都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
2010年 私が観た美術展 ベスト10
ギャラリー編に引き続きます。私が今年観た展覧会の中で印象に残ったものを挙げてみました。
「2010年 私が観た美術展 ベスト10」
1.「マネとモダン・パリ」 三菱一号館美術館
マネの黒はどこか不穏なまでの雰囲気をたたえながらも有無を言わさぬ迫力があります。単独回顧展でなく、同時代の画家やパリの変遷とも関係づけた企画そのものも大変に充実していました。作品と企画力の双方での勝利です。
2.「ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える」 東京国立近代美術館
年明け早々の展覧会でしたが、今でもケントリッジのアニメーションを見た時の驚きは忘れられません。初期の社会的な作品から近作の実験的な作品など、古くも新しい彼の魅力を存分に堪能出来ました。
3.「ルーシー・リー展」 国立新美術館
今年一番美しかった展示は何かと問われれば間違いなくこれです。器と器の色と形が響きあう空間は至福の体験をもたらします。また繊細な色味を見事に再現した図録も宝物となりました。
4.「内藤礼」 神奈川県立美術館鎌倉館
シンプルなインスタレーションから喚起される想像力は無限です。美術館の上空でひらひらと舞う白い紐はあたかも精霊たちのカップルのようでした。
5.「美しき挑発 レンピッカ展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
「私の作品はどれも自画像である。」と言って憚らなかったレンピッカの視線に釘付けです。強烈な自我の裏側に潜むアンニュイな雰囲気は彼女の送った波瀾万丈の人生が反映されているように思えてなりませんでした。
6.「特別展 長谷川等伯」 東京国立博物館
「空前絶後」とうたわれたのも全く誇張ではありません。細密な仏画にはじまり、絢爛豪華な障壁画、そして松林図に代表される水墨の世界と、時代の荒波に生きた長谷川等伯の多芸な画業を一同に楽しむことが出来ました。
7.「古賀春江の全貌」 神奈川県立近代美術館葉山館
回顧展好きの私ですが、中でも特に魅力を感じたのがこの古賀春江展です。38歳の若さで倒れるまで目まぐるしく変化した画風を、代表作はもとより、豊富な資料で一気に辿ることが出来ました。また葉山館から望む海の色と古賀のブルーが重なって見えたのも良い思い出でした。
8.「ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界」 Bunkamura ザ・ミュージアム
魑魅魍魎の世界を描くブリューゲルの魅力を余すことなく伝えます。詳細な解説の他、同時代の画家との比較など、練り込まれた構成にも目を見張るものがありました。もちろん森先生の力の入った図録が素晴らしかったのも言うまでもありません。
9.「田中一村 新たなる全貌」 千葉市美術館
今年好調だった千葉市美からはやはり話題の田中一村を挙げなければなりません。人気の奄美時代だけではなく、今回の展示のために調査研究が行われた千葉時代の作品も丹念に紹介していました。これまでにない一村展であったことは間違いなさそうです。
10.「長谷川りん二郎展」 平塚市美術館
「現実を越えて、現実の奥に隠れて、それでいて表面にありありと現れるもの。」というりん二郎の言葉が心に響きます。身近な空き瓶や紙袋を通してりん二郎が見ていた世界とは一体何かについて頭を悩まされるような、不思議な余韻の残る展覧会でした。
次点「歌川国芳 奇と笑いの木版画」 府中市美術館
国芳展はこれまでにもいくつかありましたが、今回ほど状態の良い作品が揃ったことなどなかったかもしれません。半ば見慣れた国芳を驚くほど新鮮味をもって楽しむことが出来ました。
なおベスト10には入らなかったものの、特に感銘を受けた展覧会を以下に挙げておきます。
「モネとジヴェルニーの画家たち」Bunkamura ザ・ミュージアム:なじみの薄いアメリカ人印象派を丁寧に紹介する好企画です。最後のモネの睡蓮には思わずこみ上げるものを感じました。
「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」国立西洋美術館:マクシミリアンの凱旋門には仰け反ってしまいます。版画ながらも超弩級のスケールの展覧会で圧倒されました。
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」横須賀美術館:人気のロセッティからモリスとツボを抑えた構成が光ります。横須賀美の箱との相性も抜群でした。
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」東京都現代美術館:実力派揃いの作家のセレクトに注目です。年明けにもう一度見に行きたいと思います。
「松戸アートラインプロジェクト2010」松戸駅西口周辺:質の高い展示は他の有名なアートのイベントに引けを取りません。地元松戸で見られただけでも感無量でした。
「アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン」川村記念美術館:初期のシュールレアリスム作品に驚きつつ、ニューマン自身の豪快なインタビュー映像に半ばあっけにとられた展覧会でした。
「没後120年 ゴッホ展」国立新美術館:今年一連の大型展で印象深いのはゴッホ展でした。実は苦手な画家の一人ですが、関連する画家をはじめ、ゴッホの時代性とは何かを問う意欲的な企画だったと思います。
「諸国畸人伝」板橋区立美術館:「江戸絵画の板橋ここにあり。」と言わんばかりの展覧会です。ともかく一に絵金、二に絵金でした。
「稲垣仲静・稔次郎兄弟展」練馬区立美術館:大正の京都の日本画家は一筋縄ではいきません。単なるデロリを通り越した「鶏頭」には仲静の思いが感じられて目頭が熱くなりました。
「誇り高きデザイン 鍋島」サントリー美術館:いつかサントリーで鍋島を観られればと思っていた私にとっては、この上ない機会となりました。極上の鍋島を極上の空間で見せた贅沢な展覧会でした。
「オノデラユキ 写真の迷宮へ」東京都写真美術館:写真が雄弁に物語る瞬間を見た思いがします。次から次へと変化を続けるオノデラユキのこれまでと今を体験できました。
「ヘンリー・ムア 生命のかたち」ブリヂストン美術館:ともかくストーンヘンジの版画連作です。光と影の織りなす神秘の世界を体感しました。
「MASKS - 仮の面」千葉市美術館:知られざるアフリカの仮面がずらりと揃う様子はまさに壮観です。露出展示+効果的なライティングの空間も楽しめました。
「朝鮮陶磁 - 柳宗悦没後50周年記念展」日本民芸館:白磁好きの私のとっては最高の展覧会です。今年の民芸館ではダントツでした。
「伊藤若冲アナザーワールド」千葉市美術館:MIHOのワンダーランドを追っかけた私にとっては、千葉で象と鯨を見られただけでも嬉しいものです。今年も若冲は大きな話題となりました。
「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」川村記念美術館:作り込んだ空間と響きあう小箱に詩作。小さな玉手箱をのぞき込んでいるかのような錯覚を覚えました。今年一番のコラボ展としても差し支えありません。
「命の認識」東京大学総合研究博物館:無数の動物の骨がさざ波のように広がる景色は未だ脳裏に焼き付いています。命の痕跡を通して死を強く意識させられる展覧会でした。
「小村雪岱とその時代」埼玉県立近代美術館:洒落た構図にゾクゾクするような艶やかな線。現代に通じる雪岱の魅力を余すことなく伝えていました。
「斎藤真一 瞽女と哀愁の旅路」武蔵野市立吉祥寺美術館:小さくともキラリと光る好企画です。赤ではなく赫に燃える瞽女たちの哀しみに胸を打たれました。
「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」東京都写真美術館:コンタクトプリントは彼らの目線を知る上でとても参考になります。同時代ながらも全く異なった魅力を持つ二人の偉大な写真家の軌跡を知ることが出来ました。
如何でしょうか。皆さんのベスト10も教えていただけると嬉しいです。TBとコメントをお待ちしております。
年内のブログの更新は本エントリで終わりです。最後になりましたが本年もこの拙い「はろるど・わーど」にお付き合い下さりましてどうもありがとうございました。それではどうぞ良いお年をお迎え下さい。
*過去の展覧会ベスト10
2009年、2008年、2007年、2006年、2005年、2004年(その2。2003年も含む。)
*関連エントリ
2010年 私が観たギャラリー ベスト10
「2010年 私が観た美術展 ベスト10」
1.「マネとモダン・パリ」 三菱一号館美術館
マネの黒はどこか不穏なまでの雰囲気をたたえながらも有無を言わさぬ迫力があります。単独回顧展でなく、同時代の画家やパリの変遷とも関係づけた企画そのものも大変に充実していました。作品と企画力の双方での勝利です。
2.「ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える」 東京国立近代美術館
年明け早々の展覧会でしたが、今でもケントリッジのアニメーションを見た時の驚きは忘れられません。初期の社会的な作品から近作の実験的な作品など、古くも新しい彼の魅力を存分に堪能出来ました。
3.「ルーシー・リー展」 国立新美術館
今年一番美しかった展示は何かと問われれば間違いなくこれです。器と器の色と形が響きあう空間は至福の体験をもたらします。また繊細な色味を見事に再現した図録も宝物となりました。
4.「内藤礼」 神奈川県立美術館鎌倉館
シンプルなインスタレーションから喚起される想像力は無限です。美術館の上空でひらひらと舞う白い紐はあたかも精霊たちのカップルのようでした。
5.「美しき挑発 レンピッカ展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
「私の作品はどれも自画像である。」と言って憚らなかったレンピッカの視線に釘付けです。強烈な自我の裏側に潜むアンニュイな雰囲気は彼女の送った波瀾万丈の人生が反映されているように思えてなりませんでした。
6.「特別展 長谷川等伯」 東京国立博物館
「空前絶後」とうたわれたのも全く誇張ではありません。細密な仏画にはじまり、絢爛豪華な障壁画、そして松林図に代表される水墨の世界と、時代の荒波に生きた長谷川等伯の多芸な画業を一同に楽しむことが出来ました。
7.「古賀春江の全貌」 神奈川県立近代美術館葉山館
回顧展好きの私ですが、中でも特に魅力を感じたのがこの古賀春江展です。38歳の若さで倒れるまで目まぐるしく変化した画風を、代表作はもとより、豊富な資料で一気に辿ることが出来ました。また葉山館から望む海の色と古賀のブルーが重なって見えたのも良い思い出でした。
8.「ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界」 Bunkamura ザ・ミュージアム
魑魅魍魎の世界を描くブリューゲルの魅力を余すことなく伝えます。詳細な解説の他、同時代の画家との比較など、練り込まれた構成にも目を見張るものがありました。もちろん森先生の力の入った図録が素晴らしかったのも言うまでもありません。
9.「田中一村 新たなる全貌」 千葉市美術館
今年好調だった千葉市美からはやはり話題の田中一村を挙げなければなりません。人気の奄美時代だけではなく、今回の展示のために調査研究が行われた千葉時代の作品も丹念に紹介していました。これまでにない一村展であったことは間違いなさそうです。
10.「長谷川りん二郎展」 平塚市美術館
「現実を越えて、現実の奥に隠れて、それでいて表面にありありと現れるもの。」というりん二郎の言葉が心に響きます。身近な空き瓶や紙袋を通してりん二郎が見ていた世界とは一体何かについて頭を悩まされるような、不思議な余韻の残る展覧会でした。
次点「歌川国芳 奇と笑いの木版画」 府中市美術館
国芳展はこれまでにもいくつかありましたが、今回ほど状態の良い作品が揃ったことなどなかったかもしれません。半ば見慣れた国芳を驚くほど新鮮味をもって楽しむことが出来ました。
なおベスト10には入らなかったものの、特に感銘を受けた展覧会を以下に挙げておきます。
「モネとジヴェルニーの画家たち」Bunkamura ザ・ミュージアム:なじみの薄いアメリカ人印象派を丁寧に紹介する好企画です。最後のモネの睡蓮には思わずこみ上げるものを感じました。
「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」国立西洋美術館:マクシミリアンの凱旋門には仰け反ってしまいます。版画ながらも超弩級のスケールの展覧会で圧倒されました。
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」横須賀美術館:人気のロセッティからモリスとツボを抑えた構成が光ります。横須賀美の箱との相性も抜群でした。
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」東京都現代美術館:実力派揃いの作家のセレクトに注目です。年明けにもう一度見に行きたいと思います。
「松戸アートラインプロジェクト2010」松戸駅西口周辺:質の高い展示は他の有名なアートのイベントに引けを取りません。地元松戸で見られただけでも感無量でした。
「アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン」川村記念美術館:初期のシュールレアリスム作品に驚きつつ、ニューマン自身の豪快なインタビュー映像に半ばあっけにとられた展覧会でした。
「没後120年 ゴッホ展」国立新美術館:今年一連の大型展で印象深いのはゴッホ展でした。実は苦手な画家の一人ですが、関連する画家をはじめ、ゴッホの時代性とは何かを問う意欲的な企画だったと思います。
「諸国畸人伝」板橋区立美術館:「江戸絵画の板橋ここにあり。」と言わんばかりの展覧会です。ともかく一に絵金、二に絵金でした。
「稲垣仲静・稔次郎兄弟展」練馬区立美術館:大正の京都の日本画家は一筋縄ではいきません。単なるデロリを通り越した「鶏頭」には仲静の思いが感じられて目頭が熱くなりました。
「誇り高きデザイン 鍋島」サントリー美術館:いつかサントリーで鍋島を観られればと思っていた私にとっては、この上ない機会となりました。極上の鍋島を極上の空間で見せた贅沢な展覧会でした。
「オノデラユキ 写真の迷宮へ」東京都写真美術館:写真が雄弁に物語る瞬間を見た思いがします。次から次へと変化を続けるオノデラユキのこれまでと今を体験できました。
「ヘンリー・ムア 生命のかたち」ブリヂストン美術館:ともかくストーンヘンジの版画連作です。光と影の織りなす神秘の世界を体感しました。
「MASKS - 仮の面」千葉市美術館:知られざるアフリカの仮面がずらりと揃う様子はまさに壮観です。露出展示+効果的なライティングの空間も楽しめました。
「朝鮮陶磁 - 柳宗悦没後50周年記念展」日本民芸館:白磁好きの私のとっては最高の展覧会です。今年の民芸館ではダントツでした。
「伊藤若冲アナザーワールド」千葉市美術館:MIHOのワンダーランドを追っかけた私にとっては、千葉で象と鯨を見られただけでも嬉しいものです。今年も若冲は大きな話題となりました。
「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」川村記念美術館:作り込んだ空間と響きあう小箱に詩作。小さな玉手箱をのぞき込んでいるかのような錯覚を覚えました。今年一番のコラボ展としても差し支えありません。
「命の認識」東京大学総合研究博物館:無数の動物の骨がさざ波のように広がる景色は未だ脳裏に焼き付いています。命の痕跡を通して死を強く意識させられる展覧会でした。
