:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 知床日記、または、鹿とウサギのデート、または、神学的対話-その6

2008-04-24 18:39:08 | ★ 日記 ・ 小話

すこし強く降り始めた雨の中を、話を続けながらさらに進んでいくと、不意に不思議な前衛オブジェに出くわした。明らかに人の手によらぬモダンな造形だった。
     

〔ウサギ〕 前回の話は、「悪は何処から」と言う命題でしたね。
〔エゾ鹿〕 ウサギ君や僕たち鹿の仲間も含めて、自然界には悪は存在しないね。善なる神が、その全能のみ手の業として、愛をもって無から存在界に呼び出した世界は、見えない神を見える形に現したもので、悪のかけらも無い善いものばかりで満たされている。
〔ウサギ〕 またまた、そんな綺麗ごと言っちゃって!だって、現に世の中、悪で一杯じゃないですか。子どもの嘘に始まって、世界の政治や経済の陰に身を潜めている巨悪にいたるまで、また、いじめから悲惨な戦争にいたるまで、悪は無いなんて、よくもまあ・・・!
〔エゾ鹿〕 私が言っているのは、神が無から創造したばかりの自然界にはひとかけらの悪も存在しなかったということさ。
〔ウサギ〕 じれったいなー、もう!では、お言葉を返すようですが、小児白血病は、内臓や五体の奇形は、先天的知的障害はどうなんです?台風や地震や津波は?みんな神の造った自然そのものではないですか?どうなんです?さあ、早く答えてくださいよ!
〔エゾ鹿〕 まあまあ、そう興奮しないで。落ち着いて!頭を冷やしてよく考えてご覧。どうしてそう簡単にそれらが「悪」だと決め付けられるのかね?
〔ウサギ〕 ・・・・(ちょっと虚を衝かれて、とっさに言葉が出てこなかった)
          雨は、小道の脇の注意版を静かに濡らしていた。
           

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