今年の天皇賞・秋は、大変面白いレースでした。
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伏兵トーセンジョーダンがレコードでGI初制覇=競馬・天皇賞(スポーツナビ)
JRA・第144回GI天皇賞・秋が10月30日、東京競馬場2000m芝で行われ、ピンナ騎手騎乗のトーセンジョーダン(牡5・父ジャングルポケット)がレコードタイム(1分56秒1)でGI初優勝を飾った。2着に2番人気のダークシャドウ、3着にペルーサが入った。1番人気で連覇の期待がかかったブエナビスタは4着に終わった。
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今年の天皇賞には、中長距離のGI馬が数多く参戦し、レコードタイムで決着した大変レベルの高いレースになりました。1番人気のブエナビスタは連覇を狙っての参戦でしたが、中位の集団から抜け出すのに時間が掛かり、良い末脚を使いながら今回も届かず、4着に敗退しました。この馬は強烈な末脚を持っていますが、なぜか展開に左右されてしまう弱点があるようです。前が開けば圧勝間違いないけれど、前に壁が出来てしまうとなかなか抜け出せないもどかしいレースが続いています。3歳春に圧倒的な強さでG1を制した時は、引退までにG1をいくつ勝つのか楽しみでしたが、今年のレースを見ていると、やや勢いが落ちてきたような印象があります。騎手にとっても乗り難さがあるかもしれません。でも相変わらす人気は抜群なので、ファンの期待に応えて、もうひと花咲かせて欲しい気もします。
逆にトーセンジョーダンは、今日のレース展開がこの馬に向いたような感じです。スタミナ勝負になったこととが勝因だと思いますが、騎手にとっては人気薄で思い切った騎乗ができたことも要因のひとつだと思います。ピンナ騎手は、イタリアのG1でも勝ったことが無い23歳の若手です。日本での今年最後の騎乗ということもあって、有力馬をマークしながら思い切り良く騎乗したことが良い結果を生みました。トーセンジョーダンの騎乗は最後ですが、また今後の騎乗を楽しみにしたいです。ちなみに応援していた馬は、アーネストリー、シルポートでしたが、どちらも下位に沈んでしまいました。シルポートは、1600mが得意な距離で、天皇賞秋の2000mはやや長かったようです。それでも自分の勝ちパターンの逃げの展開に持ち込み、1600mあたりまで先頭に立って、能力一杯の走りを披露してくれました。果敢な逃げは、能力的に行ける所まで全力で行かないと勝ち目が無いという判断によるものでしょう。こういう思い切った戦法はとても気持ちが良かったです。彼が先頭に立った後に、中途半端に馬群を引き付けていたら、他の馬に囲まれておそらく見せ場無く終わったと思います。彼の前半の驚異的なラップが、コースレコード決着、有力馬の脱落という結果をもたらしました。まあ、その犠牲になったのが、応援していたアーネストリーだったというのは皮肉な感じもしましたけど、それも競馬です。
今日の天皇賞は、とてもドラマチックなレースでした。レースがテレビのタレントや競馬記者の予想通り、過去のデータ通りに決まっては面白くない。こういう波乱があるからこそ、競馬は面白いと思います。まあできれば、自分の予想が当たってくれると、もっと楽しいのですが。