会津は毎日が雪の連続で、地面から冷気が突き上げてくる感じで、突き刺すようにピリピリとする。先月までは京都や東京へと大忙しだったが、少し気が抜けたと思ったらば、風邪をひいてしまった。一日頼まれている仕事を放り出して体を休めたので、少しは体力が戻ってきた。今の会津の寒さといったらば、言葉にできない位だ。若い頃と違って、側に風邪の人がいても、すぐにうつらないが、一度罹ると治りにくいのではなかろうか。寝転がって松原泰道著の『きょうの杖言葉』を読んでいると、良寛の「死ぬ時節には死ぬがよく候」という手紙の一節が紹介されていた。どことなく突き放された言葉のように思うが、良寛は手抜きをせずに、残された命をまっとうしろというのだ。松原も「自分のことですから、観念や概念といった、抽象的な受け止め方ではなく、具体的に、自分の死を学ぶべきです」とコメントしているが、百歳の人に言われると、説得力がある。還暦を前にすると、私も自分の寿命をいうことを、ついつい考えてしまう。だからこそ、物事が全て億劫になってしまうのだろう。これを書いている今でも、戸外では雪が音もなくしんしんと積もっている。その世界はあくまでもモノトーンの世界であり、ときたま雲間から月の光がこぼれてきたりすると、あまりにも静寂過ぎて、死後の世界が広がっているような気がしてならないから不思議だ。
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