や「閑中閑本」といった小さな本の作品でした。そのうち「閑中閑本」は子どもたちや花、お菓子、温泉地や過去の思い出などを自由に描いた連作で、第27冊まで刊行されました。いずれも手にとって愛でたくなるような絵ばかりで、小さな画面ながらも前川の創作の集大成といえるような魅力が感じられました。

前川は作品を官展などに出品する一方、会員制の形にて個人へ頒布していたそうですが、単に版画を作るのではなく、作品を通して受け手と繋がるような関係を重視していたのでしょうか。また戦後、多くの創作版画家が抽象へと向かう中、従来と同じく人や風景など具象にこだわり続けたことにも興味を引かれました。


最後に展示替えの情報です。会期中、前後期で一部の木版の作品が入れ替わります。詳しくは出品リストをご覧ください。

「平木コレクションによる 前川千帆展」出品リスト(PDF)
前期:7月13日(火)〜8月15日(日)
後期:8月17日(火)〜9月20日(月・祝)

なお前川の画業を網羅的に紹介するのは、1977年にリッカー美術館で開催された「前川千帆名作展」以来、実に44年ぶりのことだそうです。



私もチラシを手にしてから楽しみにしていましたが、また一人、心を奪われる版画家と出会ったような気がしました。

9月20日まで開催されています。おすすめします。

「平木コレクションによる 前川千帆展」 千葉市美術館@ccma_jp
会期:2021年7月13日(火)~9月20日(月・祝)
休館:8月2日(月)、8月16日(月)、9月6日(月)。
時間:10:00~18:00。
 *入場受付は閉館の30分前まで
 *毎週金・土曜は20時まで開館。
料金:一般1200(960)円、大学生700(560)円、高校生以下無料。
 *( )内は前売り、市内在住の65歳以上の料金。
 *「江戸絵画と笑おう」の共通チケット
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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「漫画『もしも東京』展」 東京都現代美術館

東京都現代美術館
「漫画『もしも東京』展」
2021/8/4〜9/5



日本を代表する20名の漫画家が「東京」をテーマに作品を描いた展覧会が、東京都現代美術館にて開かれています。

それが「漫画『もしも東京』展」で、同館内の講堂、水と石のプロムナード、さらには中庭にてインスタレーションを含む多様な作品を展示していました。


黒田硫黄「天狗跳梁聖橋下」

まずはじめの地下2階講堂では、浅野いにおや出水ぽすか、それに松本大洋ら18名の漫画家が新作を公開していて、中には黒田硫黄の屏風仕立ての「天狗跳梁聖橋下」や松井優征の天井付近にまで達する「都庁ロボ」といったコマから飛び出したような大きなスケールの作品もありました。


「漫画『もしも東京』展」講堂展示風景

またいずれもコマへと入り込む小部屋にて作品を展示していて、それこそ街の路地を彷徨うようにして鑑賞できるように作られていました。


松本大洋「東京の青猫」

松本大洋は、詩人、荻原朔太郎が「青猫」にて詠った東京に着想を得た「東京の青猫」を展示していて、ビルの立ち並ぶ道路や海から都内を一望した景色などを繊細なタッチで描いていました。いわば「青猫」とのコラボレーションと呼べるのかもしれません。


太田垣康男「the next day」

太田垣康男の「the next day」は、漫画家としてデビューするために上京した後の経験を描いていて、東京の街や様々な人との出会いなどのストーリーを辿ることができました。なお本作はかつて上京前夜までを描いた1989年のデビュー作、「My revolution」の続編に当たるそうです。


浅野いにお「TP」

このほか、近未来の東京を舞台に恋愛物語を展開した浅野いにおの「TP」も面白いのではないでしょうか。また単に東京をテーマにした作品と言っても、過去の思い出や好きな場所を素材にしていたり、さらには全くのパラレルワールドを設定するなど多様であるのも楽しく感じられました。


大童澄瞳「East East」

講堂に続くのが屋外の「水と石のプロムナード」で、大童澄瞳が6つの透明なアクリル板による「East East」を展示していました。そこには東京の環境や状態をカブや温室、また神秘的な人の姿に置き換えて描いていて、まるで複数の漫画のコマが立体的に展開したインスタレーションのようでした。

