「魯山人の食卓/北大路魯山人」を読みました。
美食家で知られている北大路魯山人の著作集。素材の選び方から調理法、食べ方まで日本料理に関する様々な薀蓄が述べられていて、日頃料理にあまり興味の無い私にとっても大変参考になります。多くの言葉で料理を語る魯山人ですが、料理の評価となると「美味しい」「美味い」「不味い」の3つくらいしかない。日本語の語彙には、味覚に対する表現が少ないといわれますが、魯山人でもだいたいこの3種類の言葉だけで表現しています。逆に言えば、いかに手を加えてみても料理というのは「美味い」と「不味い」でしか判断できなのかも。この本を読んでいてそう思いました。
参考:「魯山人料理語録」より
・天然の味に優る美味なし(なるほど)
・誰でもふつうに、商売人の手になった料理は、美味いものかのように考えるが誤認である。なるほど、商売人は料理の玄人である。しかし玄人はいろいろの条件において料理をする。第一に値段を考えて料理をするであろう。邪道であるけれども、商売上であれば、採算のとれるようにするのが第一義で、料理は第二義。ここに堕落がある。しかし、仕方のないことである。だからわれわれは玄人の料理だからといって、金を出して食う料理を美味いものとするのが誤り。そして、それが家庭の料理を滅亡に導いてしまったのである。(確かに)
・どうしても料理を美味しく作れない人種がある。私は、その人種を知っている。その名を不精者という。(魯山人自身はどうなのか)