映画「妖怪の孫」を観た。
とても面白かった。平日の朝一の回だったが、席は割と埋まっていた。年配の観客ばかりで、若い人を見かけなかったのが少し残念である。仄聞では元総理の誰かが公開初日に鑑賞したそうだ。年配客のひとりだったということなのだろう。
印象的なニュース映像があった。岸信介が進めた安保条約に反対して全国的に沸き起こった安保闘争のニュースだ。国会議事堂前のデモで東大生の樺美智子さんが亡くなり、その後の献花の様子の映像とともに、アナウンサーが「戦後15年の日本の民主主義の底の浅さでありましょうか」と語るのである。
戦後78年を迎えるいま、日本の民主主義の底は深くなったのかというと、むしろ逆に浅くなってしまったのではないかと思う。そうでなければ口先だけで総理になったアベシンゾーが選挙に勝ち続けた理由がない。
アベシンゾーとは何だったのか、作品で十分に語られているから付け加えることは何もない。鑑賞後は、暗澹たる気分になるが、希望がない訳ではない。是非とも多くの人に鑑賞してほしい。権力者の暴力を恐れずに公開した製作陣に拍手。