鰻を食べたくなる。と言っても鰻の蒲焼や白焼、鰻巻きと言ったスタンダードなものだけでなく、いろいろな部位を串焼きにして食べたくなるのである。
鰻の部位は①かぶと〜頭、②レバー〜肝臓、③肝焼き〜肝臓以外の内蔵、④くりから〜縦に細く切り、串に巻きつけてタレ焼きにしたもの、⑤あばら〜腹の身、⑥鰭焼き〜ヒレを串に巻きつけ、焼いたもの、とこれだけに細分化されている。今回伺った『志乃ざき』は高級店ではあるものの、これだけの串焼きを用意してくれる有難いお店である。
カウンターに陣取り、まずはビールで乾杯。お通しは左からホタルイカの黒作り、鰻の燻製、エイヒレの燻製と酒のあてばかり。特に鰻の燻製は後を引く。
酒が呑みたくなり、まずは瀉樂(福島県)から。錫の片口で提供されるが、口当たりの良い酒。ここで『くりから』と『レバー』のタレ焼きが登場。
くりからは鰻の身を串に巻きつけてタレ焼きしたもの。蒲焼よりしっかりしている。この店は粉山椒と電動ミルで挽く粗挽きタイプがあり、まずはミルを使う。挽きたてで山椒が香り立つ。
レバーは以前吉祥寺にあった串の坊という持ち帰り専門の鰻屋さんで何度かお目にかかったことがあるが、鰻のレバー10尾分を串焼きした贅沢品。もうたまりません。
一口白焼も登場。山葵醤油で頂くが趣が異なり、皮はパリッと、身はふわっと仕上がっていてさらに酒が進む。
『鰻の肝焼き』『鳥皮のタレ焼き』(手前のレバーはまだ残っていたもの)も運ばれた。肝焼きはレバー以外の内蔵を串に巻きつけて焼いたもの。香ばしく焼けている。『鳥皮』は私が大好きなのでついつい関係ないけど注文。これも美味い。酒は『雨後の月』(広島県)、しっかりしていて脂の多い鳥皮にはベスト。
さらに追加で『レバー』『鰭焼き』をお願いする。あまりに美味くレバーを食べてしまう。鰭焼きは手間がかかる逸品。包丁で切り落とした背鰭を集めて串に巻きつけて焼いたもの。カリカリした食感が癖になりそう。酒は『鍋島』(佐賀県)、コメが愛山でねっとりやや甘めの旨さを堪能させてもらう。
腹が膨れてきたので〆の鰻重は3/4匹の普通サイズ。それでもお重の真ん中に乗り、これに粉山椒をたっぷり掛けて頂く。当たり前だが、真打の登場。鰻をしっとりと蒸らし、焼いた蒲焼は柔らかく、タレの染みたご飯と合わせて食べるが、これが何とも美味い。
吸い物は肝吸いを選択、肝焼きを出す店ではなかなか飲めない肝吸いをゆっくり頂いて完食、十分満腹となった。ご馳走さまでした。
志乃ざき
武蔵野市吉祥寺南町2ー25ー10
05055941478