初孫の営業マンであるサトーさんに、「来月ウチの試飲会があるんで来てくださいよ」と誘われた経緯は「初孫①」「②」でお伝えしたとおり。まあ、社交辞令だろうと思っていたら大まちがい。翌日にさっそく要項をその居酒屋へもってきて「あのお客さんに渡しておいて」と頼んでいったのだそうだ。頼まれた居酒屋は「まさかこのために学校に電話するのもねえ」と困惑していたちょうどその頃にわたしが飲みに現れたので笑われてしまった。
「こりゃあ、行かなきゃいけないんだろうなあ」日本酒は苦手だって言ってるのに。
「なんかね、女の人にたくさん来てほしいんですって」女将がサトーさんの伝言を。
「てことは、誰か女性を誘えってことか」
「あたしはダメよ。仕事だから」
結局、自分でも芸がないと思いつつも、前任校と今の学校の調理員、そしてダイエット仲間である技能士を誘う。
行われたのは、題して「初孫の酒を楽しむ会」そのまんま。なんと第7回なのだそうだ。会場は酒田のレストランでは老舗にあたる「欅(けやき)」。締め切りをすぎてから申し込んだわたしたちの整理番号は130番台。こりゃたいした人数である。当日はすぐ近くの市民会館で南こうせつのコンサートが行われたため、そっちの客と入り乱れてわけがわからなくなる。意外だったのは前任校の保護者たちがたーくさんあらわれたこと。なるほど、ほとんど学区だからな。そのうちの一人は「いやー実は今、初孫の(工事)現場さ来てでやー。それで誘わっだな」こんな気合いの入らない客も含まれている。
受付にいきなりサトーさんが。はっぴを着てはりきっている。
「どうも。ちゃんと来ましたよ」
「おー、待ってましたよー」
「今日は調理のプロを中心に連れてきましたから」
「ありがとうございますぅ!」
さて、その日供された初孫の酒とは……
【4杯目につづく】