三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」

2023年03月25日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」を観た。

 前作の「ベイビーわるきゅーれ」が出来がよすぎたのだろうか。どこか哲学的だったふたりの会話は情緒的になってしまい、凡俗化してしまった。前作では女子高生の殺し屋という設定自体から生まれるギャップで自然に笑えたが、本作品は笑いを取りにいっているところが鼻につく。もしかして前作のスマッシュヒットに気をよくして、阪元裕吾の世界観よりも、二匹目のドジョウを狙う取り巻きの凡人たちの意向が通ってしまったのだろうか。

 前作よりもさらに尖った作品を期待していただけに、二番煎じに少しがっかりした。頭の悪いアルバイトの殺し屋を出すのではなく、殺しが平気になってしまったちさととまひろの精神性をもっと紹介してほしかった。アニメにのめり込んだり、アイドルに入れあげたり、競馬に熱中したりするのもいい。とにかく他の文化とのふれあいで、殺人を日常にしている彼女たちのある種ニヒリズムの精神性が発露したシーンを観たかったのだ。

 とはいえ、アクションは相変わらずリアルで迫力がある。女子高生から少しだけ成長した様子が伺えるのもいい。期待が大きすぎたので落胆はあったが、それでも楽しく鑑賞できた。設定が唯一無二の面白さなので、ここで終わるのはもったいない。ブラッシュアップした次回作を希望する。