ラストの中庭では石塚真一が、サックスを演奏する人物を表した「Tokyo Sound」を公開していました。


石塚真一「Tokyo Sound」

これはジャズを主題とした「BLUE GIANT」の主人公をモデルとしていて、サックスの部分に東京スカイツリーや新国立競技場などの東京の名所がコラージュするように描いていました。


石塚真一「Tokyo Sound」(サックス部分)

写真や遠目からでは分からないかもしれませんが、道路や電車、また都内の建物、さらには寿司やダルマといった日本のモチーフも細かに散りばめられていました。知っている場所を探してみるのも楽しいかもしれません。


小畑友紀「願い」

オンラインでの事前予約システムが導入されました。屋外の展示は自由に観覧可能でしたが、講堂については予約がないと入場できません。


松井優征「都庁ロボ」

観覧は無料、撮影もできました。


夏の1ヶ月間限定の展覧会です。9月5日まで開催されています。*一番上の作品は萩尾望都「江戸〜東京 300年マーチ」

「漫画『もしも東京』展」@moshimo_tokyo) 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2021年8月4日(水)〜9月5日(日)
休館:8月16日・23日
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:無料。*講堂のみ事前予約制
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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「イサム・ノグチ 発見の道」 東京都美術館

東京都美術館
「イサム・ノグチ 発見の道」
2021/4/24~8/29



東京都美術館で開催中の「イサム・ノグチ 発見の道」を見てきました。

20世紀を代表する芸術家のイサム・ノグチは、彫刻だけでなく、舞台芸術やプロダクトデザインなどの幅広い分野で活動し、多くの作品を残しました。

そのノグチの彫刻世界を紹介するのが「イサム・ノグチ 発見の道」で、美術館内の地下から地上2階へと至る3層のフロアに約90点の作品が展示されていました。


「彫刻の宇宙」会場風景

今回の展覧会の大きな魅力は、「彫刻と空間は一体である」と考えていたノグチの思考を、美術館内にて体現するような構成にあったかもしれません。


「かろみの世界」会場風景

3つのフロアはそれぞれ「彫刻の宇宙」、「かろみの世界」、「石の庭」と名付けられていて、いずれも細かい区切りを用いずに彫刻を置き、来場者が自由に回遊しながら鑑賞できるように作られていました。


「あかり」インスタレーション

まず「彫刻の宇宙」では「化身」や「黒い太陽」、それに「発見の道」などの1940年代から最晩年(1980年代)までの作品を展示していて、中央には150灯にも及ぶ「あかり」のインスタレーションが光を緩やかに明滅させていました。


手前:「化身」 1947年(1972年鋳造) イサムノグチ財団・庭園美術館 公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与

そのうち「化身」は、複数のパーツを組み合わせた「インターロッキング・スカルプチュア」を代表する作品で、ヒンドゥー教の神の姿をテーマとしていました。ノグチがシュルレアリスムの影響を受けた時期の頃に作られたもので、それこそミロの絵画のモチーフなどを連想させる面があるかもしれません。


手前:「ヴォイド」 1971年(1980年鋳造) 和歌山県立近代美術館

仏教用語で「すべてのものの存在する場所」を意味する「ヴォイド」も存在感があったのではないでしょうか。まるで一筆で描いたような円は禅をイメージさせていて、中央の孔には力が漲っているように思えました。


「かろみの世界」会場風景 手前:「黒いシルエット」 1958〜1959年 和歌山県立近代美術館

1つ上のフロアの「かろみの世界」では、ノグチのルーツの1つである日本文化の特徴といえる「軽さ」をテーマとしていて、金属の折り紙とも呼ばれる「黒いシルエット」や「山つくり」、それに「新石器時代」などが展示されていました。


右:「リス」 1988年 香川県立ミュージアム

いずれも薄い金属板を素材としていて、シャープな切れ味を見せながらも、丸みを帯びた曲線などによるのか、不思議と温かみがあるように思えました。最晩年の「りす」などは可愛らしく微笑ましい作品ではないでしょうか。


「プレイスカルプチュア」 1965-80年頃

このほかには太く赤い鋼管が宙で円を描くような「プレイスカルプチュア」も並んでいて、上に乗ることこそかなわないものの、それこそ遊具ならではの遊び心が感じられました。



また「かろみの世界」においてもいくつかの「あかり」が展示されていて、白く淡い光を放っていました。この浮遊感のある「あかり」もノグチのかろみを体現した作品といえるかもしれません。


