4杯目はこちら。
今年(06年)もやってまいりました「初孫の酒を楽しむ会」の季節が。去年はいきつけの飲み屋で初孫の営業サトーさんと遭遇したことから初めて参加したのだけれど、今年はちょっと様相が違う。
親切きわまりない(または営業の鬼の)サトーさんは、またしてもその飲み屋にあらわれ、「あのお客さん、今年も参加しないかな」と女将につぶやく。「学校に電話するのもねー」と彼女は逡巡。ちょうどそこへ居合わせたのがわたしの近所に住むヒロキ。「ヒロシ?オレ携帯の番号わがっぜ。」で、いきなりわたしの携帯に無遠慮な声で「ヒロシー、初孫の会があるそーだなー。オレも行ぐ。絶対行ぐ。いんでろ?」
ということで今年のパートナーはこの男ヒロキ。東京農大醸造学科卒。要するに酒のセミプロである。会場は今年もレストラン欅(けやき)。開会のあいさつで支配人かましてくれる。
「えー、この会は“楽しむ”ことを目的としているわけですが、こちらも商売ですので儲からないと楽しくありません。その点本日は大盛況で、こちらも楽しむことが……」
そうなのだ。一応先着120名定員のくせして、ほぼ200名が参加しているのである。去年は丸テーブルだったのに、今年は田舎の披露宴状態。長テーブルにすし詰めだ。今年の乾杯の音頭は、プライベートで来ていたのにいきなり壇上にあげられてかわいそうだった酒田市長。「日本酒は実は二日酔いもしないし健康にもいい。最高ですね」ほう、そうなのか。東大卒の言うことだし、信用してやろうか。
今年のメニューは
・鮮魚とナスのミルフィーユ、アスパラの米粉揚げ(生酛 純米酒)
・そら豆とかぶの二色ムース(雪恋花)
・帆立貝のパネグリエ 冷製トマト、大葉、エシャロット(あじさい物語)
・トマトのみりん煮
・庄内豚の角煮、ポテトあんかけ(古酒三歳)
・黒豆とリンゴ、紫キャベツのサラダ
・玄米とエビの洋風茶碗蒸し(吟醸生酒)
( )のなかは料理に最適だと供された初孫のお酒。しかし酒のセミプロであるヒロキは「浩、どう考えでもこの中でいちばん単価が高ぐで初孫が嫌がるのは大吟醸だ。狙え!」と大吟醸ばっかし飲みまくるのである。それだけで会費の三千円のもとはとったぞ。おまけに抽選会でわたしとヒロキは吟醸酒が当たってしまい、もとをとる以前の問題になってしまった。嫌な客。にっこり笑ってお酒をステージに受け取りに行くわたしに市長は
「なんでお前に当たるんだよー」と文句を。
「神様はいい子を見てるんだよっ!」
しかしおかげで翌日はすんげー二日酔い。あの大嘘つきめ。みなさん、東大卒を信用してはいけませんよ。