:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 旅のスケッチ=アメリカ東部-③ 《古い友人を尋ねて》

2012-05-14 21:40:26 | ★ シンフォニー《アメリカリポート》-1

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旅のスケッチ=アメリカ東部-③

《古い友人を尋ねて》

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5月4日に始まったアメリカ東部のコンサートツアーは

昨晩のシカゴシンフォニーオーケストラの本拠地 「オーケストラホール」での公演を最後に終った

今日15日の午後 シカゴのオヘアー空港を発って 明日の昼ごろには再びローマの人となる

今回のツアーの意味については ローマに帰ってからシリーズでゆっくり書くつもりだが

今はつれづれのスケッチにとどめたい


話はニューヨークに戻る


  

ここはニューヨークのマンハッタン 昔から快速と各駅停車の線路を分けた 往復各2車線の立派な地下鉄が発達している

今さら昔の思い出に浸ってみても仕方がないのに やはり懐かしいものは懐かしい

リーマンブラザーズのヴァイスプレジデントと言えば大げさな話だが これはウオールストリート独特の肩書きのインフレで

「副社長」 なんてどんでもない 日本の大企業なら せいぜい部の次長クラスだと思った方がいい

マンハッタンの高層ビルの役員用のペントハウス (最上階マンション) に住んで 

タクシーでウオーターストリート55番地の本社に通っている間に

黒人のメイドがベッドをつくり 巨大な冷蔵庫の中に 牛乳や果物やチーズをふんだんに補充してくれている と言えば

なんとなくリッチな感じだが 今思えば 会社にしてみれば

 毎日ミッドタウンのホテルに住まわせるより はるかに安上がり というだけのことだったのだろう


 

今日は 音楽の殿堂 リンカーンセンターのエイブリ―フィッシャーホールでのリハーサル見物を途中で抜け出して

懐かしい友達との再会を求めて  地下鉄に乗った

もう30年以上前の話だが 当時 彼女は8番街と5番街のあいだで 72ストリートの駅に近い緑豊かな場所に住んでいた

私は彼女ん住んでいる家に行ったことはない しかし 運が良ければ いつも人気の少ないあのベンチのところで合えるのだった

彼女はいつもの毛皮のコートが似合う 茶色の目の娘だった

別れるとき 今度ニューヨークに来たら きっとまたここで会おうね と固く約束したのだが・・・

はたして今でも彼女は待っていて 約束通り姿を見せてくれるだろうか 思うだけでも胸が高鳴る

 

 

黒人居住区 ハーレムに行ったら 徐行する車の中からでも 絶対に写真は撮るな

トラブルに巻き込まれるといけないから と

白人の友人からきつく注意されていた 同じ注意は地下鉄の中でも当てはまるだろうか

ナイフやピストルをポケットに忍ばせた 気の短い男がいないとも限らない 

デジカメのスイッチを静かにONにして 腰だめにシャッターをめくら押ししたら 画面が10度ほど傾いていた

 

 

お目当ての72ストリート駅で地下鉄を降り 地上に出ると そこはセントラルパーク・ウエストだ

あれ? 日曜の新宿御苑ほどではないが 思ったより人がいるな シャイな彼女が果たして現れるかな?

 

  

 

茂みの小道を行くと 日本では見たことがない濃い紫の花が咲いていた

以前に野尻湖の 《キビタキ》 の悲しい話を書いたが (私のブログ 「禁じられた遊び」 参照)

この鳥はキビタキの2倍ぐらいの大きさだ

くちばしの下は白く 膨らんだ胸は茶色をしている

低い茂みの細道をさらに進むと

ぱっと視界が開けて 広い芝生に出た

あっ! 居た 居た! 彼女だ! 30年前とちっとも変っていない

 

 

720ミリの望遠を横に振って流し撮りしたのに 後足一本にしかピントが合っていない

なんとすばしこい

かと思うと グッと鋭角にコースを変えてこちらに向かってきた まさか 本当に私を覚えていたわけではあるまい

もうお分かりですね わたしが会いたがっていた彼女 それは実は栗鼠嬢のことでした

 

 

あとは もう めちゃ撮り いろんなポーズを楽しんでください

 

     

        

  

 

太い尻尾を大きく振るヒップ なかなかしっかりしていますね


    

 

木の実を上手に見つけて 手に持って食べるしぐさは 実に可愛らしい 

 

 

 

 

夢中になって彼女の姿を追ってセントラルパークを走り回っていると


Hi! John! What are you doing here?

おーい ジョン! そんなところで一体何してる?


突然背後から笑い声で名前を呼ばれた

一瞬 タイムスリップして リーマンの同僚に声をかけられたような錯覚に襲われた

まさか マンハッタンの市内だけで800万 都市域2000万の人口を抱えたニューヨーク

短い期間しかいなかった私の名前を憶えている人間に巡り合うはずがないではないか

振り返ると オーケストラのメンバーが リハーサルの後 開演までのわずかな休憩時間を利用して

セントラルパークまでやってきて しばしのジョギングを楽しんでいる物好きたちだった

左端はローマの神学生のアルド君 コンセルバトワールでトランペット奏者を志したことのある男だ

ジャズを吹かせると まさにプロの領域に居る

 

 

 白いつつじの花は日本と一緒だ いや 葉っぱがちょっと違うかな?


 

 満たされた心で 地下鉄の駅を探すころには 車がヘッドライトを点けはじめていた

時計を見ると 開演30分前だ


 

これからが本番の山場

ニューヨークフィルのホームベースで堂々のデビューとなる

すべての評価はこの一回にかかっている と言っても過言ではない

カトリック系の衛星メディアが 世界中に同時中継する手筈だ

このコンサートの歴史的な意味は ローマに帰ってから

シリーズでゆっくり書くことになるだろう

乞う ご期待! 

コメント
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