MFMの2冊目「男性週刊誌」はこちら。
男性週刊誌について、もう少しふれてみよう。この世界においてどうしても無視できない人間たちについて。まずは週刊新潮篇。
男性誌のなかでも、きわだって読者の想定年齢が高いと思われる新潮の見出しはたとえばこうだ(2004年ネタなのでちょっと古くてごめん)。
●「1社3000万円出せ!」で民間企業を泣かせた「プロジェクトX展」
●永田町にバラまかれた「紅白歌合戦」入場券スキャンダル
●「スイカップ」を新聞広告から削る「朝日新聞」のお笑い言葉狩り
●国民栄誉賞なら「両親離婚」の危機という「谷亮子」
●報奨金5000万円に「カネ返せ!」の罵声が飛ぶ「野口みずき」所属会社
●塚田真希に「セクハラ発言」しちゃった「綜合警備保障」社長
●日本選手団「美人No.1」と言われる「意外な女性」
●サイン色紙「北島5000円」なのに「室伏15万円」!
……金・女・事件。そこまで本能に忠実に行くか。しかも他と比べても皮肉な度合いが突出していて、新聞や総合誌を後ろからけたぐりをかけて倒そうという嫌みなジジイぶり。正直だねえ。この路線を立ち上げ、底意地の悪さで他の追随を許さない金看板を作り上げたのが、実はたった一人の男だということをご存知だろうか。
名を斎藤十一。すでに故人となっているが、太宰治、井伏鱒二、松本清張らを育て上げた敏腕編集者。新潮社の天皇として長年君臨し、増大する社員の食い扶持を稼ぐために「週刊新潮」を創刊。後の「FOCUS」もこの人の発想。このジジイの凄いところは、まず見出しを自分が考え、“それに合わせて”記事を書かせたあたりのセンスにある。だからプライバシーだの人権だのは二の次という伝統は今でも生きている。
いわば斎藤の個人誌だった新潮が、鈴木宗男問題などで単発のヒットは飛ばすものの、しかし総体としてふるわないのは、新潮社の経営が傾いている以上に彼の不在の故と言えるだろうか。高齢化社会こそ伸びるチャンスじゃないか。長生きしろよ、新潮。
……08年に新潮が飛ばしたヒットは、映画「靖国」問題だろうか。ほんっとによけいなことをしやがって(笑)
4冊目は週刊文春篇です。