「小村雪岱とその時代」埼玉県立近代美術館:洒落た構図にゾクゾクするような艶やかな線。現代に通じる雪岱の魅力を余すことなく伝えていました。
「斎藤真一 瞽女と哀愁の旅路」武蔵野市立吉祥寺美術館:小さくともキラリと光る好企画です。赤ではなく赫に燃える瞽女たちの哀しみに胸を打たれました。
「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」東京都写真美術館:コンタクトプリントは彼らの目線を知る上でとても参考になります。同時代ながらも全く異なった魅力を持つ二人の偉大な写真家の軌跡を知ることが出来ました。
如何でしょうか。皆さんのベスト10も教えていただけると嬉しいです。TBとコメントをお待ちしております。
年内のブログの更新は本エントリで終わりです。最後になりましたが本年もこの拙い「はろるど・わーど」にお付き合い下さりましてどうもありがとうございました。それではどうぞ良いお年をお迎え下さい。
*過去の展覧会ベスト10
2009年、2008年、2007年、2006年、2005年、2004年(その2。2003年も含む。)
*関連エントリ
2010年 私が観たギャラリー ベスト10
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2010年 私が観たギャラリー ベスト10
年末恒例のベスト10のシーズンがやってきました。今年一年、私が観たギャラリーより特に印象に深かった10個の展示を挙げてみました。
「2010年 私が観たギャラリー ベスト10」
1.「複合回路 - 接触領域 - 第5回 青山悟」 ギャラリーαM
2.「やなぎみわ - Lullaby」 RAT HOLE GALLERY
3.「会田誠 - 絵バカ」 ミズマアートギャラリー(市谷田町)
4.「宮永亮 - 地の灯について」 児玉画廊
5.「村瀬恭子 - サファイア」 タカ・イシイギャラリー
6.「桑久保徹 海の話し 画家の話し」 トーキョーワンダーサイト渋谷
7.「鈴木基真 - World is yours」 Takuro Someya Contemporary Art
8.「名和晃平 - synthesis」SCAI THE BATHHOUSE
9.「TWS-Emerging 143 大石麻央 - 飛び立ち距離」 TWS本郷
10.「山口晃 いのち丸」 ミヅマアートギャラリー(市谷田町)
次点.「風間サチコ - 平成博2010」 無人島プロダクション
あくまでも私の思い込みであるので展示の優劣ではありませんが、やはり1番に挙げたギャラリーαMの青山悟展は彼のこれまでにない展開で非常に印象に残りました。またペインターでは村瀬と桑久保両氏の個展、そして立体では名和と鈴木の両氏の展示が忘れられません。さらに映像では児玉画廊の宮永展の他、ここには挙げませんでしたが、山本現代の高木正勝展なども迫力満点でした。
ミヅマではともかく「灰色の山」のスケールに驚かされた会田誠が強烈です。またコンセプチャルな方向で攻めた山口晃の個展も私はとても楽しめました。
見ていながら感想を書けなかった展示が多数あります。また今年もスパイラルのBASARAと巧術など、ギャラリーに関するいくつかのイベントも充実していました。
最後になりましたが、今年も素晴らしい作品を見せて下さった作家さんをはじめ、多方面にわたってご配慮下さった画廊の方々の全てに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
それでは展覧会編へと続きます。
*過去のギャラリー・ベスト10
2009年、2008年、2007年
「2010年 私が観たギャラリー ベスト10」
1.「複合回路 - 接触領域 - 第5回 青山悟」 ギャラリーαM
2.「やなぎみわ - Lullaby」 RAT HOLE GALLERY
3.「会田誠 - 絵バカ」 ミズマアートギャラリー(市谷田町)
4.「宮永亮 - 地の灯について」 児玉画廊
5.「村瀬恭子 - サファイア」 タカ・イシイギャラリー
6.「桑久保徹 海の話し 画家の話し」 トーキョーワンダーサイト渋谷
7.「鈴木基真 - World is yours」 Takuro Someya Contemporary Art
8.「名和晃平 - synthesis」SCAI THE BATHHOUSE
9.「TWS-Emerging 143 大石麻央 - 飛び立ち距離」 TWS本郷
10.「山口晃 いのち丸」 ミヅマアートギャラリー(市谷田町)
次点.「風間サチコ - 平成博2010」 無人島プロダクション
あくまでも私の思い込みであるので展示の優劣ではありませんが、やはり1番に挙げたギャラリーαMの青山悟展は彼のこれまでにない展開で非常に印象に残りました。またペインターでは村瀬と桑久保両氏の個展、そして立体では名和と鈴木の両氏の展示が忘れられません。さらに映像では児玉画廊の宮永展の他、ここには挙げませんでしたが、山本現代の高木正勝展なども迫力満点でした。
ミヅマではともかく「灰色の山」のスケールに驚かされた会田誠が強烈です。またコンセプチャルな方向で攻めた山口晃の個展も私はとても楽しめました。
見ていながら感想を書けなかった展示が多数あります。また今年もスパイラルのBASARAと巧術など、ギャラリーに関するいくつかのイベントも充実していました。
最後になりましたが、今年も素晴らしい作品を見せて下さった作家さんをはじめ、多方面にわたってご配慮下さった画廊の方々の全てに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
それでは展覧会編へと続きます。
*過去のギャラリー・ベスト10
2009年、2008年、2007年
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お正月は博物館と美術館 2011
クリスマスを過ぎて街は一斉にお正月モードへと突入しましたが、美術館・博物館でも年始にいくつかのイベントが用意されています。主に都内の美術館、博物館のお正月企画をまとめてみました。
【千葉市美術館 新春特別イベント 1/4~】
「太神楽―江戸の正月」 1/4 13:00~/15:00~ 無料
【国立科学博物館 新春サイエンススクエア 1/2~】
ニューイヤーミュージアムスタンプラリー他、各種ワークショップを開催 1/2~1/7
詳細は→pdfリリース
【東京国立博物館 博物館に初もうで 1/2~】
新春特別展示「博物館に初もうで 美術のなかのうさぎと国々のお祝い切手」 1/2~1/30
新春イベント(獅子舞/和太鼓演奏/紙切り他) 1/2~1/3 *タイムスケジュールは上記リンク先参照
本館リニューアル記念特別公開(所蔵のえりすぐりの名品を期間限定で公開) 1/2~1/16
【江戸東京博物館 えどはくでお正月2011! 1/2~】
常設展示室観覧無料 1/2~1/3
絵葉書プレゼント 1/2~1/4 先着各200名
えどはく寄席 1/2~1/4
ニューイヤーコンサート in江戸博 1/5~1/6 各日午前11時・午後3時(1回30分程度)
【東京都現代美術館 お正月イベント 1/2~】
MOTコレクション展(常設展)観覧無料 1/2~1/3
MOT美術館講座「正月開館特別企画 落語で楽しむ現代美術」 1/2 13:30~ 先着200名、無料、要整理券
淺井裕介「巨大描き初めパフォーマンス」 1/3 13:00~
【東京国立近代美術館 美術館へ行こう 1/2~】
本館、工芸館の所蔵作品展観覧無料 1/2
オリジナルグッズまたは図録プレゼント 1/2(数量限定)
【ニューオータニ美術館 新春展 1/1~】
元日より所蔵品より新春に相応しい名品30点を展示 1/1~1/30
【山種美術館 お正月イベント 1/8~】
着物でミュージアム割 1/8 着物で来館の際は入場料を一般200円、大高生100円割引
100人毎のプレゼント 1/8 入館100人毎にプレゼントを用意
カフェ椿新春特別サービス 1/8~1/15 飲み物・食べ物を注文すると金箔茶をサービス
【東京都写真美術館 写美のお正月 1/2~】
開催中の企画展示観覧無料 1/2(1/3は2割引)
新春フロアレクチャー/おめでとう写美クイズ 1/2~1/3
しゃび雅楽 1/2~1/3 各日13:00~/15:00~ 無料
地球交響楽ライブイベント 1/2~1/3 各日13:00~17:00 無料
ともかく常設観覧無料の写美と東近美、それにMOTなどが目立ちますが、お正月関連のイベントが充実しているのはやはり東博と江戸博です。
特に東博は本館のリニューアルを控え、永徳の檜図屏風や光琳の風神雷神、それに雪舟の秋冬山水図などのお宝を一挙に公開します。私の年明けは来年もまた上野詣でとなりそうです。
【千葉市美術館 新春特別イベント 1/4~】
「太神楽―江戸の正月」 1/4 13:00~/15:00~ 無料
【国立科学博物館 新春サイエンススクエア 1/2~】
ニューイヤーミュージアムスタンプラリー他、各種ワークショップを開催 1/2~1/7
詳細は→pdfリリース
【東京国立博物館 博物館に初もうで 1/2~】
新春特別展示「博物館に初もうで 美術のなかのうさぎと国々のお祝い切手」 1/2~1/30
新春イベント(獅子舞/和太鼓演奏/紙切り他) 1/2~1/3 *タイムスケジュールは上記リンク先参照
本館リニューアル記念特別公開(所蔵のえりすぐりの名品を期間限定で公開) 1/2~1/16
【江戸東京博物館 えどはくでお正月2011! 1/2~】
常設展示室観覧無料 1/2~1/3
絵葉書プレゼント 1/2~1/4 先着各200名
えどはく寄席 1/2~1/4
ニューイヤーコンサート in江戸博 1/5~1/6 各日午前11時・午後3時(1回30分程度)
【東京都現代美術館 お正月イベント 1/2~】
MOTコレクション展(常設展)観覧無料 1/2~1/3
MOT美術館講座「正月開館特別企画 落語で楽しむ現代美術」 1/2 13:30~ 先着200名、無料、要整理券
淺井裕介「巨大描き初めパフォーマンス」 1/3 13:00~
【東京国立近代美術館 美術館へ行こう 1/2~】
本館、工芸館の所蔵作品展観覧無料 1/2
オリジナルグッズまたは図録プレゼント 1/2(数量限定)
【ニューオータニ美術館 新春展 1/1~】
元日より所蔵品より新春に相応しい名品30点を展示 1/1~1/30
【山種美術館 お正月イベント 1/8~】
着物でミュージアム割 1/8 着物で来館の際は入場料を一般200円、大高生100円割引
100人毎のプレゼント 1/8 入館100人毎にプレゼントを用意
カフェ椿新春特別サービス 1/8~1/15 飲み物・食べ物を注文すると金箔茶をサービス
【東京都写真美術館 写美のお正月 1/2~】
開催中の企画展示観覧無料 1/2(1/3は2割引)
新春フロアレクチャー/おめでとう写美クイズ 1/2~1/3
しゃび雅楽 1/2~1/3 各日13:00~/15:00~ 無料
地球交響楽ライブイベント 1/2~1/3 各日13:00~17:00 無料
ともかく常設観覧無料の写美と東近美、それにMOTなどが目立ちますが、お正月関連のイベントが充実しているのはやはり東博と江戸博です。
特に東博は本館のリニューアルを控え、永徳の檜図屏風や光琳の風神雷神、それに雪舟の秋冬山水図などのお宝を一挙に公開します。私の年明けは来年もまた上野詣でとなりそうです。
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「モネとジヴェルニーの画家たち」 Bunkamura ザ・ミュージアム
Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷区道玄坂2-24-1)
「モネとジヴェルニーの画家たち」
2010/12/7~2011/2/17
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「モネとジヴェルニーの画家たち」のプレスプレビューへ行って来ました。
まさに印象派の聖地とも言えるパリ郊外のジヴェルニーてすが、今回の展覧会では大御所モネをはじめ、彼を慕ってやって来た数多くのアメリカ人印象派画家の系譜を辿る内容となっています。
展覧会の構成は以下の通りでした。
第1章 周辺の風景(ジヴェルニーのモネ)
第2章 村の暮らし
第3章 家族と友人
第4章 ジヴェルニー・グループ(睡蓮の連作)
モネ15点、またアメリカ人印象派画家60点超の計約80点にて、ジヴェルニーで興った芸術運動の潮流を探っていました。
さて今回はプレビューに参加し、展覧会を監修したテラ・アメリカ美術基金学芸員のキャサリン・ブルギニオン氏のレクチャーを拝聴しました。以下、その内容に沿って展示の様子を振り返ってみます。
最初の画家たち~ウィラード・レロイ・メトカーフ
モネがジヴェルニーにやって来て以来、様々なアメリカ人の画家がやって来たが、中でも早い時期のそれとして知られるのがウィラード・レロイ・メトカーフである。
当初は印象派のスタイルをとらなかった彼は、戸外で素早くスケッチを行い、その後アトリエでじっくりと仕上げるという手法を用いていた。
左、ウィラード・レロイ・メトカーフ「ジヴェルニー、1887年」 1887年 油彩・キャンヴァス ケンタッキー大学美術館
*説明するのはキャサリン・ブルギニオン氏
「ジヴェルニー、1887年」(1887年)では陰の表現に注目したい。印象派では陰に紫を使うことが多いが、彼は緑やグレーを多用していた。
アメリカ人と印象派~セオドア・ロビンソン
モネの2年後にジヴェルニーにやってきて、モネのアトリエにも出入りしていたのがセオドア・ロビンソンである。
左、セオドア・ロビンソン「冬景色」 1889年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
「冬景色」(1889年)はアメリカ人が初めて印象派スタイルをとった記念碑的作品。 村から少し離れた鳥瞰的景色を、前景をラフなタッチで、また遠景を紫を用いて表した。
ジヴェルニーのモネ~積みわらのモチーフ
モネは結局40年間ジヴェルニーにいたが、彼も当初は遠景ばかりを描いていた。
クロード・モネ「ジヴェルニーの冬」 1885年 油彩・キャンヴァス ポーラ美術館蔵
モネが「ジヴェルニーの冬」(1885年)を描いた頃は既に巨匠として画風を確立していたが、この作品を見ると雪を描くことには苦労していた後が伺える。
またモネと言えば積みわらが有名だが、彼は積みわらそのものよりも光や全体の雰囲気を描くことに関心があった。
クロード・モネ「積みわら(日没)」 1891年 油彩・キャンヴァス ボストン美術館蔵
積みわらは村の至る所に点在していた。それをモネは朝から晩まで繰り返して描いた。この「積みわら」は1891年の5月にパリで発表されたが、それをアメリカ人が見て自分たちも描こうと考えた。
アメリカ人と積みわら~ジョン・レスリー・ブレックの連作
ジョン・レスリー・ブレック「積みわらの習作:秋の日1-12」 1891年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
ブレックによる積みわらシリーズの習作を12点ほど展示。これは彼が3日間かけて取り組んだもので、積みわらに右から日が差してその後夕暮れへと至る様子が描かれている。
ジョン・レスリー・ブレック「積みわらの習作:秋の日7」 1891年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
同じシーンを同じタッチで描くことに注意しているが、モネはどちらかというともっと長い時間をかけて積みわらを描いていた。 ブレックは同じ画題を同じ構図で描くことをモネから学んだのであろう。
「婚礼の行列」~後ろにいるのはモネ?
