関東三十六不動尊巡り⑫、今回は第10番札所田無不動尊(總持寺)である。
子供の頃に西武新宿線沿線に住んでいたので、『田無』の名前は電車の行き先に多く、親しみのある名前である。ただ、当時(1960年代)はまだ沿線に田や畑が多く見られた頃でかなり郊外の地である『田無』がなぜ田がないという地名になったのか不思議だった。
田無の由来にはいくつかの説があるが、有力なのは水が乏しく、文字通りこの地域には田んぼがないかららしい。他にも水田を新たに起こしたから『田を成す』→『田成し』→『田無』という説、年貢の収奪が厳しく、種籾まで取られたため、『種なし』→『田無』となったという説などもある。
西武新宿線田無駅を降りてまっすぐ青梅街道まで歩く。これを左折して2、3分歩くと左側に参道が出てくる。赤い不動尊の提灯に向かって歩く。山門には左右に多聞天・広目天像、なかなか立派な像が寺を守っている。
創建は江戸時代初期の元和年間。俊榮和尚が法界山西光寺を創建、さらに1875年に蜜蔵寺、観音寺と合併して田無山總持寺となったものである。
寺に入ると右側に妙見堂、正面に本堂がある。その手前には滝の不動尊が祀られている。
滝の不動尊は説明板によると『明治11年4月13日に成田山新勝寺第13世照輪僧正のは開眼勧請をし、田無町柳沢の宿屋『田丸屋』の奥庭に祠を建て安置したもの。故あって大正6年に田丸屋から当山に偏座したものである。
また、本堂に入ると正面に須弥壇、本尊の不動明王像は扉が閉まったままで拝むことは叶わなかった。
寺務所は本堂右手の建物で大変に親切にご対応いただいた。
また、境内には大きな欅、本堂建て替え(1850年)の際に記念して植えられたものの1本で樹齢は175年ほどになるようだ。