ラストの2階展示室における「石の庭」は、ノグチがアトリエを構えた香川県牟礼町の「イサム・ノグチ庭園美術館」に残る石彫作品が展示されていて、「かろみ」とは一転しての重厚な石の彫刻が美術館内に庭を築き上げていました。

ここでは庭園美術館を捉えた映像も紹介されていて、同地の雰囲気を臨場感をもって知ることができました。なお一連の石彫がイサム・ノグチ庭園美術館以外で展示されるのは、同館開館以来、初めてのことでもあります。


手前:「黒い太陽」 1967〜69年 国立国際美術館

一点一点の作品はもとより、作品同士が互いに関わっては築き上げる空間そのものが魅力的だったのではないでしょうか。やや天井高に制約のある都美館ながらも、作品や空間から瞑想を誘うような内省的ともいえる展示だったかもしれません。


「彫刻の宇宙」会場風景

会場内、地下と1階展示室のみ撮影が可能でした。私は平日の夕方前に出かけましたが、閉館30分前を過ぎるとかなり人出が減っていくように見受けられました。撮影を楽しみたい方は夕方を狙って出向くのも良いかもしれません。


「下方へ引く力」 1970年 横浜美術館

WEBでの事前予約制が導入されました。なお当日の入場枠に空きがある場合は、当日券を窓口にて購入できます。

会期も残すところあと2週間となりました。8月29日まで開催されています。

「イサム・ノグチ 発見の道」@IsamuNoguchi21) 東京都美術館@tobikan_jp
会期:2021年4月24日(土)~8月29日(日)
時間:9:30~17:30
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日
料金:一般1900円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1000円。高校生以下無料。
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
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「ざわつく日本美術」 サントリー美術館

サントリー美術館
「開館60周年記念展 ざわつく日本美術」
2021/7/14~8/29



「心のざわめき」をきっかけに、日本美術の魅力を紹介する異色の展覧会が、サントリー美術館にて開かれています。

それが「開館60周年記念展 ざわつく日本美術」で、会場には絵画や工芸、染織から仏像など約90点超の作品が展示されていました。

さてチラシ表紙からして極めて独創的なデザインですが、展示構成もかつてないほどユニークだといえるかもしれません。


「尾上菊五郎」 明治8(1875)年頃

何しろ第1章「うらうらする」、第2章「ちょきちょきする」、第3章「じろじろする」、第4章「ばらばらする」、第5章「はこはこする」、第6章「ざわざわする」と分かれていて、一見しただけでは何を意味しているのか分からないほどでした。

まず最初の「うらうらする」とは、「うら」、つまり作品の裏側のことで、通常、あまり見ることの叶わない屏風や能面などの裏側を鑑賞できるように工夫されていました。


「弁財天曼荼羅図」 室町時代 応永13(1406)年

そのうち興味深いのは室町時代の「弁財天曼荼羅図」で、2016年に解体修理された後に残った古い表装とともに展示されていました。この古い表層には1446年にお寺へ寄進されたこと示す紙や、1661年に修理されたことが記されていて、いわば作品の来歴を古い表装の裏から知ることができました。


「舞踊図」 江戸時代 17世紀

第2章の「ちょきちょきする」とは、作品の切断された歴史に着目していて、例えば現在は額装されているものの、かつては屏風だったと推測される「舞踊図」をあたかも屏風のようにジグザグに並べていました。


「水色地霞牡丹枝垂桜流水菊菖蒲模様烈地」 琉球王国〜明治時代 19世紀

紅型で染めた布を用いた「水色地霞牡丹枝垂桜流水菊菖蒲模様烈地」の展示も面白く思えました。烈地の下半分に継接ぎの跡が見えることから、衣装を切り貼りしたと考えられていて、衣装の姿をパネルで復元していました。元の姿を分かりやすい形で想像できるのではないでしょうか。


「ばらばらする」展示風景

第4章の「ばらばらする」も楽しい展示でした。ここでは硯箱や切子などの蓋のついた器を身と蓋に分けて置いていて、それぞれのデザインや技法の違いを意識的に見比べられました。


