hokutoのきまぐれ散歩

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通人の酒席 ふくべ〜八重洲グルメ

2017-10-04 05:00:06 | グルメ

『通人』を辞書で引くと①ある事柄、特に趣味的なことに精通している人、②人情の機微、特に男女間のことに深い思いやりのある人、③花柳界の事情に通じる人、粋人とあるが、たぶんこの店は①を指すのであろう。そんな『通人の酒席 ふくべ』に本日はお邪魔した。場所は東京駅八重洲口から歩いて3分ほど、周りは高層ビルが沢山あるが、この店の辺りと隣の通りにはまだまだ古い居酒屋が並ぶ。特にこの店は創業は昭和13年(1938年)つまりもうじき80年にもなる老舗である。

縄のれんをくぐり中に入ると左側はカウンター、中には菊正宗の樽が置いてある。右側には2人掛けと4人掛けのテーブルが幾つかあり、さらに2階にも席はあるようだ。とにかく昭和から時計が止まったような店内には多くの酒樽や一升瓶が並び雰囲気を盛り上げている。


まずは菊正宗の樽酒を2合(一合徳利2つ)を注文、もちろん瓶ビールもあるが、やはり酒をのみたい。すぐに徳利と猪口、お通しの昆布の佃煮が運ばれてくる。ぷんと香る杉樽の匂いがいい。常温の酒の良さを再確認する。

つまみはマグロぶつ、厚揚げ、日替わりの鮭のトバを注文する。周りを見渡すとおじさんと爺さんばかりで女性は店員のみ。なるほど『おじさんの聖域』なのか、通人の集まりなのかも知れない。

まずはマグロぶつ登場。赤身とやや筋があるがトロに近い部分がサイコロ状に切ってある。一口食べて酒を飲む、こんな単純な行為が妙に新鮮に感じられる。鮭のトバは一切れだがあまり塩辛くなく、脂が乗って美味い。食べてまた酒を一口、厚揚げも白ネギと生姜が載せただけだが、酒を引き立ててくれる。

あっという間に2合が空き、次は樽平1合(山形県)とエイヒレ、卵焼、カマスの干物を注文。肴のメニューは端から端まで見たが、甘いものは卵焼きのみ。他は塩辛いものか、しょうゆ味のものばかりで卵焼きの甘さがうれしい。樽平もすぐ空き、次は栄川(福島県)を2合、少し甘い気がする。カマスの干物はなかなか立派で身も柔らかく、美味い。とにかくグイグイ酒が進むつまみばかりである。


1時間が経過したあたりで最後の注文として樽酒を2合、おでんと漬物を注文。注文を取りに来たおばあさんがやや不安だったが問題なし。出されたおでんはよく焼かれた焼き豆腐、昆布、さつま揚げ、大根が入っている。出汁が旨く、大根と焼き豆腐は特によかった。


気がつくと約1時間20分、その間に正7合をO氏とひたすら飲む。そして、酒も無くなったので帰途につく。おしぼりも水ももちろんお茶も出ないが、何の不満も感じない。この心地よい酒場で少しは私も通人になれた気がした。


通人の酒席 ふくべ
中央区八重洲1ー4ー5
0332716065