『改めて日本語について考える』その42。あ東京では2023年3月14日にソメイヨシノの開花宣言がなされ、3月22日には早くも満開となった。
いざ、花見と思ったが23日〜28日は連日傘を使わない日がなかった。この季節に雨が降るのを菜種梅雨と言って移動性高気圧が現れては消えるため、天候が安定しないが、特に東京は厳しかったようである。
この雨の表現、どれだけあるかを取り上げてみた。やはり日本語ならではと思うのが雨の降り方のオノマトペ(onomatopée)である。例えば雨の降り始めで雨粒が小さい時は『ポツポツ』、これが『ポツリポツリ』となると雨粒がまばらに落ちてくる位になる。さらに強まると『パラパラ』であろう。
雨粒が大きい時は『ポトリポトリ』『ポトポト』、私はあまり使わないが『ビショビショ』という表現もある。
では急に強い雨が降り出す時はなんというであろうか?『ザー』『バー』『サー』、イメージ的にサーというのは天気雨のような、また通り雨のような感じ、ザーはにわか雨、夕立のような感じである。
気温が低い、湿度が低い、不快感が少ない場合は『しとしと』『しょぼしょぼ』『しおしお』『しぼしぼ』を使う。しおしおはそれとしれない程度に微かに降る雨の場合に使う表現である。
これが温度が高い、湿度が高い、不快な雨の場合は『じとじと』『じめじめ』『じっとり』『じくじく』『びちょびちょ』と変わる。『じみじみ』は湿り気がある時に使うようだが、私は初見であった。
激しく降るようになると『ザーザー』『ざんざん』『びちょびちょ』などに変わる。『ざんざざんざ』のように雨音がしきりに激しく響く時の表現もある。面白い表現として小林一茶の句に『ざぶりざぶりざぶり雨降る枯野かな』があるが、初めて聞いても降り方がわかるようである。
雨垂れの音は『ポタポタ』『ぽつりぽつり』『ぼとんぽとん』『ばらばら』などがある。さらにみずたまりの水の跳ねる音としては『びちゃぴちゃ』『ちゃっぷちゃっふ』『ぴちゃり』『びちゃ』などを使う。
雨に濡れた様をいう場合には『ぐっしょり』『べちゃべちゃ』『べちょべちょ』『じっとり』『ぺったり』などを使う。これらの表現でもその程度により『べしょべょ』より『べちょべちょ』のほうが酷い感じがする。
いくら日本が雨の多い国とはいえ、これだけの表現を擬音語でするとは、やはり日本語は面白い。