ジヴェルニーには後に50名ものアメリカ人作家が集まったが、モネは次第に彼らと距離を置くようになった。しかしながら数人の画家との交流は続いた。そのうちの一人がセオドア・アール・バトラーである。彼はモネの義理の娘であるスザンヌと結婚した。
セオドア・ロビンソン「婚礼の行列」 1892年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
バトラーの友人であるロビンソンの描いた「婚礼の行列」(1892年)は、その婚礼の様子を表した作品。手前にいるのはバトラーとスザンヌだが、後ろを歩いているのはモネだという指摘もある。
モネはこの時期、人物ではなく風景ばかりを描いていたが、これを見るとアメリカ人画家がどのようにモネと関わっていたのが良く分かるのではないだろうか。
画風の変遷~アメリカ人画家にとってのジヴェルニーとは
モネの親族ともなったバトラーだが、彼はモネを学びながらも異なった画風を展開していった。
左、セオドア・アール・バトラー「読書をするリリー・バトラー」 1908年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
右、セオドア・アール・バトラー「画家の子どもたち、ジェイムズとリリー」 1896年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
自身の家族を描いたバトラーの「画家の子どもたち、ジェイムズとリリー」(1896年)もそうした一枚だろう。
またジヴェルニーに来た画家の中には印象派のスタイルをとらない者もいた。
左、フレデリック・ウィリアム・マクモニーズ「自画像」 1896年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
それがこの「自画像」(1896年)を描いたフレデリック・ウィリアム・マクモニーズである。画風は非常に古典的で、ベラスケスを彷彿させる面もあるのではないだろうか。
アメリカ人はジヴェルニーを画家の村としてだけではなく、美しくまた住み良い場所であると考えていた。モネを慕って来た者もいたが、そうしたジヴェルニーの環境を好んで引っ越して来た画家もいた。
展示を最初から追うと、モネの模倣から次第に独自のスタイルを確立していくアメリカ人画家の画風の展開を知ることができるだろう。
ジヴェルニー・グループ 1905~1915
モネの世代から少し時代を下って、1905年から1915年の間にジヴェルニーにやって来たアメリカ人画家を「ジヴェルニー・グループ」と呼ぶ。
フレデリック・カール・フリージキー「百合の咲く庭」 1911年以前 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
当初は装飾印象派と呼ばれていたのがフレデリック・カール・フリージキー。彼はモネの近くにはいたが、世代が異なったせいもあるのか、モネとの交流を殆ど持たなかった。
左、フレデリック・カール・フリージキー「庭の婦人」 1912年頃 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
屋外で描くことを重視して、明るい光を絵画に取り込んだ。「庭の婦人」(1912年頃)は代表的な作品である。
睡蓮の連作
展示ラストを飾るのがモネの一連の睡蓮を描いた5点の作品。モネは庭に半ば引きこもって、この睡蓮という画題に挑戦し続けた。
モネの「睡蓮」諸作品。
晩年の作品は抽象性を帯びてくる。目が見えなくなったこともあるが、光の移ろいを追求したモネの一つの到達点としても捉えることが出来るだろう。またモネは庭に日本の太鼓橋をかけた。日本美術への敬意を持っていたようである。
以上です。ジヴェルニーに集った様々なアメリカ人画家の画風の特徴などを、彼らの生活の有り様、またモネの芸術の変遷と関係付けて解説していました。
印象派というと、ともすれば見慣れたと思われる方も多いかもしれませんが、今回はあまり日本では紹介されないアメリカ人の画家の作品を丁寧に紹介する展覧会です。私自身とても新鮮な気持ちで接せられたのはもちろん、彼らの描くジヴェルニーの美しい光景に心から感銘するものがありました。絵を通して彼の地の光と風を感じるかもしれません。
奥、クロード・モネ「睡蓮、柳の反影」 1916-19年 油彩・キャンヴァス 北九州市立美術館蔵
最後の睡蓮のコーナーは圧巻の一言です。蓮と柳が渾然一体となった「睡蓮、柳の反影」(1916-19年)を見ると、晩年のモネが到達した孤高の境地に改めて感じるものがありました。
さて一つタイアップのお知らせです。エキナカなどでお馴染みのSoup Stock Tokyoが今回の展示にあわせ、「モネのスープ」と題した「ポロ葱のスープ」を来年1月11日より発売します。
実はプレビュー時に試食させていただきましたが、葱の甘みが口に広がって、どこかほっとするようなお味でした。私も小腹が空いた時によくSoup Stockへ立ち寄るので、発売後は是非もう一度食べに行こうと思います。
「モネのポロ葱スープ」@Soup Stock Tokyo 2011年1月10日発売~(2週間程度販売を予定。) 入館券を持参するとセット商品を購入した方に限り1ドリンクサービス。
会場風景
展覧会は2011年2月17日まで開催されています。(1/1のみ休館。他は連日開館。)なお東京展終了後、岡山県立美術館へと巡回(2011/2/25-4/10)します。
注)写真の撮影と掲載については主催者の許可を得ています。
「モネとジヴェルニーの画家たち」
2010/12/7~2011/2/17
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「モネとジヴェルニーの画家たち」のプレスプレビューへ行って来ました。
まさに印象派の聖地とも言えるパリ郊外のジヴェルニーてすが、今回の展覧会では大御所モネをはじめ、彼を慕ってやって来た数多くのアメリカ人印象派画家の系譜を辿る内容となっています。
展覧会の構成は以下の通りでした。
第1章 周辺の風景(ジヴェルニーのモネ)
第2章 村の暮らし
第3章 家族と友人
第4章 ジヴェルニー・グループ(睡蓮の連作)
モネ15点、またアメリカ人印象派画家60点超の計約80点にて、ジヴェルニーで興った芸術運動の潮流を探っていました。
さて今回はプレビューに参加し、展覧会を監修したテラ・アメリカ美術基金学芸員のキャサリン・ブルギニオン氏のレクチャーを拝聴しました。以下、その内容に沿って展示の様子を振り返ってみます。
最初の画家たち~ウィラード・レロイ・メトカーフ
モネがジヴェルニーにやって来て以来、様々なアメリカ人の画家がやって来たが、中でも早い時期のそれとして知られるのがウィラード・レロイ・メトカーフである。
当初は印象派のスタイルをとらなかった彼は、戸外で素早くスケッチを行い、その後アトリエでじっくりと仕上げるという手法を用いていた。
左、ウィラード・レロイ・メトカーフ「ジヴェルニー、1887年」 1887年 油彩・キャンヴァス ケンタッキー大学美術館
*説明するのはキャサリン・ブルギニオン氏
「ジヴェルニー、1887年」(1887年)では陰の表現に注目したい。印象派では陰に紫を使うことが多いが、彼は緑やグレーを多用していた。
アメリカ人と印象派~セオドア・ロビンソン
モネの2年後にジヴェルニーにやってきて、モネのアトリエにも出入りしていたのがセオドア・ロビンソンである。
左、セオドア・ロビンソン「冬景色」 1889年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
「冬景色」(1889年)はアメリカ人が初めて印象派スタイルをとった記念碑的作品。 村から少し離れた鳥瞰的景色を、前景をラフなタッチで、また遠景を紫を用いて表した。
ジヴェルニーのモネ~積みわらのモチーフ
モネは結局40年間ジヴェルニーにいたが、彼も当初は遠景ばかりを描いていた。
クロード・モネ「ジヴェルニーの冬」 1885年 油彩・キャンヴァス ポーラ美術館蔵
モネが「ジヴェルニーの冬」(1885年)を描いた頃は既に巨匠として画風を確立していたが、この作品を見ると雪を描くことには苦労していた後が伺える。
またモネと言えば積みわらが有名だが、彼は積みわらそのものよりも光や全体の雰囲気を描くことに関心があった。
クロード・モネ「積みわら(日没)」 1891年 油彩・キャンヴァス ボストン美術館蔵
積みわらは村の至る所に点在していた。それをモネは朝から晩まで繰り返して描いた。この「積みわら」は1891年の5月にパリで発表されたが、それをアメリカ人が見て自分たちも描こうと考えた。
アメリカ人と積みわら~ジョン・レスリー・ブレックの連作
ジョン・レスリー・ブレック「積みわらの習作:秋の日1-12」 1891年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
ブレックによる積みわらシリーズの習作を12点ほど展示。これは彼が3日間かけて取り組んだもので、積みわらに右から日が差してその後夕暮れへと至る様子が描かれている。
ジョン・レスリー・ブレック「積みわらの習作:秋の日7」 1891年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
同じシーンを同じタッチで描くことに注意しているが、モネはどちらかというともっと長い時間をかけて積みわらを描いていた。 ブレックは同じ画題を同じ構図で描くことをモネから学んだのであろう。
「婚礼の行列」~後ろにいるのはモネ?
