ページ16はこちら。
映画「靖国 YASUKUNI」問題は急展開している。作品の中心である刀匠がシーンの削除を申し出たり(この時期にこんな話で出てくること自体が作為的)、監督協会や田原総一朗などが表現の自由を守れと動き出したり……
しかし冷静になってみると、サヨクの側だってたとえば「憲法第9条」を否定する作品に文化庁から補助金が出ていたら心穏やかではいられないだろう。“靖国”と“9条”は両翼の象徴だし。まあこんなあざとい介入は自殺行為だからサヨクはやらないけどね。小泉チルドレンのレベルなんてこんなものさ、と苦笑すればすむ話なのかもしれない。
しかし映画の観客としては異議を申し立てる。誰に?実は東映になのだ。
「靖国」の上映中止をいちばん最初に決めたのは新宿のバルト9。運営主体はティ・ジョイという会社で、ここは東映系の興行会社なのである。
東映といえば、“なりふりかまわず儲かることは何でもやる”のがカラーだったはずではないか。右翼企業である東日本ハウスが金を出した、東條英機礼讃「プライド~運命の瞬間」を公開し、宗教批判が高まるなかでも幸福の科学信者めあてに「太陽の法」も製作。そして一方では“赤旗読者の大量動員が見込める”(笑)と、「実録・日本共産党」まで企画していたはずではなかったか。少なくとも先代の岡田茂社長にはそんな心意気、というかヤマっ気があったのに。
興行には、実はかなりダークな部分が存在する。組織暴力系の方々との関連はよく言われることだし、海千山千の商売人たち(他の業界では考えられないほどモラルは低いらしい)が跳梁跋扈する世界だ。だいたい、映画とは完全に不良の娯楽なのだし。それが「同じビルに入っているテナントに迷惑がかかる」程度のことで腰がひけてるようでは、東映も地に堕ちたと言わざるを得ない。そんな言い訳が通用するなら全国のシネコンで上映される作品は、お子さま映画だけになってしまうではないか(現実にそんな傾向があるので泣ける)。
「おっと、マスコミでこれだけ騒がれているんなら宣伝費に換算したら何億円分だな。よーし公開するぞ。右翼?陰で金でも渡しとけ」これがまっとうな興行主というものだろう。目を覚ませ東映。映画製作の不振を不動産でカバーしている現況は、映画ファンにとってひたすらにさみしいぞ……
おっと今日のニュースでは
映画は当初、都内4館と大阪市内1館で、12日から公開される予定だったが、「銀座シネパトス」に右翼団体の街宣車が乗り付けるなど騒ぎが拡大して上映中止の輪が広がった。しかし、一連の報道を受けて新たに上映に名乗りをあげる劇場が増え、5月以降に全国20館以上で公開される予定。【ZAKZAK】
……いるんだね気骨のある館主は。
それではようやく新シネコン概要へ。ページ18につづく。