「ばらばらする」より硯箱の展示風景

硯箱は身が手前、蓋が奥にそれぞれ別々に並んでいて、「本物のセットを探してください」とクイズ形式にて楽しむことができました。通常、セットで置かれる硯箱の身と蓋を分けることからして斬新な展示といえるかもしれません。


「はこはこする」展示風景

謎めいた第5章の「はこはこする」とは、作品を収める箱に着目した展示でした。しかも単に作品の中身と箱を隣に並べるのではなく、全てばらばらに置いていて、会場内の床に引かれた線を行き来することで初めて両者の関係が分かるようになっていました。かつてないような大胆な試みだったのではないでしょうか。


楽道入「黒楽四方茶碗 銘山里」の箱

また単に箱といっても、例えば楽道入の「黒楽四方茶碗 銘山里」では、総箱、旧箱、新しい二重箱の内箱と外箱と4つもあり、所有者が変わるたびに新調される箱や箱書についても知ることができました。


国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」(右)とその箱(左)

さらに国宝の「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」には、箱裏に「北条政子が愛玩した7つの手箱のひとつ」であり、「今日まで欠損を免れたのは政子の霊力のお陰」などとする長文の箱書が記されていて、箱を通した作品への畏怖の念が感じられました。


国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」 鎌倉時代 13世紀

同手箱はサントリー美術館のコレクション中でも傑作として知られ、たびたび公開されてきましたが、まさか箱へこのように重みのある箱書が記されているとは思いもよりませんでした。


「鍍金龍文螺鈿説相箱」 江戸時代 19世紀

この他、作品の細部に着目した「じろじろする」や、心にざわめきを与えるような作品を取り上げた「ざわざわする」も面白かったのではないでしょうか。


「切子 蓋付鉢」 江戸時代 19世紀

心のざわめきは人それぞれかもしれませんが、ユニークな切り口によって日本美術鑑賞に新たな知見や気づきを与える展示だと思いました。


狩野晴川養信「四季耕作図屏風」 江戸時代 文政8(1825)年

会場内の写真撮影が可能でした。


予約は不要です。8月29日まで開催されています。

「開館60周年記念展 ざわつく日本美術」 サントリー美術館@sun_SMA
会期:2021年7月14日(水)~8月29日(日)
休館:火曜日。*8月24日は18時まで開館。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
 *金・土曜は20時まで開館。
料金:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分
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石上純也「木陰雲」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
石上純也「木陰雲」
2021/7/1~9/5



パビリオン・トウキョウ2021で開催中の石上純也「木陰雲」を見てきました。

東京・九段下に戦前に建てられた邸宅の庭に、建築家の石上純也は、木造の柱と屋根によるパビリオン「木陰雲」を築きました。



会場のkudan houseとは1927年、実業家の山口萬吉の邸宅として建てられたもので、2018年にリノベーションされ、会員制オフィスとして利用されてきました。また同年には国の有形文化財に登録されました。



ちょうど九段下駅から坂を上り、靖国神社の手前を右手に折れた先に位置していて、都心とは思えないほど鬱蒼とした木々に囲まれた建物は趣深いものがありました。なお当初の建設時には内藤多仲や木子七郎らが関わりました。



石畳を手前に樹木の茂る庭には、石上が「日除け」と呼ぶパビリオンが築かれていて、それぞれの柱と屋根とが既存の樹木を避けるように組み上げられていました。



屋根の部分がいくつもの大きな穴が開いていて、そこから木立の葉を透かすようにして太陽の光が差し込んでいました。



杉を用いた木は表面が炭化していて、いずれも黒く爛れていました。どことなく廃墟のような雰囲気も感じられるかもしれません。



庭園の随所には白い椅子が置かれていて、しばらく座りながら、時折風に揺れる木々のざわめきなどを感じることができました。



黒く焦げた木と元々存在する古い樹木のコントラストも面白いのではないでしょうか。これほど木漏れ日が美しく見えたのも久しぶりでした。



飛び込みでも観覧可能ですが、混雑時は入場制限を行う場合があります。最新の情報はパビリオン・トウキョウ2021の公式サイトをご確認ください。


なお会場のkudan houseでは、8月6日より現代美術家による展示、「The Still Point – まわる世界の静止点」も開催されています。(事前予約制。9月5日まで)あわせて見に行くのも良いかもしれません。