ジヴェルニーには後に50名ものアメリカ人作家が集まったが、モネは次第に彼らと距離を置くようになった。しかしながら数人の画家との交流は続いた。そのうちの一人がセオドア・アール・バトラーである。彼はモネの義理の娘であるスザンヌと結婚した。
セオドア・ロビンソン「婚礼の行列」 1892年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
バトラーの友人であるロビンソンの描いた「婚礼の行列」(1892年)は、その婚礼の様子を表した作品。手前にいるのはバトラーとスザンヌだが、後ろを歩いているのはモネだという指摘もある。
モネはこの時期、人物ではなく風景ばかりを描いていたが、これを見るとアメリカ人画家がどのようにモネと関わっていたのが良く分かるのではないだろうか。
画風の変遷~アメリカ人画家にとってのジヴェルニーとは
モネの親族ともなったバトラーだが、彼はモネを学びながらも異なった画風を展開していった。
左、セオドア・アール・バトラー「読書をするリリー・バトラー」 1908年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
右、セオドア・アール・バトラー「画家の子どもたち、ジェイムズとリリー」 1896年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
自身の家族を描いたバトラーの「画家の子どもたち、ジェイムズとリリー」(1896年)もそうした一枚だろう。
またジヴェルニーに来た画家の中には印象派のスタイルをとらない者もいた。
左、フレデリック・ウィリアム・マクモニーズ「自画像」 1896年 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
それがこの「自画像」(1896年)を描いたフレデリック・ウィリアム・マクモニーズである。画風は非常に古典的で、ベラスケスを彷彿させる面もあるのではないだろうか。
アメリカ人はジヴェルニーを画家の村としてだけではなく、美しくまた住み良い場所であると考えていた。モネを慕って来た者もいたが、そうしたジヴェルニーの環境を好んで引っ越して来た画家もいた。
展示を最初から追うと、モネの模倣から次第に独自のスタイルを確立していくアメリカ人画家の画風の展開を知ることができるだろう。
ジヴェルニー・グループ 1905~1915
モネの世代から少し時代を下って、1905年から1915年の間にジヴェルニーにやって来たアメリカ人画家を「ジヴェルニー・グループ」と呼ぶ。
フレデリック・カール・フリージキー「百合の咲く庭」 1911年以前 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
当初は装飾印象派と呼ばれていたのがフレデリック・カール・フリージキー。彼はモネの近くにはいたが、世代が異なったせいもあるのか、モネとの交流を殆ど持たなかった。
左、フレデリック・カール・フリージキー「庭の婦人」 1912年頃 油彩・キャンヴァス テラ・アメリカ美術基金蔵
屋外で描くことを重視して、明るい光を絵画に取り込んだ。「庭の婦人」(1912年頃)は代表的な作品である。
睡蓮の連作
展示ラストを飾るのがモネの一連の睡蓮を描いた5点の作品。モネは庭に半ば引きこもって、この睡蓮という画題に挑戦し続けた。
モネの「睡蓮」諸作品。
晩年の作品は抽象性を帯びてくる。目が見えなくなったこともあるが、光の移ろいを追求したモネの一つの到達点としても捉えることが出来るだろう。またモネは庭に日本の太鼓橋をかけた。日本美術への敬意を持っていたようである。
以上です。ジヴェルニーに集った様々なアメリカ人画家の画風の特徴などを、彼らの生活の有り様、またモネの芸術の変遷と関係付けて解説していました。
印象派というと、ともすれば見慣れたと思われる方も多いかもしれませんが、今回はあまり日本では紹介されないアメリカ人の画家の作品を丁寧に紹介する展覧会です。私自身とても新鮮な気持ちで接せられたのはもちろん、彼らの描くジヴェルニーの美しい光景に心から感銘するものがありました。絵を通して彼の地の光と風を感じるかもしれません。
奥、クロード・モネ「睡蓮、柳の反影」 1916-19年 油彩・キャンヴァス 北九州市立美術館蔵
最後の睡蓮のコーナーは圧巻の一言です。蓮と柳が渾然一体となった「睡蓮、柳の反影」(1916-19年)を見ると、晩年のモネが到達した孤高の境地に改めて感じるものがありました。
さて一つタイアップのお知らせです。エキナカなどでお馴染みのSoup Stock Tokyoが今回の展示にあわせ、「モネのスープ」と題した「ポロ葱のスープ」を来年1月11日より発売します。
実はプレビュー時に試食させていただきましたが、葱の甘みが口に広がって、どこかほっとするようなお味でした。私も小腹が空いた時によくSoup Stockへ立ち寄るので、発売後は是非もう一度食べに行こうと思います。
「モネのポロ葱スープ」@Soup Stock Tokyo 2011年1月10日発売~(2週間程度販売を予定。) 入館券を持参するとセット商品を購入した方に限り1ドリンクサービス。
会場風景
展覧会は2011年2月17日まで開催されています。(1/1のみ休館。他は連日開館。)なお東京展終了後、岡山県立美術館へと巡回(2011/2/25-4/10)します。
注)写真の撮影と掲載については主催者の許可を得ています。
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「曽根裕 - 雪 - 」 メゾンエルメス
メゾンエルメス 8階フォーラム(中央区銀座5-4-1)
「曽根裕 - 雪 - 」
2010/12/10-2011/2/28
メゾンエルメスで開催中の「曽根裕 - 雪 - 」へ行ってきました。
展示の概要についてはART-ITのサイトをご参照ください。
「雪」曽根裕展@ART-IT
さて今回は、ずばり「雪」をテーマに、立体やドローイングなどで様々なイメージを展開していましたが、やはり注目したいのは曽根がライフワークとして2004年より制作し続けているという、「雪の結晶の形は全て異なる」の連作、計16点でした。
それはまさしく雪の結晶をしたオブジェそのものですが、ともかく素材の美しさ、つまりは本物の水晶の輝きには目を見張るものがあります。またもう一つ驚かされるのは大きさです。50センチ四方はあろうかという水晶は決して小さなものを組み合わせたわけではなく、天然のまま、ようは一つの水晶でした。ガラス張りのエルメスの箱との相性も悪くありません。ともに白い光を放って響きあっていました。
OnStream 曽根裕@YOMIURI ON LINE(作者が展示について語る。動画。)
この水晶の他には大理石によるとあるジオラマが展示されています。なおこの大理石の作品に関しては、来年1月15日より東京オペラシティアートギャラリーで開催される個展でも新作の出品があるそうです。そちらも楽しみにしたいと思います。
「曽根裕展 Perfect Moment」@東京オペラシティアートギャラリー 2011年1月15日[土]~3月27日[日]
来年2月28日まで開催されています。*会期中無休(但し1/1、1/2は除く。)
「曽根裕 - 雪 - 」
2010/12/10-2011/2/28
メゾンエルメスで開催中の「曽根裕 - 雪 - 」へ行ってきました。
展示の概要についてはART-ITのサイトをご参照ください。
「雪」曽根裕展@ART-IT
さて今回は、ずばり「雪」をテーマに、立体やドローイングなどで様々なイメージを展開していましたが、やはり注目したいのは曽根がライフワークとして2004年より制作し続けているという、「雪の結晶の形は全て異なる」の連作、計16点でした。
それはまさしく雪の結晶をしたオブジェそのものですが、ともかく素材の美しさ、つまりは本物の水晶の輝きには目を見張るものがあります。またもう一つ驚かされるのは大きさです。50センチ四方はあろうかという水晶は決して小さなものを組み合わせたわけではなく、天然のまま、ようは一つの水晶でした。ガラス張りのエルメスの箱との相性も悪くありません。ともに白い光を放って響きあっていました。
OnStream 曽根裕@YOMIURI ON LINE(作者が展示について語る。動画。)
この水晶の他には大理石によるとあるジオラマが展示されています。なおこの大理石の作品に関しては、来年1月15日より東京オペラシティアートギャラリーで開催される個展でも新作の出品があるそうです。そちらも楽しみにしたいと思います。
「曽根裕展 Perfect Moment」@東京オペラシティアートギャラリー 2011年1月15日[土]~3月27日[日]
来年2月28日まで開催されています。*会期中無休(但し1/1、1/2は除く。)
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「via art 2010」 シンワアートミュージアム
シンワアートミュージアム(中央区銀座7-4-12 ぎょうせいビル)
「via art 2010」
12/21-25
全国13大学より選抜された37名の学生アーティストを紹介します。シンワアートミュージアムで開催中の「学生アーティスト37人による選抜展 via art 2010」へ行ってきました。
今年で既に4回を数えるという学生アーティストのための公募展です。出品アーティスト、及び審査員については公式WEBサイトをご参照下さい。
出展作家・出展者大学/審査員一覧@via art 2010
絵画に立体、映像、インスタレーションと展示はまさに多種多様でしたが、以下私の印象に残った作家を簡単に挙げてみました。
足立篤史
ケント紙や英字新聞、それに雑誌などを素材とした戦艦や車のミニチュア。一瞬、紙で出来ているとは思えないほど巧く作られている。またさらに面白いのは素材と作品との関係。戦艦では兵士などの姿が写った資料や雑誌などを用いている。素材が作品のイメージをさらに豊かにしている様がとても良かった。
板木綾花
シャープペンシルのみで描かれた数点のドローイング。背景の黒にさらにシャーペンの黒を重ね合わせて草木や生き物を思わせるようなモチーフを展開する。細密でかつ流れるような線は艶やかだった。
大石麻央
TWS本郷の展示でも印象に深かった大石が「着ぐるみ」を2体展示。フェルトや羊毛などを使って小動物をぬいぐるみを制作する。顔は動物のようでも身体は人間。細長い手足をだらんと垂らしたその姿は何度見ても恐ろしい。
黒田大解
珊瑚と樹脂を素材にしたという小さなオブジェ。ぱっと見ると良く分からないが、近づくとそれが確かに車、つまりはタイトルにもあるホンダのフィットや日産のエルグランドであることが分かる。もう少し大きいサイズの作品を見てみたいもの。
佐藤学
高さ3メートルにも及ぶ大作の日本画、「星と糸と新月の川」を展示。三枚の和紙を天井から滝のように垂らしている。細かな線描や作り込まれた画肌の質感が見事。星空を覗き込んでいるような印象を受けた。
清水総二
チューリッヒの風景を朧げに描く。浮かび上がる建物や森などを表す色彩が美しい。まるで夢の中で見るような景色だった。
水代達史
細やかな金工の作品を6点展示。銅や真鍮はもとより、七宝や紫檀などを素材にして未知の生物を作り出す。カブトガニの表面の紋様のエッチングもまた巧みだった。もっと拝見したい。
箕輪千絵子
比較的大きなサイズの銅版画を3点展示。人間と樹木が交わって不思議なモチーフを生み出す。生々しい木肌の感触にはゾクゾクするほど。
会場は1階と地下の2フロアに分かれていますが、地下の言わばぶっ飛んだ展示もなかなか楽しめます。春名祐麻の「セイヨウジンにも解りやすい日本精神(仮)や渋家の「鬼盛りブートキャンプ」も異彩を放っていました。
今回、私は初めてこの展示を見ましたが、実のところ思っていたよりも興味深いものがありました。また一部作品は価格が設定されている他、それとは別に数千円の小品も販売されているのも好印象です。ただ見せているだけではありません。
展覧会ツイッターアカウント→@viaart2010
明日、25日までの開催です。(午後5時45分終了)なお入場は無料でした。
「via art 2010」
12/21-25
全国13大学より選抜された37名の学生アーティストを紹介します。シンワアートミュージアムで開催中の「学生アーティスト37人による選抜展 via art 2010」へ行ってきました。
今年で既に4回を数えるという学生アーティストのための公募展です。出品アーティスト、及び審査員については公式WEBサイトをご参照下さい。
出展作家・出展者大学/審査員一覧@via art 2010
絵画に立体、映像、インスタレーションと展示はまさに多種多様でしたが、以下私の印象に残った作家を簡単に挙げてみました。
足立篤史
ケント紙や英字新聞、それに雑誌などを素材とした戦艦や車のミニチュア。一瞬、紙で出来ているとは思えないほど巧く作られている。またさらに面白いのは素材と作品との関係。戦艦では兵士などの姿が写った資料や雑誌などを用いている。素材が作品のイメージをさらに豊かにしている様がとても良かった。
板木綾花
シャープペンシルのみで描かれた数点のドローイング。背景の黒にさらにシャーペンの黒を重ね合わせて草木や生き物を思わせるようなモチーフを展開する。細密でかつ流れるような線は艶やかだった。
大石麻央
TWS本郷の展示でも印象に深かった大石が「着ぐるみ」を2体展示。フェルトや羊毛などを使って小動物をぬいぐるみを制作する。顔は動物のようでも身体は人間。細長い手足をだらんと垂らしたその姿は何度見ても恐ろしい。
黒田大解
珊瑚と樹脂を素材にしたという小さなオブジェ。ぱっと見ると良く分からないが、近づくとそれが確かに車、つまりはタイトルにもあるホンダのフィットや日産のエルグランドであることが分かる。もう少し大きいサイズの作品を見てみたいもの。
佐藤学
高さ3メートルにも及ぶ大作の日本画、「星と糸と新月の川」を展示。三枚の和紙を天井から滝のように垂らしている。細かな線描や作り込まれた画肌の質感が見事。星空を覗き込んでいるような印象を受けた。
清水総二
チューリッヒの風景を朧げに描く。浮かび上がる建物や森などを表す色彩が美しい。まるで夢の中で見るような景色だった。
水代達史
細やかな金工の作品を6点展示。銅や真鍮はもとより、七宝や紫檀などを素材にして未知の生物を作り出す。カブトガニの表面の紋様のエッチングもまた巧みだった。もっと拝見したい。
箕輪千絵子
比較的大きなサイズの銅版画を3点展示。人間と樹木が交わって不思議なモチーフを生み出す。生々しい木肌の感触にはゾクゾクするほど。
会場は1階と地下の2フロアに分かれていますが、地下の言わばぶっ飛んだ展示もなかなか楽しめます。春名祐麻の「セイヨウジンにも解りやすい日本精神(仮)や渋家の「鬼盛りブートキャンプ」も異彩を放っていました。
今回、私は初めてこの展示を見ましたが、実のところ思っていたよりも興味深いものがありました。また一部作品は価格が設定されている他、それとは別に数千円の小品も販売されているのも好印象です。ただ見せているだけではありません。
展覧会ツイッターアカウント→@viaart2010
明日、25日までの開催です。(午後5時45分終了)なお入場は無料でした。
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クリスマスde美術館 2011
街中は既にクリスマス一色ですが、少数ながらもクリスマス向けのイベントが用意されている美術館がいくつかあります。東京圏の主な美術館のクリスマスイベントを簡単にまとめてみました。
[埼玉県立近代美術館 12月23日~26日]
クリスマス特別企画「植田正治写真展」ペア観覧券販売(通常料金1600円→特別料金1200円)
[川村記念美術館 12月4日~12月24日]
「クリスマス市」
ドイツ風のクリスマス・マーケットを再現。(私もお邪魔してきました。)
[原美術館 開催中~12月26日]
奈良美智「My Drawing Room」クリスマス展示
[Bunkamuraザ・ミュージアム 12月23日~25日]
「モネとジヴェルニーの画家たち」展、図録購入各日先着30名様ポスタープレゼント!
[東京都写真美術館 12月24日(17:30~20:00)]
夜間開館時各展覧会(収蔵品展/日本の新進作家展vol.9/映像をめぐる冒険vol.3)観覧無料!
