昨年、競馬中継を見ていたら「キヲウエタオトコ」という馬が走っていました。
全くふざけた変な名前の馬だったので、オーナーが面白半分で付けたのだろうと思っていましたが、実はフランス文学の短編で「木を植えた男」という物語があることを知りました。先日図書館でフランス文学の棚を見ていたら、この本が置いてあったので読んでみました。
木を植えた男は、フランスの作家ジャン・ジヨノが書いた短編小説です。本文はわずか十数ページの短いものですが、スタジオジブリの高畑勲によるこの物語の解説が60ページほどあって、小説の成立の背景などがなかなか面白い内容です。
ストーリーは至ってシンプルで、ある真面目な貧しい男が荒れた原野にコツコツと木を植えていき、それが環境にも人間にも良い影響をもたらして、最後はみんなハッピーになるという話です。現代の環境問題を考えるうえでも教訓的な素晴らしいストーリーですが、これが最初に紹介された時は、主人公は実在の人物として認識していた人も多かったそうです。でも実はこれは架空の人物であり、ジヨノが書いたフィクションでした。この事実を知って、逆にショックを受けた人もいたそうです。本当に短い本ですが、この素晴らしいストーリーは子供達に伝えたいものです。
「木を植えた男」という物語を教えてくれた競争馬「キヲウエタオトコ」に感謝です。きっとオーナーもこの物語に感動して馬に名前をつけたのかもしれません。そう思いたいです。