8月第3週以降は月曜日がお休みです。9月5日まで開催されています。

石上純也「木陰雲」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)~9月5日(日)
時間:10:00~18:00。
 *入場規制を行う場合あり。
休館:7/5、7/12、7/13、7/14、7/19、7/22〜27、8/2、8/10、8/16、8/23、8/30
料金:無料
住所:千代田区九段北1-15-9 kudan house 庭園
交通:東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線九段下駅1出口より徒歩5分。
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「包む-日本の伝統パッケージ」 目黒区美術館

目黒区美術館
「包む-日本の伝統パッケージ」
2021/7/13~9/5



目黒区美術館で開催中の「包む-日本の伝統パッケージ」を見てきました。

戦前からアートディレクターとして活躍し、木や竹、それに藁などの自然の素材を用いた日本の伝統的なパッケージに魅了された1人の人物がいました。

それが1905年に生まれ、戦後に東京商業美術家協会を設立するなどした岡秀行で、すし桶や菓子箱をはじめとした食品や酒類の包装や容器を数多くコレクションしました。



岡のコレクションは1970年代半ばにアメリカにて公開されると、1980年代半ばには世界各地の展覧会でも紹介され、高い評価を得てきました。

そして岡は日本の美術館での展覧会と収蔵を模索すると、1988年に趣旨に賛同した目黒区美術館が「5つの卵はいかにして包まれたかー日本の伝統パッケージ」展を行い、国内の公立美術館として初めて公開しました。

展示後にコレクションを譲り受けた目黒区美術館では「<包む>コレクション」として保管し、2011年には所蔵作品展として展示するなどして世に紹介してきました。

今回は同館では3度目となる伝統パッケージの展覧会で、会場には木、竹、笹、紙や布などによって作られた約400点にも及ぶ「<包む>コレクション」が並んでいました。



まず最初は「<包む>コレクション」を素材別に展示していて、ひご竹の先に小さなさらしあめを付けて竹筒に挿した「ささらあめ」や、1000年以上の歴史を有するという曲げ物桶の「釣瓶鮓」などに魅了されました。



素材を問わずに酒に関した容器が目立っていて、「澤之鶴」といった一斗樽などに混じって、岡秀行の名が記された焼酎「天盃」の酒瓶もありました。愛用していたのでしょうか。

また例えば一口に竹と言っても、カゴや筒、皮など、多様な素材を用いていることも興味深いかもしれません。今も京都で人気の銘菓として知られ、竹皮の箱に菓子を詰めた阿闍梨餅などに目を引かれました。



後半は「伝統の美」・「生活の美」と題して、結納目録や祝儀袋、それに卵つとや米俵などが展示されていました。そのうちチラシ表紙にも掲載された卵つととは、卵を割れないように藁で包んだ入れ物で、実用性を持ちながらデザインとしても洗練されているように思えました。



岡の業績と日本の社会やデザインの動きを表した年表や、著作物を展示した「岡秀行コーナー」や、日本の民俗文化を紹介した映像「包 日本の伝統包装」(35分)も見どころかもしれません。



10年前とほぼ同一の構成でしたが、岡の伝統パッケージコレクションを鑑賞できる貴重な機会ではないでしょうか。なお会場内に設けられた白線の内側からのみ、展示室内の撮影が可能でした。


9月5日まで開催されています。おすすめします。

「包む-日本の伝統パッケージ」 目黒区美術館@mmatinside
会期:2021年7月13日(火)~9月5日(日)
休館:月曜日。但し8月9日(月・休)は開館し、8月10日(火)は休館。
時間:10:00~18:00
 *入館は17時半まで。
料金:一般800(600)円、大高生・65歳以上600(500)円、小中生無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:目黒区目黒2-4-36
交通:JR線、東京メトロ南北線、都営三田線、東急目黒線目黒駅より徒歩10分。
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草間彌生「オブリタレーションルーム」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
草間彌生「オブリタレーションルーム」
2021/7/1~9/5



パビリオン・トウキョウ2021で開催中の草間彌生「オブリタレーションルーム」を見てきました。

現代美術家の草間彌生は、パビリオン・トウキョウ2021において、全てが真っ白な部屋に鑑賞者がカラフルな丸いシールを貼っていく「オブリタレーションルーム」を築きました。