Syabi クリスマスライブ 12月24日(18:30~19:15) ダニエル・コフリンによるライブ開催。(無料)
[横須賀美術館 12月24日~25日]
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」 クリスマスカップルプレゼント
カップルでの来館で各日先着50組に限り展覧会観覧料&駐車料金が無料!
美術館クリスマスコンサート 12月25日(14:00~14:30)
(pdfチラシ)
*関連エントリ
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」 横須賀美術館
横須賀美術館屋上から。
まずは写美の夜間入場無料が目立ちますが、横須賀美のカップル各日先着50組無料というのも見逃せません。駐車場まで無料という太っ腹企画です。デートに最適(?)のラファエル前派展ということで、これを機会に横須賀までドライブというのも良いのではないでしょうか。
モネとジヴェルニー展会場風景。(撮影と掲載は主催者の許可を得ています。)
モネとジヴェルニーの展覧会の様子をまとめるのをすっかり忘れていました。企画担当の方のレクチャーを聞いてきたので、そちらも近日中にアップしたいと思います。
それでは皆さんよいクリスマスを!
[埼玉県立近代美術館 12月23日~26日]
クリスマス特別企画「植田正治写真展」ペア観覧券販売(通常料金1600円→特別料金1200円)
[川村記念美術館 12月4日~12月24日]
「クリスマス市」
ドイツ風のクリスマス・マーケットを再現。(私もお邪魔してきました。)
[原美術館 開催中~12月26日]
奈良美智「My Drawing Room」クリスマス展示
[Bunkamuraザ・ミュージアム 12月23日~25日]
「モネとジヴェルニーの画家たち」展、図録購入各日先着30名様ポスタープレゼント!
[東京都写真美術館 12月24日(17:30~20:00)]
夜間開館時各展覧会(収蔵品展/日本の新進作家展vol.9/映像をめぐる冒険vol.3)観覧無料!
Syabi クリスマスライブ 12月24日(18:30~19:15) ダニエル・コフリンによるライブ開催。(無料)
[横須賀美術館 12月24日~25日]
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」 クリスマスカップルプレゼント
カップルでの来館で各日先着50組に限り展覧会観覧料&駐車料金が無料!
美術館クリスマスコンサート 12月25日(14:00~14:30)
(pdfチラシ)
*関連エントリ
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」 横須賀美術館
横須賀美術館屋上から。
まずは写美の夜間入場無料が目立ちますが、横須賀美のカップル各日先着50組無料というのも見逃せません。駐車場まで無料という太っ腹企画です。デートに最適(?)のラファエル前派展ということで、これを機会に横須賀までドライブというのも良いのではないでしょうか。
モネとジヴェルニー展会場風景。(撮影と掲載は主催者の許可を得ています。)
モネとジヴェルニーの展覧会の様子をまとめるのをすっかり忘れていました。企画担当の方のレクチャーを聞いてきたので、そちらも近日中にアップしたいと思います。
それでは皆さんよいクリスマスを!
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「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」 国立西洋美術館
国立西洋美術館(台東区上野公園7-7)
「アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然」
2010/10/26-2011/1/16
国立西洋美術館で開催中の「アルブレヒト・デューラー 版画・素描展」へ行ってきました。
まずは展覧会の構成です。
第1章 宗教
第2章 肖像
第3章 自然
デューラー芸術に重要な3つのテーマのもとに、計157点もの版画・素描作品が一同に展示されていました。
ともかく何かと情報量の多いデューラーの版画が150点超も並ぶ展覧会です。既に会期を終えた芸大美の「黙示録展」もなかなか壮観でしたが、こちらも見終えると殆ど疲労感さえ覚えるほどのスケールで圧倒されました。
一点一点の感想を書いていくとキリもありません。展示の全体より私として特に印象に残ったポイントを挙げてみます。
ライトモチーフとしての水彩画
「受胎告知」1503年頃 ペン、褐色インク、水彩 ベルリン国立版画素描館
展示冒頭を飾るのは、受胎告知のシーンを描いたデューラーの水彩です。例えば建物内部の陰影を象る描線などはデューラーならではの緻密なものでしたが、水彩の軽やかな質感は大きく時代を越えてかのモローを彷彿させる面もありました。
聖母伝と銅版画受難伝
「聖母の婚約」1504-05年頃 木版 国立西洋美術館
展示が3つのテーマに分かれているとは言え、ともかく質量ともに見応えがあるのは初めの「宗教」でしたが、中でもこの2つのシリーズは圧巻の一言でした。前者はデューラーがヴェネツィアで学んだローマ風の空間に聖母のモチーフが描かれた作品で、遠近法も多用して臨場感溢れる表現に挑戦しています。
「騎士と死と悪魔」1513年 エングレーヴィング 国立西洋美術館
後者はお馴染みのエングレーヴィングの作品です。小画面の中で無数に走る線描は驚くほどに細かく、単眼鏡というより虫眼鏡にでもかざして見たいと思ってしまいました。
神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の凱旋門
「マクシミリアン1世の凱旋門」1515-17年 木版 メルボルン国立ヴィクトリア美術館
地下2階(第2章肖像)へと進むと思わず仰け反ってしまいました。縦3.4m、横2.9メートルにも及ぶ巨体版画、「神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の凱旋門」が高らかに掲げられています。そもそもこの作品は共作で、全てデューラーの手によって描かれたわけではありませんが、木版49枚という圧倒的スケールには度肝を抜かれてしまいました。
なお会場では単にこの作品を一点だけで展示することなく、マクシミリアンの肖像の他、解説パネルなどで、この凱旋門プロジェクトの全体像についても言及されています。
こうした皇帝を初め、デューラーの周囲の人物たちに焦点を当てることで、改めて彼の制作の全体像を示す工夫がなされていました。
自然への眼差し
「聖アントニウス」1519年頃 エングレーヴィング メルボルン国立ヴィクトリア美術館
最後はデューラーにおける「自然に対する飽くなき情熱」(美術館ニュースより引用。)を問いただします。もちろんここでも宗教的な主題の作品が目立つわけですが、その中でも「バッタのいる聖家族」や「猿のいる聖母子」など、昆虫や動物のモチーフが随所に表れていました。
今回の図録がまた非常に充実しています。詳細極まりないテキストは展示の理解を深めるのではないでしょうか。自信をもっておすすめしたい一冊です。
結局、2時間ほどは会場内にいたかもしれません。充実した版画展は悪い意味でなく体力を消耗します。今回ほど休憩用のソファーが有り難く思えたこともありませんでした。
講演会:「デューラーにおける名声のメカニズム」
2011年1月9日(日)14:00~15:30
秋山聰(東京大学准教授)
*先着140名(聴講無料。)当日12:00より、館内インフォメーションにて聴講券を配付。
来年1月16日までの開催です。おすすめします。
「アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然」
2010/10/26-2011/1/16
国立西洋美術館で開催中の「アルブレヒト・デューラー 版画・素描展」へ行ってきました。
まずは展覧会の構成です。
第1章 宗教
第2章 肖像
第3章 自然
デューラー芸術に重要な3つのテーマのもとに、計157点もの版画・素描作品が一同に展示されていました。
ともかく何かと情報量の多いデューラーの版画が150点超も並ぶ展覧会です。既に会期を終えた芸大美の「黙示録展」もなかなか壮観でしたが、こちらも見終えると殆ど疲労感さえ覚えるほどのスケールで圧倒されました。
一点一点の感想を書いていくとキリもありません。展示の全体より私として特に印象に残ったポイントを挙げてみます。
ライトモチーフとしての水彩画
「受胎告知」1503年頃 ペン、褐色インク、水彩 ベルリン国立版画素描館
展示冒頭を飾るのは、受胎告知のシーンを描いたデューラーの水彩です。例えば建物内部の陰影を象る描線などはデューラーならではの緻密なものでしたが、水彩の軽やかな質感は大きく時代を越えてかのモローを彷彿させる面もありました。
聖母伝と銅版画受難伝
「聖母の婚約」1504-05年頃 木版 国立西洋美術館
展示が3つのテーマに分かれているとは言え、ともかく質量ともに見応えがあるのは初めの「宗教」でしたが、中でもこの2つのシリーズは圧巻の一言でした。前者はデューラーがヴェネツィアで学んだローマ風の空間に聖母のモチーフが描かれた作品で、遠近法も多用して臨場感溢れる表現に挑戦しています。
「騎士と死と悪魔」1513年 エングレーヴィング 国立西洋美術館
後者はお馴染みのエングレーヴィングの作品です。小画面の中で無数に走る線描は驚くほどに細かく、単眼鏡というより虫眼鏡にでもかざして見たいと思ってしまいました。
神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の凱旋門
「マクシミリアン1世の凱旋門」1515-17年 木版 メルボルン国立ヴィクトリア美術館
地下2階(第2章肖像)へと進むと思わず仰け反ってしまいました。縦3.4m、横2.9メートルにも及ぶ巨体版画、「神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の凱旋門」が高らかに掲げられています。そもそもこの作品は共作で、全てデューラーの手によって描かれたわけではありませんが、木版49枚という圧倒的スケールには度肝を抜かれてしまいました。
なお会場では単にこの作品を一点だけで展示することなく、マクシミリアンの肖像の他、解説パネルなどで、この凱旋門プロジェクトの全体像についても言及されています。
こうした皇帝を初め、デューラーの周囲の人物たちに焦点を当てることで、改めて彼の制作の全体像を示す工夫がなされていました。
自然への眼差し
「聖アントニウス」1519年頃 エングレーヴィング メルボルン国立ヴィクトリア美術館
最後はデューラーにおける「自然に対する飽くなき情熱」(美術館ニュースより引用。)を問いただします。もちろんここでも宗教的な主題の作品が目立つわけですが、その中でも「バッタのいる聖家族」や「猿のいる聖母子」など、昆虫や動物のモチーフが随所に表れていました。
今回の図録がまた非常に充実しています。詳細極まりないテキストは展示の理解を深めるのではないでしょうか。自信をもっておすすめしたい一冊です。
結局、2時間ほどは会場内にいたかもしれません。充実した版画展は悪い意味でなく体力を消耗します。今回ほど休憩用のソファーが有り難く思えたこともありませんでした。
講演会:「デューラーにおける名声のメカニズム」
2011年1月9日(日)14:00~15:30
秋山聰(東京大学准教授)
*先着140名(聴講無料。)当日12:00より、館内インフォメーションにて聴講券を配付。
来年1月16日までの開催です。おすすめします。
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「VOCA展2011」受賞者決定
既に来春で18回目を数える「若手作家の登竜門」(リリースより引用)、「VOCA展 新しい平面の作家たち」ですが、早くも来年度の受賞者が決まりました。
「VOCA展2011」@上野の森美術館
既に会場となる上野の森美術館のサイトにも記載されているところですが、改めてこちらにもまとめてみます。
VOCA賞 中山玲佳
「或る惑星」 アクリル、カンバス 130.0×388.0cm 撮影者:上野則宏
VOCA奨励賞 後藤靖香
「あきらめて」 顔料ペン、墨、カンバス 240.0×400.0cm 撮影者:上野則宏
VOCA奨励賞 森千裕
「Eternal itching(SAYONARA)」 透明水彩、鉛筆、水彩紙、木製パネル 145.0×210.0cm 撮影者:上野則宏
佳作賞 熊澤未来子
「より未来へ」 鉛筆、ジェッソ、木製パネル 227.0×363.6cm 撮影者:上野則宏
佳作賞 澤田明子
「ヒア」 岩絵具、麻紙 259.0×194.0×3.0cm 撮影者:上野則宏
大原美術館賞 上田暁子
(上作品)「あふれて入口、あふれて出口」 油彩、カンバス 130.3×162.1cm
(下作品)「とある熱を通り抜ける」 油彩、カンバス 145.5×227.3cm 撮影者:上野則宏
以上です。なお本展に出品の作家の他、推薦委員については同展覧会のWEBサイトにも掲載されています。あわせてご参照下さい。
VOCA展2011 出品作家/推薦委員
選考委員長高階秀爾(大原美術館館長)氏の「VOCA展2011」選考所感
今回のVOCA 展では、明確なテーマをそれぞれ特異な表現手法で追求する意欲的な作品が目立った。VOCA賞を得た中山玲佳の「或る惑星」は、鮮烈な色模様とたくましい動物存在とを重ね合わせた明と暗、色と形の大胆な対比構成のなかに、自然の根源的な生命力の神秘を表現した秀作で、新しい表現世界を切り拓いた見事な達成と言ってよい。その他の受賞作も、いずれもきわめて独自で、絵画の多様性をよく示す結果となった。
また関連のイベントなども予定されています。
シンポジウム「隠された物語」
日時:3月14日(月)午後5時15分~6時45分
パネリスト(敬称略):高階秀爾(選考委員長/大原美術館館長)、酒井忠康(選考委員/世田谷美術館館長)、 建畠晢(選考委員/国立国際美術館長)、本江邦夫(選考委員/多摩美術大学教授)、光田由里(選考委員 /美術評論家)、南嶌宏(選考委員/女子美術大学教授)
申込はメールなど。上野の森美術館「VOCA 展」係 メール: voca_2011@ueno-mori.org
受賞作家によるアーティスト・トーク
日時:3月19日(土)、3月26日(土)
時間:午後3時~4時 定員30名(申し込み不要)
各回、受賞作家3名が自作について語ります。
学芸員によるギャラリートーク
日時:3月20日(日)、27日(日)
時間:午後3時~4時 定員30名(申し込み不要)
以前、シンポジウムや作家さんのトークを拝聴したことがありましたが、とても興味深い内容でした。こうした各種イベントに参加するのもVOCA展を楽しむ一つの方法です。
*参考エントリ(2009年VOCA展のトークショー)
「VOCA展 2009 受賞作家トークVol.1『三瀬夏之介』」
「VOCA展 2009 受賞作家トークVol.2『樫木知子・高木こずえ』」
「現代美術の展望 VOCA展2011 - 新しい平面の作家たち - 」
会期:2011年3月14日(月)~3月30日(水) 17日間 *会期中無休
時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)*木・金・土曜日 10:00~18:00
料金:一般・大学生 ¥500 高校生以下 無料
会場:上野の森美術館
主催:「VOCA展」実行委員会/財団法人日本美術協会 上野の森美術館
協賛:第一生命保険株式会社
少し話が早いかもしれませんが、VOCAへ行くと春が来たという気分にさせられます。またこの展示をきっかけに画廊などを廻ったことも少なくありません。来年も楽しみになってきました。
昨年のVOCA展の様子
「VOCA展2011」は上野の森美術館で来年3月14日から開催されます。
注)会場風景、及び図版の掲載に関しては主催者の許可を得ています。
「VOCA展2011」@上野の森美術館
既に会場となる上野の森美術館のサイトにも記載されているところですが、改めてこちらにもまとめてみます。
VOCA賞 中山玲佳
