なでしこジャパンが、国民栄誉賞を受賞することになりました。国民栄誉賞の規定について、Wikipediaには、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者についてその栄誉をたたえる」、表彰の対象を「首相が本表彰の目的に照らして表彰することを適当と認める者」としています。この基準に従うと、なでしこジャパンの受賞は違和感なく受け入れられるものですが、対象者の選定を行うのが首相というところが、少し気になるところです。
----------------------------------------------
ちなみに歴代の受賞者は、
1 王貞治 プロ野球選手 ホームラン世界新記録達成(756号本塁打)
2 古賀正夫(古賀政男) 作曲家 独自の曲調“古賀メロディー”作曲による業績
3 長谷川一夫 俳優 真摯な精進 卓越した演技と映画演劇界への貢献
4 植村直己 冒険家 世界五大陸最高峰登頂など
5 山下泰裕 柔道選手 柔道における真摯な精進、前人未踏の記録達成など
6 衣笠祥雄 プロ野球選手 連続試合出場世界新記録達成
7 加藤和枝(美空ひばり)歌手 真摯な精進、歌謡曲を通じて国民に夢と希望を与えた
8 秋元貢(千代の富士) 大相撲横綱 通算勝ち星最高記録更新、相撲界への著しい貢献
9 増永丈夫(藤山一郎) 歌手 歌謡曲を通じて国民に希望と励ましを与えた功労、美しい日本語の普及に貢献
10 長谷川町子 漫画家 家庭漫画(サザエさん)を通じて戦後の我が国社会に潤いと安らぎを与えた
11 服部良一 作曲家 数多くの歌謡曲を作り国民に希望と潤いを与えた
12 田所康雄(渥美清) 俳優 映画「男はつらいよ」シリーズを通じて人情味豊かな演技で広く国民に喜びと潤いを与えた
13 吉田正 作曲家 独自の曲調“吉田メロディー”の作曲により
14 黒澤明 映画監督 数々の不朽の名作によって国民に深い感動を与えるとともに、世界の映画史に輝かしい足跡を残した
15 高橋尚子 陸上選手 2000年シドニーオリンピック女子マラソンで優勝
陸上競技で日本女子選手初の金メダル
16 遠藤実 作曲家 世代を超えて長く愛唱される、情感に満ちあふれた名曲を数多く世に送り出した
17 村上美津(森光子) 女優 長年にわたり芸能分野の第一線で活躍し、特に『放浪記』において2000回を超える主演を務めた
18 森繁久彌 俳優 芸能の分野において長年にわたり第一線で多彩に活躍。数多くの優れた演技と歌唱は広く国民に愛された
19 FIFA女子ワールドカップドイツ2011日本女子代表 女子サッカーチーム FIFA女子ワールドカップにおいて初優勝し、最後まで諦めないひたむきな姿勢によって国民に爽やかな感動と、東日本大震災など大変困難な中で日本国民がいる中で、困難に立ち向かう勇気を与えた
---------------------------------------
となっています。リストを見ると受賞者は、スポーツ選手と芸能関係者に限定されていると言っても良いくらい偏っており、業績だけでなく話題性も選定の必要条件になっているようです。(マスコミの協力も必要?)亡くなられた方や、長年の実績を残された芸能関係者には、国民栄誉賞は素直に受け入れられる賞かもしれませんが、現役のスポーツ選手には、却って重荷になりそうな気もします。例えば、高橋尚子選手は、受賞の後の成績は泣かず飛ばずでした。MLBで日本人選手史上初の首位打者となったイチロー選手は、小泉内閣から授与を打診された時、「国民栄誉賞をいただくことは光栄だが、まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」と固辞したそうです。現役選手だったら、イチロー選手の気持ちはよく判ると思います。この先、栄誉賞に相応しい活躍ができるかどうか判らないし、受賞してしまうと国民の期待も重荷になるでしょう。そういう意味では、今回、受賞するなでしこ達の今後が少し心配です。この受賞が変なプレッシャーにならなければ良いのですが、、。