幼なじみからいただいた サクランボ
ひょっこり小学校時代の友人が訪ねてきた。
車の窓から手をのばして、真っ赤なさくらんぼの箱入りをさしだしている。
「一人じゃ食べ切らんけん、あっちこっちに配っとるタイ」
「うわ~い、さくらんんぼ!きれいねぇ 家のさくらんぼ?」
「う~ん、ばあ~さんが太くなりすぎたけん、切らんねというので今は1本だけになったばってんね」
「ばあさん?って誰のことね?」
「うちのやつたい!」
「うちのやつって奥さんでしょ、亡くなられた奥さんのことでしょ?
ばあさんとは、かわいそうやんね。なら わたしもばあさんよ」
「わはは~ それは失礼しました! 俺もじいさんやったたいね」」
サクランボをダシにしていっとき会話が弾んだ。
「一人になったら、ほんなこて寂しかば~い。 旦那さんば大切にしとかんねよ」
「う~ん、わかっとるって!」
たわいない話がつづく
「俺、なぁ~んもすることなかけん、いまから温泉でもってくるたい、じゃまたねぇ」
気楽な小学校時代の同級生は、車でさ~っと帰って行った。
でも、ホントにさみしげだった。男やもめだもんね。