『久我山歳時記』その13。連休明けは久我山の街を歩いていていい香りがしてくる季節である。まずはニオイバンマツリという植物。名前の通り強い香りがしてかなり遠くからその存在を知ることができるが、花の方もかなり目立ちたがり屋。
少し変わっているその生態はまず紫色の蕾を付けて濃い紫の花を咲かせる。しかし、2日ほどで花の色が薄紫色に変わり、もう少し日付が経過すると真っ白な花に変わる。
これは花弁の紫色を構成するアントシアニンの色が徐々に薄れていくからとされている。この不思議な特性のため、一本の木で白と紫の2種類の花を楽しめる不思議な木である。花の色が変わるからか、花言葉は『浮気性』らしい。
ナス科の多年生低木で熱帯アメリカ大陸原産、ブルンフェルシアともいう。また、漢字で書くと『匂蕃茉莉』、つまり外国から来たジャスミンのような香りのする植物という意味である。食べることは滅多にないが、実や花には毒性があるため、子供の手が届くところには置かない方が良い。
もう一つがジャスミン、久我山周辺では網でできたフェンスなどに這わせている家が多い。花の色は白色、ただ、香りは強いが、種類により好きな香りとやや違うのがある。
写メにあるのはハゴロモジャスミンという種類で初夏に花が咲きはじめ、次々と咲いていくため、比較的長く香りを楽しむことができる。
同じジャスミンとついているが、黄色い花を付けるカロライナジャスミンはゲルセミウム科に属する全く異なる品種。小型のラッパ状の花を付け、ジャスミンより早い春に花を付ける。名前の通り北米原産であり、こちらも塀やフェンスに巻き付いている。
春の街を香りに誘われて散歩するのもいい。早春のモクレンや秋の金木犀の香りもいいものだが。