「或る惑星」 アクリル、カンバス 130.0×388.0cm 撮影者:上野則宏
VOCA奨励賞 後藤靖香
「あきらめて」 顔料ペン、墨、カンバス 240.0×400.0cm 撮影者:上野則宏
VOCA奨励賞 森千裕
「Eternal itching(SAYONARA)」 透明水彩、鉛筆、水彩紙、木製パネル 145.0×210.0cm 撮影者:上野則宏
佳作賞 熊澤未来子
「より未来へ」 鉛筆、ジェッソ、木製パネル 227.0×363.6cm 撮影者:上野則宏
佳作賞 澤田明子
「ヒア」 岩絵具、麻紙 259.0×194.0×3.0cm 撮影者:上野則宏
大原美術館賞 上田暁子
(上作品)「あふれて入口、あふれて出口」 油彩、カンバス 130.3×162.1cm
(下作品)「とある熱を通り抜ける」 油彩、カンバス 145.5×227.3cm 撮影者:上野則宏
以上です。なお本展に出品の作家の他、推薦委員については同展覧会のWEBサイトにも掲載されています。あわせてご参照下さい。
VOCA展2011 出品作家/推薦委員
選考委員長高階秀爾(大原美術館館長)氏の「VOCA展2011」選考所感
今回のVOCA 展では、明確なテーマをそれぞれ特異な表現手法で追求する意欲的な作品が目立った。VOCA賞を得た中山玲佳の「或る惑星」は、鮮烈な色模様とたくましい動物存在とを重ね合わせた明と暗、色と形の大胆な対比構成のなかに、自然の根源的な生命力の神秘を表現した秀作で、新しい表現世界を切り拓いた見事な達成と言ってよい。その他の受賞作も、いずれもきわめて独自で、絵画の多様性をよく示す結果となった。
また関連のイベントなども予定されています。
シンポジウム「隠された物語」
日時:3月14日(月)午後5時15分~6時45分
パネリスト(敬称略):高階秀爾(選考委員長/大原美術館館長)、酒井忠康(選考委員/世田谷美術館館長)、 建畠晢(選考委員/国立国際美術館長)、本江邦夫(選考委員/多摩美術大学教授)、光田由里(選考委員 /美術評論家)、南嶌宏(選考委員/女子美術大学教授)
申込はメールなど。上野の森美術館「VOCA 展」係 メール: voca_2011@ueno-mori.org
受賞作家によるアーティスト・トーク
日時:3月19日(土)、3月26日(土)
時間:午後3時~4時 定員30名(申し込み不要)
各回、受賞作家3名が自作について語ります。
学芸員によるギャラリートーク
日時:3月20日(日)、27日(日)
時間:午後3時~4時 定員30名(申し込み不要)
以前、シンポジウムや作家さんのトークを拝聴したことがありましたが、とても興味深い内容でした。こうした各種イベントに参加するのもVOCA展を楽しむ一つの方法です。
*参考エントリ(2009年VOCA展のトークショー)
「VOCA展 2009 受賞作家トークVol.1『三瀬夏之介』」
「VOCA展 2009 受賞作家トークVol.2『樫木知子・高木こずえ』」
「現代美術の展望 VOCA展2011 - 新しい平面の作家たち - 」
会期:2011年3月14日(月)~3月30日(水) 17日間 *会期中無休
時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)*木・金・土曜日 10:00~18:00
料金:一般・大学生 ¥500 高校生以下 無料
会場:上野の森美術館
主催:「VOCA展」実行委員会/財団法人日本美術協会 上野の森美術館
協賛:第一生命保険株式会社
少し話が早いかもしれませんが、VOCAへ行くと春が来たという気分にさせられます。またこの展示をきっかけに画廊などを廻ったことも少なくありません。来年も楽しみになってきました。
昨年のVOCA展の様子
「VOCA展2011」は上野の森美術館で来年3月14日から開催されます。
注)会場風景、及び図版の掲載に関しては主催者の許可を得ています。
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「オランダのアート&デザイン新・言語」 東京都現代美術館
東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
「オランダのアート&デザイン新・言語」
2010/10/29-2011/1/30
オランダ・デザインの「今」を紹介します。東京都現代美術館で開催中の「オランダのアート&デザイン新・言語」へ行ってきました。
本展に出品のアーティストは以下の通りです。(アーティスト紹介一覧。)
マーティン・バース Maarten Baas(1978年、ドイツ生まれ。)
マルタイン・エングルブレクト Martijn Engelbregt(1972年、デンハーグ生まれ。)
テッド・ノーテン Ted Noten(1958年、テゲレン生まれ。)
タケトモコ Tomoko Take(1970年、大阪生まれ。)
テーマは「アート」に「デザイン」、また「言語」と、何やら多面的ですが、会場ではオランダのコンセプチュアルなデザイン作品をあまり難しいことを言わず、体感的に楽しめるよう工夫されています。なお今回は嬉しいことに会場内の撮影が可能でした。
写真撮影に関してのご案内@東京都現代美術館
というわけで上記リンク先の規約に沿い、展示の様子を振り返ってみます。
まず冒頭に登場するのがデット・ノーランの一連の装飾品です。貴金属素材を離れ、新しい素材でジュエリーの在り方を提案しています。
作家:テッド・ノーテン CC / BY-NC-ND
作家:テッド・ノーテン CC / BY-NC-ND
さて私の一推しはマーティン・バースです。展示室にはいわゆる椅子やタンス、そして時計などがずらりと並んでいますが、その一つ一つの形がいわゆる実用的なものではありません。デザインという枠を飛び越え、既成の概念を破るオブジェとしての家具がここに生み出されていました。
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
それにともかく時計シリーズが何ともコミカルです。じっと見つめていると驚くべき方法で針が動きます。これは必見です。
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
続くエングルブレクトは体験型のインスタレーションを展開しています。巨大なウォークイン方式で一種の性格判断を行う「迷路」を通過すると、大きな木製の「山」ならぬピクニックテーブルが出現していました。
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
また「ご近所ショップ」と題したショップも出店中です。
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
21000個ものブロックを観客が組み立てて操作する「小さな東京モニュメント」は人気のコーナーです。会期末には一体、どのような東京の景色が生み出されているのでしょうか。
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
ラストを飾るのは現在、オランダを拠点にして活動を続けるタケトモコの大掛かりなインスタレーションです。
作家:タケトモコ CC / BY-NC-ND
総じてデザインを通して見られる作家の発想力に感心させられました。楽しめます。
シンポジウム「オランダ・アート&デザインからの新・視点」
2011年1月15日(土) 14:00-16:00
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂 定員200名(先着順)参加無料
ゲスト:川上典李子(ジャーナリスト、21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター)、長坂常(建築家)、長谷川香苗(デザイン・ジャーナリスト)/モデレーター:関昭郎(本展担当学芸員)
トランスフォーメーションと同時開催中の展覧会です。来年1月30日まで開催されています。
「オランダのアート&デザイン新・言語」
2010/10/29-2011/1/30
オランダ・デザインの「今」を紹介します。東京都現代美術館で開催中の「オランダのアート&デザイン新・言語」へ行ってきました。
本展に出品のアーティストは以下の通りです。(アーティスト紹介一覧。)
マーティン・バース Maarten Baas(1978年、ドイツ生まれ。)
マルタイン・エングルブレクト Martijn Engelbregt(1972年、デンハーグ生まれ。)
テッド・ノーテン Ted Noten(1958年、テゲレン生まれ。)
タケトモコ Tomoko Take(1970年、大阪生まれ。)
テーマは「アート」に「デザイン」、また「言語」と、何やら多面的ですが、会場ではオランダのコンセプチュアルなデザイン作品をあまり難しいことを言わず、体感的に楽しめるよう工夫されています。なお今回は嬉しいことに会場内の撮影が可能でした。
写真撮影に関してのご案内@東京都現代美術館
というわけで上記リンク先の規約に沿い、展示の様子を振り返ってみます。
まず冒頭に登場するのがデット・ノーランの一連の装飾品です。貴金属素材を離れ、新しい素材でジュエリーの在り方を提案しています。
作家:テッド・ノーテン CC / BY-NC-ND
作家:テッド・ノーテン CC / BY-NC-ND
さて私の一推しはマーティン・バースです。展示室にはいわゆる椅子やタンス、そして時計などがずらりと並んでいますが、その一つ一つの形がいわゆる実用的なものではありません。デザインという枠を飛び越え、既成の概念を破るオブジェとしての家具がここに生み出されていました。
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
それにともかく時計シリーズが何ともコミカルです。じっと見つめていると驚くべき方法で針が動きます。これは必見です。
作家:マーティン・バース CC / BY-NC-ND
続くエングルブレクトは体験型のインスタレーションを展開しています。巨大なウォークイン方式で一種の性格判断を行う「迷路」を通過すると、大きな木製の「山」ならぬピクニックテーブルが出現していました。
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
また「ご近所ショップ」と題したショップも出店中です。
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
21000個ものブロックを観客が組み立てて操作する「小さな東京モニュメント」は人気のコーナーです。会期末には一体、どのような東京の景色が生み出されているのでしょうか。
作家:マルタイン・エングルブレクト CC / BY-NC-ND
ラストを飾るのは現在、オランダを拠点にして活動を続けるタケトモコの大掛かりなインスタレーションです。
作家:タケトモコ CC / BY-NC-ND
総じてデザインを通して見られる作家の発想力に感心させられました。楽しめます。
シンポジウム「オランダ・アート&デザインからの新・視点」
2011年1月15日(土) 14:00-16:00
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂 定員200名(先着順)参加無料
ゲスト:川上典李子(ジャーナリスト、21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター)、長坂常(建築家)、長谷川香苗(デザイン・ジャーナリスト)/モデレーター:関昭郎(本展担当学芸員)
トランスフォーメーションと同時開催中の展覧会です。来年1月30日まで開催されています。
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「Reflections - 現代アート新鋭作家13人展」 ギャラリー・アート・ポイント
ギャラリー・アート・ポイント(中央区銀座8-11-13 エリザベスビルB1)
「Reflections - 現代アート新鋭作家13人展」
12/13-12/23
日頃お世話になっているあおひーさん出品のグループ展です。ギャラリー・アート・ポイントで開催中の「Reflections - 現代アート新鋭作家13人展」へ行ってきました。
出品の13名の作家は以下の通りです。
あおひー
いい ひさえ
ikedaayako
伊藤清子
イトウ チエ
江口繁
加瀬世一
きむら かおり
神戸博喜
比留間友香
福田直子
矢倉屋佳弥
1015
各作家数点ずつ、主に絵画表現を中心とした作品が展示されていました。(あおひーさんのみ写真です。)
左から2番目が「BLUE」。
さてそのお目当てのあおひーさんの作品ですが、私としてはほぼ意外とも思えるような新たなる展開を見せていました。これまでの傾向とすると、どちらかといえば色やモチーフそのものが独自のブレによって混じり合うような、穏やかな表情を見せているものが目立っていましたが、今回の新作「BLUE」にはその色と形に言わば強度が付け加えられています。
青の眩いばかりの輝きは未知の抽象的景色を生み出します。もちろんこれも以前と同様、何気ない街角の光景を被写体としているわけですが、それはもはや解体され、逆にこれまでにないイメージを取り出すことに成功していました。表情は驚くほど大きく変化しています。
さて13名ものグループ展です。気になった作品を簡単に挙げてみます。
伊藤清子さん。
矢倉屋佳弥さん。
全くテイストの異なる作品がせめぎあう空間全体も楽しめました。
今月23日までの開催です。*最終日の23日(祝日)も開廊。
「Reflections - 現代アート新鋭作家13人展」
12/13-12/23
日頃お世話になっているあおひーさん出品のグループ展です。ギャラリー・アート・ポイントで開催中の「Reflections - 現代アート新鋭作家13人展」へ行ってきました。
出品の13名の作家は以下の通りです。
あおひー
いい ひさえ
ikedaayako
伊藤清子
イトウ チエ
江口繁
加瀬世一
きむら かおり
神戸博喜
比留間友香
福田直子
矢倉屋佳弥
1015
各作家数点ずつ、主に絵画表現を中心とした作品が展示されていました。(あおひーさんのみ写真です。)
左から2番目が「BLUE」。
さてそのお目当てのあおひーさんの作品ですが、私としてはほぼ意外とも思えるような新たなる展開を見せていました。これまでの傾向とすると、どちらかといえば色やモチーフそのものが独自のブレによって混じり合うような、穏やかな表情を見せているものが目立っていましたが、今回の新作「BLUE」にはその色と形に言わば強度が付け加えられています。
青の眩いばかりの輝きは未知の抽象的景色を生み出します。もちろんこれも以前と同様、何気ない街角の光景を被写体としているわけですが、それはもはや解体され、逆にこれまでにないイメージを取り出すことに成功していました。表情は驚くほど大きく変化しています。
さて13名ものグループ展です。気になった作品を簡単に挙げてみます。
伊藤清子さん。
矢倉屋佳弥さん。
全くテイストの異なる作品がせめぎあう空間全体も楽しめました。
今月23日までの開催です。*最終日の23日(祝日)も開廊。
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「東京アートミーティング トランスフォーメーション」 東京都現代美術館
東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」
2010/10/29-2011/1/30
東京都現代美術館で開催中の「東京アートミーティング トランスフォーメーション」へ行って来ました。
タイトルの通り、人間やそうでないものの「変身」や「変容」を現代アートの立場から問う展覧会ですが、ともかく絵画に映像にインスタレーションと盛りだくさんです。出品アーティストも15ヶ国、計21組に及んでいました。
AES + F
マシュー・バーニー
サイモン・バーチ
フランチェスコ・クレメンテ
マーカス・コーツ
ヤン・ファーブル
ガブリエラ・フリドリクスドッティ
石川直樹
バールティ・ケール
イ・ブル
小谷元彦
及川潤耶
ジャガンナート・パンダ
パトリシア・ピッチニーニ
シャジア・シカンダー
スプツニ子!
