
切手シリーズ55。もうすぐ1000日目ということもあり、1000円切手を取り上げる。なお、現在も1000円切手が額面としては最高額である。

まずは戦後の最高額切手はどのように変遷したのかを調べてみる。戦後だけを見ると1947年に第1次昭和切手では最高額面は100円(1947年1月発行)であった。これが2年後の1949年9月に発行された産業図案切手では500円となった。今から65年も前だが、当時の貨幣価値から考えても相当な高額切手で、多分国内で使用された例は殆どないと思われる。図案は蒸気機関車の製造風景である。発行枚数も少なく、今も未使用でカタログ価格は85000円する。

次に、1955年3月第二次動植物国宝シリーズの1枚として『八ツ橋蒔絵』が発行された。印刷は地味な薄赤紫色の凹版単色である。

その後、同じ硯箱の切手が、1987年に第三次国宝シリーズの1枚として再度発行されているが、これを見ると黒字に金泥の鮮やかなものであることが分かる。

500円切手は1969年2月に新動植物国宝シリーズとして東大寺金剛力士像の切手が発行された。ほかのシリーズ切手は全てグラビア印刷なのに対し、この切手のみ凹版印刷である。

そして、最初に千円切手が発行されたのはその3年後の1972年4月22日。図案は京都にある浄瑠璃寺吉祥天立像であるが、サイズも大き目のものとなっている。同時に小型シートも1951年の50円弥勒菩薩の切手以来久しぶりに発行された。なお、50円弥勒菩薩の小型シートはわずか15万枚しか発行されなかったため、カタログ価格55000円もするが、残念ながら千円切手の小型シートは2000円止まりであった。

その後、平成切手シリーズになり、1996年3月に雪村周継の山水画『松鷹図』を用いた切手が発行された。この切手は単色のように見えるが実はグラビア3色と凹版1色で印刷されている。

そして、昨年約20年ぶりに意匠が変更され、田能村竹田作の『富士山図』が新たに発行された。併せて前の意匠である松鷹図と富士山図2枚の小型シートも発行されたが、新旧2枚のデザインのものは中々珍しい。また、こちらはかなり高値をつけている。
これらの切手デザインや印刷方式はいずれも最高額面にふさわしい高い水準のものが用いられている。