会場は渋谷区役所の第二美竹分庁舎で、地下鉄各線渋谷駅のB1出口を出て歩いて2〜3分程度でした。



「オブリタレーションルーム」は、リビングやキッチン、また和室などによって構成された空間で、実寸大の家具や照明、冷蔵庫などの家電、さらに食器やカーテン、洋服といった生活に関する用品が全て白く塗られていました。



写真フレームから椅子、さらにサボテンの植えられた鉢、はたまた地球儀に靴や玩具なども置かれていて、まさにアパートの一室に立ち入ったかのようでしたが、全てが真っ白なゆえか、不思議とリアリティーが感じられませんでした。



ここでは受付時に配布されるカラフルなシールを貼り付けることができて、家具やテーブルはおろか、壁や床にまで色鮮やかな水玉模様が広がっていました。



水玉は時に曲線を描きながら長く続いていたかと思うと、動物の脚などを象ったりもしていて、どこに何色のシールを貼るのかは全て来場者の意志に委ねられていました。



「オブリタレーション(自己消滅)」とは、草間彌生(1929年〜)にとって1960年代からの長年のテーマです。水玉が身体や空間を覆うことで、自身の身体も他者もすべてが水玉の中に消滅していきます。 *パブリオン・トウキョウ2021より



時にポップな印象も与えられる草間の水玉ですが、コロナ禍が続く現状ゆえか、例えばウイルスや飛沫の拡散などのイメージが頭によぎるのも興味深く思えました。



完全参加型のインスタレーションです。会期が進むにつれて水玉は増え、部屋の景色は変わり、最後はそれこそ水玉に埋め尽くされては消滅、ないし同化していくのかもしれません。


入場にはWEBでの事前予約が必要です。ArtSticker専用サイトにて、毎週日曜日の12時に、翌日月曜から1週間分の予約を受付けています。空きがある場合は当日も予約を受付けていますが、飛び込みでの観覧できません。



1枠20分毎の入れ替え制です。私が出向いた際は平日の夕方でしたが、会場内に4〜5名程度の来場者が見られる程度で、特に混み合う混ことはありませんでした。概ね10名を上限に枠が設定されているようです。

9月5日まで開催されています。

草間彌生「オブリタレーションルーム」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)~9月5日(日)
時間:10:00~18:00。
 *1枠20分毎の入れ替え制。
休館:会期中無休
料金:無料
住所:渋谷区渋谷1-18-21 渋谷区役所 第二美竹分庁舎
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線渋谷駅B1出口より徒歩2分。JR線渋谷駅宮益坂方面出口より徒歩7分。
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2021年8月に見たい展覧会【川瀬巴水/もしも東京/バンクシーって誰?】

1年延期された東京2020オリンピック競技大会が開幕し、連日、競技の様子がテレビなどで伝えられています。



一方で新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴い、東京都に発出された緊急事態宣言はさらに延長され、神奈川県や埼玉県、それに千葉県に出されていたまん延防止等重点措置も緊急事態宣言に切り替わりました。但し休業要請の範囲は以前と変わらないため、東京と近郊の美術館と博物館の多くは開館しています。

