急にここにきて財務省の旗色が悪くなってきた。財政再建を優先させて、景気回復を後回しにする施策では、日本経済ばかりでなく、世界経済にも悪影響を及ぼしかねない。アメリカですらそれに気づいて、日本の消費増税に難色を示すようになったのだ。アベノミクスの三本の矢は金融緩和、財政出動、規制緩和である。日本銀行が去る31日に決めた追加の金融緩和策によって、大変なサプライズが起きて、世界は同時株高となった。日本は世界に対して、デフレから脱却することを行動で示したのだ。これまでアベノミクスに批判的であった国々も、今度ばかりは歓迎している。日本をデフレにすれば、金利が高いアメリカなどに資金が回る。そんな小手先ではなく、世界経済のパイを大きくするために、日本が牽引車となるのである。あえて国内需要を喚起することで、世界からも日本は物を買うようになる。アメリカも物づくりにウエイトを移し始めており、世界経済は新たな局面を迎えているのだ。しかし、喜んでばかりはいられない。市場にカネがジャブジャブになっても、国内での使い途が明確でなければ、かえって混乱を招くからだ。何度も主張しているように、災害が多い我が国にあっては、すぐに手をつけるべきは、国土強靭化である。さらに、教育や福祉分野への投資である。経済学に精通していなくても、その程度のことは誰でも分かる。安倍政権がその期待に応えてくれるかどうかなのである。