ヤナ・スターバック
サラ・ジー
高木正勝
トゥンガ
アピチャッポン・ウィーラセタクン
なお各アーティストのプロフィールなどについては同館WEBサイトをご参照下さい。なかなか豪華なメンバーでした。
トランスフォーメーション アーティスト@東京都現代美術館
さて掴みが私としてはかなりツボです。展示冒頭で来場者を待ち構えるのは、ブリヂストンでの個展が圧巻だったパトリシア・ピッチニーニでした。彼女は遺伝子操作による生命倫理などに関心を寄せる作家ですが、今回も人間とカモノハシのハイブリッドという赤ん坊「新生児」(2010)を出品しています。一見グロテスクながらも、どこか愛くるしい表情をしたその姿からは、作家のあらゆる生命に対する温かな眼差しを感じました。
またもう一点、映像の「サンドマン」(2002)も興味深い作品です。海で溺れる少女にある変化が生まれます。ここはその変容をじっくりと追いかけました。
続く及川潤耶のサウンドインスタレーション、「transfomation」(2010)も魅力的な作品ではないでしょうか。暗室に設置された数台のスピーカーから鳴る音が、空間全体にバーチャルな情景を呼び覚まします。音の織り成す風に包まながら、鳥の合唱に耳を傾けました。
ジャジア・シカンダー「無題」1998 *参考図版
森美術館で個展開催中の小谷元彦や、布やレースで神や動物を象るというジャガンナート・パンダを過ぎると、一際目立つのが壁一面に紙を垂らし、多様な紋様を交差させたシャジア・シカンダーでした。絵の具の滲みを活かした絵画は、あたかも水墨を思わせるものがあります。その軽妙なタッチには目を奪われました。
さてエスカレーターを降りて2フロア目、一階展示室では主に映像を使った作品が展開されています。ここで挙げるべきはやはり高木正勝です。
高木と言えばつい最近、山本現代で個展を開いたところですが、今回も鳥の視点に基づく鮮やかな絵画的世界が、迫力ある音楽とともにスリリングな展開で映し出されています。大空を羽ばたきながら色の渦に呑まれ、そして解体されては次々と生成していく異世界に酔いしれました。
サラ・ジーがやや意表を突いた展示で楽しめます。エルメスの個展では空間をダイナミックに用いていましたが今回は一転、狭い場所で息を潜めるような作品を展開していました。
ヤン・ファーブル「第15章(ブロンズ)」2010
マイベストはお馴染みのヤン・ファーブルです。暗室に並ぶ動物と自身の顔を融合させた「第1-18章」(2010)には、思わず息をのんだ方も多いかもしれません。鹿や兎の耳を被った作家の像は鬼気迫るものがあり、その表情の凍りついた様子はさながら悪魔のデスマスクのようでした。
ラストの地階、アトリウムには数名の作家による等身大からやや大きめのサイズのオブジェが何点か並んでいます。如何せん天井高のあるスペースなので、上部が間延びしているように見えるのが残念でしたが、イ・ブルの「セイレーン」(2000)などはゾクゾクするような艶やかさを感じました。また鏡を用いて空間に変化を与えた演出も好印象でした。
一人重要な作家を忘れていました。会場でも人気を集めていたのは、マシュー・バーニーです。今回は映像の「クレマスター」(2002)の他、関連の彫刻などが展示されていましたが、ご多分に漏れず上映時間は長く、約180分あります。開始時間などの案内があればとは思いました。
ガブリエラ・フリドリクスドッティ「バーセイションズ-四部作:北」2005
マシュー・バーニーはさておいても、映像の作品が結構あります。私もやや駆け足気味だったので出来れば再訪問しようとは思いますが、時間に余裕をもって出かけた方が良いかもしれません。
テーマも比較的明快で作品も楽しめるものが多くありました。おすすめできます。
「トランスフォーメーション/アクセス・パブリッシング」
来年1月30日まで開催されています。
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」
2010/10/29-2011/1/30
東京都現代美術館で開催中の「東京アートミーティング トランスフォーメーション」へ行って来ました。
タイトルの通り、人間やそうでないものの「変身」や「変容」を現代アートの立場から問う展覧会ですが、ともかく絵画に映像にインスタレーションと盛りだくさんです。出品アーティストも15ヶ国、計21組に及んでいました。
AES + F
マシュー・バーニー
サイモン・バーチ
フランチェスコ・クレメンテ
マーカス・コーツ
ヤン・ファーブル
ガブリエラ・フリドリクスドッティ
石川直樹
バールティ・ケール
イ・ブル
小谷元彦
及川潤耶
ジャガンナート・パンダ
パトリシア・ピッチニーニ
シャジア・シカンダー
スプツニ子!
ヤナ・スターバック
サラ・ジー
高木正勝
トゥンガ
アピチャッポン・ウィーラセタクン
なお各アーティストのプロフィールなどについては同館WEBサイトをご参照下さい。なかなか豪華なメンバーでした。
トランスフォーメーション アーティスト@東京都現代美術館
さて掴みが私としてはかなりツボです。展示冒頭で来場者を待ち構えるのは、ブリヂストンでの個展が圧巻だったパトリシア・ピッチニーニでした。彼女は遺伝子操作による生命倫理などに関心を寄せる作家ですが、今回も人間とカモノハシのハイブリッドという赤ん坊「新生児」(2010)を出品しています。一見グロテスクながらも、どこか愛くるしい表情をしたその姿からは、作家のあらゆる生命に対する温かな眼差しを感じました。
またもう一点、映像の「サンドマン」(2002)も興味深い作品です。海で溺れる少女にある変化が生まれます。ここはその変容をじっくりと追いかけました。
続く及川潤耶のサウンドインスタレーション、「transfomation」(2010)も魅力的な作品ではないでしょうか。暗室に設置された数台のスピーカーから鳴る音が、空間全体にバーチャルな情景を呼び覚まします。音の織り成す風に包まながら、鳥の合唱に耳を傾けました。
ジャジア・シカンダー「無題」1998 *参考図版
森美術館で個展開催中の小谷元彦や、布やレースで神や動物を象るというジャガンナート・パンダを過ぎると、一際目立つのが壁一面に紙を垂らし、多様な紋様を交差させたシャジア・シカンダーでした。絵の具の滲みを活かした絵画は、あたかも水墨を思わせるものがあります。その軽妙なタッチには目を奪われました。
さてエスカレーターを降りて2フロア目、一階展示室では主に映像を使った作品が展開されています。ここで挙げるべきはやはり高木正勝です。
高木と言えばつい最近、山本現代で個展を開いたところですが、今回も鳥の視点に基づく鮮やかな絵画的世界が、迫力ある音楽とともにスリリングな展開で映し出されています。大空を羽ばたきながら色の渦に呑まれ、そして解体されては次々と生成していく異世界に酔いしれました。
サラ・ジーがやや意表を突いた展示で楽しめます。エルメスの個展では空間をダイナミックに用いていましたが今回は一転、狭い場所で息を潜めるような作品を展開していました。
ヤン・ファーブル「第15章(ブロンズ)」2010
マイベストはお馴染みのヤン・ファーブルです。暗室に並ぶ動物と自身の顔を融合させた「第1-18章」(2010)には、思わず息をのんだ方も多いかもしれません。鹿や兎の耳を被った作家の像は鬼気迫るものがあり、その表情の凍りついた様子はさながら悪魔のデスマスクのようでした。
ラストの地階、アトリウムには数名の作家による等身大からやや大きめのサイズのオブジェが何点か並んでいます。如何せん天井高のあるスペースなので、上部が間延びしているように見えるのが残念でしたが、イ・ブルの「セイレーン」(2000)などはゾクゾクするような艶やかさを感じました。また鏡を用いて空間に変化を与えた演出も好印象でした。
一人重要な作家を忘れていました。会場でも人気を集めていたのは、マシュー・バーニーです。今回は映像の「クレマスター」(2002)の他、関連の彫刻などが展示されていましたが、ご多分に漏れず上映時間は長く、約180分あります。開始時間などの案内があればとは思いました。
ガブリエラ・フリドリクスドッティ「バーセイションズ-四部作:北」2005
マシュー・バーニーはさておいても、映像の作品が結構あります。私もやや駆け足気味だったので出来れば再訪問しようとは思いますが、時間に余裕をもって出かけた方が良いかもしれません。
テーマも比較的明快で作品も楽しめるものが多くありました。おすすめできます。
「トランスフォーメーション/アクセス・パブリッシング」
来年1月30日まで開催されています。
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「宮島達男 - Warp Time with Warp Self」 SCAI
SCAI THE BATHHOUSE(台東区谷中6-1-23)
「宮島達男 - Warp Time with Warp Self」
11/12-12/22
SCAI THE BATHHOUSEで開催中の宮島達男新作個展、「Warp Time with Warp Self」へ行ってきました。
作家プロフィール、及び作品画像などは同ギャラリーWEBサイトをご参照下さい。
宮島達男 Tatsuo MIYAJIMA@SCAI
さて今回も展示されているのは、お馴染みの絶え間なく点滅するLEDのデジタルカウンターでしたが、これまでよりも一層、作品と見る側との関係、またその数字の運動を意識させる部分があるかもしれません。
カウンターを支える構造物に歪んだ鏡面が用いられているからか、映り込むイメージは終始揺らぎ、また立ち位置によって数字そのものも動いているかのような感覚を呼び込んでいます。ぐにゃりと空間を曲げた銀色の鏡面上で映っては消え、また揺らいでは瞬くカウンターは、まるでたゆたう水面に落ちる雨粒のようでした。
展示風景はフクヘンさんのブログに掲載されています。
宮島達男「Warp Time with Warp Self」@フクヘン。
「宮島達男 解体新書」
12月22日までの開催です。
「宮島達男 - Warp Time with Warp Self」
11/12-12/22
SCAI THE BATHHOUSEで開催中の宮島達男新作個展、「Warp Time with Warp Self」へ行ってきました。
作家プロフィール、及び作品画像などは同ギャラリーWEBサイトをご参照下さい。
宮島達男 Tatsuo MIYAJIMA@SCAI
さて今回も展示されているのは、お馴染みの絶え間なく点滅するLEDのデジタルカウンターでしたが、これまでよりも一層、作品と見る側との関係、またその数字の運動を意識させる部分があるかもしれません。
カウンターを支える構造物に歪んだ鏡面が用いられているからか、映り込むイメージは終始揺らぎ、また立ち位置によって数字そのものも動いているかのような感覚を呼び込んでいます。ぐにゃりと空間を曲げた銀色の鏡面上で映っては消え、また揺らいでは瞬くカウンターは、まるでたゆたう水面に落ちる雨粒のようでした。
展示風景はフクヘンさんのブログに掲載されています。
宮島達男「Warp Time with Warp Self」@フクヘン。
「宮島達男 解体新書」
12月22日までの開催です。
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「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」 横須賀美術館
横須賀美術館(神奈川県横須賀市鴨居4-1)
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」
10/30-12/26
イギリス・ヴィクトリア朝芸術の成果を概観します。横須賀美術館で開催中の「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」へ行って来ました。
モリスと聞くと、何年か前に都美館で開催された「アーツ&クラフツ」を思い出しますが、今回はそれに人気のラファエル前派絵画を組み合わせるというなかなか豪華な展覧会です。
出品リスト(pdf)
ロセッティやバーン=ジョーンズを含む計80点の絵画の他、ウィリアム・モリスのデザインの皿や家具など、計100点超の作品にて、ヴィクトリア朝美術の系譜を概観していました。
フォード・マドックス・ブラウン「狩人小屋の中のマンフレッド」 1840年 油彩・カンヴァス ノッティンガム市立美術館
冒頭は詩人バイロンの登場です。彼の戯曲「マンフレッド」をモチーフにしたフォード・マドックス・ブラウンの「狩人小屋のマンフレッド」が展示されています。これは精神を修練して禁断の学問を習得しようと山へこった貴族のマンフレッドを、狩人が引き留めようとするシーンですが、それがどこかドラクロワを思わせるような劇的なタッチで表されていました。
この目に見える世界はみんな、なんて素敵なんだろう!