8月に見たい展覧会をリストアップしました。

【展覧会】

・「グローバル化時代の現代美術―“セタビ”のコレクションで楽しむ世界旅行」 世田谷美術館(7/3~8/22)
・「藝大コレクション展 2021 I期 雅楽特集を中心に」 東京藝術大学大学美術館(7/22~8/22)
・「花を愛で、月を望む 日本の自然と美」 根津美術館(7/22~8/22)
・「自然が彩る かたちとこころ」 三井記念美術館(7/10~8/22)
・「イサム・ノグチ 発見の道」 東京都美術館(4/24~8/29)
・「山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選」 山種美術館(7/3~8/29)
・「東京藝術大学スーパークローン文化財 謎解き『ゴッホと文化財』展」 そごう美術館(7/31~8/31)
・「Steps Ahead: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」 アーティゾン美術館(2/13~9/5)
・「ルネ・ラリック リミックスー時代のインスピレーションをもとめて」 東京都庭園美術館(6/26~9/5)
・「漫画 もしも東京」 東京都現代美術館(8/4~9/5)
・「マン・レイと女性たち」 Bunkamuraザ・ミュージアム(7/13~9/6)   
・「生誕260年記念企画 特別展 『北斎づくし』」 東京ミッドタウン・ホール(7/22~9/17)
・「紀伊国屋三谷家コレクション 浮世絵をうる・つくる・みる」 日比谷図書文化館(7/17~9/19)
・「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」 パナソニック汐留美術館(7/3~9/20)
・「大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―」 江戸東京博物館(7/10~9/20)
・「平木コレクションによる 前川千帆展」 千葉市美術館(7/13~9/20)
・「千葉の新進作家 vol.2 100%ORANGE オレンジ・ジュース」 千葉県立美術館(7/13~9/20)
・「加藤翼 縄張りと島」 東京オペラシティアートギャラリー(7/17~9/20)
・「かこさとし展ーこどもはみらいにいきるひとー」 市川市文学ミュージアム(7/17~9/20)
・「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」 大田区立郷土博物館(7/17~9/20)
・「日本民藝館改修記念 名品展II―近代工芸の巨匠たち」 日本民藝館(7/6~9/23)
・「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」 森美術館(4/22~9/26)
・「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ」 東京ステーションギャラリー(7/17~9/26)
・「THE北斎―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」 すみだ北斎美術館(7/20~9/26)
・「KAWS TOKYO FIRST」 森アーツセンターギャラリー(7/16~10/11)
・「GENKYO 横尾忠則  原郷から幻境へ、そして現況は?/MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」 東京都現代美術館(7/17~10/17)
・「能 Noh~秋色モード~」 大倉集古館(8/24~10/24)
・「ルール?展」 21_21 DESIGN SIGHT(7/2~11/28)
・「バンクシーって誰?展」 寺田倉庫G1ビル(8/21~12/5)

【ギャラリー】

・「玉山拓郎 Anything will slip off / If cut diagonally」 ANOMALY(7/17~ 8/14)
・「YOKOO LIFE 横尾忠則の生活」 ほぼ日曜日(7/17~8/22)
・「オリンピック・ランゲージ:デザインでみるオリンピック」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/20~8/28)
・「会田誠展 愛国が止まらない」 ミヅマアートギャラリー(7/7~8/28)
・「上村洋一 + エレナ・トゥタッチコワ Land and Beyond|大地の声をたどる」 ポーラ ミュージアム アネックス(7/21~8/29)
・「アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth」 TOTOギャラリー・間(6/24~9/12)
・「ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展」 銀座メゾンエルメス(8/13〜11/30)

まずは版画家ゆかりの地での回顧展です。大田区立郷土博物館にて「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」が行われています。



「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」@大田区立郷土博物館(7/17~9/20)

大正から昭和にかけて活動した新版画家の川瀬巴水は、画業の大半の大田区にて過ごしつつ、全国を旅しては風景版画を制作しました。その大田区の郷土博物館にて開かれるのが「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」で、初期から晩年にかけての作品、約400点が公開されます。

なお会期は前後期の2期制で、前期は「東京」(7月17日〜8月15日)、後期は「旅先」(8月19日〜9月20日)での作品を中心に展示されます。あわせて見ておきたいところです。

続いては入場無料(事前予約制)の漫画の展覧会です。東京都現代美術館にて「漫画 もしも東京」が開催されます。



「漫画 もしも東京」@東京都現代美術館(8/4~9/5)


これは萩尾望京都や松本大洋、浅野にいおや出水ぽすかといった20名の漫画家が、東京をテーマに作品を描き下ろしたもので、「読む東京、歩く漫画」をコンセプトに、地下2階講堂や中庭、水と石のプロムナードなどの多様な場所に展示されます。歩いて巡りながら漫画を鑑賞する新しい形の展覧会となりそうです。

ラストは現代美術です。寺田倉庫G1ビルにて「バンクシーって誰?展」が開かれます。



「バンクシーって誰?展」@寺田倉庫G1ビル(8/21~12/5)

イギリスを拠点に活動する匿名のアーティスト、バンクシーは、世界各地のストリートで作品を残すだけでなく、テーマパークなどの演出を手がけ、いわばアート界の異端児として世界的に知られてきました。


そのバンクシーの作品を街並みを再現した展示空間にて紹介するのが「バンクシーって誰?展」で、あわせてプライベート・コレクターによるコレクションも公開されます。世界各地を巡回した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」を日本オリジナルに再構成した展覧会となるそうです。


8月に始まる展覧会は多くありません。しばらくはまだ見られていない近場の展覧会を追っていきたいと思います。

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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