13年前、突然やって来た野良犬「モモ」が、子供を3匹産んだ。1時間半に1匹づつだから、3時間あまりかかった。初産だったが、臍の尾も噛み切ったし、体を舐めてきれいにしてやるし、立派な母親ぶりだった。新しい飼主に、仔犬を引き渡すまでの2か月余り、実に楽しくも大変な経験をさせてもらった。そんな中で、一番困るのは、引き取り手を探すことなのだ。
こんな寒い時に産まなくてもいいのに・・・などと思うのは、人間の勝手。この逆境を生き抜くものが、子孫を残せるのだ。
というのも1年前、別の野良犬クーロが野天の落葉溜りに7匹も産んだ。見に行った時、既に1匹は、母犬の下敷きになり、死んでいた。その後、空き家の縁の下に引越して育てていたが、2ヶ月後、結局生き残ったのは、4匹だった。運もあるが、生まれた途端、厳しい生存競争が始まっているのだ。
クーロの子供4匹のうち一番体が大きかったのが、今私の手を焼かせている「デン」である。きっと、丈夫に違いない。