いったい何を考えてあんなものを着ていたんだろう。顔から火が出る思いでよみがえるダサダサファッションの数々。マジソンバッグ、パンタロンルック、まるでサザエさんのようなパーマ、正ちゃん帽にスタジアムジャンパー……若気の至り、だけでは片付けられない痛恨の記憶。
違う路線の青春を歩んでいた連中も、その勘違いぶりは爆発している。まるで若ハゲかと誤解されかねない剃り込み、わずかなカーブでも腹を擦るシャコタン+竹槍マフラー、学生服の裏にはなぜか龍や虎の裏地、派手な財布。そして、特攻服。
キーワードは“同族”。そのファッションが自分の属するグループを明示し、他人にはグロテスクに映っても、それゆえに強固に感じることができる仲間意識。ロココファッションに身を包んだ主人公と、特攻服とキッチュなブランドしか目に入らないヤンキー。この二人の属するグループ観の差は、ロココ娘が特攻服に刺繍を入れた瞬間に友情に昇華する。「二人なら、負ける気がしねぇ」というキャッチコピーは、ファッションを通じて二人が同族となった気分をよく表している。
「(ロココ娘に)そんな服、どこで買うんだよ」
「自由が丘。(特攻服に)そーゆー服は?」
「ジャスコじゃん!」
いやー笑った。よくまあイオングループはこんな形で名前を使うことを許したよな(笑)。
中島哲也の演出はウェットにならずにまことに快調。ロココ娘を演じた深田恭子の天然ぶりもいいが、なにしろ特攻レディ土屋アンナが美しすぎるっ!ユニクロやカルピスのCMに出ていたことなど信じられないヤンキーぶり。そのヤンキー気分を延長し、できちゃった婚に走ってしまったのは日本の芸能界にとって大いなる損失。早く復帰しろ土屋、おじさんはすっかりファンになっちゃったんだ。眉毛でも剃って待ってるぞ!
……2008年現在、土屋アンナはめでたくシングル・マザーとなり(気を使わせちゃったなあ)、深田恭子はなんとドロンジョを演ずるとか(ついでに原作者は逮捕された)。彼女たちに幸あれ。