映画「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム」を観た。
本作品の二日前に黒木華主演の映画「アイミタガイ」を観たせいか、本作品に登場する千葉雄大の加賀谷と成田凌の浦野、それに韓国人のスミンまで、相身互いの関係性みたいに思えてしまった。
それはある意味で間違ってはいないのだが、犯罪者と彼を管理する側、捕まえようとする側という立場の違いで、一筋縄ではいかない関係になる。逆に言えば、相身互いは、互いの立場を超越した心境なのだろう。浦野が加賀谷を友だちと呼んだ理由がそこにあると思う。
ただ本作品は、登場人物の情緒に重きを置いてしまったために、肝心のハッキングが疎かになってしまった憾みがある。要塞のように監視カメラだらけだった極右のアジトなのに、浦野の作業部屋だけ監視カメラが付いていなかったり、ドローンのカメラは使うのに、ハッキングした内調のPCカメラは使わないとか、前2作で強調されたネット社会の恐怖が、今回は甚だしく弱い。それに金融機関の送金は、現在では一瞬で完了するし、不可逆だ。
シリーズ物をこれまで観てきた経験から言うと、大抵の場合、第一作が一番面白い。それはそうだろう。面白いから続編が作られたのだ。そして大抵の場合、続編はオリジナルを超えられない。本作品も例外ではなく、日常的なシーンから、ネットの深淵と恐怖が覗かれる第一作が一番面白かった。柳の下に、ドジョウは二匹いないのだ。