自然のはたらきそれ自体も、なんて眩いんだ!
なのに俺たち、自らこの世の支配者を語っている俺たち、
塵と神のアイノコの、沈むにも舞い上がるにも
適さない俺たちは、その混じりあった特質で
対立するものとの争いを引き起こし、
堕落とウヌボレの息をするんだ、
死という運命が優勢になるまで、
低俗な野望と崇高な意志を求めて戦いながら、
人間は――自身についてものを言うことがないし、
お互いに信じあうなんてこともないんだ。 バイロン「マンフレッド」より第1幕。マンフレッドの独白。
当然ながらラファエル前派ということで、こうした文学主題の作品が目白押しです。絵を読むように楽しめるのもまた嬉しいところでした。
トーマス・セドン「ヨシャパテの谷から望むエルサレム」 1855-56年 水彩・顔料・紙
記念碑的な作品もお目見えします。これはラファエル前派の作家でイギリスの公的コレクションに初めて収蔵されたという、トーマス・セドンの「ヨシャパテの谷から望むエルサレム」(1855-56)です。パレスチナを旅した作家の見た荒野が、淡いサーモンピンクでまとめられていました。ラファエル前派のイメージとはやや異なりますが、こうした毛色の違う作品が楽しめるのもまた見るべきポイントかもしれません。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「レディ・リリス」 1867年 水彩・顔料・紙
展示中盤へ進むとロセッティの独り舞台です。 彼の作品が何と20点超も出ていたには驚かされましたが、やはりここでは「レディ・リリス」(1867年)がずば抜けていました。アダムの妻とも言われるリリスは、あたかも見る者を挑発するようにして横顔を向けています。その艶やかな面持ちにはぞくぞくしてしまいました。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「愛の杯」 1867年 水彩・紙 ウィリアム・モリス・ギャラリー
またもう一点、ロセッティと言わば西美常設作と瓜二つの「愛の杯」(1867年)も忘れられません。西美の作は油彩ですが、こちらはそれを模写した3点の水彩のうちの1つです。ほぼ同じ構図、また姿が描かれていますが、双方の表情に若干の違いがあるのも興味深いところでした。
エドワード・コリー・バー=ジョーンズ「ドラゴンを退治する聖ゲオルギウス」 1868年 水彩・顔料・紙 ウィリアム・モリス・ギャラリー
見どころが続きますが、それでもあえてハイライトを挙げるとすればバーン=ジョーンズではないでしょうか。こちらもロセッティ同様、約20点ほど出ています。中でも有名な「ドラゴンを退治する聖ゲオルギウス」(1868年)は見応え十分でした。
またバーン=ジョーンズで嬉しいのは、彼の絵によるモリス商会のステンドグラスが出ていることです。後半のモリスを挙げるまでもなく、こうしたステンドグラスや家具、そしてタイルから染織など、立体作品が数多くあるのも大きな魅力でした。
デザイン:ウィリアム・バージェス「椅子:人魚」 1860年頃 ウィリアム・モリス・ギャラリー
それにしてもこれらの作品の殆どが海外からの出品です。今回を見逃すと次、いつ楽しめるかわかりません。
会期が26日までと迫っていますが、クリスマスにお出かけのカップルには超・朗報です。なんと24、25日の両日に限り、先着50組計100名が展覧会を無料で観覧できます。(しかも駐車場まで無料です。)
「クリスマスカップル プレゼント」(pdf)
12月24日(金)・25日(土) カップルでの来館で展覧会観覧料無料&駐車料金が無料! 各日先着50組
このような太っ腹の企画はあまり聞いたことがありません。これはチャンスではないでしょうか。
横須賀美術館といえばともかく海を望む絶好のロケーションです。この日はお天気が良く、うっすらと遠方にスカイツリーの姿も確認出来ました。
関東巡回は横須賀だけです。(100円割引券)12月26日まで開催されています。これはおすすめします。*横須賀展終了後、美術館「えき」KYOTOへと巡回。(2011年2月25日~3月27日)
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」
10/30-12/26
イギリス・ヴィクトリア朝芸術の成果を概観します。横須賀美術館で開催中の「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」へ行って来ました。
モリスと聞くと、何年か前に都美館で開催された「アーツ&クラフツ」を思い出しますが、今回はそれに人気のラファエル前派絵画を組み合わせるというなかなか豪華な展覧会です。
出品リスト(pdf)
ロセッティやバーン=ジョーンズを含む計80点の絵画の他、ウィリアム・モリスのデザインの皿や家具など、計100点超の作品にて、ヴィクトリア朝美術の系譜を概観していました。
フォード・マドックス・ブラウン「狩人小屋の中のマンフレッド」 1840年 油彩・カンヴァス ノッティンガム市立美術館
冒頭は詩人バイロンの登場です。彼の戯曲「マンフレッド」をモチーフにしたフォード・マドックス・ブラウンの「狩人小屋のマンフレッド」が展示されています。これは精神を修練して禁断の学問を習得しようと山へこった貴族のマンフレッドを、狩人が引き留めようとするシーンですが、それがどこかドラクロワを思わせるような劇的なタッチで表されていました。
この目に見える世界はみんな、なんて素敵なんだろう!
自然のはたらきそれ自体も、なんて眩いんだ!
なのに俺たち、自らこの世の支配者を語っている俺たち、
塵と神のアイノコの、沈むにも舞い上がるにも
適さない俺たちは、その混じりあった特質で
対立するものとの争いを引き起こし、
堕落とウヌボレの息をするんだ、
死という運命が優勢になるまで、
低俗な野望と崇高な意志を求めて戦いながら、
人間は――自身についてものを言うことがないし、
お互いに信じあうなんてこともないんだ。 バイロン「マンフレッド」より第1幕。マンフレッドの独白。
当然ながらラファエル前派ということで、こうした文学主題の作品が目白押しです。絵を読むように楽しめるのもまた嬉しいところでした。
トーマス・セドン「ヨシャパテの谷から望むエルサレム」 1855-56年 水彩・顔料・紙
記念碑的な作品もお目見えします。これはラファエル前派の作家でイギリスの公的コレクションに初めて収蔵されたという、トーマス・セドンの「ヨシャパテの谷から望むエルサレム」(1855-56)です。パレスチナを旅した作家の見た荒野が、淡いサーモンピンクでまとめられていました。ラファエル前派のイメージとはやや異なりますが、こうした毛色の違う作品が楽しめるのもまた見るべきポイントかもしれません。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「レディ・リリス」 1867年 水彩・顔料・紙
展示中盤へ進むとロセッティの独り舞台です。 彼の作品が何と20点超も出ていたには驚かされましたが、やはりここでは「レディ・リリス」(1867年)がずば抜けていました。アダムの妻とも言われるリリスは、あたかも見る者を挑発するようにして横顔を向けています。その艶やかな面持ちにはぞくぞくしてしまいました。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「愛の杯」 1867年 水彩・紙 ウィリアム・モリス・ギャラリー
またもう一点、ロセッティと言わば西美常設作と瓜二つの「愛の杯」(1867年)も忘れられません。西美の作は油彩ですが、こちらはそれを模写した3点の水彩のうちの1つです。ほぼ同じ構図、また姿が描かれていますが、双方の表情に若干の違いがあるのも興味深いところでした。
エドワード・コリー・バー=ジョーンズ「ドラゴンを退治する聖ゲオルギウス」 1868年 水彩・顔料・紙 ウィリアム・モリス・ギャラリー
見どころが続きますが、それでもあえてハイライトを挙げるとすればバーン=ジョーンズではないでしょうか。こちらもロセッティ同様、約20点ほど出ています。中でも有名な「ドラゴンを退治する聖ゲオルギウス」(1868年)は見応え十分でした。
またバーン=ジョーンズで嬉しいのは、彼の絵によるモリス商会のステンドグラスが出ていることです。後半のモリスを挙げるまでもなく、こうしたステンドグラスや家具、そしてタイルから染織など、立体作品が数多くあるのも大きな魅力でした。
デザイン:ウィリアム・バージェス「椅子:人魚」 1860年頃 ウィリアム・モリス・ギャラリー
それにしてもこれらの作品の殆どが海外からの出品です。今回を見逃すと次、いつ楽しめるかわかりません。
会期が26日までと迫っていますが、クリスマスにお出かけのカップルには超・朗報です。なんと24、25日の両日に限り、先着50組計100名が展覧会を無料で観覧できます。(しかも駐車場まで無料です。)
「クリスマスカップル プレゼント」(pdf)
12月24日(金)・25日(土) カップルでの来館で展覧会観覧料無料&駐車料金が無料! 各日先着50組
このような太っ腹の企画はあまり聞いたことがありません。これはチャンスではないでしょうか。
横須賀美術館といえばともかく海を望む絶好のロケーションです。この日はお天気が良く、うっすらと遠方にスカイツリーの姿も確認出来ました。
関東巡回は横須賀だけです。(100円割引券)12月26日まで開催されています。これはおすすめします。*横須賀展終了後、美術館「えき」KYOTOへと巡回。(2011年2月25日~3月27日)
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「新収蔵 盛田良子コレクション」 東京国立近代美術館
東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園3-1)
「所蔵作品展 近代日本の美術 - 新収蔵:盛田良子コレクション」
10/23-12/19
本年度に収蔵された20世紀美術作品4点を紹介します。東京国立近代美術館の常設展で開催中の「新収蔵 盛田良子コレクション」へ行ってきました。
ソニー創業者の盛田昭夫氏の妻でもあり、ニューヨーク近代美術館役員の他、財団法人盛田国際教育振興財団選考委員などを歴任された盛田良子氏ですが、このほど氏が所有していたという下記4点が美術館に収蔵されました。
ジョルジュ・ブラック「女のトルソ」(1910-11年)
パウル・クレー「山への衝動」(1939年)
ニコラ・ド・スタール「コンポジション(湿った土)」(1949年)
ジャン・デュビュッフェ「土星の風景」(1952年)
パウル・クレー「山への衝動」(1939年)
これらの作品の「質の高い」(同美術館サイトより)という言葉は全く間違っていません。クレーの大作の他、お馴染みのブラックやデッビュッフェなどの力作が展示されていました。
ニコラ・ド・スタール「コンポジション(湿った土)」(1949年)
私として今回一番惹かれたのはド・スタールの「湿った土」です。その色遣い、また何と言っても画肌の感触に魅力を感じました。
なおデュビュッフェについては寄贈です。ちなみにこれら4点は盛田氏のご自宅に飾られていたとのことでした。何とも豪華なお話です。
常設のクレーの諸作品。
クレーなどでは既に定評のある同館のコレクションに更なる厚みが増しました。既に会期末ではありますが、麻生三郎展の際には是非ともお見逃しなきようご注意下さい。
手前、ヴォルフガング・ライプ「米の食事」(1998年)、奥、ソル・ルウィット「形態の複合 No.6」(1987年)
ちなみに常設の第5章「現代美術」では、ヴォルフガング・ライプの「米の食事」が久々に出ていました。同館で以前行われた回顧展の思い出が蘇ります。見事な展覧会でした。
12月19日まで展示されています。
「所蔵作品展 近代日本の美術 - 新収蔵:盛田良子コレクション」
10/23-12/19
本年度に収蔵された20世紀美術作品4点を紹介します。東京国立近代美術館の常設展で開催中の「新収蔵 盛田良子コレクション」へ行ってきました。
ソニー創業者の盛田昭夫氏の妻でもあり、ニューヨーク近代美術館役員の他、財団法人盛田国際教育振興財団選考委員などを歴任された盛田良子氏ですが、このほど氏が所有していたという下記4点が美術館に収蔵されました。
ジョルジュ・ブラック「女のトルソ」(1910-11年)
パウル・クレー「山への衝動」(1939年)
ニコラ・ド・スタール「コンポジション(湿った土)」(1949年)
ジャン・デュビュッフェ「土星の風景」(1952年)
パウル・クレー「山への衝動」(1939年)
これらの作品の「質の高い」(同美術館サイトより)という言葉は全く間違っていません。クレーの大作の他、お馴染みのブラックやデッビュッフェなどの力作が展示されていました。
ニコラ・ド・スタール「コンポジション(湿った土)」(1949年)
私として今回一番惹かれたのはド・スタールの「湿った土」です。その色遣い、また何と言っても画肌の感触に魅力を感じました。
なおデュビュッフェについては寄贈です。ちなみにこれら4点は盛田氏のご自宅に飾られていたとのことでした。何とも豪華なお話です。
常設のクレーの諸作品。
クレーなどでは既に定評のある同館のコレクションに更なる厚みが増しました。既に会期末ではありますが、麻生三郎展の際には是非ともお見逃しなきようご注意下さい。
手前、ヴォルフガング・ライプ「米の食事」(1998年)、奥、ソル・ルウィット「形態の複合 No.6」(1987年)
ちなみに常設の第5章「現代美術」では、ヴォルフガング・ライプの「米の食事」が久々に出ていました。同館で以前行われた回顧展の思い出が蘇ります。見事な展覧会でした。
12月19日まで展示されています。
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